JP2016076678A - 熱伝導性シート - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱性電子部品からの熱を面内方向及び垂直方向に良好に伝達することが可能であり、かつ取り扱い性の良好な熱伝導性シートを提供する。【解決手段】グラファイトシートの空孔部に室温下で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂を含浸・充填してなることを特徴とする熱伝導性シート。【選択図】なし
Description
本発明は、発熱性電子部品からの熱を良好に伝達し得、特に面内方向(即ち、シート面に対して水平又は平行な方向)の熱伝導性に優れた熱伝導性シートに関する。
パーソナルコンピューター等の電子機器に利用されるCPU、ドライバICやメモリー等のLSIチップは、小型化・高集積化等に伴い、熱を大量に発生するようになり、その熱によるチップの温度上昇はチップの動作不良を引き起こす。そのため温度上昇を抑制するため多くの放熱部材が提案されている。
また、近年スマートフォンやタブレットPCに代表されるような携帯可能な電子端末が急速に発展、普及している。これら電子端末背面へメモリーやチップから発生した熱が効率よく伝わると、端末背面の温度分布に偏りが生まれその部分だけ熱く感じてしまう。直接肌に触れる機会の多い、スマートフォン等においては出来るだけこのような状況をなくして温度分布を均一化したい。このような場合にメモリーやチップ等の発熱体と電子端末背面にグラファイトシートに代表されるような、面内方向の熱伝導性に優れたシートを介在させることで発熱体から発生した熱を素早く拡散する方法が取られている。ただ、グラファイトシートは非常に脆いため、グラファイト成分が剥がれ落ちたり、グラファイト粉が飛散したりする。また厚みが薄くなると取り扱い性が難しい。更にグラファイトシートは表面にタックを持たないため、実装が困難であるという欠点を有する。
上記問題点を解決するために片面又は両面に、絶縁性の付与、粘着性の付与、取り扱い性の向上を目的として樹脂層を積層させる方法も提案されている。しかしながら本手法においては、熱伝導特性が良好なグラファイトシートに、熱伝導性が低い樹脂層を積層させることにより、グラファイトシートの放熱特性が損なわれてしまう欠点があった。グラファイトシートの片面又は両面に、熱伝導性樹脂層を積層させる方法も提案されているが、既存の成形体である粘着テープや熱軟化性シートを積層もしくは熱圧着させたものであり、グラファイトシート外面の微細な空隙を埋めるには至っておらず、また、内部空隙を埋めることはできていない。
また、グラファイトシートの表面・内部空隙を、流動性の高い液体を含浸することで埋め、熱抵抗を低下させる方法も提案されているが、使用環境において発熱、冷却を繰り返すことで、膨張、収縮を繰り返すため、液体がブリードし(ヒートサイクルによるポンピングアウト現象)、熱抵抗の増大や密着不良が発生する。
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、発熱性電子部品からの熱を面内方向及び垂直方向に良好に伝達することが可能であり、かつ取り扱い性の良好な熱伝導性シートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、室温(25℃±5℃)で実質的に固体(即ち、自己流動性のない非液状物)である熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散含有させてなる熱軟化性シリコーン樹脂の配合物を溶剤で希釈した後、グラファイトシートに含浸させ、溶剤を揮発させて、グラファイトシートの空孔部を熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散した熱軟化性シリコーン樹脂配合物で含浸、充填した熱伝導性シートが、グラファイト成分が剥がれ落ちたり、グラファイト粉が飛散したりすることを防ぐ効果があり、かつ表面に若干のタック性を有するため実装性に優れ、更に面内方向及び垂直方向への放熱特性に優れることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の熱伝導性シートを提供する。
〔1〕
グラファイトシートの空孔部に室温下で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂を含浸・充填してなることを特徴とする熱伝導性シート。
〔2〕
熱軟化性シリコーン樹脂が、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を含有するものであることを特徴とする〔1〕に記載の熱伝導性シート。
〔3〕
熱軟化性シリコーン樹脂が、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を含有するものであることを特徴とする〔1〕に記載の熱伝導性シート。
〔4〕
熱軟化性シリコーン樹脂が、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び4官能性構造単位(Q単位)を含有するものであることを特徴とする〔1〕に記載の熱伝導性シート。
〔5〕
熱軟化性シリコーン樹脂中に、更に、該熱軟化性シリコーン樹脂が流動化することを妨げない範囲の量で熱伝導性充填剤を配合、分散したものである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の熱伝導性シート。
〔6〕
熱軟化性シリコーン樹脂の軟化点が40〜120℃であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の熱伝導性シート。
〔7〕
面内方向の熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の熱伝導性シート。
