JP2016088996A - 塩化ビニリデン系樹脂フィルム - Google Patents

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智英 持丸
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智英 持丸
悠三 松浦
Yuzo Matsuura
悠三 松浦
和幸 菅野
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和幸 菅野
平松 卓也
Takuya Hiramatsu
卓也 平松
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Abstract

【課題】印刷性に優れる塩化ビニリデン系樹脂フィルムを提供する。【解決手段】本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、ソルビタン脂肪酸エステルを含み、当該ソルビタン脂肪酸エステルは炭素数19以上の脂肪酸とのエステル結合を含んでいる。【選択図】なし

Description

本発明は塩化ビニリデン系樹脂フィルムに関する。
ソーセージなどの食品を包装するフィルムにおいて、酸素ガス遮断性および水蒸気遮断性を改良するために、酸素ガス遮断性および水蒸気遮断性の高い塩化ビニリデン系樹脂をフィルム上に被覆する方法が知られている。また、塩化ビニリデン系樹脂自体からフィルムを作製する方法がある。
食品を包装するフィルムにおいては、フィルムの表面に印刷を施すことができるものが求められている。しかし、塩化ビニリデン系樹脂をフィルムに被覆したもの、または塩化ビニリデン系樹脂から作製されたフィルムの表面に印刷インクを印刷して使用する場合、印刷インクの被覆面への接着性が悪く印刷インクが剥がれるなどの問題がある。
特許文献1では、塩化ビニリデン系樹脂をフィルム上に被覆する方法に、以下の改良が施されている。すなわち、フィルムに対する印刷インクの接着性を改良するために、フィルム基材へ塩化ビニリデン系樹脂の溶液あるいはエマルジョンを主体とする下塗り液を塗布し、乾燥させてフィルム基材を被覆したのち、その被覆面へアクリル系重合体樹脂の溶液あるいはエマルジョンを主体とする上塗り液を順次塗布して乾燥することで上記被覆面を被覆することを特徴とする被覆フィルムが記載されている。
特開昭56−89552号公報(1981年7月20日公開)
しかしながら、特許文献1では、塩化ビニリデン系樹脂をフィルム上に被覆する方法を改良するためにフィルムに液を塗布する工程が必要であり、メイヤーバー等の専用生産設備を使用しなければならず、生産性が低いという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、塩化ビニリデンに化合物を添加した塩化ビニリデン系樹脂から作製される、生産性および印刷性に優れる塩化ビニリデン系樹脂フィルムを提供する。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、以下の本発明に達した。
本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、ソルビタン脂肪酸エステルを含み、上記ソルビタン脂肪酸エステルは炭素数19以上の脂肪酸とのエステル結合を含んでいることを特徴とする。
また、本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムにおいて、上記ソルビタン脂肪酸エステルはベヘン酸とのエステル結合を含んでいることが好ましい。
また、本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムにおいて、上記ソルビタン脂肪酸エステルはソルビタンモノベへネートであることが好ましい。
また、本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムにおいて、上記塩化ビニリデン系樹脂フィルムを形成している塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、上記ソルビタン脂肪酸エステルを1.0重量部以下含むことが好ましい。
また、本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、印刷が施されていてもよい。
本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、生産性および印刷性に優れるという効果を奏する。
以下、本発明に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムの一実施形態について説明する。
<塩化ビニリデン系樹脂フィルム>
本実施形態に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、ソルビタン脂肪酸エステルを含み、当該ソルビタン脂肪酸エステルは炭素数19以上の脂肪酸とのエステル結合を含んでいるものである。これにより、生産性および印刷性に優れる塩化ビニリデン系樹脂フィルムとなる。そのため、塩化ビニリデン系樹脂フィルムの一形態では、印刷が施されていてもよい。
〔ソルビタン脂肪酸エステル〕
塩化ビニリデン系樹脂フィルムに含まれるソルビタン脂肪酸エステルは炭素数19以上の脂肪酸とのエステル結合を含んでいるものであればよい。好ましくは、炭素数22以上の脂肪酸である。また、脂肪酸の炭素数の上限に特に制限はなく、例えば25以下である。
炭素数19以上の脂肪酸としては、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよく、例えば、ベヘン酸、エルカ酸およびアラキジン酸等が挙げられる。なかでも、ベヘン酸またはエルカ酸であることが好ましく、ベヘン酸であることがより好ましい。
