JP2016086154A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】配線材による光学損失を低減し、朝夕を含めた太陽電池モジュールの総発電量を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池と、配線材と、受光面側保護材と、裏面側保護材と、封止材とを備える。太陽電池の受光面側の集電極と配線材の裏面側の面とは接着されている。太陽電池の集電極上に位置する配線材の受光面側の面に、複数の略四角錐の凸部からなる凹凸が形成されている。略四角錐の底面と側面とのなす角度θが、20°<θ<40°を満たすことが好ましい。平面視において、配線材の幅方向に平行な線と、略四角錐の稜線とのなす角度φが、45°<φ≦90°を満たすことが好ましい。
【選択図】図5
【解決手段】本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池と、配線材と、受光面側保護材と、裏面側保護材と、封止材とを備える。太陽電池の受光面側の集電極と配線材の裏面側の面とは接着されている。太陽電池の集電極上に位置する配線材の受光面側の面に、複数の略四角錐の凸部からなる凹凸が形成されている。略四角錐の底面と側面とのなす角度θが、20°<θ<40°を満たすことが好ましい。平面視において、配線材の幅方向に平行な線と、略四角錐の稜線とのなす角度φが、45°<φ≦90°を満たすことが好ましい。
【選択図】図5
Description
本発明は、太陽電池モジュールに関する。
無尽蔵に降り注ぐ太陽エネルギーを利用して発電することができ、排気ガスを排出することなくクリーンであり、さらに放射能を放出するといった危険もなく安全であることから、太陽電池が注目を集めている。太陽電池モジュールは、複数の太陽電池を備えており、一の太陽電池と、他の太陽電池または外部回線とは、配線材によって電気的に直列または並列に接続される。
近年、太陽電池モジュールの更なる高効率化が期待されており、光学損失の低減や、モジュール化した際の信頼性向上が求められている。太陽電池の集電極は、光入射により生成された光キャリアを収集するための複数の細いフィンガー電極と、フィンガー電極で収集された光キャリアを外部へ取り出すための比較的太いバスバー電極とにより構成されている。一般的に、バスバー電極はフィンガー電極より太く設計されており、バスバー電極上に配線材が設けられている。そのため、配線材による光学損失は大きく、この光学損失を低減させることが求められている。
そこで、配線材上や、隣り合う太陽電池同士の間等、太陽電池モジュールの発電に寄与しない領域に凹凸構造等の光拡散部を形成し、該光拡散部に入射した光を斜め上方に反射させ、受光面側保護材で再度反射させて太陽電池の受光面に入射させるようにした構造が提案されている。
例えば、特許文献1では、配線材上に、白色のシートや表面に凹凸構造を有する光拡散部を備えた構造が提案されている。特許文献2では、光拡散部として、配線材の幅方向および長さ方向に並ぶように複数の凹凸構造を形成することが提案されている。特許文献2では、凹凸構造を有する配線材を用いることで、光取り込み量を向上できる旨が記載されている。
特許文献3では、太陽電池素子以外の領域に光反射部材を形成することで、太陽電池素子に入射せず当該光反射部材に入射した光を再度素子に入射させる旨が開示されている。特許文献3においては、光反射部材としてピラミッドや逆ピラミッドの凹凸構造を用い、当該光反射部材の底面の辺が素子に対して、0°以外の所定の角度を有するように配置する旨が記載されている。
特許文献4では、配線材の表面に設けられる凹凸のうち、太陽電池の周縁領域における凹凸が他の領域における凹凸よりも低い構造が開示されている。特許文献4には、配線材と接触する可能性が高い太陽電池の周縁領域(例えば、配線材の屈曲部等)における凹凸を他の領域(例えば、太陽電池の中央付近等)における凹凸より低く形成することにより、配線材との接触に起因する太陽電池の破損を抑制することができる旨が記載されている。特許文献4には、屈曲部等に設けられる凹凸の断面形状の具体例として、凸部の先端が平坦化された形状や、凸部の先端の曲率半径が相対的に大きい曲面形状が記載されている。
太陽電池の発電量は、太陽光が垂直に入射する場合が最も多く、入射角が大きくなるにつれて取りこめる光の量が減少するため少なくなる。近年、発電量をさらに増加させる観点から、入射角が大きい朝夕を含めた1日の総発電量を増加させることが望まれている。
特許文献2では、凹凸構造を有する配線材を適用した太陽電池モジュールの性能が検討されているが、太陽電池モジュールの出力測定の照射条件として、AM1.5の照射光を垂直入射させた場合のみが検討されている。上述のとおり、朝夕を含めた発電を考える場合、垂直入射以外の角度からも光が入射されてくるため、特許文献2においては、検討が十分でないと考えられる。特許文献2に記載されている太陽電池モジュールの特性について本発明者らが検討したところ、垂直入射以外の角度からや散乱光からの発電を考えた場合には、特性が低下することが明らかとなった。
特許文献3には、季節毎に変化する太陽の角度に追随するようにモジュールの受光面が所定の角度で可変する制御手段を備えることで、最大量の太陽光を入射できることが記載されている。しかし、制御手段の設置は非常にコストが高く、生産性が低下すると考えられる。
特許文献4では、太陽電池の破損を抑制するために、太陽電池と対向する側の面に設けられる凹凸の形状等を調整することが検討されているのみであり、発電量を向上させるために、受光面側の面に設けられる凹凸の形状等を調整することについては何ら検討されていない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、配線材による光学損失を低減し、朝夕を含めた太陽電池モジュールの総発電量を向上させることを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、太陽電池の集電極上に配置される配線材に所定の凹凸構造を形成することにより、朝夕を含めた総発電量の向上が可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明は、太陽電池と、配線材と、太陽電池の受光面側に設けられた受光面側保護材と、太陽電池の裏面側に設けられた裏面側保護材と、受光面側保護材および裏面側保護材の間に充填された封止材と、を備える太陽電池モジュールに関する。太陽電池は、封止材により受光面側保護材および裏面側保護材の間に封止されている。配線材を介して、太陽電池が他の太陽電池または外部回路と接続されている。太陽電池は、受光面側に集電極を有し、太陽電池の集電極と配線材の裏面側の面とが接着されている。太陽電池の集電極上に位置する配線材の受光面側の面に、複数の略四角錐の凸部からなる凹凸が形成されている。凸部は、少なくとも一方向に並ぶように設けられていることが好ましい。略四角錐の底面と側面とのなす角度θが、20°<θ<40°を満たすことが好ましい。平面視において、配線材の幅方向に平行な線と、略四角錐の稜線とのなす角度φが、45°<φ≦90°を満たすことが好ましい。
