JP2016075440A - 空調室内機 - Google Patents

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Abstract

【課題】「目標値が変化したときは応答を速くしたいが、通常の安定性は確保したい」という制御上の要望に応えるため、能力制御時の応答性と定常時の安定性との両立を図ることができる、空調室内機を提供する。
【解決手段】空調室内機では、室内側制御部が、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに基づいて室内膨張弁の開度を演算し、室内膨張弁の開度が演算で求めた開度となるように、開度制御を行う。その際、室内膨張弁の開度制御のゲインを増大させることによって一時的に制御対象(例えば過熱度)の応答を速くする。
【選択図】図4B

Description

本発明は、空調室内機に関する。
従来、空調機の能力制御の応答性を向上させる手段として、膨張弁開度の制御ゲインを上げることが提案されている。例えば、特許文献1(特開2009−8346号公報)には、放熱器の冷媒出口温度が目標値となるように膨張弁の開度を制御する冷凍装置が開示されている。上記冷凍装置では、放熱器の冷媒出口温度の目標値が大きくなると、一旦もっと大きい仮目標値を設定して膨張弁の開度を変更している。
しかしながら、目標値が大きくなったときだけ当該目標値よりも大きな仮目標値を設定して膨張弁開度を変更する方法では、常に目標値が大きくなった場合、又は能力制御に関係なく目標値が大きくなった場合、制御対象の通常時の安定性を確保することが困難になる虞がある。
本発明の課題は、上記問題点に鑑みて「目標値が変化したときは応答を速くしたいが、通常の安定性は確保したい」という制御上の要望に応えるため、能力制御時の応答性と定常時の安定性との両立を図ることができる、空調室内機を提供することにある。
本発明の第1観点に係る空調室内機は、現在室温と設定室温とから決まる要求能力を定期的に演算しながら、過熱度若しくは過冷却度、風量、又は蒸発温度若しくは凝縮温度に基づいて能力を調節する能力制御を行い、過熱度又は過冷却度の目標値に基づいて膨張弁の開度制御を行う空調室内機であって、室内側制御部を備えている。室内側制御部は、能力制御及び膨張弁の開度制御を実行する。また、室内側制御部は、要求能力の演算結果に基づいて過熱度若しくは過冷却度の目標値及び/又は風量の設定値を変更したとき、膨張弁の開度制御のゲインを増大させる。
この空調室内機では、能力制御において、要求能力が更新される毎に過熱度若しくは過冷却度の目標値、及び/又は風量の設定値が変更されるので、その変更されたときに膨張弁の開度制御のゲインを増大させることによって一時的に制御対象(例えば過熱度)の応答を速くすることができる。
それゆえ、「目標値が変化したときは応答を速くしたいが、通常の安定性は確保したい」という制御上の要望に応えることができ、能力制御時の応答性と定常時の安定性との両立を図ることができる。
本発明の第2観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、室内側制御部が、要求能力の演算結果以外の要因で過熱度若しくは過冷却度の目標値及び/又は風量の設定値を変更したときは、膨張弁の開度制御のゲインを増大させない。
この空調室内機では、室内側制御部は、要求能力の演算結果以外の要因に対してはゲインの増大を行わないので、定常時の制御対象(例えば過熱度)の安定性を確保することができる。
本発明の第3観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、室内側制御部が、要求能力の演算時に、過熱度又は過冷却度を目標値へ向かわせるための動作とは相反する方向に膨張弁を動作させる指令を受けている場合は、開度制御のゲインを増大させない。
この空調室内機では、例えば、室内側制御部が要求能力を増加させる方向に更新した場合、膨張弁は過熱度を小さくする方向に動くはずであり、室内側制御部が制御ゲインを増大させるのは過熱度の偏差が要求能力更新の意図する側に生じたときである。
したがって、何らかの要因で過熱度の偏差が要求能力更新の意図しない側に動くような外乱が能力制御時に重なった場合は、膨張弁の開度制御のゲインを増大させないことによって、過熱度の安定化を図る。
本発明の第4観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、室内側制御部が、膨張弁の開度制御のゲインを増大させた後、過熱度又は過冷却度の実測値と目標値との差が所定値に到達したとき、開度制御のゲインを増大させる処理を終了する。
この空調室内機では、開度制御のゲインを増大させる処理を終了するタイミングを設定しておくことによって、ゲインの一時的な増大に制御対象(例えば過熱度)が応答してきたら元のゲインに戻すことができるので、能力制御時の応答性を確保しつつ、定常時の安定性も確保することができる。
本発明の第5観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、室内側制御部が、風量の設定値を変更したとき、過熱度又は過冷却度の実測値と目標値との差が所定値に到達し、且つ開度制御のゲインを増大させてから所定時間が経過したとき、開度制御のゲインを増大させる処理を終了する。
この空調室内機では、風量の設定値が変更されたとき、過熱度又は過冷却度の目標値を変更していないにもかかわらず現実の過熱度又は過冷却度が変化するので、過熱度又は過冷却度を目標値に戻すために室内膨張弁の開度制御のゲインを増大させることによって一時的に制御対象(例えば過熱度)の応答を速くする。
そして、過熱度又は過冷却度の実測値と目標値との差が所定値に到達し、且つ開度制御のゲインを増大させてから所定時間が経過したとき、開度制御のゲインを増大させる処理を終了する。その結果、ゲインの一時的な増大に制御対象(例えば過熱度)が応答してきたら元のゲインに戻されるので、能力制御時の応答性が確保され、定常時の安定性も確保される。
本発明の第6観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、ゲインの増大は、その増大によって膨張弁の開度が所定の大きさを超えないように制限される。
例えば、過熱度の目標値変更と未知の外乱とが重なる等して偏差があまりにも大きいときに通常よりも大きいゲインで膨張弁を動作させてしまうと、予期しない挙動となる虞があるので、一定以上の動作量にはならないように制限をかける。
本発明の第7観点に係る空調室内機は、第1観点に係る空調室内機であって、ゲインの増大量が、過熱度又は過冷却度の目標値を変更したときと、風量の設定値を変更したときとで異なる。
この空調室内機では、例えば風量の設定値を変更した場合、過熱度の目標値を変更していないにもかかわらず現実の過熱度が変化するので、過熱度を元に戻すために膨張弁の開度制御のゲインを変更することになる。
したがって、ゲインの増大量は、過熱度の目標値を変更したときと、風量の設定値を変更したときとで異ならせている。
本発明の第1観点に係る空調室内機では、能力制御において、定期的に要求能力が更新される毎に過熱度若しくは過冷却度の目標値、及び又は風量の設定値が変更されるので、その変更されたときに膨張弁の開度制御のゲインを増大させることによって一時的に制御対象(例えば過熱度)の応答を速くすることができる。それゆえ、能力制御時の応答性と定常時の安定性との両立を図ることができる。
本発明の第2観点に係る空調室内機では、室内側制御部は、要求能力の演算結果以外の要因に対してはゲインの増大を行わないので、定常時の制御対象(例えば過熱度)の安定性を確保することができる。
本発明の第3観点に係る空調室内機では、何らかの要因で過熱度の偏差が要求能力更新の意図しない側に動くような外乱が能力制御時に重なった場合は、膨張弁の開度制御のゲインを増大させないことによって、過熱度の安定化を図る。
本発明の第4観点に係る空調室内機では、開度制御のゲインを増大させる処理を終了するタイミングを設定しておくことによって、ゲインの一時的な増大に制御対象(例えば過熱度)が応答してきたら元のゲインに戻すことができるので、能力制御時の応答性を確保しつつ、定常時の安定性も確保することができる。
本発明の第5観点に係る空調室内機では、開度制御のゲインを増大させる処理を終了するタイミングを設定しておくことによって、ゲインの一時的な増大に制御対象(例えば過熱度)が応答してきたら元のゲインに戻すことができるので、能力制御時の応答性を確保しつつ、定常時の安定性も確保することができる。
本発明の第6観点に係る空調室内機では、例えば、過熱度の目標値変更と未知の外乱とが重なる等して偏差があまりにも大きいときに通常よりも大きいゲインで膨張弁を動作させてしまうと、予期しない挙動となる虞があるので、一定以上の動作量にはならないように制限をかける。
本発明の第7観点に係る空調室内機では、例えば風量の設定値を変更した場合、過熱度の目標値を変更していないにもかかわらず現実の過熱度が変化するので、過熱度を元に戻すために膨張弁の開度制御のゲインを変更することになる。
したがって、ゲインの増大量は、過熱度の目標値を変更したときと、風量の設定値を変更したときとで異ならせている。