〔1〕
グラファイトシートの空孔部に室温下で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂を含浸・充填してなることを特徴とする熱伝導性シート。
〔2〕
熱軟化性シリコーン樹脂が、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を含有するものであることを特徴とする〔1〕に記載の熱伝導性シート。
〔3〕
熱軟化性シリコーン樹脂が、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を含有するものであることを特徴とする〔1〕に記載の熱伝導性シート。
〔4〕
熱軟化性シリコーン樹脂が、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び4官能性構造単位(Q単位)を含有するものであることを特徴とする〔1〕に記載の熱伝導性シート。
〔5〕
熱軟化性シリコーン樹脂中に、更に、該熱軟化性シリコーン樹脂が流動化することを妨げない範囲の量で熱伝導性充填剤を配合、分散したものである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の熱伝導性シート。
〔6〕
熱軟化性シリコーン樹脂の軟化点が40〜120℃であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の熱伝導性シート。
〔7〕
面内方向の熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の熱伝導性シート。
本発明の熱伝導性シートは、グラファイト成分が剥がれ落ちたり、グラファイト粉が飛散したりすることを防ぐ効果があり、かつ表面に若干のタック性を有するため実装性に優れ、更に経時において熱伝導率が高く、面内方向及び垂直方向への放熱特性に優れるものである。
[熱伝導性シート]
本発明の熱伝導性シートは、多孔性を有するグラファイトシートと、室温(25℃±5℃)で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂又はこれに熱伝導性充填剤を分散含有させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物とによって形成されるものであり、このグラファイトシートの空孔部に熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸・充填させてなるものである。
ここで、熱軟化性とは、熱により(通常、40℃以上において)熱軟化、低粘度化又は融解することをいい、熱軟化、低粘度化又は融解して表面が流動化するものを「熱軟化性」を有するものとすることができる。
本発明の熱伝導性シートは、多孔性を有するグラファイトシートと、室温(25℃±5℃)で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂又はこれに熱伝導性充填剤を分散含有させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物とによって形成されるものであり、このグラファイトシートの空孔部に熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸・充填させてなるものである。
ここで、熱軟化性とは、熱により(通常、40℃以上において)熱軟化、低粘度化又は融解することをいい、熱軟化、低粘度化又は融解して表面が流動化するものを「熱軟化性」を有するものとすることができる。
[グラファイトシート]
グラファイトシートとしては、多孔性を有するものであればいずれのものも使用し得る。この場合、その空孔率(容積%)が30〜80vol%、特に40〜70vol%のものが好ましい。なお、この空孔率は通常、気体置換法や液中秤量法等により求めることができる。
グラファイトシートは、例えば、高分子フィルムを熱分解してグラファイト化するなどの方法で製造されたものが使用し得、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、MACFOIL(ジャパンマテックス(株)製:商品名)、PGSグラファイトシート(パナソニック(株)製:商品名)が挙げられる。
グラファイトシートとしては、多孔性を有するものであればいずれのものも使用し得る。この場合、その空孔率(容積%)が30〜80vol%、特に40〜70vol%のものが好ましい。なお、この空孔率は通常、気体置換法や液中秤量法等により求めることができる。
グラファイトシートは、例えば、高分子フィルムを熱分解してグラファイト化するなどの方法で製造されたものが使用し得、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、MACFOIL(ジャパンマテックス(株)製:商品名)、PGSグラファイトシート(パナソニック(株)製:商品名)が挙げられる。
グラファイトシートの厚みは、3〜250μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5〜160μm、更に好ましくは10〜130μm程度の範囲である。3μm未満では、強度が不足する場合があり、脆いため破損するおそれがある。250μmを超えると、非常に脆いため少しの曲げ圧力が加えられることでグラファイトシートが折れてひびが入ったり、破断する場合がある。また厚すぎると、熱伝導性シートの柔軟性が損なわれるので電子部品との密着性が損なわれるおそれがあり、また、シート面に対して垂直方向への熱伝導性が低下する場合がある。
