JP2016084673A - 圧力調整機能を有するダンパー装置、および圧力調整機能を有するダンパー装置を備えた防火扉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダンパー装置20は、付室3と隣接室2との差圧によって開閉する羽根21Aと、羽根21Aに連結された連結部材22と、羽根21Aに連結部材22を介して連結され、羽根21Aの開閉に連動して開閉駆動される羽根21Bと、を備える。このようなダンパー装置20は、付室3と隣接室2とを区画する防火扉10に備えられる。
【選択図】図4
Description
また、付室と廊下との間には防火扉が設けられ、火災発生時には、この防火扉を開き、廊下から付室を経て特別避難階段や非常用エレベータを用いて避難する。
しかし、前者の方法では、付室と廊下との差圧をセンサーで検出してファンの作動を制御しなければならないため、その制御システムが複雑なものとなってしまう。後者の方法では、差圧ダンパーの設置スペースの確保が必要であったり、差圧ダンパーの重量を支持するために壁の補強が必要となる。
このような構成を採用することによって、付室と廊下との差圧を検出して制御を行う複雑なシステムが不要となる。また、防火扉にダンパーを備えるので、壁に設置する必要も無い。
したがって、付室を構成する壁や天井を、高い圧力に耐えうるように構成しなければならず、付室を構成する部材コストや施工コストが高くなってしまう。また、付室に面して非常用エレベータが設けられている場合、付室の圧力が高くなると、非常用エレベータの扉にも過剰な圧力がかかるため、開閉扉がスライドしにくくなってしまう。
すなわち、本発明は、付室と、前記付室に隣接する隣接室との間に設けられる圧力調整機能を有するダンパー装置であって、前記付室と前記隣接室との差圧によって開閉する開閉羽根と、前記開閉羽根に連結された連結部材と、前記開閉羽根に前記連結部材を介して連結され、前記開閉羽根の開閉に連動して開閉駆動される従動羽根と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、火災発生時に、付室を構成する特別避難階段や非常用エレベータの付室の圧力が高められると、付室の外部である廊下等の隣接室との間で差圧が生じる。この差圧が大きくなると、開閉羽根が押圧されて、開閉羽根が開く。すると、開閉羽根が開く動作が、連結部材を介して従動羽根に伝達され、従動羽根が、開閉羽根に連動して開く。また、差圧が小さくなれば、開閉羽根が閉じる方向に回動し、これに連動して従動羽根が閉じる。
このようにして、モーターや、制御部を用いることなく、簡易な構成で開閉するダンパー装置を構成することができる。
そして、このようなダンパー装置の開閉羽根および従動羽根を開くことで、付室と隣接室との差圧を下げ、付室内の圧力が過度に高くなるのを抑えることができる。
このような構成によれば、付室と隣接室との差圧によって開閉羽根に作用する回転モーメントが、トルク調整機構が付与する抵抗力によって開閉羽根に作用する回転モーメントよりも大きくなると、開閉羽根が開く。このようにして、開閉羽根および従動羽根が開くタイミング(圧力)を設定することができる。
これにより、付室内の圧力が設定圧力に到達したときに、従動羽根を全開状態とすることで、付室から隣接室への通気量を有効に確保することができる。
このような構成によって従動羽根が開閉羽根と連動して開き、付室内の圧力が高まって設定圧力に到達したときに、従動羽根が全開状態となる。
回転軸を水平方向に延びるように設けた場合、開閉羽根や従動羽根の自重が回転軸に作用するため、開閉羽根及び従動羽根の回動動作が重くなる。これに対し、回転軸を鉛直方向に延びるように設けることで、開閉羽根および従動羽根はその下端部において荷重が支持される。これにより、開閉羽根及び従動羽根の回動動作を軽くし、付室と隣接室との差圧によって確実に開閉させることができる。
このようにすると、従動羽根に、付室と隣接室との差圧が作用しても、回転軸の一方の側の羽根体と、回転軸の他方の側の羽根体に、それぞれ差圧が作用するため、この差圧によって従動羽根を回動させる力は生じない。これにより、従動羽根は、開閉羽根の回動動作に確実に連動して回動する。
