本発明の態様に係る湿式処理装置および湿式処理方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の基板(被露光体)Pに露光処理を施す露光装置EXを含むデバイス製造システム10の概略構成を示す図である。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、図に示す矢印にしたがって、X方向、Y方向、およびZ方向を説明する。
デバイス製造システム10は、例えば、電子デバイスとしてのフレキシブル・ディスプレイを製造する製造ラインが構築された製造システムである。フレキシブル・ディスプレイとしては、例えば、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等がある。デバイス製造システム10は、フレキシブルのシート状の基板(シート基板)Pをロール状に巻いた図示しない供給ロールから基板Pが送出され、送出された基板Pに対して各種処理を連続的に施した後、各種処理後の基板Pを図示しない回収ロールで巻き取る、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll To Roll)方式の構造を有する。そのため、各種処理後の基板Pは、複数の電子デバイスが連なった状態となっており、多面取り用の基板となっている。前記供給ロールから送られた基板Pは、順次、プロセス装置PR1、露光装置(描画装置)EX、および、プロセス装置PR2等で各種処理が施され、前記回収ロールで巻き取られる。この基板Pは、基板Pの移動方向が長手方向(長尺)となり、幅方向が短手方向(短尺)となる帯状の形状を有する。
なお、X方向は、水平面内において、プロセス装置PR1から露光装置EXを経てプロセス装置PR2に向かう方向(搬送方向)である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、基板Pの幅方向である。Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向(上方向)である。なお、−Z方向は、重力が働く方向とし、+Z方向は、重力が働く方向とは逆の方向とする。
基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、および酢酸ビニル樹脂のうち、少なくとも1つ以上を含んだものを用いてもよい。また、基板Pの厚みや剛性(ヤング率)は、露光装置EXの搬送路を通る際に、基板Pに座屈による折れ目や非可逆的なシワが生じないような範囲であればよい。基板Pの母材として、厚みが10μm〜200μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等のフィルムは、好適なシート基板の典型である。
基板Pは、プロセス装置PR1、露光装置EX、および、プロセス装置PR2等で施される各処理において熱を受ける場合があるため、熱膨張係数が顕著に大きくない材質の基板Pを選定することが好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって熱膨張係数を抑えることができる。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、または、酸化ケイ素等でもよい。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。
ところで、基板Pの可撓性とは、基板Pに自重程度の力を加えてもせん断したり破断したりすることはなく、その基板Pを撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、基板Pの材質、大きさ、厚さ、基板P上に成膜される層構造、温度、湿度等の環境等に応じて、可撓性の程度は変わる。いずれにしろ、本第1の実施の形態によるデバイス製造システム10内の搬送路に設けられる各種の搬送用ローラ、回転ドラム等の搬送方向転換用の部材に基板Pを正しく巻き付けた場合に、座屈して折り目がついたり、破損(破れや割れが発生)したりせずに、基板Pを滑らかに搬送できれば、可撓性の範囲と言える。
プロセス装置PR1は、露光装置EXで露光処理される基板Pに対して前工程の処理を行う。プロセス装置PR1は、前工程の処理を行った基板Pを露光装置EXへ向けて送る。この前工程の処理により、露光装置EXへ送られる基板Pは、その表面に感光性機能層(光感応層)が形成された基板(感光基板)Pとなっている。
この感光性機能層は、溶液として基板P上に塗布され、乾燥することによって層(膜)となる。感光性機能層の典型的なものはフォトレジストであるが、現像処理が不要な材料として、紫外線の照射を受けた部分の親撥液性が改質される感光性シランカップリング剤(SAM)、或いは紫外線の照射を受けた部分にメッキ還元基が露呈する感光性還元剤等がある。感光性機能層として感光性シランカップリング剤を用いる場合は、基板P上の紫外線で露光された部分が撥液性から親液性に改質される。そのため、親液性となった部分の上に導電性インク(銀や銅等の導電性ナノ粒子を含有するインク)や半導体材料を含有した液体等を選択塗布することで、パターン層を形成することができる。感光性機能層として、感光性還元剤を用いる場合は、基板P上の紫外線で露光された部分にメッキ還元基が露呈する。そのため、露光後、基板Pを直ちにパラジウムイオン等を含むメッキ液中に一定時間浸漬することで、パラジウムによるパターン層が形成(析出)される。このようなメッキ処理はアディティブ(additive)なプロセスであるが、その他、サブトラクティブ(subtractive)なプロセスとしてのエッチング処理を前提にする場合、露光装置EXへ送られる基板Pは、母材をPETやPENとし、その表面にアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属性薄膜を全面または選択的に蒸着し、さらにその上にフォトレジスト層を積層したものであってもよい。
本第1の実施の形態においては、描画装置としての露光装置EXは、マスクを用いない直描方式の露光装置、いわゆるラスタースキャン方式の露光装置であり、プロセス装置PR1から供給された基板Pに対して、ディスプレイ用の回路または配線等の所定のパターンを描画する。露光装置EXは、基板Pを+X方向に搬送しながら、露光用のレーザ光(露光ビーム)LBのスポット光SPを基板P上で所定の走査方向(Y方向)に1次元の方向に走査しつつ、スポット光SPの強度をパターンデータ(描画データ)に応じて高速に変調(on/off)することによって、基板Pの表面(感光面)に所定のパターンを描画露光している。つまり、基板Pの+X方向への搬送と、スポット光SPの走査方向への走査とで、スポット光SPが基板P上で相対的に2次元走査されて、基板Pに所定のパターンが描画露光される。
プロセス装置PR2は、露光装置EXで露光処理された基板Pに対しての後工程の処理(例えば、メッキ処理、現像・エッチング処理、洗浄、乾燥等)を行う。この後工程の処理により、基板P上に電子デバイスのパターン層が形成される。
次に、露光装置EXについて詳しく説明する。露光装置EXは、温調チャンバーECV内に格納されている。この温調チャンバーECVは、内部を所定の温度に保つことで、内部において搬送される基板Pの温度による形状変化を抑制する。温調チャンバーECVは、パッシブまたはアクティブな防振ユニットSU1、SU2を介して製造工場の設置面Eに配置される。防振ユニットSU1、SU2は、設置面Eからの振動を低減する。この設置面Eは、設置土台上の面であってもよく、床であってもよい。露光装置EXは、基板搬送機構12、光源装置(パルス光源装置)14、光導入光学系16、露光ヘッド18、制御装置20、および、アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)を備えている。
基板搬送機構12は、プロセス装置PR1から搬送される基板Pを、プロセス装置PR2に所定の速度で搬送する。基板搬送機構12は、基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)から順に、駆動ローラNR1、エッジポジションコントローラEPC、案内ローラR1、テンション調整ローラRT1、回転ドラム(円筒ドラム)DR、テンション調整ローラRT2、および、案内ローラR2を有している。
駆動ローラNR1は、プロセス装置PR1から搬送される基板PをエッジポジションコントローラEPCに搬送する。エッジポジションコントローラEPCは、搬送されてきた基板Pの幅方向(Y方向であって基板Pの短尺方向)における位置を調整する。つまり、エッジポジションコントローラEPCは、所定のテンションが掛けられた状態で搬送されている基板Pの幅方向の端部(エッジ)における位置が、目標位置に対して±十数μm〜数十μm程度の範囲(許容範囲)に収まるように、搬送ローラや基板Pの供給ロールをY方向にシフトさせることで基板Pを幅方向に移動させて、基板Pの幅方向における位置を調整する。エッジポジションコントローラEPCは、基板Pの幅方向の端部(エッジ)の位置を検出する図示しないエッジセンサを有する。エッジポジションコントローラEPCは、駆動ローラNR2を有し、駆動ローラNR1、NR2は、基板Pに弛み(あそび)を与えている。駆動ローラNR1、NR2は、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを回転ドラムDR側に向けて搬送する。エッジポジションコントローラEPCから搬出された基板Pは、案内ローラR1、テンション調整ローラRT1の順に長尺方向に沿って掛け渡された後、回転ドラムDRに搬送される。この駆動ローラNR1、NR2は、制御装置20の制御にしたがって回転する。
回転ドラムDRは、Y方向(基板Pの幅方向)に延びる中心軸(回転軸)AXと、中心軸AXから一定半径の円筒状の外周面とを有し、外周面(円筒面)に倣って基板Pの一部を長尺方向に湾曲させて支持しつつ、中心軸AXを中心に回転して基板Pを+X方向に搬送する。これにより、回転ドラムDRは、基板Pを露光ヘッド18に対してスポット光SPの走査方向(Y方向)とは直交した+X方向に相対移動させることができる。回転ドラムDRは、+Z方向側で前記外周面の約半周面に亘って基板Pを支持する。回転ドラムDRは、基板P上で所定のパターンが露光される領域(部分)、および、アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)によって撮像される基板P上の領域(部分)をその円周面で支持する。この中心軸AXには、制御装置20によって制御されて駆動する図示しない回転駆動源(例えば、モータや減速機構等)からの回転トルクが与えられる。なお、便宜的に、中心軸AXを通り、Z方向と平行な面を中心面Cと呼ぶ。
回転ドラムDRから搬出された基板Pは、テンション調整ローラRT2、案内ローラR2の順に長尺方向に沿って掛け渡された後、プロセス装置PR2に送られる。テンション調整ローラRT1、RT2は、回転ドラムDRに巻き付けられて支持されている基板Pに、所定のテンションを与えている。このテンション調整ローラRT1、RT2は、−Z方向に付勢されている。
光源装置14は、光源(パルス光源)14aを有し、パルス状のレーザ光(パルス光)LBを射出するものである。このレーザ光LBは、370nm以下の波長帯域にピーク波長を有する紫外線光であり、レーザ光LBの発振周波数をFe(Hz)とする。この発振周波数Feは、スポット光SPの基板P上での実効的なサイズDs(μm)と走査速度Vs(μm/秒)により、Fe>Vs/Dsとなるように設定され、好ましくはFe≧2Vs/Ds(Hz)となるように設定される。さらに、1パルス光の実効的な発光時間Ts(秒)が、Ts<1/2Feとなるようなパルス光源、例えば波長800nm〜1000nm程度の半導体レーザを周波数Feでパルス発振させて得られるパルス光を種光(シード光)として、光ファイバーアンプで増幅した後、波長変換素子(高調波変換素子)によって波長370nm以下で発光時間が数十ピコ秒〜数ピコ秒のパルス光をレーザ光LBとして出力するファイバーレーザ光源としてもよい。光源装置14が射出したレーザ光LBは、光導入光学系16に導かれて露光ヘッド18に入射する。
