JP2016071985A - 燃料電池の膜電極接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力維持性能に優れた燃料電池の膜電極接合体を提供する。
【解決手段】燃料電池用膜電極接合体11は、少なくとも一方の主面に凹凸部2が設けられた高分子電解質膜111と、高分子電解質膜111の両主面にそれぞれ設けられ、イオン伝導性を有する高分子物質を含む触媒層112、113と、を備え、触媒層112、113は、凹凸部2の表面に設けられ、高分子電解質膜111とは反対側の外側主面に設けられた溝部3を有する第1の触媒層1121、1131と、溝部3を埋めるように第1の触媒層の表面に設けられ、前記高分子物質の含有率が第1の触媒層1121、1131よりも低い第2の触媒層1122、1132と、を含んでいる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池の膜電極接合体に関するものである。
ダイレクトメタノール型燃料電池において、膜電極接合体のアノード触媒層のアノード拡散層と対向する表面に面積率が5〜30%の溝を形成し、燃料拡散性を高めることで燃料電池の出力維持性能を高めるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2008−276985号公報
しかしながら、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、 PEFC)には更なる出力維持性能の向上が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、出力維持性能に優れた燃料電池の膜電極接合体を提供することである。
[1]本発明に係る燃料電池用膜電極接合体は、少なくとも一方の主面に凹凸部が設けられた高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両主面にそれぞれ設けられ、イオン伝導性を有する高分子物質を含む触媒層と、を備え、前記触媒層は、前記凹凸部の表面に設けられ、前記高分子電解質膜とは反対側の外側主面に設けられた溝部を有する第1の触媒層と、前記溝部を埋めるように前記第1の触媒層の表面に設けられ、前記高分子の含有率が前記第1の触媒層よりも低い第2の触媒層と、を含むことを特徴とする。
[2]上記発明において、前記第2の触媒層の前記高分子物質の含有率は、前記第1の触媒層の前記高分子物質の含有率の50%以上90%以下であることが好ましい。
[3]上記発明において、前記第2の触媒層の厚さは、前記第1の触媒層の厚さの50%以下であることが好ましい。
[4]上記発明において、前記外側主面に占める前記溝部の面積率は、10%以下であることが好ましい。
本発明によれば、高分子電解質膜に設けられた凹凸部によって高分子電解質膜と触媒層との接触面積が増加するのでプロトン伝導性を向上することができる。また、触媒層に設けられた溝部によって当該凹凸部に燃料物質を効率的に供給することができる。さらに、第1の触媒層は溝部を有するので触媒の脱落や燃料のクロスオーバが生じ易い状況となるが、その表面に第2の触媒層を設けているので、これらの不具合による性能低下を補うことができる。しかも、第2の触媒層に含まれるイオン伝導性を有する高分子物質の含有率が第1の触媒層に含まれるイオン伝導性を有する高分子物質の含有率に比べて低いことから、第2の触媒層における空隙度が高くなるので、燃料物質が第2の触媒層を通過し易くなり、その結果、第1の触媒層の表面に第2の触媒層を設けても、燃料物質を第1の触媒層に効率的に供給することができる。以上のことから、出力維持性能に優れた燃料電池の膜電極接合体を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態における燃料電池の膜電極接合体を示す断面図である。 図2は、図1の膜電極接合体から触媒層及びガス拡散層を除去した高分子電解質膜の一面を示す斜視図である。 図3は、図1の膜電極接合体からガス拡散層及び第2の触媒層を除去した第1の触媒層の一面を示す斜視図である。 図4は、図2の高分子電解質膜の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 図5は、図1の膜電極接合体を適用した燃料電池の一例を示す断面図である。 図6は、図1の膜電極接合体を示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。最初に図5を参照して、本発明の膜電極接合体(MEA:Membrane-electrode assembly)11を適用した燃料電池1の一例の構成を説明したのち、図1〜図4を参照して、本発明に係る膜電極接合体11の特徴的な構成を説明する。なお、図5に示す膜電極接合体11は、凹凸部2及び溝部3の図示を省略したものであり、実際には図1〜図4に示すとおり凹凸部2及び溝部3を有するものである。