なお、グラファイトシートの空孔部に室温下で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂を含浸・充填させてなる熱伝導性シートの厚みは、含浸・充填させる前のグラファイトシートの厚みとほぼ同程度(通常、±3〜12%、特に±5〜8%程度)であり、3〜280μm、特に5〜180μm、更には10〜150μm程度の範囲であることが好ましい。
なお、グラファイトシートの空孔部に室温下で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂を含浸・充填させてなる熱伝導性シートの厚みは、含浸・充填させる前のグラファイトシートの厚みとほぼ同程度(通常、±3〜12%、特に±5〜8%程度)であり、3〜280μm、特に5〜180μm、更には10〜150μm程度の範囲であることが好ましい。
[熱軟化性シリコーン樹脂]
本発明に用いられる熱軟化性シリコーン樹脂あるいは熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂としては、実質的に室温(25℃±5℃)で固体(即ち、自己流動性のない非液状物)であって、通常、40℃以上、発熱性部品の発熱による最高到達温度以下、即ち、40〜120℃、特に40〜90℃程度の温度範囲において、熱軟化、低粘度化又は融解して少なくとも発熱性電子部品との接触表面が流動化するものであればよい。
本発明においては、特に、上記熱軟化性シリコーン樹脂の軟化点(もしくは融点)が40〜120℃であることが好ましく、45〜100℃であることがより好ましい。40℃未満では雰囲気温度が高温の場合、成形体の流動性の発現が著しく、取り扱いが困難となる場合があり、120℃を超えると、熱軟化温度が高温で成形が困難となる場合がある。なお、軟化点は、落下球式測定法(即ち、転落球式粘度計において樹脂を昇温した際に転落球が樹脂中に完全に沈み込む時の温度を軟化点とする)等により求めることができる。
本発明に用いられる熱軟化性シリコーン樹脂あるいは熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂としては、実質的に室温(25℃±5℃)で固体(即ち、自己流動性のない非液状物)であって、通常、40℃以上、発熱性部品の発熱による最高到達温度以下、即ち、40〜120℃、特に40〜90℃程度の温度範囲において、熱軟化、低粘度化又は融解して少なくとも発熱性電子部品との接触表面が流動化するものであればよい。
本発明においては、特に、上記熱軟化性シリコーン樹脂の軟化点(もしくは融点)が40〜120℃であることが好ましく、45〜100℃であることがより好ましい。40℃未満では雰囲気温度が高温の場合、成形体の流動性の発現が著しく、取り扱いが困難となる場合があり、120℃を超えると、熱軟化温度が高温で成形が困難となる場合がある。なお、軟化点は、落下球式測定法(即ち、転落球式粘度計において樹脂を昇温した際に転落球が樹脂中に完全に沈み込む時の温度を軟化点とする)等により求めることができる。
本発明の熱伝導性シートに適用する熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物としては、上記条件を満たすものであれば特に限定されるものではないが、上述した熱軟化性は、シリコーン樹脂の組成が重要な因子となる。
特に、熱軟化性シリコーン樹脂としては、グラファイトシートとの組み合わせ(即ち、グラファイトシートの空孔部に熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸・充填した構造体)による熱伝導性シートが室温で実質的に固体状である必要があることから、例えば、分岐構造単位であるRSiO3/2で示される3官能性シルセスキオキサン構造単位(以下、T単位と称する)及び/又はSiO2で示される4官能性構造単位(以下、Q単位と称する)を主成分(例えば40モル%以上、特に50モル%以上)として含んだ三次元網状構造の共重合体であるシリコーン樹脂(いわゆるシリコーンレジン)、好ましくは、T単位及び/又はQ単位とR2SiOで示される2官能性シロキサン構造単位(以下、D単位と称する)との共重合体である三次元網状構造のシリコーン樹脂、より好ましくは、T単位及び/又はQ単位とD単位とを含有する共重合体において、末端がR3SiO1/2で示される1官能性シロキシ構造単位(以下、M単位と称する)で封鎖された三次元網状構造の共重合体(即ち、T単位及び/又はQ単位を含有し、更にM単位及びD単位を含有する共重合体)等が例示される。
特に、熱軟化性シリコーン樹脂としては、グラファイトシートとの組み合わせ(即ち、グラファイトシートの空孔部に熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸・充填した構造体)による熱伝導性シートが室温で実質的に固体状である必要があることから、例えば、分岐構造単位であるRSiO3/2で示される3官能性シルセスキオキサン構造単位(以下、T単位と称する)及び/又はSiO2で示される4官能性構造単位(以下、Q単位と称する)を主成分(例えば40モル%以上、特に50モル%以上)として含んだ三次元網状構造の共重合体であるシリコーン樹脂(いわゆるシリコーンレジン)、好ましくは、T単位及び/又はQ単位とR2SiOで示される2官能性シロキサン構造単位(以下、D単位と称する)との共重合体である三次元網状構造のシリコーン樹脂、より好ましくは、T単位及び/又はQ単位とD単位とを含有する共重合体において、末端がR3SiO1/2で示される1官能性シロキシ構造単位(以下、M単位と称する)で封鎖された三次元網状構造の共重合体(即ち、T単位及び/又はQ単位を含有し、更にM単位及びD単位を含有する共重合体)等が例示される。
