JP2016089244A - アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性に優れているとともに、高い強度とろう付け性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートを提供する。
【解決手段】板厚0.7mm以上で使用され、芯材の片面に犠牲材が配置され、他の片面にろう材をクラッドしてなるAl合金クラッド材であって、前記芯材が、質量%でMn:1.3〜2.0%、Si:0.7〜1.2%、Fe:0.1〜0.5%、Cu:0.7〜1.3%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材中に分布する2μm以上の第二相粒子の密度が2000個/mm以下であり、さらに、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材の材料表面から深さ150μmまでの平均硬度が100HV以上である。
【選択図】なし

Description

この発明は、熱交換器に好適に使用されるアルミニウム合金ブレージングシートに関するものである。
燃費向上や省スペース化の観点から熱交換器は軽量化傾向にあり、そのため使用部材には薄肉高強度化が求められる。また、ラジエーターのプレートは近年、高耐久化(静的強度、動的強度:疲労強度)の要求が強い。このような要求に対して、従来材では耐久性が不足している。このため、成分添加量を調整したアルミニウム合金ブレージングシートが、いままでにもいくつか提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
特開2011−202285号公報 特開2012−82459号公報
また、通常、高強度化のためにとられる方策である芯材の添加元素量の単純増加では、製造上の問題から添加量に限界があることで高強度化が困難である。また、ある程度高強度化できたとしても素材の強度も同時に増加してしまうことで成形性が低下してしまう問題が生じている。
一方、芯材にMgを添加した場合には成形性を低下させずに高強度化が可能であるが、ろう付性が低下してしまう問題が生じている。
したがって、従来技術では、ろう付性を満足しつつ、高耐久性を得ること、さらには高成形性を得ることは困難である。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、成形性に優れているとともに、高い強度とろう付け性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートを提供することを目的とする。
そこで、ブレージングシート材の耐久性に及ぼす金属因子の影響を調査したところ、芯材の成分範囲を適正に調整したうえで、製品使用時の温度履歴を経た後の材料表面から所定の範囲までの硬度を高くするように調整し、かつ犠牲材中の粗大な第二相粒子を少なくすることで、耐久性に優れる材料が得られることが分かった。
さらに、素材の0.2%耐力を所定値以下、ろう付後および製品使用時の温度履歴を経た後の強度を所定値以上にすることで、十分な耐久性を有するうえに、成形性に優れた材料が得られることが分かり、本発明に至った。
すなわち、本発明のアルミニウム合金ブレージングシートのうち、第1の本発明は、板厚0.7mm以上で使用され、芯材の片面に犠牲材が配置され、他の片面にろう材をクラッドしてなるAl合金クラッド材であって、
前記芯材が、質量%でMn:1.3〜2.0%、Si:0.7〜1.2%、Fe:0.1〜0.5%、Cu:0.7〜1.3%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材中に分布する2μm以上の第二相粒子の密度が2000個/mm以下であり、さらに、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材の材料表面から深さ150μmまでの平均硬度が100HV以上であることを特徴とする。
第2の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1の本発明において、前記犠牲材が、質量%でZn:3.0〜6.0%、Mg:0.5〜1.8%、Si:0.05〜0.5%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなることを特徴とする。