図5に示す本発明の膜電極接合体11を適用した燃料電池1は、メタノールを燃料として発電するダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)であり、膜電極接合体11と、膜電極接合体11を挟む板状のアノードセパレータ14およびカソードセパレータ15と、アノードセパレータ14の外側の表面に設けられたアノード集電体12及びカソードセパレータ15の外側の表面に設けられたカソード集電体13と、アノードセパレータ14の内側に設けられたガスケット18及びカソードセパレータ15の内側に設けられたガスケット19と、を備える。なお、図5は単電池の構成を示すが、要求起電力に応じてこの単電池を複数積層した燃料電池を構成してもよい。
本例の膜電極接合体11は、水素イオン(陽イオン)伝導性を有する高分子電解質膜111と、アノード触媒層112と、カソード触媒層113と、アノードガス拡散層114と、カソードガス拡散層115とを含んで構成されている。アノード触媒層112は、第1のアノード触媒層1121及び第2のアノード触媒層1122から構成されている。カソード触媒層113は、第1のカソード触媒層1131及び第2のカソード触媒層1132から構成されている。アノード触媒層112とアノードガス拡散層114がアノード(燃料極)を構成し、カソード触媒層113とカソードガス拡散層115がカソード(空気極)を構成する。
なお以下において、第1のアノード触媒層1121及び第2のアノード触媒層1122を総称する場合は単にアノード触媒層112ともいい、第1のカソード触媒層1131及び第2のカソード触媒層1132を総称する場合は単にカソード触媒層113ともいう。またアノード触媒層112及びカソード触媒層113を総称する場合は単に触媒層112、113ともいい、アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115を総称する場合は単にガス拡散層114、115ともいう。
高分子電解質膜111と、その表面及び裏面にそれぞれ積層されるアノード触媒層112及びカソード触媒層113と、さらにその表面及び裏面にそれぞれ積層されるアノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115は、矩形、円形、楕円形、多角形など燃料電池1の外形形状に応じた適宜の形状とされる。特に限定されないが、一般的にはアノード触媒層112及びカソード触媒層113の外縁は、高分子電解質膜111の外縁より小さい外縁を有し、アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115の外縁は、それぞれアノード触媒層112及びカソード触媒層113の各外縁形状とほぼ同じ外縁形状とされる。
高分子電解質膜111としては、特に限定されるものではなく、通常の高分子電解質型燃料電池に搭載される、固体高分子電解質膜などの高分子電解質膜を使用することができる。具体的には、例えば、米国DuPont社製のNafion(商品名、登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(商品名、登録商標)、旭硝子(株)社製のFlemion(商品名、登録商標)などのパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜を使用することができる。高分子電解質膜111の厚さは特に限定されないが、通常25〜250μmである。
アノード触媒層112を構成する第1及び第2のアノード触媒層1121、1122およびカソード触媒層113を構成する第1及び第2のカソード触媒層1131、1132は、例えば白金系の金属触媒などの電極触媒と、当該電極触媒を担持する導電性炭素粒子(カーボン粉末)と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とで構成されている。これらアノード触媒層112およびカソード触媒層113の厚さは特に限定されないが、通常5〜50μmである。
アノード触媒層112を構成する第1及び第2のアノード触媒層1121、1122およびカソード触媒層113を構成する第1及び第2のカソード触媒層1131、1132における担体である導電性炭素粒子としては、導電性を有する細孔の発達したカーボン材料を用いるのが好ましく、例えばカーボンブラック、活性炭、カーボンファイバーおよびカーボンチューブなどを使用することができる。カーボンブラックとしては、例えばチャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックおよびアセチレンブラックなどが挙げられる。また、活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化処理および賦活処理することによって得ることができる。
