JP2016088915A - キラルピリジニウムリン酸アミド及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たなキラル化合物及びその不斉合成等への利用を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるピリジニウムリン酸アミド化合物。

(Aは不斉源;R10はH、水酸基、置換/未置換の炭化水素基、置換/未置換のアミノ基、置換/未置換のアルコキシ基又は置換/未置換のアリールオキシ基;R11はH、水酸基、炭化水素基、置換/未置換のアミノ基、置換/未置換のアルコキシ基又は置換/未置換のアリールオキシ基)
【効果】不斉ディールス・アルダー反応を高収率でしかも高い鏡像体過剰率により実現させることができる。
【選択図】なし

Description

本明細書は、キラルピリジニウムリン酸アミド及びその利用に関する。特に、二座配位型キラルブレンステッド酸触媒への利用に関する。
従来、金属イオンに対してアニオン性の配位子を配位して反応性を制御して、不斉合成を制御するのが常法であった。これに対して、近年、ブレンステッド酸触媒に不斉源を導入して不斉合成を実現するキラルブレンステッド酸触媒が開発されてきている(特許文献1、2、非特許文献1)。また、不斉合成触媒としては、チオウレア触媒も知られている(非特許文献2)。
特開2014−141285号公報 特開2012−240959号公報
Chem. Soc. Rev.., 2011, 40, 4359-4549 Chem. Rev., 107, 5713 (2007)
しかしながら、これらの触媒によっても、未だ実現できず、課題となっている反応も種々存在する。例えば、その1つとしてマレイミドなどの対称性ジエノフィルについての触媒的不斉ディールス・アルダー反応などの付加反応がある。本明細書は、新たなキラル化合物及びその不斉合成等への利用を提供する。
本発明者らは、ブレンステッド酸サイトを二座有しうる新たなキラルピリジニウムリン酸アミド及びこの種の化合物の不斉合成の触媒として利用できるという知見を得た。本開示によれば、以下の手段が提供される。
(1) 式(1)

(式中、Aは不斉源を表し、R10は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、R11は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
で表されるピリジニウムリン酸アミド化合物。
(2) 光学活性である、(1)に記載のピリジニウムリン酸アミド化合物。
(3) 軸不斉に基づく光学活性体である、(2)に記載のピリジニウムリン酸アミド化合物。
(4) 前記Aは、以下から選択される、(1)〜(3)のいずれかに記載のを有するピリジニウムリン酸アミド化合物。

(上記式中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換シリル基を示し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水酸基を示し、R3は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水酸基を示し、R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、R5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基を示し、R6は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のピリジニウムリン酸アミド化合物である不斉合成反応用触媒。
(6)(1)〜(4)のいずれかに記載のピリジニウムリン酸アミド化合物と、
以下の式(2)

(式中、Aは不斉源を表し、R10は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、R11は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
で表されるピリジンリン酸アミド化合物とを含む不斉合成反応用触媒組成物。
(7)(1)〜(4)ののいずれかに記載のピリジニウムリン酸アミド化合物の存在下で行う不斉合成反応。
(8) さらに、以下の式(2)

(式中、Aは不斉源を表し、R10は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、R11は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)で表わされるピリジンリン酸アミド化合物の存在下で行う、(7)に記載の不斉合成反応。
本開示の概要を示す図である。 本開示の概要を示す図である。 本開示の概要を示す図である。 実施例1で合成したピリジルリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例1で合成したピリジルリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例1で合成したピリジルリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例1で合成したピリジルリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例2で合成したピリジニウムリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例2で合成したピリジニウムリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例2で合成したピリジニウムリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例2で合成したピリジニウムリン酸アミドの構造式及び各種データを示す図である。 実施例5で合成した化合物の構造式及び各種データを示す図である。 実施例5で合成した化合物の構造式及び各種データを示す図である。
本明細書の開示は、ピリジニウムリン酸アミドに並びにこれらの利用に関する。
本発明者らは、金属又はプロトンの配位により生じるカチオン性有機化合物の電子吸引性を利用する触媒に着目した。そこで、本発明者らは、ブレンステッド酸等の配位により結果として電子吸引性基として機能しうるヘテロ環化合物に対して、電子吸引性基を有するアミノ基を導入し、ヘテロ環化合物にプロトンを配位させ、さらに不斉源を導入することによる不斉触媒作用を期待して、検討を行った。その結果生じる2つの酸性プロトンの二座配位型協働作用に基づく不斉合成触媒作用を見出した。図1〜図3には、本開示の一例であるピリジルリン酸アミド及びピリジニウムリン酸アミド並びにその触媒作用の概要を示す。
図1には、ヘテロ環化合物であるピリジンに対して解離性アニオンを有する金属ルイス酸やブレンステッド酸を配位した状態を示す。図1に示すように、解離性の対アニオンを有する金属ルイス酸又はブレンステッド酸がヘテロ環化合物に配位すると、中和反応によって金属のルイス酸性は弱まる一方、そのルイス酸性はカチオン性としてピリジン側に伝えられる。すなわち、ピリジン側は、カチオン性ヘテロ環錯体として作用可能となる。