ここで、上記Rは、好ましくは、独立に水素原子、又はアリール基以外の同一又は異種のカルボニル基を含んでいてもよい炭素原子数1〜8の1価炭化水素基である。Rの具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のアシル基が挙げられる。原料の入手の容易さの観点から、Rとして特に水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基を好適に用いることができる。
なお、本発明に用いられる熱軟化性シリコーン樹脂としては、上記した分岐構造単位を含有する、通常、三次元網状構造のシリコーン樹脂共重合体の1種又は2種以上を使用することができるが、更に、D単位を主成分(通常、80モル%以上、好ましくは90モル%以上)として主鎖が実質的にD単位の繰り返し構造からなり、分子鎖末端がM単位で封鎖されている(又は封鎖されていない)、実質的に直鎖状の(又は少量のT単位又はQ単位を含有してもよい分岐した鎖状の)オルガノポリシロキサン(例えばシリコーンオイルやシリコーン生ゴム)を添加して、前記分岐構造単位を含有する三次元網状共重合体との混合物として使用してもよい。
これらの中で、本発明に用いる熱軟化性シリコーン樹脂としては、T単位とD単位を含む(M単位は任意の)シリコーン樹脂、T単位を含むシリコーン樹脂と回転粘度計により測定した25℃における粘度が100Pa・s以上のシリコーンオイル又はシリコーン生ゴムの組み合わせであるシリコーン樹脂組成物が好ましい。該シリコーン樹脂は、末端がR3SiO1/2(M単位)で封鎖されたものであってもよい。
更に熱軟化性シリコーン樹脂の組成について具体的に説明すると、熱軟化性シリコーン樹脂としては、通常、主成分としてT単位及び/又はQ単位を含む三次元網状構造のものであり、M単位とT単位のみ、あるいはM単位とQ単位のみで設計することが行われている。しかしながら、固形時の強靭性に優れる(グラファイトシートの空孔部に熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸・充填してなる熱伝導性シートの脆さを改善し、取り扱い時の破損等を防止する)ためには、特にT単位を導入することが有効であり、更にはD単位を併用して用いることが好ましい。ここで、T単位の置換基(R)としてはメチル基、フェニル基が望ましく、D単位の置換基(R)としてはメチル基、フェニル基、ビニル基が望ましい。また上記T単位とD単位の組成比率(モル比)は10:90〜90:10、特に20:80〜80:20とすることが好ましい。
なお、通常用いられるM単位とT単位のみ、あるいはM単位とQ単位のみから合成されたシリコーンレジンであっても、これに、T単位を含み、主としてD単位の繰り返し構造からなる(末端はM単位)高粘度シリコーンオイル(例えば、回転粘度計により測定した25℃における粘度が1,000Pa・s以上)もしくは生ゴム状のシリコーン化合物を混合することによって、グラファイトシートの空孔部に熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸・充填してなる熱伝導性シートの脆さが改良され、またヒートショックをかけた場合のポンピングアウト(グラファイトシートとベースシロキサンの分離による空隙の発生及びベースシロキサンの流出)を防止することができる。従って、T単位を含み、D単位を含まない三次元網状構造のシリコーン樹脂を用いる場合には、このシリコーン樹脂に、D単位を主成分とする高粘度シリコーンオイル又はシリコーン生ゴム化合物を添加することが好ましい。
よって、室温より高い温度の軟化点もしくは融点を有するシリコーン樹脂がT単位を含み、D単位を含まない場合には、上記理由によってD単位を主成分とする高粘度シリコーンオイルもしくはシリコーン生ゴムを添加すれば取り扱い性の優れた材料となる。この場合、D単位を主成分とする高粘度シリコーンオイル又は生ゴム状のシリコーン化合物等の添加量は、室温より高い温度の軟化点もしくは融点を有するシリコーン樹脂100質量部に対して1〜100質量部、特に2〜10質量部とすることが好ましい。1質量部未満の場合には、ポンピングアウト現象が発生する可能性が大きく、100質量部を超える場合には熱抵抗が大きくなり熱伝導性が低減するおそれがある。
上述したように、シリコーン樹脂は、クリティカルな(温度依存性の大きな)粘度低下を発生させるため、比較的低分子量のものを用いることが望ましい。この熱軟化性シリコーン樹脂の分子量としては500〜10,000、特に1,000〜6,000であることが望ましい。
なお、分子量は、通常、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析によるポリスチレン換算の数平均分子量等として求めることができる。
なお、分子量は、通常、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析によるポリスチレン換算の数平均分子量等として求めることができる。
なお、本発明に用いる熱軟化性シリコーン樹脂は、本発明に用いられる熱伝導性シートに強度とタック性を付与するものが好適であり、単一の粘度の重合体等を使用してもよいが、粘度の異なる2種以上の重合体等を混合して使用した場合には、強度とタック性のバランスに優れたシートが得られるので有利となるため、粘度の異なる2種類以上を用いてもよい。
本発明に用いる熱軟化性シリコーン樹脂として、具体的には、例えば、下記のとおり、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を特定組成で含有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
D1 mTpD2 n
(ここで、D1はジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、Tはフェニルシルセスキオキサン単位(即ち、(C6H5)SiO3/2)、D2はメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表し、組成比に係る(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、また、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0の範囲である。)