角度θが、25°≦θ≦35°を満たすことが好ましい。
角度φが、80°≦φ≦90°を満たすことが好ましい。
太陽電池の集電極上に位置する配線材の受光面側の全面に、凹凸が形成されていることが好ましい。
凸部の高さをd、配線材の厚みをdt、および太陽電池の受光面から受光面側保護材までの封止材の厚みをDとしたとき、d=20μm〜90μm、dt=150μm〜300μm、およびD=400μm〜900μmであることが好ましい。
太陽電池の集電極と配線材の裏面側の面とが、導電性微粒子を含有する樹脂製接着剤により接着されていることが好ましい。
本発明によれば、所定の凹凸構造を有する配線材を用いることにより、入射光の入射角度γが大きい場合でも、配線材で反射した光が受光面側保護材で再度反射されて太陽電池の受光面に入射させることができるため、太陽電池モジュールの総発電量を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールについて説明する。なお、本発明の太陽電池モジュールは、以下の実施形態に限定されるものではない。
(太陽電池モジュールの基本的構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの模式的断面図である。図1に示す太陽電池モジュール200は、複数の太陽電池100を備える。太陽電池100は、配線材300によって他の太陽電池または外部電極と電気的に接続されている。これにより、複数の太陽電池100が直列または並列に接続されている。太陽電池100と配線部材300とは、導電性微粒子を含有する樹脂製接着剤400により接着されていることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの模式的断面図である。図1に示す太陽電池モジュール200は、複数の太陽電池100を備える。太陽電池100は、配線材300によって他の太陽電池または外部電極と電気的に接続されている。これにより、複数の太陽電池100が直列または並列に接続されている。太陽電池100と配線部材300とは、導電性微粒子を含有する樹脂製接着剤400により接着されていることが好ましい。
複数の太陽電池100の受光面側および裏面側には、それぞれ保護材201および202が配置されている。受光面側保護材201と裏面側保護材202との間には封止材203が設けられており、封止材203により、複数の太陽電池100が封止されている。
図2は、太陽電池モジュールを構成する太陽電池および配線材の受光面側の模式的平面図である。太陽電池100は、受光面側に集電極7を有している。図2では、集電極7は、一定間隔を隔てて互いに平行に延在する複数のフィンガー電極71と、フィンガー電極71により収集された電流を集めるバスバー電極72とによって構成されている。一般的に、バスバー電極72は、フィンガー電極71に略垂直になるように形成される。受光面側では、集電極7のバスバー電極72上に配線材300が配置されることが好ましい。後述するように、バスバー電極72は必ずしも必要ではなく、フィンガー電極71上に配線材が配置されてもよい。また、バスバー電極は直線状でなくてもよく、ジグザグ状等の非直線状であってもよい。バスバー電極が非直線状である場合も、バスバー電極の延在方向がフィンガー電極に略垂直になるように形成されることが好ましい。
図3は、太陽電池モジュールを構成する太陽電池および配線材の裏面側の模式的平面図である。太陽電池100は、裏面側に裏面電極8を有している。図3では、裏面電極8が太陽電池100の裏面の全面を覆い、裏面電極8と配線材300とが接続されている。裏面電極8は、グリッド状に形成されても全面に形成されてもよいが、低抵抗化の点からは全面に形成されることが好ましい。
(太陽電池と配線材との電気的接続)
図4は、図1の部分拡大図であり、太陽電池と配線材との電気的接続を模式的に示している。図4に示すように、太陽電池100の集電極7と配線材300とが接着されることで、太陽電池100の集電極7と配線材300とが電気的に接続されている。図4では、配線材300の一端部の下面(裏面側の面)が、樹脂製接着剤400を介して太陽電池100の集電極7と接着されている。一方、配線材300の他端部の上面(受光面側の面)は、樹脂製接着剤400を介して他の太陽電池110の裏面電極8と接着されている。さらに、太陽電池100の裏面電極8と他の配線材301とが接着されることで、太陽電池100の裏面電極8と配線材301とが電気的に接続されている。図4では、配線材301の一端部の上面が、樹脂製接着剤400を介して太陽電池100の裏面電極8と接着されている。
図4は、図1の部分拡大図であり、太陽電池と配線材との電気的接続を模式的に示している。図4に示すように、太陽電池100の集電極7と配線材300とが接着されることで、太陽電池100の集電極7と配線材300とが電気的に接続されている。図4では、配線材300の一端部の下面(裏面側の面)が、樹脂製接着剤400を介して太陽電池100の集電極7と接着されている。一方、配線材300の他端部の上面(受光面側の面)は、樹脂製接着剤400を介して他の太陽電池110の裏面電極8と接着されている。さらに、太陽電池100の裏面電極8と他の配線材301とが接着されることで、太陽電池100の裏面電極8と配線材301とが電気的に接続されている。図4では、配線材301の一端部の上面が、樹脂製接着剤400を介して太陽電池100の裏面電極8と接着されている。
集電極と配線材とを接続する方法としては、導電性微粒子を含有する樹脂製接着剤を用いて接着する方法の他、半田付けにより接合する方法等が挙げられる。集電極や裏面電極が金属からなる場合、該金属との接合のしやすさや熱ダメージを抑制する観点から、導電性微粒子を含有する樹脂製接着剤を用いて接着する方法が好ましい。特に、耐熱温度が250℃以下の太陽電池(ヘテロ接合太陽電池等)では、半田に比べて低温で接着できるため、樹脂製接着剤を用いる方法が好ましい。また、配線材との接着面積を大きくできる観点からも、樹脂製接着剤を用いる方法が好ましい。
樹脂製接着剤としては、例えば、導電性微粒子を樹脂ペーストに添加したものを用いることができる。樹脂ペーストとしては、例えば、エポキシ樹脂、イミド樹脂、フェノール樹脂等が用いられる。導電性微粒子としては、例えば、Ni、Cu、Zn、In等の金属粉が用いられる。金属粉以外に、炭素粉等の導電性の紛体や、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等からなる絶縁性微粒子の表面が金属等の導電性材料でコーティングされたものを、導電性微粒子として用いることもできる。
(配線材)