第3の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1または第2の本発明において、ろう付け前の0.2%耐力が80MPa以下、ろう付熱処理後の引張強さが175MPa以上、ろう付熱処理後に90℃×7日間時効処理した後の引張強さが200MPa以上であることを特徴とする。
第4の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記犠牲材のクラッド率が6〜20%の範囲にあることを特徴とする。
第5の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記ろう材がAl−Si系合金またはAl−Si−Zn系合金からなり、前記ろう材が質量%で、Si:7.2〜10.0%を含有することを特徴とする。
第6の本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、前記第1〜第5の本発明のいずれかにおいて、前記ろう材がAl−Si−Zn系合金からなり、前記ろう材が質量%で、Zn:0.5〜3.0%を含有することを特徴とする。
以下に、本発明の限定理由について説明する。なお、組成中の成分含有量はいずれも質量%で示される。
(芯材)
Mn:1.3〜2.0%
SiやFe等とAl−Mn−Si系、あるいはAl−(Mn、Fe)−Si系の金属間化合物(第2相粒子)を生成することでろう付後の強度を向上させる効果を有している。その含有量が1.3%未満では、その効果が十分発揮されず、2.0%を超えると、Al−(Mn、Fe)−Si系の巨大な金属間化合物が生成してアルミニウム合金板の製造性が大幅に低下する。そのため、Mn含有量は1.3%〜2.0%に定める。なお、同様の理由により、下限は1.4%、上限は1.8%とするのが望ましい。
Si:0.7〜1.2%
Siは、Al−Mn−Si系、あるいはAl−(Mn、Fe)−Si系金属間化合物を析出させ、分散強化によるろう付後の強度を得るために含有させる。また、犠牲材から拡散したMgとMg−Si析出物を形成することで材料強度を高めることができるために含有させる。ただし、0.7%未満の含有では、分散強化の効果が小さく、所望のろう付後強度が得られない。一方、1.2%を超えて含有するとSiの固溶量が大きくなり、固相線温度(融点)が低下し、ろう付時に著しいろう侵食が生じやすくなる。なお、同様の理由で下限を0.8%、上限を1.1%とするのが望ましい。
Fe:0.10〜0.50%
Feの含有によって、Al−(Mn、Fe)−Si系化合物やAl−(Mn、Fe)系化合物による分散強化が得られ、ろう付後強度が向上する。
Feの含有量が0.10%未満であると鋳造時に割れが発生しやすくなり製造が困難になる。また、Feの含有量が0.50%を超えると、鋳造時に巨大な粗大化した晶出物(金属間化合物)が生成して材料製造が困難になる。なお、同様の理由で下限を0.2%、上限を0.40%とするのが望ましい。
Cu:0.7〜1.3%
Cuは、固溶強化によりろう付後強度を向上させるので含有させる。ただし、0.7%未満では、その作用が十分に得られない。一方、1.3%を超えて含有すると、素材の強度が高くなりすぎて成形性が低下する。Cu含有量を0.7〜1.3%とする。なお、同様の理由で下限を0.70%、上限を1.2%とするのが望ましい。
(犠牲材)
犠牲材は、本発明では特に限定するものではないが、以下の成分を有するものが好適である。
Zn:3.0〜6.0%
ろう付熱処理後の室温あるいはラジエーター使用時の温度域に晒されることによってMg−Zn析出物を形成して犠牲材の硬さの増加、および材料強度を高める効果がある。それによって疲労強度を向上させる効果がある。しかし、Zn含有量が3.0%未満ではその効果が充分に発揮されず、6.0%を超えると犠牲材の融点が低下してろう付時に犠牲材が溶融してしまう。なお、同様の理由により、下限を3.3%、上限を6.0%とするのが望ましい。
Mg:0.5〜1.8%
MgはZnとMg−Zn析出物、あるいはSiとMg−Si析出物を形成することで犠牲材の硬さ、および材料強度を高める効果がある。それによって疲労強度を向上させる効果がある。しかし、Mg含有量が0.5%未満ではその効果が十分発揮されず、1.8%を超えると圧延が困難になる。なお、同様の理由により、下限を0.7%、上限を1.8%とするのが望ましい。