図2には、ブレンステッド酸をヘテロ環化合物であるピリジンに配位させてピリジニウムイオンとするとともに、ピリジンの2位に電子吸引性基を有するアミノ基を導入した化合物を示す。図2に示すように、この化合物のピリジン側は、は、カチオン性ヘテロ環錯体となり電子吸引性基として作用するようになる。結果として、この化合物は、導入されたアミノ基の電子吸引性基とカチオン性ヘテロ環錯体としての電子吸引性基との2つの電子吸引性基を備えることとなる。これら2つの電子吸引性に基づいて、イミド様酸性プロトンと電子吸引性基の要素でもあるピリジニウムプロトンがブレンステッド酸サイトを二座構成し、二座配位型協働作用を発揮することができる。
図3には、図2に示す化合物に対して不斉源を導入した状態を示す。図3に示すように、こうした化合物に不斉源を導入することで、不斉源と、2つのブレンステッド酸サイトのプロトンの二座配位型協働作用に基づく二座配位型ブレンステッド酸触媒を構築できる。
ピリジンリン酸アミドのブレンステッド酸塩(ピリジニウムリン酸アミド)は、二座配位型キラルブレンステッド酸触媒として用いることができ、不斉合成反応において高い反応性を呈し、同時に、高い光学純度の反応生成物を得ることができる。
本開示のピリジンリン酸アミドのブレンステッド酸塩の存在下での不斉ディールス・アルダー反応等の不斉合成反応によって得られる目的物は、医薬、農薬の中間体や原料等として有用な化合物である。
以下、本開示を詳細に説明する。
なお、本明細書において、各種官能基の炭素数は、当該官能基が置換基を有する場合、その置換基を含めた合計の炭素数を表す。
(ピリジニウムリン酸アミド化合物)
本開示のピリジニウムリン酸アミド化合物(以下、単に本イオン性化合物ともいう。)は、以下の一般式(1)で表される。式中Aは、本化合物にキラリティを提供するユニット(不斉源)である。したがって、式(1)で表される化合物は、キラルな化合物であり、R体又はS体のいずれかを示しうる。なお、本イオン性化合物は、後述するように、式(2)で表される、イオン化していない(塩を構成していない)状態のキラルピリジルリン酸アミド(以下、単に、本化合物ともいう。)をイオン化して得ることができる。以下の説明においては、まず、本化合物について説明し、さらに本イオン性化合物について説明する。
本化合物において、Aは、意図する不斉合成反応に応じて適宜選択される。すなわち、本化合物においては、不斉源としてのAは、本化合物にキラリティを付与できれば足りる。不斉源の基本構造は、当業者において周知であり、当業者であれば、必要に応じて周知の不斉源から適宜選択して本化合物を合成等により取得し、意図する不斉合成反応への触媒能について評価し、適切な不斉源を選択することができる。Aは、いかなる形態で本化合物にキラリティを付与するものであってもよく、キラリティの態様は、中心性キラリティ、軸性キラリティ、面性キラリティ、ヘリシティ等が挙げられる。好ましくは軸性キラリティである。さらに、軸性キラリティを有するAユニットとしては、アトロプ異性体ユニットが好ましい。アトロプ異性体としては、例えば、ビフェニル化合物、ビナフチル化合物及びジヒドロアントラセノン化合物等が挙げられる。
アトロプ異性体ユニットとしては、典型的には、以下のユニットI〜VIIIが挙げられる。また、アトロプ異性体ではないが、他のキラリティを有する化合物(中心性キラリティを有する化合物)ユニットとしては、以下のユニットIX、Xが挙げられる。なお、以下の式において[]内は具体例を示す。本明細書において、R体又はS体を特定しないで記載しない場合、いずれかのエナンチオマーを示すことができる。
ユニットI〜X上における置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立して以下の置換基を表す。
[R1
1は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換シリル基を示す。
で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
で表される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基が挙げられる。
(アルキル基)
で表されるアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよい。アルキル基としては、例えば炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分岐もしくは環状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基等の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。
(アルキル基の置換基)
これらアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、水酸基、オキソ基、ニトロ基、メルカプト基、三置換シリル基及びハロゲン原子等が挙げられる。特にニトロ基やトリフルオロメチル基等の電気吸引性の基であることが好ましい。これらの置換基の置換位置は、本化合物が不斉求核反応の触媒活性を有する限りいずれであってもよいが、後述するように、例えばR1の炭化水素基がフェニル基でその置換基が電子吸引性の基である場合には、フェニル基の2位及び/又は4位であることが好ましい。
アルキル基に置換する炭化水素基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも或いは環状でもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐もしくは環状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基等の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えば炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられ、具体的には、エテニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアルキニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えば炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアリール基としては、例えば炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアラルキル基としては、前記アルキル基の少なくとも1個の水素原子が上記アリール基で置換された基が挙げられ、例えば炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、具体的にはベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基等が挙げられる。
アルキル基に置換する脂肪族複素環基としては、例えば炭素数2〜14で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5又は6員の、単環の脂肪族複素環基、或いは多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、ピロリジル−2−オン基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。