上記のような圧力調整機能を有するダンパー装置を防火扉に備えることで、ダンパー装置を防火扉とは別に設ける必要がない。ダンパー装置を防火扉と別に設ける場合、その設置スペースが必要となるほか、ダンパー装置の重量を支持するために、ダンパー装置を設ける壁等を補強する必要がある。しかし、圧力調整機能を有するダンパー装置を防火扉に設ければ、設置スペースや補強も不要となる。
このように、面積が小さな扉体にダンパー装置を設ければ、面積が大きな扉体を軽くすることができ、この大きな扉体を容易に開くことができる。これにより、避難者が大きな扉体を開いて容易に避難することが可能となる。
図1は、本実施形態に係る圧力調整機能を有するダンパー装置を備えた防火扉が建物内に配置された状況を示す平面図である。図2は、防火扉の正面図である。図3は、防火扉に備えたダンパー装置を示す図であり、ダンパー装置の全閉状態を示す平断面図である。図4は、防火扉に備えたダンパー装置を示す図であり、ダンパー装置の全開状態を示す平断面図である。
図1に示すように、防火扉10は、複数の室1が面した廊下等の隣接室2と、付室3との間に、これら隣接室2と付室3とを区画するように設けられている。
ここで、付室3には、特別避難階段4と、非常用エレベータ5とが設けられている。
また、付室3には、給気ファン(図示無し)にダクト(図示無し)を通じて接続された給気口6が設けられており、給気口6を通じて外気を付室3内に取り込むことができるようになっている。
このダンパー装置20は、子扉12の外周部を形成する外枠部13の内側に設けられている。さらに、ダンパー装置20を構成するこれら羽根21、連結部材22、トルク調整機構23は、子扉12において、隣接室2に面する側と、付室3に面する側とが、それぞれ通気カバー17により覆われている。通気カバー17は、指が入らない程度の大きさのスリットや孔、開口部等が多数形成され、通気性を確保しつつ、指がダンパー装置20に触れないようになっている。この通気カバー17は、外周部が外枠部13に固定されて設けられている。
羽根21Aの先端羽根部26の根元には、連結部材22に向けて延びる連結アーム30が固定されている。連結アーム30の先端部は、連結部材22に対してピン31を介して回動自在に連結されている。
各羽根21Bにおいて、羽根21Aから離れた側の羽根部28の端部には、連結アーム32の一端がピン33を介して回動自在に連結されている。連結アーム32の他端はピン34を介して連結部材22に回動自在に連結されている。連結部材22は、子扉12の幅方向に延び、複数の羽根21Bが、水平方向に間隔をあけて連結アーム32を介して連結されている。
また、図4に示すように、ダンパー装置20が開状態にあるときには、羽根21Aは、閉状態の位置から隣接室2側に回転する。羽根21Aが開放状態となったときに、連結部材22を介して連動する他の羽根21Bは、それぞれ、一方の羽根部28の先端部が隣接室2側に位置し、他方の羽根部28の先端部が付室3側に位置して全開状態となる。
そして、羽根21Aは、トルク調整機構23によって、ある角度を保持して釣り合い状態となる。この釣り合い状態において、羽根21Aに対して連結部材22、連結アーム30、32を介して連結された羽根21Bが、羽根21Aに連動して全開状態となることで、ダンパー装置20における開口面積を広く取ることが可能となる。
また、ダンパー装置20は、通常時においては、図3に示すように、羽根21Aおよび他の羽根21Bが全閉状態とされ、隣接室2側と付室3側とを区画している。
なお、この状態で、他の羽根21Bは、回転軸27を挟んで一方の側の羽根部28と他方の側の羽根部28とに、それぞれ隣接室2側と付室3側との差圧による圧力P1が作用する。したがって、他の羽根21Bには、これを回動させる力は生じない。
このようにして、ダンパー装置20が全閉状態にあることによって、隣接室2側と付室3側との差圧が維持され、付室3への煙の侵入が防止される。
すると、羽根21Aによって移動する連結部材22により、他の羽根21Bが回転軸27周りに開く方向に回動する。
このような構成によれば、モーターや、制御部を用いることなく、簡易な構成で開閉するダンパー装置20を構成することができる。
