JP2016072554A - 磁気センサ及び磁気センサの製造方法 - Google Patents

磁気センサ及び磁気センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピンド層の磁化の方位を固定する工程における負担を軽減可能な磁気センサ及び磁気センサの製造方法を提供する。【解決手段】磁気センサの製造方法は、基板1Wの平坦面上に並べて配される複数の区画ごとに設けられた傾斜面上に、少なくともピンド層を含んで磁気抵抗効果素子X1A、X1B、・・・、Y1A、Y1B、・・・をなす多層膜を成膜する成膜ステップと、複数の上記区画の各々に対し、基板1Wの平坦面に直交する成分を有する外部磁場を印加して、当該直交する成分に基づいて上記ピンド層の磁化の方位を固定する着磁ステップと、を有し、当該着磁ステップにおいて、一の方位に並べて配される複数の上記区画の各々に対して、当該一の方位に延在する棒磁石を用いて前記外部磁場を印加する。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサ及び磁気センサの製造方法に関する。
従来、磁気センサに使用される素子として、巨大磁気抵抗効果素子(GMR(Giant Magneto Resistance)素子)が知られている。いわゆるスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子は、磁化が所定の方位に固定(ピン)されたピンド層と、磁化の方位が外部磁場に応じて変化するフリー層とを備え、ピンド層の磁化の方位と、フリー層の磁化の方位との相対的関係に応じて抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を電気的に検知することで、外部磁場(磁界)の強度を把握することができる。
また、このような磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサの製造方法として、所定の面に永久磁石をマトリクス状に配列させたマグネットアレイを半導体ウェハ(基板)に重ね合わせながら熱処理を行う規則化熱処理工程が知られている(例えば、特許文献1)。半導体ウェハにマグネットアレイを重ねることで、当該半導体ウェハの平坦面におけるマトリクス状の区画(即ち、磁気センサ)ごとに、当該平坦面に対し水平な方位に規則性を有する外部磁場を印加することができる。これにより、磁気センサを構成する複数の磁気抵抗効果素子ごとに、上記外部磁場の水平方向成分に基づき、ピンド層の磁化の方位を所望する方位に固定することができる。
特開2007−212275号公報
上述のように、磁気抵抗効果素子のピンド層の磁化の方位を固定する工程においては、半導体ウェハの平坦面においてマトリクス状に配される区画(磁気センサ)の各々と対応するように微小な永久磁石を周期配列させる必要があるため、このような永久磁石の配列を精度よく実現するマグネットアレイの作製が負担となっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ピンド層の磁化の方位を固定する工程における負担を軽減可能な磁気センサ及び磁気センサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、基板の平坦面上に並べて配される複数の区画ごとに設けられた傾斜面上に、少なくともピンド層を含んで磁気抵抗効果素子をなす多層膜を成膜する成膜ステップと、複数の前記区画の各々に対し、前記基板の平坦面に直交する成分を有する外部磁場を印加して、当該直交する成分に基づいて前記ピンド層の磁化の方位を固定する着磁ステップと、を有し、前記着磁ステップにおいて、一の方位に並べて配される複数の前記区画の各々に対して、当該一の方位に延在する棒磁石を用いて前記外部磁場を印加することを特徴とする磁気センサの製造方法である。
このようにすることで、外部磁場を所望する方位へ精度よく印加するために磁石を小型化しなければならない水平成分ではなく、当該磁石を小型化しなくとも外部磁場を所望する方位へ精度よく印加することができる垂直成分をもってピンド層の磁化の方位を固定することができる。よって、当該磁石を小型化しなくともピンド層の磁化の方位を所望する方位に精度よく固定することができる。また、一の方位に並べて配される複数の区画の各々に対して、当該一の方位に延在する棒磁石を用いてまとめて外部磁場を印加することで、微小な磁石を複数の区画ごとに対応するように配する必要がないため、着磁ステップにおける負担を軽減することができる。
また、本発明の一態様は、上述の磁気センサの製造方法の前記着磁ステップにおいて、前記区画に含まれる所定の第1領域において前記平坦面に直交する一の方位の成分を有する外部磁場を印加し、当該区画に含まれる所定の領域であって前記第1領域とは異なる第2領域において、前記平坦面に直交する方位であって前記一の方位とは逆向きの成分を有する外部磁場を印加することを特徴とする。
このようにすることで、一の区画において、磁化の方位が互いに逆向きのピンド層を形成できる。したがって、磁化の方位が互いに逆向きのピンド層を有する磁気抵抗効果素子を組み合わせてブリッジ回路を構成することで、小型で、かつ、検出精度の高い磁気センサを作製することができる。
また、本発明の一態様は、上述の磁気センサの製造方法の前記着磁ステップにおいて、前記棒磁石であって前記第1領域に対して一の極性面を対向させる第1磁石と、前記棒磁石であって前記第2領域に対して他の極性面を対向させる第2磁石と、を同一平面上に配列して前記外部磁場を印加することを特徴とする。
このようにすることで、第1磁石及び第2磁石が各区画に整合するように同一平面上に配列してなる治具(マグネットアレイ)を基板に重ねるのみで、平坦面に直交する成分を有する外部磁場を印加することができる。したがって、一の区画において、磁化の方位が互いに逆向きのピンド層を形成する場合における着磁ステップの作業負担を軽減することができる。
また、本発明の一態様は、上述の磁気センサの製造方法の前記着磁ステップにおいて、1つの前記第1磁石が、矩形状の前記区画の一の辺を共有して隣接する前記第1領域の各々に対向するように配されるとともに、1つの前記第2磁石が、前記区画のうち前記一の辺の反対側の他の辺を共有して隣接する前記第2領域の各々に対向するように配されることを特徴とする。
このようにすることで、単一の棒磁石が、一の辺を共有して隣接する2つの区画のそれぞれに外部磁場を印加することができるので、一定の磁石のサイズ及び配列ピッチに対し、区画のサイズを効率的に縮小化することができる。
また、本発明の一態様は、上述の磁気センサの製造方法の前記着磁ステップにおいて、前記第1磁石及び前記第2磁石のそれぞれと、前記基板の平坦面を挟むように磁性体を配することを特徴とする。
このようにすることで、外部磁場の各方向成分のうち、平坦面に直交する成分が他の方向成分に対して強まるので、当該直交する成分に基づいて固定されるピンド層の磁化の方位の精度を高めることができる。
また、本発明の一態様は、上述の磁気センサの製造方法の前記成膜ステップにおいて、前記ピンド層が、前記平坦面の面内方向における第1方位に沿って当該平坦面と接するように設けられた第1傾斜面と、前記第1方位と異なる第2方位に沿って当該平坦面と接するように設けられた第2傾斜面と、の両方に成膜されていることを特徴とする。
このようにすることで、作製される磁気センサにおいて、平坦面の面内方向において感度方向が互いに異なる複数の磁気抵抗効果素子が形成されるため、外部磁場を、異なる複数の方位の成分別に計測可能となる磁気センサを作製することができる。
また、本発明の一態様は、矩形板状の本体部と、少なくともピンド層を含み、前記本体部の平坦面の面内方向における第1方位に沿って設けられた第1傾斜面の傾斜面上に、当該第1方位を長手方向として形成された第1磁気抵抗効果素子と、少なくともピンド層を含み、前記本体部の平坦面の面内方向における方位であって前記第1方位と異なる第2方位に沿って設けられた第2傾斜面の傾斜面上に、当該第2方位を長手方向として形成された第2磁気抵抗効果素子と、を備え、前記本体部の平坦面を当該本体部の一辺に沿って二つに分けてなる第1領域及び第2領域の各々において、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子の各々が配されていることを特徴とする磁気センサである。
このようにすることで、磁気センサの製造工程において、矩形板状の本体部を一つの区画として基板上の一の方位に複数並べて配した際に、当該基板の平坦面上において第1領域及び第2領域を一の方位につなげて一続きに配することができる。したがって、第1領域、第2領域の各々に対し、当該一の方位に延在する棒磁石を用いてまとめて外部磁場を印加しながら第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子におけるピンド層の磁化の方位を固定することができるので、当該磁気センサの製造工程における作業負担を軽減することができる。
また、本発明の一態様は、上述の磁気センサであって、前記第1領域に配される前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子が、前記ピンド層の磁化の方位が、少なくとも前記平坦面に直交する一の方位を向く成分を有し、前記第2領域に配される前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子が、前記ピンド層の磁化の方位が、少なくとも前記平坦面に直交する他の方位を向く成分を有していることを特徴とする。
このようにすることで、一の区画において、磁化の方位が互いに逆向きのピンド層を有する磁気抵抗効果素子を組み合わせてブリッジ回路を構成することで、小型で、かつ、検出精度の高い磁気センサを作製することができる。