ソルビタンに結合する脂肪酸の数に制限はなく、1つ(モノエステル)、2つ(ジエステル)、3つ(トリエステル)または4つ(テトラエステル)であり得る。しかしながら、樹脂との相溶性の観点から、ジエステルまたはモノエステルであることが好ましく、モノエステルであることがより好ましい。すなわち、ソルビタン脂肪酸エステルがベヘン酸とのエステル結合を含んでいるとき、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノベへネート、ソルビタンジベへネート、ソルビタントリベへネートまたはソルビタンテトラベへネートであり得、なかでも、ソルビタンモノベへネートまたはソルビタンジベへネートであることが好ましく、ソルビタンモノベへネートであることが特に好ましい。とりわけ、極性の高いソルビタンモノベへネートを含む塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、印刷性により優れる。
ソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、塩化ビニリデン系樹脂フィルムを形成している塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、1.0重量部以下であることが好ましく、0.8重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましい。また、ソルビタン脂肪酸エステルの含有量の下限値としては、塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、0.2重量部以上であることがより好ましく、0.4重量部以上であることがさらに好ましい。これは、高い剥離性を有する塩化ビニリデン系樹脂フィルムを製造するためである。
〔塩化ビニリデン系樹脂〕
塩化ビニリデン系樹脂フィルムを形成している塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン共重合体を主成分として含有する。塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン60〜98重量%および塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の少なくとも一種2〜40重量%から形成される共重合体であり、塩化ビニリデンモノマー(単量体)と塩化ビニリデンと共重合可能な単量体とを、懸濁重合または乳化重合して製造されるものである。塩化ビニリデンと共重合可能な単量体(以下、共単量体)としては、例えば塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルおよびアクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルおよびタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等のシアン化ビニル;スチレン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル等の炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸のアルキルエステル(部分エステルを含み、アルキル基の炭素数1〜18);その他、ジエン系単量体、官能基含有単量体ならびに多官能性単量体等を挙げられる。これらの共単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。共単量体の中でも、塩化ビニル、アクリル酸メチルまたはアクリル酸ブチルが好ましく、塩化ビニルがより好ましい。したがって、より好ましい塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体である。塩化ビニリデン共重合体における塩化ビニリデンの含有比率は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。塩化ビニリデンの含有比率の上限は、特にないが、押出加工性等の観点から、通常98重量%、多くの場合95重量%である。
塩化ビニリデン系樹脂の還元粘度は、0.035〜0.070の範囲であることが好ましく、0.040〜0.065の範囲であることがより好ましく、0.045〜0.063の範囲であることがさらに好ましい。還元粘度が小さすぎると、フィルムの成形品への押出加工性が不足し、大きすぎると、着色傾向を有したり、溶融成形が困難となったりすることがある。
[添加剤]
塩化ビニリデン系樹脂は、さらに種々の添加剤を含有することができる。添加剤としては、有機物質(重合体でもよい)または無機物質のいずれも使用することができる。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤および滑剤等が挙げられる。
(可塑剤)
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、アセチルクエン酸トリブチル、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、アセチル化モノグリセライド、アセチル化ジグリセライドおよびアセチル化トリグリセライド等が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
(滑剤)
滑剤としては、例えば、二酸化珪素、ゼオライトおよび炭酸カルシウム等の無機滑剤、ならびに有機滑剤等が挙げられ、これらを併用して使用することができる。
有機滑剤としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミドおよびチオエーテル系化合物等が挙げられる。
飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、ブチルアミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドおよびベヘニン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミドおよびエルカ酸アミド等が挙げられる。置換アミドとしては、例えば、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミドおよびN−ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。チオエーテル系化合物としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)およびペンタエリスリトールテトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
添加剤の含有量としては、添加剤が可塑剤等の液体添加剤である場合には、塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜8.0重量部の範囲であることがより好ましく、1.0〜6.0重量部の範囲であることがさらに好ましい。特に液体添加剤の配合割合の上限が上記範囲内であれば、ブリードアウトによるベタツキを抑えることができる。また、添加剤が界面活性剤および滑剤等の紛体添加剤である場合には、塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜8.0重量部の範囲であることがより好ましく、1.0〜6.0重量部の範囲であることがさらに好ましい。
〔塩化ビニリデン系樹脂フィルムの製造方法〕
塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、溶融押出法、溶液流延法およびカレンダー法等の成形方法によって製造できるが、溶融押出法が好ましい。溶融押出法としては、Tダイ法およびインフレーション法等があり、インフレーション法が好ましい。インフレーション法は設備そのものが簡易であり、小さな金型から幅の広いフィルムを製造できる。以下、インフレーションを用いた場合の製造方法について説明する。以下に、一実施形態に係る塩化ビニリデン系樹脂フィルムの製造方法の具体例について説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
[工程1]
(工程1−1)
塩化ビニリデンおよび塩化ビニリデンと共重合可能な単量体を重合して得られた塩化ビニリデン系樹脂に対して、上述のソルビタン脂肪酸エステルを混合機等により混合する。その後、金網等で篩別して凝縮物を除去する。このようにして押出成形用混合物を調製する。
塩化ビニリデン系樹脂の重合法としては、不均一系重合法である懸濁重合法および乳化重合法が好ましく、懸濁重合法がより好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルを混合する割合としては、塩化ビニリデン系樹脂フィルムを形成している塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、1.0重量部以下であることが好ましく、0.8重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましい。また、ソルビタン脂肪酸エステルを混合する割合の下限値としては、塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、0.2重量部以上であることがより好ましく、0.4重量部以上であることがさらに好ましい。これは、高い剥離性を有する塩化ビニリデン系樹脂フィルムを製造するためである。
混合する装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機およびレディゲミキサー等が挙げられ、ヘンシェルミキサーまたはリボン型混合器であることが好ましい。
(工程1−2)
調製した混合物を溶融押出し、インフレーション法により、フィルムを得る。
[工程2]
得られたフィルムを成形後にエージングを行う。
エージングの温度としては、10℃〜50℃の範囲であることが好ましく、20℃〜40℃の範囲であることがより好ましい。
また、エージングの際の湿度としては、70%RH以下であることが好ましく、60%RH以下であることがより好ましく、50%RH以下であることがさらに好ましい。
さらに、エージングの期間としては、3日以上であることが好ましく、5日以上であることがより好ましく、7日以上であることがさらに好ましい。
〔印刷が施された塩化ビニリデン系樹脂フィルムの製造方法〕
エージング後のフィルムに、インクを塗布し、温風で乾燥した後、室温で冷却・乾燥させる。
インクの組成としては、着色剤、溶剤および硬化剤を含む。
着色剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、公知の染料および顔料等が挙げられる。着色剤の割合としては、インクの全重量に対して、25重量%〜75重量%の範囲であることが好ましく、35重量%〜65重量%の範囲であることがより好ましく、45重量%〜55重量%の範囲であることがさらに好ましい。
溶剤としては、例えば、クロロホルムおよび酢酸エチル等の非水溶性溶剤ならびにメチルエチルケトンおよびアセトン等の水溶性溶剤などの従来公知の溶剤が挙げられる。メチルエチルケトンおよびアセトン等の水溶性溶剤であることが好ましい。
硬化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤および潜在性硬化剤等の従来公知の硬化剤を用いることができる。硬化剤の割合としては、インクの全重量に対して、1重量%〜10重量%の範囲であることが好ましく、3重量%〜7重量%の範囲であることがより好ましく、4重量%〜6重量%の範囲であることがさらに好ましい。
インクを塗布する方法としては、特に限定されないが、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、およびインクジェット法等が挙げられる。
温風の温度としては、50℃〜80℃の範囲であることが好ましく、60℃〜70℃の範囲であることがより好ましい。