D1 mTpD2 n
(ここで、D1はジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、Tはフェニルシルセスキオキサン単位(即ち、(C6H5)SiO3/2)、D2はメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表し、組成比に係る(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、また、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0の範囲である。)
また、例えば、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を特定組成で含有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
MlD1 mTpD2 n
(ここで、Mはトリメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)3SiO1/2)、D1、T、D2は上記のとおりであり、組成比に係る(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、また、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、また、l/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1の範囲である。)
MlD1 mTpD2 n
(ここで、Mはトリメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)3SiO1/2)、D1、T、D2は上記のとおりであり、組成比に係る(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、また、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、また、l/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1の範囲である。)
更に、例えば、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び4官能性構造単位(Q単位)を特定組成で含有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
MlD1 mQqD2 n
(ここで、QはSiO4/2を表し、M、D1、D2は上記のとおりであり、組成比に係る(m+n)/q(モル比)=0.25〜4.0、また、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、また、l/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1の範囲である。)
これらは、1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
MlD1 mQqD2 n
(ここで、QはSiO4/2を表し、M、D1、D2は上記のとおりであり、組成比に係る(m+n)/q(モル比)=0.25〜4.0、また、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、また、l/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1の範囲である。)
これらは、1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
[熱伝導性充填剤]
更に、本発明においては、上記熱軟化性シリコーン樹脂に、発熱性電子部品との接触表面が流動化することを妨げない範囲の量で熱伝導性充填剤を添加、分散して熱軟化性シリコーン樹脂配合物として用いてもよい。
更に、本発明においては、上記熱軟化性シリコーン樹脂に、発熱性電子部品との接触表面が流動化することを妨げない範囲の量で熱伝導性充填剤を添加、分散して熱軟化性シリコーン樹脂配合物として用いてもよい。
上記熱伝導性充填剤としては、この種の用途に熱伝導性充填剤として一般的に使用される公知の材料を特に制限なく使用することができる。例えば、銅、銀、アルミニウム等の金属:アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物:窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス:人口ダイヤモンド等を用いることができる。このうち比較的入手しやすく、比較的安価なアルミナ、シリカが好ましい。
上記熱伝導性充填剤の平均粒径は、0.5〜100μm、特に1〜50μm、とりわけ1〜10μmであることが好ましい。平均粒径が大きすぎるとシリコーン樹脂との接触面積が小さく耐ポンピングアウト性に劣る場合があり、小さすぎるとシリコーン樹脂と混合されにくい場合がある。なお、平均粒径は、例えば、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均径(又はメジアン径、d50)等として求めることができる。
熱伝導性充填剤の配合量は、発熱性電子部品との接触表面が流動化することを妨げない範囲の量であるが、具体的には、上記熱軟化性シリコーン樹脂100質量部に対して1〜100質量部、特に10〜50質量部であることが好ましい。
[熱軟化性シリコーン樹脂配合物の調製]
