JP2016071001A - 反射防止フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明フィルム基材上に、電離放射線硬化型樹脂及び表面調整剤を含有するハードコート層、フッ素系樹脂を含有する反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムである。上記表面調整剤として、アクリルコポリマーとポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの2種類を併用する。
【選択図】なし
Description
(第1の発明)
透明フィルム基材上に、電離放射線硬化型樹脂及び表面調整剤を含有するハードコート層、フッ素系樹脂を含有する反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムにおいて、前記表面調整剤として、アクリルコポリマー及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含有することを特徴とする反射防止フィルム。
第1の発明において、前記ハードコート層に含有される前記アクリルコポリマーの添加率が、前記ハードコート層の全固形分に対して0.08重量%以上0.8重量%以下であり、且つ前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの添加率が、前記ハードコート層の全固形分に対して0.03重量%以上0.9重量%以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
第1又は第2の発明において、前記ハードコート層に含有される前記アクリルコポリマーと前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの重量比が、アクリルコポリマー:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン=80/20〜20/80であることを特徴とする反射防止フィルム。
第1乃至第3のいずれかの発明において、前記アクリルコポリマーは、フッ素を含有するアクリルコポリマーであることを特徴とする反射防止フィルム。
本発明の反射防止フィルムは、上記のとおり、透明フィルム基材上に、電離放射線硬化型樹脂及び表面調整剤を含有するハードコート層、フッ素系樹脂を含有する反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムにおいて、前記表面調整剤として、アクリルコポリマー及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の反射防止フィルムにおいては、前記アクリルコポリマーは、フッ素を含有するアクリルコポリマーであることが好ましい。
以下、詳しく説明する。
本発明に用いることのできる透明フィルム基材は、特に限定はないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET;屈折率1.665)、ポリカーボネートフィルム(PC;屈折率1.582)、トリアセチルセルロースフィルム(TAC;屈折率1.485)、ノルボルネンフィルム(NB;屈折率1.525)などが使用でき、フィルム厚さも特に制限はないが、25μm〜250μm程度が汎用的に使用されている。一般的な、電離放射線硬化樹脂の屈折率は、1.52程度であるので、視認性を高くするためには前記樹脂の屈折率に近いTACフィルム、NBフィルムが好ましく、また、経済性及び流通量の点ではPETフィルムが好ましい。
本発明のハードコート層に用いる樹脂は、被膜を形成する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、特にハードコート層表面にハード性(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、またハードコート層形成時に多量の熱を必要としないという点で、電離放射線硬化型樹脂が好ましいため、本発明ではこの電離放射線硬化型樹脂を用いる。
本発明に用いる上記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、たとえば市販されているBYK−333、BYK−UV3500、BYK−UV3510(以上、ビッグ・ケミー・ジャパン株式会社製、いずれも商品名。)などが具体的に挙げられる。
すなわち、アクリルコポリマーは、ハードコート層から反射防止層へのブリードアウト(浮き上がり)が少なく耐擦傷性を低下させ難いが、色味ムラを改善する効果は低く適さなかった。一方ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、単独で色味ムラの改善効果が高いが、反射防止層にブリードアウトしやすく反射防止層の表面に非硬化成分が多くなるため耐擦傷性が低下しやすい。しかしこれらを併用することにより、配合されるアクリルコポリマーがポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンに対し阻害的な効果、つまりポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのブリードアウトを阻害ないしは抑制する効果を示し、その結果ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのブリードアウトが減少するため、色味ムラの改善効果の高いポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを使用しても反射防止層の耐擦傷性が維持できると考えられる。
ハードコート層の膜厚が20μmを超える場合、電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により反射防止フィルムのカールが大きくなりすぎてしまい、ロール巻取り中にシワやヨレ等が発生しやすく製造工程等での取り回し扱い性が低下する。またハードコート層の膜厚が1μm未満である場合、ハードコート層は十分なハード性を有さず、ハードコート層の機能を満たさない恐れがある。
本発明のフッ素系樹脂を含有する反射防止層とするためには、電子線または紫外線等を照射することによって硬化する、たとえば少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を含有することが好ましく、その具体例としては、例えば(1)テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレンなどのフロロオレフィン類;(2)アルキルパーフロロビニルエーテル類もしくはアルコキシアルキルパーフロロビニルエーテル類;(3)パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)などのパーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;(4)パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)などのパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;(5)トリフロロエチル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリレート類;その他を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、または2種以上を併用することができる。具体的な商品としては、反射防止膜形成用塗料としてJSR社から上市されているオプスターTU2205(商品名)などを挙げることができる。