本発明の一実施形態にかかる空調室内機を備えた空調機の概略構成図。 空調機の制御部を示すブロック図。 室内温度を設定温度に収束させるためのプロセスを示すブロック図。 能力制御のフローチャート。 過熱度目標値又は過冷却度目標値が更新されたときの室内膨張弁の開度制御のフローチャート。 風量の設定値が更新されたときの室内膨張弁の開度制御のフローチャート。 図4AのステップS2における冷房運転時の詳細フローチャート。 図4AのステップS2における暖房運転時の詳細フローチャート。 他の実施形態1に係る能力制御のフローチャート。 他の実施形態2に係る能力制御のフローチャート。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)空調機10の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空調室内機を備えた空調機の概略構成図である。空調機10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転によって、ビル等の室内の冷暖房を行う装置である。空調機10は、1台の空調室外機20と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、3台)の空調室内機40,50,60と、空調室外機20と空調室内機40,50,60とを接続する液冷媒連絡管71およびガス冷媒連絡管72とを備えている。
空調機10の冷媒回路11は、空調室外機20と、空調室内機40,50,60と、液冷媒連絡管71およびガス冷媒連絡管72とが接続されることによって構成されている。
(1−1)空調室内機40,50,60
空調室内機40,50,60は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。
空調室内機40と空調室内機50,60とは同様の構成であるため、ここでは、空調室内機40の構成のみ説明し、空調室内機50,60の構成については、それぞれ、空調室内機40の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台または60番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
空調室内機40は、冷媒回路11の一部を構成する室内側冷媒回路11a(空調室内機50では室内側冷媒回路11b、空調室内機60では室内側冷媒回路11cとする。)を有している。この室内側冷媒回路11aには、室内膨張弁41と、室内熱交換器42とが含まれている。なお、本実施形態では、空調室内機40,50,60それぞれに室内膨張弁41、51、61が設けられているが、これに限らずに、膨張機構(膨張弁を含む)が空調室外機20に設けられてもよいし、空調室内機40,50,60や空調室外機20とは独立した接続ユニットに設けられてもよい。
(1−1−1)室内膨張弁41
室内膨張弁41は、電動式膨張弁である。室内膨張弁41は、室内側冷媒回路11a内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に接続される。また、室内膨張弁41は、冷媒の通過を遮断することもできる。
(1−1−2)室内熱交換器42
室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器42は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する。
なお、本実施形態において、室内熱交換器42は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であっても良い。
(1−1−3)室内ファン43
空調室内機40は、室内ファン43を有している。室内ファン43は、空調室内機40内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給する。また、室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を所定風量範囲において変更することができる。
本実施形態において、室内ファン43はDCファンモータ等からなるモータ43mによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。また、室内ファン43では、風量固定モードと風量自動モードとをリモコン等の入力装置を介して選択することができる。
ここで、風量固定モードとは、風量が最も小さい弱風、風量が最も大きい強風、および弱風と強風との中間程度の中風の3種類の固定風量に設定するモードである。また、風量自動モードとは、過熱度SHや過冷却度SCなどに応じて弱風から強風までの間において自動的に変更するモードである。
例えば、利用者が「弱風」、「中風」、および「強風」のいずれかを選択した場合には風量固定モードとなり、「自動」を選択した場合には、運転状態に応じて自動的に風量が変更される風量自動モードとなる。
なお、本実施形態では、室内ファン43の風量のファンタップは「弱風」、「中風」、および「強風」の3段階で切り換えられる。ここで、この切り換え段数は3段階に限らずに、例えば10段階などであってもよい。
また、室内ファン43の風量Gaは、モータ43mの回転数によって演算される。ここで、風量Gaの演算は、モータ43mの電流値に基づいて演算されてもよいし、設定されているファンタップに基づいて演算されてもよい。
(1−1−4)各種センサ
空調室内機40には、各種のセンサが設けられている。先ず、液側温度センサ44が、室内熱交換器42の液側に設けられている。液側温度センサ44は、暖房運転における凝縮温度Tcに対応する冷媒温度を、または冷房運転における蒸発温度Teに対応する冷媒温度を検出する。
また、ガス側温度センサ45が、室内熱交換器42のガス側に設けられている。ガス側温度センサ45は、冷媒の温度を検出する。
また、室内温度センサ46が、空調室内機40の室内空気の吸入口側に設けられている。室内温度センサ46は、空調室内機40内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度Tr)を検出する。
本実施形態において、液側温度センサ44、ガス側温度センサ45および室内温度センサ46は、サーミスタからなる。
(1−1−5)室内側制御部47
図2は、空調室内機の制御部を示すブロック図である。図2において、空調室内機40は、室内側制御部47を有している。室内側制御部47は、空調室内機40を構成する各部の動作を制御する。室内側制御部47には、空調能力演算部47a、要求温度演算部47b、及びメモリ47cが含まれている。
空調能力演算部47aは、空調室内機40における現在の空調能力等を演算する。また、要求温度演算部47bは、現在の空調能力に基づいて次に能力を発揮するのに必要な要求蒸発温度Terまたは要求凝縮温度Tcrを演算する。メモリ47c,57c,67cは、各種データを格納する。
また、室内側制御部47は、空調室内機40を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等の通信を行い、さらに、空調室外機20との間で伝送線80aを介して制御信号等の通信を行う。
(1−2)空調室外機20
空調室外機20は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡管71およびガス冷媒連絡管72を介して空調室内機40,50,60に接続されており、空調室内機40,50,60とともに冷媒回路11を構成している。
空調室外機20は、冷媒回路11の一部を構成する室外側冷媒回路11dを有している。この室外側冷媒回路11dは、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
(1−2−1)圧縮機21
圧縮機21は容量可変式圧縮機であり、そのモータ21mの駆動はインバータにより回転数が制御される。本実施形態において、圧縮機21は1台のみであるが、これに限定されず、空調室内機の接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていても良い。
(1−2−2)四路切換弁22
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換える弁である。冷房運転時、四路切換弁22は圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡管72側とを接続する(冷房運転状態:図1の四路切換弁22の実線を参照)。
その結果、室外熱交換器23は冷媒の凝縮器として、室内熱交換器42、52、62は冷媒の蒸発器として機能する。
暖房運転時、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡管72側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続する(暖房運転状態:図1の四路切換弁22の破線を参照)。
その結果、室内熱交換器42、52、62は冷媒の凝縮器として、室外熱交換器23は冷媒の蒸発器として機能する。
(1−2−3)室外熱交換器23
室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。但し、これに限定されず、他の型式の熱交換器であっても良い。