アルキル基に置換する芳香族複素環基としては、例えば炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5又は6員の、単環式ヘテロアリール基、或いは多環式又は縮合環式のヘテロアリール基が挙げられ、具体的にはフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアルコキシ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよく、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、5−メチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、2−エトキシエトキシ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられ、具体的にはメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、イソプロピリデンジオキシ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアリールオキシ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフトキシ基、アントリルオキシ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアラルキルオキシ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が挙げられ、具体的にはベンジルオキシ基、4−メトキシフェニルメトキシ基、1−フェニルエトキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルプロポキシ基、2−フェニルプロポキシ基、3−フェニルプロポキシ基、1−フェニルブトキシ基、3−フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1−フェニルペンチルオキシ基、2−フェニルペンチルオキシ基、3−フェニルペンチルオキシ基、4−フェニルペンチルオキシ基、5−フェニルペンチルオキシ基、1−フェニルヘキシルオキシ基、2−フェニルヘキシルオキシ基、3−フェニルヘキシルオキシ基、4−フェニルヘキシルオキシ基、5−フェニルヘキシルオキシ基、6−フェニルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するヘテロアリールオキシ基としては、例えば、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、炭素数2〜14のヘテロアリールオキシ基が挙げられ、具体的には、2−ピリジルオキシ基、2−ピラジルオキシ基、2−ピリミジルオキシ基、2−キノリルオキシ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよく、例えば炭素数1〜6のアルキルチオ基が挙げられ、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアリールチオ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールチオ基が挙げられ、具体的にはフェニルチオ基、トリルチオ基、キシリルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するアラルキルチオ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルチオ基が挙げられ、具体的にはベンジルチオ基、2−フェネチルチオ基等が挙げられる。
アルキル基に置換するヘテロアリールチオ基としては、例えば、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、炭素数2〜14のヘテロアリールチオ基が挙げられ、具体的には、4−ピリジルチオ基、2−ベンズイミダゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基等が挙げられる。
アルキル基に置換する置換アミノ基としては、アミノ基の1個又は2個の水素原子がアルキル基、アリール基又はアラルキル基等の置換基で置換されたアミノ基が挙げられる。アルキル基で置換されたアミノ基、即ちアルキル基置換アミノ基の具体例としては、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基が挙げられる。 アリール基で置換されたアミノ基、即ちアリール基置換アミノ基の具体例としては、N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−ナフチルアミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基が挙げられる。 アラルキル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキル基置換アミノ基の具体例としては、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基が挙げられる。
アルキル基に置換する三置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
アルキル基に置換するハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、ハロゲン化されたアルキル基としては、例えばモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
これらの置換基のうち、炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロアリールチオ基又は置換アミノ基は、上記置換基の群から選ばれる基によってさらに置換基を有していてもよい。
(アルケニル基)
で表されるアルケニル基としては、炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6の直鎖あるいは分岐してもよい鎖状又は環状のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
また、これらのアルケニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基、アリール基、複素環基(脂肪族複素環基、芳香族複素環基)、ハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基の置換基として前記したようなものが挙げられる。
(アルキニル基)
で表されるアルキニル基としては、炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6の、直鎖又は分岐していてもよいアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基等が挙げられる。
また、これらアルキニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基、アリール基、複素環基(脂肪族複素環基、芳香族複素環基)、三置換シリル基等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基の置換基として前記したようなものが挙げられる。
(アリール基)
で表されるアリール基としては、具体的には、アルキル基の置換基としてのアリール基として前記したようなアリール基が挙げられる。