また、本発明の一態様は、上述の磁気センサであって、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子が、前記本体部の平坦面を、前記第1領域及び前記第2領域を区画する境界線と直交するように二等分してなる2つの領域の一方側に配置されることを特徴とする。
上述の磁気センサ及び磁気センサの製造方法によれば、ピンド層の磁化の方位を固定する工程における負担を軽減することができる。
第1の実施形態に係る磁気センサの全体構成を示す図である。 第1の実施形態に係る磁気センサの構造を示す第1の図である。 第1の実施形態に係る磁気センサの構造を示す第2の図である。 第1の実施形態に係る規則化熱処理工程の概要を説明する図である。 第1の実施形態に係る規則化熱処理工程における基板上の区画とマグネットアレイとの配置関係を示す図である。 第1の実施形態に係る規則化熱処理工程において印加される外部磁場の様子を説明する第1の図である。 第1の実施形態に係る規則化熱処理工程において印加される外部磁場の様子を説明する第2の図である。 第1の実施形態に係る規則化熱処理工程において印加される外部磁場の様子を説明する第3の図である。 第1の実施形態に係る磁気センサのピンド層の磁化の方位を説明する図である。 第1の実施形態に係る磁気センサの回路構成を説明する図である。 第1の実施形態の対比例に係る磁気センサの製造方法を説明する第1の図である。 第1の実施形態の対比例に係る磁気センサの製造方法を説明する第2の図である。 第1の実施形態に係る磁気センサの製造方法の効果を説明する図である。 第1の実施形態の変形例に係る規則化熱処理工程の概要を説明する図である。 第1の実施形態の他の変形例に係る規則化熱処理工程の概要を説明する図である。
<第1の実施形態>
[磁気センサの構造]
以下、第1の実施形態に係る磁気センサ及びその製造方法について説明する。
本実施形態に係る磁気センサは、外部から印加される外部磁場の磁界強度を、互いに直交する3軸(±X方向、±Y方向、±Z方向)の成分(Hx、Hy、Hz)別に計測可能な3軸磁気センサである。
図1は、第1の実施形態に係る磁気センサの全体構成を示す図である。
図1に示すように、磁気センサ1は、矩形板状の本体部(区画1a)と、16個の磁気抵抗効果素子X1A、X1B、X1C、X1D、X2A、X2B、X2C、X2D、Y1A、Y1B、Y1C、Y1D、Y2A、Y2B、Y2C、Y2Dと、を備えている。
磁気センサ1の本体部(区画1a)は、半導体ウェハである基板1Wの平坦面の一区画から構成される。磁気センサ1は、基板1Wの平坦面において、区画1aを含む複数の区画ごとに磁気抵抗効果素子X1A〜Y2D及び各種回路が形成された後、当該区画別に分断されて製造される。なお、図1では図示を省略しているが、磁気センサ1の製造工程においては、区画1aを含む複数の区画は、基板1Wの平坦面上で互いに辺を共有して隣接しながらマトリクス状に配列されている。本実施形態において区画1aを含む複数の区画は、約1mm四方のサイズとされる。
16個の各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dは、いずれも基板1Wの平坦面に対し傾斜する傾斜面(第1傾斜面10a、10b、第2傾斜面10c、10d)上に形成されている。
8個の磁気抵抗効果素子X1A、X1B、X1C、X1D、X2A、X2B、X2C、X2D(第1磁気抵抗効果素子)は、区画1aの平坦面の面内方向における方位であって当該区画1aの一辺と平行な第1方位(±Y方向)に沿って当該平坦面と接するように設けられた第1傾斜面10a、10bの傾斜面上に、当該第1方位を長手方向として形成されている。
また、8個の磁気抵抗効果素子Y1A、Y1B、Y1C、Y1D、Y2A、Y2B、Y2C、Y2D(第2磁気抵抗効果素子)は、区画1aの平坦面の面内方向における方位であって第1方位と直交する第2方位(±X方向)に沿って当該平坦面と接するように設けられた第2傾斜面10c、10dの傾斜面上に、当該第2方位を長手方向として形成されている。
また、磁気センサ1は、区画1aの平坦面を当該区画1aの一辺に沿って二つに均等に分けてなる第1領域AN及び第2領域ASの各々において、磁気抵抗効果素子X1A〜X2D(第1磁気抵抗効果素子)及び磁気抵抗効果素子Y1A〜Y2D(第2磁気抵抗効果素子)の各々が配されている。
具体的には、第1領域ANには、第1磁気抵抗効果素子のうち磁気抵抗効果素子X1B、X2B、X1D、X2Dが設けられ、第2磁気抵抗効果素子のうち磁気抵抗効果素子Y1B、Y2B、Y1D、Y2Dが設けられている。また、第2領域ASには、第1磁気抵抗効果素子のうち磁気抵抗効果素子X1A、X2A、X1C、X2Cが設けられ、第2磁気抵抗効果素子のうち磁気抵抗効果素子Y1A、Y2A、Y1C、Y2Cが設けられている。
さらに、磁気抵抗効果素子X1A、X1B、X1C、X1Dは、第1傾斜面10a、10bのうち、−X方向側から+X方向側にかけて上昇する(+Z方向側に進む)ように傾斜する第1傾斜面10a上に形成される。一方、磁気抵抗効果素子X2A、X2B、X2C、X2Dは、第1傾斜面10a、10bのうち、−X方向側から+X方向側にかけて下降する(−Z方向側に進む)ように傾斜する第1傾斜面10b上に形成される。
同様に、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1B、Y1C、Y1Dは、第2傾斜面10c、10dのうち、−Y方向側から+Y方向側にかけて下降する(−Z方向側に進む)ように傾斜する第2傾斜面10c上に形成される。一方、磁気抵抗効果素子Y2A、Y2B、Y2C、Y2Dは、第2傾斜面10c、10dのうち、−Y方向側から+Y方向側にかけて上昇する(+Z方向側に進む)ように傾斜する第2傾斜面10d上に形成される。
図2は、第1の実施形態に係る磁気センサの構造を示す第1の図である。
具体的には、図2は、図1におけるα―α’の断面構造を模式的に表した図である。図2に示すように、基板1Wの平坦面上において溝部10が形成されている。溝部10は、所定の製造プロセス(成膜、レジスト塗布、パターニング、エッチングの各工程)を経て、基板1Wの平坦面の一部が加工されることで形成される。
図2に示すように、溝部10は、基板1Wの平坦面に対し所定の傾斜角度θ(例えば、θ=45°)傾斜した第1傾斜面10a、10bを有している。溝部10(即ち、第1傾斜面10a、10b)は、紙面奥行き方向(第1方位(±Y方向))に沿って延伸しており、磁気抵抗効果素子X1Aが第1傾斜面10aの上に、磁気抵抗効果素子X2Aが第1傾斜面10bの上に、それぞれ第1方位(±Y方向)を長手方向とするように形成されている。
なお、図2に示した磁気抵抗効果素子X1A及び磁気抵抗効果素子X2Aの他、磁気抵抗効果素子X1B、X1C、X1D及び磁気抵抗効果素子X2B、X2C、X2Dも同様に、それぞれ第1傾斜面10a、10b上に形成される。
また、詳細な図示を省略するが、図1に示す第2傾斜面10c、10dは、溝部10と同様の溝部によって形成される。当該溝部(即ち、第2傾斜面10c、10d)は、第2方位(±X方向)に沿って延伸するように形成されており、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1B、Y1C、Y1Dが第2傾斜面10cの上に、磁気抵抗効果素子Y2A、Y2B、Y2C、Y2Dが第2傾斜面10dの上に、それぞれ第2方位(±X方向)を長手方向とするように形成される(図1参照)。
なお、本実施形態において、第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10dの傾斜角度θは、θ=45°であるものとし、かつ、以下の説明においては、第1傾斜面10aの傾斜方向を±X’軸と定義し、第1傾斜面10aの法線方向を±Z’軸と定義する。ただし、他の実施形態においては、第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10dの傾斜角度θは、θ=45°に限定されない。
図3は、第1の実施形態に係る磁気センサの構造を示す第2の図である。
具体的には、図3は、図1に示す磁気抵抗効果素子X1Aの具体的な構造を説明する図である。なお、他の15個の磁気抵抗効果素子X1B〜Y2Dの構造も、磁気抵抗効果素子X1Aの構造と同一であるため、説明を省略する。
図3(a)は、磁気抵抗効果素子X1Aを+Z’方向側(図2参照)から平面視した場合の模式図であり、図3(b)は、図3(a)におけるβ−β’の断面模式図である。
図3(a)に示すように、磁気抵抗効果素子X1Aは、平面視で長方形をなし、その長手方向が第1方位(±Y方向)に沿うように配される。そして、磁気抵抗効果素子X1Aは、配線層31a、31bにより外部の回路と電気的に接続される。例えば、配線層31a、31bには、それぞれ図示しない定電圧源の正極及び負極等が接続される。この定電圧源による所定の電源電圧Vin+(例えば、3V)及び接地電圧Vin−(例えば、0V)の印加に応じて、配線層31a(配線層31b)から磁気抵抗効果素子X1Aを介して配線層31b(配線層31a)へと電流が流れる。
図3(b)に示すように、磁気抵抗効果素子X1Aは、反強磁性材料からなるピニング層30a、ピニング層30aにより磁化の方位が固定されたピンド層30b、非磁性材料からなるスペーサ層30c、および、磁化の方位が外部磁場に応じて変化するフリー層30d、が積層され、スピンバルブ構造を成している。
このスピンバルブ構造により、磁気抵抗効果素子X1Aは、測定対象とする外部磁場に応じて配線層31aと配線層31b間の抵抗値が変化し、当該外部磁場の強度を検出することができる。
なお、図3(a)、(b)に示した磁気抵抗効果素子X1Aの構造は一例であって、その構造は、スピンバルブの機能を発揮できる限度において適宜変更可能である。例えば、フリー層30dと、ピンド層30b及びピニング層30aと、の成膜順序は入れ替え可能であり、さらに、磁気抵抗効果素子としての特性改善のため、上記以外の層が挿入されていてもよい。