アノード触媒層112を構成する第1及び第2のアノード触媒層1121、1122、及びカソード触媒層113を構成する第1及び第2のカソード触媒層1131、1132における電極触媒としては、特に限定されないが白金または白金合金を用いるのが好ましい。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズからなる群より選択される1種以上の金属と、白金との合金であるのが好ましい。
特にアノード触媒層112にあっては、中間生成物である一酸化炭素が白金触媒を被毒する問題があるため、耐一酸化炭素被毒性を有するルテニウムなどを含むことが望ましい。また、上記白金合金には、白金と上記金属との金属間化合物が含有されていてもよい。さらに、白金からなる電極触媒と白金合金からなる電極触媒を混合して得られる電極触媒混合物を用いてもよい。
なお、第2のアノード触媒層1122は電極触媒を含むことが好ましいが、第2のアノード触媒層1122が必ずしも電極触媒を含有していなくてもよい。同様に、第2のカソード触媒層1132は電極触媒を含むことが好ましいが、第2のカソード触媒層1132が必ずしも電極触媒を含有していなくてもよい。
アノード触媒層112およびカソード触媒層113に含有されて、上記触媒担持粒子に付着させる上記水素イオン伝導性を有する高分子電解質としては、高分子電解質膜111を構成するものと同じ高分子電解質、たとえばイオノマー(ionomer)を用いることができる。アノード触媒層112およびカソード触媒層113ならびに高分子電解質膜111を構成する高分子電解質は、同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。例えば、上述した米国DuPont社製のNafion(商品名、登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(商品名、登録商標)、旭硝子(株)社製のFlemion(商品名、登録商標)などを使用することができる。
イオノマーなどの高分子電解質は、触媒担持粒子を被覆して3次元に水素イオン伝導経路を確保するために、第1のアノード触媒層1121及び第1のカソード触媒層1131を構成する触媒担持粒子の質量に比例した量で含まれていることが好ましい。
本実施形態において、第2のアノード触媒層1122における高分子電解質の含有率を、第1のアノード触媒層1121における当該含有率よりも低くする。従って、第2のアノード触媒層1122において、電極触媒及びその担体である導電性炭素粒子の含有率は、第1のアノード触媒層1121に比べて相対的に高くなっている。第1のアノード触媒層1121には、後述するように溝部3が設けられるが、溝部3を設けることにより触媒の脱落が生じ易くなり耐久性能が低下したり、溝部3の深さ又は広さが大きすぎると燃料のクロスオーバが生じ易くなる。第2のアノード触媒層1122は、主として、第1のアノード触媒層1121に溝部3を設けたことによるこうした不具合を補う機能を奏するために設けられた触媒層である。
これに対して、第1のアノード触媒層1121は、主として本来のアノード触媒としての反応機能を奏するために設けられた触媒層である。したがって、第2のアノード触媒層1122に含まれるイオノマーなどの高分子電解質の含有量を相対的に少なくすることで、第2のアノード触媒層1122においては、電極触媒及び導電性炭素粒子の間の空隙度が高くなることになる。その結果、燃料物質が第2のアノード触媒層1122を円滑に通過して第1のアノード触媒層1121に達することになる。
なお、第2のアノード触媒層1122におけるイオノマーなどの高分子電解質の含有率は、第2のアノード触媒層1122におけるプロトン移動抵抗の増大を抑制する観点から、第1のアノード触媒層1121における高分子電解質の含有率の50%以上であることが好ましい。また、第2のアノード触媒層1122における高分子電解質の含有率は、第1のアノード触媒層1121に対して空隙度を高くして燃料物質を効率的に供給する観点から、第1のアノード触媒層1121における高分子電解質の含有率の90%以下であることが好ましい。
