JP2016070858A - シリンジ - Google Patents

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Abstract

【課題】プランジャの損傷を抑制することが可能となる、シリンジを提供すること。
【解決手段】シリンジ20は、シリンダ30と、シリンダ30の長手方向に沿って移動可能にシリンダ30内に挿入されたプランジャ40とを備え、シリンダ30には流入出口31を設け、シリンダ30の内部には、プランジャ40の移動に伴って流入出口31から流入される試液を収容する第1内部空間と、プランジャ40の一部を収容する第2内部空間と、第1内部空間と第2内部空間との相互間に形成された第3内部空間とを設け、プランジャ40にはシリンダ30の内部空間を仕切る段部を設け、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置にプランジャ40が位置する場合でも、段部のうち、少なくともシリンダ30の長手方向における流入出口31側の先端部分が第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、シリンダ30及びプランジャ40を形成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリンジに関する。
従来から、複数種類の物質を含有する試液を収容する収容容器から所定量の試液をキュベットに分注するために、様々なシリンジが提案されている。図8は、従来技術のシリンジにおけるプランジャの位置状態を示す図であり、(a)はシリンジが試液を吐出する場合におけるプランジャの位置を示す図であり、(b)はシリンジが試液を吸引する場合におけるプランジャの位置を示す図である。例えば、図8(a)、(b)に示すように、長尺中空状に形成されたシリンジ本体210と、シリンジ本体210内に挿入されるプランジャ220とを備えたシリンジ200が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このシリンジ200には、シリンジ本体210の一側面に、シリンジ本体210の内部に試液Sを流入させたり、シリンジ本体210の内部から試液Sを流出させるための注入部230が設けられている。また、プランジャ220は、シリンジ本体210の内面と接触しない長尺なピストン軸221と、ピストン軸221の一端に設けられたチップ222であって、試液Sと直接的に接触し且つシリンジ本体210の内面と接触するチップ222とを備えている。
また、シリンジ200による試液Sの吸引及び吐出に伴う、プランジャ220のシリンジ本体210内での移動は、以下に示す通りとなる。具体的には、まず、シリンジ200が図示しない収容容器から試液Sを吸入する前の状態であるデフォルトの状態では、図8(a)に示すように、チップ222がシリンジ本体210の注入部230側の端部と接触する位置(以下、「吐出位置」と称する)に位置するように、プランジャ220が配置される。そして、シリンジ200が図示しない収容容器から試液Sを吸入する場合には、図8(b)に示すように、チップ222がシリンジ本体210の注入部230側の端部から当該端部とは反対側の端部に向けて所定距離離れた位置(以下、「吸引位置」と称する)に位置するように、プランジャ220が移動される。また、シリンジ200がキュベットに向けて試液Sを吐出する場合には、図8(a)に示すように、チップ222が吐出位置に位置するように、プランジャ220が移動される。
特開2002−202226号公報
ここで、シリンジ本体210の内部空間は、プランジャ220との位置関係や機能に基づいて、複数の内部空間に仮想的に区分することができる。具体的には、図8(a)、(b)に示すように、シリンジ本体210の内部空間は、試液Sを収容する内部空間(以下、「第1内部空間」と称する)と、チップ222がシリンジ本体210の注入部230側の端部と接触した状態で、チップ222よりもシリンジ本体210の長手方向において注入部230側とは反対側に位置する内部空間(以下、「第2内部空間」と称する)とに区分することができる。
従来、これら第1内部空間及び第2内部空間との配置関係については特に考慮されておらず、これら第1内部空間と第2内部空間とが一部重複又は隣接するように配置されていた。しかしながら、このような第1内部空間及び第2内部空間の配置関係とした場合には、シリンジ200の内部においてプランジャ220の移動が繰り返し行われることで、以下に示す問題が生じていた。例えば、上記シリンジ200のデフォルト状態(すなわち、シリンジ200が「吐出位置」に位置する状態)から、シリンジ200を「吸引位置」に移動させると、第1内部空間に試液Sが収容されることで、当該試液Sがシリンジ本体210の内縁における第1内部空間に対応する部分に付着する可能性がある。