露光ヘッド18は、レーザ光LBがそれぞれ入射する複数の描画ユニットU(U1〜U6)を備え、回転ドラムDRの上方(+Z方向)に設けられている。光源装置14からのレーザ光LBは、反射ミラーやビームスプリッタ等を有する光導入光学系16に導かれて露光ヘッド18の複数の描画ユニットU(U1〜U6)に入射する。露光ヘッド18は、回転ドラムDRの円周面で支持されている基板Pの一部分に、複数の描画ユニットU1〜U6によって、所定のパターンを描画する。露光ヘッド18は、構成が同一の複数の描画ユニットU1〜U6を有することで、いわゆるマルチビーム型の露光ヘッドとなっている。奇数番の描画ユニットU1、U3、U5は、中心面Cに対して基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)に配置され、偶数番の描画ユニットU2、U4、U6は、中心面Cに対して基板Pの搬送方向の下流側(+X方向側)に配置されている。これにより、最初に奇数番の描画ユニットU1、U3、U5によって描画露光が行われ、その後、偶数番の描画ユニットU2、U4、U6によって描画露光が行われる。なお、描画ユニットUの数を6つとしたが、描画ユニットUの数は、1つであってもよいし、3つであってもよく、その数は任意に変更可能である。
描画ユニットUは、入射したレーザ光LBを基板P上で収斂させてスポット光SPにし、且つ、そのスポット光SPを、基板Pの表面に設定された所定の走査ライン(描画ライン、描画領域)Lに沿って走査させつつ、パターンデータに応じて基板P上に照射されるスポット光SPの強度をオン(高レベル)/オフ(低レベルまたは0レベル)に変調させる。これにより、走査ラインL内に線状のパターンが描画される。このスポット光SPの走査は、例えば、制御装置20の制御にしたがって回転するポリゴンミラーによって行われ、スポット光SPの強度変調は、例えば、制御装置20の制御にしたがって光路を切り換える音響光学素子(AOM)によって行われる。また、基板Pは、+X方向に搬送されているので、スポット光SPの走査を複数回行うことで、2次元のパターンを基板Pに描画露光することができる。各描画ユニットU(U1〜U6)から基板Pに照射されるスポット光SPの進行方向は、XZ平面において、回転ドラムDRの中心軸AXに向かって直線状に進む方向となっている。各描画ユニットU(U1〜U6)は、各描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の射出面22から中心軸AXまでの長さが同一の距離となるように設定されている。なお、射出面22とは、レーザ光LBが射出する終端光学素子の面のことをいう。
各描画ユニットUの走査ラインLは、図2に示すように、Y方向(基板Pの幅方向、走査方向)に関して互いに分離することなく、繋ぎ合わされるように設定されている。図2では、描画ユニットU1の走査ラインLをL1、描画ユニットU2の走査ラインLをL2で表している。同様に、描画ユニットU3、U4、U5、U6の走査ラインLをL3、L4、L5、L6で表している。このように、描画ユニットU1〜U6全部で、基板Pの表面に設定された露光領域Wの幅方向の全てをカバーするように、各描画ユニットUは走査領域を分担している。なお、例えば、1つの描画ユニットUによるY方向の走査幅(走査ラインLの長さ)を20〜50mm程度とすると、奇数番の描画ユニットU1、U3、U5の3個と、偶数番の描画ユニットU2、U4、U6の3個との計6個の描画ユニットUをY方向に配置することによって、描画可能なY方向の幅を120〜300mm程度に広げている。この走査ラインLの幅(周方向)は、スポット光SPのサイズDs(μm)に応じた太さとなる。例えば、スポット光SPのサイズDs(直径)が、最大光強度値(ピーク値)に対して半値となる幅、または1/e2のレベルとなる幅で3μmの場合は、走査ラインLの周方向の幅も3μmとなる。
奇数番の走査ラインL1、L3、L5の各々に沿って走査されるレーザ光LBのスポット光SPの走査方向は、一次元の方向となっており、同じ方向となっている。偶数番の走査ラインL2、L4、L6の各々に沿って走査されるレーザ光LBのスポット光SPの走査方向は、一次元の方向となっており、同じ方向となっている。この走査ラインL1、L3、L5に沿って走査されるレーザ光LBのスポット光SPの走査方向と、走査ラインL2、L4、L6に沿って走査されるレーザ光LBのスポット光SPの走査方向とは互いに逆方向となっている。詳しくは、この走査ラインL1、L3、L5に沿って走査されるレーザ光LBのスポット光SPの走査方向は+Y方向であり、走査ラインL2、L4、L6に沿って走査されるレーザ光LBのスポット光SPの走査方向は−Y方向である。これにより、走査ラインL3、L5の描画開始位置と、走査ラインL2、L4の描画開始位置とはY方向に関して隣接する。また、走査ラインL1、L3、L5の描画終了位置と、走査ラインL2、L4、L6の描画終了位置とはY方向に関して隣接する。走査ラインL1〜L6の長さ、つまり、描画ユニットU1〜U6のスポット光SPの走査距離の長さは、同一とする。
この描画ユニットUは、国際公開第2013/146184号パンフレット(図36参照)に開示されているように公知技術であるので、その具体的な構成の説明を割愛する。なお、描画ユニットUは、マスクを用いてパターンを描画するものであってもよい。その場合、マスクは、透過型と反射型のいずれでもよく、さらに平面状と円筒状のいずれであってもよい。さらにマスクは、母材となる平面状の基板(または円筒状の版胴)上にパターンを固定的に形成したもの以外に、一定ピッチで2次元配列される多数のマイクロミラー(DMD;デジタルマイクロミラーデバイス)やマイクロシャッター(LCD、MEMS)の各々を制御して、基板P上に描画されるパターンを動的に変化させるものであってもよい。マイクロシャッターとしては、例えば、特開平6−120109号公報に開示されたものが利用可能である。
アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)は、図2に示すように、基板P上に形成されたアライメントマークKs(Ks1〜Ks3)を検出するためのものであり、Y方向に沿って3つ設けられている。このアライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)の基板P上の検出領域Vw(Vw1〜Vw3)は、回転ドラムDRの円周面上にある。このアライメントマークKsは、基板P上の露光領域Wに描画されるパターンと基板Pとを相対的に位置合わせする(アライメントする)ための基準マークである。つまり、アライメントマークKs(Ks1〜Ks3)を検出することで基板Pの位置を検出することができる。このアライメントマークKsは、図2に示すように、基板Pの幅方向の両端側に、基板Pの長尺方向に沿って一定間隔で形成されているとともに、基板Pの長尺方向に沿って並んだ矩形状の露光領域Wと露光領域Wとの間で、且つ、基板Pの幅方向中央にも形成されている。なお、露光ヘッド18は、基板Pに対して電子デバイス用のパターン露光を繰り返し行うことから、基板Pの長尺方向に沿って所定の間隔をあけて露光領域Wが複数設けられている。
アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)は、アライメント用の照明光を基板Pに投影して、CCD、CMOS等の撮像素子でその反射光を撮像する。基板位置検出部としてのアライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)は、露光ヘッド18から照射されるスポット光SPよりも基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)に設けられている。アライメント顕微鏡AM1は、検出領域(検出視野)Vw1内に存在する基板Pの+Y方向側の端部に形成されたアライメントマークKs1を撮像し、アライメント顕微鏡AM2は、検出領域Vw2内に存在する基板Pの−Y方向側の端部に形成されたアライメントマークKs2を撮像する。アライメント顕微鏡AM3は、検出領域Vw3内に存在する基板Pの幅方向中央に形成されたアライメントマークKs3を撮像する。アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)が撮像した撮像信号は、制御装置20に送られる。制御装置20は、送られてきた撮像信号(画像データ)に基づいて画像認識処理を行うことで、アライメントマークKs(Ks1〜Ks3)の位置を検出する。なお、アライメント用の照明光は、基板P上の感光性機能層に対してほとんど感度を持たない波長域の光、例えば、波長500〜800nm程度の光である。また、検出領域Vw(Vw1〜Vw3)の基板P上の大きさは、アライメントマークKs(Ks1〜Ks3)の大きさやアライメント精度(位置計測精度)に応じて設定されるが、100〜500μm角程度の大きさである。
回転ドラムDRの両端部には、スケール部ES1、ES2が設けられている。スケール部ES1は、回転ドラムDRの+Y方向の端部側に設けられ、スケール部ES2は、回転ドラムDRの−Y方向の端部側に設けられている。スケール部ES1、ES2は、回転ドラムDRの外周面の周方向に沿って一定のピッチ(例えば、20μm)で凹状または凸状の格子線を刻設した回折格子であり、インクリメンタル型スケールとして構成される。このスケール部ES1、ES2は、中心軸AX周りに回転ドラムDRと一体に回転する。
回転ドラムDRの回転位置を光学的に検出する図示しないエンコーダヘッドがスケール部ES1、ES2と対向するように配置されている。このエンコーダヘッドは、スケール部ES1、ES2に向けて計測用の光ビームを照射し、その反射光速(回折光)を光電検出することにより、スケール部ES1、ES2の周方向の回転位置に応じた検出信号を制御装置20に出力する。これにより、エンコーダヘッドは、回転ドラムDRの回転角度(回転位置)を検出することができる。
基板Pは、回転ドラムDRの両端のスケール部ES1、ES2より内側に巻き付けられ、スケール部ES1、ES2の外周面と、回転ドラムDRに巻き付けられた基板Pの外周面とが同一面(中心軸AXから同一半径)となるように設定されている。これにより、エンコーダヘッドは、回転ドラムDRに巻き付いた基板P上の描画面と同じ径方向位置でスケール部ES1、ES2を検出することができ、計測位置と処理位置(スポット光SPの走査位置等)とが回転ドラムDRの径方向に異なることで生じるアッベ誤差を小さくすることができる。
露光装置EXは、図1に示すように、回転ドラムDRの上方の約半周面に巻き付けられた基板Pに対して液中露光を行うために、回転ドラムDRの上側で液体LQを保持する液体保持部LQPを備える。この液体保持部LQPは、回転ドラムDRの上方(+Z方向)に設けられており、回転ドラムDRによって支持される基板Pの一部の表面が第1の液体LQ1に浸るように第1の液体LQ1を保持する。液体保持部LQPは、少なくとも複数の描画ユニットU(U1〜U6)によって描画される領域(描画領域)の基板Pの表面を第1の液体LQ1に浸す。なお、回転ドラムDRとテンション調整ローラRT2との間には、乾燥用のエアーを基板Pに吹き付けることで基板Pに付着した液体LQを除去して乾燥させるための乾燥ユニット24が設けられている。
図3は、液体保持部LQPの構成を示す断面斜視図である。基板Pは、回転ドラムDRの+Z方向側(上側)の外周面の約半周面に亘って密着して支持されつつ、回転ドラムDRの回転によって+X方向に搬送される。この液体保持部LQPは、底部に設けられた静圧気体軸受け(エアベアリング)方式またはベルヌイチャック方式のシール部SEPによって、基板Pの上方で支持される。なお、シール部SEPによって液体保持部LQPを基板Pの上方で支持したが、液体保持部LQPと回転ドラムDRとの3次元的な位置関係を精度よく保つための図示しない支持機構によって液体保持部LQPを基板P(回転ドラムDR)の上方で支持してもよい。