同様に、第2のカソード触媒層1132における高分子電解質の含有率を、第1のカソード触媒層1131における当該含有率よりも低くする。従って、第2のカソード触媒層1132において、電極触媒及びその担体である導電性炭素粒子の含有率は、第1のカソード触媒層1131に比べて相対的に高くなっている。上述したアノード触媒層112と同様に、第1のカソード触媒層1131には、後述するように溝部3が設けられるが、溝部3を設けることにより触媒の脱落が生じ易くなり耐久性能が低下したり、溝部3の深さ又は広さが大きすぎると燃料のクロスオーバが生じ易くなる。第2のカソード触媒層1132は、主として、第1のカソード触媒層1131に溝部3を設けたことによるこうした不具合を補う機能を奏するために設けられた触媒層である。
これに対して、第1のカソード触媒層1131は、主として本来のカソード触媒としての反応機能を奏するために設けられた触媒層である。したがって、第2のカソード触媒層1132に含まれるイオノマーなどの高分子電解質の含有量を相対的に少なくすることで、第2のカソード触媒層1132においては、電極触媒及び導電性炭素粒子の間の空隙度が高くなることになる。その結果、燃料物質が第2のカソード触媒層1132を円滑に通過して第1のカソード触媒層1131に達することになる。なお、第2のカソード触媒層1132におけるイオノマーなどの高分子電解質の含有率も、第2のアノード触媒層1122と同様の理由により、第1のカソード触媒層1131における高分子電解質の含有率の50%以上90%以下であることが好ましい。
カソード触媒層113の第1のカソード触媒層1131に含まれる高分子電解質の質量は、当該第1のカソード触媒層1131の質量に対して15%〜50%であることが望ましい。パーフルオロカーボンスルホン酸などのイオノマーからなる高分子電解質の質量が15%以上であると、十分な水素イオン伝導性が確保でき、50%以下であると、フラッディングの回避が可能であり、より高い電池出力を実現することができる。
本実施形態における第1のアノード触媒層1121及び第1のカソード触媒層1131が本発明の第1の触媒層の一例に相当し、本実施形態における第2のアノード触媒層1122及び第2のカソード触媒層1132が本発明の第2の触媒層の一例に相当し、イオノマーなどの高分子電解質が本発明のイオン伝導性を有する高分子物質の一例に相当する。
アノードガス拡散層114およびカソードガス拡散層115は、それぞれアノード触媒層112の上側およびカソード触媒層113の下側にそれぞれ配置される。アノードガス拡散層114およびカソードガス拡散層115は、アノードセパレータ14およびカソードセパレータ15のアノード流路16及びカソード流路17から流入したメタノールや酸素(空気)をアノード触媒層112およびカソード触媒層113に効率よく導く機能と導電性があれば特に限定されず、当該分野において公知の種々のガス拡散層を用いることができる。
アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115を構成する基材としては、ガス透過性を持たせるために、発達したストラクチャー構造を有するカーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどを用いて作製された、導電性多孔質基材を用いることができる。また、排水性を向上させるために、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂を代表とする撥水性材料(高分子)を上記基材の内部に分散させて、上記基材は撥水処理を施してもよい。さらに、電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維またはカーボン微粉末などの電子伝導性材料で上記基材を構成してもよい。なお、カソード側およびアノード側において同じガス拡散層を用いても異なるガス拡散層を用いてもよい。アノードガス拡散層114およびカソードガス拡散層115の厚さは特に限定されないが、通常100〜500μmである。
膜電極接合体11は、図5に示すように高分子電解質膜111の機械的強度を高めて膨張・収縮を抑制するために、高分子電解質膜111の上面及び下面の外縁部のそれぞれに額縁状の補強層116A、116Bを設けてもよい。この補強層116A、116Bは、所望の剛性を有する材料であれば特に限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などからなるフィルムを用いることができる。
一対のアノードセパレータ14およびカソードセパレータ15は、膜電極接合体11の外形形状に応じた適宜の外形形状とされ、膜電極接合体11の外側に配置されて、膜電極接合体11を機械的に固定するための導電性を有する部材である。アノードセパレータ14のうちの膜電極接合体11と接触する面には、アノードに燃料であるメタノールを供給し、電極反応生成物、未反応のメタノールを含む物質を反応場から外部に運び去るためのアノード流路16が形成されている。同様に、カソードセパレータ15のうちの膜電極接合体11と接触する面には、カソードに酸素(空気)を供給し、電極反応生成物、未反応のメタノールを含む物質を反応場から外部に運び去るためのカソード流路17が形成されている。