次に、シリンジ200を「吸引位置」から「吐出位置」に移動させると、上記第1内部空間に対応する部分に付着した試液Sが、当該第1内部空間に対応する部分とチップ222との間に入りこむことにより、当該チップ222の外縁に付着する可能性がある。次いで、シリンジ200を「吐出位置」から「吸引位置」に再び移動させると、上記チップ222の外縁に付着した試液Sが、シリンジ本体210の内縁における第2内部空間に対応する部分とチップ222との間に入り込むことにより、当該第2内部空間に対応する部分に付着する可能性がある。そして、シリンジ200を「吸引位置」から「吐出位置」に再び移動させると、上記第2内部空間に対応する部分に付着した試液Sが、第2内部空間内の空気に晒される可能性がある。これにより、上記第2内部空間に対応する部分に付着した試液Sが乾燥すると、試液Sの水溶液に含まれる物質(例えば塩類、タンパク質、緩衝物質、界面活性剤等)が混合物となって析出されることになる。したがって、この析出物がプランジャ220の移動に伴ってシリンジ本体210とチップ222との間に入り込むことにより、当該入り込んだ析出物によってプランジャ220(特にチップ222)が傷つけられることで、第1内部空間に収容された試液Sがプランジャ220から漏れ出すという問題が生じていた。特に、シリンジを用いて所定量(例えば180〜200μL)の比較的高濃度の試液(水溶液)を多数回反復して吸引及び吐出を行うことを要する自動分析機において、このような問題が生じやすく、チップ222を頻繁に交換する等の処置を要していた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プランジャの損傷を抑制することが可能となる、シリンジを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のシリンジは、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためのシリンジであって、長尺な中空状に形成されたシリンダと、前記シリンダの内部において、当該シリンダの長手方向に沿って移動可能に挿入されたプランジャと、を備え、前記シリンダには、当該シリンダの長手方向の一方の端部に形成された流入出口であって、前記プランジャの移動に伴って、試液を当該シリンダの内部に流入させ、且つ試液を当該シリンダの内部から流出させるための流入出口を設け、前記プランジャは、前記シリンダの内部に収容された試液を押圧するためのチップ部と、前記チップ部の端部のうち、前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部とは反対側の端部から前記流入出口側とは反対側に向けて突出するように配置された軸部と、を備え、前記シリンダの内部には、前記プランジャの移動に伴って前記流入出口から流入される試液を収容するための第1内部空間と、前記第1内部空間よりも前記シリンダの長手方向における前記流入出口側とは反対側に形成された第2内部空間であって、前記チップ部が前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部と接触した状態で、当該チップ部よりも前記シリンダの長手方向において前記流入出口側とは反対側に位置する第2内部空間と、前記第1内部空間と前記第2内部空間との相互間に形成された第3内部空間とを設け、前記プランジャには、前記シリンダの内部空間を仕切る段部であって、当該段部の外縁が前記シリンダの内縁と接触するように配置された段部を設け、前記一定量以下の試液を吸引及び吐出するために前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、当該シリンジが所定量の試液を吸引する位置である吸引位置から当該シリンジが試液を全量吐出する位置である吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向における前記流入出口側の先端部分が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した。
また、請求項2に記載のシリンジは、請求項1に記載のシリンジにおいて、前記プランジャには、複数の前記段部を相互に間隔を隔てて前記シリンダの長手方向に沿って並設し、前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、前記吸引位置から前記吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記複数の段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向において最も前記流入出口側に位置する前記段部が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した。
