JP2016083696A - マグネシウム合金板材、マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金製品、マグネシウム合金製品の製造方法及びマグネシウム合金最終製品 - Google Patents

マグネシウム合金板材、マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金製品、マグネシウム合金製品の製造方法及びマグネシウム合金最終製品 Download PDF

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【課題】低加工回数かつ低加工度でも高強度であって成形時に易成形性を示すとともに、塑性加工に用いられる例えば金型等と接触する部分が微細組織となるマグネシウム合金板材、マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金製品及びマグネシウム合金製品の製造方法を得る。【解決手段】このマグネシウム合金板材は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造された段階では、表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、鋳造後の塑性加工によって鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることを特徴とするものである。【選択図】図2

Description

本発明は、マグネシウム合金板材、マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金製品、マグネシウム合金製品の製造方法及びマグネシウム合金最終製品に関する。
マグネシウム合金は、軽量であるので、マグネシウム合金を加工用の素材として用いることにより、加工の際に鉄系材料に比べて省エネルギー化を実現することができる。また、マグネシウムは、海水中など、自然界に存在しており、資源量が豊富である。さらに、マグネシウム合金は、プラスチックと比較して、リサイクルしやすいことが知られている。
また、マグネシウム合金は、マグネシウム合金に添加する添加元素によって機械的性質を改善させたり耐熱性を向上させることができることが知られている。例えば、下記特許文献1には、マグネシウム合金にアルミニウム及びマンガンを添加することによって機械的性質及び耐熱性を向上させた耐熱マグネシウム合金が開示されている。
特開平05−33096号公報
上掲した特許文献1に記載の発明のように、例えばアルミニウム等の合金元素が添加されたマグネシウム合金は、添加元素による機械的性質や耐熱性の向上によって、マグネシウム合金に塑性加工を施す際に、熱間加工をする必要がある。そして、添加元素により向上した機械的性質や耐熱性によって、マグネシウム合金を加工するための加工温度は、マグネシウム合金の再結晶温度以上であって、さらに、マグネシウム合金の溶体化温度近傍まで上昇させる必要があった。その場合、マグネシウム合金の加工温度は非常に高温となり、高強度化されたマグネシウム合金を製造しても、非常に高温である加工温度によって再結晶や粒成長などが生じ、機械的性質が低下してしまうという課題があった。
上述した課題を解決するために、添加元素の見直しや塑性加工工程の見直しなどが行われている。しかしながら、添加元素などでマグネシウム合金に付与された耐熱性や金属組織的効果を低減することなく上述した課題を解決する技術の実現が望まれていた。
そこで、本発明は上述した課題の存在に鑑みて成されたものであり、その目的は、低加工回数かつ低加工度でも高強度であって成形時に易成形性を示すとともに、塑性加工に用いられる例えば金型等と接触する部分が微細組織となるマグネシウム合金板材、マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金製品、マグネシウム合金製品の製造方法及びマグネシウム合金最終製品を提供することにある。
本発明に係るマグネシウム合金板材は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造された段階では、表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、前記鋳造後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることを特徴とするものである。
また、本発明に係るマグネシウム合金板材は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造された後、凹凸を形成する除去加工が施されることによって表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、前記除去加工後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金板材は、前記マグネシウム複合材料が、アルミニウム、マンガン、亜鉛及びカルシウムのうち少なくとも1つの金属元素を含むこととすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金板材は、前記マグネシウム複合材料が、カルシウムを含有することとすることができる。
さらにまた、本発明に係るマグネシウム合金板材は、前記マグネシウム複合材料が、アルミニウムを6%以上10%以下含むこととすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金板材は、前記凹凸の高低差が、0.04mm以上0.3mm以下であることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金板材は、前記鋳造板では、金属間化合物の割合が、表層部では2%以上27%以下となるとともに、中央部では0.8%以上33%以下となっていることとすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金板材は、前記塑性加工が施されたマグネシウム合金板材が、降伏強度は、50MPa以上350MPa以下であることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金板材は、最大抗張力が、160MPa以上370MPa以下であることとすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金板材は、破断伸びが、1%以上37%以下であることとすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金板材は、表層部の厚みが、9μm以上361μm以下であることとすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金板材は、平均結晶粒径が、7μm以上34μm以下であることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金板材は、マグネシウム相の結晶粒径が、表層部では1μm以上75μm以下であるとともに、中央部では1μm以上36μm以下であることとすることができる。
本発明に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造が行われる段階で、表面に凹凸を有する鋳造板を鋳造し、前記鋳造後に行われる塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることを特徴とすることを特徴とするものである。
また、本発明に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造が行われた後、凹凸を形成する除去加工を施して表面に凹凸を有するマグネシウム鋳造板を製造し、さらに、塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、前記マグネシウム複合材料の温度が、635℃以上730℃以下に加熱された後、前記マグネシウム複合材料の温度が、380℃から450℃の範囲まで冷却され、さらに、前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることとすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、前記マグネシウム複合材料の温度が、630℃以上750℃以下に加熱された後、前記マグネシウム複合材料の温度が、440℃から550℃の範囲まで冷却され、さらに、前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることとすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、前記鋳造板の冷却速度が、1143K/s以下であることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、前記鋳造板の冷却速度が、30K/s以下であることとすることができる。
本発明に係るマグネシウム合金製品は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造された段階では、表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、前記鋳造後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることを特徴とするものである。
また、本発明に係るマグネシウム合金製品は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造された後、凹凸を形成する除去加工が施されることによって表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、前記除去加工後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金製品は、前記マグネシウム複合材料が、アルミニウム、マンガン、亜鉛及びカルシウムのうち少なくとも1つの金属元素を含むこととすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金製品は、前記マグネシウム複合材料が、カルシウムを含有することとすることができる。