液体保持部LQPの底部には、回転ドラムDRによって支持されて円筒状に湾曲した基板Pの表面(または回転ドラムDRの外周面)に対して一定の隙間(ギャップ)WS1が形成されるように円筒面CU1が設けられている。したがって、円筒状に湾曲した基板Pの曲率半径(回転ドラムDRの外周面の曲率半径)に対して、円筒面(液体保持部LQPの底面)CU1の曲率半径は、隙間WS1分だけ大きく設定される。この円筒面CU1が形成された範囲(特定範囲)は、複数の描画ユニットU(U1〜U6)によってスポット光SPが走査される基板P上の走査領域(走査ラインL1〜L6)を全て覆うように設定されている。つまり、回転ドラムDRの外周面に沿った円筒面CU1の範囲(特定範囲)内に、複数の描画ユニットU(U1〜U6)によってスポット光SPが走査される走査ラインL(描画領域)が含まれている。
液体保持部LQPは、円筒面CU1と基板Pとの隙間WS1で第1の液体LQ1を保持する。これにより、第1の液体LQ1は、円筒面CU1が形成された範囲(特定範囲)で保持されるので、この特定範囲内で基板Pの表面が第1の液体LQ1に浸される。したがって、走査ラインL(L1〜L6)に沿ってスポット光SPが走査される基板P上の表面は第1の液体LQ1に浸された状態となる。また、第1の液体LQ1は、円筒面CU1と基板Pとの隙間WS1で保持されるので、液体保持部LQPは、円筒状に湾曲した基板Pの表面(または回転ドラムDRの外周面)から径方向に所定の厚み(一定)となるように第1の液体LQ1を保持することができる。これにより、回転ドラムDRの回転方向に沿って描画ユニットU1、U3、U5と描画ユニットU2、U4、U6とを設けた場合であっても、描画ユニットU1、U3、U5から射出されたレーザ光LBが第1の液体LQ1を通る距離と、描画ユニットU2、U4、U6から射出されたレーザ光LBが第1の液体LQ1を通る距離とを等しくすることができ、パターンの描画精度を向上(一様に安定)させることができる。隙間WS1は、基板Pの表面や円筒面CU1の親撥液性、保持する第1の液体LQ1の種類、濃度、粘性等によって異なるが、例えば、数10μm〜数mmの範囲に設定される。第1の液体LQ1が水性か油性(有機溶剤系)かによって異なるが、第1の液体LQ1が水性の場合、隙間WS1が1mm以下になると、第1の液体LQ1は重力の作用を受けても毛細管現象(或いは表面張力)によってその微小な隙間WS1内に留まろうとする。そのため、隙間WS1を微小にした場合は、隙間WS1内に満たされる第1の液体LQ1を所定の状態で流すための調節(制御)が容易になるといった利点もある。
また、シール部SEPは、液体保持部LQPが第1の液体LQ1を保持する領域、つまり、円筒面CU1が形成された特定範囲を囲むように液体保持部LQPの底部に設けられている。このシール部SEPによって、保持された第1の液体LQ1が液体保持部LQPから漏れないようにシールすることができる。つまり、シール部SEPは、特定範囲外への第1の液体LQ1の遺漏を防止する。詳しく説明すると、液体保持部LQPの回転ドラムDRの周方向の両端部においては、シール部SEPは、Y方向に延びるように液体保持部LQPの底部に設けられている。また、図示していないが、液体保持部LQPのY方向の両端部においては、シール部SEPは、円筒状に湾曲した基板P(回転ドラムDRの外周面)の曲率と同じ曲率で周方向に円弧状となるように液体保持部LQPの底部に設けられている。
液体保持部LQPには、露光ヘッド18の複数の描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の射出面22から射出されるレーザ光LBが基板P上に照射されるように形成された複数の開口部AH(AH1〜AH6)が設けられている。つまり、描画ユニットU6から射出されたレーザ光LBは、開口部AH6を通って基板Pに到達し、描画ユニットU5から射出されたレーザ光LBは、開口部AH5を通って基板Pに到達する。同様に、描画ユニットU1〜U4から射出されたレーザ光LBは、開口部AH1〜AH4を通って基板Pに到達する。なお、図3においては、開口部AH5、AH6のみが図示されている。複数の描画ユニットU(U1〜U6)は、中心面C(中心軸AX)に対して基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)と下流側(+X方向側)とで2列に千鳥配列で配置されているので、それに対応して開口部AH(AH1〜AH6)も、中心面C(中心軸AX)に対して基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)と下流側(+X方向側)とで2列に千鳥配列で配置されている。
開口部AH(AH1〜AH6)は、液体保持部LQPを貫通するように形成されており、円筒面CU1側には、開口部AH(AH1〜AH6)の開口を塞ぐための透明材料で形成されたシール板GS(GS1〜GS6)が設けられている。シール板GS6は、開口部AH6の開口を塞ぎ、シール板GS5は、開口部AH5の開口を塞ぐ。同様に、図示しないがシール板GS1〜GS4は、開口部AH1〜AH4の開口を塞ぐ。なお、このシール板GSは、全ての開口部AH(AH1〜AH6)の開口を塞ぐ一枚の板であってもよい。シール板GS(GS1〜GS6)の底面(下面)は、円筒面(曲面)CU1を構成する。つまり、シール板GSの回転ドラムDRと対向する面が、円筒面CU1と揃った面(フラッシュサーフェス)となるように、シール板GSをその厚さ分だけ円筒面CU1に埋め込まれている。なお、単にシール板GSを埋め込まずに、開口部AHを塞ぐように円筒面CU1上に配置してもよい。このシール板GSは、描画ユニットUから射出したレーザ光LBを透過させるとともに、隙間WS1に保持された第1の液体LQ1が開口部AHに浸入しないようにシールする。シール板GSは、露光用の紫外線(レーザ光LB)の波長域において、90%以上の透過率を有し、厚みが100〜50μm程度で湾曲可能な最小曲率半径が10cm程度のものであってもよい。シール板GSは、例えば、円筒面CU1の曲率以下まで湾曲可能な薄いガラス板であってもよい。
開口部AH(AH1〜AH6)には、描画ユニットU(U1〜U6)の先端部分(終端光学素子を含む)Uaが上方から下方に向かって挿入されてもよい。このとき、シール板GS(GS1〜GS6)と接触しないように先端部分Uaは開口部AH(AH1〜AH6)に挿入される。また、開口部AH(AH1〜AH6)は、第2の液体LQ2を保持してもよい。具体的には、第2の液体LQ2は、開口部AH(AH1〜AH6)とシール板GSとで保持される。この場合は、第1の液体LQ1と第2の液体LQ2とはシール板GSによって仕切られている。描画ユニットU(U1〜U6)の先端部分Uaが開口部AH(AH1〜AH6)に挿入される場合は、開口部AH(AH1〜AH6)は、描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の射出面22が第2の液体LQ2に浸るように第2の液体LQ2を保持してもよい。これにより、終端光学素子から射出されるレーザ光LBは、空気中を通らずに、第2の液体LQ2、シール板GS、および、第1の液体LQ1を通って基板Pに到達するので、液体LQ1、LQ2を脱気した超純水等にした場合、解像度の向上(スポット光SPのサイズ微細化)や、焦点深度を拡大することができる、といった利点がある。
回転ドラムDRの周方向に沿って(基板Pの搬送方向に沿って)、液体保持部LQPの開口部AH1、AH3、AH5と開口部AH2、AH4、AH6との間には、隙間WS1に第1の液体LQ1を供給するポートとしての液体供給部SUPが設けられている。この液体供給部SUPは、液体保持部LQPの上部に設けられ、液体保持部LQPによって保持される第1の液体LQ1を所定の流量で供給する。この液体供給部SUPは、XY平面において回転ドラムDRの中心軸AX上、つまり、中心面C上に設けられている。これにより、回転ドラムDRの最も上方の位置から第1の液体LQ1を供給することができる。この液体供給部SUPは、Y方向に沿って複数設けられている。なお、液体供給部SUPは、第1の液体LQ1を出力するポンプ等の図示しない液体供給装置に接続されている。
液体保持部LQPの回転ドラムDRの周方向の両端部には、隙間WS1に存在する第1の液体LQ1、つまり、液体保持部LQPによって保持されている第1の液体LQ1を回収するポートとして液体回収部DRPが設けられている。この液体回収部DRPは、Y方向に沿って複数設けられている。円筒面CU1には、回転ドラムDRの周方向の両端部側であって、シール部SEPに隣接する位置に、Y方向に延びた溝部DRCが設けられている。この溝部DRCには、液体回収部DRPが接続されている。なお、基板Pの搬送方向側(+X方向側)の溝部DRCをDRC1とし、基板Pの搬送方向とは逆方向側(−X方向側)の溝部DRCをDRC2とする。なお、液体回収部DRPは、第1の液体LQ1を吸引する図示しない液体吸引装置に接続されている。
液体供給部SUPによって、回転ドラムDRの最上位の位置から隙間WS1に供給された第1の液体LQ1は、重力にしたがって回転ドラムDRの回転方向(+X方向)に沿って隙間WS1内を流れるとともに、回転ドラムDRの回転方向とは逆方向(−X方向)に沿って隙間WS1内を流れる。回転ドラムDRの回転方向に沿って流れた第1の液体LQ1は、開口部AH2、AH4、AH6(シール板GS2、GS4、GS6)の下方を通って溝部DRC1に到達し、回転ドラムDRの回転方向とは逆方向に沿って流れた第1の液体LQ1は、開口部AH1、AH3、AH5(シール板GS1、GS3、GS5)の下方を通って溝部DRC2に到達する。溝部DRC1、DRC2に到達した第1の液体LQ1は、液体回収部DRPによって液体保持部LQPの外部に所定の流量で放出される。
このような構成を有することで、液体供給部SUPから供給される第1の液体LQ1、および、液体回収部DRPによって回収される第1の液体LQ1の流量、タイミング、インターバル等を制御することで、シール部SEPで囲まれた隙間WS1内を第1の液体LQ1で満たした状態を作ることができ、また、所定の流れを作ることもできる。また、シール板GSによって第1の液体LQ1と第2の液体LQ2とが仕切られているので、第1の液体LQ1の流れが第2の液体LQ2に影響を与えることがなく、第1の液体LQ1の流れによって描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の位置がずれたり振動したりすることを防止することができる。同様に、何らかの理由によって発生した第2の液体LQ2の流動が第1の液体LQ1に与える影響を防止することもできる。
なお、液体回収部DRPを介して回収される第1の液体LQ1は、その濃度が変化したり、不純成分(ゴミ等)が混入している可能性があるため、不純物の除去と濃度回復を行う液体再生(リフレッシュ)処理部に送られる。再生処理部で所定の状態にリフレッシュされた第1の液体LQ1は、再び液体供給部SUPに送られる。このような循環系を設けることによって、廃液として処理される液体を少なくすることができる。