また、請求項3に記載のシリンジは、請求項1又は2に記載のシリンジにおいて、前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、前記吸引位置から前記吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記段部のうち、当該プランジャが前記吐出位置に位置する場合において前記第1内部空間に位置する部分全体が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した。
また、請求項4に記載のシリンジは、請求項1から3のいずれか一項に記載のシリンジにおいて、前記段部の端部のうち、前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部とは反対側の端部の角部を、エッジ形状とした。
請求項1に記載のシリンジによれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ内におけるプランジャが移動する位置のうち、当該シリンジが吸引位置から当該シリンジが吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向における流入出口側の先端部分が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成したので、例えば、シリンジによる試液の吸引及び吐出に伴ってプランジャの移動が繰り返し行われる場合において、プランジャを吐出位置に位置させた場合に、シリンダの内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液がこの先端部分の外縁に付着しても、プランジャを吸引位置に位置させた場合に、この先端部分の外縁がシリンダの内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、この試液がシリンダの内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液が第2内部空間に流入することを抑制できる。よって、従来に比べて、第2内部空間で試液に含まれる物質が析出されることを抑制できることから、この析出物によるプランジャの損傷を抑制することができる。また、このシリンジによれば、特に所定量で高濃度の試液(水溶液)を多数回吸引及び吐出することを要する自動分析機において、プランジャのチップ部の交換回数を減じる等の効果を奏する。
請求項2に記載のシリンジによれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ内におけるプランジャが移動する位置のうち、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、複数の段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向において最も流入出口側に位置する段部が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成したので、例えば、シリンジによる試液の吸引及び吐出に伴ってプランジャの移動が繰り返し行われる場合において、プランジャを吐出位置に位置させた場合に、シリンダの内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液がこの最も流入出口側に位置する段部の外縁に付着しても、プランジャを吸引位置に位置させた場合に、この最も流入出口側に位置する段部の外縁がシリンダの内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、この最も流入出口側に位置する段部の外縁に付着した試液がシリンダの内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液が第2内部空間に流入することを一層抑制できる。
請求項3に記載のシリンジによれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ内におけるプランジャが移動する位置のうち、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、段部のうち、当該プランジャが吐出位置に位置する場合において第1内部空間に位置する部分全体が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成したので、例えば、シリンジによる試液の吸引及び吐出に伴ってプランジャの移動が繰り返し行われる場合において、プランジャを吐出位置に位置させた場合に、シリンダの内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液が上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁に付着しても、プランジャを吸引位置に位置させた場合に、上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁がシリンダの内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁に付着した試液がシリンダの内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液が第2内部空間に流入することをさらに一層抑制できる。