さらにまた、本発明に係るマグネシウム合金製品は、前記マグネシウム複合材料が、アルミニウムを6%以上10%以下含むこととすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金製品は、前記凹凸の高低差が、0.04mm以上0.3mm以下であることとすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金製品は、前記塑性加工が施されたマグネシウム合金製品において、金属間化合物の割合が、表層部では2%以上3%以下となるとともに、中央部では1.5%となり、さらに、前記金属間化合物は、表層部では微細に分散しているとともに、中央部では点在していることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金製品は、表層部では、α−マグネシウム相と金属間化合物相とが積層状となっていることとすることができる。
本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造が行われる段階で、表面に凹凸を有する鋳造板を鋳造し、前記鋳造後に行われる塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることを特徴とするものである。
また、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造が行われた後、凹凸を形成する除去加工を施して表面に凹凸を有するマグネシウム鋳造板を製造し、さらに、塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記マグネシウム複合材料の温度が、635℃以上730℃以下に加熱された後、前記マグネシウム複合材料の温度が、380℃から450℃の範囲まで冷却され、さらに、前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることとすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記マグネシウム複合材料の温度が、630℃以上750℃以下に加熱された後、前記マグネシウム複合材料の温度が、440℃から550℃の範囲まで冷却され、さらに、前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることとすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記鋳造板の冷却速度が、1143K/s以下であることとすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記鋳造板の冷却速度が、30K/s以下であることとすることができる。
またさらに、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記塑性加工が、プレス加工であることとすることができる。
さらにまた、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記鋳造板を250℃以上に加熱するとともに金型で10秒以上300秒以下挟み込むことによってプレス加工を施すこととすることができる。
また、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記鋳造板に焼鈍しを施した後、前記塑性加工を施すこととすることができる。
さらに、本発明に係るマグネシウム合金製品の製造方法は、前記焼鈍しの温度が、250℃以上350℃以下であることとすることができる。
本発明に係るマグネシウム合金最終製品は、上述したマグネシウム合金板材又は上述したマグネシウム合金製品に対して、所望の形状を得るための成形加工を施すことで、マグネシウム合金板材又はマグネシウム合金製品の表層部に発生した残留応力が作用し、微細粒の形成が促進された組織を有することとすることができる。
本発明によれば、低加工回数かつ低加工度でも高強度であって成形時に易成形性を示すとともに、塑性加工に用いられる例えば金型等と接触する部分が微細組織となるマグネシウム合金板材、マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金製品、マグネシウム合金製品の製造方法及びマグネシウム合金最終製品を提供することができる。
本実施形態に係るマグネシウム鋳造板材を鋳造する鋳造装置の構成例を示す図である。 本実施形態に係るマグネシウム鋳造板材の断面観察写真を示す図であり、図2中の分図(a)は、AZX611を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板材のミクロ観察写真であり、図2中の分図(b)は、AZ61を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板材のミクロ観察写真である。 本実施形態に係るマグネシウム鋳造板材のSEM観察写真を示す図であり、図3中の分図(a)および分図(b)は、AZ61を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板材のSEM観察写真であり、図3中の分図(c)および(d)は、AZX612を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板材のSEM観察写真であり、図3中の分図(e)および(f)は、AZX6112を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板材のSEM観察写真である。 本実施形態に係るマグネシウム鋳造板のカルシウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図4中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。 本実施形態に係るマグネシウム鋳造板材に塑性加工として圧延を施したマグネシウム合金板材の測定結果を示す図であり、圧延工程を1回施した状態を示している。 本実施形態に係るマグネシウム鋳造板材に塑性加工として圧延を施したマグネシウム合金板材の測定結果を示す図であり、圧延工程を複数回施した状態を示している。 塑性加工としての圧延が複数回施された本実施形態に係るマグネシウム合金板材の断面観察写真を示す図であり、図7中の分図(a)および分図(b)は、それぞれ、総圧下率が10%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真であり、図7中の分図(c)および分図(d)は、それぞれ、総圧下率が20%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真であり、図7中の分図(e)および分図(f)は、それぞれ、総圧下率が30%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真であり、図7中の分図(g)および分図(h)は、総圧下率が40%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真である。 塑性加工としての圧延が複数回施された本実施形態に係るマグネシウム合金板材のSEM−EBSD観察を示す図であり、より詳しくは、圧延が施されて加工されたマグネシウム合金板材の凹凸の凹部が存在していた部分のIPF(Inverse Pole Figure)マップを示す図である。図8中の分図(a)は、比較例としての総圧下率(Reduction)が0%であるマグネシウム合金板材のIPFマップを示す図であり、図8中の分図(b)は、総圧下率(Reduction)が10%付与されたマグネシウム合金板材のIPFマップを示す図であり、また、図8中の分図(c)は、総圧下率(Reduction)が40%付与されたマグネシウム合金板材のIPFマップを示す図である。 本実施形態に係るマグネシウム合金製品の断面観察写真を示す図であり、AZX611を用いたマグネシウム合金製品のミクロ観察写真である。 本実施形態に係るマグネシウム合金製品の断面観察写真を示す図であり、図10中の分図(a)および図10中の分図(b)は、AZX611を用いたマグネシウム合金製品のSEM観察写真である。 本実施形態に係るマグネシウム鋳造板のカルシウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図11中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図11中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図11中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図11中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図11中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。 AZX系合金を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板のアルミニウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図12中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。 AMX系合金を用いて鋳造された鋳造板のアルミニウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図13中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
発明者らは、上述した課題の解決のために鋭意研究を行った結果、マグネシウム鋳造板の表面に凹凸を形成し、凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板に塑性加工を施すことにより、鋳造板の表層部に残留応力が付与され、当該残留応力の作用によって、低加工回数かつ低加工度でも高強度であって成形時に易成形性を示すとともに、塑性加工に用いられる例えば金型等と接触する部分が微細組織とすることができるとの知見を得た。そこで、以下に記す実施形態では、発明者らが見出したマグネシウム合金板材の製造方法およびかかる製造方法によって製造されたマグネシウム合金板材の特徴を示す分析結果および試験結果について説明することとする。