本発明においては、図4に示すように、配線材の表面に、複数の凹凸が形成されている。具体的には、凹凸は複数の略四角錐の凸部からなり、太陽電池の集電極上に位置する配線材の受光面側の面に形成されている。凸部は、少なくとも一方向に並ぶように設けられており、略四角錐の底面と側面とのなす角度θが、20°<θ<40°を満たし、かつ、平面視において、配線材の幅方向に平行な線と、略四角錐の稜線とのなす角度φが、45°<φ≦90°を満たしている。
本発明においては、図4に示すように、配線材の表面に、複数の凹凸が形成されている。具体的には、凹凸は複数の略四角錐の凸部からなり、太陽電池の集電極上に位置する配線材の受光面側の面に形成されている。凸部は、少なくとも一方向に並ぶように設けられており、略四角錐の底面と側面とのなす角度θが、20°<θ<40°を満たし、かつ、平面視において、配線材の幅方向に平行な線と、略四角錐の稜線とのなす角度φが、45°<φ≦90°を満たしている。
図5は、一実施形態に係る配線材の模式的平面図である。図6(a)は図5のA−A線断面図、図6(b)は図5のB−B線断面図である。
図5では、配線材300の表面の全面に、複数の四角錐の凸部からなる凹凸が形成されている。図6(a)および図6(b)に示すように、凸部は、配線材の幅方向および長さ方向に並ぶように設けられている。また、図5において、底辺を共有する四角錐に着目した場合、凸部は、配線材の長さ方向に対して斜め方向に並んでいる。
図7は、凸部を構成する四角錐の一例を示す斜視図である。本実施形態では、四角錐の底面と側面とのなす角度θが、20°<θ<40°を満たしている。図8は、凸部を構成する四角錐の一例を示す平面図である。図8中、配線材の幅方向をW、長さ方向をLで示している。本実施形態では、平面視において、配線材の幅方向Wに平行な線と、四角錐の稜線とのなす角度φが、45°<φ≦90°を満たしている。図5および図8では、φ=90°の例を示している。
以下、本発明の配線材における光反射について、従来技術の配線材における光反射と対比しながら説明する。
図9は、従来技術の配線材の一例の模式的斜視図である。図9に示す配線材510は、特許文献2に記載されており、配線材の幅方向の断面形状が三角形であり、長さ方向に延在する凹凸が形成されている。
図10および図11は、図9に示す配線材における入射光の光路の模式図である。図10に示すように、入射光(L1)が太陽電池モジュールに対して垂直入射(入射角度γ=0°)に近い場合においては、配線材510上の凹凸により反射された入射光(L2)が、受光面側保護材201と空気との界面で全反射(L3)し、再び太陽電池100の受光面に照射され発電に寄与する。
しかしながら、図11に示すように、光の入射角度が大きくなると、入射光(L1)が凹凸で反射され(L2)、その反射光(L2)が更に対向する凹凸表面で二回目の反射を起こす(L3)。そのため、二回目の反射光(L3)が、全反射の臨界角よりも小さい角度で受光面側保護材201と空気との界面に到達すると、全反射を起こさずに太陽電池モジュール内からモジュール外に放出される(L4)。このように、図9に示す配線材510では、入射角がモジュールに対して垂直(入射角度γ=0°)に近い場合は出力の向上が期待できるが、入射角度が大きくなっていくと出力が低下する問題がある。
図12は、従来技術の配線材の他の例の模式的平面図である。図12に示す配線材520は、特許文献2に記載されており、φ=45°であることを除いて、図5と同様の凹凸が形成されている。
図13は、図12に示す配線材における光反射を模式的に示す斜視図である。図13中のL1で表されているような一部の光は、図11と同様に太陽電池モジュールから放出されてしまい、太陽電池モジュール内に閉じ込めることができないと考えられる。一方、L2で表されているような光では、一回目の凹凸表面での反射光が、対向する凹凸の隙間から抜けることができるため、二回目の反射が起きる確率が下がる。このため、図12に示す凹凸構造においては、図9に示す凹凸構造と比較した場合、大きな入射角において、太陽電池モジュールから放出される光を低減させることができると考えられる。しかしながら、図12に示す凹凸構造においては、配線材の長さ方向に反射された反射光が、全反射後に再び配線材上に戻ってくるという問題があり、その分だけ出力低下が起きる。
図14は、図12に示す配線材における光反射を模式的に示す平面図であり、配線材上の凹凸の配置により、どの方向に光が反射されるかを示している。図14に示すように、φ=45°の場合は、L1およびL3で表される反射光は、配線材520から太陽電池の方向へ向かうため、発電に寄与すると考えられるが、L2およびL4で表される反射光は、再び配線材520上に戻ってくるため、発電に寄与しないと考えられる。
これに対し、図15は、本発明の配線材における光反射を模式的に示す平面図である。図15に示すように、φ=90°の場合は、L1〜L4に示される光が全て配線材300から太陽電池の方向へ向かって反射されるため、発電効率が向上すると考えられる。
以上より、配線材の表面に四角錐の凸部からなる凹凸を形成することにより、入射角γが広角(例えば0°<γ<60°)の場合においても太陽電池モジュールの出力を高くすることができる。さらに、配線材の幅方向に平行な線と四角錐の稜線とのなす角度φを45°より大きくすることで、配線材の長さ方向に反射された後、全反射して再び配線材上に戻ってくる反射光の割合を小さくでき、発電効率を向上させることができる。
また、太陽電池モジュールを作製する際、通常は、図4に示すように、太陽電池の受光面側に配線材を配置した後、裏返して他の太陽電池の裏面側に配線材を接続させるため、配線材が折り曲がる。図9に示す配線材510を用いる場合、配線材510は折り曲げにくいため、折り曲げる際の力が太陽電池にもかかってしまい、太陽電池の端部から破損が生じやすい。特に、近年は厚みが薄い太陽電池が好ましく用いられるため、破損が生じやすい。一方、図12に示す配線材520を用いる場合、配線材520は折り曲がりすぎるため、断線するという問題が生じてしまう。これに対し、本発明のような角度φで四角錐を配置した配線材を用いることで、太陽電池の端部に生じる破損、および断線を防止することができる。
さらに、特許文献3では、太陽光をより多く取り込んで発電量を増加させるために、太陽光の角度に追随してモジュールが可変する制御手段をモジュールに付与していた。これに対し、本発明においては、配線材の表面に所定の凹凸を形成することにより、モジュールに上記制御手段を設けなくても、より多くの光を取り込むことができる。
配線材の長さ方向に反射された後、全反射して再び配線材上に戻ってくる反射光の割合を小さくする観点から、配線材の幅方向に平行な線と四角錐の稜線とのなす角度φは、45°<φ≦90°が好ましく、70°≦φ≦90°がより好ましく、80°≦φ≦90°が特に好ましく、90°が最も好ましい。
四角錐の底面と側面とのなす角度θは、20°<θ<40°が好ましく、25°≦θ≦35°がより好ましく、θ=30°が最も好ましい。上記範囲を満たすことにより、受光面側保護材と空気との界面において全反射が起こりやすく、光閉じ込め効果がより期待できる。
