JP2016072573A - 車載用リアクトル - Google Patents

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剛 木島
操 浪川
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操 浪川
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直哉 清兼
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Abstract

【課題】ハイブリッド自動車等の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルとして、使用電流が200A以上の大電流において、良好なインダクタンスを得る車載用リアクトルを提供する。
【解決手段】ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルであって、コアがヨーク部と脚部とで構成されて、脚部にギャップを有しているとともに、脚部の幅をa(mm)、ギャップの長さをLg(mm)とした時に、0.4≦Lg/a1/2≦2.0を満足する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルに関する。
従来のリアクトルとしては、特許文献1のように、コア材料に高透磁率を有する方向性珪素鋼板を用い、透磁率調整用の非磁性絶縁体を複数のギャップに装着したものがある。このようなリアクトルを用いる場合、ハイブリッド自動車等の駆動電源系統の高出力化に対応するためには、高透磁率を有する珪素鋼板製のコアの磁束密度を下げ、コアを磁気飽和しにくくする必要があり、コアにギャップを多数設け、それぞれのギャップに非磁性絶縁体を装着する必要がある。
また、上記リアクトルでは、コアにギャップを設けることにより、リアクトルのインダクタンスを調整している。そして、このインダクタンスは、コアが磁気飽和するまでほとんど変化しない。すなわち、上記リアクトルの直流重畳特性では、インダクタンスがハイブリッド自動車等の駆動電源系統における従来の使用電流範囲内(200A未満)において、ほぼ一定の値となる。
しかし、従来の使用電流範囲を超える大電流(200A以上)においては、磁気飽和傾向となり、インダクタンスは急激に低下する。
特開平11−40434号公報
近年、自動車の軽量化の観点から、ハイブリッド自動車等においては、モータの小型化やモータ効率の向上のために、従来の使用電流範囲(200A未満)を超える大電流(200A以上)でのモータの駆動が求められるようになっている。
しかしながら、上述したように、これまでの車載用リアクトルは、従来の使用電流範囲(200A未満)では、インダクタンスがほぼ一定の値であるが、それを超える大電流(200A以上)においては、インダクタンスが急激に低下するという問題がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ハイブリッド自動車等の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルとして、使用電流が200A以上の大電流において、良好なインダクタンスを得ることができる車載用リアクトルを提供することを目的とするものである。
上記のような目的を達成するために、本発明は以下のような特徴を有している。
[1]ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルであって、コアがヨーク部と脚部とで構成されて、脚部にギャップを有しているとともに、脚部の幅をa(mm)、ギャップの長さをLg(mm)とした時に、
0.4≦Lg/a1/2≦2.0
を満足していることを特徴とする車載用リアクトル。
[2]脚部の長さをb(mm)とした時に、
0.1≦a/b≦1.0
を満足していることを特徴とする前記[1]に記載の車載用リアクトル。
本発明によれば、使用電流が200A以上の大電流において、良好なインダクタンスを得ることができるハイブリッド自動車等の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルの提供が可能になる。
本発明の一実施形態における車載用リアクトルを示す図である。 本発明の一実施形態における基本的な考え方を説明するための図である。 本発明の一実施形態における基本的な考え方を説明するための図である。 本発明の一実施形態における基本的な考え方を説明するための図である。 本発明の実施例を示す図である。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における車載用リアクトルを示す図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態における車載用リアクトル1は、コア10がヨーク部11、12と脚部13、14とで構成されている。そして、脚部13は部分脚部13aと部分脚部13bに分かれていて、部分脚部13aと部分脚部13bの接合部にギャップ13cを有しており、同様に、脚部14は部分脚部14aと部分脚部14bに分かれていて、部分脚部14aと部分脚部14bの接合部にギャップ14cを有している。さらに、脚部13、14には、それぞれコイル21、22が巻かれている。
その上で、まず、本発明の一実施形態における基本的な考え方を述べる。