室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が室外膨張弁38に接続されている。
(1−2−4)室外膨張弁38
室外膨張弁38は、電動膨張弁であり、室外側冷媒回路11d内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行う。室外膨張弁38は、冷房運転時の冷媒回路11における冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の下流側に配置されている。
(1−2−5)室外ファン28
室外ファン28は、吸入した室外空気を室外熱交換器23に送風して冷媒と熱交換させる。室外ファン28は、室外熱交換器23に送風する際の風量を可変することができる。室外ファン28は、プロペラファン等であり、DCファンモータ等からなるモータ28mによって駆動される。
(1−2−6)液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27
液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、液冷媒連絡管71及びガス冷媒連絡管72との接続口に設けられる弁である。
液側閉鎖弁26は、冷房運転時の冷媒回路11における冷媒の流れ方向において室外膨張弁38の下流側であって液冷媒連絡管71の上流側に配置されている。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、冷媒の通過を遮断することができる。
(1−2−7)各種センサ
空調室外機20には、吸入圧力センサ29、吐出圧力センサ30、吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、及び室外温度センサ36が設けられている。
吸入圧力センサ29は、圧縮機21の吸入圧力を検出する。吸入圧力とは、冷房運転における蒸発圧力Peに対応する冷媒圧力である。
吐出圧力センサ30は、圧縮機21の吐出圧力を検出する。吐出圧力とは、暖房運転における凝縮圧力Pcに対応する冷媒圧力である。
吸入温度センサ31は、圧縮機21の吸入温度を検出する。また、吐出温度センサ32は、圧縮機21の吐出温度を検出する。室外温度センサ36は、空調室外機20の室外空気の吸入口側で、空調室外機20内に流入する室外空気の温度(以後、室外温度という。)を検出する。
吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、及び室外温度センサ36は、サーミスタからなる。
(1−2−8)室外側制御部37
また、図2に示すように、空調室外機20は室外側制御部37を有している。室外側制御部37は、目標値決定部37a、メモリ37b、インバータ回路(図示せず)等を有している。目標値決定部37aは、目標蒸発温度Tetまたは目標凝縮温度Tctを決定する。メモリ37bは、各種データを格納する。
室外側制御部37は、空調室内機40,50,60の室内側制御部47,57,67との間で伝送線80aを介して制御信号等の通信を行う。
(1−3)制御部80
制御部80は、室内側制御部47,57,67と室外側制御部37と伝送線80aとによって構成されている。制御部80は、各種センサと接続され、各種センサからの検出信号等に基づいて各種機器を制御する。
(1−4)冷媒連絡管
冷媒連絡管71,72は、空調機10をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。冷媒連絡管71,72は、設置場所や空調室外機と空調室内機との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用されるので、空調機10の据付時には、冷媒連絡管71,72の長さや管径等の設置条件に応じた適正な量の冷媒が充填される。
(2)制御方式
空調機10では、冷房運転および暖房運転において、利用者がリモコン等の入力装置により設定している設定温度Tsに室内温度Trを近づける制御を、各空調室内機40,50,60に対して行っている。ここで、制御方式の概略を説明する。
図3は、室内温度を設定温度に収束させるためのプロセスを示すブロック図である。図2及び図3において、室内側制御部47,57,67は、室内温度Trが設定温度Tsとなるように、能力制御において過熱度SH又は過冷却度SCの目標値を決定する。具体的には、必要な空調能力を省エネルギーで実現するための過熱度SHの目標値(以下、過熱度目標値SHtという。)又は過冷却度SCの目標値(以下、過冷却度目標値SCtという。)が演算される。
次に、室内側制御部47,57,67は、上記過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに基づいて室内膨張弁41,51,61の開度を演算し、室内膨張弁41,51,61の開度が演算で求めた開度となるように制御する。
そして、室内膨張弁41,51,61の開度に応じて過熱度SH又は過冷却度SCが増減し、室内熱交換器42,52,62から空調空間に供給されるエネルギー(熱交換量)が増減することによって、室内温度が設定温度に近づくような変化が現れる。室内温度Trの検出値は、能力制御の「能力演算」のプロセスに入力される。
また、本実施形態では能力制御―膨張弁開度制御の2重ループ構成のカスケード制御方式を採用している。
さらに、室内側制御部47,57,67は、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtを変更したとき、室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させている。そのようにすることによって、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtの変化に対し、実際の過熱度SH又は過冷却度SCが素早く応答する。
他方、室内側制御部47,57,67は、室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させた後、過熱度SH又は過冷却度SCの実測値と過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtとの差が所定値に到達したとき、開度制御のゲインを増大させる処理を終了する。つまり、ゲインの一時的な増大に過熱度SH又は過冷却度SCが応答してきたら元のゲインに戻すことによって、能力制御時の応答性を確保しつつ、定常時の安定性も確保している。
(2−1)能力制御
室内側制御部47,57,67は、例えばリモコン(図示せず)を介して冷房運転などの特定の運転モードが選択された旨の入力を受けたとき、室外側制御部37に対して、圧縮機21の起動を要求し、能力制御が開始される。以下、図面を参照しながら能力制御について説明する。
図4Aは、能力制御のフローチャートである。図4Aにおいて、室内側制御部47,57,67は、能力制御が開始されると、ステップS1においてタイマーをオンしてステップS2へ進む。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS2において要求空調能力Qを演算する。要求空調能力Qは、空調室内機40,50,60の現時点の空調能力を演算し、室内温度Trと設定温度Tsとの温度差とに基づいて現時点の空調能力の過不足を示す能力差ΔQを演算し、それを現時点の空調能力に加えることによって算出される。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS3において従前の要求空調能力Qを新たに算出した要求空調能力Qに更新する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS4において要求空調能力Qと室外側制御部37から取得した直近の目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctとに基づき、所定の特性値CQと、室外側制御部37へ送信する要求ΔTecを決定する。
ここで、特性値CQと要求ΔTecについて説明する。要求空調能力Qは、室内温度Trと室外側制御部37から与えられた直近の目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctとの差ΔTで決まる項f(ΔT)と、風量Gで決まる項g(G)と、過熱度SH若しくは過冷却度SCで決まる項h(SCH)との積、すなわちQ=f(ΔT)・g(G)・h(SCH)であり、これを「熱交関数」という。この熱交関数の中で空調室内機40,50,60が自由に制御できる項g(G)と項h(SCH)との積を示す値、つまりg(G)・h(SCH)を特性値CQという。