以上、発電量を増加させる観点から、上記角度φおよび角度θは、70°≦φ≦90°かつ20°<θ<40°が好ましく、80°≦φ≦90°かつ25°≦θ≦35°がより好ましく、80°≦φ≦90°かつθ=30°がさらに好ましく、φ=90°かつθ=30°が最も好ましい。上記範囲にすることにより、例えば10〜14時の日中だけでなく、8〜10時の朝方や、14〜16時の夕方といった広い時間帯において、太陽光を取り込むことができる。
四角錐の底辺の長さxは、太陽電池の発電に寄与する光の波長程度よりも長く、配線材の幅に収まる範囲であれば、どのような長さでもよいが、0.5μm≦x≦1000μmが好ましく、10μm≦x≦500μmがより好ましく、100μm≦x≦300μmが特に好ましい。四角錐の底面の形状は必ずしも正方形である必要はなく、長方形であってもよい。四角錐の底面の形状が長方形である場合、四角錐の底面と側面とのなす角度θは、底面の長辺を共有する側面と底面とのなす角度でもよく、底面の短辺を共有する側面と底面とのなす角度でもよい。
四角錐の高さ(凸部の高さ)dは、0.1μm≦d≦300μmが好ましく、2μm≦d≦150μmがより好ましく、20μm≦d≦90μmが特に好ましい。上記範囲とすることで、光閉じ込めの効果が得られるだけでなく、裏面電極や樹脂製接着剤との接着強度を向上でき、温度変化による配線材の剥離を防止できる。
四角錐の高さ、および、四角錐の底辺の長さは、断面SEMにより求めることができる。配線材の表面に形成される四角錐の大きさは、すべて同じであることが好ましいが、一部の四角錐の大きさが異なっていてもよい。
本発明において、配線材の表面に形成される凹凸の凸部の形状は、完全な四角錐でなくてもよく、頂部が欠けた略四角錐であってもよい。本明細書において、「略四角錐」には、完全な四角錐だけでなく、後述するような四角錐の頂部が欠けた形状等も含まれる。
図16(a)および図16(b)は、凸部の他の例を示す正面図である。凸部の形状は、図16(a)に示すように、四角錐の頂部が平坦化された形状であってもよい。この場合、略四角錐の高さをd、完全な四角錐と仮定した場合の高さをdoとすると、d/doの値は、0.4以上1.0未満が好ましく、0.6以上1.0未満がより好ましく、0.8以上1.0未満がさらに好ましく、0.9以上1.0未満が特に好ましい。
また、凸部の形状は、図16(b)に示すように、四角錐の頂部が丸みを有する形状であってもよい。光を効果的に反射させて太陽電池に取り込む観点からは、頂部が平坦化された形状よりも頂部が丸みを有する形状の方が好ましい。この場合、頂部の曲率半径Rは、下記式(1)を満たす範囲が好ましく、下記式(2)を満たす範囲がより好ましい。
図5に示す配線材300では、配線材の幅方向および長さ方向にも凸部が並んでいるが、凸部は少なくとも一方向に並んでいればよい。例えば、図17に示す配線材310のように、底辺を共有する四角錐に着目した際、配線材の長さ方向に対して斜め方向に並ぶように凸部が設けられていてもよい。
本発明において、上記凹凸は、配線材の受光面側の面のうち、太陽電池の集電極上に位置する面に形成されていればよい。上記凹凸は、配線材の表面の全面に形成されていることが好ましいが、配線材の表面の一部に凹凸が形成されていない箇所があってもよい。例えば、図18に示すように、配線材320の幅方向の端部に略四角錐が形成されていなくてもよい。また、隣接する略四角錐の間に隙間があってもよい。配線材上に平坦な領域が存在すると、その領域で反射した入射光は、受光面側保護材と空気との界面における全反射の臨界角に、理想的には到達しないため、太陽電池モジュール内での光閉じ込めに寄与しなくなる。この観点から、複数の略四角錐の凸部からなる凹凸は、太陽電池の集電極上に位置する配線材の表面の90%以上に形成されることが好ましく、95%以上に形成されることがより好ましく、100%すなわち全面に形成されていることが最も好ましい。
上記凹凸は、配線材の受光面側の面のうち、太陽電池の集電極上に位置する面以外に形成されていてもよい。例えば、図4において、太陽電池100と太陽電池110との間に位置する配線材の屈曲部に凹凸が形成されていてもよいし、太陽電池110の裏面電極8と接する面に凹凸が形成されていてもよい。また、配線材の裏面側の面(太陽電池100の集電極7と接する面)に凹凸が形成されていてもよい。太陽電池の集電極や裏面電極と接する面に凹凸が形成されていると、これらの電極や樹脂製接着剤との接着強度を高くすることができる。太陽電池110の裏面電極と接する面や太陽電池100の集電極と接する面に凹凸が形成されている場合は、凹凸の形状が、四角錐の頂部が欠けた形状であることが好ましい。四角錐の頂部が欠けた形状であると、太陽電池の集電極や裏面電極との接合等を良好にすることもできる。
配線材の厚みdtは、50μm≦dt≦500μmが好ましく、100μm≦dt≦400μmがより好ましく、150μm≦dt≦300μmが特に好ましい。配線材の厚みdtを上記範囲にすることにより、温度変化によるセル割れを防止できる。本明細書においては、配線材の厚みdtは、配線材の一方の面に凹凸を有する場合は、凸部の頂点から底面までの距離を意味し、配線材の両面に凹凸を有する場合は、頂点同士の距離を意味する。配線材の厚みは、断面SEMにより求めることができる。
太陽電池の受光面から受光面側保護材までの封止材の厚みDは、200μm≦D≦1200μmが好ましく、300μm≦D≦1000μmがより好ましく、400μm≦D≦900μmが特に好ましい。封止材の厚みDを上記範囲にすることにより、温度変化によるセル割れを防止できる。
配線材の幅は、太陽電池に配置する配線材の本数にも依存するため、太陽電池モジュールのデザインに応じて最適な幅に設計すればよい。光閉じ込めの観点からは、配線材が細ければ細いほど遮光損失が小さくなる一方で、電気抵抗損失が増大する。このため、例えば、1つの太陽電池に3本の配線材を配置する場合、配線材の幅は、0.5mm以上3mm以下が好ましく、1mm以上2mm以下がより好ましい。
配線材の材料は、抵抗損失低減の観点から、より抵抗率の低い材料であることが好ましく、特に製造コストの観点から、銅を主成分とする材料であることが好ましい。また、配線材上の凹凸により光を反射させる観点から、配線材の表面は、高い反射率特性を持つことが好ましく、例えば、金、銀、銅、アルミ等の高反射材料で表面が覆われていることが好ましい。表面を覆う高反射材料の厚みは、0.5μm以上3μm以下が好ましく、1.2μm以上2.0μm以下がより好ましい。
(太陽電池)
本発明の太陽電池モジュールを構成する太陽電池は特に限定されず、結晶シリコン太陽電池や、GaAs等のシリコン以外の半導体基板が用いられる太陽電池等、太陽電池間を配線材によりインターコネクトするタイプのものであれば、どのような太陽電池であってもよい。中でも、非晶質半導体層を有する太陽電池が好ましく、ヘテロ接合太陽電池がより好ましい。