また、ピニング層30a、ピンド層30b、スペーサ層30c及びフリー層30dの各々に用いる材料や成膜条件等については、既知の製造技術が適用可能であるため、詳細な説明を省略する。なお、ピンド層30bの磁化の方位を所望の方位に固定する規則化熱処理工程(着磁ステップ)については後述する。
磁気抵抗効果素子X1Aは、後述する規則化熱処理工程により、そのピンド層30bの磁化の方位が所定の方位(−X’方向)を向いて固定されるように作製される(図3(a))。
また、磁気抵抗効果素子X1Aは、測定対象の外部磁場が存在しない状態(以下、「初期状態」とも記載する。)において、フリー層30dの磁化の方位が当該フリー層30dの形状に基づく特定の方位を向くように形成される。具体的には、フリー層30dは、平面視で長方形に成形することで、その形状異方性を利用して、フリー層30dの磁化の方位が、当該長方形の長手方向(+Y方向)に揃うようにしている(図3(a)、(b)参照)。
[規則化熱処理工程]
図4は、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程の概要を説明する図である。
規則化熱処理工程とは、磁気抵抗効果素子X1A〜Y2D(図1)のピンド層30b(図3)の磁化の方位を所望する方位に固定する工程である。
ここで、規則化熱処理工程の前段階の工程について簡単に説明すると、まず、基板1Wの平坦面の区画(区画1a等)ごとに、溝部(溝部10等(図2参照))を形成する形成ステップを実施する。例えば、当該形成ステップにおいては、まず、SiO膜からなる酸化膜(例えば、膜厚5μm)をCVD(Chemical Vapor Deposition)等により成膜した後、その上層にレジストを塗布してレジスト膜(例えば、膜厚5μm)を形成する。そして、当該レジスト膜に対し、溝部10等の配置パターンに応じたパターンカットを行った後、熱処理等により、レジスト膜をテーパー状に形成(テーパー化)する。この後、上記酸化膜と上記レジスト膜とがほぼ同じ比率でエッチングされる条件でドライエッチングを行う。これにより、図2に示すように、第1傾斜面10a、10bを有する溝部10が形成される。
その後、スパッタリング法等を用いて、磁気抵抗効果素子X1A〜Y2D(図1)を成す多層膜、即ち、ピニング層30a、ピンド層30b、スペーサ層30c及びフリー層30d(図3)を、傾斜面(第1傾斜面10a、10b、第2傾斜面10c、10d(図1))上に順次成膜する成膜ステップを実施する。なお、当該傾斜面は、基板1Wの平坦面上に並べて配される複数の区画(区画1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i(図5))ごとに設けられている。
なお、上述した形成ステップの具体的な処理工程は、あくまで一例であり、半導体ウェハ(基板1W)の平坦面に対し所望の傾斜面を形成可能な方法であれば、他の如何なる態様であっても構わない。例えば、本実施形態に係る磁気センサ1の形成ステップでは、基板1Wの平坦面から下方(−Z方向)に窪む溝部10を形成することによって第1傾斜面10a、10b、第2傾斜面10c、10dを設けるものとして説明しているが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る磁気センサ1の形成ステップでは、基板1Wの平坦面から上方(+Z方向)に突出する堤部を形成することによって第1傾斜面10a、10b、第2傾斜面10c、10dを設けるものとしてもよい。
次に、ピンド層30bの磁化の方位を固定する規則化熱処理工程(着磁ステップ)を実施する。
図4に示すように、規則化熱処理工程において、上記形成ステップ、成膜ステップを経て、第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10d(図1、図2)上にピンド層30b等の多層膜(図3)が成膜された基板1Wを、予め用意されたマグネットアレイ20に重ねる。マグネットアレイ20は、基板1Wの平坦面に配列された各区画(区画1a等)の各々に対応するように、永久棒磁石(後述する第1磁石20N、第2磁石20S)が規則的に、同一平面上に配列された治具である。
規則化熱処理工程においては、図4に示すように、マグネットアレイ20の平坦面に対し、基板1Wの裏面(磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dが形成される平坦面とは異なる面)を対向させるように両者を重ね合わせて固定する。この際、基板1Wの平坦面における各区画と、マグネットアレイ20における永久棒磁石(第1磁石20N、第2磁石20S)の配列パターンと、が対応するように位置合わせを行う。
この状態を維持したまま、真空中で加熱することにより、各ピンド層30bの磁化の方位が、各永久棒磁石により印加される外部磁場に応じた方位に固定される(正確には、上記熱処理により、ピニング層30aの磁化の方位が固定される。そして、磁化が固定されたピニング層30aとの相互作用に基づいてピンド層30bの磁化の方位が固定される)。
図5は、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程における基板上の区画とマグネットアレイとの配置関係を示す図である。
図5に示すように、マグネットアレイ20は、基板1Wの裏面に対しN極の面(一の極性面)を対向させる第1磁石20Nと、基板1Wの裏面に対しS極の面(他の極性面)を対向させる第2磁石20Sと、を同一平面上に、平行かつ交互に配列してなる。
第1磁石20N及び第2磁石20Sは、第2方位(±X方向)に並べて配される複数の区画(例えば、区画1a、1b、1c)の各々に対して、当該第2方位に延在するように配される棒磁石である。
より具体的に説明すると、図5に示すように、N極の面を対向させる第1磁石20Nの極性面は、当該第1磁石20Nの幅方向(±Y方向)の中央が区画1a、1b、1c各々の辺E1に重なるように、当該辺E1に沿って延在するように配される。同様に、S極の面を対向させる第2磁石20Sの極性面は、その中央が区画1a、1b、1c各々の辺E2(辺E1の反対側の辺)に重なるように、当該辺E2に沿って延在するように配される。このように配されることで、第2方位(±X方向)に並べて配される複数の区画(区画1a、1b、1c)の各々に対して、第1磁石20N、第2磁石20Sの各々がまとめて外部磁場を印加する。
また、1つの第1磁石20Nは、区画1a、1b、1cの各々の辺E1を共有して隣接する区画1d、1e、1fとも対向するように配される。このようにすることで、一つの第1磁石20Nが、その延在方向に並んで配される2列の区画1a、1b、1cと、区画1d、1e、1fと、の全てに外部磁場を印加することができる。同様に、1つの第2磁石20Sは、区画1a、1b、1cの各々の辺E2を共有して隣接する区画1g、1h、1iとも対向するように配される。このようにすることで、一つの第2磁石20Sが、その延在方向に並んで配される2列の区画1a、1b、1cと、区画1g、1h、1iと、の全てに外部磁場を印加することができる。
そして、本実施形態に係るマグネットアレイ20では、基板1Wの平坦面上に配列された全ての区画(区画1a〜1i)と上述のように配される第1磁石20N及び第2磁石20Sが、第2方位(±X方向)に平行かつ交互に周期配列される。これにより、基板1Wの平坦面上にマトリクス状に配列される全ての区画の第1領域ANには第1磁石20NのN極の面が対向し、第2領域ASには第2磁石20SのS極の面が対向する。
図6は、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程において印加される外部磁場の様子を説明する第1の図である。
図6に示すように、規則化熱処理工程において、マグネットアレイ20は、基板1Wの下方(−Z方向)に配される。マグネットアレイ20に備えられた第1磁石20Nは、N極の極性面を基板1Wの裏面に対向させるように配され、第2磁石20Sは、S極の極性面を基板1Wの裏面に対向させるように配されている。基板1Wの平坦面上の区画1aには、製造工程を経て磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dが形成される第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10d(図1)が形成されている(図6には、例として、第2傾斜面10c、10dのみを記載している)。
隣り合う第1磁石20Nと第2磁石20Sとは、それぞれ互いに異なる極性(N極、S極)の極性面を基板1Wに対向させる。これにより、基板1Wには、第1磁石20NのN極の極性面から第2磁石20SのS極の極性面へと進む外部磁場Hが印加される(図6参照)。具体的には、外部磁場Hは、第1磁石20NのN極の極性面から上方(+Z方向)に向けて進行し、弧を描くようにして、隣接する第2磁石20SのS極の極性面に、下方(−Z方向)に入射する。
これにより、区画1aに含まれる第1領域ANの少なくとも一部において、基板1Wの平坦面に直交する一の方位(+Z方向)の外部磁場Hが印加されるとともに、区画1aに含まれる第2領域ASの少なくとも一部において、基板1Wの平坦面に直交する他の方位(−Z方向)の外部磁場Hが印加される。
図7は、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程において印加される外部磁場の様子を説明する第2の図である。