また、これらアリール基は置換基を有してもよく、該置換基としてはアルキル基、アリール基、複素環基(脂肪族複素環基、芳香族複素環基)、ハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基の置換基として前記したようなものが挙げられる。
(置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基)
で表される置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、アルコキシカルボニル基及び置換アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよく、例えば炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が挙げられ、その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、ラウリルオキシカルボニル基、ステアリールオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
また、これらのアルコキシカルボニル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、複素環基(脂肪族複素環基、芳香族複素環基)、アルコキシ基等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基の置換基として前記したようなものが挙げられる。
(置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基)
で表される置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基としては、アリールオキシカルボニル基及び置換アリールオキシカルボニル基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基としては、例えば炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基が挙げられ、その具体例としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
また、これらのアリールオキシカルボニル基は、そのアリール基上に置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基の置換基として前記したようなものが挙げられる。
(置換シリル基)
で表される置換シリル基としては、例えば、シリル基の3個の水素原子がアルキル基、置換されたアルキル基、アリール基、置換されたアリール基、アラルキル基、置換されたアラルキル基、アルコキシ基、置換されたアルコキシ基等の置換基で置換された三置換シリル基が挙げられる。アルキル基、置換されたアルキル基、アリール基、置換されたアリール基、アラルキル基、置換されたアラルキル基、アルコキシ基、置換されたアルコキシ基としては、アルキル基の置換基として前記した各基と同じであってよい。
置換シリル基の具体例としては、例えば、トリアルキルシリル基(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜10)、トリアリールシリル基、トリアラルキルシリル基(アラルキル基の炭素数は好ましくは2〜10)、ジアルキルアリールシリル基(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜10)、ジアリールアルキルシリル基(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜10)等が挙げられる。具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジ−t−ブチルメチルシリル基、トリベンジルシリル基、トリフェニルシリル基、トリキシリルシリル基、ジフェニルメチルシリル基等が挙げられる。また、tert−ブチルメトキシフェニルシリル基、tert−ブトキシジフェニルシリル基等が挙げられる。
[R2
2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水酸基を示す。ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基についてはR1におけるのと同義である。
[R3
3は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水酸基を示す。置換基を有していてもよい炭化水素基についてはR1におけるのと同義である。
[R4
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭化水素基についてはR1におけるのと同義である。
(置換基を有していてもよいアルコキシ基)
4で表される置換基を有していてもよいアルコキシル基としては、アルコキシ基及び置換アルコキシル基が挙げられる。アルコキシル基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよく、例えば炭素数2〜20のアルコキシ基が挙げられ、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘシルオキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
また、これらのアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、複素環基(脂肪族複素環基、芳香族複素環基)、アルコキシ基等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基の置換基として前記したようなものが挙げられる。
(置換基を有していてもよいアリールオキシ基)
で表される置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、アリールオキシ基及び置換アリールオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば炭素数7〜20のアリールオキシ基が挙げられ、その具体例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
また、これらのアリールオキシ基は、そのアリール基上に置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基の置換基として前記したようなものが挙げられる。
[R5
5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基を示す。置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基及び置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基については、それぞれR1におけるのと同義である。
[R6
6は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。ただし、同一炭素原子に結合する2つのR6の少なくとも一方が置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基を有していてもよい炭化水素基は、R1におけるのと同義である。