本発明の太陽電池モジュールを構成する太陽電池は特に限定されず、結晶シリコン太陽電池や、GaAs等のシリコン以外の半導体基板が用いられる太陽電池等、太陽電池間を配線材によりインターコネクトするタイプのものであれば、どのような太陽電池であってもよい。中でも、非晶質半導体層を有する太陽電池が好ましく、ヘテロ接合太陽電池がより好ましい。
以下、ヘテロ接合太陽電池を例として、太陽電池の構成をより詳細に説明する。ヘテロ接合太陽電池は、一導電型の単結晶シリコン基板の表面に、単結晶シリコンとはバンドギャップの異なるシリコン系薄膜を有することで、拡散電位が形成された結晶シリコン系太陽電池である。シリコン系薄膜としては、非晶質のものが好ましい。中でも、拡散電位を形成するための導電型非晶質シリコン系薄膜と結晶シリコン基板の間に、薄い真性の非晶質シリコン層を介在させたものは、変換効率の最も高い結晶シリコン太陽電池の形態の一つとして知られている。
図19は、一実施形態に係るヘテロ接合太陽電池の模式的断面図である。図19に示す太陽電池101は、光電変換部50として、基板1の一方の面(光入射側の面、受光面)上に、導電型シリコン系薄膜3aおよび透明電極層6aをこの順に有する。基板1の他方の面(光入射側と反対の面、裏面)上に、導電型シリコン系薄膜3bおよび透明電極層6bをこの順に有する。光電変換部50表面の透明電極層6a上には、集電極7が設けられており、透明電極層6b上には、裏面電極8が積層されている。太陽電池101は、基板1と導電型シリコン系薄膜3a,3bとの間に、真性シリコン系薄膜2a,2bを有することが好ましい。
基板1は、一導電型単結晶シリコン基板によって形成されている。一般的に単結晶シリコン基板には、シリコン原子に電子を導入するための原子(例えばリン)を含有させたn型と、シリコン原子に正孔を導入する原子(例えばホウ素)を含有させたp型がある。すなわち、「一導電型」とは、n型またはp型のどちらか一方であることをいう。つまり、基板1は、n型またはp型のどちらか一方であることを意味する。本実施形態において、基板1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。
基板1は、表面にテクスチャ構造を有することが好ましい。すなわち、基板1を基体として形成される光電変換部50もテクスチャ構造を備えることが好ましい。この場合、太陽電池101は、入射した光を光電変換部50に閉じ込めることができ、発電効率が向上する。
基板1の厚みは、光入射により生成された光キャリアの再結合中心の数が減少するという観点から薄い方が好ましく、この場合、薄膜化により、低コスト化、低資源化が見込める。基板1の厚みは、250μm以下が好ましく、170μm以下がより好ましく、120μm以下が特に好ましい。基板1の厚みは、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、80μm以上が特に好ましい。基板1の厚みが上記範囲である場合、通常は、配線材との接合の際、セル端部に応力がかかりやすく破損が生じやすい。本発明においては、所定の凹凸が形成された配線材を用いることにより、セルの破損を抑制することができる。
シリコン系薄膜2a,3a,2b,3bの製膜方法としては、プラズマCVD法が好ましい。導電型シリコン系薄膜3a,3bは、一導電型または逆導電型のシリコン系薄膜である。「逆導電型」とは、「一導電型」と異なる導電型であることをいう。例えば、「一導電型」がn型である場合には、「逆導電型」はp型である。本実施形態では、導電型シリコン系薄膜3aは、逆導電型シリコン系薄膜であり、導電型シリコン系薄膜3bは、一導電型シリコン系薄膜であることが好ましい。シリコン系薄膜としては、非晶質シリコン薄膜、微結晶シリコン(非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む薄膜)等が挙げられる。中でも非晶質シリコン系薄膜を用いることが好ましい。本実施形態では、導電型シリコン系薄膜3aがp型非晶質シリコン系薄膜であり、導電型シリコン系薄膜3bがn型非晶質シリコン系薄膜であることが好ましい。
真性シリコン系薄膜2a,2bとしては、シリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコンが好ましい。
太陽電池101の光電変換部50は、導電型シリコン系薄膜3a,3b上に、透明電極層6a,6bを備えることが好ましい。透明電極層6a,6bは、導電性酸化物を主成分とすることが好ましい。導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化インジウム、酸化錫を単独または混合して用いることができる。導電性、光学特性、および長期信頼性の観点から、酸化インジウムを含んだインジウム系酸化物が好ましく、中でも酸化インジウム錫(ITO)を主成分とするものがより好ましい。ここで「主成分とする」とは、含有量が50重量%より多いことを意味し、70重量%以上が好ましく、90%重量以上がより好ましい。透明電極層は、単層でもよく、複数の層からなる積層構造でもよい。
透明電極層には、ドーピング剤を添加することができる。例えば、透明電極層として酸化亜鉛が用いられる場合、ドーピング剤としては、アルミニウムやガリウム、ホウ素、ケイ素、炭素等が挙げられる。透明電極層として酸化インジウムが用いられる場合、ドーピング剤としては、亜鉛や錫、チタン、タングステン、モリブデン、ケイ素等が挙げられる。透明電極層として酸化錫が用いられる場合、ドーピング剤としては、フッ素等が挙げられる。
ドーピング剤は、受光面側の透明電極層6aおよび裏面側の透明電極層6bの一方もしくは両方に添加することができる。特に、受光面側の透明電極層6aにドーピング剤を添加することが好ましい。受光面側の透明電極層6aにドーピング剤を添加することで、透明電極層自体が低抵抗化されるとともに、透明電極層6aと集電極7との間での抵抗損を抑制することができる。
受光面側の透明電極層6aの膜厚は、透明性、導電性、および光反射低減の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。透明電極層6aの役割は、集電極7へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよく、膜厚は10nm以上であることが好ましい。膜厚を140nm以下にすることにより、透明電極層6aでの吸収ロスが小さく、透過率の低下に伴う光電変換効率の低下を抑制することができる。また、透明電極層6aの膜厚が上記範囲内であれば、透明電極層内のキャリア濃度上昇も防ぐことができるため、赤外域の透過率低下に伴う光電変換効率の低下も抑制される。
透明電極層の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法等の物理気相堆積法や、有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積(MOCVD)法等が好ましい。