図7は、例として、区画1aのうち第2領域AS(図6)に属する磁気抵抗効果素子X1A、X2Aが形成される溝部10の近傍を詳細に示している。磁気抵抗効果素子X1A、X2Aが配される位置の下方(−Z方向)には、第2磁石20SのS極の極性面が配されているため、当該磁気抵抗効果素子X1A、X2Aには、下方(−Z方向)を向く外部磁場Hが印加される(図7参照)。第1傾斜面10a、10b上に形成される磁気抵抗効果素子X1A、X2Aのピンド層30b(図7には図示せず)は、下方を向く外部磁場Hが印加された状態で加熱されることで、各々の磁化の方位が−Z方向の成分を有するように固定される。
具体的には、第1傾斜面10a上に形成されたピンド層30b(即ち、磁気抵抗効果素子X1Aを構成するピンド層30b)の磁化の方位は、第1傾斜面10aの面内方向であって−Z方向の成分を有する方位c1(−X’方向)に固定される。同様に、第1傾斜面10b上に形成されたピンド層30b(即ち、磁気抵抗効果素子X2Aを構成するピンド層30b)の磁化の方位は、第1傾斜面10bの面内方向であって−Z方向の成分を有する方位c2(−Z’方向)に固定される。ここで、第1傾斜面10a上に成膜されたピンド層30bは、+X方向から−X方向にかけて下降する(−Z方向に向かう)ように傾斜している。したがって、当該ピンド層30bの磁化の方位c1は、−Z方向の成分と、−X方向の成分と、を有している。また、第1傾斜面10b上に成膜されたピンド層30bは、第1傾斜面10aとは逆に、−X方向から+X方向にかけて下降する(−Z方向に向かう)ように傾斜している。したがって、当該ピンド層30bの磁化の方位c2は、−Z方向の成分と、+X方向の成分と、を有している。
なお、下方の外部磁場Hが印加される他の磁気抵抗効果素子X1C、X2C、Y1A、Y2A、Y1C、Y2Cについても、図7に示す磁気抵抗効果素子X1A、X2Aと同様に、各々が形成される第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10d(図1)の面内方向であって−Z方向の成分を有する方位に磁化が固定される。
図8は、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程において印加される外部磁場の様子を説明する第3の図である。
図8は、例として、区画1aのうち第1領域AN(図6)に属する磁気抵抗効果素子X1B、X2Bが形成される溝部10の近傍を詳細に示している。磁気抵抗効果素子X1B、X2Bが配される位置の下方(−Z方向)には、第1磁石20NのN極の極性面が配されているため、当該磁気抵抗効果素子X1B、X2Bには、上方(+Z方向)を向く外部磁場Hが印加される(図8参照)。第1傾斜面10a、10b上に形成される磁気抵抗効果素子X1B、X2Bのピンド層30b(図8には図示せず)は、上方を向く外部磁場Hが印加された状態で加熱されることで、磁化の方位が+Z方向の成分を有するように固定される。
具体的には、第1傾斜面10a上に形成されたピンド層30b(即ち、磁気抵抗効果素子X1Bを構成するピンド層30b)の磁化の方位は、第1傾斜面10aの面内方向であって+Z方向の成分を有する方位c3(+X’方向)に固定される。同様に、第1傾斜面10b上に形成されたピンド層30b(即ち、磁気抵抗効果素子X2Bを構成するピンド層30b)の磁化の方位は、第1傾斜面10bの面内方向であって+Z方向の成分を有する方位c4(+Z’方向)に固定される。ここで、第1傾斜面10a上に成膜されたピンド層30bは、−X方向から+X方向にかけて上昇する(+Z方向に向かう)ように傾斜している。したがって、当該ピンド層30bの磁化の方位c3は、+Z方向の成分と、+X方向の成分と、を有している。また、第1傾斜面10b上に成膜されたピンド層30bは、第1傾斜面10aとは逆に、+X方向から−X方向にかけて上昇する(+Z方向に向かう)ように傾斜している。したがって、当該ピンド層30bの磁化の方位c4は、+Z方向の成分と、−X方向の成分と、を有している。
なお、上方の外部磁場Hが印加される他の磁気抵抗効果素子X1D、X2D、Y1B、Y2B、Y1D、Y2Dについても、図8に示す磁気抵抗効果素子X1B、X2Bと同様に、各々が形成される第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10d(図1)の面内方向であって+Z方向の成分を有する方位に磁化が固定される。
図9は、第1の実施形態に係る磁気センサのピンド層の磁化の方位を説明する図である。
図6〜図8に示したように、上記規則化熱処理工程を経た各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dにおけるピンド層30bの磁化の方位は、マグネットアレイ20により印加される外部磁場Hの向き、及び、各々が形成される第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10d(図1)の向きに基づいて固定される。
具体的には、区画1aの辺E2の近傍に配される磁気抵抗効果素子X1A、X1C、X2A、X2C、Y1A、Y1C、Y2A、Y2Cは、基板1Wの平坦面に−Z方向に直交する成分を有する外部磁場Hが印加される第2領域ASに属している。したがって、規則化熱処理工程を経た後は、図9に示すように、磁気抵抗効果素子X1A、X1Cは、第1傾斜面10aの面内方向であって、−X方向成分と−Z方向成分とを有する方位c1に固定される。また、磁気抵抗効果素子X2A、X2Cは、第1傾斜面10bの面内方向であって、+X方向成分と−Z方向成分とを有する方位c2に固定される。また、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1Cは、第2傾斜面10cの面内方向であって、+Y方向成分と−Z方向成分とを有する方位d1に固定される。また、磁気抵抗効果素子Y2A、Y2Cは、第2傾斜面10dの面内方向であって、−Y方向成分と−Z方向成分とを有する方位d2に固定される。
一方、区画1aの辺E2の近傍に配される磁気抵抗効果素子X1B、X1D、X2B、X2D、Y1B、Y1D、Y2B、Y2Dは、基板1Wの平坦面に+Z方向に直交する成分を有する外部磁場Hが印加される第1領域ANに属している。したがって、規則化熱処理工程を経た後は、図9に示すように、磁気抵抗効果素子X1B、X1Dは、第1傾斜面10aの面内方向であって、+X方向成分と+Z方向成分とを有する方位c3に固定される。また、磁気抵抗効果素子X2B、X2Dは、第1傾斜面10bの面内方向であって、−X方向成分と+Z方向成分とを有する方位c4に固定される。また、磁気抵抗効果素子Y1B、Y1Dは、第2傾斜面10cの面内方向であって、−Y方向成分と+Z方向成分とを有する方位d3に固定される。また、磁気抵抗効果素子Y2B、Y2Dは、第2傾斜面10dの面内方向であって、+Y方向成分と+Z方向成分とを有する方位d4に固定される。
このように、上記規則化熱処理工程において、基板1Wの平坦面に直交する成分を有する+Z方向、−Z方向の外部磁場Hを印加して、当該直交する成分(±Z方向の成分)に基づいて、基板1Wの平坦面上に形成されたピンド層30bの磁化の方位が固定される。
そして、上記規則化熱処理工程を経て作製された磁気センサ1においては、第1領域ANに配される磁気抵抗効果素子X1B、X2B、X1D、X2D(第1磁気抵抗効果素子)及び磁気抵抗効果素子Y1B、Y2B、Y1D、Y2D(第2磁気抵抗効果素子)は、ピンド層30bの磁化の方位が、少なくとも基板1Wの平坦面に直交する一の方位(+Z方向)を向く成分を有している。また、第2領域ASに配される磁気抵抗効果素子X1A、X2A、X1C、X2C(第1磁気抵抗効果素子)及び磁気抵抗効果素子Y1A、Y2A、Y1C、Y2C(第2磁気抵抗効果素子)は、ピンド層30bの磁化の方位が、少なくとも基板1Wの平坦面に直交する他の方位(−Z方向)を向く成分を有している。
なお、図9には図示していないが、各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dのフリー層30dの磁化の方位は、各々の長手方向に沿う方位となる(図3参照)。
[回路構成]
図10は、第1の実施形態に係る磁気センサの回路構成を説明する図である。
次に、図9に示した各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dにより構成される回路構成について、図10を参照しながら説明する。
本実施形態に係る磁気センサ1の製造工程では、規則化熱処理工程後に行う配線形成ステップにおいて、各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2D等を電気的に接続する配線(例えば、図3に示す配線層31a、31b等)を形成する。具体的には、各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dは、図10(a)〜(d)に示すように配線接続される。ここで、図9に示したように、第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10dは、それぞれ、第1領域AN及び第2領域ASの両方に形成されている。当該配線形成ステップにおいては、第1領域ANに属する各磁気抵抗効果素子、及び、第2領域ASに属する各磁気抵抗効果素子のうち、同一の傾斜面(第1傾斜面10a、10b及び第2傾斜面10c、10d)を有するものを組にしたブリッジ回路を形成する。
例えば、図10(a)に示すように、ブリッジ回路BX1において、磁気抵抗効果素子X1A及び磁気抵抗効果素子X1Bは、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子X1Aの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子X1Bの一端が接地端子Q2と接続される。また、磁気抵抗効果素子X1D及び磁気抵抗効果素子X1Cは、同様に、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子X1Dの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子X1Cの一端が接地端子Q2と接続される。ここで、電源端子Q1、接地端子Q2には図示しない定電圧源の正極、負極がそれぞれ接続され、電源端子Q1には電源電圧Vin+(例えば、3V)が印加され、接地端子Q2には接地電圧Vin−(例えば、0V)が印加される。