請求項4に記載のシリンジによれば、段部の端部のうち、シリンダの長手方向における流入出口側の端部とは反対側の端部の角部を、エッジ形状としたので、例えば、シリンダの第2内部空間で試液に含まれる物質が析出され、この析出物がシリンダの内縁における第1内部空間、第2内部空間、又は第3内部空間に対応する部分に付着した場合でも、プランジャの移動に伴って、当該付着した析出物をかき落とすことができる。よって、シリンジの内縁にこの析出物が付着し続けることを抑制できるため、この析出物が段部とシリンダとの間に入り込むことで、当該段部が損傷することを回避できる。
実施の形態1に係る分注システムの構成を示す概略図である。 図1における領域Aの拡大図である。 図2における領域Bの拡大図である。 段部の端部のうち、シリンダの長手方向における流入出口側の端部の角部の形状に関する変形例を示す図であり、(a)は第1の変形例を示す図、(b)は第2の変形例を示す図を示す図である。 プランジャの位置状態を示す図であり、(a)はプランジャが吐出位置に位置する状態を示す図であり、(b)はプランジャが吸引位置に位置する状態を示す図である。 実施の形態2に係る分注システムの領域Aの拡大図である。 プランジャの位置状態を示す図であり、(a)はプランジャが吐出位置に位置する状態を示す図であり、(b)はプランジャが吸引位置に位置する状態を示す図である。 従来技術のシリンジにおけるプランジャの位置状態を示す図であり、(a)はシリンジが試液を吐出する場合におけるプランジャの位置を示す図であり、(b)はシリンジが試液を吸引する場合におけるプランジャの位置を示す図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係るシリンジを備える分注システムの実施の形態を詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、試液容器に収容された試液をシリンジを介してキュベットに分注する、分注システムに関するものである。
ここで、「試液容器」とは、試液を収容するための容器である。この試液容器は、例えば、磁性粒子液ボトル、標識体液ボトル、前処理液ボトル、検体希釈液ボトル等を含む概念であるが、実施の形態では検体希釈液ボトルとして説明する。
また、「試液」とは、試験、分析、検査に用いられる材料である。この試液は、液体状、ゲル状、固体状、あるいはこれらの状態が混合された状態の試液であって、複数種類の物質を含有する試液等を含む概念であるが、実施の形態では、塩類、タンパク質、緩衝剤、界面活性剤等を含む希釈液として説明する。
また、「シリンジ」とは、試液を吸引及び吐出するものである。ここで、「吸引」とは、試液容器に収容された試液をシリンジの内部に吸い込むことを意味する。また、「吐出」とは、シリンジの内部に収容された試液をキュベットに向けて吐き出すことを意味する。
また、「キュベット」とは、シリンジから送られた試液を用いて試験を行うための容器であり、例えば、公知の試験管状の使い捨て反応容器等を含む概念である。
また、「分注」とは、試液容器に収容された試液の一部を、試液容器からキュベットに移送することを意味する。
(実施の形態の具体的内容)
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、プランジャに複数の段部を設けた形態である。
(構成)
最初に、分注システムの構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る分注システムの構成を示す概略図である。なお、以下の説明では、図1の−X方向を分注システムの左方向、図1の+X方向を分注システムの右方向、図1の+Z方向を分注システムの上方向、図1の−Z方向を分注システムの下方向とする。また、図示は省略するものの、図1のX方向及びZ方向に略直交する方向であって、紙面に対して奥側から手前側に至る方向を+Y方向とし、図1のX方向及びZ方向に略直交する方向であって、紙面に対して手前側から奥側に至る方向を−Y方向とする。分注システム1は、試液容器10に収容された試液Sをシリンジ20を介してキュベット60に分注するシステムである。図1に示すように、この分注システム1は、試液容器10と、シリンジ20と、駆動部50と、キュベット60と、移送機構70と、制御装置80とを備えて構成されている。
(構成−試液容器)