[マグネシウム合金板材]
本実施形態に係るマグネシウム合金板材は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造された段階では、表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、鋳造後の塑性加工によって鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることとなる。なお、本実施形態に係るマグネシウム合金板材は、薄板材および厚板材に適用することができる。
[マグネシウム鋳造板]
まず、本実施形態に係る凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板の製造方法について、説明する。
マグネシウム複合材料は、マグネシウムを主成分とし、これにアルミニウム、マンガン、亜鉛、カルシウムなどが含まれる。アルミニウムは、例えば、マグネシウムに対して0%以上11%以下添加することとすることができる。マンガンは、例えば、マグネシウムに対して0%以上0.5%以下添加することができ、また、亜鉛は、例えば、マグネシウムに対して0%以上2.5%以下添加することができる。カルシウムは、例えば、マグネシウムに対して0.5%以上12%以下添加することとすることができる。
マグネシウム複合材料としては、例えば、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛を添加したAZ合金や、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛とマンガンを添加したAZX合金や、マグネシウムに対してアルミニウムとマンガンとカルシウムを添加したAMX合金を用いることができる。より詳しくは、マグネシウム複合材料として、例えば、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛を添加したAZ31やAZ61やAZ91や、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛とカルシウムとを添加したAZX311やAZX611やAZX612やAZX615やAZX6112やAZX711やAZX811やAZX911やAZX1001や、マグネシウムに対してアルミニウムとマンガンとカルシウムとを添加したAMX301やAMX601やAMX701やAMX801やAMX901やAMX1001などを用いることができる。
マグネシウム複合材料は、例えば、双ロール鋳造法によって鋳造される。双ロール鋳造法は、溶解した金属材料である溶湯を、一対又は複数対のロールによって鋳造するものである。図1に示すように、双ロール鋳造装置1は、溶解した金属材料を保持する溶湯炉10と、金属材料を鋳造するための一対の鋳造ロール20と、を有して構成される。
溶湯炉10は、溶解した金属材料を溶湯として保持するるつぼである。溶湯炉10は、例えば、後述する一対の鋳造ロール20が配置される方向の一端側に、開口部11が形成される。開口部11は、溶湯を一対の鋳造ロール20の間に出すための出口となっている。
一対の鋳造ロール20は、金属材料を鋳造するためのものである。一対の鋳造ロール20は、回転可能な状態で配置される第一鋳造ロール21と第二鋳造ロール22とから構成される。なお、本実施形態に係る一対の鋳造ロール20(21,22)は、鋳造されるマグネシウム鋳造板の表面に凹凸を形成するために、凹凸形状に対応した孔型ロールを用いている。なお、一対の鋳造ロール20(21,22)のロール周速度は、特に限定されないが、20m/min以上30m/min以下とすることができる。
金属材料としてのマグネシウム複合材料は、例えば溶解したマグネシウム複合材料を保持する溶湯炉10で加熱され、溶解される。溶解した溶湯としてのマグネシウム複合材料は、溶湯炉10の一端側に設けられた開口部11から出湯され、マグネシウム複合材料を鋳造するための一対の鋳造ロール20(21,22)の間に供給され、マグネシウム鋳造板に形成する凹凸形状に対応した孔型を有する一対の鋳造ロール20(21,22)によって押圧されながら、一対の鋳造ロール20(21,22)の間を通過し、冷却され、マグネシウム鋳造板の表面に凹凸形状を有するマグネシウム鋳造板が製造される。ここで、図2は、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板の断面観察写真を示す図であり、図2中の分図(a)は、AZX611を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板のミクロ観察写真であり、図2中の分図(b)は、AZ61を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板のミクロ観察写真である。
図2に示すように、マグネシウム鋳造板の表面には凹凸が形成されており、凹凸の高低差は、0.04mm以上0.3mm以下とすることができる。このように、マグネシウム鋳造板の表面に凹凸を形成することで、マグネシウム鋳造板に形成された凹凸を加工する塑性加工によって当該凹凸が加工されると、残留応力が、マグネシウム鋳造板の板厚方向における表層部に、より多く付与されることとなる。平坦な鋳造板に塑性加工を施す場合、残留応力は鋳造板に一様に付与されることとなるが、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板のように凹凸が形成された鋳造板に塑性加工を施すと、マグネシウム鋳造板の中央部よりもマグネシウム鋳造板の表層部に残留応力をより多く付与することができるようになる。本実施形態に係るマグネシウム合金板材は、マグネシウム鋳造板の表層部により多く付与された残留応力によって、塑性加工を施したときに、微細粒の形成が促進されることとなる。
以上、本実施形態に係る凹凸を有するマグネシウム鋳造板の製造方法について、説明した。次に、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板の鋳造条件について、説明する。
マグネシウム複合材料は、マグネシウム複合材料の成分組成に応じて、例えば、635℃以上730℃以下に加熱され、一対の鋳造ロール20(21,22)の間に供給される。一対の鋳造ロール20(21,22)の間を通過した後のマグネシウム複合材料の温度は、一対の鋳造ロール20(21,22)によって熱を奪われて、一対の鋳造ロール20(21,22)の間を通過して300mm程度移動した地点において、板状とされたマグネシウム鋳造板の表面温度は、380℃から450℃の範囲まで冷却される。その後、一対の鋳造ロール20(21,22)から1000mm程度移動した地点では、マグネシウム鋳造板の表面温度は、略500℃まで上昇する。これは、マグネシウム鋳造板の内部(中央部)に生じた内部潜熱が、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)に放出されることによる。内部潜熱によるマグネシウム鋳造板の表面(表層部)の温度上昇により、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)には、粗大組織が形成されるとともに、マグネシウム鋳造板の内部(中央部)は、微細組織を維持することとなる。すなわち、冷却速度が、マグネシウム鋳造板の内部(中央部)と、一対の鋳造ロール20(21,22)に接触したマグネシウム鋳造板の表面(表層部)とで異なることによって、凝固形態も異なることとなる。より詳しくは、マグネシウム鋳造板の冷却速度は、一対の鋳造ロール20(21,22)を通過して50mm程度移動した地点において1143K/sとなり、一対の鋳造ロール20(21,22)を通過して300mm程度移動した地点において132K/sとなり、さらに、一対の鋳造ロール20(21,22)を通過して2000mm程度移動した地点において、61K/sとなる。そして、上述したように、一対の鋳造ロール20(21,22)から1000mm程度移動した地点では、マグネシウム鋳造板の中央部に生じた内部潜熱が、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)に放出されることによって、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)の温度が上昇する。そのため、鋳造の途中で、マグネシウム鋳造板の冷却速度は、−100K/sから−50K/sの範囲となることとなる。なお、単ロール法によりマグネシウム鋳造板が製造された場合には、マグネシウム鋳造板は、鋳造ロールと接触したマグネシウム鋳造板の一面と、鋳造ロールが接触した面とは反対側の面と、マグネシウム鋳造板の内部とで冷却速度が異なり、凝固形態も異なることとなる。
発明者らは、上述した条件で製造されたマグネシウム鋳造板について、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)(日本電子株式会社製、日本電子JCM−6000 Neo Scope及びEDSシステム)を用いて、反射電子(Backscattered Electron)を観察することにより組成像の観察を行うとともに、解析ソフト(株式会社ヒューリンクス社製、Hulinks Sigma Scan Pro)を用いた画像解析によって金属間化合物の面積割合の測定を行った。その結果を以下に示す。ここで、図2は、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板のSEM観察写真を示す図である。図2中の分図(a)および分図(b)は、AZ61を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板のSEM観察写真であり、図2中の分図(a)は、マグネシウム鋳造板に凹凸が形成された表層部を示す図であり、図2中の分図(b)は、マグネシウム鋳造板の内部である中央部を示す図である。図2中の分図(c)および(d)は、AZX612を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板のSEM観察写真であり、図2中の分図(c)は、マグネシウム鋳造板の表層部を示す図であり、図2中の分図(d)は、マグネシウム鋳造板の中央部を示す図である。図2中の分図(e)および(f)は、AZX6112を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板のSEM観察写真であり、図2中の分図(e)は、マグネシム鋳造板の表層部を示す図であり、図2中の分図(f)は、マグネシウム鋳造材の中央部を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板には、金属間化合物が形成されていることが分かる。また、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板において、鋳造時に現出した金属間化合物の面積割合の測定結果を表1に示す。なお、マグネシウム合金に形成される金属間化合物は、マグネシウム合金の変形を阻害する要因となり得るが、マグネシウム合金を約300℃に加熱することによって、所望の形状を得ることができるため、金属間化合物は存在しているままで良い。