また、図10(a)に示すように、ブリッジ回路BX1は、磁気抵抗効果素子X1Aと磁気抵抗効果素子X1Bとの間の電位と、磁気抵抗効果素子X1Dと磁気抵抗効果素子X1Cとの間の電位と、の電位差である出力電圧Vx1を出力する。
各磁気抵抗効果素子X1A〜X1Dのピンド層30b(図3)の磁化の方位c1、c3は、第1傾斜面10aの面内方向であって互いに逆向きに固定されている。また、各磁気抵抗効果素子X1A〜X1Dのフリー層30d(図3)の磁化Mx1の方位は、印加される外部磁場に応じて、第1傾斜面10aの面内方向において変化する。すなわち、ブリッジ回路BX1は、印加される外部磁場のうち+X方向と+Z方向との合成成分に応じて出力電圧Vx1を変化させる。
一方、図10(b)に示すように、ブリッジ回路BX2において、磁気抵抗効果素子X2A及び磁気抵抗効果素子X2Bは、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子X2Aの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子X2Bの一端が接地端子Q2と接続される。また、磁気抵抗効果素子X2D及び磁気抵抗効果素子X2Cは、同様に、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子X2Dの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子X2Cの一端が接地端子Q2と接続される。
また、図10(b)に示すように、ブリッジ回路BX2は、磁気抵抗効果素子X2Aと磁気抵抗効果素子X2Bとの間の電位と、磁気抵抗効果素子X2Dと磁気抵抗効果素子X2Cとの間の電位と、の電位差である出力電圧Vx2を出力する。
各磁気抵抗効果素子X2A〜X2Dのピンド層30b(図3)の磁化の方位c2、c4は、第1傾斜面10bの面内方向であって互いに逆向きに固定されている。また、各磁気抵抗効果素子X2A〜X2Dのフリー層30d(図3)の磁化Mx2の方位は、印加される外部磁場に応じて、第1傾斜面10bの面内方向において変化する。すなわち、ブリッジ回路BX2は、印加される外部磁場のうち+X方向と−Z方向との合成成分に応じて出力電圧Vx2を変化させる。
磁気センサ1は、ブリッジ回路BX1の出力電圧Vx1と、ブリッジ回路BX2の出力電圧Vx2と、を組み合わせることで、印加される外部磁場の±X方向成分及び±Z方向成分を分離して算出することができる。具体的には、外部磁場の±X方向の成分Hxは、下記の式(1)により求めることができる。
Hx=kx(Vx1−Vx2)・・・(1)
ここで、感度係数kxは、出力電圧Vx1、Vx2に対する、外部磁場の±X方向の成分Hx(±X方向の磁界強度)の比例定数である。
また、図10(c)に示すように、ブリッジ回路BY1において、磁気抵抗効果素子Y1A及び磁気抵抗効果素子Y1Bは、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子Y1Aの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子Y1Bの一端が接地端子Q2と接続される。また、磁気抵抗効果素子Y1D及び磁気抵抗効果素子Y1Cは、同様に、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子Y1Dの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子Y1Cの一端が接地端子Q2と接続される。
また、図10(c)に示すように、ブリッジ回路BY1は、磁気抵抗効果素子Y1Aと磁気抵抗効果素子Y1Bとの間の電位と、磁気抵抗効果素子Y1Dと磁気抵抗効果素子Y1Cとの間の電位と、の電位差である出力電圧Vy1を出力する。
各磁気抵抗効果素子Y1A〜Y1Dのピンド層30b(図3)の磁化の方位d1、d3は、第2傾斜面10cの面内方向であって互いに逆向きに固定されている。また、各磁気抵抗効果素子Y1A〜Y1Dのフリー層30d(図3)の磁化My1の方位は、印加される外部磁場に応じて、第2傾斜面10cの面内方向において変化する。すなわち、ブリッジ回路BY1は、印加される外部磁場のうち+Y方向と−Z方向との合成成分に応じて出力電圧Vy1を変化させる。
同様に、図10(d)に示すように、ブリッジ回路BY2において、磁気抵抗効果素子Y2A及び磁気抵抗効果素子Y2Bは、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子Y2Aの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子Y2Bの一端が接地端子Q2と接続される。また、磁気抵抗効果素子Y2D及び磁気抵抗効果素子Y2Cは、同様に、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子Y2Dの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子Y2Cの一端が接地端子Q2と接続される。
また、図10(d)に示すように、ブリッジ回路BY2は、磁気抵抗効果素子Y2Aと磁気抵抗効果素子Y2Bとの間の電位と、磁気抵抗効果素子Y2Dと磁気抵抗効果素子Y2Cとの間の電位と、の電位差である出力電圧Vy2を出力する。
各磁気抵抗効果素子Y2A〜Y2Dのピンド層30b(図3)の磁化の方位d2、d4は、第2傾斜面10dの面内方向であって互いに逆向きに固定されている。また、各磁気抵抗効果素子Y2A〜Y2Dのフリー層30d(図3)の磁化My2の方位は、印加される外部磁場に応じて、第2傾斜面10dの面内方向において変化する。すなわち、ブリッジ回路BY2は、印加される外部磁場のうち+Y方向と+Z方向との合成成分に応じて出力電圧Vy2を変化させる。
磁気センサ1は、ブリッジ回路BY1の出力電圧Vy1と、ブリッジ回路BY2の出力電圧Vy2と、を組み合わせることで、印加される外部磁場の±Y方向成分及び±Z方向成分を分離して算出することができる。具体的には、外部磁場の±Y方向の成分Hyは、下記の式(2)により求めることができる。
Hy=ky(Vy1+Vy2)・・・(2)
ここで、感度係数kyは、出力電圧Vy1、Vy2に対する、外部磁場の±Y方向の成分Hy(±Y方向の磁界強度)の比例定数である。
さらに、外部磁場の±Z方向の成分Hzは、下記の式(3)により求めることができる。
Hz=kz(Vy1−Vy2)・・・(3)
ここで、感度係数kzは、出力電圧Vy1、Vy2に対する、外部磁場の±Z方向の成分Hz(±Z方向の磁界強度)の比例定数である。
なお、磁気センサ1は、別途、各ブリッジ回路BX1、BX2、BY1、BY2の出力電圧Vx1、Vx2、Vy1、Vy2を入力し、外部磁場の各方向成分(Hx、Hy、Hz)を算出する磁界強度演算部を備えている。この場合、当該磁界強度演算部は、例えば、A/D変換回路を介して出力電圧Vx1を入力し、サンプリング値SVx1を取得するステップを実行した後、同様に、A/D変換回路を介して出力電圧Vx2、Vy1、Vy2を順次入力し、サンプリング値SVx2、SVy1、SVy2を取得するステップを実行するものとしてもよい。その後、磁界強度演算部は、取得したサンプリング値SVx1〜SVy2に基づいて、式(1)〜(3)の演算を行い、外部磁場の各方向成分(Hx、Hy、Hz)を算出する。
この場合、各ブリッジ回路BX1、BX2、BY1、BY2は、各々の出力電圧Vx1、Vx2、Vy1、Vy2を増幅する増幅器(出力アンプ)を介して上記磁界強度演算部(A/D変換回路)に出力してもよい。
[作用効果]
図11は、第1の実施形態の対比例に係る磁気センサの製造方法を説明する第1の図である。また、図12は、第1の実施形態の対比例に係る磁気センサの製造方法を説明する第2の図である。
次に、上述した磁気センサ1の製造方法の作用効果について、図11、図12に示す対比例と比較しながら説明する。
第1の実施形態の対比例に係る磁気センサ9(図12)は、図11に示すように、基板1Wの平坦面に配列される区画(区画1a’)ごとに形成される。
ここで、当該対比例に係る規則化熱処理工程も、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程と同様に、ピンド層30b等の多層膜が成膜された基板1Wを、予め用意されたマグネットアレイ20に重ね、所定の熱処理を行う(図4参照)。
図11に示すように、マグネットアレイ20’は、基板1Wに対しN極の面(一の極性面)を対向させる第1磁石20N’と、基板1Wに対しS極の面(他の極性面)を対向させる第2磁石20S’と、をマトリクス状に、交互に配列して成る。ただし、第1の実施形態とは異なり、第1磁石20N’及び第2磁石20S’は、基板1Wの平坦面における各区画(区画1a’等)に、一対一に対応するように配列されている。
具体的には、図11に示すように、N極の面を対向させる第1磁石20N’の極性面は、その中心が、基板1Wの平坦面の一区画である区画1a’の中心に重なるように配されている。同様に、S極の面を対向させる第2磁石20S’の極性面は、その中央が、区画1a’の四つの辺に隣接する他の区画の中央に重なるように配されている。したがって、この場合、マグネットアレイ20が生じさせる外部磁場H’は、第1磁石20Nの極性面から出て、その±X方向、±Y方向に配される4つの第2磁石20Sの極性面のそれぞれに向かう。