図2は、図1におけるギャップ13c、14cの近傍を拡大した図である。図2に示すように、磁気抵抗を減らそうとして、ギャップ13c、14cにおいて、実効断面積が大きくなるように、磁束が湾曲する(フリンジング)。そこで、磁気抵抗を減らすほどコア10の磁気特性は向上するので、フリンジングを促進するようにコア10を設計することで、コア10の磁気特性が向上すると考えられる。
一般的に、ギャップ長をLg、コアの磁路長をLm、コアの断面積をAm、磁束のフリンジングを考慮したコアの実効断面積をAg、コア材料の比透磁率をμr、真空の透磁率をμ0とすれば、ギャップをM個有するコアの実効透磁率μeffは
μeff=μ0/{(1/μr)+(M・Lg/Lm)・(Am/Ag)}
・・・(1)
と表せることが知られている。
そして、コイルターン数Nの時のインダクタンスLは
L=μeff・Am・N/Lm ・・・(2)
と表せる。
これらの(1)式、(2)式から、フリンジングを促進するようなコアを設計することで、実効断面積Agが大きくなり、その結果インダクタンスLを大きくすることができることがわかる。
しかしながら、上記のように、フリンジングはリアクトルの磁気特性に大きくかかわってくる現象であるにもかかわらず、これまで詳細に定量的な検討がされてきたとは言い難い。すなわち、そもそもフリンジング幅Lfが何に影響されているのかが明確にされていないため、フリンジング現象に対する知見はリアクトルの設計方法に生かされてこなかった。
そこで、ここでは、フリンジング幅Lfを定量化することから行った。
図3は、図2のギャップ13c、14cにおける磁束流れの概図である。
脚部13(13a、13b)、14(14a、14b)の幅をa、ギャップ長Lgの半分をh(h=Lg/2)とすると、積分経路P1→P2→P3→P4において、ストークスの定理より、下記の(3)式が得られる。
Figure 2016072573
ここで、マックスウェルの方程式より、下記の(4)式であるとすれば、
Figure 2016072573
上記の(3)式は、下記の(5)式となる。
Figure 2016072573
今、経路P2→P3をコアから十分離れた場所でとると、磁束ベクトルは0と考えられる。さらに、経路P3→P4においては、磁束ベクトルと微小距離ベクトルが直交するので、積分値は0であるから、結局(5)式は以下のように書き換えられる。
Figure 2016072573
ギャップ内の最中心部である経路P4→P1では、磁束ベクトルと微小距離ベクトルが平行であるので、上記(6)式は、下記(7)式となる。ここで、Bは磁束スカラーを示し、以下の(8)式以降に現れるdrは微小距離スカラーを示す。
Figure 2016072573
また、経路P1→P2での磁束ベクトルと微小距離ベクトルのなす角をθとおけば、下記(8)式となる。
Figure 2016072573
そして、上記(8)式の積分の変数をrからθに変換すると、下記(9)式、(10)式となる。
Figure 2016072573
なお、上記(9)式、(10)式において、π/2は点P1におけるθの値、αはコアの最端部におけるθの値である。
ここで、上記(10)式の左辺の積分の中身であるdr/dθについて考える。
図3中に示したように、脚部13(13a、13b)、14(14a、14b)の幅中央を点C、幅端部を点Dとする。そして、簡単のため、図4に線分CD(点Cと点Dを結ぶ線)で示しているように、θとrは線形関係であるとする。このとき、dθ/drは線分CDの傾きなので、下記(11)式となる。
Figure 2016072573
しかし、この値は後の計算で扱いにくい。そこで点Dから外挿し、横軸との交点を点D’としたときの横軸rの値a’を考えると、a’はaに比例すると考えられる。また、a’はαの値にも影響されるが、そのαはhに影響される。従ってa’をKhaとおくことにする(Kは定数)。そうすると、dr/dθは下記の(12)式のように計算できる。
Figure 2016072573
そして、(10)式に(12)式を代入すると、下記の(13)式、(14)式が得られる。
Figure 2016072573
ここで、sinαはフリンジング幅をLfとして、下記(15)式で書き表せるが、フリンジング幅Lfはh(ギャップ長Lgの半分)に比べて微小であるとすれば、下記の(16)式のように展開できる。
Figure 2016072573
ここで、(14)式と(16)式を比べることによって、下記の(17)式が得られる。
Figure 2016072573
前述したように、ハイブリッド自動車等においては、モータの小型化やモータ効率の向上のために、従来の使用電流範囲(200A未満)を超える大電流(200A以上)でのモータの駆動が求められるようになっている。しかし、これまでの車載用リアクトルは、使用電流が大電流(200A以上)になると磁気飽和傾向となり、インダクタンスが急激に低下するという問題がある。
これに対して、上記の(17)式をみると、フリンジング幅Lfがギャップの長さLgに比例し、脚部の幅aの1/2乗に反比例している。従って、ギャップの長さLgを大きくし、脚部の幅aを小さくして、Lg/a1/2を大きくすれば、フリンジングが促進されて、フリンジング幅Lfが大きくなり、実効断面積Agが大きくなって、インダクタンスLを大きくすることができる。
以上がこの実施形態における基本的な考え方である。
次に、上記の基本的な考え方を具体化した、本発明の一実施形態における車載用リアクトル1の詳細について述べる。
上述したように、本発明の一実施形態における車載用リアクトル1は、図1に示したように、コア10がヨーク部11、12と脚部13、14とで構成されている。そして、脚部13は部分脚部13aと部分脚部13bに分かれていて、部分脚部13aと部分脚部13bの接合部にギャップ13cを有している。同様に、脚部14は部分脚部14aと部分脚部14bに分かれていて、部分脚部14aと部分脚部14bの接合部にギャップ14cを有している。さらに、脚部13、14には、それぞれコイル21、22が巻かれている。