図4は、液体保持部LQPの一部断面図である。シール部SEPは、基板Pの表面と対向する面(パッド面、パッド部)CU2と、面CU2と基板Pとの間に静圧気体層(気体層)を生成するための気体を供給する気体供給部ARBとを有する。シール部SEPの内側の端部EGは、ナイフエッジのように鋭利なフィン状に形成される。シール部SEPの面(円筒面)CU2と基板Pとは、一定の隙間(ギャップ)WS2を有する。つまり、シール部SEPの面(曲面)CU2の曲率は、円筒状に湾曲した基板Pの曲率(回転ドラムDRの外周面の曲率)と同一となる。隙間WS2は、隙間WS1に比べ極めて小さく、例えば、数μm〜十数μm程度に設定されている。したがって、気体供給部ARBが隙間WS2に気体を供給することで、隙間WS2内では気体の圧力が高くなり、端部EG側から隙間WS2への第1の液体LQ1の浸入が防止される。これにより、シール部SEPは、エアベアリング方式またはベルヌイチャック方式によって、第1の液体LQ1が液体保持部LQPから漏れることを防止することができ、且つ、回転ドラムDR上で液体保持部LQPを支持することができる。また、基板Pの搬送速度は、5〜10mm/秒、早くても数十mm/secであるため、基板Pの表面の濡れ性が上がった場合(撥液性が低下した場合)であっても、シール部SEPの面CU2を第1の液体LQ1に対して高い撥液性にしておけば、第1の液体LQ1の隙間WS2への浸入を抑えることができる。これにより、シール部SEPによって第1の液体LQ1を隙間WS1内に補足し続けることができる。なお、気体供給部ARBは、気体(例えば、圧縮気体)を出力するポンプ等の図示しない気体供給装置に接続されている。また、シール部SEPは、静圧気体層を生成することで、エアベアリング方式またはベルヌイチャック方式によって第1の液体LQ1が漏れることを防止したが、シール部SEPは、磁性流体シールであってもよい。
基板Pの表面の第1の液体LQ1に対する撥液性の程度は、基板Pの表面に形成された被膜層によっても異なる。感光性の被膜層(感光性機能層)として典型的なフォトレジストを使い、第1の液体LQ1として純水を使う場合は、液体保持部LQPの底部で基板Pの表面と対向する円筒面CU1や溝部DRC1、DRC2内の表面を、水との親液性が高い金属面(例えば、チタン)等にするとよい。併せて、シール板GSの第1の液体LQ1との接触面側も親液性となるように表面加工しておくのがよい。
ここで、感光性の被膜層としてフォトレジストを使用する場合は、隙間WS1には第1の液体LQ1として純水(電解処理と脱気処理とが施された純水、以下同様)が保持されるとともに、開口部AH(AH1〜AH6)によって第2の液体LQ2として純水が保持されるようにしてもよい。この場合は、少なくとも描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の射出面22は第2の液体LQ2に浸されている。これにより、基板Pに照射するスポット光SPのNA(開口数)が高くなることで解像度が向上するとともに、焦点深度が拡大する。感光性の被膜層として、高NAで集光した紫外線が照射された部分が除去される被膜層を用いた場合も同様に、液体保持部LQPが純水の第1および第2の液体LQ1、LQ2を保持することで、レーザ光LB(スポット光SP)が照射された部分を除去することができる。この場合は、液体保持部LQPが保持している第1の液体LQ1は液体供給部SUPから供給されて液体回収部DRPによって回収されているので、レーザ光LB(スポット光SP)の照射によって除去された被膜層の除去物を液体回収部DRPによって回収することができる。したがって、液体保持部LQPが保持する第1の液体LQ1を綺麗な状態に保つことができる。なお、解像度を向上し、焦点深度の拡大を図るために保持する第1および第2の液体LQ1、LQ2の露光光(レーザ光LB)の波長における屈折率およびシール板GS(GS1〜GS6)の屈折率は、描画ユニットUの終端光学素子の屈折率と同一または一定の許容範囲内(例えば±20%以内)に揃っている必要がある。
感光性の被膜層としてポジ型のフォトレジストを使用する場合は、隙間WS1には第1の液体LQ1として現像液が保持されてもよい。これにより、描画ユニットU(U1〜U6)によってレーザ光LB(スポット光SP)が照射された部分は現像液(処理液)によって直ちに溶解するので、基板Pの露光とフォトレジストのパターンの形成を略同時期に行うことができる。また、レーザ光LB(スポット光SP)の照射時からの経過時間に応じて、フォトレジストのパターンの形成精度が悪化するが、露光とフォトレジストのパターンの形成とが略同時期に行われるので、精度よくフォトレストのパターンの形成を行うことができる。なお、現像液によるフォトレジストのパターンの形成を行う場合は、開口部AH(AH1〜AH6)による第2の液体LQ2の保持を行わなくてもよい。すなわち、シール板GS(GS1〜GS6)と描画ユニットU(U1〜U6)の各終端光学素子との間は大気(または窒素ガス)のままでもよい。
感光性の被膜層としてメッキ還元基を有するシランカップリング剤を使用する場合は、隙間WS1には第1の液体LQ1としてパラジウムイオン(Pd+)等を含むメッキ核析出液(メッキ液、処理液)が保持されてもよい。これにより、描画ユニットU(U1〜U6)によってレーザ光LB(スポット光SP)が照射された部分には、パラジウムが析出するので、基板Pの露光とメッキ(パターンの析出)とを略同時期に行うことができる。また、レーザ光LB(スポット光SP)の照射時からの経過時間に応じて、パラジウムの析出精度が悪化するが、露光とメッキとが略同時期に行われるので、効率的に精度よくパターンを析出することができる。なお、メッキ液によるパターンの析出を行う場合は、開口部AH(AH1〜AH6)による第2の液体LQ2の保持を行わなくてもよい。なお、感光性の被膜層としてメッキ還元基を有するシランカップリング剤を用いる場合は、被膜層の露光光(レーザ光LB)が照射されない部分は、第1の液体LQ1に対して撥液性が比較的高い状態となる。
このように、第1の実施の形態においては、液体保持部LQPは、回転ドラムDRの外周面によって支持された円筒状に湾曲した基板Pの表面から径方向に所定の厚みとなるように第1の液体LQ1を保持している。これにより、回転ドラムDRの回転方向(基板Pの搬送方向)に沿って配置された複数の描画ユニットUから基板Pに射出されるレーザ光LBが第1の液体LQ1を通る距離を等しくすることができ、パターンの描画精度を向上させることができる。その結果、効率よく液中露光を行うことができる。
また、液体保持部LQPは、保持した第1の液体LQ1が漏れないようにシールするシール部SEPを有するので、回転ドラムDRの上方(+Z方向)において、第1の液体LQ1を保持することができる。このシール部SEPは、基板Pとシール部SEPの底面CU2との間に静圧気体層を生成する気体供給部ARBを有するので、シール部SEPは、エアベアリング方式またはベルヌイチャック方式によって、第1の液体LQ1が液体保持部LQPから漏れることを防止することができ、効率的に回転ドラムDRの上方で液中露光を行うことができる。
露光装置EXは、液体保持部LQPに第1の液体LQ1を供給する液体供給部SUPと、液体保持部LQPが保持している第1の液体LQ1を回収する液体回収部DRPとを備えるので、液体保持部LQPが保持する第1の液体LQ1を綺麗な状態に保つことができる。液体保持部LQPは、描画ユニットUの終端光学素子の射出面22が浸される第2の液体LQ2を保持する場合は、第1の液体LQ1と第2の液体LQ2とはシール板GSによって仕切られている。その結果、射出面22から射出されたレーザ光LB(スポット光SP)は、空気中を通ることなく基板Pに照射されるので、解像度が向上し、焦点深度を拡大することが可能となる。そして、第1の液体LQ1、第2の液体LQ2、および、シール板GSの屈折率を、終端光学素子の屈折率と同一または一定の許容範囲内にすることで、解像度が向上し、焦点深度が拡大する。液体保持部LQPは、第2の液体LQ2を保持しない場合であっても、第1の液体LQ1として現像液またはメッキ液を保持することで、露光と現像またはメッキとを略同時に行うことができる。
なお、液体保持部LQPの液体供給部SUPによって回転ドラムDRの最上位の位置から供給された第1の液体LQ1が隙間WS1内を重力にしたがって基板P上を+X方向側と−X方向側とに進み、液体供給部SUPよりも下側に位置する溝部DRC1、DRC2を介して液体回収部DRPで回収される流れとしたが、これに限られない。例えば、基板Pの搬送方向と同じ方向に第1の液体LQ1を流すように、溝部DRC2側から第1の液体LQ1を供給し、溝部DRC1側で第1の液体LQ1を回収してもよい。この場合には、開口部AH1、AH3、AH5と開口部AH2、AH4、AH6との間に設けられた液体供給部SUPは不要となり、その代わりに、溝部DRC2に第1の液体LQ1を供給するポートとしての液体供給部SUPが設けられる。溝部DRC1にはそのまま第1の液体LQ1を回収するポートとしての液体回収部DRPが設けられている。このように、溝部DRC2から溝部DRC1に向けて第1の液体LQ1を一方向に流す場合は、その流速を基板Pの搬送速度に対して変えることで、例えば、メッキ析出の状態を調整することも可能である。
また、第1の液体LQ1は、溝部DRC1、DRC2の両方から供給され、液体供給部SUPで回収されるという、逆の流れであってもよい。この場合は、溝部DRC1、DRC2から供給される第1の液体LQ1中にマイクロバブル(極小の気泡)が混じった場合は、それが隙間WS1内に留まらないように、上部の液体供給部SUPから速やかに排出させることができる。なお、この場合は、液体供給部SUPであるポートは、液体回収部として機能する。また、露光ヘッド18を回転ドラムDRの下側に配置して、下側から基板Pに対してパターンの描画露光を行う場合は、液体保持部LQPの上下を逆さまにして回転ドラムDRの下側に配置すればよい。
さらに、第1の実施の形態では、特に図4に示すように、基板Pの表面に接触する第1の液体LQ1を、液体保持部LQPの内側の円筒面CU1と基板Pの表面(円筒面状)との隙間WS1の厚みに規定された液体層として安定に保持可能であるとともに、基板Pの搬送速度に依存することなく、比較的広い範囲の流速に設定することができる。また、第1の液体LQ1を現像液やメッキ液とした場合は、従来のシャワー方式や浴槽(パット)方式の現像処理やメッキ処理に比べて、その使用量を大幅低減することができ、さらに液体の再生処理部と併用することによって、廃液処理の設備を小型化することも可能である。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態においては、回転ドラムDRの下側に露光ヘッド18を設けることで、下側から基板Pに対してパターンの描画露光を行う露光装置EXについて説明する。図5は、第2の実施の形態における露光装置EXの構成を示す図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、上記第2の実施の形態を説明する上で必要のない構成についてはその図示を省略しているものもある。
基板搬送機構12は、駆動ローラNR1、エッジポジションコントローラEPC、案内ローラR11〜R17、および、回転ドラムDRを有する。エッジポジションコントローラEPCから搬出された基板Pは、案内ローラR11、R12、R13、R14の順に長尺方向に沿って掛け渡されることで、回転ドラムDRの下方(−Z方向)を通って+X方向に進んだ後、戻るように−X方向に進みつつ回転ドラムDRより+Z方向の位置まで搬送されて、回転ドラムDRに搬送される。基板Pは、回転ドラムDRの+X方向且つ+Z方向側から回転ドラムDRに搬入される。これにより、感光面(感光性機能層が形成された側の基板Pの表面)が上側となるようにプロセス装置PR1から搬送されてきた基板Pは、回転ドラムDR上においては感光面は下側となる。回転ドラムDRは、−Z方向側(露光ヘッド18側)で外周面の約半周面に亘って基板Pを支持しつつ、中心軸AXを中心に回転して基板Pを−X方向に搬送する。回転ドラムDRは、描画ユニットU(U1〜U6)によって所定のパターンが露光される基板P上の領域(部分)、および、アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)によって撮像される基板P上の領域(部分)をその円周面で支持する。回転ドラムDRから搬出された基板Pは、案内ローラR15、R16、R17の順に長尺方向に沿って掛け渡されることで、回転ドラムDRの上方(+Z方向)を通って+X方向に進み、プロセス装置PR2に搬送される。これにより、感光面が上側となるように基板Pをプロセス装置PR2に搬入することができる。したがって、デバイス製造システム10のプロセス装置PR1、PR2等は、基板Pの上側(+Z方向側)から基板Pに対して処理を施せばよいので、プロセス装置PR1、PR2等での各処理がしやすくなる。