また、空調室内機40,50,60は目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctを自由に制御することができないが、要求空調能力Qをより省エネルギーで実現するために、室外側制御部37から与えられた目標蒸発温度Tet又は目標凝縮温度Tctとは異なる蒸発温度Te又は凝縮温度Tcを演算している。その際、室内温度Trと演算した蒸発温度Te又は凝縮温度Tcとの差を要求ΔTecとして決定し、室外側制御部37へ送信している。なお、要求ΔTecの決定方法は、「背景技術」の段で引用した特許文献1(特開2011−257126号公報)において詳細に記載されているので、本願ではその説明を省略する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS5において特性値CQを満足する項g(G)と項h(SCH)との組み合わせの中から冷媒側熱伝達率が最も高くなる項h(SCH)を決定し、そのときの過熱度SH又は過冷却度SCを過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtする。残った項g(G)は、特性値CQと先に決定された項h(SCH)とから自動的に決まる。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS6において、計時を開始してからの経過時間tが所定時間t1(例えば、3分間)に到達したか否かを判定し、t≧t1のときはステップS7に進み、t<t1のときはステップS61へ進む。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS7においてタイマーをリセットし、ステップS8へ進む。
そして、室内側制御部47,57,67は、ステップS8において運転の停止指令が有ったか否かを判定し、停止指令がなかったときはステップS1へ戻る。
上記のように能力制御は、室内温度Trを設定温度Tsに収束させるために定期的(例えば3分毎)に要求空調能力を更新する制御である。
(2−2)割り込み能力制御
ところが、目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量設定値が室内側制御部47,57,67の意図しない値に変更された場合、上記のような定期的に要求空調能力Qを更新する制御だけでは、要求空調能力Qの更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱し、快適性の低下、制御の安定性低下を招来するおそれがある。
そこで、本実施形態では、室内側制御部47,57,67は、目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変化があったときに、定期的な要求空調能力Qの演算を待つことなく、割り込んで適切な要求空調能力Qを演算して更新する割り込み能力制御を採用している。それが、ステップS61以降の流れである。
図4Aにおいて、室内側制御部47,57,67は、ステップS6において経過時間tが未だ所定時間t1(例えば3分間)に到達していないと判断したときは、ステップS61へ進んで制御パラメータの目標値変更があったか否かを判定する。
具体的には、室内側制御部47,57,67は目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変化があった否かを判定し、いずれかに変更があったときは、ステップS2に戻り変更後の制御パラメータの目標値に基づいて要求空調能力を演算し、ステップS3において従前の要求空調能力を新たに算出した要求空調能力に更新する。
上記のような割り込み能力制御を行うことによって、要求空調能力の更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱することを未然に防止している。
(2−3)室内膨張弁41,51,61の開度制御
室内膨張弁41,51,61の開度制御は、上述の通り、室内側制御部47,57,67が過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに基づいて室内膨張弁41,51,61の開度を演算し、室内膨張弁41,51,61の開度を演算で求めた開度に収束させる制御である。
本実施形態では、上位制御である能力制御の応答性を向上させるため、室内側制御部47,57,67は、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtを変更したとき、室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させている。以下、図面を用いて説明する。
図4Bは、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtが更新されたときの、室内膨張弁41,51,61の開度制御のフローチャートである。また、図4Cは、風量の設定値が更新されたときの、室内膨張弁41,51,61の開度制御のフローチャートである。先ず、図4Bにおいて、室内側制御部47,57,67は、ステップS801で過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCtが更新されたか否か、又は風量Gaが変更されたか否かを判定し、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt更新され、又は風量Gaが変更されていたときはステップS802へ進み、どちらでもないときは判定を継続する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS802において上記更新又は変更があったと判定した場合にそれが能力演算の結果によるものか否かを判定し、能力演算の結果による更新であるときはステップS803に進み、それ以外のときはステップS819まで進み通常のゲインによる室内膨張弁の開度計算を行う。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS803において風量Gaの設定値変更であるか否かを判定し、風量Gaの設定値変更でない場合は能力演算の結果による過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCtの更新であると判断しステップS804へ進み、風量Gaの設定値変更である場合はステップS813へ進む。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS804において過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに基づき室内膨張弁41,51,61の開度及び開度変化方向を演算し、ステップS805へ進む。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS805において室内膨張弁41,51,61の開度変化方向の演算結果が能力制御の意図する方向と一致するか否かを判定する。例えば、冷房運転時の能力制御において能力を上げたい場合、過熱度目標値SHtが小さく設定され、室内膨張弁41,51,61は過熱度SHが小さくなるように動作する。これが、能力制御が意図する方向である。
そして、室内側制御部47,57,67は、室内膨張弁41,51,61の開度変化方向の演算結果が能力制御の意図する方向と一致する場合はステップS806に進み、それ以外はステップS807に進む。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS806に進んだ場合には室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させる。そのようにすることによって、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtの変化に対し、実際の過熱度SH又は過冷却度SCが素早く応答する。他方、室内側制御部47,57,67は、ステップS807に進んだ場合には通常のゲインによる室内膨張弁開度制御を行う。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS808において過熱度目標値SHtと実際の過熱度SHとの差(絶対値)が所定値α以下になったか否か、又は過冷却度目標値SCtと実際の過冷却度SCとの差(絶対値)が所定値β以下になったか否かを判定し、その差が所定値α以下になっているとき、又は所定値β以下なっているときはステップS819へ進み、その差が所定値α以下になっていないとき、又は所定値β以下になっていないときは、ステップS804へ戻る。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS819において、通常ゲインによる室内膨張弁41,51,61の開度計算を行う。
このように、室内側制御部47,57,67は、室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインの一時的な増大に過熱度SH又は過冷却度SCが応答してきたら元のゲインに戻すことによって、能力制御時の応答性を確保しつつ、定常時の安定性も確保している。
(風量の設定値が変更された場合)