試液容器10は、長尺な中空状の略円柱体であり、例えばガラス材や樹脂材等にて形成されている。また、この試液容器10は、当該試液容器10の長手方向が上下方向に略沿うように配置されている。
また、この試液容器10には、挿通口11が形成されている。挿通口11は、後述する移送機構70の第1配管71を試液容器10の内部に挿通するための開口であり、試液容器10の上面に配置されている。
(構成−シリンジ)
シリンジ20は、試液容器10と相互に間隔を隔てて配置されており、シリンダ30と、プランジャ40とを備えている。
(構成−シリンジ−シリンダ)
シリンダ30は、吸引した試液Sを収容するものである。このシリンダ30は、長尺な中空状の略円柱体であり、例えば、耐薬性に優れた樹脂材(例えばテルペン樹脂等)やガラス材等にて形成されている。また、このシリンダ30は、当該シリンダ30の長手方向が上下方向に略沿うように配置されており、所定の設置対象(例えば図示しない支持台等)に対して固定具等によって固定されている。
また、このシリンダ30には、流入出口31と、挿通口32とが形成されている。ここで、流入出口31は、プランジャ40の移動に伴って、試液Sをシリンダ30の内部に流入させ、且つ試液Sをシリンダ30の内部から流出させるための開口であり、シリンダ30の上面に配置されている。また、挿通口32は、プランジャ40をシリンダ30の内部に挿通するための開口であり、シリンダ30の下面に配置されている。
(構成−シリンジ−プランジャ)
プランジャ40は、試液Sを吸引及び吐出するための操作を行うものである。このプランジャ40は、シリンダ30の内部において、当該シリンダ30の長手方向に沿って移動可能に挿入されて配置されており、チップ部41と、軸部45とを備えている。
(構成−シリンジ−プランジャ−チップ部)
チップ部41は、シリンダ30の内部に収容された試液Sを押圧するものである。このチップ部41は、長尺な略円柱状体にて形成されており、当該チップ部41の長手方向が上下方向に略沿うように配置されている。また、チップ部41の材質については、具体的には、耐薬品性に優れた材質、すなわちPTFE等の樹脂材やガラス材等が採用されている。
(構成−シリンジ−プランジャ−軸部)
軸部45は、チップ部41を支持するためのものである。この軸部45は、略棒状体にて形成されており、当該軸部45がチップ部41の端部のうちシリンダ30の長手方向における流入出口31側の端部とは反対側の端部から流入出口31側とは反対側に向けて突出するように配置され(すなわち、当該軸部45がチップ部41の下面から下方向に向けて突出するように配置され)、チップ部41に対して嵌合構造(又は固定具)等によって固定されている。また、軸部45の材質については、具体的には、防錆性に優れた材質、すなわちステンレス等の特殊鋼、樹脂材、ガラス材等が採用されている。なお、このシリンジ20の構成の詳細については、後述する。
(構成−駆動部)
駆動部50は、シリンジ20のプランジャ40を上下方向に沿って移動させるための駆動手段である。この駆動部50は、例えば公知のソレノイド等を用いて構成されており、軸部45の下方側に配置されている。ここで、駆動部50とプランジャ40との接続については、具体的には、図示しない駆動部50のピストン部分が軸部45に対して固定具等によって接続されている。
(構成−キュベット)
キュベット60は、長尺な中空状の円柱体であり、例えばガラス材や樹脂材等にて形成されている。また、このキュベット60は、試液容器10及びシリンジ20と相互に間隔を隔てて配置され、且つ当該キュベット60の長手方向が上下方向に略沿うように配置されている。
また、このキュベット60には、挿通口61が形成されている。挿通口61は、後述する移送機構70の分注ノズル76をキュベット60の内部に挿通するための開口であり、キュベット60の上面に配置されている。
(構成−移送機構)
移送機構70は、試液容器10に収容された試液Sを、試液容器10からキュベット60に向けて移送するための機構である。この移送機構70は、試液容器10、シリンジ20、及びキュベット60の上方側に配置されており、第1配管71と、第2配管72と、第3配管73と、切替バルブ74と、分注ノズル76とを備えている。
(構成−移送機構−第1配管、第2配管、第3配管)
第1配管71、第2配管72、及び第3配管73の各々は、長尺な管状体であり、例えば樹脂材やガラス材等にて形成されている。
第1配管71は、具体的には、長手方向の一方の端部が、試液容器10の挿通口11を介して試液容器10の内部に挿通されるように配置され、所定の設置対象(例えば、試液容器10等)に対して固定具等によって固定されている。また、長手方向の他方の端部が、切替バルブ74と接続されている。
また、第2配管72は、具体的には、長手方向の一方の端部が、切替バルブ74と接続されている。また、長手方向の他方の端部が、シリンジ20におけるシリンダ30の流入出口31と対向するように配置され、シリンダ30に対して固定具等によって固定されている。