こうしたアノード流路16およびカソード流路17は、平面視の図示は省略するが、それぞれアノードセパレータ14およびカソードセパレータ15の表面に常法により溝を設けることによって形成されている。特に制限されるものではないが、アノード流路16およびカソード流路17は、例えば複数の直線状溝部と、隣接する直線状溝部を上流から下流へと連結する複数のターン状溝部とで構成されたサーペンタイン形状を有する。
ガスケット18、19は、アノードセパレータ14及びカソードセパレータ15の外形形状に応じた形状とされ、枠状(額縁状)又は環状であり、単電池に供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスの外部へのリーク防止や混合を防止するため、それぞれアノードおよびカソード(特にアノードガス拡散層114およびカソードガス拡散層115)の周囲に配置される。このようなガスケット18、19としては、ゴムなどの当該分野で公知のものを用いることができる。
アノード集電体12及びカソード集電体13としては、導電性を有する、たとえば厚さ1〜3mmの金属板(銅板など)に3〜4μmの金コーティングが施されたものを用いることができる。アノード集電体12は導電性を有するアノードセパレータ14の外側の表面に設けられ、カソード集電体13は導電性を有するカソードセパレータ15の外側の表面に設けられる。なお、燃料電池1の組立完成状態において、アノード集電体12は電力負荷の陰極(マイナス)に接続され、カソード集電体13は電力負荷の陽極(プラス)に接続されて燃料電池1からの電力が電力負荷に供給される。
以上のように構成された燃料電池1において、図5に示すように上述したアノードセパレータ14のアノード流路16入口にメタノールを供給し、カソードセパレータ15のカソード流路17の入口に空気を供給すると、アノードにおいては、
[数1] CHOH+HO→CO+6H+6e
という酸化反応が生じ、カソードにおいては、
[数2] 3/2O+6H+6e→3H
という還元反応が生じる。これによりアノードとカソードとの間に電流が流れることになる。
次に、上述した膜電極接合体11の詳細な構成を説明する。図1は本実施形態の膜電極接合体11の主要断面図、図2は図1の膜電極接合体11から触媒層112、113及びガス拡散層114、115を除去した高分子電解質膜111の一面を示す斜視図、図3は同じく図1の膜電極接合体11からアノードガス拡散層114及び第2のアノード触媒層1122を除去した第1のアノード触媒層1121の一面を示す斜視図、図4は本例の高分子電解質膜111の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
上述したとおり、本例の膜電極接合体11は、高分子電解質膜111と、この高分子電解質膜111の両主面にそれぞれ設けられた触媒層112、113と、を含んでいる。そして、図1に示すように、高分子電解質膜111の両主面に凹凸部2が設けられ、さらにこの凹凸部2の表面に設けられた第1のアノード触媒層1121のガス拡散層114側(すなわち高分子電解質膜111とは反対側)の主面に溝部3が設けられている。同様に、凹凸部2の表面に設けられた第1のカソード触媒層1131のガス拡散層115側(すなわち高分子電解質膜111とは反対側)の主面に溝部3が設けられている。ただし、凹凸部2は高分子電解質膜111のアノード側又はカソード側のいずれか一方の主面のみに設けてもよく、溝部3も第1のアノード触媒層1121又は第1のカソード触媒層1131のいずれか一方にのみ設けてもよい。
なお、第1のアノード触媒層1121のガス拡散層114側の主面に占める溝部3の面積率は、膜電極接合体11を適用した燃料電池1の出力向上の観点から、10%以下であることが好ましい。同様の理由から、第1のカソード触媒層1131のガス拡散層115側の主面に占める溝部3の面積率は10%以下であることが好ましい。
高分子電解質膜111の主面に設けられた凹凸部2は、図2に示すように、平面状の主面に格子状の凹部21を形成することでこれに囲まれた矩形面を相対的な凸部22とし、これにより主面に凹凸部2を形成するほか、これとは逆に矩形面を凹部とすることでその間の格子状の面を相対的な凸部としてもよい。要するに、高分子電解質膜111の主面の表面積が大きくなる凹凸部2であれば本発明に係る凹凸部に含まれる。したがって、図2に示すような規則的な凹凸部2のほか不規則な凹凸部であってもよい。