ここで、図12には、対比例に係る磁気センサ9の構造、及び、各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dのピンド層30b(図12には図示せず)の磁化の方位を示している。
図12に示すように、磁気センサ9は、矩形板状の区画1a’内において、12個の磁気抵抗効果素子X1A、X1B、X1C、X1D、Y1A、Y1B、Y1C、Y1D、Y2A、Y2B、Y2C、Y2Dを備えている。
12個の各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dのうち、磁気抵抗効果素子X1A、X1B、X1C、X1Dは、基板1Wの平坦面上に、±Y方向を長手方向とするように形成されている。また、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1B、Y1C、Y1D、Y2A、Y2B、Y2C、Y2Dは、いずれも基板1Wの平坦面に対し傾斜する傾斜面(第2傾斜面10c、10d)上に形成されている。
具体的には、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1B、Y1C、Y1Dは、−Y方向側から+Y方向側にかけて下降する(−Z方向側に進む)ように傾斜する第2傾斜面10c上に形成される。一方、磁気抵抗効果素子Y2A、Y2B、Y2C、Y2Dは、−Y方向側から+Y方向側にかけて上昇する(+Z方向側に進む)ように傾斜する第2傾斜面10d上に形成される。
また、図12に示すように、磁気抵抗効果素子X1A、X1Cは、区画1a’の−X方向側の辺の中央付近に配され、磁気抵抗効果素子X1B、X1Dは、区画1a’の+X方向側の辺の中央付近に配される。さらに、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1C、Y2B、Y2Dは、区画1a’の+Y方向側の辺の中央付近に配され、磁気抵抗効果素子Y1B、Y1D、Y2A、Y2Cは、区画1a’の−Y方向側の辺の中央付近に配される。
規則化熱処理工程を経た各磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dにおけるピンド層30bの磁化の方位は、マグネットアレイ20により印加される外部磁場H’(図11)の水平成分(基板1Wの平坦面の面内方向成分)の向きに基づいて固定される。
具体的には、区画1a’の−X方向側の辺の中央付近に配される磁気抵抗効果素子X1A、X1Cのピンド層30bの磁化の方位は、−X方向の外部磁場H’(図11)により、−X方向の成分のみを有する方位c1’に固定される。また、区画1a’の+X方向側の辺の中央付近に配される磁気抵抗効果素子X1B、X1Dのピンド層30bの磁化の方位は、+X方向の外部磁場H’(図11)により、+X方向の成分のみを有する方位c2’に固定される。
同様に、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1Cは、+Y方向の外部磁場H’(図11)により、第2傾斜面10cの面内方向であって、+Y方向成分と−Z方向成分とを有する方位d1に固定される。また、磁気抵抗効果素子Y2B、Y2Dは、+Y方向の外部磁場H’により、第2傾斜面10dの面内方向であって、+Y方向成分と+Z方向成分とを有する方位d4に固定される。
さらに、磁気抵抗効果素子Y1B、Y1Dは、−Y方向の外部磁場H’(図11)により、第2傾斜面10cの面内方向であって、−Y方向成分と+Z方向成分とを有する方位d3に固定される。また、磁気抵抗効果素子Y2A、Y2Cは、−Y方向の外部磁場H’により、第2傾斜面10dの面内方向であって、−Y方向成分と−Z方向成分とを有する方位d2に固定される。
対比例に係る磁気センサ9の12個の磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dのうち、磁気抵抗効果素子X1A、X1B、X1C、X1Dの組は、ブリッジ回路を構成するように配線接続される。同様に、磁気抵抗効果素子Y1A、Y1B、Y1C、Y1Dの組、及び、磁気抵抗効果素子Y2A、Y2B、Y2C、Y2Dの組も、同様に、ブリッジ回路を構成するように配線接続される(図10参照)。
対比例に係る磁気センサ9は、以上の構成により、互いに直交する3軸の成分(Hx、Hy、Hz)別に計測可能な3軸磁気センサを成す。
次に、第1の実施形態に係る磁気センサ1と対比例に係る磁気センサ9とを対比しながら、本実施形態に係る磁気センサ1の作用効果について説明する。
まず、第1の実施形態に係る磁気センサ1と、対比例に係る磁気センサ9とでは、各規則化熱処理工程(着磁ステップ)で用いるマグネットアレイ20における第1磁石20N、第2磁石20Sの形状及び配置が異なる。即ち、対比例に係る磁気センサ9の規則化熱処理の場合、微小な矩形状に形成された第1磁石20N、第2磁石20Sが、半導体ウェハ(基板1W)上における区画(区画1a’等)の各々と対応するように配される(図11参照)。これに対し、第1の実施形態に係る磁気センサ1の規則化熱処理によれば、棒状に形成された第1磁石20N、第2磁石20Sが、半導体ウェハ上の面内方向における一の方位(第2方位(±X方向))に並べて配される複数の区画(例えば、区画1a、1b、1c)の各々に対して、当該一の方位に延在するように配される。このようにすることで、当該一の方位に並べて配される複数の区画の各々に対して、当該一の方位に延在する棒磁石を用いてまとめて外部磁場を印加することができ、微小な磁石を複数の区画ごとに対応するように配する必要がなくなる。したがって、規則化熱処理工程における負担を軽減することができる。
また、対比例に係る磁気センサ9の場合、第1磁石20N、第2磁石20Sを微小に加工する必要があるため、その形状や大きさにばらつきが生じやすくなる。また、微小に加工された第1磁石20N、第2磁石20Sをマグネットアレイ20上に配列すべき数も増加するため、配置位置のばらつきも生じやすくなる。このように、第1磁石20N、第2磁石20Sの形状やサイズ、又は、配置位置にばらつきがあると、区画ごとに印加される外部磁場の方位もばらつくことになるため、当該外部磁場に基づいて作製される磁気センサ9のセンサ特性のばらつきも大きくなる。
これに対し、第1の実施形態に係る磁気センサ1の規則化熱処理によれば、棒状に形成された棒磁石(第1磁石20N、第2磁石20S)を互いに平行に配列させることで、当該第1磁石20N、第2磁石20Sの形状が大型化するとともに配列すべき数が減少する。したがって、第1磁石20N、第2磁石20Sの形状や大きさ、配置位置のばらつきを低減させることができる。さらに、第1の実施形態に係る磁気センサ1は、互いに平行に延在する第1磁石20Nと第2磁石20Sとの間に生じる外部磁場であって当該延在方向に直交する方位(±Y方向)のみに生じる外部磁場Hの印加で作製可能である。したがって、異なる二つ方位を有する外部磁場外部磁場H’を印加する必要のある対比例(磁気センサ9)と比較して、印加する外部磁場の方位のばらつきを抑制することができる。
以上より、第1の実施形態に係る磁気センサ1は、対比例に係る磁気センサ9よりも、センサ特性のばらつきを大幅に低減することができる。
また、第1の実施形態に係る磁気センサ1の規則化熱処理によれば、区画1aに含まれる所定の第1領域ANにおいて平坦面に直交する一の方位(+Z方向)の外部磁場Hを印加し、第1領域ANとは異なる第2領域ASにおいて、一の方位(+Z方向)とは逆向き(−Z方向)の外部磁場Hを印加している。
これにより、一区画内において、磁化の方位が互いに逆向きのピンド層を形成できる。したがって、磁化の方位が互いに逆向きのピンド層を有する磁気抵抗効果素子を組み合わせてブリッジ回路を構成することで、小型で、かつ、検出精度の高い磁気センサを作製することができる。
また、第1の実施形態に係る磁気センサ1の規則化熱処理によれば、各区画における第1領域ANに対して一の極性面(N極)を対向させる第1磁石20Nと、第2領域ASに対して他の極性面を対向させる第2磁石20Sと、を同一平面上に配列して外部磁場Hを印加している。
これにより、第1磁石20N及び第2磁石20Sが各区画(区画1a等)に整合するように同一平面上に配列された治具であるマグネットアレイ20を半導体ウェハ(基板1W)に重ねるのみで、平坦面に直交する成分を有する外部磁場Hを印加することができるので、規則化熱処理工程の作業を簡素化することができる。
更に、第1の実施形態に係る磁気センサ1の規則化熱処理によれば、1つの第1磁石20Nは、区画1a、1b、1cと、当該区画1a、1b、1cの一の辺E1を共有して隣接する他の区画1d、1e、1fと、における第1領域ANの各々に対向するように配される(図5参照)。また、1つの第2磁石20Sは、区画1a、1b、1cと、当該区画1a、1b、1cの一の辺E1の反対側の他の辺E2を共有して隣接する区画1g、1h、1iと、における第2領域ASの各々に対向するように配されている(図5参照)。
これにより、単一の棒磁石(第1磁石20N又は第2磁石20S)が、一の辺を共有して隣接する複数の区画1a、1b、・・・のそれぞれに外部磁場をまとめて印加することができる。したがって、一定の第1磁石20N、第2磁石20Sのサイズ及び配列ピッチに対し、区画1a、1b、・・・のサイズを効率的に縮小化することができる。
さらに、第1の実施形態に係る磁気センサ1の成膜ステップにおいては、ピンド層は、半導体ウェハ(基板1W)の平坦面の面内方向における第1方位(±Y方向)に沿って当該平坦面と接するように設けられた第1傾斜面10a、10bと、第1方位と異なる第2方位(±X方向)に沿って当該平坦面と接するように設けられた第2傾斜面10c、10dと、の両方に成膜される。
これにより、磁気センサ1は、平坦面の面内方向において感度方向(外部磁場の強度を主として観測可能な方向)が互いに異なる複数の磁気抵抗効果素子が形成されるため、外部磁場を、異なる複数の方位の成分別に計測可能となる。