表1に示すように、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が約0%であるAZ61、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が約1%であるAZX611、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が約2%であるAZX612、およびマグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が約5%であるAZX615を用いた場合、金属間化合物の面積割合は、中央部における面積割合よりも表層部における面積割合の方が大きいことが分かる。一方、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が約12%であるAZX6112を用いた場合、金属間化合物の面積割合は、中央部における面積割合よりも表層部における面積割合の方が小さくなっており、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が増加することによって、マグネシウム鋳造材の中央部と表層部とにおける金属間化合物の面積割合が逆転することが分かった。また、金属間化合物は、結晶粒が結晶方位差を有して接合する傾斜組織となっている。このような結晶組織を有していることによって、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板は、マグネシウムに添加される添加元素によって向上した、例えばクリープ特性や焼鈍し特性、耐熱性、耐燃焼性、耐食性などの性質を維持することができるようになっている。なお、上述したように付与された残留応力の一部が開放され、表層部の結晶組織が微細組織となっても良い。
また、発明者らは、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が機械的性質に与える影響について、分析を行った。マグネシウム複合材料としてAZ61合金に0wt%から12wt%のカルシウムが添加されたものを用いて、上述した鋳造条件により双ロール法によって鋳造されたマグネシウム鋳造板の機械的性質の測定を行った。最大抗張力(Ultimate Tensile Strength:UTS)、降伏強度(Yield Strength:YS)および破断伸び(Elongation:EL)の測定方法は、JIS規格に基づいて行った。引張試験では、試験片としてJIS規格の13B号または独自試験片形状を用いて、引張速度をクロスヘッド速度で2mm/minとして、測定を行った。ここで、独自試験片形状は、標準寸法において、板幅を3mmとし、標点間距離を30mmとした。また、ビッカース硬さ(HV)は、ビッカース硬さ試験機で300gの重りを30秒付与して測定を行った。さらに、平均結晶粒径の測定は、切片法を用いた。その結果を、図4に示す。ここで、図4は、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板のカルシウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図4中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図4中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。
図4に示すように、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が大きくなると、最大抗張力(UTS)、降伏強度(YS)およびビッカース硬さ(HV)は、大きくなることが分かった。一方、破断伸び(EL)は、カルシウムを添加することにより、カルシウムが添加されないAZ61合金よりも低下することが分かった。平均結晶粒径は、カルシウムを12wt%添加した場合に、小さくなった。
以上、マグネシウム鋳造板の鋳造条件および当該鋳造条件により鋳造されたマグネシウム鋳造板の分析結果について、説明した。次に、マグネシウム鋳造板が有する凹凸を加工する塑性加工について、説明する。
[塑性加工]
ここで、塑性加工とは、マグネシウム鋳造板に形成された凹凸を加工するものをいう。発明者らは、一般的な圧延機を用いて、上述したように凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板に、塑性加工としての圧延を施すために好適な圧延の条件の検討を行った。圧延機は、複数の圧延ロールを有しており、複数の圧延ロールの間にマグネシウム鋳造板を1回又は複数回通すことによって、マグネシウム鋳造板に圧延を施すことができるものである。マグネシウム複合材料としてAZ61を用いたマグネシウム鋳造板の圧延条件の検討の結果を、以下に示す。ここで、図5および図6は、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板に塑性加工として圧延を施したマグネシウム合金板材の測定結果を示す図である。図5中の分図(a)は、総圧下率(Reduction)をそれぞれ10%、20%、30%および40%として圧延工程を1回施したマグネシウム合金板材の断面観察写真を示しており、図5中の分図(b)は、当該圧延工程を1回施したマグネシウム合金板材の機械的性質の測定結果を示す図である。また、図6中の分図(a)は、総圧下率(Reduction)をそれぞれ10%、20%、30%および40%として圧延工程を複数回施したマグネシウム合金板材の断面観察写真を示しており、図6中の分図(b)は、当該圧延工程を複数回施したマグネシウム合金板材の機械的性質の測定結果を示している。なお、降伏強度(Yield Strength:YS)、最大抗張力(Ultimate Tensile Strength:UTS)、および破断伸び(Elongation:El)の測定方法は、国際規格に基づいて行った。
まず、凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板に圧延工程を1回施す場合、マグネシウム鋳造板を300℃に加熱し、それぞれ圧下率を10%、20%、30%および40%として、160℃に加熱された圧延ロールの間を、圧延ロールのロール周速度15m/minで1回通過(Single pass)させて圧延を施した。その結果、図5の分図(a)に示すように、総圧下率を大きくしていくと、勿論凹凸は減少していく。機械的性質については、総圧下率(Reduction)を大きくしていくと、降伏強度(YS)および最大抗張力(UTS)は上昇するのに対して、破断伸び(El)は減少していく。そして、マグネシウム鋳造板に対して、1回の総圧下率が40%程度の大圧下を付与すると、残留応力を有する表層部が消失してしまった。これは、圧延加工による発熱によるものと考えられる。なお、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板の圧延条件は、特に限定されないが、マグネシウム鋳造板を200℃以上450℃以下にするとともに圧延ロールを160℃以上300℃以下に加熱し、圧延ロールのロール周速度を5m/min以上15m/min以下でマグネシウム鋳造板を圧延することが好適である。
次に、マグネシウム鋳造板に複数回圧延を施す場合、上述した場合と同じ温度条件および圧延ロールの周速度で、1パスあたり5%〜10%の圧下率で、それぞれ総圧下率が10%、20%、30%および40%となるように圧延ロールの間を複数回通過(Multi pass)させて圧延を施した。その結果、図6の分図(a)に示すように、総圧下率を大きくしていくと勿論凹凸は減少していく。このとき、総圧下率30%および40%において、効果的に表層部に残留応力を発生させることができた。また、機械的性質については、図6の分図(b)に示すように、総圧下率(Reduction)を大きくしていくと、降伏強度(YS)および最大抗張力(UTS)は上昇する。しかしながら、破断伸び(El)に関しては、総圧下率(Reduction)を10%から30%まで大きくしていくと減少していくのに対して、総圧下率を40%付与した場合には、総圧下率を30%付与した場合よりも大きくなった。すなわち、破断伸び(El)は、マグネシウム鋳造板への総圧下率を40%とした場合に向上された。なお、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板の機械的性質の測定結果は、降伏強度(YS)が、50MPa以上350MPa以下となり、最大抗張力(UTS)が、160MPa以上370MPa以下となり、また、破断伸び(El)が、1%以上37%以下となった。