上記で示すR1、R2、R3、R4、R5、R6については、不斉反応の触媒として用いた場合に、収率や光学純度に影響を及ぼすことがある。したがって、本化合物の使用目的に応じて、I〜Xの公知の不斉ディールス・アルダー反応への適用例を適宜参照して選択することができる。すなわち、本化合物におけるA及びAにおける各種置換基も、このような各種キラルリン酸化合物の置換基と同様の傾向を示すため、このような情報をもとに、目的とする不斉反応に好適な触媒構成とすることができる。
例えば、Iについては、シクロペンタジエンとエチルビニルケトンとを反応基質とした不斉ディールス・アルダー反応において、R1=R2=Phでは収率91%,光学純度9%eeであり、R1=R2=2,4,6-(iPr)3C6H2では収率86%,光学純度32%ee等である(J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 9626-9627)。
本化合物のAとしては、ビナナフチル基を好ましく用いることができる。例えば、上記したI〜V、IX及びXI等が挙げられる。なかでも、Iを好ましく用いることができる。
Aとしては、具体的には、以下の式で表されるユニットを用いることができる。以下の式において、R1は、それぞれ同一であってもよいし異なっていてもよい。また、以下の式において示すほか、R1は、それぞれ既に説明した置換基を有することもできる。R2は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有していても良いアルコキシ基、同アリール基、同アルキル基、シリル基であることが好ましい。

本化合物において、R10は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。R10は電子供与性を有していてもよい。R10は、好ましくは置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよい例えば、アルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基である。
置換基を有していてもよい炭化水素基は、R1において示すものと同義であり、好ましくは、炭素数が1〜10以下であり、より好ましくは1〜4以下である。また、置換基においてもR1において示すものと同義である。好ましくは、炭素数が1〜10であり(好ましくはアルキル基)、より好ましくは1〜4である(好ましくはアルキル基)。
置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基についても、R1において示すものと同義であり、好ましくは、炭素数が1〜10以下であり、より好ましくは炭素数1〜4以下のアルコキシ基である。また、置換基においてもR1において示すものと同義である。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、アミノ基及び置換アミノ基が挙げられ、置換アミノ基としては、アミノ基の1個又は2個の水素原子が保護基等の置換基で置換されたアミノ基が挙げられる。該保護基としては、アミノ保護基として用いられるものであれば何れも使用可能であり、例えば「PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS THIRD EDITION(JOHN WILEY & SONS、INC.(1999)」にアミノ保護基として記載されているものが挙げられる。アミノ保護基の具体例としては、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基等)、アシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭化水素基、アシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基及び置換基を有していてもよいアラルキルオキシカルボニル基は、上記保護基において説明された各基と同じであってよい。
アルキル基で置換されたアミノ基、即ちアルキル基置換アミノ基の具体例としては、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−メチル−N−イソプロピルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基が挙げられる。好ましくは、N,N−ジメチルアミノ基である。
アリール基で置換されたアミノ基、すなわち、アリール基置換アミノ基の具体例としては、N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基が挙げられる。
アラルキル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキル基置換アミノ基の具体例としては、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基が挙げられる。 また、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N−ベンジル−N−メチルアミノ基等のジ置換アミノ基も挙げられる。
アシル基で置換されたアミノ基、即ちアシルアミノ基の具体例としては、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ペンタノイルアミノ基、ヘキサノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、−NHSOCH、−NHSO、−NHSOCH、−NHSOCF、−NHSON(CH等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアルコキシカルボニルアミノ基の具体例としては、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、ペンチルオキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアリールオキシカルボニルアミノ基の具体例としては、アミノ基の1個の水素原子が前記したアリールオキシカルボニル基で置換されたアミノ基が挙げられ、その具体例としてフェノキシカルボニルアミノ基、ナフチルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アラルキルオキシカルボニル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキルオキシカルボニルアミノ基の具体例としては、ベンジルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
11は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。これらについては、いずれも、R1及びR10におけるのと同義である。R11は、立体障害が小さいことが好ましく、より好ましくは水素原子である。
本開示の本イオン性化合物は、上記一般式(1)で表される。式中Aは、本イオン性化合物にキラリティを提供するユニット(不斉源)である。したがって、式(1)で表される化合物は、キラルな化合物であり、R体又はS体のいずれかを示しうる。
本イオン性化合物におけるA及びAにおける置換基並びにR10及びR11は、式(2)で表される本化合物といずれも同義である。