露光ヘッド18は、回転ドラムDRの下方(−Z方向)に設けられており、露光ヘッド18の各描画ユニットU(U1〜U6)は、下方から基板Pに向かってレーザ光LB(スポット光SP)を照射する。奇数番の描画ユニットU1、U3、U5は、中心面Cに対して+X方向側に配置され、偶数番の描画ユニットU2、U4、U6は、中心面Cに対して−X方向側に配置されている。これにより、最初に奇数番の描画ユニットU1、U3、U5によって描画露光が行われ、その後、偶数番の描画ユニットU2、U4、U6によって描画露光が行われる。なお、描画ユニットUの数を6つとしたが、描画ユニットUの数は、1つであってもよいし、3つであってもよく、その数は任意に変更可能である。上記第1の実施の形態と同様に、描画ユニットU(U1〜U6)から基板Pに照射されるスポット光SPの進行方向は、XZ平面において、回転ドラムDRの中心軸AXに向かって直線状に進む方向となっている。また、各描画ユニットU(U1〜U6)は、各描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の射出面22から中心軸AXまでの長さが同一の距離となるように設定されている。アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)は、描画ユニットU1、U3、U5よりも基板Pの搬送方向の上流側に配置されている。
本第2の実施の形態においても、露光装置EXは、液体LQを保持する液体保持部LQPaを備える。第2の実施の形態の液体保持部LQPaは、回転ドラムDRの下方の約半周面に巻き付けられた基板Pに対して液中露光を行うために、回転ドラムDRの下側で液体LQを保持する。液体保持部LQPaは、回転ドラムDRの下方(−Z方向)に設けられており、回転ドラムDRによって支持される基板Pの一部の表面を浸すための第1の液体LQ1を保持する。この液体保持部LQPaは、回転ドラムDRの下部全体を覆う箱状の形状、例えば、円筒状のドラム缶等を中心軸と平行な平面で切断して得られる略半円筒の形状を有する。乾燥ユニット24は、案内ローラR15、R16の間に設けられている。
図6は、第2の実施の形態の液体保持部LQPaの構成を示す断面図である。液体保持部LQPaは、液体保持部LQPaと回転ドラムDRとの3次元的な位置関係を精度よく保つための図示しない支持機構によって、基板P(回転ドラムDR)の下方で固定支持されている。基板Pは、回転ドラムDRの−Z方向側(下側)の外周面の約半周面に亘って密着して支持されつつ、回転ドラムDRの回転によって回転ドラムDRの+X方向側から−X方向に向かって搬送される。液体保持部LQPaは、基板Pを支持する回転ドラムDRの約半周分の外周面に倣って対向するように、XZ面内で円弧状(円筒の一部)に湾曲して形成されている。液体保持部LQPaの上部には、回転ドラムDRによって支持されて円筒状に湾曲した基板Pの表面(感光面側)に対して一定の隙間(ギャップ)WS1aが形成されるように円筒面CU1aが設けられている。したがって、円筒状に湾曲した基板Pの曲率(回転ドラムDRの外周面の曲率)と、円筒面(液体保持部LQPaの上面)CU1aとの曲率とは同一となる。円筒面CU1aが形成された範囲(特定範囲)は、複数の描画ユニットU(U1〜U6)によってスポット光SPが走査される基板P上の走査領域(走査ラインL1〜L6)を全て覆うように設定されている。つまり、回転ドラムDRの外周面に沿った円筒面CU1aの範囲(特定範囲)内に、複数の描画ユニットU(U1〜U6)によってスポット光SPが走査される走査ラインL(描画領域)が含まれている。
液体保持部LQPaは、円筒面CU1aと基板Pとの隙間WS1aで第1の液体LQ1を保持する。これにより、液体保持部LQPaは、円筒状に湾曲した基板Pの表面(または回転ドラムDRの外周面)から径方向に所定の厚み(一定の厚み)となるように第1の液体LQ1を保持することができる。したがって、回転ドラムDRの回転方向に沿って描画ユニットU1、U3、U5と描画ユニットU2、U4、U6とを設けた場合であっても、描画ユニットU1、U3、U5から射出されたレーザ光LBが第1の液体LQ1を通る距離と、描画ユニットU2、U4、U6から射出されたレーザ光LBが第1の液体LQ1を通る距離とを等しくすることができ、パターンの描画精度を向上させることができる。また、液体保持部LQPaは、回転ドラムDRの下方(−Z方向)に設けられているので、上記第1の実施の形態のようにシール部SEPを設けなくても、第1の液体LQ1が液体保持部LQPaから漏れることはない。
液体保持部LQPaには、露光ヘッド18の複数の描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の射出面22から射出されるレーザ光LBが基板P上に照射されるように形成された複数の開口部AH(AH1〜AH6)が設けられている。複数の描画ユニットU(U1〜U6)は、中心面C(中心軸AX)に対して基板Pの搬送方向の上流側と下流側とで2列に千鳥配列で配置されているので、それに対応して開口部AH(AH1〜AH6)も、中心面C(中心軸AX)に対して基板Pの搬送方向の上流側と下流側とで2列に千鳥配列で配置されている。開口部AH(AH1〜AH6)は、液体保持部LQPaを貫通するように形成されており、円筒面CU1a側には、開口部AH(AH1〜AH6)の開口を塞ぐための透明材料で形成されたシール板GS(GS1〜GS6)が設けられている。このシール板GSは、回転ドラムDRと対向する面が、円筒面CU1aと揃った面(フラッシュサーフェス)となるように、シール板GSをその厚さ分だけ円筒面CU1aに埋め込んでもよい。なお、このシール板GSは、全ての開口部AH(AH1〜AH6)の開口を塞ぐ一枚の板であってもよい。
開口部AH(AH1〜AH6)には、描画ユニットU(U1〜U6)の先端部分(終端光学素子を含む)Uaが下方から上方に向かって挿入されてもよい。このとき、シール板GS(GS1〜GS6)と接触しないように先端部分Uaが挿入される。また、開口部AH(AH1〜AH6)は、描画ユニットU(U1〜U6)が挿入された状態で、終端光学素子の射出面22が浸されるように第2の液体LQ2を保持してもよい。この場合は、開口部AH(AH1〜AH6)から第2の液体LQ2が漏れないように、開口部AH(AH1〜AH6)と描画ユニットU(U1〜U6)の先端部分Uaとの間には、可撓性の樹脂等(例えば、ゴム)で形成されたOリングや磁性流体シール等のシール部RSが設けられている。
液体保持部LQPaには、描画ユニットU1、U3、U5よりも+X方向側に、隙間WS1aに存在する第1の液体LQ1、つまり、液体保持部LQPaによって保持される第1の液体LQ1を所定の流量で供給するポートとしての液体供給部SUPが設けられている。また、液体保持部LQPaには、描画ユニットU2、U4、U6よりも−X方向側に、液体保持部LQPaによって保持される第1の液体LQ1を所定の流量で回収するポートとしての液体回収部DRPが設けられている。このように、液体保持部LQPaの複数の描画ユニットU(U1〜U6)より回転ドラムDRの周方向の両側の位置に、液体供給部SUPおよび液体回収部DRPを設けることで、少なくとも複数の描画ユニットU(U1〜U6)によってスポット光SPが照射される基板Pの表面を第1の液体LQ1に浸すことができる。この液体供給部SUPおよび液体回収部DRPは、Y方向に沿って複数設けられている。
液体供給部SUPによって描画ユニットU1、U3、U5より+X方向側から供給された第1の液体LQ1は、基板Pの搬送方向(−X方向)に沿って流れて、複数のシール板GS(GS1〜GS6)の上方を通って、液体回収部DRPから回収され、液体保持部LQPaの外部に放出される。このような構成を有することで、液体供給部SUPから供給される第1の液体LQ1、および、液体回収部DRPによって回収される第1の液体LQ1の流量、タイミング、インターバル等を制御することで、少なくとも液体供給部SUPから液体回収部DRPまでの隙間WS1a内を第1の液体LQ1で満たした状態を作ることができる。
開口部AH1、AH3、AH5と開口部AH2、AH4、AH6との間であって、液体保持部LQPaの中心面C上には、第1の液体LQ1の混在した塵を収集するための塵収集部GAが設けられている。この塵収集部GAは、円筒面CU1aに対して−Z方向に凹んだ形状を有している。この塵収集部GAは、中心面C上に設けられているので、回転ドラムDRの最下位の位置より下方に設けられている。したがって、第1の液体LQ1に含まれる塵であって、液体回収部DRPによって回収されない塵は、その自重により重力にしたがって塵収集部GAに溜まることになる。この塵収集部GAの底面GAaは、開閉可能となっており、塵収集部GAに溜まった塵は定期的に底面GAaから排出される。
液体保持部LQPaの液体供給部SUPおよび液体回収部DRPより回転ドラムDRの周方向の両側の位置には、気体(圧縮空気)を供給する供給ポートAP1と気体を排出する排出ポートAP2とが近接して設けられている。この供給ポートAP1は、気体を基板Pに吹き付けることで、基板Pに付着した塵や液体(例えば、第1の液体LQ1)を吹き飛ばし、排出ポートAP2は、吹き飛ばされたゴミや液体を気体とともに外部に排出する。これにより、基板Pに付着した塵や液体を除去することができ、基板Pの表面を綺麗にすることができる。
上記第1の実施の形態と同様に、感光性の被膜層としてフォトレジストを使用する場合は、隙間WS1aには第1の液体LQ1として純水が保持されるとともに、開口部AH(AH1〜AH6)によって第2の液体LQ2としての純水が保持され、描画ユニットU(U1〜U6)の終端光学素子の射出面22が第2の液体LQ2に浸るようにしてもよい。感光性の被膜層として、高NAで集光した紫外線が照射された部分が除去される被膜層を用いた場合も同様に、液体保持部LQPaが純水の第1および第2の液体LQ1、LQ2を保持することで、レーザ光LB(スポット光SP)が照射された部分を除去することができる。感光性の被膜層としてフォトレジストを使用する場合は、隙間WS1aには第1の液体LQ1として現像液が保持されてもよい。感光性の被膜層をメッキ還元基を有する感光性シランカップリング剤で形成し、第1の液体LQ1としてパラジウムイオン(Pd+)等を含むメッキ核析出液(メッキ液)を用いてもよい。液体保持部LQPaは、現像液やメッキ液を保持する場合は、第2の液体LQ2を保持しなくてもよい。
このように、第2の実施の形態においては、液体保持部LQPaは、回転ドラムDRの外周面によって支持された円筒状に湾曲した基板Pの表面から径方向に所定の厚みとなるように第1の液体LQ1を保持するので、回転ドラムDRの回転方向(基板Pの搬送方向)に沿って配置された複数の描画ユニットUから基板Pに射出されるレーザ光LBの距離を等しくすることができ、パターンの描画精度を向上させることができる。その結果、効率よく液中露光を行うことができる。
また、第2の実施の形態においては、液体保持部LQPaを回転ドラムDRの下方に設け、液体保持部LQPaは、回転ドラムDRの下部を覆う箱状の形状を有するので、上記第1の実施の形態で説明したシール部SEPを設けなくても、保持している第1の液体LQ1が液体保持部LQPaから漏れることはない。
露光装置EXは、液体保持部LQPaに第1の液体LQ1を供給する液体供給部SUPと、液体保持部LQPaが保持している第1の液体LQ1を回収する液体回収部DRPとを備えるので、液体保持部LQPaが保持する第1の液体LQ1を綺麗な状態に保つことができる。液体保持部LQPaは、描画ユニットUの終端光学素子の射出面22が浸される第2の液体LQ2を保持する場合は、第1の液体LQ1と第2の液体LQ2とはシール板GSによって仕切られている。その結果、射出面22から射出されたレーザ光LB(スポット光SP)は、空気中を通ることなく基板Pに照射されるので、解像度が向上し、焦点深度を拡大することが可能となる。そして、第1の液体LQ1、第2の液体LQ2、および、シール板GSの屈折率を、終端光学素子の屈折率と同一または一定の範囲内にすることで、解像度が向上し、焦点深度が拡大する。液体保持部LQPaは、第2の液体LQ2を保持しない場合であっても、第1の液体LQ1として現像液またはメッキ液を保持することで、露光と現像またはメッキとを略同時に行うことができる。