そして、このようなダンパー装置20の羽根21Aおよび羽根21Bは、防火扉10の開閉動作にかかわらず、付室3の圧力に応じて自動的に開閉し、付室3の圧力が過度に高くなるのを抑えることができる。これにより、簡易な構成でありながら、付室3内の強度を特に高める必要も無く、付室3内の圧力が過度に高くなるのを抑え、確実かつ容易に防火扉10を開くことが可能となる。
そして、付室3内の圧力が予め設定した第一設定圧力(例えば30Pa)に到達したら羽根21Aが開きはじめ、第二設定圧力に到達したら、羽根21Aおよび羽根21Bが全開状態となる。このようにして、ダンパー装置20を所定の圧力で確実に開くように設定することができる。
これにより、付室3内の圧力が過度に高くなるのを確実に防止することができる。また、羽根21Bを確実に全開状態とすることで、所要の通気量を確保しつつ、ダンパー装置20の面積を小さく抑えることができる。
なお、本発明の圧力調整機能を有するダンパー装置、および圧力調整機能を有するダンパー装置を備えた防火扉は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、ダンパー装置20を構成する羽根21Bの枚数については何ら限定するものではない。また、トルク調整機構23を備えた羽根21Aと、羽根21Aに連結部材22を介して連結された羽根21Bとを、複数組み備えるようにしてもよい。
さらに、ダンパー装置20は、防火扉10以外の壁に設けることも可能である。
また、ダンパー装置20を設置する場所として取り上げた付室3は、建築基準法で定められた付室に限定されず、加圧された室としてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
2 隣接室
3 付室
4 特別避難階段
5 非常用エレベータ
10 防火扉
11 親扉(扉体)
12 子扉(扉体)
20 ダンパー装置
21 羽根
21A 羽根(回転羽根)
21B 羽根(従動羽根)
22 連結部材
23 トルク調整機構
24、27 回転軸
26 先端羽根部
25、28 羽根部(羽根体)
30 連結アーム
31 ピン
32 連結アーム
33,34 ピン
Claims (7)
- 付室と、前記付室に隣接する隣接室との間に設けられる圧力調整機能を有するダンパー装置であって、
前記付室と前記隣接室との差圧によって開閉する開閉羽根と、
前記開閉羽根に連結された連結部材と、
前記開閉羽根に前記連結部材を介して連結され、前記開閉羽根の開閉に連動して開閉駆動される従動羽根と、
を備えることを特徴とする圧力調整機能を有するダンパー装置。 - 前記開閉羽根は、前記付室と前記隣接室との差圧による圧力に抗する方向の抵抗力を付与するトルク調整機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整機能を有するダンパー装置。
- 前記付室内の圧力が予め定めた設定圧力に到達したときに、前記従動羽根が全開状態となるよう、前記トルク調整機構の前記抵抗力が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の圧力調整機能を有するダンパー装置。
- 前記開閉羽根から延びる第一の連結アームと前記連結部材とが、ピン接続により回動自在に連結されるとともに、
第二の連結アームの両端に前記従動羽根と前記連結部材とがそれぞれピン接続により回動自在に連結され、
前記付室内の圧力が予め定めた設定圧力に到達したときに、前記従動羽根が全開状態となる請求項3に記載の圧力調整機能を有するダンパー装置。 - 前記従動羽根は、前記従動羽根を回動可能に支持する回転軸の両側に、対称となる羽根体を備えていることを特徴とする請求項4に記載の圧力調整機能を有するダンパー装置。
- 前記付室と前記隣接室とを区画し、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力調整機能を有するダンパー装置を備えていることを特徴とする防火扉。
- 互いに面積の異なる複数枚の扉体から構成され、前記圧力調整機能を有するダンパー装置は、面積が小さな前記扉体に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の防火扉。
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