本イオン性化合物は、本化合物においてブレンステッド酸と塩を形成していることが好ましい。ブレンステッド酸としては、特に限定しないで公知のブレンステッド酸を用いることができる。例えば、公知のブレンステッド超強酸を用いることができる。かかるブレンステッド酸としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)、メタンスルホン酸(MsOH)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Tf2NH)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン(HCTf3)、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン(C65CHTf2)等が挙げられる。
(本化合物及び本イオン性化合物の製造方法)
本化合物及び本イオン性化合物は、当業者であれば、適宜公知の合成方法に倣って本化合物及び本イオン性化合物を合成することができる。
例えば、Aとして、ユニットIを備える本化合物は、特に制限はないが、公知の光学活性ビナフチルリン酸誘導体の製造方法にアミノピリジン化合物を適用することで合成することができる。ビナフチルリン酸誘導体の製造方法としては、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,43,1566(2004)やJ.Am.Chem.Soc.,128,84(2006)、特表2004−96753号公報に記載の方法を用いることができる。
例えば、Aとして、ユニットIIを備える本化合物は、特に制限はないが、例えば、特表2004−96753号公報に記載の方法により製造することができる。
例えば、Aとして、ユニットIIIを備える本化合物は、特に制限はないが、特開2010−47490号公報に記載の方法により製造することができる。
例えば、Aとして、ユニットIVを備える本化合物は、特に制限はないが、J.Am.Chem.Soc.,118,3392(1996)に記載の方法により製造することができる。
例えば、Aとして、ユニットVを備える本化合物は、特に制限はないが、J.Am.Chem.Soc.,118,3392(1996)に記載の方法により製造することができる。
例えば、Aとして、ユニットVI、VII及びVIIIを備える本化合物は、特に制限はないが、J.Am.Chem.Soc.,118,3392(1996)を参照して製造することができる。
例えば、Aとして、ユニットIXを備える本化合物は、特に制限はないが、Org. Lett., 15, 5890 (2013)に記載の方法により製造することができる。
例えば、Aとして、ユニットXを備える本化合物は、特に制限はないが、Adv. Synth. Catal., 348, 2363 (2006)に記載の方法により製造することができる。
また、Aにおける芳香族環に対する修飾、すなわち、置換基の導入方法については、公知の通常用いられる方法で行うことができ、例えば、Br化、及びアミノ化には、Org.Process Res.Dev.(2007)、11(3)、628−632に記載の方法等が用いることができる。また、アリール化の例としてJ. Org. Chem. 65, 6319 (2000)、アルキル化の例としてTetrahedron, 56, 2865 (2000)、水酸基およびアルコキシ基の例としてTetrahedron Asymmetry, 7, 2199 (1996)、シリル化の例としてTetrahedron, Lett., 33, 2253 (1992)が挙げられる。
本イオン性化合物は、本化合物とブレンステッド酸とを接触させることで得ることができる。
本化合物及び本イオン性化合物の具体的な製造方法の一例を以下に説明する。他の本化合物及び本イオン性化合物も、以下のビナフトール化合物に替えて他の不斉源化合物を適用し、以下の製造方法に準じて操作を行うことにより製造することができる。
<ユニットIにおいて、R1=R1=Phe、R2=R2=Hであるピリジルリン酸アミド及びそのピリジニウムリン酸アミドの製造>
光学活性3,3’-フェニル置換ビナフトールに対し、CH2Cl2中、トリエチルアミン等の塩基、DMAP等の存在下、オキシ塩化リンなどの公知のリン酸化剤を作用させる条件にて反応させた後、アセトニトリル、2-アミノピリジンを加えることで目的のピリジルリン酸アミドを得ることができる。すなわち、ナフトール誘導体及びDMAPに塩化メチレンを加えて撹拌し、冷却後、オキシ塩化リン、トリエチルアミンを加え、室温で1時間程度撹拌する。その後、アセトにトリル等で溶解した2−アミノピリジンを加えて、撹拌し、その後、精製水を加えて反応を停止し、水層を塩化メチレンで抽出し、有機層を洗浄乾燥し、吸引ろ過する。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムにて精製し、目的のピリジンリン酸アミドを得ることができる。
得られたピリジンリン酸アミドとブレンステッド酸とを接触させることで本イオン性化合物を得ることができる。すなわち、得られたピリジンリン酸アミドに対して、トリフルオロメタンスルホン酸と塩化メチレン等の溶媒とを加えて撹拌し、結晶が析出するまでヘキサンなどの溶媒を添加しさらに撹拌する。析出した結晶を洗浄ろ過し、ろ取して乾燥することで目的のピリジニウムリン酸アミドを得ることができる。
本化合物及び本イオン性化合物を合成するのに際しては、原料のほか、リン酸化剤、有機塩基や無機塩基等の塩基、ブレンステッド酸の種類や使用量、溶媒の種類や量については当業者であれば適宜選択して用いることができる。
(不斉合成反応)
本イオン性化合物を不斉ディールス・アルダー反応等の不斉合成反応の有機触媒として用いることができる。
この不斉合成反応において、本イオン性化合物を少なくとも用いることが好ましい。本イオン性化合物が、二座配位型ブレンステッド酸サイトを有してキラル選択的及び効率的な不斉合成反応を実現できる。より好ましくは本イオン性化合物に加えて本化合物を組合せて有機触媒として用いる。すなわち、本イオン性化合物及び本化合物とを含む不斉合成用触媒組成物を用いることで、より優れた収率及び鏡像体過剰率を得ることができる。
本イオン性化合物に対する本化合物の割合は特に限定しないが、本イオン性化合物10モルに対して0超30モルの範囲で用いることができる。好ましくは本イオン性化合物10モルに対して1モル以上20モル以下、さらに好ましくは、本イオン性化合物10モルに対して5モル以上15モル以下である。
また、本イオン性化合物は1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。同様に、本化合物も1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
本イオン性化合物は、不斉ディールス・アルダー反応等の種々の不斉合成反応を行なう際に、有効な触媒として使用することができる。