以上の第2の実施の形態も、第1の実施の形態と同様に、特に図6に示すように、基板Pの表面に接触する第1の液体LQ1を、液体保持部LQPaの内側の円筒面CU1aと基板Pの表面(円筒面状)との隙間WS1aの厚みに規定された液体層として安定に保持可能であるとともに、基板Pの搬送速度に依存することなく、比較的広い範囲の流速に設定することができる。さらに、第1の液体LQ1を現像液やメッキ液とした場合は、従来のシャワー方式や浴槽(パット)方式の現像処理やメッキ処理に比べて、その使用量を大幅低減することができ、さらに液体の再生処理部と併用することによって、廃液処理の設備を小型化することも可能である。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態においては、回転ドラムDRの側方(X方向)に露光ヘッド18を設けることで、側方から基板Pに対してパターンの描画露光を行う露光装置EXについて説明する。図7は、第3の実施の形態における露光装置EXの構成を示す図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、上記第3の実施の形態を説明する上で必要のない構成についてはその図示を省略しているものもある。
基板搬送機構12は、NR1、エッジポジションコントローラEPC、案内ローラR21〜R26、および、回転ドラムDRを有する。エッジポジションコントローラEPCから搬出された基板Pは、案内ローラR21、R22の順に長尺方向に沿って掛け渡されることで、X方向と平行に−X方向側から回転ドラムDRの上部に搬入される。回転ドラムDRは、+X方向側(露光ヘッド18側)で外周面の約半周面に亘って基板Pを支持しつつ、中心軸AXを中心に回転して基板Pを回転ドラムDRの下部からX方向と平行に−X方向側に搬送する。回転ドラムDRは、描画ユニットU(U1〜U6)によって所定のパターンが露光される基板P上の領域(部分)、および、アライメント顕微鏡AM(AM1〜AM3)によって撮像される基板P上の領域(部分)をその円周面で支持する。回転ドラムDRから搬出された基板Pは、案内ローラR23、R24、R25、R26の順に長尺方向に沿って掛け渡されることで、回転ドラムDRの下方(−Z方向)を通って+X方向に進み、プロセス装置PR2に搬送される。
露光ヘッド18は、回転ドラムDRの右側(+X方向側)に設けられており、露光ヘッド18の各描画ユニットU(U1〜U3)は、右側(+X方向側)から基板Pに向かってレーザ光LB(スポット光SP)を照射する。本第3の実施の形態においては、露光ヘッド18は、3つの描画ユニットU(U1〜U3)を有するものとする。この複数の描画ユニットU(U1〜U3)は、2列に千鳥配列で配置されており、偶数番の描画ユニットU2は、奇数番の描画ユニットU1、U3に対して+Z方向側に配置されている。これにより、最初に偶数番の描画ユニットU2によって描画露光が行われ、その後、奇数番の描画ユニットU1、U3によって描画露光が行われる。この複数の描画ユニットU(U1〜U3)は、YZ平面において、中心軸AXより+Z方向側に配置しておくのが好ましい。なお、描画ユニットUの数を3つとしたが、描画ユニットUの数は、1つであってもよいし、6つであってもよく、その数は任意に変更可能である。各描画ユニットU(U1〜U3)は、各描画ユニットU(U1〜U3)の終端光学素子の射出面22から中心軸AXまでの長さが同一の距離となるように設定されている。描画ユニットU(U1〜U6)から基板Pに照射されるスポット光SPの進行方向は、XZ平面において、回転ドラムDRの中心軸AXに向かって直線状に進む方向となっている。
本第3の実施の形態においても、露光装置EXは、液体LQを保持する液体保持部LQPbを備える。第3の実施の形態の液体保持部LQPbは、回転ドラムDRの右側(+X方向側)の約半周面に巻き付けられた基板Pに対して液中露光を行うために、回転ドラムDRの右側で液体LQを保持するためのものである。液体保持部LQPbは、回転ドラムDRの右側(+X方向側)に設けられており、回転ドラムDRによって支持される基板Pの一部の表面を浸すための第1の液体LQ1を保持する。液体保持部LQPbから排出された第1の液体LQ1は、回収パレット部LQEによって回収される。なお、乾燥ユニット24は、案内ローラR24、R25の間に設けられている。
図8は、第3の実施の形態の液体保持部LQPbと回収パレット部LQEの外観斜視図、図9は、液体保持部LQPbを回転ドラムDR側(−X方向側)から見た外観斜視図、図10は、液体保持部LQPbの一部断面図、図11は、回収パレット部LQEの外観斜視図である。原則として、図8を用いて説明するが、図8では説明できない構成要素については、図9〜図11を参照する。
液体保持部LQPbと回転ドラムDRとは、液体保持部LQPbと回転ドラムDRとの3次元的な位置関係を精度よく保つための図示しない支持機構によって支持され、回収パレット部LQEも該支持機構によって支持されている。基板Pは、+X方向に水平に搬送され回転ドラムDRの上側から外周面に沿って約半周分密着して巻き付けられ、回転ドラムDRの下側から−X方向に搬送される。回転ドラムDRのY方向の両側には、中心軸AXの周りを回転するようにベアリングで支持されたシャフトSfを有する。なお、上記第1および第2の実施の形態においても、同様に、回転ドラムDRはこのシャフトSfを有する。回転ドラムDRの外周面のY方向の両端側には、基板Pを支持する外周面よりも径が大きいフランジ部FRが全周に亘って設けられている。フランジ部FRは、第1の液体LQ1がY方向に漏れ出すことを防止する土手(シール部材)として機能する。
液体保持部LQPbは、基板Pを支持する回転ドラムDRの約半周分の外周面に倣って対向するように、XZ面内で円弧状(円筒の一部)に湾曲して形成されている。図9、図10に示すように、液体保持部LQPbの回転ドラムDRと対向する面(−X方向側の面)は、回転ドラムDRによって支持されて円筒状に湾曲した基板Pの表面(感光面側)に対して一定の隙間(ギャップ)WS1bが形成されるように形成された円筒面(曲面)CU1bとなっている。したがって、円筒状に湾曲した基板Pの曲率(回転ドラムDRの外周面の曲率)と、円筒面CU1bとの曲率とは同一となる。円筒面CU1bが形成された範囲(特定範囲)は、複数の描画ユニットU(U1〜U3)によってスポット光SPが走査される基板P上の走査領域(走査ラインL1〜L3)を全て覆うように設定されている。つまり、回転ドラムDRの外周面に沿った円筒面CU1bの範囲(特定範囲)内に、複数の描画ユニットU(U1〜U3)によってスポット光SPが走査される走査ラインL(描画領域)が含まれている。
液体保持部LQPbは、円筒面CU1bと基板Pとの隙間WS1bで液体供給部SUPから供給される第1の液体LQ1を保持する。これにより、液体保持部LQPbは、円筒面に湾曲した基板Pの表面(または回転ドラムDRの外周面)から径方向に所定の厚み(一定の厚み)となるように第1の液体LQ1を保持することができる。これにより、回転ドラムDRの回転方向に沿って描画ユニットU1、U3と描画ユニットU2とを設けた場合であっても、描画ユニットU1、U3から射出されたレーザ光LBが第1の液体LQ1を通る距離と描画ユニットU2から射出されたレーザ光LBが第1の液体LQ1を通る距離とを等しくすることができ、パターンの描画精度を向上させることができる。液体保持部LQPbで保持される液体LQの使用量(体積)を少なくすることと、描画ユニットUの作動距離(ワーキングディスタンス)が小さい場合も考慮して、この隙間WS1bは、なるべく狭くすることが好ましく、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下に設定される。なお、作動距離は、描画ユニットUの先端部分Uaに設けられた先端光学素子の射出面22から射出したレーザ光LBが基板Pに到達する距離である。
装置の設計上は、液体保持部LQPbの内側の円筒面CU1bと回転ドラムDRの外周面との径方向の間隔が一定値(WSdとする)になるように設定されるため、隙間WS1bは、基板Pの厚みをTpとして、WS1b=WSd−Tpとなる。隙間WS1bを狭くすればするほど、第1の液体LQ1の使用量(実質的な体積)が減って経済的であるが、極端に狭くすると、基板Pの厚みTpの平均値、厚み公差ΔTpによっては、液体層が極端に薄くなって、隙間WS1bの空間内での第1の液体LQ1の自由な流れを阻害することもある。したがって、処理すべき基板Pの厚みTpの最大値や厚み公差ΔTpを考慮して、隙間WS1bの空間内で第1の液体LQ1が重力の影響を受けて自由に流れる程度に間隔WSdを設定するのがよい。
そのような考え方とは逆に、隙間WS1bの空間内での第1の液体LQ1の自由な流れをある程度制限する構成であってもよい。液体保持部LQPbの内側の円筒面CU1b、基板Pの表面の各々の撥液性(または親液性)の程度、第1の液体LQ1の種類や粘性によって異なるが、図8、図9で示した液体保持部LQPbの場合、隙間WS1bが、例えば1mm以下になると、隙間WS1bの空間内の第1の液体LQ1は重力の影響を受けても、毛細管現象(表面張力)によってその空間内に留まろうとする。そのような場合であっても、本実施の形態では、液体供給部SUPから所定圧で第1の液体LQ1を供給できるので、隙間WS1bの空間内で第1の液体LQ1の制御された流れを起こすことが可能である。以上のように、第1の液体LQ1が重力の影響によって隙間WS1bの空間内を自由に流れる程度の隙間にするか、或いは重力の影響を受けても隙間WS1bの空間内に留まる程度の隙間にするかは、先の第1の実施の形態の図4で示した液体保持部LQPによる隙間WS1の設定、または第2の実施の形態の図6で示した液体保持部LQPaによる隙間WS1aの設定においても同様に適用でき、いずれの場合であってもよい。
さて、液体保持部LQPbのY方向の両端部の内側(回転ドラムDR側)には、フランジ部FRの外周面(円筒状)FRaに倣って対向するように、XZ面内で円弧状に形成されたシール部SEPbが設けられる。シール部SEPbは、液体保持部LQPbによって保持された第1の液体LQ1が、液体保持部LQPbのY方向の両端部から漏れないようにシールする。つまり、シール部SEPbは、Y方向における特定範囲外への第1の液体LQ1の遺漏を防止する。
図9、図10に示すように、シール部SEPbは、フランジ部FRの外周面FRaに対向する円筒状の曲面(以下、円筒面)CU2bを有し、該円筒面(パッド面、パッド部)CU2bとフランジ部FRの外周面FRaとは、一定の隙間(ギャップ)WS2bを有する。つまり、シール部SEPbの円筒面CU2bの曲率は、フランジ部FRの外周面FRaの曲率(回転ドラムDRの外周面の曲率)と同一となる。図10に示すように、この円筒面CU2bは、フランジ部FRの外周面FRaを覆うように形成されている。隙間WS2bは、隙間WS1bに比べ極めて小さく、例えば、数μm〜数十μm程度に設定されている。
そして、シール部SEPbには、円筒面CU2bとフランジ部FRの外周面FRaとの間に、静圧気体層(気体層)が生成されるように、気体(圧縮気体)を供給する噴出口(気体供給部)ASと、供給された気体を吸引する吸引口VAとが周方向に複数形成されている。したがって、この噴出口ASと吸引口VAとによって隙間WS2b内では気体の圧力が高くなり、フランジ部FRとシール部SEPbとの隙間WS2bから第1の液体LQ1が漏れないようにシールすることができる。これにより、シール部SEPbは、エアベアリング方式またはベルヌイチャック方式によって、第1の液体LQ1が液体保持部LQPbのY方向の両端部から漏れることを防止することができる。また、図10に示すように、シール部SEPbに、フランジ部FRよりY方向内側の円筒面CU1bに向けて高圧な気体(圧縮気体)を噴出する噴出口AS1を周方向に複数設けてもよい。この噴出口AS1により、さらにフランジ部FRとシール部SEPbとの隙間WS2bから第1の液体LQ1が漏れないようにシールすることができる。噴出口AS、AS1は、気体を出力するポンプ等の図示しない気体供給装置が接続されており、吸引口VAは、気体を吸引する真空発生装置等の図示しない気体吸引装置に接続されている。