高分子電解質膜111の主面に凹凸部2を形成するには、たとえば図4に示すように、主面が平面状とされた高分子電解質膜111に対し、格子状に形成された金網などの成形部材4をホットプレスすればよい。この場合に、金網などの成形部材4の間隔や太さを適宜に選択することで凹凸部2の形状を所望の形状に設定することができる。本例の凹凸部2の寸法は何ら限定されるものではないが、図2に示すように、所定方向に沿って配置される凹部21同士の間隔W1、及び当該所定方向とは異なる方向(本例では略垂直方向)に沿って配置される凹部21同士の間隔W2は、10〜1000μmであることが好ましい。間隔W1、W2が10μmより小さいと触媒層112、113が凹部21へ入り難くなり、間隔W1、W2が1000μmより大きいと凹凸部2を設ける意義が薄れるからである。また、高分子電解質膜111の上下面にそれぞれ形成される凹部21の深さD1、D2(図1参照)は、触媒層112、113の厚さの30〜70%であることが望ましい。
第1のアノード触媒層1121におけるガス拡散層114側の主面、及び第1のカソード触媒層1131におけるガス拡散層115側の主面に設けられた溝部3は、図3に示すように、下層の高分子電解質膜111の凹部21と同様に、格子状に形成されている。ただし、溝部3は、凹凸部2を設けることで表面積が大きくなった高分子電解質膜111の主面に対してメタノールや空気を効率的に供給し得る形状であればよい。したがって、規則的な配置のほか不規則な配置であってもよい。溝部3の寸法は何ら限定されるものではないが、図1に示すように、溝部3の開口幅W3は凹部21の開口幅W4より小さいことが望ましい。また、溝部3の深さD3、D4は、少なくとも高分子電解質膜111の表面に達しない深さ、すなわち貫通しない溝であればよい。
第1のアノード触媒層1121及び第1のカソード触媒層1131の主面に溝部3を形成するには、まず、高分子電解質膜111を加熱することにより熱収縮させた状態で、高分子電解質膜111の主面に第1のアノード触媒層1121及び第1のカソード触媒層1131を構成するペーストをスクリーン印刷等でそれぞれ印刷する。次いで、高分子電解質膜111を乾燥して元の形状に引き伸ばすことにより、高分子電解質膜111の凹部21の直上にクラックを生じさせ、これを溝部3とする。なお、第1のアノード触媒層1121及び第1のカソード触媒層1131の表面を針状工具で引っ掻くことでクラックを生じさせ、これを溝部3としてもよい。
第2のアノード触媒層1122は、当該第2のアノード触媒層1122を構成するペーストを、スクリーン印刷等により溝部3が形成されている第1のアノード触媒層1121の主面上に一定厚さD5となるよう印刷して乾燥することにより形成することができる。この際、第2のアノード触媒層1122を構成するペーストは、第1のアノード触媒層1121の主面に形成された溝部3に充填されるようにする。
第2のカソード触媒層1132も、同様にして、当該第2のカソード触媒層1132を構成するペーストを、スクリーン印刷等により溝部3が形成されている第1のカソード触媒層1131の主面上に一定厚さD7となるよう印刷して乾燥することにより形成することができる。この際においても、第2のカソード触媒層1132を構成するペーストが、第1のカソード触媒層1131の主面に形成された溝部3に充填されるようにする。
なお、第2のアノード触媒層1122の厚さD5は、膜電極接合体11を適用した燃料電池1の出力向上の観点から、第1のアノード触媒層1121の厚さD6の50%以下であることが好ましい。同様の理由から、第2のカソード触媒層1132の厚さD7は、第1のカソード触媒層1131の厚さD8の50%以下であることが好ましい。
以上のように構成された本実施形態の膜電極接合体11によれば、図6に矢印で示すように、ガス拡散層114、115から第2のアノード触媒層1122又は第2のカソード触媒層1132を介して第1のアノード触媒層1121又は第1のカソード触媒層1131に供給されるメタノール又は空気は、一般面以外に溝部3にも供給される。そして、当該溝部3の側面から高分子電解質膜111の凹部21に向かっても当該メタノール又は空気が供給されることとなる。これにより、高分子電解質膜111の凹凸部2によりプロトン伝導性が向上すると共に、当該凹凸部2に対して燃料物質を効率的に供給することができるため、出力維持性能に優れた燃料電池1の膜電極接合体11を提供することができる。
第2のアノード触媒層1122におけるイオノマーなどの高分子電解質の含有率は、第1のアノード触媒層1121における当該含有率よりも低くなっている。このため、第2のアノード触媒層1122の空隙度は高くなり、第2のアノード触媒層1122から第1のアノード触媒層1121へ燃料物質をより効率的に供給できるため、膜電極接合体11を適用した燃料電池1の出力維持性能をより向上することができる。