Si:0.05〜0.5%
SiはMgと微細なMg−Si化合物を形成することで材料の強度を向上させる効果がある。しかし、Si量が0.05%未満ではその効果が十分発揮されず、0.5%を超えると犠牲材の融点が低下してろう付時に犠牲材が溶融してしまう。なお、同様の理由により、下限を0.10%、上限を0.4%とするのが望ましい。
不可避不純物
上記成分以外に、0.5%までのMn、0.5%までのFeなどの不可避不純物を含有することができる。例えば、Mnを上記含有量を超えて含有すると、粗大なAl−Mn−Si−Fe系やAl−Mn−Fe系化合物を生成しやすくなるため犠牲材中に存在する2μm以上の第二相粒子の数密度が増加して疲労強度が低下してしまう。
また、Feを上記含有量を超えて含有すると、同様に粗大なAl−Mn−Si−Fe系やAl−Mn−Fe系化合物、あるいはAl−Fe−Si系化合物を生成しやすくなるため犠牲材中に存在する2μm以上の第二相粒子の数密度が増加して疲労強度が低下してしまう。
(ろう材)
ろう材は、本発明では特に限定するものではなく、ろう付けに用いる一般的なろう材を用いることができるが、一例として、JIS4343合金、JIS4045合金、JIS4047合金、あるいは、これらの合金にZnを含有する合金、またはMg、Cu、Li等を含有する合金を用いることができる。
ろう材を構成するアルミニウム合金として、例示すると、Si:7.2〜10.0%を含むアルミニウム合金、更に、必要に応じて、Zn:0.5〜3.0%を含有する成分組成とすることができる。
ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材中に分布する2μm以上の第二相粒子の密度が2000個/mm以下
2μmを超えるような粗大な第二相粒子は疲労亀裂の起点となりやすく、また、疲労亀裂が進展するのを助長する働きをする。粗大な第二相粒子が少ない場合、疲労強度が向上する。したがって、上記時効処理後の犠牲材中に分布する2μm以上の第二相粒子の密度を2000個/mm以下とする。なお、同様の理由で、上記密度は1600個/mm以下が望ましい。
上記第2相粒子の分散は、例えば、化学成分の適正化と製造条件(均質化処理)による適正化によって達成することができる。
(犠牲材の鋳造速度)
鋳造時の冷却速度が遅いと鋳造時に晶出した粗大な第二相粒子が粗大となりやすい。そのため、材料成分や均質化処理条件との兼ね合いで鋳造速度が遅いと好ましくない場合がある。このため、鋳造速度は、0.3℃/s以上が望ましい。
(犠牲材の均質化処理)
均質化処理を高温で負荷すると鋳造時に晶出した粗大な第二相粒子がさらに成長して大きくなりやすい。そのため、均質化処理は未実施、または500℃以下の低温とすることが望ましい。
ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材の材料表面から深さ150μmまでの平均硬度が100HV(ビッカース硬さ)以上
ラジエーターのヘッダープレートには犠牲材側に引張応力が作用する曲げ疲労が生じて破壊する。この曲げ疲労のモードでは特に材料表面の強度(硬度)が高いと効果的に疲労強度を向上させることができる。150μmまでの平均硬度が100HV未満であると、強度が不足し、疲労強度が低下する。なお、同様に理由で、平均硬度を110HV以上とするのが望ましい。
上記平均硬度は、例えば、成分の適正化、均質化処理条件の調整等によって達成することができる。
ろう付け前の0.2%耐力が80MPa以下、ろう付熱処理後の引張強さが175MPa以上、ろう付熱処理後に90℃×7日間時効処理した後の引張強さが200MPa以上
(ろう付け前の0.2%耐力が80MPa以下)
ヘッダープレートは一般にプレス加工によって製品形状に成形される。したがって、素材(ろう付前)の耐力が高いとスプリングバック量が多くなり、所望の形状が得難くなり、成形性が低下する。したがって、ろう付前の耐力は所定値以下とするのが望ましい。ろう付け前の0.2%耐力が80MPaを超えると成形性が低下する。
(ろう付熱処理後の引張強さが175MPa以上、ろう付熱処理後に90℃×7日間時効処理した後の引張強さが200MPa以上)