また、本イオン性化合物は、チオウレア型触媒やアミノピリジニウム型触媒と構造類似性が高い。チオウレア型触媒やアミノピリジニウム型触媒は、不斉マンニッヒ反応(J. Am. Chem. Soc. 126, 3418 (2004))、不斉ストレッカー反応(J. Am. Chem. Soc. 124, 10012 (2002))、不斉バイリス・ヒルマン反応(Tetrahedron Lett. 45, 5589 (2004))、不斉ヘンリー反応(Angew. Chem. Int. Ed. 45, 929 (2006))、不斉ニトロアルドール反応(Eur. J. Org. Chem. 2894 (2006))、不斉フリーデルクラフツ反応(Org. Lett. 8, 4063 (2006))、不斉共役付加反応(Synlett, 603 (2005))、不斉ピクテットシュペングラー反応(J. Am. Chem. Soc. 126, 10558 (2004))等の各種の不斉合成反応を触媒できる(Chem. Rev., 107, 5713 (2007)、非特許文献2)。このため、本イオン性化合物によれば、こうした触媒により実現される各種の不斉合成反応等を同様に触媒して目的化合物を得ることができる。当業者であれば、上記した各種不斉反応とともに併記した文献を参照するほか、本願出願時の技術常識や周知技術に基づき、本イオン性化合物を触媒として用いて上記各種不斉合成反応等を実施できる。
(不斉ディールス・アルダー反応)
本イオン性化合物によれば、アミドジエン類などのジエンと不飽和アルデヒド化合物などのジエノフィルから、医薬、農薬及び化学品等及びその合成中間体として有用なアミドアルデヒド類等を不斉ディールス・アルダー反応により製造する際に、有効な触媒として使用することができる。当業者は、本イオン性化合物における不斉源の選択、不斉源における置換基の選択、不制限以外における置換基の選択ほか、基質の種類、合成条件(温度、時間、溶媒等)を適宜選択することで、不斉ディールス・アルダー反応を実現できる。
好ましくは、アミドジエン類と不飽和アルデヒド化合物とを、本イオン性化合物の存在下で反応させることにより、光学活性なアミドアルデヒド類を得ることができる。この反応において、アミドジエン類と不飽和アルデヒド化合物の使用量は、用いるアミドジエン類や不飽和アルデヒド化合物、及び本イオン性化合物の種類等により異なるため特に限定されないが、アミドジエン類に対する、不飽和アルデヒド化合物の使用量は、通常約0.9〜2.0当量、好ましくは約1.0〜1.5当量の範囲から適宜選択される。
反応に用いられるアミドジエン類の例としては、例えば、1−(メトシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(エトシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(n−プロピルオシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(2−プロピルオシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(n−ブチルオシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(2−ブチルオシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(t−ブチルオシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(アリルオシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(2,2,2−トリクロロエトシキカルボニルアミノ)ブタジエン、1−(2,2,2−トリメチルシリルエトシキカルボニルアミノ)ブタジエン、及びこれらの類縁体等が挙げられる。これらのアミドジエン類においては、その3位及び4位の水素原子が、置換基を有していてもよい炭化水素基によって置換されていてもよい。炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基等が挙げられる。好ましくは置換基は、炭素数1〜4のアルキル基及び置換アルキル基である。なお、アルキル基及び置換基は、式(1)におけるのと同義である。
一方、不飽和アルデヒド化合物の例としては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、2−エチルアクロレイン、2−メチル−2−ブテナール、3−メチル−2−ブテナール、2−メチル−2−ペンテナール、クロトンアルデヒド、2−エチル−2−クロトンアルデヒド、2−ヘキセナール、シトラール、シンナムアルデヒド、及びこれらの類縁体等が挙げられる。 また、不飽和アルデヒド化合物としては、N置換又はN無置換マレイミドが挙げられる。Nにおける置換基は、炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基等が挙げられる。好ましくは置換基は、炭素数1〜4のアルキル基及び置換アルキル基である。なお、アルキル基及び置換基は、式(1)におけるのと同義である。
この反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、反応を阻害しないものであれば用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、重クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類、アセトン、重アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、tert−ブタノール等の3級アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド、重ジメチルスルホキシド(ジメチルスルホキシド−d等)等のスルホキシド類、アセトニトリル等の含シアノ有機化合物類、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これら溶媒は、それぞれ単独で用いても2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
溶媒を用いる場合、その使用量は、当該溶媒の種類や、用いるアミドジエン類や不飽和アルデヒド化合物の種類等により異なるため、反応によって適宜選択すればよい。通常、基質であるアミドジエン類又は不飽和アルデヒド化合物の濃度が約0.01〜1mol/L、好ましくは約0.05〜0.5mol/Lの範囲となるように溶媒使用量を調整すればよい。
上記の反応は、大気中あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては窒素ガス、アルゴンガス等の1種又は2種以上が挙げられる。また、常圧でもよいし、加圧あるいは減圧条件も適宜選択することができる。
反応温度は、通常約−100〜100℃、好ましくは約−80〜50℃、より好ましくは−80℃〜室温付近の範囲から適宜選択される。 反応時間は、通常約10分〜10日、好ましくは約1時間〜7日の範囲から適宜選択される。
上記反応により得られた光学活性アミドアルデヒド類は、必要に応じて後処理、精製、単離等を行ってもよい。 このようにして得られたアミドアルデヒド類は、医薬、農薬等の中間体等に有用である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下においては、光学活性化合物の一方のエナンチオマーのみを示すが、他方のエナンチオマーについても同様であり、その反応は同様に進行する。
本実施例では、光学活性ビナフトール誘導体とアミノピリジン誘導体とのリン酸基を介した縮合反応により、キラルピリジルリン酸アミドを合成した。すなわち、既知の光学活性3,3’-置換ビナフトールに対し、CH2Cl2中トリエチルアミン、DMAP存在下、オキシ塩化リンを作用させる条件にて反応させた後、アセトニトリル、2-アミノピリジンを加えることで目的のピリジルリン酸アミド1a-oを合成した。以下に本実施例における合成スキーム及び各種置換基を示す。
(合成方法)