受光面側の透明電極層6a上には、集電極7が形成される。集電極7の材料は、特に限定されず、金、銀、銅、アルミ等を用いることができるが、導電率の点から、銀や銅を用いることが好ましい。集電極7は、インクジェット法、スクリーン印刷法、導線接着法、スプレー法、真空蒸着法、スパッタ法等の公知技術によって作製でき、生産性の観点から、銀ペーストを用いたスクリーン印刷法や、銅を用いたメッキ法等が好ましい。集電極7は受光面側に形成されるため、遮光損をより抑制できる観点から、櫛形状に形成することが好ましい。集電極7は、単層でもよく、複数層でもよい。
集電極7は、図2に示したように、複数のフィンガー電極71と、複数のフィンガー電極を接続するバスバー電極72により構成されていてもよいし、複数のフィンガー電極71のみから構成されていてもよい。
裏面側の透明電極層6bの上には、裏面電極8が形成される。裏面電極8としては、金属膜や導電性ペースト等を用いることができ、低抵抗化の観点から、金属膜を用いることが好ましい。裏面電極8は、単層でもよく、複数層でもよく、コストや長期信頼性の観点から、複数層が好ましい。
裏面電極が複数層である場合、例えば、裏面側の透明電極層6b側から順に、第一導電層および第二導電層からなる2層構造が挙げられる。この際、第一導電層の材料としては、近赤外から赤外域の反射率が高く、導電性や化学的安定性が高い材料を用いることが望ましい。このような材料としては、銀、金、アルミニウム等が挙げられる。中でも、銀を用いることが特に好ましい。第二導電層の材料としては、コスト抑制の観点からアルミニウム、銅を用いることが好ましく、導電率の観点から銅を主成分とすることがより好ましい。
裏面電極として、例えば、銅を主成分とした第二導電層を用いる場合等には、第二導電層の酸化や、封止材への拡散の抑制のため、第二導電層上にさらに導電性保護層を形成することが好ましい。導電性保護層の材料として、変性を抑制できる観点からは銀が好ましく、より酸化されにくく、より低コストで作製できる観点からは、チタンや錫、クロム等がより好ましい。
裏面電極8は、集電極7と同様の櫛形状であってもよい。この場合、太陽電池の両面を受光面として利用できる。そのため、太陽電池モジュールの裏面保護材を透光性とすることにより、両面受光型の太陽電池モジュールとすることが可能である。
(太陽電池モジュールの作製方法)
太陽電池モジュールの作製においては、まず、複数の太陽電池100が配線材300を介して互いに接続された、太陽電池ストリングを作製する。上記のとおり、太陽電池100と配線材300とは、樹脂製接着剤400を介して接続されることが好ましい。この太陽電池ストリングが、封止材203を介して、受光面側保護材201および裏面側保護材202に挟持され、太陽電池モジュールが形成される。この際、図1に示すように、受光面側保護材201上に、封止材203、太陽電池ストリング、封止材203および裏面側保護材202を順次積層して積層体とすることが好ましい。その後、上記積層体を所定条件で加熱することにより、封止材203を硬化させることが好ましい。そして、アルミニウムフレーム(不図示)等を取り付けることで太陽電池モジュール200を作製することができる。
太陽電池モジュールの作製においては、まず、複数の太陽電池100が配線材300を介して互いに接続された、太陽電池ストリングを作製する。上記のとおり、太陽電池100と配線材300とは、樹脂製接着剤400を介して接続されることが好ましい。この太陽電池ストリングが、封止材203を介して、受光面側保護材201および裏面側保護材202に挟持され、太陽電池モジュールが形成される。この際、図1に示すように、受光面側保護材201上に、封止材203、太陽電池ストリング、封止材203および裏面側保護材202を順次積層して積層体とすることが好ましい。その後、上記積層体を所定条件で加熱することにより、封止材203を硬化させることが好ましい。そして、アルミニウムフレーム(不図示)等を取り付けることで太陽電池モジュール200を作製することができる。
受光面側保護材201は、複数の太陽電池100のそれぞれの受光面側に配置され、太陽電池モジュールの表面を保護することが好ましい。受光面側保護材としては、透光性および遮水性を有するガラス、透光性プラスチック等を用いることができる。裏面側保護材202は、複数の太陽電池100のそれぞれの裏面側に配置され、太陽電池モジュールの裏面を保護することが好ましい。裏面側保護材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム、アルミニウム箔を樹脂フィルムでサンドイッチした構造を有する積層フィルム等を用いることができる。
封止材203は、受光面側保護材201と裏面側保護材202との間で太陽電池ストリングを封止する。封止材として、高密度ポリエチレン(HDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、シリコン、ウレタン、アクリル、エポキシ等の透光性の樹脂を用いることが好ましい。
以上のようにして太陽電池モジュール200を作製することができるが、本発明の太陽電池モジュールの構成および作製方法は上記に限定されるものではない。
以下、図19に示すヘテロ接合太陽電池を備える太陽電池モジュールに関する実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例は、Synopsys社製の「LightTools」を使用して、レイ・トレーシングシミュレーションにて実施した。
(実施例1)
実施例1のヘテロ接合太陽電池におけるシミュレーションモデルを以下のように設定した。
実施例1のヘテロ接合太陽電池におけるシミュレーションモデルを以下のように設定した。
表面に凹凸形状を有する厚み200μmの一導電型単結晶シリコン基板1の受光面側に、真性シリコン系薄膜2aとしてi型非晶質シリコンを5nmの膜厚で配置し、その上に、逆導電型シリコン系薄膜3aとしてp型非晶質シリコンを7nmの膜厚で配置した。次に、一導電型単結晶シリコン基板1の裏面側に、真性シリコン系薄膜2bとしてi型非晶質シリコン層を6nmの膜厚で配置し、その上に、一導電型シリコン系薄膜3bとしてn型非晶質シリコン層を4nmの膜厚で配置した。逆導電型シリコン系薄膜3aおよび一導電型シリコン系薄膜3bの上に、透明電極層6aおよび6bとして、各々酸化インジウム錫(ITO、屈折率:1.9)を100nmの膜厚で配置した。
この際、受光面側の透明電極層6aにおける光の干渉はレイトレーシングでは取り扱えないため、特性マトリクスを利用して、様々な入射角における透明電極層6aの透過率および反射率を計算し、コーティングファイルとして計算に取り込んだ。更に、裏面側の全面に、裏面電極8としてAg層を100nmの膜厚で配置した。これらの材料に用いたパラメータは、一般的な材料のパラメータを用いた。