また、第3配管73は、具体的には、長手方向の一方の端部が、切替バルブ74と接続されている。また、長手方向の他方の端部が、後述する分注ノズル76と接続されている。
(構成−移送機構−切替バルブ)
切替バルブ74は、第1配管71と第2配管72とを連通すると共に、第2配管72と第3配管73とを連通するためのバルブである。この切替バルブ74は、第1配管71と第2配管72との相互間であり、且つ第2配管72と第3配管73との相互間である位置に配置されている。
ここで、この切替バルブ74の構成については、具体的には、切替バルブ74の切替状態が「吸引状態」と「吐出状態」とに切り替えられるように、公知の3方向電磁弁等が採用されている。このうち、「吸引状態」は、第1配管71と第2配管72とのみを相互に連通させることにより、第1配管71から導出された試液Sを第2配管72のみに導入する状態である。また、「吐出状態」は、第2配管72と第3配管73とのみを相互に連通させることにより、第2配管72から導出された試液Sを第3配管73のみに導入する状態である。
(構成−移送機構−分注ノズル)
分注ノズル76は、第3配管73から導出された試液Sをキュベット60に向けて噴出させるためのノズルである。この分注ノズル76は、例えば公知の分注ノズル等を用いて構成されており、キュベット60の挿通口61を介してキュベット60の内部に挿通されるように配置され、所定の設置対象(例えば、キュベット60等)に対して固定具等によって固定されている。
(構成−制御装置)
制御装置80は、分注システム1を制御するための装置である。この制御装置80は、入力部81と、出力部82と、制御部83と、データ記録部84とを備えて構成されている。なお、この制御装置80は、例えば公知のパーソナルコンピュータ等によって構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
ここで、入力部81は、各種の情報に関する操作入力を受け付けるための入力手段である。また、出力部82は、制御部83の制御に基づいて各種の情報を出力する出力手段である。また、制御部83は、制御装置80を制御する制御手段である。この制御部83は、機能概念的に、バルブ制御部83a、及びシリンジ制御部83bを備えている。このうち、バルブ制御部83aは、切替バルブ74の切替制御を行うバルブ制御手段である。また、シリンジ制御部83bは、シリンジ20の駆動部50の駆動制御を行うシリンジ制御手段である。また、データ記録部84は、制御装置80の処理に必要な各種の情報(例えば、後述するプランジャ40の吸引位置に関するデータ、後述するプランジャ40の吐出位置に関するデータ等)を記憶するデータ記録手段である。
(構成−シリンジの詳細について)
次に、実施の形態1に係るシリンジ20の詳細について説明する。図2は、図1における領域Aの拡大図である。図3は、図2における領域Bの拡大図である。図4は、段部の端部のうち、シリンダ30の長手方向における流入出口31側の端部の角部の形状に関する変形例を示す図である。図5は、プランジャ40の位置状態を示す図であり、(a)はプランジャ40が吐出位置に位置する状態を示す図であり、(b)はプランジャ40が吸引位置に位置する状態を示す図である。ここで、「吐出位置」とは、後述する一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ30内におけるプランジャ40が移動する位置のうち、シリンジ20が試液Sを全量吐出する位置であり、実施の形態1では、プランジャ40のチップ部41とシリンダ30の上端部とが接触する位置として説明する。また、「吸引位置」とは、後述する一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ30内におけるプランジャ40が移動する位置のうち、シリンジ20が後述する所定量の試液Sを吸引する位置であり、実施の形態1では、後述する所定量の試液Sがシリンダ30の内部に収容完了となる位置として説明する。
(構成−シリンジの詳細について−シリンダ及びプランジャの構成)
まず、シリンダ30及びプランジャ40の構成については、プランジャ40の損傷を抑制するために、以下に示す構成が採用されている。
具体的には、シリンダ30の構成については、図2に示すように、シリンダ30の内部に、第1内部空間と、第2内部空間と、第3内部空間とが設けられている。第1内部空間は、プランジャ40の移動に伴って流入出口31から流入される試液Sを収容するための空間である。第2内部空間は、プランジャ40のチップ部41がシリンダ30の長手方向における流入出口31側の端部と接触した状態で、当該チップ部41よりもシリンダ30の長手方向において流入出口側31とは反対側に位置する空間であり(すなわち、チップ部41がシリンダ30の上端部と接触した状態で、当該チップ部41よりも下方側に位置する空間であり)、第1内部空間よりもシリンダ30の長手方向における流入出口31側とは反対側に形成されている(すなわち、第1内部空間よりも下方側に形成されている)。第3内部空間は、第1内部空間と第2内部空間との緩衝空間として機能する空間であり、第1内部空間と第2内部空間との相互間に形成されている。