一方、ろう付後ではヘッダープレートの強度が高くないと製品使用時の振動や内圧変動によって生じる応力によってプレートに破壊が生じて製品としての性能を維持しにくくなる。したがって、ろう付後の強度、および製品使用時の温度履歴を模擬した90℃×7日間時効処理した後の強度は所定値以上とするのが望ましい。上記引張り強さを下回ると製品の耐久強度が低下する。
上記強度は、例えば成分の適正化、均質化処理条件の調整等によって達成することができる。
犠牲材のクラッド率:6〜20%
本発明材は犠牲材の強度を芯材などよりも高めることで高強度、高疲労強度特性を得ている。したがって、これらの効果は板厚全体に対する犠牲材の割合が高いほど効果的に発揮される。換言すれば、犠牲材の割合が小さいとその効果が十分に発揮されない。そのため、犠牲材のクラッド率は6〜20%の範囲とするのが望ましい。クラッド率が6%未満であると、ろう付後および90℃×7日間時効後の強度低下、疲労強度の低下を招く。一方、クラッド率が20%を超えるとクラッド圧延が困難になる。
以上説明したように、本発明によれば、ろう付け後の強度に優れており、さらに耐食性に優れた特性が得られる効果がある。
本実施形態では、本発明で規定する組成を有する、芯材用アルミニウム合金、犠牲材用アルミニウム合金、およびろう材用アルミニウム合金をそれぞれ個別に鋳造し、得られた鋳塊に必要に応じて均質化処理を施し、熱間圧延により芯材用アルミニウム合金と、犠牲材用アルミニウム合金と、ろう材用アルミニウム合金を3層構造とするクラッド材のアルミニウム合金板とする。
本実施形態では、犠牲材、芯材ともに所定の化学成分とし、かつ芯材の均質化処理を高温とすることで、高強度、高犠牲材層の硬度、高疲労強度を得ている。具体的には微細な析出物を生成しやすいZn、Mgを犠牲材に配置し、Siを芯材に配置して、それぞれ析出物が生成しやすい比率としている。さらに芯材の均質化処理を高温で負荷することで芯材中のSiの固溶度を増すことでより微細な析出物が生成しやすいようにしている。例えば、芯材の均質化処理は550℃〜605℃で4〜16時間加熱する条件を選択することができる。均質化処理条件が550℃未満または4時間未満であると、芯材中のSiの固溶度が低くなって、Mg−Si系析出物が生成されにくくなる。それによって犠牲材近傍の芯材の硬度が低下することで、表面から150μmの平均硬度がが低下しやすくなる。一方、605℃超または16時間超であると、結晶粒界などの低融点層が存在する領域が局部的に溶融してしまう恐れがある。
なお、犠牲材の鋳造速度は0.3℃/s以上とすることが望ましい。それによって、鋳造時に粗大な第二相粒子が晶出するのを防止することができる。
また、犠牲材の均質化処理は未実施、または500℃以下の低温とすることが好ましい。それによって、犠牲材中の第二相粒子が粗大化するのを防止し、犠牲材中に存在する2μm以上の第二相粒子の数密度を低くすることができる。
この後、目的の板厚(0.7mm以上)になるように冷間圧延を施すことによりブレージングシートを得る。この際の犠牲材のクラッド率は、6〜20%が望ましく、ろう材のクラッド率は、通常は10%とする。
なお、本発明は上記工程に限定されるものではなく、例えば熱間圧延後の冷間圧延の途中に必要により中間焼鈍を施すこともできる。
上記ブレージングシートは、ろう付け前の0.2%耐力が80MPa以下、ろう付熱処理後の引張強さが175MPa以上、ろう付熱処理後に90℃×7日間時効処理した後の引張強さが200MPa以上を有することができる。
芯材の均質化処理温度の高低はろう付前の芯材中に分散する分散粒子のサイズや数密度に影響を及ぼす。均質化処理温度が低い場合、分散粒子が微細・高密度に分布するため素材の耐力が増加する。一方、均質化処理温度が高い場合、分散粒子が粗大かつ密度が粗く分布するため素材の耐力が低下する。
したがって、本発明では芯材の均質化処理温度を高温(例えば芯材の均質化処理温度を550℃以上とする)で実施することでろう付前の0.2%耐力を低減することができる。
また、芯材の均質化処理温度の高低はろう付後の芯材のSiの固溶度の影響を及ぼし、均質化処理温度が高い場合、芯材のSiの固溶度が増すため、ろう付熱処理後に90℃×7日間時効処理時にMg−Si析出物が形成されやすく、時効処理時に高強度となりやすい。したがって、本発明では芯材の均質化処理温度を高温(例えば芯材の均質化処理温度を550℃以上とする)で実施することでろう付熱処理後に90℃×7日間時効処理した後の引張強さが200MPa以上を有することができる。