上記受光面側の透明電極層6a上には、スクリーン印刷法を用いてAgペーストにて集電極7を形成した。集電極7上に、幅1.5mm、厚さdt220μmの配線材を52mm間隔で3本配置した。配線材上には、図7に示す角度θ=30°の四角錐を、角度φ=90°として配置した。この際、四角錐の底面の長さxを177μm、四角錐の高さdを51μmとし、また、凹凸表面は100%光が反射するとして取り扱った。このように設定した太陽電池の両側を、封止材として厚み600μmのEVAで封止し、受光面側保護材として厚さ3mmのガラスを設置した。
照射光の光源サイズは太陽電池と同じ面積とし、境界条件としては、配線材で反射されて太陽電池の外側に漏れた光はカウントしないものとした。これは、配線材の大部分が、太陽電池の周縁部から比較的離れた位置に配置されているため、隣のセルからの影響が小さいと考えらえるためである。そして、入射光の入射角度γを0°から75°まで5°刻みで変化させ、それぞれの入射角において、太陽電池の短絡電流密度(Jsc)を計算した。計算したJscの値を用いて、100%の反射率を持つ完全に平坦な配線材を用いた場合におけるJscからの増加率を求めた。Jscを計算する際、入射光の入射角度は一定とし、様々な方向から太陽電池に降り注ぐように設定した。
(実施例2)
配線材上の四角錐の角度θをθ=25°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上の四角錐の角度θをθ=25°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(実施例3)
配線材上の四角錐の角度θをθ=35°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上の四角錐の角度θをθ=35°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(実施例4)
配線材の角度φをφ=75°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材の角度φをφ=75°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(実施例5)
配線材の角度φをφ=85°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材の角度φをφ=85°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(比較例1)
図9に示されているように配線材上に凹凸を形成した。この際、配線材の幅方向の断面において、凸部の底面の幅(三角形の底辺の長さ)は250μmとし、凸部の傾斜角度(三角形の底角の大きさ)を30°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
図9に示されているように配線材上に凹凸を形成した。この際、配線材の幅方向の断面において、凸部の底面の幅(三角形の底辺の長さ)は250μmとし、凸部の傾斜角度(三角形の底角の大きさ)を30°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(比較例2)
図12に示されているように配線材上に凹凸を形成した。この際、配線材の角度φをφ=45°とし、凸部の底面の幅を250μmとしたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
図12に示されているように配線材上に凹凸を形成した。この際、配線材の角度φをφ=45°とし、凸部の底面の幅を250μmとしたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(比較例3)
配線材上の四角錐の角度θをθ=20°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上の四角錐の角度θをθ=20°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(比較例4)
配線材上の四角錐の角度θをθ=40°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上の四角錐の角度θをθ=40°としたことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
図20に、実施例1、比較例1および比較例2における、平坦な配線材を用いた場合からのJscの増加率を示す。図9に示されている配線材の構造を有する比較例1では、入射角度γが30°程度までは、図10のように配線材上の入射光を太陽電池の受光面に取り込むことができていると考えられるが、入射角が30°程度から急激にJscの増加率が低下していることが分かる。これは、図11に示した例のように、配線材上の凹凸で反射した光が太陽電池モジュール最表面で全反射せず、太陽電池に再び戻ってこないこと等に起因すると考えられる。
比較例2においては、前述したように凹凸での2回反射等が抑制されるため、入射角度が大きい場合においても、ある程度のJsc増加率が見られる。しかしながら、入射角が0°(太陽電池モジュールに対して垂直入射)の場合は、配線材上の凹凸で反射した光が太陽電池に取り込まれずに再び配線材に戻ってくることによると考えられるJsc増加率の低下が見られる。
これに対し、実施例1においては、入射角が50°程度まで高いJsc増加率を保っていることが分かる。また、入射角55°〜60°程度において、Jsc増加率が大きく低下しているが、通常、60°以下程度の入射角で一日の電力生産量の大部分を生産することができるため、太陽電池モジュールの電力生産量には大きく寄与しないと考えてよい。
図21に、実施例1〜実施例3のシミュレーション結果を示す。図21から分かるように、四角錐の角度θが30°であるときに、最もJsc増加率が大きな入射角まで保たれていることが分かる。このようにθ=30°のときが最も好ましくなるが、25°≦θ≦35°の範囲ではJsc増加率が比較的高く、一日の太陽電池モジュールの電力生産量が高くなると考えられる。
図22に、配線材上の四角錐の角度φとJsc増加率との関係を示す。四角錐の角度φが、85°以上のときに特に、大きな入射角までJsc増加率が高く保たれており、φ=90°のときが最も良いことが分かる。このことから、四角錐の角度φは75°以上が好ましく、85°以上が特に好ましく、90°が最も好ましいことが分かる。
(実施例6)
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.9)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.9)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(実施例7)