ここで、第1内部空間の上下方向の長さは、第1内部空間に一定量以下の試液Sを収容可能な長さに設定する。ここで言う「一定量」とは、シリンジ内に収容可能な試液Sの設定上限量であり、試液Sが収容されたときの第1内部空間の上下方向の長さが、シリンダ内部の上下方向全長の1/3未満、好適には1/20以上1/5未満、より好適には1/10以上1/6未満となる量に設定される。第1内部空間には、所定量の試液S(例えば180μL〜200μL)を収容可能であるが、ここで言う「所定量」とは、実際に分注等に供される試液の量であり、前記「一定量」以下の量であれば、特に限定されるものではない。
また、第2内部空間の上下方向の長さについては、プランジャ40が吸引位置に位置する場合に、チップ部41が外部に露出しない長さに設定されている。また、第3内部空間の上下方向の長さについては、後述するチップ部41の第1段部42の上下方向の長さと略同一の長さに設定されている。そして、シリンダ30の内部にこれら第1内部空間、第2内部空間、及び第3内部空間を確保できるように、シリンダ30の形状が設定されている(例えば、上下方向の長さ=50.0mm〜55.0mm、内径=7.0mm〜8.0mm等)。
また、プランジャ40の形状については、プランジャ40のチップ部41の上下方向の長さが、第1内部空間の上下方向の長さと第3内部空間の上下方向の長さとの合計長さ(例えば、13.0mm〜15.0mm等)に設定されていると共に、チップ部41の外径が、シリンダ30の内径よりも大きい径(例えば、7.0mm〜8.0mm等)に設定されている。この場合において、チップ部41がシリンダ30の内部に挿入される場合には、チップ部41の外径がシリンダ30の内径よりも小さくなくなるように、チップ部41が押圧変形され、この押圧変形された状態のチップ部41がシリンダ30の内部に挿入される。また、プランジャ40の軸部45の上下方向長さが、プランジャ40を吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に移動させることが可能な長さ(例えば、55.0mm〜60.0mm等)に設定されていると共に、軸部45の外径が、チップ部41の外径よりも小さい径(例えば、3.0mm〜5.0mm)に設定されている(あるいは、チップ部41の外径と略同一であってもよい)。
また、このチップ部41の構成については、第1内部空間に収容された試液Sがチップ部41から漏れ出すことを抑制できるように、図2に示すように、チップ部41の外周面には、第1段部42と、第2段部43と、第3段部44とが設けられている。ここで、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44は、シリンダ30の内部空間を仕切るものである。これら第1段部42、第2段部43、及び第3段部44は、略円環状体にて形成されており、当該第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の各々の外縁がシリンダ30の内縁と接触するように配置されていると共に、上下方向に沿って相互に間隔を隔てて上から順に並設配置されている(すなわち、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44のうち、第1段部42は、シリンダ30の長手方向において最も流入出口31側に位置するように配置されている)。
ここで、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の配置については、図5(a)、図5(b)に示すように、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、プランジャ40が位置する場合でも、第1段部42が第1内部空間又は第3内部空間に位置するように配置されている。より具体的には、プランジャ40が吐出位置に位置する場合には、第1段部42及び第2段部43は第1内部空間に位置し、且つ第3段部44は第3内部空間に位置すると共に、プランジャ40が吸引位置に位置する場合には、第1段部42は第3内部空間に位置し、且つ第2段部43及び第3段部44は第2内部空間に位置するように配置されている。