熱軟化性シリコーン樹脂配合物は、上記熱軟化性シリコーン樹脂と熱伝導性充填剤とをプラネタリミキサーを用いて温度80〜160℃、特に100〜150℃にて0.5〜5時間、特に1〜3時間混合することにより調製できる。
熱軟化性シリコーン樹脂配合物は、上記熱軟化性シリコーン樹脂と熱伝導性充填剤とをプラネタリミキサーを用いて温度80〜160℃、特に100〜150℃にて0.5〜5時間、特に1〜3時間混合することにより調製できる。
[溶剤]
本発明の熱伝導性シートを製造するにあたり、作業性向上のために使用する溶剤としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、好ましくはトルエン、キシレンである。溶剤の使用量は、上記熱軟化性シリコーン樹脂100質量部に対し、1〜50質量部、特に3〜20質量部であることが好ましい。溶剤の使用量が多すぎると溶剤除去に時間がかかる場合があり、少なすぎると作業性が向上しない場合がある。
本発明の熱伝導性シートを製造するにあたり、作業性向上のために使用する溶剤としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、好ましくはトルエン、キシレンである。溶剤の使用量は、上記熱軟化性シリコーン樹脂100質量部に対し、1〜50質量部、特に3〜20質量部であることが好ましい。溶剤の使用量が多すぎると溶剤除去に時間がかかる場合があり、少なすぎると作業性が向上しない場合がある。
[熱伝導性シートの製造]
次に、本発明に係る熱伝導性シートの製造方法について説明する。
本発明の熱伝導性シートの代表的な製造方法は以下のとおりであるが、グラファイトシートに溶剤で希釈した熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸させた後、乾燥させる方法であれば、これに限定されるものではない。
次に、本発明に係る熱伝導性シートの製造方法について説明する。
本発明の熱伝導性シートの代表的な製造方法は以下のとおりであるが、グラファイトシートに溶剤で希釈した熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸させた後、乾燥させる方法であれば、これに限定されるものではない。
製造方法の例としては、下記方法がある。
(1)熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を溶剤で希釈した含浸液を調製する。
(2)含浸液中にグラファイトシートを浸す。
(3)溶剤を揮発除去する。
(1)熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を溶剤で希釈した含浸液を調製する。
(2)含浸液中にグラファイトシートを浸す。
(3)溶剤を揮発除去する。
また、別の製造方法として、具体的には、コーティング装置を用い、離型処理したポリマーフィルム上にグラファイトシートを供給し、溶剤で熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を希釈した含浸液を塗布した後、加熱炉を通して溶剤を揮発除去させて熱伝導性シートを製造する。この際、グラファイトシートの内部空隙に熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物が良好に含浸するよう、圧力をかけてもよい。
ここで、熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物の含浸量又は塗布量は、グラファイトシート中の空孔容積(即ち、グラファイトシートの体積と空孔率との積)に対し、熱軟化性シリコーン樹脂配合物換算で50〜200vol%、特に95〜120vol%程度であることが好ましい。上記含浸量又は塗布量が少なすぎると密着性が損なわれる場合があり、多すぎるとポンピングアウト現象が発生する場合がある。
成形条件は、使用した溶剤を十分に揮発除去できる条件でよく、特に限定されない。加熱炉加熱条件は溶剤の種類にもよるが、気泡の発生を避けるため、50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは60〜180℃である。更に、熱伝導性シート表面に熱軟化、低粘度化又は融解性を保持する目的から上面(液状の熱軟化性シリコーン樹脂又は熱伝導性充填剤を分散させた熱軟化性シリコーン樹脂配合物を塗布あるいは含浸した面)にも離型処理したポリマーフィルムを密着させておくことが好ましい。
このようにして得られた本発明の熱伝導性シートは、例えば、べテル社製商品名サーモウェーブアナライザー等の熱伝導率測定装置により測定した面内方向(即ち、シート面に対して水平又は平行な方向)の熱伝導率が100W/m・K以上、特に200〜2,000W/m・K、とりわけ500〜2,000W/m・Kであることが好ましい。上記熱伝導率が100W/m・K未満では放熱特性が十分でない場合がある。なお、本発明の熱伝導性シートの面内方向の熱伝導率を上記値とするには、結晶性の高いグラファイトシートを用いることなどの手段により達成できる。
更に本発明の熱伝導性シートは、実装時において、シート面垂直方向の熱抵抗がASTM D 5470に準拠した測定において0.5cm2・K/W以下、特に0.02〜0.3cm2・K/Wであることが好ましい。上記熱抵抗が0.5cm2・K/Wを超えると放熱特性が十分でない場合がある。なお、本発明の熱伝導性シートの面垂直方向の熱抵抗を上記値とするには、グラファイトシートの空孔部に室温下で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂又は熱軟化性シリコーン樹脂配合物を含浸・充填することにより達成できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、分子量はトルエンを展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析によるポリスチレン換算の数平均分子量を示す。また、軟化点は転落球式粘度計による測定値を示す。