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.8)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.8)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(実施例8)
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.7)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.7)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(実施例9)
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.6)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.6)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
(実施例10)
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.5)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
配線材上に配置する凹凸の形状を図16(a)に示す略四角錐(d/do=0.5)に変更したことを除き、実施例1と同様にシミュレーションを行った。
図23に、略四角錐の高さとJsc増加率との関係を示す。d/doの値が1より小さくなるほど、Jsc増加率は低くなる傾向があるものの、いずれの実施例も比較例1および比較例2に比べて高いJsc増加率を示している。この結果から、配線材上に形成された凹凸の形状は、完全な四角錐である必要はなく、頂部が欠けた略四角錐であってもよいことが分かる。
例えば、金型を用いて配線材の凹凸を形成する場合、当初の金型では完全な四角錐の凹凸が形成されていても、時間の経過とともに金型が変形し、四角錐の頂部が欠けた凹凸が形成される場合がある。図23の結果からは、多少変形した金型を用いて凹凸が形成された場合であっても、太陽電池モジュールの特性が保持されると考えられる。そのため、金型の交換頻度を少なくすることができ、太陽電池モジュールの製造コストの低減や製造効率の向上に繋がると考えられる。
以上、実施例で説明したように、本発明によれば、配線材に適用する凹凸構造として、略四角錐の底面と側面とのなす角度θが20°<θ<40°を満たし、かつ、配線材の幅方向に平行な線と、略四角錐の稜線とのなす角度φが45°<φ≦90°を満たすことにより、入射光の角度が30°を超えた場合でも、配線材で反射した光が受光面側保護材で再度反射され、太陽電池の受光面に入射させることができるため、太陽電池モジュールの実発電を向上させることができる。
1.一導電型単結晶シリコン基板
2a,2b.真性シリコン系薄膜
3a,3b.導電型シリコン系薄膜
6a,6b.透明電極層
7.集電極
71.フィンガー電極
72.バスバー電極
8.裏面電極
50.光電変換部
100,101,110.太陽電池
200.太陽電池モジュール
201.受光面側保護材
202.裏面側保護材
203.封止材
300,310,320,500,510.配線材
400.樹脂性接着剤
2a,2b.真性シリコン系薄膜
3a,3b.導電型シリコン系薄膜
6a,6b.透明電極層
7.集電極
71.フィンガー電極
72.バスバー電極
8.裏面電極
50.光電変換部
100,101,110.太陽電池
200.太陽電池モジュール
201.受光面側保護材
202.裏面側保護材
203.封止材
300,310,320,500,510.配線材
400.樹脂性接着剤
Claims (7)
- 太陽電池と、配線材と、前記太陽電池の受光面側に設けられた受光面側保護材と、前記太陽電池の裏面側に設けられた裏面側保護材と、前記受光面側保護材および前記裏面側保護材の間に充填された封止材と、を備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池は、受光面側に集電極を有し、
前記太陽電池の集電極と前記配線材の裏面側の面とが接着されており、
前記太陽電池の集電極上に位置する前記配線材の受光面側の面に、複数の略四角錐の凸部からなる凹凸が形成され、
前記凸部は、少なくとも一方向に並ぶように設けられ、
前記略四角錐の底面と側面とのなす角度θが、20°<θ<40°を満たし、
平面視において、前記配線材の幅方向に平行な線と、前記略四角錐の稜線とのなす角度φが、45°<φ≦90°を満たし、
前記太陽電池は、前記封止材により前記受光面側保護材および前記裏面側保護材の間に封止されており、
前記配線材を介して、前記太陽電池が他の太陽電池または外部回路と接続されている、太陽電池モジュール。 - 前記角度θが、25°≦θ≦35°を満たす、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 前記角度φが、80°≦φ≦90°を満たす、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
- 前記太陽電池の集電極上に位置する前記配線材の受光面側の全面に、前記凹凸が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記凸部の高さをd、前記配線材の厚みをdt、および前記太陽電池の受光面から前記受光面側保護材までの前記封止材の厚みをDとしたとき、d=20μm〜90μm、dt=150μm〜300μm、およびD=400μm〜900μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記太陽電池の集電極と前記配線材の裏面側の面とが、導電性微粒子を含有する樹脂製接着剤により接着されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記他の太陽電池は、裏面側に裏面電極を有し、
前記他の太陽電池の裏面電極と前記配線材の受光面側の面とが接着されており、
前記他の太陽電池の裏面電極と接する前記配線材の面にも、前記凹凸が形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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JP2021093393A (ja) * | 2019-12-06 | 2021-06-17 | 株式会社カネカ | 太陽電池モジュール及び太陽電池モジュール製造方法 |
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- 2015-03-26 JP JP2015065335A patent/JP2016086154A/ja active Pending
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