以上より、発明者らは、1パスあたり5%〜10%の圧下率で、それぞれ総圧下率が10%、20%、30%および40%となるように圧延ロールの間を複数回通過させる方法(Multi Pass)の方が、より良好なマグネシウム合金板材が得られるのではないかと考え、さらに、Multi Passの圧延が施されたマグネシウム合金板材について、FE−SEM(日本電子株式会社製、JSM−7100F)に後方電子散乱回折(Electron BackScatter Diffraction:EBSD)測定装置(株式会社TSLソリューションズ社製)を付属させ、SEM−EBSDにより微細組織を観察および測定した。なお、データ収集および解析ソフトは、OIM7.0(株式会社TSLソリューションズ社製)を用いた。その結果を、図6、表2乃至表4に示す。ここで、図7は、塑性加工としての圧延が複数回施された本実施形態に係るマグネシウム合金板材の断面観察写真を示す図であり、図7中の分図(a)および分図(b)は、それぞれ、総圧下率が10%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真であり、図7中の分図(c)および分図(d)は、それぞれ、総圧下率が20%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真であり、図7中の分図(e)および分図(f)は、それぞれ、総圧下率が30%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真であり、図7中の分図(g)および分図(h)は、総圧下率が40%付与されたマグネシウム合金板材の表層部および中央部のミクロ観察写真である。また、図8は、塑性加工としての圧延が複数回施された本実施形態に係るマグネシウム合金板材のSEM−EBSD観察を示す図であり、より詳しくは、圧延が施されて加工されたマグネシウム合金板材の凹凸の凹部が存在していた部分のIPF(Inverse Pole Figure)マップを示す図である。図8中の分図(a)は、比較例としての総圧下率(Reduction)が0%であるマグネシウム合金板材のIPFマップを示す図であり、図8中の分図(b)は、総圧下率(Reduction)が10%付与されたマグネシウム合金板材のIPFマップを示す図であり、図8中の分図(c)は、総圧下率(Reduction)が40%付与されたマグネシウム合金板材のIPFマップを示す図である。
図7中の分図(b)に示すように、総圧下率(Reduction)を10%付与したマグネシウム合金板材は、比較例としての図8中の分図(a)と比べて、凹部の直下に双晶が形成されていることが分かる。そして、1パスあたり5%〜10%の圧下率で圧延を繰り返すことによって、総圧下率(Reduction)40%が付与されたマグネシウム合金板材は、残留応力を有している表層部の厚みが増加し、再結晶組織を形成しても、マグネシウム合金板材の内部にせん断が発生するせん断帯を有することとすることができるようになっている。ここで、残留応力を有している表層部の厚みについて、総圧下率ごとの測定結果を、表2に示す。
総圧下率を大きくすると、残留応力を有する表層部の厚みが増加しており、表2の結果は、図7の観察結果とも一致していることが分かる。そして、残留応力を有する表層部の厚みは、9μm以上361μm以下となっている。したがって、本実施形態に係るマグネシウム合金板材は、結晶粒が結晶方位差を有して接合する傾斜組織となる場合がある。次に、マグネシウム相の結晶粒径について、総圧下率ごとの測定結果を、表3および表4に示す。
マグネシウム相の結晶粒径は、総圧下率10%では、中央部において2μm以上32μm以下となっており、表層部において1μm以上75μm以下となっている。また、総圧下率20%では、マグネシウム相の結晶粒径は、中央部において4μm以上36μm以下となっており、表層部において1μm以上63μm以下となっている。総圧下率30%では、マグネシウム相の結晶粒径は、中央部において2μm以上28μm以下となっており、表層部において1μm以上42μ以下となっている。総圧下率40%では、マグネシウム相の結晶粒径は、中央部において1μm以上32μm以下となっており、表層部において1μm以上62μm以下となっている。すなわち、マグネシウム相の結晶粒径は、表層部では1μm以上75μm以下となっており、中間部では1μm以上36μm以下となっている。
表4に示すように、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板材において、平均結晶粒径は、総圧下率10%では、中央部において9.0μmとなり、表層部において33.8μmとなっている。また、総圧下率20%では、平均結晶粒径は、中央部において7.8μmとなり、表層部において31.9μmとなっている。総圧下率30%では、平均結晶粒径は、中央部において7.6μmとなり、表層部において22.7μmとなっている。総圧下率40%では、平均結晶粒径は、中央部において7.1μmとなり、表層部において16.7μmとなっている。
凹凸を有するマグネシウム鋳造板に塑性加工としての圧延を施す場合、1回の圧延工程で圧下率40%以上を付与するような大圧下にしたり、圧延工程の回数を、例えば数十パス以上など非常に多くしたりすると、凹凸の加工を良好に行うことが難しく、耳割れや粗大組織の形成につながることとなることが分かった。また、1パスあたり5%〜10%の圧下率で圧延を繰り返すことによって、破断伸び(El)が向上することが分かった。したがって、特に限定されないが、塑性加工としての圧延は、1パスあたり5%〜10%の圧下率で、マグネシウム鋳造板を複数回圧延するMulti Passとし、総圧下率が約40%となるようにされることが好ましいことが分かった。すなわち、本実施形態に係るマグネシウム合金板材の製造方法によれば、マグネシウム鋳造板の表層部に発生した残留応力の作用により、従来技術のように、圧延加工の回数の増加に伴う表層部の結晶粒の微細化が生じないため、低加工回数かつ低加工度でも高強度であって成形時に易成形性を示すとともに、塑性加工に用いられる例えば圧延ロール等と接触する部分が微細組織となるマグネシウム合金板材を得ることができるようになる。
以上より、本実施形態に係るマグネシウム合金板材の製造方法では、凹凸が形成されて鋳造されたマグネシウム鋳造板は、表層部の結晶粒が中央部の結晶粒と比べて粗大又は同等の結晶粒径を有する組織であるのに対して、当該マグネシウム鋳造板に塑性加工として上述した条件で圧延を施すと、表層部に発生した残留応力が作用し、微細粒の形成が促進され、表層部の結晶粒は、中央部と同等の粒径であって、均一組織を呈するマグネシウム合金板材を得ることができるようになっている。また、上述したように、本実施形態に係るマグネシウム合金板材の製造方法によれば、低加工回数かつ低加工度でも高強度であって成形時に易成形性を示すとともに、塑性加工に用いられる例えば圧延ロール等と接触する部分が微細組織となるマグネシウム合金板材を得ることができるようになる。なお、本実施形態では、マグネシウム複合材料としてAZ61を用いた場合について説明したが、例えば、マグネシウム複合材料としてAMX601やAZX612を用いた場合も同様の結果を得た。また、本実施形態に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、上述した様に、マグネシウム複合材料として、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛を添加したAZ31やAZ61やAZ91や、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛とカルシウムとを添加したAZX311やAZX611やAZX615やAZX6112やAZX711やAZX811やAZX911やAZX1001や、マグネシウムに対してアルミニウムとマンガンとカルシウムとを添加したAMX301やAMX701やAMX801やAMX901やAMX1001などを適用することができる。
以上、本実施形態に係るマグネシウム合金板材の製造方法およびかかる製造方法によって製造されたマグネシウム合金板材の特徴を示す分析結果および試験結果について、説明した。次に、本実施形態に係るマグネシウム合金製品の製造方法およびかかる製造方法によって製造されたマグネシウム合金製品の特徴を示す分析結果および試験結果について、説明する。なお、上述した実施形態と同一又は類似する構成については、同一の符号を付して、説明を省略する場合がある。
[マグネシウム合金製品]
本実施形態に係るマグネシウム合金製品は、溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるものであって、鋳造された段階では、表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、鋳造後の塑性加工によって鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることとなる。本実施形態に係るマグネシウム合金製品は、塑性加工によって所望の形状とすることができる。
[マグネシウム鋳造板]
本実施形態に係るマグネシウム合金製品は、上述した条件で鋳造されたマグネシウム鋳造板に塑性加工を加えて得られる。
マグネシウム複合材料は、マグネシウムを主成分とし、これにアルミニウム、マンガン、亜鉛、カルシウムなどが含まれる。アルミニウムは、例えば、マグネシウムに対して0%以上11%以下添加することとすることができる。マンガンは、例えば、マグネシウムに対して0%以上0.5%以下添加することができ、また、亜鉛は、例えば、マグネシウムに対して0%以上2.5%以下添加することができる。カルシウムは、例えば、マグネシウムに対して0.5%以上12%以下添加することができる。
マグネシウム複合材料としては、例えば、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛を添加したAZ合金や、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛とマンガンを添加したAZX合金や、マグネシウムに対してアルミニウムとマンガンとカルシウムを添加したAMX合金を用いることができる。より詳しくは、マグネシウム複合材料として、例えば、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛を添加したAZ31やAZ61やAZ91や、マグネシウムに対してアルミニウムと亜鉛とカルシウムとを添加したAZX311やAZX611やAZX711やAZX811やAZX911やAZX1001や、マグネシウムに対してアルミニウムとマンガンとカルシウムとを添加したAMX301やAMX601やAMX701やAMX801やAMX901やAMX1001などを用いることができる。
マグネシウム複合材料は、例えば溶解したマグネシウム複合材料を保持する溶湯炉10で加熱され、溶解される。溶解した溶湯としてのマグネシウム複合材料は、溶湯炉10の一端側に設けられた開口部11から出湯され、マグネシウム複合材料を鋳造するための一対の鋳造ロール20(21,22)の間に供給され、マグネシウム鋳造板に形成する凹凸形状に対応した孔型を有する一対の鋳造ロール20(21,22)によって押圧されながら、一対の鋳造ロール20(21,22)の間を通過し、冷却され、マグネシウム鋳造板の表面に凹凸形状を有するマグネシウム鋳造板が製造される。このとき、一対の鋳造ロール20(21,22)のロール周速度は、特に限定されないが、20m/min以上30m/min以下とすることができる。