反射防止フィルムとして、良好な反射防止機能を得るためにはハードコート層との屈折率差の大きい、屈折率1.42以下の低屈折を示す樹脂を用いることが良く、好ましくは反射率1.40以下であり、特に好ましいのが1.38以下の樹脂となる。フッ素系樹脂では1.35〜1.38の屈折率を示すため、良好な反射防止機能を得るために用いることが好ましい。また、フッ素系樹脂は、ハードコート層との密着性、防汚性においても良好である。
本発明の反射防止層をハードコート層上に積層するにあたって、上記のハードコート層を積層する場合と同様の塗工方法及び塗工装置を使用することができる。それぞれの塗工装置に適した粘度及び濃度になるように、有機溶媒を用いて任意の塗料濃度(固形分濃度)にすることが好ましい。希釈する有機溶剤の種類は特に限定されるものではないが、極性の高いフッ素樹脂との相溶性の点からケトン類、アルコール類が好ましく、更に塗工性の点からアルコール類を使用することがより好ましい。なお、アルコール類の中でも、tert-ブチルアルコール(2-メチルプロパン-2-オール)を使用することが、相溶性及び塗工性の点から特に好ましい。
<ハードコート層の積層>
トルエン44.4gに、ウレタンアクリル系紫外線硬化樹脂U−10HA(新中村化学(株)社製)44gと光重合開始剤イルガキュア−184(BASF(株)社製)を適量添加し、表1又は表2(後記)に記載の添加率(ハードコート層全固形分に対する)、配合比で表面調整剤を配合した塗液を作製し、80μm厚さのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムにマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量300mJ/cm2の紫外線照射による硬化を行い、5μm厚のハードコート層を積層した。
<反射防止層の積層>
tert−ブチルアルコール72g、反射防止層形成用塗料オプスターTU2276(フッ素系樹脂、JSR(株)社製、屈折率1.35)28gを添加し十分攪拌して反射防止層形成用塗料を作製した。この塗料を上記で得られたハードコート層上にマイヤーバーを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化を行い、約0.1μmの反射防止層を得た。
なお、表1及び表2に記載の表面調整剤(商品名:BYK−枝番号)は、いずれもビッグ・ケミー・ジャパン(株)製である。
[評価項目]
(1)色味ムラ
塗工反対面に黒色のビニールテープ(日東ビニールテープ、PROSELFNo.21(幅広))を貼り、塗工面を観測者側にしてフィルム表面に白色蛍光灯を写りこませた状態にて、白色蛍光灯を見たときに、塗工面の色味ムラを目視で評価した。色味にムラがあるものを「×」、色味にわずかにムラがあるものを「△」、3波長型蛍光灯下で見たときに色味にわずかにムラがあるものを「○」、色味にムラが無いものを「◎」とした。
(2)耐擦傷性
テスター産業(株)の学振型摩擦堅牢度試験機「AB-301」を用い、スチールウール(ボンスター♯0000)に265gf/cm2の荷重を掛け、擦り傷の本数にて評価した。
◎:傷がみられない。
○:浅い傷は若干みられるが、大きいものはみられない。
△:傷が若干発生する。
×:傷が発生する。
なお、アクリルコポリマーとポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの配合比は好ましい範囲内であるが、各々の添加率が好ましい範囲よりも多い実施例6においては、耐擦傷性の低下が見られ、各々の添加率が好ましい範囲よりも少ない実施例7においては、色味ムラの改善効果が低い。また、アクリルコポリマーとポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの添加率はいずれも好ましい範囲内であるが、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの配合率が好ましい範囲を下回る実施例8においては、色味ムラの改善効果が低く、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの配合率が好ましい範囲を超える実施例9においては、耐擦傷性の低下が見られる。
また、アクリルコポリマーとポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの配合比(重量比)が、アクリルコポリマー:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン=80/20〜20/80であることが好ましい。
また、アクリルコポリマーとして、フッ素を含有するアクリルコポリマーを用いた実施例10では、特に反射防止層の耐擦傷性に優れていた。
Claims (4)
- 透明フィルム基材上に、電離放射線硬化型樹脂及び表面調整剤を含有するハードコート層、フッ素系樹脂を含有する反射防止層をこの順に積層してなる反射防止フィルムにおいて、
前記表面調整剤として、アクリルコポリマー及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含有することを特徴とする反射防止フィルム。 - 前記ハードコート層に含有される前記アクリルコポリマーの添加率が、前記ハードコート層の全固形分に対して0.08重量%以上0.8重量%以下であり、且つ前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの添加率が、前記ハードコート層の全固形分に対して0.03重量%以上0.9重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
- 前記ハードコート層に含有される前記アクリルコポリマーと前記ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの重量比が、アクリルコポリマー:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン=80/20〜20/80であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
- 前記アクリルコポリマーは、フッ素を含有するアクリルコポリマーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
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