なお、ギャップ13c、14cは、厚みが1mm程度のセラミックを、部分脚部13aと部分脚部13bの接合部および部分脚部14aと部分脚部14bの接合部に挿入することにより構成されている。
その上で、この実施形態における車載用リアクトル1では、脚部13、14の幅をa(mm)、ギャップ13cの長さをLg(mm)とした時に、上述した基本的な考え方(Lg/a1/2を大きくする)に基づいて、下記(18)式を満足するようにしている。
0.4≦Lg/a1/2≦2.0 ・・・(18)
ここで、上記(18)式を満足するようにしている理由については、後述する実施例に示すが、Lg/a1/2に上限を設けているのは、ギャップ長さLgが大きくなり過ぎると、リアクトルそのものが励磁されにくくなり、磁束密度が低下して、かえって必要とするインダクタンスが得られなくなってしまうからである。また、通常、コアの体積をあまり変更しないことが好ましいので、脚部の幅aの減少は脚部の長さbの増加に繋がり、リアクトルが縦方向に大型化してしまい、車載用としては適していないからである。そのため、ここでは、Lg/a1/2に上限値を設けている。
なお、上記の(17)式は、コアに用いる素材の物性値を使用せずに表されるので、フリンジング幅Lfは、コアに用いる素材によらず、脚部の幅aとギャップの長さLgによってのみ決まる。
また、(17)式を導出した際の条件は、ギャップの位置や個数が変わっても変化しないので、フリンジング幅Lfはギャップの位置や個数にも影響されない。
つまり、上記の実施形態では、図1に示したように、脚部13、14にそれぞれ1個のギャップ13c、14cを設けたが、脚部13、14にそれぞれ複数個のギャップを設ける場合は、複数個のギャップの長さを合計した長さをギャップ長さLgとして、上記の(18)式を計算すればよい。
なお、前述した(17)式から言いえるように、脚部の幅aを小さくすれば、フリンジングが促進されて、インダクタンスLを大きくすることができるのであるが、脚部の幅aの減少は脚部の長さbの増加に繋がり、リアクトルが縦方向に大型化してしまい、車載用としては適していない。また、脚部の長さbが長すぎることは、リアクトル全体の磁路長に対してギャップ長さLgの相対長さが小さくなることを意味し、磁気飽和を招きやすくなる。これらの要因を考慮して、脚部の幅aと脚部の長さbの比a/bは、下記(19)式を満足するようにするのが好ましい。
0.1≦a/b≦1.0 ・・・(19)
以上の説明のように、この実施形態における車載用リアクトル1は、フリンジング幅Lfを大きく出来ることから、リアクトルを流れる使用電流が200A以上である場合でも、良好なインダクタンスを得ることができ、ハイブリッド自動車等の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルとして好適である。
なお、使用電流の上限は、ハイブリッド自動車等の駆動条件によって定まるが、例えば400A程度とすることが考えられる。
そして、この実施形態における車載用リアクトル1の寸法例は、下記の如くである。
脚部の幅a:20mm
脚部の長さb:60mm
ギャップ長さLg:1mm
ヨークの幅d:20mm
ヨークの長さe:100mm
本発明の実施例として、図1に示した車載用リアクトル1を用いて、インダクタンスLを計測した。
その際に、コア10の素材は、珪素を4〜7質量%含有する高珪素鋼板とした。また、コア10の高珪素鋼板の体積は合計で700cmであり、使用電流(印加電流)は200A(図5中の符号●)、250A(図5中の符号■)、300A(図5中の符号▲)とした。
そして、コア10に対し、コア10の高珪素鋼板の体積を一定としたまま、ギャップ13c、14cの長さLgを変化させることで、Lg/a1/2を0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5と変化させ、それぞれのインダクタンスLを測定した。
図5は、Lg/a1/2と、測定したインダクタンスLとの関係を示す図である。図5に示すとおり、0.4≦Lg/a1/2≦2.0の範囲では、インダクタンスLが良好な値を示し、Lg/a1/2が上記の範囲を外れると、インダクタンスLの低下が顕著に生じている。
したがって、0.4≦Lg/a1/2≦2.0を満足するようにすることよって、車載用リアクトルは、コアの体積を大きくすることなく、使用電流が200A以上の大電流において、良好なインダクタンスを得ることができる。
1 車載用リアクトル
10 コア
11 ヨーク部
12 ヨーク部
13 脚部
13a 部分脚部
13b 部分脚部
13c ギャップ
14 脚部
14a 部分脚部
14b 部分脚部
14c ギャップ
21 コイル
22 コイル

Claims (2)

  1. ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動電源系統に用いられる車載用リアクトルであって、コアがヨーク部と脚部とで構成されて、脚部にギャップを有しているとともに、脚部の幅をa(mm)、ギャップの長さをLg(mm)とした時に、
    0.4≦Lg/a1/2≦2.0
    を満足していることを特徴とする車載用リアクトル。
  2. 脚部の長さをb(mm)とした時に、
    0.1≦a/b≦1.0
    を満足していることを特徴とする請求項1に記載の車載用リアクトル。
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