スキーム1に示す各種の置換基Arを有する(R)-3,3’-Ar2-1,1’-bi-2-naphthol (1 eq.)、DMAP (1.2 eq.)を乾燥した反応容器に量り入れ、Ar置換する。Dry CH2Cl2 (0.2 M)を加えて撹拌し、0 °Cに冷却後、dry Et3N (4.2 eq.)、POCl3(1.2 eq.)を加え、室温で1時間撹拌する。その後、dry acetonitrile (0.2 M)で溶かした2-aminopyridines (1.5-2.0 eq.)を加えover night撹拌する。精製水を加えて反応を停止し、水層をCH2Cl2で抽出し、有機層をbrineで洗浄、Na2SO4で乾燥、吸引ろ過する。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムにて精製し、目的物を得た。
図4〜図7に、得られた化合物の構造式、収率、目的物の外観、NMRデータ、MSデータ等を示す。
本実施例では、実施例1で合成したピリジルリン酸アミドをプロトン化することによりピリジニウムリン酸アミドを合成した。すなわち、実施例1で合成したピリジルリン酸アミド1a-oに対し、酸 (TfOH, Tf2NH, MsOH)を添加することで二座配位型ブレンステッド酸1a-o・TfOHおよび1e・Tf2NH, 1e・MsOHの合成を行った 。以下に本実施例における合成スキームを示す。
(合成方法)
よく乾燥させたナスフラスコにピリジルリン酸アミドを量り入れ、Ar置換し、dry CH2Cl2 (0.5 M)、0.2 M HX in CH2Cl2 (1.5 eq.)を加え10分撹拌する。結晶が析出するまでdry hexaneを加え、さらに10分撹拌する。析出した結晶をhexane/Et2O=4:1で洗浄後ろ取し、乾燥させ、白色固体を得た。図8〜11に、得られた化合物の構造式、収率、目的物の外観、NMRデータ、MSデータ等を示す。
本実施例では、ディールス・アルダー反応における触媒構造について検討した。以下に示す基質の組合せと触媒(イオン化物のみ、イオン化物及び非イオン化物)とを用いて、エントリー1〜15のディールス・アルダー反応を行い、収率及び鏡像体過剰率を算出した。
よく乾燥した反応用試験管にマレイミド 3a (19 mg, 0.2 mmol)、ピリジニウムリン酸アミド(0.01 mmol)(xモル%)、ピリジルリン酸アミド(yモル%) (0.005 mmol)を入れ、反応容器をAr置換する。ここにトルエン (0.5 mL) を加えた後、-40 °Cに冷却して撹拌する。冷却後、ジエン2a (81 mg, 0.4 mmol)のトルエン溶液 (0.5 mL)を加え、-40 °Cにて40時間撹拌する。
TLCでマレイミド3aの消失を確認後、反応液を直接シリカゲルカラムで精製する(30% EtOAc in Hexane)。目的物4aが白色固体を得た。得られた固体の一部をEtOH/Hexaneに溶解させ、キラルHPLC分析を行うことで鏡像体過剰率を算出した (Chiralpak OJ-H, EtOH/Hexane=40/60, 1.0mL/min)。結果を以下に示す。
以上に示すように、本イオン性化合物、本イオン性化合物と本化合物との組合せを触媒として用いて不斉ディールス・アルダー反応を行うことにより、高い収率及び鏡像体過剰率を得ることができた。
本実施例では、ディールス・アルダー反応における触媒構造についてさらに検討した。以下に示す基質の組合せと触媒(R1が異なる、非イオン性化合物のみ、イオン性化合物と非イオン性化合物の組合せ)とを用いて、実施例3と同様にして、各種のディールス・アルダー反応を行い、収率及び鏡像体過剰率を算出した。結果を併せて以下に示す。
以上に示すように、本イオン性化合物は、その2つのプロトンを介してカルボニル基に配位して基質を不斉空間に剛直に固定することで高い反応性及び立体選択性が発現したことがわかった。また、ブレンステッド酸の種類も触媒活性に影響を与えることが判明した。
本実施例では、ディールス・アルダー反応における基質について検討した。以下に示す基質の組合せと触媒(実施例3における1mTfOH10モル%+1m5モル%)とを用いて、実施例3と同様にして、各種のディールス・アルダー反応を行い、収率及び鏡像体過剰率を算出した。結果を併せて以下に示す。図12及び13に、得られた化合物の構造式、収率、目的物の外観、NMRデータ、MSデータ等を示す。
以上に示すように、本イオン性化合物を用いることにより、従来実現できなかった不斉ディールス・アルダー反応を高収率でしかも高い鏡像体過剰率により実現させることができた。

Claims (8)

  1. 式(1)

    (式中、Aは不斉源を表し、R10は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、R11は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
    で表されるピリジニウムリン酸アミド化合物。
  2. 光学活性である、請求項1に記載のピリジニウムリン酸アミド化合物。
  3. 軸不斉に基づく光学活性体である、請求項2に記載のピリジニウムリン酸アミド化合物。
  4. 前記Aは、以下から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載のを有するピリジニウムリン酸アミド化合物。
    (上記式中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換シリル基を示し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水酸基を示し、R3は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は水酸基を示し、R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、R5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基を示し、R6は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のピリジニウムリン酸アミド化合物である不斉合成反応用触媒。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のピリジニウムリン酸アミド化合物と、
    以下の式(2)

    (式中、Aは不斉源を表し、R10は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、R11は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)
    で表されるピリジンリン酸アミド化合物とを含む不斉合成反応用触媒組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のピリジニウムリン酸アミド化合物の存在下で行う不斉合成反応。
  8. さらに、以下の式(2)

    (式中、Aは不斉源を表し、R10は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、R11は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。)で表わされるピリジンリン酸アミド化合物の存在下で行う、請求項7に記載の不斉合成反応。
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