マグネシウム複合材料は、マグネシウム複合材料の成分組成に応じて、例えば、635℃以上730℃以下に加熱され、一対の鋳造ロール20(21,22)の間に供給される。一対の鋳造ロール20(21,22)の間を通過した後のマグネシウム複合材料の温度は、一対の鋳造ロール20(21,22)によって熱を奪われて、一対の鋳造ロール20(21,22)の間を通過して300mm程度移動した地点において、板状とされたマグネシウム鋳造板の表面温度は、380℃から450℃の範囲まで冷却される。その後、一対の鋳造ロール20(21,22)から1000mm程度移動した地点では、マグネシウム鋳造板の表面温度は、略500℃まで上昇する。上述したように、内部潜熱によるマグネシウム鋳造板の表面の温度上昇により、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)には、粗大組織が形成されるとともに、マグネシウム鋳造板の内部(中央部)は、微細組織を維持することとなる。すなわち、冷却速度が、マグネシウム鋳造板の内部(中央部)と、一対の鋳造ロール20(21,22)に接触したマグネシウム鋳造板の表面(表層部)とで異なることによって、凝固形態も異なることとなる。より詳しくは、マグネシウム鋳造板の冷却速度は、一対の鋳造ロール20(21,22)を通過して50mm程度移動した地点において1143K/sとなり、一対の鋳造ロール20(21,22)を通過して300mm程度移動した地点において132K/sとなり、さらに、一対の鋳造ロール20(21,22)を通過して2000mm程度移動した地点において、61K/sとなる。そして、上述したように、一対の鋳造ロール20(21,22)から1000mm程度移動した地点では、マグネシウム鋳造板の中央部に生じた内部潜熱が、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)に放出されることによって、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)の温度が上昇する。そのため、鋳造の途中で、マグネシウム鋳造板の冷却速度は、−100K/sから−50K/sの範囲となることとなる。
以上、マグネシウム鋳造板の製造方法の一例を説明した。上述した様に凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板に、塑性加工を施すことによって、マグネシウム合金製品は得られる。次に、マグネシウム鋳造板に施す塑性加工について、説明する。
[塑性加工]
塑性加工とは、上述した様に、マグネシウム鋳造板に形成された凹凸を加工するものをいう。本実施形態では、所望の形状を有するマグネシウム合金製品を得るために、発明者らは、上述したマグネシウム鋳造板に塑性加工として、特に限定されないが、プレス加工を施した。プレス加工は、金型の間に被加工材を置き、てこ、ねじ又は水圧などを用いて強圧成型する加工をいう。本実施形態では、特に限定されないが、上述したマグネシウム鋳造板を250℃以上に加熱し、金型で約10秒挟み込むことによって、マグネシウム鋳造板に対してプレス加工を施し、所望の形状のマグネシウム合金製品を得た。このとき、α−マグネシウム層の板厚方向の厚みは、例えば、8.1μmから8.5μmに成長を示した。なお、マグネシウム鋳造板を金型で挟み込む時間は、特に限定されないが、10秒以上300秒以下とすることが好適である。
塑性加工としてのプレス加工を施すことにより得られたマグネシウム合金製品の特徴を示す分析結果および試験結果について、説明する。ここで、図9は、本実施形態に係るマグネシウム合金製品の断面観察写真を示す図であり、AZX611を用いたマグネシウム合金製品のミクロ観察写真である。また、図10は、本実施形態に係るマグネシウム合金製品の断面観察写真を示す図であり、図10中の分図(a)および図10中の分図(b)は、AZX611を用いたマグネシウム合金製品のSEM観察写真である。なお、測定装置等は、上述した装置と同一のものを使用した。
図9に示すように、本実施形態に係るマグネシウム合金製品は、金型との接触部分の結晶粒が、中央部の結晶粒に比べて、細かくなっていることが分かる。α−マグネシウム相の結晶粒径は、例えば、表層部では13μmとなっており、中央部では21μmとなっている。ここで、特に限定されないが、微細組織を有する表層部の厚みは、金型との接触部分であるマグネシウム合金製品の表面から約40μmとなり、α−マグネシウム相を有する中央部の厚みは、15μm以上となることが好ましい。微細組織を有する表層部は、マグネシウム相と、金属間化合物相と、カルシウムやアルミニウム、亜鉛などの単相又はこれら添加元素の2つ以上の混相と、を含んでいる。そして、表層部では、α−マグネシウム相と金属間化合物相とが積層状となっている。なお、このとき、α−マグネシウム相と金属間化合物相とが積層する方向は、一方向でなくても良い。なぜならば、マグネシウム鋳造板にプレス加工を施す際に、マグネシウム鋳造板に圧縮応力および引張応力が作用するためである。
図10に示すように、本実施形態に係るマグネシウム合金製品は、金属間化合物が、表層部では微細分散しているのに対して、中央部では点在しており、結晶粒が結晶方位差を有して接合する傾斜組織となっている。このとき、マグネシウム合金製品の断面において、金属間化合物が微細分散している表層部と、金属間化合物が点在している中央部との割合は、それぞれ約60%と約40%となっている。金属間化合物は、表層部には、面積割合2%以上3%以下で存在しており、中央部には、面積割合1.5%で存在している。
本実施形態に係るマグネシウム合金製品の製造方法では、上述したマグネシウム合金板材の製造方法と同様に、凹凸が形成されて鋳造されたマグネシウム鋳造板は、表層部の結晶粒が中央部の結晶粒と比べて粗大又は同等の結晶粒を有する組織となっている。しかし、凹凸を有するマグネシウム鋳造板に塑性加工としてプレス加工を施すことによって得られるマグネシウム合金製品は、表層部の結晶粒が、当該マグネシウム合金製品の中央部の結晶粒に比べて微細又は同等の結晶粒径であって均一組織を呈する。したがって、本実施形態に係るマグネシウム合金製品の製造方法によれば、低加工回数かつ低加工度でも高強度であって成形時に易成形性を示すとともに、塑性加工に用いられる例えば金型等と接触する部分が微細組織となるマグネシウム合金製品を得ることができる。
以上、本実施形態に係るマグネシウム合金製品の特徴を示す分析結果および試験結果について、説明した。なお、本実施形態に係るマグネシウム合金製品は、凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板に焼鈍しを施した後、塑性加工することとすることができる。以下に、本実施形態に係るマグネシウム合金製品を得るために、焼鈍しを施す場合に好適な条件について、説明する。
表面に凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板に重りを載せ、マグネシウム鋳造板に荷重を負荷し、約2時間焼鈍しを施すことにより、マグネシウム鋳造板の延性を上げることができる。このとき、焼鈍しの温度は、特に限定されないが、250℃以上350以下とすることが好適である。焼鈍しは、例えば鉄板などの比重の大きい板でマグネシウム鋳造板を挟み込んで焼鈍しを行う積層焼鈍しとすることができる。このような積層焼鈍しにより焼鈍しを行う場合、マグネシウム鋳造板に対して、マグネシウム複合材料の再結晶温度や結晶粒成長温度以上で熱処理を施しても、α−マグネシウム相の結晶粒径は、3μmから8.1μmの範囲となり、過度な結晶粒の成長を防ぐことが可能となる。また、マグネシウム鋳造板に荷重を負荷し、さらに温度を上昇させても、α−マグネシウム相の結晶粒径を、約25μmから約24μmに微細化することができる場合がある。
そして、上述した様に焼鈍しを施したマグネシウム鋳造板に、塑性加工としてのプレス加工を施すこととなる。このとき、例えば、マグネシウム鋳造板の温度を350℃としたとき、プレス加工の加工速度は、2.7mm/sとすることができる。
以上、本実施形態に係るマグネシウム合金製品の製造方法およびかかる製造方法によって製造されたマグネシウム合金製品の特徴を示す分析結果および試験結果について、説明した。
[マグネシウム合金最終製品]
上述したマグネシウム合金板材や上述したマグネシウム合金製品に対して、所望の形状を得るための成形加工を施すことにより、マグネシウム合金板材やマグネシウム合金製品の表層部に発生した残留応力が作用し、微細粒の形成が促進された組織を有する種々の形状のマグネシウム合金最終製品を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、表面に凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板は、双ロール鋳造法により製造されているが、例えば、半浮揚溶解や減圧吸引鋳造などの反重力鋳造法により製造することができる。
マグネシウム複合材料は、マグネシウム複合材料の成分組成に応じて、例えば、630℃以上750℃以下に加熱され、例えば減圧吸引などによって、凹凸形状を有する鋳型内に鋳造される。マグネシウム複合材料は、鋳型に接触することによって440℃から550℃の範囲まで冷却されるとともに鋳造され、その後、マグネシウム鋳造板の中央部に生じた内部潜熱が、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)に放出されることによって、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)の温度上昇が生じる。したがって、マグネシウム鋳造板の表面(表層部)には、粗大組織が形成されるとともに、マグネシウム鋳造板の内部(中央部)は、微細組織を維持した凹凸を有する鋳造板が鋳造されることとなる。
マグネシウム鋳造板を鋳造する際に冷却を行わなかった場合、中央部の冷却速度は2.8K/sとなり、表層部の冷却速度は3.4K/sとなった。一方、マグネシウム鋳造板を鋳造する際に30℃または90℃の水により冷却を行った場合、中央部の冷却速度は12K/sとなり、表層部の冷却速度は、30℃の水により冷却を行った場合では29.4K/sとなり、90℃の水により冷却を行った場合では21.2K/sとなった。