また、本実施形態では、第1のアノード触媒層1121に形成された溝部3を埋めるように第2のアノード触媒層1122が設けられていると共に、第1のカソード触媒層1131に形成された溝部3を埋めるように第2のカソード触媒層1132が設けられている。これにより、当該溝部3から触媒が脱落することを防ぐことができると共に、メタノールクロスオーバーの発生を抑制することができる。このため、膜電極接合体11を適用した燃料電池1の出力維持性能をより一層向上することができる。
以下、本発明の膜電極接合体11の高分子電解質膜111の主面に凹凸部2を設けるとともに、第1のアノード触媒層1121及び第1のカソード触媒層1131に溝部3を設け、さらに第2のアノード触媒層1122及び第2のカソード触媒層1132を設けたことが、燃料電池1の出力維持性能に寄与することを、さらに具体化した実施例と、当該実施例に対する比較例を挙げて説明する。ただし、以下の実施例の数値や材質などの諸条件は本発明の単なる一例であって本発明を何ら限定するものではない。
《実施例1》
高分子電解質膜111として、厚さ125μmのパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(米国DuPont社製のNafion(商品名、登録商標))を用い、この高分子電解質膜111の一方の主面に、図4に示すように金網などの成形部材4を配置し、125℃、5MPaの条件でホットプレスを行うことで、当該一方の主面に図2に示す凹凸部2を形成した。
そして、高分子電解質膜111を加熱しながら、凹凸部2を形成した主面に、白金−ルテニウム触媒(白金・ルテニウムと担持カーボンの重量比1:1、イオノマーと担持カーボンの重量比1:1)のペーストを印刷し、厚さ40μmの第1のアノード触媒層1121を形成した。次いで、当該第1のアノード触媒層1121の上に、イオノマー量が第1のアノード触媒層1121の80%、層の厚さが第1のアノード触媒層1121の30%である第2のアノード触媒層1122を、印刷により形成した。
また、凹凸部2が形成されていない主面には、カソード触媒層113として、厚さ20μmの白金触媒(白金担持量が70重量%)を用い、アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115として、厚さ235μmの黒鉛繊維不織布(MFCテクノロジー社製カーボンファイバペーパSIGRACET GDL25BC)を用いた。
第1のアノード触媒層1121における第2のアノード触媒層1122側の表面に生じたクラック(溝部)の面積率(当該主面の面積に対する溝部3の開口面積の総和の比率)を計測したところ、5%であった。
この膜電極接合体11を用いて燃料電池1を組み立て、組み立てられた燃料電池にメタノールと空気を供給し、電圧を0.4Vに固定して動作試験を行い、単電池の初回の出力電流密度(初期出力)を測定するとともに、500時間経過後の出力電流密度(500時間後出力)を測定した。この結果を表1に示す。
《実施例2》
実施例1における第2のアノード触媒層1122のイオノマー量を変更し、第1のアノード触媒層1121のイオノマー量Iに対する第2のアノード触媒層1122のイオノマー量Iの割合(I/I)を10%、30%、50%、70%、80%、90%、100%とし、電流密度の初期出力をI/I=80%の値に対する相対値で示したこと以外は、実施例1と同じ条件で膜電極接合体11を作製し、単電池の初回の出力電流密度(初期出力)を測定した。この結果を表2に示す。
《実施例3》
実施例1における第1及び第2のアノード触媒層1121、1122の厚さを変更し、第1のアノード触媒層1121の厚さCに対する第2のアノード触媒層1122の厚さCの割合(C/C)を、10%、30%、50%、70%、80%、90%、100%とし、電流密度の初期出力をC/C=30%の値に対する相対値で示したこと以外は、実施例1と同じ条件で膜電極接合体11を作製し、単電池の初回の出力電流密度(初期出力)を測定した。なお、第1のアノード触媒層1121と第2のアノード触媒層1122の総厚みは一定値とした。この結果を表3に示す。
《実施例4》
実施例1において、第1のアノード触媒層1121における第2のアノード触媒層1122側の表面に生じたクラック(溝部)の面積率を変更し、当該面積率を3%、5%、7%、10%、12%、15%とし、電流密度の初期出力を面積率5%の値に対する相対値で示したこと以外は、実施例1と同じ条件で膜電極接合体11を作製し、単電池の初回の出力電流密度(初期出力)を測定した。この結果を表4に示す。
《比較例1》