室温とは、通常の実験室環境における温度をいい、例えば、20℃〜30℃である。
室温で乾燥させる時間としては、0分〜60分の範囲であることが好ましく、10分〜50分の範囲であることがより好ましく、20分〜40分の範囲であることがさらに好ましい。
乾燥後のインクの厚さとしては、0.1μm〜10μmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜5μmの範囲であることがより好ましく、1μm〜2μmの範囲であることがさらに好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
<塩化ビニリデン系樹脂の製造例>
〔工程1〕
塩化ビニリデンおよび塩化ビニル共重合体を重量比82:18で懸濁重合法によって重合させ、還元粘度0.050の塩化ビニリデン系樹脂を得た。このビニリデン系樹脂100重量部に対して表1の添加剤をヘンシェルミキサーにより混合した。その後、20メッシュ(目開き850μm)の金網で篩別して凝集物を除去した。これにより、押出成形用混合物を調製した。
〔工程2〕
工程1で調製した混合物を口径40mmの溶融押出機を用いて、樹脂温度185℃で管状に溶融押出した。溶融押出した管状体を7℃の浴水で急冷して、非晶状態にした。非晶状態の管状体を26℃の浴水に通して温度を上昇させた。その後、スピードの異なる二対のピンチロール間を通す間に管状体内に空気を吹き込むインフレーション法により二軸延伸を行い、巻き取り側のピンチロールにより折り畳んでフィルムを得た。表1は特定の量の有機滑材または界面活性剤を塩化ビニリデン系樹脂に添加して得られたフィルム示している。また、表2は、表1に示した実施例1〜5および比較例1〜5の幅、厚さおよび延伸倍率を示している。表2より、実施例1〜5および比較例1〜5の幅、厚さおよび延伸倍率は、ほぼ等しくなっている。
Figure 2016088996
Figure 2016088996
添加剤については、有機滑剤として、ステアリン酸アミド(SA)またはジステアリルチオジプロピオネート(DSTP)を用いた。また、界面活性剤としてソルビタンモノベへネート(SMB)またはグリセリンモノステアレート(GMS)を用いた。
表2のMDおよびTDは、それぞれ長さ方向および幅方向の延伸倍率を示している。
<塩化ビニリデン系樹脂の試験例>
〔工程1〕
上記製造例によって成形したフィルムに温度40℃および湿度50%RHの環境において1週間エージングを行った。そして、インクをRK PRINT COAT INSTRUMENTS LTD社製のバーNo.3、ウェット膜厚6μmのハンドコーターで塗布し、70℃の温風で乾燥した。その後、放置冷却し、室温で30分間乾燥させた。このとき、乾燥後のインクの厚さが1μmとなるように調整した。
なお、インクの組成は、着色剤として東洋インキ株式会社製のX1253 PVDC 114 紅 100gを用い、溶剤として、和光純薬工業株式会社製のメチルエチルケトン50gおよびトルエン50gの混合溶剤を用い、硬化剤として、東洋インキ株式会社製のVM ハードナー XB 10gを用いた。
〔工程2〕
次に、表1に示すフィルムの印刷面(ロール上出し表層側)に、長さ約150mmの粘着テープを手の側面で5回押し付けて粘着後、テープを一気に剥がした。なお、粘着テープは寺岡製作所社製のパックテープ NO.453 透明(幅48mm)を使用した。また、テープを剥がしたときのインクの剥がれ難さの評点は、以下の表3を基準にした。4名がテープを剥がしたときに得た評点の平均値をインクの剥がれ難さとした。この結果を表4に示す。なお、数字が高いほど、インクが剥がれ難いことを意味している。
Figure 2016088996
Figure 2016088996
実施例1および2より、SMBの添加量を増加させると、インクの剥がれ難さが高くなることがわかる。
SAのみを添加した比較例2に対し、比較例2と同量のSAに加えてSMBを加えた実施例3の方がインクの剥がれ難さが高くなることがわかる。
GMSのみを添加した比較例3に対し、比較例3と同量のGMSに加えてSMBを加えた実施例4の方がインクの剥がれ難さが高くなることがわかる。
比較例3および4より、GMSの添加量を増加させると、インクの剥がれ難さが低くなることがわかる。
DSTPのみを添加した比較例5に対し、比較例5と同量のDSTPに加えてSMBを加えた実施例5の方がインクの剥がれ難さが高くなることがわかる。
以上のように、表4より、SMBを加えない場合より、SMBを加えた場合の方が、インクの剥がれ難さが高くなることがわかる。また、塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、SMBの添加量が多いほど、インクの剥がれ難さが高くなることがわかる。
本発明は、ソーセージなどの食品を包装するフィルムに利用することができる。

Claims (5)

  1. ソルビタン脂肪酸エステルを含み、
    上記ソルビタン脂肪酸エステルは炭素数19以上の脂肪酸とのエステル結合を含んでいることを特徴とする塩化ビニリデン系樹脂フィルム。
  2. 上記ソルビタン脂肪酸エステルはベヘン酸とのエステル結合を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニリデン系樹脂フィルム。
  3. 上記ソルビタン脂肪酸エステルはソルビタンモノベへネートであることを特徴とする請求項1または2に記載の塩化ビニリデン系樹脂フィルム。
  4. 上記塩化ビニリデン系樹脂フィルムを形成している塩化ビニリデン系樹脂100重量部に対して、上記ソルビタン脂肪酸エステルを1.0重量部以下含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩化ビニリデン系樹脂フィルム。
  5. 印刷が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩化ビニリデン系樹脂フィルム。
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