また、第1の実施形態に係る磁気センサ1は、矩形板状の本体部(区画1a)と、ピンド層30bを含む多層膜からなる磁気抵抗効果素子であって、第1方位を長手方向とする磁気抵抗効果素子X1A、X1B、X1C、X1D、X2A、X2B、X2C、X2D(第1磁気抵抗効果素子)と、第2方位を長手方向とする磁気抵抗効果素子Y1A、Y1B、Y1C、Y1D、Y2A、Y2B、Y2C、Y2D(第2磁気抵抗効果素子)とを備えている。この磁気センサ1は、区画1aの平坦面を当該区画1aの一辺に沿って二つに分けてなる第1領域AN及び第2領域ASの各々において、第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子の各々が配されていることを特徴とする。
また、第1領域ANに配される磁気抵抗効果素子X1B、X1D、X2B、X2D(第1磁気抵抗効果素子)及び磁気抵抗効果素子Y1B、Y1D、Y2B、Y2D(第2磁気抵抗効果素子)は、ピンド層30bの磁化の方位が、少なくとも基板1Wの平坦面に直交する一の方位(+Z方向)を向く成分を有している。そして、第2領域ASに配される磁気抵抗効果素子X1A、X1C、X2A、X2C(第1磁気抵抗効果素子)及び磁気抵抗効果素子Y1A、Y1C、Y2A、Y2C(第2磁気抵抗効果素子)は、ピンド層30bの磁化の方位が、少なくとも基板1Wの平坦面に直交する他の方位(−Z方位)を向く成分を有している。
このような構成を有する磁気センサ1によれば、その製造工程において、矩形板状の本体部を一つの区画として基板1W上の一の方位(±X方向)に複数並べて配した際に、当該基板1Wの平坦面上において、複数の第1領域AN及び第2領域ASを当該一の方位(±X方向)に繋げて一続きに配することができる。したがって、第1領域AN、第2領域ASの各々に対し、当該一の方位に延在する棒磁石(第1磁石20N、第2磁石20S)を用いてまとめて外部磁場を印加しながら第1磁気抵抗効果素子及び第2磁気抵抗効果素子におけるピンド層30bの磁化の方位を固定することができる。よって、当該磁気センサの製造工程における作業負担を軽減することができる。
図13は、第1の実施形態に係る磁気センサの製造方法の効果を説明する図である。
第1の実施形態に係る磁気センサ1は、その規則化熱処理工程において、区画1aの平坦面を当該区画1aの一辺(辺E1又は辺E2)に沿って二つに分けてなる第1領域AN及び第2領域ASの各々に対し、当該一辺に沿って延在する棒磁石である第1磁石20N及び第2磁石20Sの極性面が対向する(図5、図9等を参照)。
この場合、第1磁石20N及び第2磁石20Sの延在方向(±X方向)における区画1aの全範囲に渡って、当該延在方向に直交する方位(±Y方向、±Z方向)の成分を有する均一な外部磁場Hが印加される。そうすると、磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dは、第1磁石20N及び第2磁石20Sの延在方向における区画1aの何れの位置に配されたとしても、常に同一の外部磁場Hが印加される。つまり、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程によれば、磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dの、第1磁石20N及び第2磁石20Sの延在方向における配置位置の自由度が増す。これにより、磁気センサ1は、当該磁気センサ1の機能を実現するために必要な回路を効率的に配置することができ、本体部(区画1a)のサイズの縮小化を図ることができる。
例えば、第1の実施形態に係る規則化熱処理工程によれば、図13に示すように、16個全ての磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dを、第1磁石20N及び第2磁石20Sの延在方向における一方側(−X方向側)に集めて配置することも可能になる。このようにすることで、磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dを含む各種アナログ回路(出力アンプ、ノイズ除去フィルタ等)と、磁場の強度を示すサンプリング値に対しデジタル処理を行う論理回路と、を異なる2つの領域に集約して配置することができる。即ち、図13に示す磁気センサ1では、磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dを含む各種アナログ回路が、区画1aを第1磁石20N及び第2磁石20Sの延在方向と直交する方位(±Y方向)に分けてなる領域の一方側(アナログ回路領域BA)に集約される。また、上記デジタル処理を行う論理回路が、区画1aを第1磁石20N及び第2磁石20Sの延在方向と直交する方位(±Y方向)に分けてなる領域の他方側(論理回路領域BD)に集約される。
例えば、第1の実施形態において、アナログ回路領域BAと論理回路領域BDとは、区画1aの平坦面を、第1領域AN及び第2領域ASを区画する境界線と直交する直線に沿って二等分して区画される。この場合、磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dは、区画1aの平坦面を二等分してなる2つの領域の一方側にのみ配置される。
なお、他の実施形態において、区画1aの平坦面におけるアナログ回路領域BAと論理回路領域BDの区分けのされ方は、上記態様に限定されない。
以上、第1の実施形態に係る磁気センサ及び磁気センサの製造方法によれば、ピンド層の磁化の方位を固定する工程における負担を軽減することができる。
<他の変形例>
なお、第1の実施形態に係る磁気センサ1の製造方法は、上述の態様に限定されるものではなく、例として、以下のようにも変形可能である。
図14は、第1の実施形態の変形例に係る規則化熱処理工程の概要を説明する図である。
第1の実施形態に係る磁気センサ1の規則化熱処理工程においては、基板1Wの一方側(裏面側)にマグネットアレイ20を重ねるように配置するものとして説明した(図4参照)。しかし、他の実施形態に係る規則化熱処理工程においては、例えば、図14(a)に示すように、基板1Wの他方側(表面側)にも、他のマグネットアレイ40を配置するようにしてもよい。このとき、マグネットアレイ20を構成する各永久磁石(第1磁石20N、第2磁石20S)と、マグネットアレイ40を構成する各永久磁石(第1磁石40N、第2磁石40S)と、の各々が対向する極性面が、互いに異なる極性となるように配されるものとする(図14(a)参照)。
これにより、外部磁場Hの各方向成分のうち、平坦面に直交する成分が他の方向成分に対して強まるので、固定されるピンド層30b(図3)の磁化の方位の精度を高めることができる。
なお、マグネットアレイ40の代わりに、図14(b)に示すヨーク50を配置することによっても、図14(a)の場合と同様の効果を得ることができる。ここで、ヨーク50は、例えば、鉄等の軟磁性体の材料からなる。具体的には、軟磁性体であるヨーク50は、マグネットアレイ20の第1磁石20N、第2磁石20Sの各々と対向することで、当該対向する部分が、各々対向する極性と逆の極性に変化する。これにより、実質的には、基板1Wは、図14(a)に示すように、マグネットアレイ20と、マグネットアレイ40と、に挟まれる状態と等価となる。したがって、基板1Wの平坦面に直交する成分を主とする外部磁場Hを印加することができ、固定されるピンド層30b(図3)の磁化の方位の精度を高めることができる。
以上のように、マグネットアレイ20の第1磁石20N及び第2磁石20Sのそれぞれと、基板1Wの平坦面を挟むように磁性体を配することで、基板1Wの平坦面に直交する成分以外の他の方向成分が除外された外部磁場を印加することができる。したがって、固定されるピンド層30b(図3)の磁化の方位の精度を一層高めることができる。
また、図5に示したマグネットアレイ20の配置は一例であってこれには限定されず、第1磁石20N及び第2磁石20Sは、平坦面上に形成されたピンド層30bに対し、当該平坦面に直交する成分(±Z方向成分)を有する外部磁場を印加可能なように配されていれば如何なる配置であってもよい。ただし、この場合、磁気抵抗効果素子を成すピンド層は、その磁化の方位が当該平坦面に直交する成分に基づいて固定されるように、平坦面に対し傾斜して配されるものとする。
図15は、第1の実施形態の他の変形例に係る規則化熱処理工程の概要を説明する図である。
第1の実施形態に係る磁気センサ1は、測定対象とする外部磁場の±X方向の成分Hxを求めるにあたり、2つのブリッジ回路BX1、BX2の各々の出力電圧Vx1、Vx2を組み合わせて算出するものとして説明した。しかし、他の実施形態に係る磁気センサ1は、この態様に限定されない。例えば、本実施形態に係る磁気センサ1は、図15に示す単一のブリッジ回路BX1’の出力電圧Vx1’に基づいて、測定対象とする外部磁場の±X方向の成分Hxを算出してもよい。
具体的には、図15に示すように、ブリッジ回路BX1’においては、磁気抵抗効果素子X1B及び磁気抵抗効果素子X2Bが、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子X1Bの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子X2Bの一端が接地端子Q2と接続される。また、同様に、磁気抵抗効果素子X2D及び磁気抵抗効果素子X1Dが、電源端子Q1と接地端子Q2との間に直列に接続される。このとき、磁気抵抗効果素子X2Dの一端が電源端子Q1と接続され、磁気抵抗効果素子X1Dの一端が接地端子Q2と接続される。
また、図15に示すように、ブリッジ回路BX1’は、磁気抵抗効果素子X1Bと磁気抵抗効果素子X2Bとの間の電位と、磁気抵抗効果素子X1Dと磁気抵抗効果素子X2Dとの間の電位と、の電位差である出力電圧Vx1’を出力する。