実施例1の比較例として、実施例1から第2のアノード触媒層1122を省略したこと以外は実施例1と同じ条件で膜電極接合体11を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この結果を表1に示す。
Figure 2016071985
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《考察》
表1に示す結果より、第2のアノード触媒層1122を設けた実施例1の初期出力は、比較例1に比べて僅かに低下していることが確認された。これは、第2のアノード触媒層1122を設けることにより、燃料物質の輸送能が僅かに低下したためであると考えられる。しかしながら、第2のアノード触媒層1122を設けた実施例1の500時間後出力は、比較例1に比べて出力低下を抑制できていることが確認された。これは、第2のアノード触媒層1122の存在により、第1のアノード触媒層1121の触媒担持カーボンの脱落及びメタノールクロスオーバーの発生の抑制を図ることができた為であると考えられる。
また、表2に示す結果より、第1のアノード触媒層1121のイオノマー量Iに対する第2のアノード触媒層1122のイオノマー量Iの割合(I/I)が、50%以上90%以下である場合に初期出力は同程度であることが確認された。一方、当該割合(I/I)が10%及び30%である場合に初期出力が低下することが確認された。これは、第2のアノード触媒層1122で発生したプロトンの高分子電解質膜111までの輸送効率が低下したためであると考えられる。また、当該割合(I/I)が100%である場合にも初期出力が低下することが確認された。これは、第1及び第2のアノード触媒層1121、1122におけるイオノマー量が相互に等しいため、第1のアノード触媒層1121に溝部3を形成した効果が奏されなかったためであると考えられる。
また、表3に示す結果より、第1のアノード触媒層1121に対する第2のアノード触媒層1122の厚さが小さいほど、初期出力は大きくなることが確認された。
また、表4に示す結果より、第1のアノード触媒層1121における第2のアノード触媒層1122側の表面に生じたクラック(溝部)の面積率が、7%のときに初期出力が最大であると共に、当該面積率が10%までの間で初期出力が略一定水準で維持されることが確認された。また、当該面積率が12%及び15%では、初期出力が低下することが確認された。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1・・・燃料電池
11・・・膜電極接合体
111・・・高分子電解質膜
112・・・アノード触媒層
1121・・・第1のアノード触媒層
1122・・・第2のアノード触媒層
113・・・カソード触媒層
1131・・・第1のカソード触媒層
1132・・・第2のカソード触媒層
114・・・アノードガス拡散層
115・・・カソードガス拡散層
116A、116B・・・補強層
12・・・アノード集電体
13・・・カソード集電体
14・・・アノードセパレータ
15・・・カソードセパレータ
16・・・アノード流路
17・・・カソード流路
18、19・・・ガスケット
2・・・凹凸部
21・・・凹部
22・・・凸部
3・・・溝部
4・・・成形部材

Claims (4)

  1. 少なくとも一方の主面に凹凸部が設けられた高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の両主面にそれぞれ設けられ、イオン伝導性を有する高分子物質を含む触媒層と、を備え、
    前記触媒層は、
    前記凹凸部の表面に設けられ、前記高分子電解質膜とは反対側の外側主面に設けられた溝部を有する第1の触媒層と、
    前記溝部を埋めるように前記第1の触媒層の表面に設けられ、前記高分子物質の含有率が前記第1の触媒層よりも低い第2の触媒層と、を含む燃料電池用膜電極接合体。
  2. 請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記第2の触媒層の前記高分子物質の含有率は、前記第1の触媒層の前記高分子物質の含有率の50%以上90%以下である燃料電池用膜電極接合体。
  3. 請求項1又は2に記載の燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記第2の触媒層の厚さは、前記第1の触媒層の厚さの50%以下である燃料電池用膜電極接合体。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記外側主面に占める前記溝部の面積率は、10%以下である燃料電池用膜電極接合体。
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