他方、室内側制御部47,57,67がステップS803で風量Gaの設定値変更があったと判定してステップS813へ進んだ場合、室内側制御部47,57,67はタイマーをオンしてステップS814へ進む。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS814において過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに基づき室内膨張弁41,51,61の開度及び開度変化方向を演算する。なぜなら、風量Gaの設定値が変更された場合、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtを変更していないにもかかわらず現実の過熱度SH又は過冷却度SCが変化するからであり、過熱度SH又は過冷却度SCを過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに戻すために室内膨張弁41,51,61の開度を演算する必要がある。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS815において室内膨張弁41,51,61の開度変化方向の演算結果が能力制御の意図する方向と一致するか否かを判定する。室内側制御部47,57,67は、室内膨張弁41,51,61の開度変化方向の演算結果が能力制御の意図する方向と一致する場合はステップS816に進み、それ以外はステップS817に進む。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS816に進んだ場合には室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させる。そのようにすることによって、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtの変化に対し、実際の過熱度SH又は過冷却度SCが素早く応答する。他方、室内側制御部47,57,67は、ステップS817に進んだ場合には通常のゲインによる室内膨張弁開度制御を行う。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS818において過熱度目標値SHtと実際の過熱度SHとの差(絶対値)が所定値α以下になって、又は過冷却度目標値SCtと実際の過冷却度SCとの差(絶対値)が所定値β以下になって、且つ計時を開始してからの経過時間taが所定時間ts(例えば、80秒)に到達しているか否かを判定し、その差が所定値α以下になって、又は所定値β以下になって、且つ経過時間taが所定時間tsに到達しているときはステップS819へ進み、その差が所定値α以下になっておらず、又は所定値β以下になっておらず、又は経過時間taが所定時間tsに到達していないときは、ステップS14へ戻る。
ここで、室内側制御部47,57,67が所定時間tsの経過を待つ理由は、風量Gaの設定値が変更されても風量Gaが変化した直後の段階では過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtと現実の過熱度SH又は過冷却度SCとの間に偏差が生じていないからである。
仮に「風量Gaの設定値が変更され、且つ偏差が一定値以下」という判定条件だけにしてしまうと、風量Gaの変化の影響が現れていない段階であたかも現実の過熱度SH又は過冷却度SCが過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに到達したかのような誤判定を招来することになる。
それゆえ、風量変化の影響が現実の過熱度SH又は過冷却度SCに現れ、且つ室内膨張弁41,51,61の開度制御におけるゲイン増大の影響が及ぶに十分な時間として、所定時間tsの経過を待つこととしている。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS819において、通常ゲインによる室内膨張弁41,51,61の開度計算を行う。
このように、風量Gaの設定値が変更された場合、過熱度SH又は過冷却度SCを過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに戻すために室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させることによって一時的に過熱度SH又は過冷却度SCの応答を速くする。
そして、ゲインの一時的な増大に過熱度SH又は過冷却度SCが応答し、過熱度SHと過熱度目標値SHtとの差が所定値α以下になり又は過冷却度SCと過冷却度目標値SCtとの差が所定値β以下になり、且つ開度制御のゲインの増大を開始してから所定時間tsが経過したとき、ゲインを増大させる処理を終了することによって、ゲインが元に戻されるので、能力制御時の応答性が確保されるだけでなく、定常時の安定性も確保される。
なお、ゲインの増大は通常の2〜5倍程度であるが、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtを変更したときと、風量Gaの設定値を変更したときとでは、異なる増大量としてもよい。
さらに、本制御では故意にゲインの増大させているものの、その増大によって室内膨張弁41,51,61の開度が所定の大きさを超えないように制限されている。なぜなら、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtの変更と未知の外乱とが重なる等して、偏差があまりにも大きいときに通常よりも大きいゲインで室内膨張弁41,51,61を動作させてしまうと、予期しない挙動となる虞があるからであり、一定以上の動作量にはならないように制限をかけている。
(3)空調機10の動作
ここでは、冷房運転及び暖房運転を例に、能力制御による空調機10の動作について説明する。
(3−1)冷房運転
冷房運転時、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続し、且つ圧縮機21の吸入側と室内熱交換器42、52、62のガス側とを接続する(図1の実線で示される状態)。
また、室外膨張弁38は全開状態である。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は開状態である。各室内膨張弁41,51,61の開度は、室内熱交換器42,52,62の冷媒出口における冷媒の過熱度SHが過熱度目標値SHtで一定になるように調節される。
過熱度目標値SHtは、所定の過熱度範囲の内で室内温度Trが設定温度Tsに収束するために最適な値に設定される。本実施形態において、各室内熱交換器42,52,62の冷媒出口における冷媒の過熱度SHは、ガス側温度センサ45,55,65による検出値から液側温度センサ44,54,64による検出値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって算出される。
ただし、各室内熱交換器42,52,62の出口における冷媒の過熱度SHは、上述の方法だけに限らず、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力を蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45,55,65による検出値からその飽和温度値を差し引くことによって算出してもよい。
また、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42,52,62内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45,55,65による検出値から差し引くことによって、各室内熱交換器42,52,62の出口における冷媒の過熱度SHを検出するようにしてもよい。
この冷媒回路11の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43,53,63を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁26および液冷媒連絡管71を経由して、空調室内機40,50,60に送られる。
この空調室内機40,50,60に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41,51,61によって圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器42,52,62に送られ、室内熱交換器42,52,62において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管72を経由して空調室外機20に送られ、ガス側閉鎖弁27及び四路切換弁22を経由して、アキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
このように、空調機10では、室外熱交換器23を冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42,52,62を冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を行うことができる。
なお、空調機10では、室内熱交換器42,52,62のガス側に冷媒の圧力を調整する機構がないため、全ての室内熱交換器42,52,62における蒸発圧力Peが共通の圧力となる。
(3−1−1)冷房運転におけるステップS2の詳細内容
ここで、冷房運転時の要求空調能力の演算プロセスについて説明する。図5は、図4AのステップS2における冷房運転時の詳細フローチャートである。以下、図2〜図4A、及び図5を参照しながら説明する。