発明者らは、上述した鋳造条件で得られたマグネシウム鋳造板について、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が機械的性質に与える影響について分析を行った。マグネシウム複合材料としてAZ61合金に0wt%から12wt%のカルシウムが添加されたものを用いて、上述した鋳造条件により反重力鋳造法によって鋳造されたマグネシウム鋳造板の機械的性質の測定を行った。最大抗張力(Ultimate Tensile Strength:UTS)、降伏強度(Yield Strength:YS)および破断伸び(Elongation:EL)の測定方法は、JIS規格に基づいて行った。引張試験では、試験片としてJIS規格の13B号または独自試験片形状を用いて、引張速度をクロスヘッド速度で2mm/minとして、測定を行った。ここで、独自試験片形状は、標準寸法において、板幅を3mmとし、標点間距離を30mmとした。また、ビッカース硬さ(HV)は、ビッカース硬さ試験機で300gの重りを30秒付与して測定を行った。さらに、平均結晶粒径の測定は、切片法を用いた。その結果を、図11に示す。ここで、図11は、本実施形態に係るマグネシウム鋳造板のカルシウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図11中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図11中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図10中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図11中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図11中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。
図11に示すように、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が大きくなると、最大抗張力(UTS)および降伏強度(YS)およびビッカース硬さ(HV)は、大きくなることが分かった。一方、破断伸び(EL)は、マグネシウムに対して添加されるカルシウムの割合が大きくなると、低下していくことが分かった。
また、発明者らは、マグネシウム複合材料に添加されるアルミニウムの割合が機械的性質に与える影響について、分析を行った。マグネシウム複合材料としてAZX合金又はAMX合金に0wt%から10wt%カルシウムが添加されたものを用いて、上述した鋳造条件により反重力鋳造法によって鋳造されたマグネシウム鋳造板の機械的性質の測定を行った。最大抗張力(Ultimate Tensile Strength:UTS)、降伏強度(Yield Strength:YS)および破断伸び(Elongation:EL)の測定方法は、JIS規格に基づいて行った。引張試験では、試験片としてJIS規格の13B号または独自試験片形状を用いて、引張速度をクロスヘッド速度で2mm/minとして、測定を行った。ここで、独自試験片形状は、標準寸法において、板幅を3mmとし、標点間距離を30mmとした。また、ビッカース硬さ(HV)は、ビッカース硬さ試験機で300gの重りを30秒付与して測定を行った。さらに、平均結晶粒径の測定は、切片法を用いた。その結果を、図12および図13に示す。ここで、AZX系合金を用いて鋳造されたマグネシウム鋳造板のアルミニウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図12中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図12中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。また、図13は、AMX系合金を用いて鋳造された鋳造板のアルミニウム含有率ごとの機械的性質の測定結果を示す図であり、図13中の分図(a)は、最大抗張力(UTS)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(b)は、降伏強度(YS)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(c)は、破断伸び(EL)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(d)は、ビッカース硬さ(HV)の測定結果を示す図であり、図13中の分図(e)は、平均結晶粒径の結果を示す図である。
図12に示すように、亜鉛1%とカルシウム1%とが添加されたAZX系合金について、マグネシウム複合材料に添加されるアルミニウムの含有率が増加すると、ビッカース硬さ(HV)は増加することが分かった。また、最大抗張力(UTS)および降伏強度(YS)は、マグネシウム複合材料に添加されるアルミニウムの含有率が7wt%〜9wt%程度で最大値を示し、添加されるアルミニウムの含有率をそれ以上増加させても、低下または一定値を示すことが分かった。一方、破断伸び(EL)および平均結晶粒径は、マグネシウム複合材料に添加されるアルミニウムの含有率が増加すると、減少する傾向を示すことが分かった。
図13に示すように、マンガン0.1%とカルシウム1%とが添加されたAMX系合金について、マグネシウム複合材料に添加されるアルミニウムの含有率が増加すると、降伏強度(YS)およびビッカース硬さ(HV)は、増加していくことが分かった。
以上の検討より、本実施形態に係るマグネシウム複合材料に添加されるアルミニウムの割合は、特に限定されないが、6%以上10%以下とすることが好適であることが分かった。
以上、反重力鋳造法により鋳造されたマグネシウム鋳造板の機械的性質について、説明したが、反重力鋳造法により鋳造されたマグネシウム鋳造板に、上述した実施形態と同様に、塑性加工を施すことができる。鋳造の段階で凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板に塑性加工を施すことによって、上述した実施形態と同様に、表層部に発生した残留応力が作用し、微細粒の形成が促進され、表層部の結晶粒は、中央部と同等の粒径であって、均一組織を呈するマグネシウム合金板材を得ることができるようになる。
また、例えば、上述した実施形態では、マグネシウム鋳造板が鋳造される段階で、マグネシウム鋳造板の表面に凹凸を形成していたが、マグネシウム鋳造板が鋳造された後、マグネシウム鋳造板に対してマグネシウム鋳造板の表面に凹凸を形成する除去加工を施し、当該マグネシウム鋳造板の表面に凹凸を形成することとすることができる。ここで、除去加工とは、マグネシウム鋳造板の表面に凹凸を形成するための加工であり、除去加工としては、例えば、切削加工や研磨加工、転造などを用いることができる。そして、除去加工により表面に凹凸が形成されたマグネシウム鋳造板は、上述した場合と同様に、塑性加工が施されることとなる。上述した様に、マグネシウム鋳造板の表面に形成された凹凸が加工されることで、表層部に残留応力が付与されたマグネシウム合金板材やマグネシウム合金製品を得ることができる。
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 双ロール鋳造装置、10 溶湯炉、11 開口部、20 鋳造ロール、21 第一鋳造ロール、22 第二鋳造ロール。

Claims (38)

  1. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金板材であって、
    鋳造された段階では、表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、
    前記鋳造後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  2. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金板材であって、
    鋳造された後、凹凸を形成する除去加工が施されることによって表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、
    前記除去加工後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  3. 請求項1又は2に記載のマグネシウム合金板材において、
    前記マグネシウム複合材料は、アルミニウム、マンガン、亜鉛及びカルシウムのうち少なくとも1つの金属元素を含むことを特徴とするマグネシウム合金板材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    前記マグネシウム複合材料は、カルシウムを含有することを特徴とするマグネシウム合金板材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    前記マグネシウム複合材料は、アルミニウムを6%以上10%以下含むことを特徴とするマグネシウム合金板材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    前記凹凸の高低差は、0.04mm以上0.3mm以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    前記鋳造板は、
    金属間化合物の割合が、表層部では2%以上27%以下となるとともに、中央部では0.8%以上33%以下となっていることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    前記塑性加工が施されたマグネシウム合金板材は、
    降伏強度が、50MPa以上350MPa以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  9. 請求項8に記載のマグネシウム合金板材において、
    最大抗張力が、160MPa以上370MPa以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  10. 請求項8又は9に記載のマグネシウム合金板材において、