<ろう付け処理とろう付け後の金属組織>
前記ブレージングシートを用いてろう付け処理を行う場合、580〜610℃前後の温度に加熱してろう材を溶融させ、所定の時間保持した後、冷却することでろう付けができる。一例として、ろう付け炉に搬入した後、窒素雰囲気中などの雰囲気において、所定の加熱速度でろう付け温度の600℃まで加熱後、3分程度ろう付け温度に保持し、その後、−100℃/分程度の冷却速度で300℃程度の温度域まで冷却した後、ファンなどを用いて空冷することで室温まで降温し、ろう付けを行うことができる。
本実施形態では、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材中に分布する2μm以上の第二相粒子の密度が2000個/mm以下であり、さらに、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材の材料表面から150μmまでの平均硬度が100HV以上となる特性が得られる。
以下に、本発明の実施例を比較例と比較して説明する。
表1〜表3に示す組成(残部がAlと不可避不純物)で芯材用合金、犠牲材用合金、ろう材合金を調整し、常法により鋳塊を製造する。犠牲材、および芯材には所定の条件で均質化処理を行う。
上記各合金を表4、5に示す組み合わせで、熱間圧延し、冷間圧延によって互いに重ね合わせて、芯材クラッド率55〜90%、犠牲材クラッド率5〜30%、ろう材クラッド率5〜15%で、板厚1.0mmのアルミニウム合金ブレージングシートを製造した。上記で作製した材料に350℃×5時間の最終焼鈍を施して供試材とした。
各評価項目の評価方法
表4、5に示す以下の各項目について評価を行い、評価結果を表4、5に示した。
○ろう付前の0.2%耐力の測定方法
作製した板材から圧延方向と平行にサンプルを切り出してJIS13号B形状の試験片を作製し、引張試験を実施し、引張強さを測定した。引張速度は3mm/minとした。
0.2%耐力が90MPa以上を×、80MPa超−90MPa未満を○、80MPa以下を○○と評価した。
○ろう付後の引張強さ、90℃×7日時効後の引張強さ
ろう付後の引張強さは作製した板材をろう付相当熱処理したのち、圧延方向と平行にサンプルを切り出してJIS13号B形状の試験片を作製し、引張試験を実施して求めた。引張速度は3mm/minとした。ろう付相当熱処理は600℃×3minとした(以下同じ)。
ろう付後の引張強さは、170MPa未満を×、170−175MPa未満を○、175MPa以上を○○と評価した。
90℃×7日時効後の引張強さは作製した板材をろう付相当熱処理したのち、さらに90℃に加熱した電気炉にて7日間の時効処理をしてから圧延方向と平行にサンプルを切り出してJIS13号B形状の試験片を作製し、引張試験を実施して求めた。引張速度は3mm/minとした。
時効後の引張強さは、190MPa未満を×、190−200MPa未満を○、200MPa以上を○○と評価した。
○90℃×7日間時効後の疲労強度
作製した板材をろう付相当熱処理したのち、さらに90℃に加熱した電気炉にて7日間の時効処理をしてから圧延方向と平行にサンプルを切り出して、通常の平面曲げ疲労試験を実施した。応力比はR=−1(両振り)とし、周波数は20Hzとした。
上記条件にて負荷応力を変量した試験を多数行い、応力−繰り返し数の線図(S−N線図)を採取する。S−N線図の繰り返し数10〜10回の領域について最小二乗法を用いて繰り返し数10回の応力を算出し、この応力を疲労強度と定義して評価する。
疲労強度は90MPa未満が×、90〜100MPa未満を○、100MPa以上を○○と評価した。
○90℃×7日間時効後の犠牲材の硬度
作製した板材をろう付相当熱処理したのち、さらに90℃に加熱した電気炉にて7日間の時効処理をしてから硬さ測定用の小片を切り出し、樹脂埋めしたのち、圧延方向平行断面をエメリー研磨、バフ研磨によって鏡面仕上げした。このサンプルをマイクロビッカース硬さ試験機を用いて犠牲材表面からの硬さ分布を測定し、表面から150μm深さまでの平均硬度を求めた。硬さの測定条件は室温、荷重0.01kgf、荷重負荷時間15sの条件で実施した。
時効後の犠牲材の硬度は、100HV未満を×、100−110HV未満を○、110HV以上を○○と評価した。