先ず、室内側制御部47,57,67は、ステップS201において室内温度センサ46,56,66を介して現時点における室内温度Trを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS202において液側温度センサ44,54,64を介して現時点における蒸発温度Teを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS203においてガス側温度センサ45,55,65の検出値からステップS202で取得した対応する蒸発温度Teを減算することによって、現時点における過熱度SHを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS204において現時点における室内ファン43,53,63による風量Gaを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS205において空調能力演算部47a,57a,67aを介して、現時点における室内温度Trと蒸発温度Teとの温度差である温度差[ΔT]と、室内ファン43,53,63による風量Gaと、過熱度SHとに基づいて、空調室内機40,50,60における現時点の空調能力Q1を演算する。なお、空調能力Q1は、温度差[ΔT]の代わりに蒸発温度Teを採用して演算してもよい。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS206において上記空調能力Q1をメモリ47c,57c,67cに記憶する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS207において空調能力演算部47a,57a,67aを介して、室内温度Trと現時点の利用者がリモコン等により設定している設定温度Tsとの温度差から、室内空間における空調能力Q1の過不足を示す能力差ΔQを演算する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS208において記憶している上記空調能力Q1に能力差ΔQを加えて、要求空調能力Q2を求める。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS209において上記要求空調能力Q2をメモリ47c,57c,67cに記憶する。
図4AのステップS3では、従前の要求空調能力Q2がステップS209で記憶された新たな要求空調能力Q2に更新される。そして、更新された要求空調能力Q2を省エネルギーで実現するために、図4AのステップS4で特性値CQが決定される。
特性値CQは、過熱度SH及び風量によって決まるので、省エネルギーを実現する上で最適な組合せが決定されるべきであり、この決定がステップS5において行われる。
(3−1−2)冷房運転におけるステップS5の詳細内容
特性値CQは、空調室内機40,50,60が自由に制御できる項g(G)と項h(SCH)との積を示す値であるので、特性値CQを実現する過熱度SH及び風量の組合せは無数にある。空調室内機40,50,60は、その中から冷媒側熱伝達率がより高くなる組合せを決定する。
過熱度SHと風量との間に優先順位があるわけではなく、最も冷媒側熱伝達率が良くなる組合せは、低過熱度・低風量である。
例えば、過熱度SHには予め設定可能範囲が決められているので、室内側制御部47,57,67は、風量自動モードの場合において、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminで特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。
なお、過熱度SHは下限値SHminが最適値であるが、下限値のまま風量が変動すると湿りリスクが高まるので、信頼性の観点から冷房運転時でも下限よりも高い過熱度を設定することもある。
また、室内側制御部47,57,67は、風量自動モードの場合において、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminで特性値CQを実現することができる風量がない場合、風量下限で特性値CQを実現することができる過熱度SHを過熱度設定可能範囲から選択・決定して、その決定した過熱度SHで特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。
他方、風量固定モードの場合、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で特性値CQを実現する過熱度SHが一義的に決まる。
(3−1−3)冷房運転における割り込み能力制御の詳細内容
室内側制御部47,57,67は、ステップS5で決定された過熱度SHを過熱度目標値SHtとして、室内熱交換器42,52,62の冷媒出口における冷媒の過熱度SHが過熱度目標値SHtとなるように各室内膨張弁41,51,61の開度を調節する。
室内側制御部47,57,67が、次に要求空調能力Q2を更新するのは直近の更新から所定時間t1(例えば3分間)後であるが、その所定時間t1内に目標蒸発温度Tet、過熱度目標値SHt、又は風量設定値に変化があった場合、所定時間t1の経過を待たずに要求空調能力Q2を演算し、更新する。これが、冷房運転における割り込み能力制御である。
割り込み能力制御は、室外側制御部37から目標蒸発温度Tetを受信したとき、なんらかの保護制御が働き過熱度目標値SHtを変更しなければばらないとき、又は風量が固定されたときに、室内側制御部47,57,67が図4AのステップS2からステップS4までを行い、新たに決定された特性値QCを実現することができる過熱度及び風量を組み合わせる。
例えば、目標蒸発温度Tetが変化したときは、更新前後の要求空調能力Q2に実質的な変化がなくてもQ2=f(ΔT)・g(G)・h(SH)の項f(ΔT)が変化するので、{g(G)・h(SCH)}である特性値CQも変化する。
室内側制御部47,57,67は、新たな特性値CQを実現するため、風量自動モードの場合には、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminで当該特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。過熱度下限値SHminで当該特性値CQを実現することができる風量がない場合、風量下限で当該特性値CQを実現することができる過熱度SHを過熱度設定可能範囲から選択する。
風量固定モードの場合には、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で新たな特性値CQを実現する過熱度SHが一義的に決まる。
他方、風量自動モードのまま、過熱度目標値SHtが保護制御に起因して変更された場合は、更新前後の要求空調能力Q2に実質的な変化がなく項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、変更後の過熱度目標値SHtで特性値CQを実現することができる風量が決定される。
また、ユーザーによって風量自動モードから風量固定モードに変更された場合でも、更新前後の要求空調能力Q2に実質的な変化がなく、項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、風量を固定したまま特性値CQを実現することができる過熱度SHが決定され、それが過熱度目標値SHtとなる。
但し、風量が下限風量に設定された結果、過熱度設定可能範囲の内の過熱度下限値SHminを選択したけれども、それでも、要求空調能力Q2を実現することができない場合がある。つまり、Q2=f(ΔT)・g(G)・h(SH)のうちの項g(G)が最小となり、項h(SH)が最大(最適)となっても要求空調能力Q2を実現できない場合である。
このときは、要求空調能力Q2を実現するために項f(ΔT)を大きくする必要があるので、室内側制御部47,57,67は、項f(ΔT)を必要な大きさにするために要求すべき蒸発温度(要求蒸発温度Ter)を室外側制御部37に対して送信する。
このように、本実施形態では、通常は、室内温度Trを設定温度Tsに収束させるために所定時間t1毎に要求空調能力Q2を更新する能力制御を行い、所定時間t1内に目標蒸発温度Tet、過熱度目標値SHt、又は風量設定値に変更があったときは割り込み能力制御を行うことによって、要求空調能力Q2の更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱することを未然に防止している。
(3−2)暖房運転
暖房運転時は、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側と室内熱交換器42,52,62のガス側とを接続し、且つ圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続する(図1の破線で示される状態)。
また、室外膨張弁38の開度は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力Pe)まで減圧するように調節される。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は開状態である。室内膨張弁41,51,61の開度は、室内熱交換器42,52,62の出口における冷媒の過冷却度SCが過冷却度目標値SCtで一定になるように調節される。