[実施例1〜3、比較例1〜3]
まず、本発明に係る熱伝導性シートを形成させるために用いられるシリコーン成分及びグラファイトシートは下記のとおりである。
まず、本発明に係る熱伝導性シートを形成させるために用いられるシリコーン成分及びグラファイトシートは下記のとおりである。
<シリコーン成分>
・成分(A):熱軟化性シリコーン樹脂(シリコーン成分(A−1))
下記組成式で表される三次元網状構造のポリシロキサン樹脂(数平均分子量:約2,000、軟化点:48℃)
D1 25T55D2 20
〔式中、D1はジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、Tはフェニルシロキサン単位(即ち、(C6H5)SiO3/2)、D2はメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表す。〕
・成分(A):熱軟化性シリコーン樹脂(シリコーン成分(A−1))
下記組成式で表される三次元網状構造のポリシロキサン樹脂(数平均分子量:約2,000、軟化点:48℃)
D1 25T55D2 20
〔式中、D1はジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、Tはフェニルシロキサン単位(即ち、(C6H5)SiO3/2)、D2はメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表す。〕
・成分(B):シリコーンオイル(比較用)(シリコーン成分(B−1))
KF−96(商品名、信越化学工業(株)製の直鎖状ジメチルポリシロキサン、動粘度500mm2/s(25℃))
KF−96(商品名、信越化学工業(株)製の直鎖状ジメチルポリシロキサン、動粘度500mm2/s(25℃))
・成分(C):熱軟化性シリコーン樹脂配合物(シリコーン成分(C−1))
下記方法により得られた熱軟化性シリコーン樹脂配合物
5Lゲートミキサー(商品名:5リットルプラネタリミキサー、井上製作所(株)製)を用いて上記シリコーン成分(A−1)100質量部及び熱伝導性充填剤(平均粒径5.3μmのアルミナ粉末)20質量部を120℃にて1時間混合して目的とする熱軟化性シリコーン樹脂配合物を得た。
下記方法により得られた熱軟化性シリコーン樹脂配合物
5Lゲートミキサー(商品名:5リットルプラネタリミキサー、井上製作所(株)製)を用いて上記シリコーン成分(A−1)100質量部及び熱伝導性充填剤(平均粒径5.3μmのアルミナ粉末)20質量部を120℃にて1時間混合して目的とする熱軟化性シリコーン樹脂配合物を得た。
<グラファイトシート>
・成分(D):グラファイトシート
(D−1):グラファイトシートMACFOIL(ジャパンマテックス(株)製、空孔率:約45vol%、厚さ130μm)
(D−2):PGSグラファイトシート(パナソニック(株)製、空孔率:約45vol%、厚さ100μm)
・成分(D):グラファイトシート
(D−1):グラファイトシートMACFOIL(ジャパンマテックス(株)製、空孔率:約45vol%、厚さ130μm)
(D−2):PGSグラファイトシート(パナソニック(株)製、空孔率:約45vol%、厚さ100μm)
[熱伝導性シートの製造]
離型処理したポリマーフィルム上にグラファイトシートを供給し、トルエンで希釈し、加工性を向上させた液状の熱軟化性シリコーン樹脂又は熱軟化性シリコーン樹脂配合物をナイフコーターによりグラファイトシート上に塗布してから、コーティング速度2m/分、加熱条件100℃で加熱炉を通して溶剤を揮発除去した後、別の離型処理したポリマーフィルムにて熱圧着を行い、熱伝導性シートとした。熱伝導性シートの構成及び厚みを表1に示す。なお、希釈に用いたトルエンの量は、上記熱軟化性シリコーン樹脂100質量部に対し14質量部であり、希釈した液状の熱軟化性シリコーン樹脂又は熱軟化性シリコーン樹脂配合物のうち、溶剤(トルエン)を除く熱軟化性シリコーン樹脂又は熱軟化性シリコーン樹脂配合物のグラファイトシートへの塗布、含浸量はいずれも、グラファイトシート中の空孔容積(グラファイトシートの体積×空孔率)に対してほぼ100vol%となる量で塗布、含浸した。
離型処理したポリマーフィルム上にグラファイトシートを供給し、トルエンで希釈し、加工性を向上させた液状の熱軟化性シリコーン樹脂又は熱軟化性シリコーン樹脂配合物をナイフコーターによりグラファイトシート上に塗布してから、コーティング速度2m/分、加熱条件100℃で加熱炉を通して溶剤を揮発除去した後、別の離型処理したポリマーフィルムにて熱圧着を行い、熱伝導性シートとした。熱伝導性シートの構成及び厚みを表1に示す。なお、希釈に用いたトルエンの量は、上記熱軟化性シリコーン樹脂100質量部に対し14質量部であり、希釈した液状の熱軟化性シリコーン樹脂又は熱軟化性シリコーン樹脂配合物のうち、溶剤(トルエン)を除く熱軟化性シリコーン樹脂又は熱軟化性シリコーン樹脂配合物のグラファイトシートへの塗布、含浸量はいずれも、グラファイトシート中の空孔容積(グラファイトシートの体積×空孔率)に対してほぼ100vol%となる量で塗布、含浸した。
[評価手法]
得られた各熱伝導性シート及びグラファイトシート(D−1)、(D−2)について、下記特性について試験・測定し、評価したその結果を表1に示した。
得られた各熱伝導性シート及びグラファイトシート(D−1)、(D−2)について、下記特性について試験・測定し、評価したその結果を表1に示した。
[熱伝導性シートの熱伝導率]
熱伝導性シートの厚み方向及び面内方向の熱伝導率は、共にべテル社製商品名サーモウェーブアナライザーを用いて測定した。