○90℃×7日間時効後の犠牲材における2μm以上の第二相粒子の密度
作製した板材をろう付相当熱処理したのち、さらに90℃に加熱した電気炉にて7日間の時効処理をしてから小片を切り出し、樹脂埋めしたのち、圧延方向平行断面をエメリー研磨、バフ研磨、化学研磨によって鏡面仕上げした。さらに0.5%フッ酸水溶液によってエッチングし、光学顕微鏡によって写真撮影し、画像解析によって第二相粒子のサイズおよび密度を求めた。観察視野は7000μm程度とし、5視野について調査を実施した。2μm以上の第二相粒子の密度を表に示した。なお、観察視野が小さすぎる場合には、局所的に第二相粒子が少ない箇所があると材料全体の状態を把握できないため、上記のような広い範囲について解析を実施する必要がある。なお、90℃×7日間時効後のサンプルについて上記測定を実施するとしているが、ろう付後と時効後では本第二相粒子(2μm以上)の分布状態は変化しないため、ろう付後のサンプルについて同様の調査を実施しても差し支えない。
自己耐食性
作製した板材をろう付相当熱処理したのち、さらに90℃に加熱した電気炉にて7日間の時効処理をしてから耐食性評価用の小片を切り出し、犠牲材面および端部をマスキングしたのち、SWAAT試験(ASTMのG85−Aに準拠)に30日間供した。
試験後の試験体は、沸騰させたリン酸クロム酸混合溶液中に10min浸漬することで腐食生成物を除去して腐食状況(腐食深さ)を評価した。
最大腐食深さが100μmを超えるものを×、60超〜100μmのものを○、60μm以下のものを○○として評価した。
Figure 2016089244
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上記表4、5に示すように、犠牲材中の化合物の数が少ないと亀裂の起点が少なくなって疲労強度が向上する。また、犠牲材の硬度が高いと亀裂が発生しにくくなって疲労強度が向上する。
また、ろう付け前の材料の素材の0.2%耐力が低いと成形性が良い。
ろう付け後の引張強さ、時効後の引張強さが高いと製品仕様時の静的な負荷応力に対して高耐久となる。また、強度が高くかつ硬度が高いと疲労強度が高くなることが分かった。

Claims (6)

  1. 板厚0.7mm以上で使用され、芯材の片面に犠牲材が配置され、他の片面にろう材をクラッドしてなるAl合金クラッド材であって、
    前記芯材が、質量%でMn:1.3〜2.0%、Si:0.7〜1.2%、Fe:0.1〜0.5%、Cu:0.7〜1.3%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材中に分布する2μm以上の第二相粒子の密度が2000個/mm以下であり、さらに、ろう付熱処理後に90℃で7日間時効処理した後の前記犠牲材の材料表面から深さ150μmまでの平均硬度が100HV以上であることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。
  2. 前記犠牲材が、質量%でZn:3.0〜6.0%、Mg:0.5〜1.8%、Si:0.05〜0.5%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  3. ろう付け前の0.2%耐力が80MPa以下、ろう付熱処理後の引張強さが175MPa以上、ろう付熱処理後に90℃×7日間時効処理した後の引張強さが200MPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  4. 前記犠牲材のクラッド率が6〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  5. 前記ろう材がAl−Si系合金またはAl−Si−Zn系合金からなり、前記ろう材が質量%で、Si:7.2〜10.0%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  6. 前記ろう材がAl−Si−Zn系合金からなり、前記ろう材が質量%で、Zn:0.5〜3.0%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
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