過冷却度目標値SCtは、その時の運転状態に応じて特定される過冷却度範囲の内で室内温度Trが設定温度Tsに収束するために最適な温度値に設定される。本実施形態において、室内熱交換器42,52,62の出口における冷媒の過冷却度SCは、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44,54,64により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。
なお、本実施形態では採用していないが各室内熱交換器42,52,62内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度Tcに対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44,54,64により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42,52,62の出口における冷媒の過冷却度SCを検出するようにしてもよい。
この冷媒回路11の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43,53,63を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡管72を経由して、空調室内機40,50,60に送られる。
空調室内機40,50,60に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器42,52,62において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41,51,61を通過する際に、室内膨張弁41,51,61の弁開度に応じて減圧される。
この室内膨張弁41,51,61を通過した冷媒は、液冷媒連絡管71を経由して空調室外機20に送られ、液側閉鎖弁26及び室外膨張弁38を経由してさらに減圧された後に、室外熱交換器23に流入する。
室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁22を経由してアキュムレータ24に流入する。
アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。なお、空調機10では、室内熱交換器42,52,62のガス側に冷媒の圧力を調整する機構がないため、全ての室内熱交換器42,52,62における凝縮圧力Pcが共通の圧力となる。
(3−2−1)暖房運転におけるステップS2の詳細内容
ここで、暖房運転時の要求空調能力の演算プロセスについて説明する。図6は、図4AのステップS2における暖房運転時の詳細フローチャートである。以下、図2〜図4A、及び図6を参照しながら説明する。
先ず、室内側制御部47,57,67は、ステップS251において室内温度センサ46,56,66を介して現時点における室内温度Trを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS252において液側温度センサ44,54,64を介して現時点における凝縮温度Tcを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS253において吐出圧力センサ30の検出値を凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この飽和温度値から液側温度センサ44,54,64の検出値を差し引くことによって、現時点における過冷却度SCを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS254において現時点における室内ファン43,53,63による風量Gaを取得する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS255において空調能力演算部47a,57a,67aを介して、現時点における室内温度Trと凝縮温度Tcとの温度差である温度差ΔTと、室内ファン43,53,63による風量Gaと、過冷却度SCと、に基づいて、空調室内機40,50,60における現時点の空調能力Q3を演算する。なお、空調能力Q3は、温度差ΔTの代わりに凝縮温度Tcを採用して演算してもよい。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS256において上記空調能力Q3をメモリ47c,57c,67cに記憶する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS257において空調能力演算部47a,57a,67aを介して、室内温度Trと現時点の利用者がリモコン等により設定している設定温度Tsとの温度差から、室内空間における空調能力Q3の過不足を示す能力差ΔQを演算する。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS258において空調能力Q3に能力差ΔQを加えて要求空調能力Q4を求める。
次に、室内側制御部47,57,67は、ステップS259において上記要求空調能力Q4をメモリ47c,57c,67cに記憶する。
図4AのステップS3では、従前の要求空調能力Q4がステップS259で記憶された新たな要求空調能力Q4に更新される。そして、更新された要求空調能力Q4を省エネルギーで実現するために図4AのステップS4で特性値CQが決定される。
特性値CQは、過冷却度SC及び風量によって決まるので、省エネルギーを実現する上で最適な組合せが決定されるべきであり、この決定がステップS5において行われる。
(3−2−2)暖房運転におけるステップS5の詳細内容
特性値CQは、空調室内機40,50,60が自由に制御できる項g(G)と項h(SC)との積を示す値であるので、特性値CQを実現する過冷却度SC及び風量の組合せは無数にある。空調室内機40,50,60は、その中から冷媒側熱伝達率がより高くなる組合せを決定する。
室内側制御部47,57,67は、風量自動モードの場合において、過冷却度設定可能範囲の内の過冷却度最適値で特性値CQを実現することができる風量を組み合わせる。過冷却度SCの最適値はΔTなどの条件に依存するため常に変動するので、その都度、最適風量を組み合わせる。
一方、風量固定モードの場合、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で特性値CQを実現する過冷却度SCが一義的に決まる。
(3−2−3)暖房運転における割り込み能力制御の詳細内容
室内側制御部47,57,67は、ステップS5で決定された最適な過冷却度を過冷却度目標値SCtとして、室内熱交換器42,52,62の冷媒出口における冷媒の過冷却度SCが過冷却度目標値SCtとなるように各室内膨張弁41,51,61の開度を調節する。
室内側制御部47,57,67が、次に要求空調能力Q4を更新するのは直近の更新から所定時間(例えば3分間)後であるが、その所定期間内に目標凝縮温度Tct、過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変化があった場合、所定期間の経過を待たずに要求空調能力Q4を演算し、更新する。これが、暖房運転における割り込み能力制御である。
割り込み能力制御は、室外側制御部37から目標凝縮温度Tctを受信したとき、なんらかの保護制御が働き過冷却度目標値SCtを変更しなければならないとき、又は風量が固定されたときに、室内側制御部47,57,67が図4AのステップS2からステップS4までを行い、新たに決定した特性値QCを実現することができる過冷却度・風量を組み合わせる。
例えば、目標凝縮温度Tctが変化したときは、更新前後の要求空調能力Q4に実質的な変化がなくてもQ4=f(ΔT)・g(G)・h(SC)の項f(ΔT)が変化するので、{g(G)・h(SC)}である特性値CQも変化する。
室内側制御部47,57,67は、新たな特性値CQを実現するため、風量自動モードの場合には、過冷却度設定可能範囲の内の過冷却度最適値で当該特性値CQを実現することができる風量があれば、その風量を組み合わせる。過冷却度SCの最適値は常に変動するので、都度、過冷却最適値を選択・決定し、決定した過冷却度SCで当該特性値CQを実現することができる風量を組み合わせる。
風量固定モードの場合には、風量の選択自由度がなくなるので、その固定された風量で新たな特性値CQを実現する過冷却度SCが一義的に決まる。
他方、風量が風量自動モードのまま、過冷却度目標値SCtが保護制御に起因して変更された場合は、更新前後の要求空調能力Q4に実質的な変化がなく項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、変更後の過冷却度目標値SCtで特性値CQを実現することができる風量が決定される。
また、ユーザーによって風量が風量自動モードから風量固定モードに変更された場合でも、更新前後の要求空調能力Q4に実質的な変化がなく、項f(ΔT)にも変化がないので、特性値CQの値は変わらず、風量を固定したまま特性値CQを実現することができる過冷却度SCが決定され、それが過冷却度目標値SCtとなる。