なお、シール部SEPbによる静圧気体層は、フランジ部FRの側壁面(XZ面と平行な面)に形成されるようにしてもよい。さらに、フランジ部FRの代わりに回転ドラムDRの外周面の全周に亘って一定の深さの溝部を形成し、シール部SEPbは、この溝部内に静圧気体層を形成してもよい。また、シール部SEPbは、磁性流体シールであってもよい。
液体保持部LQPbには、露光ヘッド18の複数の描画ユニットU(U1〜U3)の終端光学素子の射出面22から射出されるレーザ光LBが基板P上に照射されるように形成された複数の開口部AHb(AHb1〜AHb3)が設けられている。つまり、描画ユニットU1から射出されたレーザ光LBは、開口部AHb1を通って基板Pに到達する。同様に、描画ユニットU2、U3から射出されたレーザ光LBは、開口部AHb2、AHb3を通って基板Pに到達する。複数の描画ユニットU(U1〜U3)は、2列に千鳥配列で配置されているので、それに対応して開口部AHb(AHb1〜AHb3)も、2列に千鳥配列で配置されている。なお、開口部AHb1〜AHb3の各々の中心を通る中心線LAX1、LAX2、LAX3は、描画ユニットU1〜U3から射出されるレーザ光LBの光軸または描画領域の中心を通る主光線を示す。なお、図10は、開口部AHb1を通る中心線LAX1と回転ドラムDRの中心軸AXとを通る平面でせん断した液体保持部LQPbの断面を示している。
開口部AHb(AHb1〜AHb3)は、液体保持部LQPbを貫通するように形成されており、円筒面CU1b側には、開口部AHb(AHb1〜AHb3)の開口を塞ぐための透明材料で形成されたシール板GS(GS1〜GS3)が設けられている。シール板GS1は、開口部AHb1の開口を塞ぎ、同様に、シール板GS2、GS3は、開口部AHb2、AHb3の開口を塞ぐ。図10に示すように、シール板GSの回転ドラムDRと対向する面が、円筒面CU1bと揃った面(フラッシュサーフェス)となるように、シール板GSをその厚さ分だけ円筒面CU1bに埋め込んでもよい。なお、このシール板GSは、全ての開口部AHb(AHb1〜AHb3)の開口を塞ぐ一枚の板であってもよい。
開口部AHb(AHb1〜AHb3)には、描画ユニットU(U1〜U3)の先端部分(終端光学素子を含む)Uaが右方(+X方向)から左方(−X方向)に向かって挿入されてもよい(図10参照)。このとき、シール板GS(GS1〜GS3)と接触しないように先端部分Uaは開口部AHb(AHb1〜AHb3)に挿入される。また、開口部AHb(AHb1〜AHb3)は、描画ユニットU(U1〜U3)が挿入された状態で、終端光学素子の射出面22が浸されるように第2の液体LQ2を保持してもよい。この場合は、開口部AHb(AHb1〜AHb3)から第2の液体LQ2が漏れないように、図10に示すように、開口部AHb(AHb1〜AHb3)と描画ユニットU(U1〜U3)の先端部分Uaとの間には、可撓性の樹脂等(例えば、ゴム)で形成されたOリングや磁性流体シール等のシール部RSが設けられている。
液体保持部LQPbの上端部(+Z方向側)には、第1の液体LQ1を所定の流量で供給するポートとしての液体供給部SUPと、液体供給部SUPから供給された第1の液体LQ1を基板Pの幅方向に一様に拡散して流すための拡散部LQDとが設けられている。液体保持部LQPbの円筒面CU1bの上部には、図9に示すように、この拡散部LQDに流れた第1の液体LQ1を隙間WS1bに供給するスリット状のノズル(開口)LSHがY方向(中心軸AXの軸方向)に沿って多数設けられている。この複数のノズルLSHからは、一様な流量で第1の液体LQ1が噴出されて隙間WS1bに供給される。なお、このノズルLSHは、開口部AHb(AHb1〜AHb3)よりも上方(+Z方向)に設けられている。
液体保持部LQPbの下端部(−Z方向側)には、保持している第1の液体LQ1を回収する回収スロット部(液体回収部)LQSが設けられている。この回収スロット部LQSには、図9に示すように、液体保持部LQPbによって保持されている第1の液体LQ1を下方(−Z方向)に排出するスロット部STがY方向(中心軸AXの軸方向)に沿って複数設けられている。また、図9に示すように、回収スロット部LQSの上方(+Z方向)であって、液体保持部LQPbの円筒面CU1bの下部側(−Z方向側)のY方向の両端部側に凹部BPを設けてもよい。この凹部BPは、下方(−Z方向)に向かうにつれて円筒面CU1bのY方向の中央に向かうように傾斜したエッジ部EEが形成されるように回転ドラムDRの外周面から遠ざかる方向に窪んでいる。この凹部BPにより、回収スロット部LQSによって回収される第1の液体LQ1を隙間WS1bのY方向中央側に集めることができる。これは、液体保持部LQPbの円筒面CU1bと基板Pとの径方向の隙間WS1bを1mm程度に狭くした場合に、液体が隙間のより狭い方に寄ろうとする特性を利用したものである。さらにこの場合は、円筒面CU1bおよびシール板GSの回転ドラムDRと対向した表面は、第1の液体LQ1に対して親液性が高くなるように表面処理が施され、凹部BPは、第1の液体LQ1に対して撥液性が高い状態となるように、例えば、フッ素系の薄膜でコーティングされてもよい。
なお、図9においては、液体保持部LQPbの円筒面CU1bの下部側(−Z方向側)のY方向の両端部側に凹部BPを形成することによって、回収スロット部LQSによって回収される第1の液体LQ1を円筒面CU1bの下部側でY方向の中央に集める(寄せる)ようにしたが、円筒面CU1bと基板Pとの隙間WS1bの程度に応じて、他の構成によっても同様に第1の液体LQ1を中央に集める(寄せる)ことができる。例えば、重力の影響によって液体が自由に流れる程度の隙間WS1bの寸法(例えば2mm以上)の場合、図9のような凹部BPでは液体LQ1をY方向の中央に集めることは難しい。そこで、そのような場合は、凹部BPの代わりに、円筒面CU1bの下部側(−Z方向側)の表面に、基板Pの表面との隙間が1mm以下となるような上端面を有する細い線状の突起部(リム)を、図9中のエッジ部EEの位置に、円筒面CU1bのY方向の端部から中央部に向けて傾斜するように、周方向に複数本並べて形成してもよい。
液体供給部SUPによって供給された第1の液体LQ1は、拡散部LQDと円筒面CU1bに設けられた複数のノズルLSHを介して隙間WS1bに供給されて、重力、或いは液体供給部SUPによる第1の液体LQ1の送出圧によって、回転ドラムDRに外周面に沿って−Z方向に流れる。回転ドラムDRの外周面に沿って流れた第1の液体LQ1は、シール板GS1〜GS3と基板Pとの間を通って回収スロット部LQSに到達する。なお、隙間WS1bに供給された第1の液体LQ1の一部は、両側のフランジ部FRまで達するが、シール部SEPbによりシールされているので、両端のフランジ部FRに達した第1の液体LQ1が液体保持部LQPbのY方向の両端部から漏れることはない。また、重力、或いは液体LQ1の送出圧によって上方から下方に向かって流れ回収スロット部LQSに到達する第1の液体LQ1は、凹部BPとのエッジ部EE、または複数の線状の突起部(リム)によって回収スロット部LQSのY方向中央に集められる。そして、回収スロット部LQSに到達した第1の液体LQ1は、Y方向に沿って複数設けられたスロット部STに流れ込み、複数のスロット部STを通って下方に排出される。これにより、回収スロット部LQSによって液体保持部LQPbが保持している第1の液体LQ1が回収される。
なお、回収スロット部LQSのスロット部STに、流量を調整する調整可能な弁機構を設け、この弁機構を流れる第1の液体LQ1の流量の制御と、ノズルLSHから供給される第1の液体LQ1の流量の制御とのバランスによって、第1の液体LQ1が隙間WS1b内を上から下に向かって流れる流速を制御するようにしてもよい。また、隙間WS1b内の第1の液体LQ1の圧力によって液体保持部LQPbには、回転ドラムDR(基板P)から離間する方向の力も働くため、それと対峙する付勢力を作用させる機構を、液体保持部LQPbを支持する前記支持機構に設けてもよい。このことは、上記第1および第2の実施の形態でも同様である。
回収スロット部LQSの下方(−Z方向)には、回収スロット部LQSによって回収(排出)された第1の液体LQ1を回収する回収パレット部LQEが設けられている。回収パレット部LQEは、回転ドラムDRのY方向の幅全体をカバーする寸法を有し、回収スロット部LQSから流れてくる第1の液体LQ1だけでなく、基板Pまたは回転ドラムDRに残留して付着している第1の液体LQ1の滴等も回収する。
図11に示すように、回収スロット部LQSから流れて落ちてくる第1の液体LQ1や基板Pに残留して付着した第1の液体LQ1の滴は、塵取り状に構成された回収パレット部LQEの底部LQEa上に溜められ、溜められた第1の液体LQ1は、排出ポートDPから排出される。回収パレット部LQEの−X方向側の傾斜壁部LQEbには、基板Pや回転ドラムDRに向けて高圧な気体(圧縮気体、エアジェット)を噴出し、基板Pや回転ドラムDRに残留して付着した第1の液体LQ1の滴を吹き飛ばすノズルANがY方向に複数設けられている。これにより、基板Pや回転ドラムDRに付着した第1の液体LQ1の滴が回収パレット部LQEによって回収される。このノズルANには、高圧の気体(圧縮気体)を供給する図示しない気体供給装置が接続されている。
上記第1の実施の形態と同様に、感光性の被膜層としてフォトレジストを使用する場合は、隙間WS1bには第1の液体LQ1として純水が保持されるとともに、開口部AHb(AHb1〜AHb3)によって第2の液体LQ2としての純水が保持され、描画ユニットU(U1〜U3)の終端光学素子の射出面22が第2の液体LQ2に浸るようにしてもよい。感光性の被膜層として、高NAで集光した紫外線が照射された部分が除去される被膜層を用いた場合も同様に、液体保持部LQPbが純水の第1および第2の液体LQ1、LQ2を保持することで、レーザ光LB(スポット光SP)が照射された部分を除去することができる。感光性の被膜層としてフォトレジストを使用する場合は、隙間WS1bには第1の液体LQ1として現像液が保持されてもよい。感光性の被膜層をメッキ還元基を有する感光性シランカップリング剤で形成した場合、第1の液体LQ1としてパラジウムイオン(Pd+)等を含むメッキ核析出液(メッキ液)を用いてもよい。液体保持部LQPbは、現像液やメッキ液を保持する場合は、第2の液体LQ2を保持しなくてもよい。
このように、第3の実施の形態においては、液体保持部LQPbは、回転ドラムDRの外周面によって支持された円筒状に湾曲した基板Pの表面から径方向に所定の厚み(隙間WS1b)となるように第1の液体LQ1を保持するので、回転ドラムDRの回転方向(基板Pの搬送方向)に沿って配置された複数の描画ユニットUから基板Pに射出されるレーザ光LBの距離を等しくすることができ、パターンの描画精度を向上させることができる。その結果、効率よく液中露光を行うことができる。
また、第3の実施の形態においては、液体保持部LQPbを回転ドラムDRの側方(X方向)に設け、液体保持部LQPbは、第1の液体LQ1がY方向の両端部から漏れることを防止するシール部SEPbを有するので、回転ドラムDRの側方(X方向)において、第1の液体LQ1を保持することができる。このシール部SEPbは、静圧気体層を生成する噴出口ASを有するので、エアベアリング方式またはベルヌイチャック方式によって、第1の液体LQ1がY方向の両端部から漏れることを防止することができ、効率的に回転ドラムDRの側方で液中露光を行うことができる。