    破断伸びが、1%以上37%以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    表層部の厚みが、9μm以上361μm以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    平均結晶粒径が、7μm以上34μm以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  13. 請求項8〜12のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材において、
    マグネシウム相の結晶粒径が、表層部では1μm以上75μm以下であるとともに、中央部では1μm以上36μm以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材。
  14. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金板材の製造方法であって、
    鋳造が行われる段階で、表面に凹凸を有する鋳造板を鋳造し、
    前記鋳造後に行われる塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
  15. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金板材の製造方法であって、
    鋳造が行われた後、凹凸を形成する除去加工を施して表面に凹凸を有するマグネシウム鋳造板を製造し、さらに、
    塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
  16. 請求項14又は15に記載のマグネシウム合金板材の製造方法において、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、635℃以上730℃以下に加熱された後、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、380℃から450℃の範囲まで冷却され、さらに、
    前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
  17. 請求項14又は15に記載のマグネシウム合金板材の製造方法において、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、630℃以上750℃以下に加熱された後、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、440℃から550℃の範囲まで冷却され、さらに、
    前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
  18. 請求項14〜16のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法において、
    前記鋳造板の冷却速度が、1143K/s以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
  19. 請求項14、15、17のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法において、
    前記鋳造板の冷却速度が、30K/s以下であることを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
  20. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金製品であって、
    鋳造された段階では、表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、
    前記鋳造後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることを特徴とするマグネシウム合金製品。
  21. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金製品であって、
    鋳造された後、凹凸を形成する除去加工が施されることによって表面に凹凸を有する鋳造板として構成され、
    前記除去加工後の塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸が加工されることで、表層部に残留応力を付与されることを特徴とするマグネシウム合金製品。
  22. 請求項20又は21に記載のマグネシウム合金製品において、
    前記マグネシウム複合材料は、アルミニウム、マンガン、亜鉛及びカルシウムのうち少なくとも1つの金属元素を含むことを特徴とするマグネシウム合金製品。
  23. 請求項20〜22のいずれか1項に記載のマグネシウム合金製品において、
    前記マグネシウム複合材料は、カルシウムを含有することを特徴とするマグネシウム合金製品。
  24. 請求項20〜23のいずれか1項に記載のマグネシウム合金製品において、
    前記マグネシウム複合材料は、アルミニウムを6%以上10%以下含むことを特徴とするマグネシウム合金製品。
  25. 請求項20〜24のいずれか1項に記載のマグネシウム合金製品において、
    前記凹凸の高低差は、0.04mm以上0.3mm以下であることを特徴とするマグネシウム合金製品。
  26. 請求項20〜25のいずれか1項に記載のマグネシウム合金製品において、
    前記塑性加工が施されたマグネシウム合金製品は、
    金属間化合物の割合が、表層部では2%以上3%以下となるとともに、中央部では1.5%となり、さらに、前記金属間化合物が、表層部では微細に分散しているとともに、中央部では点在していることを特徴とするマグネシウム合金製品。
  27. 請求項26に記載のマグネシウム合金製品において、
    表層部では、α−マグネシウム相と金属間化合物相とが積層状となっていることを特徴とするマグネシウム合金製品。
  28. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金製品の製造方法であって、
    鋳造が行われる段階で、表面に凹凸を有する鋳造板を鋳造し、
    前記鋳造後に行われる塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  29. 溶解したマグネシウム複合材料を鋳造し、当該鋳造の後に塑性加工を加えることによって得られるマグネシウム合金製品の製造方法であって、
    鋳造が行われた後、凹凸を形成する除去加工を施して表面に凹凸を有するマグネシウム鋳造板を製造し、さらに、
    塑性加工によって前記鋳造板が有する凹凸を加工することで、表層部に残留応力を付与させることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  30. 請求項28又は29に記載のマグネシウム合金製品の製造方法において、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、635℃以上730℃以下に加熱された後、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、380℃から450℃の範囲まで冷却され、さらに、
    前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  31. 請求項28又は29に記載のマグネシウム合金製品の製造方法において、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、630℃以上750℃以下に加熱された後、
    前記マグネシウム複合材料の温度は、440℃から550℃の範囲まで冷却され、さらに、
    前記マグネシウム複合材料の内部の内部潜熱が前記鋳造板の表面に放出されることによって、当該鋳造板の表層部と中央部とで冷却速度が異なるように実行されることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  32. 請求項28〜30のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材の製造方法において、
    前記鋳造板の冷却速度が、1143K/s以下であることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  33. 請求項28、29、31のいずれか1項に記載のマグネシウム合金製品の製造方法において、
    前記鋳造板の冷却速度が、30K/s以下であることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  34. 請求項28〜33のいずれか1項に記載のマグネシウム合金製品の製造方法において、
    前記塑性加工は、プレス加工であることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  35. 請求項34に記載のマグネシウム合金製品の製造方法において、
    前記鋳造板を250℃以上に加熱するとともに金型で10秒以上300秒以下挟み込むことによってプレス加工を施すことを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  36. 請求項34又は35に記載のマグネシウム合金製品の製造方法において、
    前記鋳造板に焼鈍しを施した後、前記塑性加工を施すことを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  37. 請求項36に記載のマグネシウム合金製品の製造方法において、
    前記焼鈍しの温度が、250℃以上350℃以下であることを特徴とするマグネシウム合金製品の製造方法。
  38. 請求項1〜13に記載のマグネシウム合金板材又は請求項20〜請求項27に記載のマグネシウム合金製品に対して、所望の形状を得るための成形加工を施すことで、マグネシウム合金板材又はマグネシウム合金製品の表層部に発生した残留応力が作用し、微細粒の形成が促進された組織を有することを特徴とするマグネシウム合金最終製品。
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