但し、風量が下限風量に設定された結果、過冷却度設定可能範囲の内の過冷却度最適値を選択したけれども、それでも、要求空調能力Q4を実現することができない場合がある。つまり、Q2=f(ΔT)・g(G)・h(SH)のうちの項g(G)が最小となり、項h(SH)が最適となっても要求空調能力Q4を実現できない場合である。
このときは、要求空調能力Q4を実現するために項f(ΔT)を大きくする必要があるので、室内側制御部47,57,67は、項f(ΔT)を必要な大きさにするために要求すべき凝縮温度(要求凝縮温度Tcr)を室外側制御部37に対して送信する。
このように、本実施形態では、通常は、室内温度Trを設定温度Tsに収束させるために所定時間t1毎に要求空調能力Q4を更新する能力制御を行い、所定時間t1内に目標凝縮温度Tct、過冷却度目標値SCt、又は風量設定値に変更があったときは割り込み能力制御を行うことによって、要求空調能力Q4の更新までの間に室内温度Trが目標値から逸脱することを未然に防止している。
(4)特徴
(4−1)
空調室内機40,50,60では、室内側制御部47,57,67が、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtに基づいて室内膨張弁41,51,61の開度を演算し、室内膨張弁41,51,61の開度が演算で求めた開度となるように、開度制御を行う。その際、室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させることによって一時的に過熱度SH又は過冷却度SCの応答を速くする。その結果、能力制御時の応答性と定常時の安定性との両立を図ることができる。
(4−2)
但し、室内側制御部47,57,67は、要求空調能力の演算結果以外の要因で過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCtの及び/又は風量Gaの設定値を変更したときは、室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させない。それゆえ、定常時の過熱度SH又は過冷却度SCの安定性が確保される。
(4−3)
空調室内機40,50,60では、室内側制御部47,57,67が、空調要求能力の演算時に、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtへ向かわせるための動作とは相反する方向に室内膨張弁41,51,61を動作させる指令を受けている場合は、開度制御のゲインを増大させない。これによって、過熱度SH又は過冷却度SCの安定性が確保される。
(4−4)
但し、室内側制御部47,57,67は、室内膨張弁41,51,61の開度制御のゲインを増大させた後、現実の過熱度SH又は過冷却度SCと、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtとの差が所定値に到達したとき、ゲインを増大させる処理を終了する。その結果、ゲインの一時的な増大に対して過熱度SH又は過冷却度SCが応答してきたらゲインが元に戻されるので、能力制御時の応答性が確保され、定常時の安定性も確保される。
(4−5)
風量の設定値が変更された場合は、室内側制御部47,57,67は、過熱度SHと過熱度目標値SHtとの差が所定値αに到達し又は過冷却度SCと過冷却度目標値SCtとの差が所定値βに到達し、且つ開度制御のゲインの増大を開始してから所定時間tsが経過したとき、開度制御のゲインを増大させる処理を終了する。その結果、ゲインの一時的な増大に対して過熱度SH又は過冷却度SCが応答してきたらゲインが元に戻されるので、能力制御時の応答性が確保され、定常時の安定性も確保される。
(4−6)
ゲインの増大は、その増大によって室内膨張弁41,51,61の開度が所定の大きさを超えないように制限されている。その結果、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtの変更と未知の外乱とが重なる等して偏差があまりにも大きいときに通常よりも大きいゲインで膨張弁を動作させてしまうことを防止することができる。
(4−7)
ゲインの増大量は、過熱度目標値SHt又は過冷却度目標値SCtを変更したときと、風量Gaの設定値を変更したときとで異ならせてもよい。
(5)変形例
(5−1)
上記実施形態では、能力制御のパラメータに過熱度SH、過冷却度SCを採り入れているが、過熱度SH、過冷却度SCに替えて、相対過熱度RSH、相対過冷却度RSCを用いてもよい。
ここで、相対過熱度RSH=過熱度SH/(室内温度Tr−液管温度Th2)であり、相対過冷却度RSC=過冷却度SC/(室内温度Tr−液管温度Th2)である。液管温度Th2は、液側温度センサ44,54,64の検出値で代用される。
(5−2)
熱交関数の誤差にそなえ、アクチュエータの過剰変動が発生しないように動作量を調整できるようにしてもよい。ユーザーの快適性の観点から、アクチュエータを一度に大きく変化させることを避けるためである。
例えば、熱交関数(Q=f(ΔT)・g(G)・h(SCH))上、完全に能力を維持する必要な動作量の50%だけ動作させる。具体的には、計算上、風量「強風」であっても「中風」にとどめる。
(6)他の実施形態
(6−1)
上記実施形態では、図4Aにおいて、割り込み能力制御をステップS2の手前に割り込ませているが、これに限定されるものではなく、例えば図7に示すように、割り込み能力制御をステップS4の手前に割り込ませてもよい。
要求空調能力Qの更新から次の定期的更新までの間で、室内温度Tr及び設定温度Tsが変化することはほとんどなく、目標蒸発温度Tet若しくは目標凝縮温度Tct、過熱度目標値SHt若しくは過冷却度目標値SCt、又は風量の設定値に変化があったときに、割り込み能力制御をステップS4の手前に割り込ませることによって、要求空調能力Qの演算を省いて特性値CQのみ演算すればよい。
(6−2)
上記実施形態では、要求空調能力Qの更新から次の定期的更新までの間で、割り込み能力制御があっても先の更新から所定時間t1後の更新を待っているが、これに限定されるものではない。例えば図8に示すように、「タイマーリセット」の指令をステップS62として従来のステップS61の下流側に挿入して、次の要求空調能力Qの更新が「割り込み能力制御による要求空調能力Qの更新」から所定時間t1経過後に行われてもよい。
図4Aのフローと対比すると、図4AにおけるステップS7は削除され、図4Aにおけるステップ8が繰り上げられてステップS60とされている。これによって、割り込み能力制御による要求空調能力Qの更新直後に定期的能力制御による要求空調能力Qの更新がなされるという無駄が省かれる。
20 空調室外機
40,50,60 空調室内機
41,51,61 室内膨張弁
47,57,67 室内側制御部
特開2009−008346号公報

Claims (7)

  1. 現在室温と設定室温とから決まる要求能力を定期的に演算しながら、過熱度若しくは過冷却度、風量、又は蒸発温度若しくは凝縮温度に基づいて能力を調節する能力制御を行い、前記過熱度又は前記過冷却度の目標値に基づいて膨張弁(41,51,61)の開度制御を行う空調室内機であって、
    前記能力制御及び前記膨張弁(41,51,61)の開度制御を実行する室内側制御部(47,57,67)を備え、
    前記室内側制御部(47,57,67)は、前記要求能力の演算結果に基づいて前記過熱度若しくは前記過冷却度の目標値及び/又は前記風量の設定値を変更したとき、前記膨張弁(41,51,61)の開度制御のゲインを増大させる、
    空調室内機。
  2. 前記室内側制御部(47,57,67)は、前記要求能力の演算結果以外の要因で前記過熱度若しくは前記過冷却度の目標値及び/又は前記風量の設定値を変更したときは、前記膨張弁(41,51,61)の開度制御のゲインを増大させない、
    請求項1に記載の空調室内機。
  3. 前記室内側制御部(47,57,67)は、前記要求能力の演算時に、前記過熱度又は前記過冷却度を前記目標値へ向かわせるための動作とは相反する方向に前記膨張弁(41,51,61)を動作させる指令を受けている場合は、前記開度制御のゲインを増大させない、
    請求項1に記載の空調室内機。
  4. 前記室内側制御部(47,57,67)は、前記膨張弁(41,51,61)の開度制御のゲインを増大させた後、前記過熱度又は前記過冷却度の実測値と前記目標値との差が所定値に到達したとき、前記開度制御のゲインを増大させる処理を終了する、
    請求項1に記載の空調室内機。
  5. 前記室内側制御部(47,57,67)は、前記風量の設定値を変更したとき、前記過熱度又は前記過冷却度の実測値と前記目標値との差が所定値に到達し、且つ前記開度制御のゲインを増大させてから所定時間が経過したとき、前記開度制御のゲインを増大させる処理を終了する、
    請求項1に記載の空調室内機。
  6. 前記ゲインの増大は、前記増大によって前記膨張弁(41,51,61)の開度が所定の大きさを超えないように制限される、
    請求項1に記載の空調室内機。
  7. 前記ゲインの増大量は、前記過熱度又は前記過冷却度の目標値を変更したときと、前記風量の設定値を変更したときとで異なる、
    請求項1に記載の空調室内機。
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