露光装置EXは、液体保持部LQPbに第1の液体LQ1を供給する液体供給部SUPと、液体保持部LQPbが保持している第1の液体LQ1を回収する回収スロット部LQSとを備えるので、液体保持部LQPbが保持する第1の液体LQ1を綺麗な状態に保つことができる。液体保持部LQPbは、描画ユニットUの終端光学素子の射出面22が浸される第2の液体LQ2を保持する場合は、第1の液体LQ1と第2の液体LQ2とはシール板GSによって仕切られている。その結果、第1の液体LQ1および第2の液体LQ2の流動が互いに影響を与えることを防止することができる。また、射出面22から射出されたレーザ光LB(スポット光SP)は、空気中を通ることなく基板Pに照射されるので、解像度が向上し、焦点深度を拡大することが可能となる。そして、第1の液体LQ1、第2の液体LQ2、および、シール板GSの屈折率を、終端光学素子の屈折率と同一または一定の許容範囲内にすることで、解像度が向上し、焦点深度が拡大する。液体保持部LQPbは、第2の液体LQ2を保持しない場合であっても、第1の液体LQ1として現像液またはメッキ液を保持することで、露光と現像またはメッキとを略同時に行うことができる。
以上の第3の実施の形態も、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様に、特に図10に示すように、基板Pの表面に接触する第1の液体LQ1を、液体保持部LQPbの内側の円筒面CU1bと基板Pの表面(円筒面状)との隙間WS1bの厚みに規定された液体層として安定に保持可能であるとともに、基板Pの搬送速度に依存することなく、比較的広い範囲の流速に設定することができる。さらに、第1の液体LQ1を現像液やメッキ液とした場合は、従来のシャワー方式や浴槽(パット)方式の現像処理やメッキ処理に比べて、その使用量を大幅低減することができ、さらに液体の再生処理部と併用することによって、廃液処理の設備を小型化することも可能である。
[変形例]
上記第1〜第3の実施の形態は、以下のように変形してもよい。
上記各実施の形態では、液体保持部LQP、LQPa、LQPbを回転ドラムDRの周りに1つ設けた態様で説明したが、回転ドラムDRの周りに複数設けてもよい。図12は、回転ドラムDRの周りに、上記第1の実施の形態で説明した液体保持部LQPを複数設けた場合の一例を示す。回転ドラムDRの回転方向に沿って(基板Pの搬送方向に沿って)、3つの液体保持部LQPが設けられており、便宜上、この3つの液体保持部LQPを、基板Pの搬送方向の上流側から順に、LQP1、LQP2、LQP3と呼ぶ。
液体保持部LQP1は、例えば、第1の液体LQ1として現像液を保持する。したがって、複数の描画ユニットUの先端部分Uaから射出したレーザ光(スポット光SP)は、液体保持部LQP1が保持している第1の液体LQ1を介して基板Pの表面に照射されるので、露光と現像とを略同時に行うことができる。現像液である第1の液体LQ1は、溝部DRC2から供給され溝部DRC1で回収される。なお、液体保持部LQP1は、現像液ではなく、メッキ液を第1の液体LQ1として保持してもよい。これにより、露光とメッキとを略同時に行うことができる。
液体保持部LQP2は、例えば、第1の液体LQ1として純水を保持することで、露光・現像が行われた基板Pに対して洗浄を行う。つまり、液体保持部LQP2は、液中露光ではなく、基板Pの洗浄を行うために純水である第1の液体LQ1を保持する。したがって、液体保持部LQP2には、描画ユニットUの先端部分Uaからのレーザ光LB(スポット光SP)が基板Pに照射されるように設けられた開口部AHおよびシール板GSを設けなくてもよい。純水である第1の液体LQ1は、溝部DRC2から供給され溝部DRC1で回収される。
液体保持部LQP3は、例えば、液体LQではなく気体を保持することで、洗浄が行われた基板Pの表面に付着した液体(液滴、液膜)を除去して乾燥させる。したがって、液体保持部LQP3には、描画ユニットUの先端部分Uaからのレーザ光LB(スポット光SP)が基板Pに照射されるように設けられた開口部AHおよびシール板GSを設けなくてもよい。乾燥エアーである温度調整された気体は、溝部DRC2から供給され溝部DRC1で回収される。このような構成を有することで、回転ドラムDR上で、露光・現像(または、露光・メッキ)、洗浄、乾燥等の処理を行うことができる。
なお、液体保持部LQP1、LQP3の代わりに、上記第3の実施の形態で説明した液体保持部LQPbを用いてもよい。また、液体保持部LQP2の代わりに、上記第2の実施の形態で説明した液体保持部LQPaを用いてもよい。また、回転ドラムDRの周りに3つではなく、2つ、または4つ以上の液体保持部LQP、LQPa、LQPbを設けてもよい。
また、図12において、例えば、液体保持部LQP1は、第1の液体LQ1として超純水を保持して、基板Pの表面のメッキ還元基を有する感光性シランカップリング剤による被膜層を液浸露光する露光部、液体保持部LQP2は、第2の液体LQ2としてパラジウムイオン(Pd+)等を含むメッキ核析出液(メッキ液)を保持して、露光部で露光された基板P上の領域(被処理領域)にパターンに応じてパラジウムを析出させるメッキ処理部、そして液体保持部LQP3は、第3の液体LQ3として純水(洗浄液)を保持して、メッキ処理によって基板Pに付着したメッキ液を除去する洗浄処理部、としてもよい。この図12のような構成によれば、1つの回転ドラムDRの外周面にシート状の基板Pを巻き付けた状態で、露光処理、湿式処理(現像、無電解メッキ、洗浄等)を順次行うことができ、一連のプロセス装置PRをコンパクトに集約することが可能である。
また、液体保持部LQP1が現像液を保持し、液体保持部LQP2が洗浄用の純水を保持し、液体保持部LQP3が乾燥用の気体を保持する現像処理の場合、一般的な液体フォトレジストの現像時間(現像液に浸す時間)は、そのフォトレジストの層厚に依存するが、層厚が1〜数μmの場合で10秒〜20秒位である。したがって、基板Pの搬送速度が5mm/秒である場合、液体保持部LQP1が現像液を保持する周方向の長さ(周長距離)は、5〜10cm程度になる。さらに、液体保持部LQP2が洗浄用の純水を保持する周方向の長さ、液体保持部LQP3が乾燥用の気体を保持する周方向の長さも10cm程度(20秒)あれば十分である。このことから、液体保持部LQP1、液体保持部LQP2、液体保持部LQP3を図12のように、回転ドラムDRの下側(重力方向側)の略半周分に渡って並べるためには、回転ドラムDRの直径を30cm程度にすればよく、これは現実的な数値である。
[第4の実施の形態]
図13は、第4の実施の形態による液体保持部LQPcの構成を示す斜視断面図であり、ここでは、図5、図6のように、回転ドラムDRの下方(重力の向きと同じ−Z方向)に約半周分に渡って液体保持部LQPcが配置される。また、図13は、液体保持部LQPcを回転中心AXが延びるY方向の適当な位置でXZ面と平行に破断した状態を示す。図5、図6の場合と同様に、液体保持部LQPcの内側には、複数の描画ユニットUの各々の先端部分Uaと基板Pとの間に配置される透明なシール板GS1、GS2、GS3、・・・が設けられる。先に説明した各実施の形態では、シール板GS1、GS2、GS3、・・・を、湾曲した基板Pの表面と平行に倣うように円筒状に湾曲させた薄いガラス板としたが、本実施の形態では、比較的に厚みのある平行平板ガラスとする。
そのため、液体保持部LQPcの内側の面(液体LQ1が接する面)で、シール板GS1、GS2、GS3が設けられる領域は、円筒面ではなく、平面FS1、FS2とした。すなわち、Y方向に一列に並ぶ奇数番の描画ユニットU1、U3、・・・に対応したシール板GS1、GS3、・・・は、図8、図9にて説明した中心線LAX1、LAX3、・・・の各々と垂直で、且つ、液体保持部LQPcの内側の円筒面CU1bの接平面と平行な平面FS1に、面一となるように固定される。同様に、Y方向に一列に並ぶ偶数番の描画ユニットU2、・・・に対応したシール板GS2、・・・は、図8、図9にて説明した中心線LAX2、・・・と垂直で、且つ、液体保持部LQPcの内側の円筒面CU1bの接平面と平行な平面FS2に、面一となるように固定される。但し、平面FS1、FS2の径方向の位置は、シール部SEPdの円筒状の面(パッド面、パッド部)CU4bの径方向の位置に対して外側となるように設定される。
平面FS1、FS2のY方向の両端部には、径方向にリム状に突出した円弧状のシール部SEPdが形成され、シール部SEPdの中心軸AXに向いた円筒面CU4bは、エアベアリング用のパッド面となっている。平面FS1、FS2は、シール部SEPdの内側側面SSに連接するようにY方向に延びており、この内側側面SSにより第1の液体LQ1がシール部SEPdを超えて液体保持部LQPcの外部に流れ出さないように塞き止められている。円筒面CU4bは、回転ドラムDRの外周面に支持される基板PのY方向(幅方向)の両端部付近の表面と対向するように設定され、円筒面CU4bと基板Pの表面との間に数μm〜数十μm程度の静圧気体層が形成され、シール部SEPdを超えた液体LQ1が液体保持部LQPcの外部へ遺漏することを防止する。したがって、基板Pは、図13中では、矢印Piのように−Z方向に搬送されて、シール部SEPdの円弧状の円筒面CU4bに沿ってU字状に湾曲して進むため、第1の液体LQ1は、円筒面CU4bに沿って湾曲した基板Pと、円筒面CU1bと平面FS1、FS2とで囲まれる空間(隙間)内に保持(充填)される。
なお、第1の液体LQ1を保持する円筒面CU1bと平面FS1、FS2とに対して、シール部SEPdの外側に位置するフランジ部FRG(中心AXに向けて突出したリム状部分)は、液体LQ1がシール部SEPdの面CU4bに形成される静圧気体層を破って外部に遺漏した場合に、その遺漏した液体LQ1を一時的にトラップして液体保持部LQPcの外にたれ流さないようにするための土手である。そのため、フランジ部FRGの−Z方向の底部付近には、遺漏した液体LQ1を回収するための回収ポート(開口)も設けられている。
以上のように、液体保持部LQPcの内側の液体LQ1と接する面は、必ずしも、回転ドラムDRの外周面に倣って連続した円筒面である必要はなく、周方向に部分的に平面であってもよい。すなわち、本実施の形態における液体保持部LQPcでは、回転ドラムDRの外周面から径方向に所定の隙間を持って周方向に円筒面状に形成した内面だけでなく、平面状に形成された内面(FS1、FS2)を周方向に連続させて多角面状(2つ以上の平面が角度を持ってつながった状態)に湾曲させた内面としてもよい。また、液体保持部LQPcの内面(液体LQ1と接する面)の全体のうち、周方向の一定範囲だけ平面とし、他の部分は円筒状の面CU1bにした場合であっても、周方向に曲率半径が異なる面(一方の曲率半径が有限で他方の曲率半径が無限大)がつながることから、多角面状と呼ぶことにする。さらに、液体保持部LQPcの内側の面は、有限の曲率半径を持つ円筒面を持たず、全てを周方向に分割された複数の平面でつなげた多面体状としてもよい。
また、図13の液体保持部LQPcでは、シール部SEPdの円筒状の面CU4bを、基板PのY方向の両端部付近の表面に対向するように設置したが、面CU4bを回転ドラムDRの外周面(基板Pが存在しないY方向の端部付近)に対向させ、面CU4bと回転ドラムDRの外周面との間に、液体の遺漏防止用の静圧気体層を形成してもよい。さらに、図13においては、液体保持部LQPcの内側の面のうち平面FS1、FS2が形成される部分は、平面状のシール板GS1、GS2、GS3、・・・が設けられる部分としたが、必ずしもそのような場合に限られない。例えば、先の図12に示した液体処理のみを行う液体保持部LQP2、または液体保持部LQP3においても、その内側の面(液体と接する面)を多角面状或いは多面体状にしてもよい。この場合は、液体処理のみを行うので、液体保持部LQPcに開口部AHb1、AHBb2、AHb3、・・・、シール板GS1、GS2、GS3、・・・を設けなくてもよい。また、上記変形例において、第4の実施の形態で説明した液体保持部LQPcを用いてもよい。