熱伝導性シートの厚み方向の熱伝導率の測定原理としては、パルスレーザー光を試料表面に照射し、比熱、熱拡散率を測定することにより、熱伝導率は比熱、熱拡散率、試験片の密度の積として算出できる。
熱伝導性シートの面内方向の熱伝導率の測定原理としては、熱伝導性シートの片面の1点から周期加熱し、反対面から放射測温するときに測温位置を移動させ、距離ごとの位相差を求め、面内方向の熱拡散率を求め熱拡散率から熱伝導率を算出する。
熱伝導性シートの厚み方向及び面内方向の熱伝導率は、共にべテル社製商品名サーモウェーブアナライザーを用いて測定した。
熱伝導性シートの厚み方向の熱伝導率の測定原理としては、パルスレーザー光を試料表面に照射し、比熱、熱拡散率を測定することにより、熱伝導率は比熱、熱拡散率、試験片の密度の積として算出できる。
熱伝導性シートの面内方向の熱伝導率の測定原理としては、熱伝導性シートの片面の1点から周期加熱し、反対面から放射測温するときに測温位置を移動させ、距離ごとの位相差を求め、面内方向の熱拡散率を求め熱拡散率から熱伝導率を算出する。
[ポンピングアウト性]
二枚の標準アルミニウムプレートの間に各試験片を挟み、圧縮加重410kPaで荷重した後、オーブンに入れ、0℃/30分⇔125℃/30分の温度サイクルを500サイクル繰り返した。試験後、シリコーン成分の流出の有無を目視観察した。
評価A:シリコーン成分流出なし
評価B:シリコーン成分流出あり
二枚の標準アルミニウムプレートの間に各試験片を挟み、圧縮加重410kPaで荷重した後、オーブンに入れ、0℃/30分⇔125℃/30分の温度サイクルを500サイクル繰り返した。試験後、シリコーン成分の流出の有無を目視観察した。
評価A:シリコーン成分流出なし
評価B:シリコーン成分流出あり
[脆さ(強度)]
引き裂きの方向へカッターナイフで切断時の熱伝導性シートの破損の有り無しで評価した。
評価A:破損なし
評価B:破損あり
引き裂きの方向へカッターナイフで切断時の熱伝導性シートの破損の有り無しで評価した。
評価A:破損なし
評価B:破損あり
表1から明らかなように、各実施例は、いずれも熱伝導率が高く、放熱性能に優れるとともに、耐ポンピングアウト性や脆さ(強度)においても優れたものとなっている。
一方、グラファイトシート単体である比較例1、比較例2では、脆さ(強度)が劣り、引き裂きの方向へカッターナイフで切断時の熱伝導性シートの破損が顕著であった。
更にシリコーンオイルを用いた比較例3では、ポンピングアウト試験にてシリコーン成分(シリコーンオイル)の流出が観察され、また脆さ(強度)も劣った。
一方、グラファイトシート単体である比較例1、比較例2では、脆さ(強度)が劣り、引き裂きの方向へカッターナイフで切断時の熱伝導性シートの破損が顕著であった。
更にシリコーンオイルを用いた比較例3では、ポンピングアウト試験にてシリコーン成分(シリコーンオイル)の流出が観察され、また脆さ(強度)も劣った。
Claims (7)
- グラファイトシートの空孔部に室温下で実質的に固体である熱軟化性シリコーン樹脂を含浸・充填してなることを特徴とする熱伝導性シート。
- 熱軟化性シリコーン樹脂が、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シート。
- 熱軟化性シリコーン樹脂が、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び3官能性シルセスキオキサン構造単位(T単位)を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シート。
- 熱軟化性シリコーン樹脂が、1官能性シロキシ構造単位(M単位)、2官能性シロキサン構造単位(D単位)及び4官能性構造単位(Q単位)を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シート。
- 熱軟化性シリコーン樹脂中に、更に、該熱軟化性シリコーン樹脂が流動化することを妨げない範囲の量で熱伝導性充填剤を配合、分散したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
- 熱軟化性シリコーン樹脂の軟化点が40〜120℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
- 面内方向の熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱伝導性シート。
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TW (1) | TW201621027A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020149335A1 (ja) * | 2019-01-17 | 2020-07-23 | バンドー化学株式会社 | 熱伝導性シート |
JP2021001239A (ja) * | 2019-06-19 | 2021-01-07 | 信越化学工業株式会社 | 熱硬化型熱伝導性シリコーンゴム組成物 |
-
2014
- 2014-12-03 JP JP2014244818A patent/JP2016076678A/ja active Pending
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2015
- 2015-08-12 TW TW104126262A patent/TW201621027A/zh unknown
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TW201621027A (zh) | 2016-06-16 |
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