各磁気抵抗効果素子X1B、X1Dのピンド層30b(図3)の磁化の方位c3と、磁気抵抗効果素子X2B、X2Dのピンド層30bの磁化の方位c4とは、水平成分(±X方向成分)が互いに逆向きである。これに対し、各磁気抵抗効果素子X1B〜X2Dのフリー層30d(図3)の磁化Mxの方位は、第1傾斜面10a、10bの各々の面内方向に変化可能であるため、印加される外部磁場の±X方向の成分Hxに基づいてその方位が変化する。
そうすると、例えば、測定対象とする外部磁場の成分Hxが+X方向であった場合、フリー層30dの磁化Mxの方位が+X方向側に傾くため、磁気抵抗効果素子X1B,X1Dの抵抗値は減少し、磁気抵抗効果素子X2B、X2Dの抵抗値は増加する。これにより、出力電圧Vx1’が、+X方向の外部磁場の成分Hxに応じてプラス側に変化する。一方、測定対象とする外部磁場の成分Hxが−X方向であった場合、フリー層30dの磁化Mxの方位が−X方向側に傾くため、磁気抵抗効果素子X1B、X1Dの抵抗値は増加し、磁気抵抗効果素子X2B、X2Dの抵抗値は減少する。これにより、出力電圧Vx1’が、−X方向の外部磁場の成分Hxに応じてマイナス側に変化する。
また、各磁気抵抗効果素子X1B、X1Dのピンド層30b(図3)の磁化の方位c3と、磁気抵抗効果素子X2B、X2Dのピンド層30bの磁化の方位c4とは、垂直成分(±Z方向成分)の向きが+Z方向と同一である。これに対し、各磁気抵抗効果素子X1B〜X2Dのフリー層30d(図3)の磁化Mxの方位は、第1傾斜面10a、10bの各々の面内方向に変化可能であるため、印加される外部磁場の±Z方向の成分Hzに基づいてその方位が変化する。
そうすると、例えば、測定対象とする外部磁場の成分Hzが+Z方向であった場合、フリー層30dの磁化Mxの方位が+Z方向側に傾くため、磁気抵抗効果素子X1B、X1D、X2B、X2Dの抵抗値は全て減少する。これにより、出力電圧Vx1’は、+Z方向の外部磁場の成分Hxによっては変化しない。一方、測定対象とする外部磁場の成分Hzが−Z方向であった場合、フリー層30dの磁化Mxの方位が−Z方向側に傾くため、磁気抵抗効果素子X1B、X1D、X2B、X2Dの抵抗値は全て増加する。これにより、出力電圧Vx1’は、−Z方向の外部磁場の成分Hxによっても変化しない。
以上より、ブリッジ回路BX1’は、測定対象とする外部磁場の水平成分の第2方位(±X方向)のみに感度方向を有する磁気センサとして機能する。
磁気センサ1は、ブリッジ回路BX1’の出力電圧Vx1’から、印加される外部磁場の±X方向の成分Hxを算出することができる。具体的には、外部磁場の±X方向の成分Hxは、下記の式(1)により求めることができる。
Hx=kx’・Vx1’・・・(1)
ここで、感度係数kx’は、出力電圧Vx1’に対する、外部磁場の±X方向の成分Hx(±X方向の磁界強度)の比例定数である。
このように、他の実施形態に係る磁気センサ1は、4個の磁気抵抗効果素子X1B、X1D、X2B、X2Dからなるブリッジ回路BX1’を用いて、測定対象とする外部磁場の±X方向の成分Hxを取得するものとしてもよい。
このようにすることで、4個の磁気抵抗効果素子のみで成分Hxを検出することができるので、磁気センサ1に搭載すべき磁気抵抗効果素子の数を減らすことができ、回路面積の縮小を図ることができる。
また、第1の実施形態においては、磁化の方位が互いに異なる磁気抵抗効果素子を組み合わせてブリッジ回路を構成するものとしたが、他の実施形態に係る磁気センサにおいては、必ずしもブリッジ回路が構成されなくともよい。例えば、各ブリッジ回路BX1、BX2、BY1、BY2(図10)を構成する4つの組の磁気抵抗効果素子の一部を、既知の抵抗値を有する抵抗素子に置き換えてブリッジ回路を構成してもよい。
このようにすることで、磁気センサ1を構成する磁気抵抗効果素子の数を減らすことができるので、磁気センサ1の一層の小型化を図ることができる。
また、「第1磁石20Nが第1領域ANに対して一の極性面(N極の面)を対向させる」との文言は、当該一の極性面を基板1Wの磁気抵抗効果素子X1A〜Y2Dが形成される平坦面側から対向させる場合と、基板1Wの当該平坦面とは異なる裏面側から対向させる場合と、の両方を含むものとする。「第2磁石20Sが第2領域ASに対して他の極性面(S極の面)を対向させる」との文言も同様とする。
また、第1の実施形態に係る磁界強度演算部は、当該機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより実現される態様であってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
1…磁気センサ、1W…基板、1a、1b、1c、1d,1e、1f、1g、1h、1i…区画(本体部)、10…溝部、10a、10b…第1傾斜面、10c、10d…第2傾斜面、20、20’、40…マグネットアレイ、20N、20N’、40N…第1磁石、20S、20S’、40S…第2磁石、30a…ピニング層、30b…ピンド層、30c…スペーサ層、30d…フリー層、31a、31b…配線層、50…ヨーク、X1A、X1B、X1C、X1D、X2A、X2B、X2C、X2D、Y1A、Y1B、Y1C、Y1D、Y2A、Y2B、Y2C、Y2D…磁気抵抗効果素子、BX1、BX2、BY1、BY2、BX1’…ブリッジ回路、9…磁気センサ、AN…第1領域、AS…第2領域

Claims (9)

  1. 基板の平坦面上に並べて配される複数の区画ごとに設けられた傾斜面上に、少なくともピンド層を含んで磁気抵抗効果素子をなす多層膜を成膜する成膜ステップと、
    複数の前記区画の各々に対し、前記基板の平坦面に直交する成分を有する外部磁場を印加して、当該直交する成分に基づいて前記ピンド層の磁化の方位を固定する着磁ステップと、
    を有し、
    前記着磁ステップにおいて、一の方位に並べて配される複数の前記区画の各々に対して、当該一の方位に延在する棒磁石を用いて前記外部磁場を印加する
    ことを特徴とする磁気センサの製造方法。
  2. 前記着磁ステップにおいて、
    前記区画に含まれる所定の第1領域において前記平坦面に直交する一の方位の成分を有する外部磁場を印加し、当該区画に含まれる所定の領域であって前記第1領域とは異なる第2領域において、前記平坦面に直交する方位であって前記一の方位とは逆向きの成分を有する外部磁場を印加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気センサの製造方法。
  3. 前記着磁ステップにおいて、
    前記棒磁石であって前記第1領域に対して一の極性面を対向させる第1磁石と、前記棒磁石であって前記第2領域に対して他の極性面を対向させる第2磁石と、を同一平面上に配列して前記外部磁場を印加する
    ことを特徴とする請求項2に記載の磁気センサの製造方法。
  4. 前記着磁ステップにおいて、
    1つの前記第1磁石は、矩形状の前記区画の一の辺を共有して隣接する前記第1領域の各々に対向するように配されるとともに、1つの前記第2磁石は、前記区画のうち前記一の辺の反対側の他の辺を共有して隣接する前記第2領域の各々に対向するように配される
    ことを特徴とする請求項3に記載の磁気センサの製造方法。
  5. 前記着磁ステップにおいて、
    前記第1磁石及び前記第2磁石のそれぞれと、前記基板の平坦面を挟むように磁性体を配する
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の磁気センサの製造方法。
  6. 前記成膜ステップにおいて、
    前記ピンド層は、前記平坦面の面内方向における第1方位に沿って当該平坦面と接するように設けられた第1傾斜面と、前記第1方位と異なる第2方位に沿って当該平坦面と接するように設けられた第2傾斜面と、の両方に成膜されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に磁気センサの製造方法。
  7. 矩形板状の本体部と、
    少なくともピンド層を含み、前記本体部の平坦面の面内方向における第1方位に沿って設けられた第1傾斜面の傾斜面上に、当該第1方位を長手方向として形成された第1磁気抵抗効果素子と、
    少なくともピンド層を含み、前記本体部の平坦面の面内方向における方位であって前記第1方位と異なる第2方位に沿って設けられた第2傾斜面の傾斜面上に、当該第2方位を長手方向として形成された第2磁気抵抗効果素子と、
    を備え、
    前記本体部の平坦面を当該本体部の一辺に沿って二つに分けてなる第1領域及び第2領域の各々において、前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子の各々が配されている
    ことを特徴とする磁気センサ。
  8. 前記第1領域に配される前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子は、前記ピンド層の磁化の方位が、少なくとも前記平坦面に直交する一の方位を向く成分を有し、
    前記第2領域に配される前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子は、前記ピンド層の磁化の方位が、少なくとも前記平坦面に直交する他の方位を向く成分を有している
    ことを特徴とする請求項7に記載の磁気センサ。
  9. 前記第1磁気抵抗効果素子及び前記第2磁気抵抗効果素子は、前記本体部の平坦面を、前記第1領域及び前記第2領域を区画する境界線と直交するように二等分してなる2つの領域の一方側に配置される
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の磁気センサ。
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