このようなシリンダ30及びプランジャ40の構成により、シリンジ20による試液Sの吸引及び吐出に伴って、プランジャ40のシリンダ30内での移動が繰り返し行われたとしても、以下に示す事項を根拠として、プランジャ40の損傷を抑制することができる。具体的には、まず、シリンジ20を「吐出位置」から「吸引位置」に移動させると、第1内部空間に試液Sが収容されることで、当該試液Sがシリンダ30の内縁における第1内部空間に対応する部分に付着する可能性がある。次に、シリンジ20を「吸引位置」から「吐出位置」に移動させると、上記第1内部空間に対応する部分に付着した試液Sが、当該第1内部空間に対応する部分と第1段部42との間に入りこむことにより、当該第1段部42の外縁に付着する可能性がある。次いで、シリンジ20を「吐出位置」から「吸引位置」に再び移動させると、上記第1段部42の外縁に付着した試液Sが、シリンダ30の内縁における第3内部空間に対応する部分と第1段部42との間に入りこむことにより、当該第3内部空間に対応する部分に付着する可能性があるものの、当該試液Sの付着をシリンダ30の内縁における第2内部空間に対応する部分の手前でとどめることができる。これにより、上記第1段部42の外縁に付着した試液Sが上記第2内部空間に対応する部分に付着することを回避できることから、第1内部空間に収容された試液Sが第2内部空間に流入することを抑制できる。よって、従来に比べて、第2内部空間で試液Sに含まれる塩類、タンパク質、緩衝剤、界面活性剤等が析出されることを抑制できるため、この析出物によるプランジャ40の損傷を抑制することができる。なお、この後に、シリンジ20を「吸引位置」から「吐出位置」に再び移動させたとしても、上記第3内部空間に対応する部分に付着した試液Sが、第2段部43、第3段部44、及びチップ部41における第2段部43と第3段部44との間の部分によって囲繞されるので、当該試液Sの乾燥を防止でき、第3内部空間で上記析出物が析出されることを回避できる。
(構成−シリンジの詳細について−第1段部、第2段部、及び第3段部の形状)
次に、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の形状については、第1段部42から試液Sが漏れ出すことを抑制するために、以下に示す形状に設定されている。
具体的には、図2に示すように、第1段部42の上下方向の長さが、第2段部43の上下方向の長さ又は第3段部44の上下方向の長さに比べて長く設定されている(例えば、第1段部42の上下方向の長さが、第2段部43の上下方向の長さの2倍〜3倍程度の長さに設定されている)。
このような第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の形状により、第1段部42の上下方向の長さが、第2段部43の上下方向の長さと略同一に設定されている場合に比べて、第1段部42におけるシリンダ30との接触部分を大きく設定できる。よって、例えば、第2内部空間で析出された上記析出物が第1段部42とシリンダ30との間に入り込んだ場合でも、第1段部42の上下方向の長さが、第2段部43の上下方向の長さと略同一に設定されている場合に比べて、第1段部42に対して第1段部42から試液Sが漏れ出す程度の損傷を与えづらくなるため、第1段部42から試液Sが漏れ出すことを抑制できる。
またさらに、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の形状については、例えば、第2内部空間で析出された上記析出物がシリンダ30の内縁に付着し続けることを抑制するために、以下に示す形状に設定されている。
具体的には、図3に示すように、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の各々の端部のうち、シリンダ30の長手方向における流入出口31側の端部とは反対側の端部の角部(すなわち、下端部の角部)がエッジ形状に設定されている。ここで、「エッジ形状」とは、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の各々の下端部の角部がシリンダ30の内縁に対して直角又は鋭角となる形状である。このエッジ形状は、実施の形態1では上記下端部の角部がシリンダ30の内縁に対して直角となるように設定されているが、これに限られない。例えば、上記下端部の角部を、図4(a)に示すように、各段部のその他の部分よりも下方に突出するような形状であって、シリンダ30の内縁に対して鋭角(例えば45°等)となる形状に形成してもよく、あるいは、各段部のその他の部分よりも上方に切り欠かれたような形状であって、鈍角(例えば100°等)となるように設定されてもよい。
このような第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の形状により、例えば、第2内部空間で析出された上記析出物がシリンダ30の内縁における第1内部空間、第2内部空間、又は第3内部空間に対応する部分に付着した場合でも、プランジャ40の移動に伴って(特に、プランジャ40の下方への移動に伴って)、当該付着した上記析出物をかき落とすことができる。よって、シリンダ30の内縁に上記析出物が付着し続けることを抑制できるため、上記析出物が第1段部42(あるいは、第2段部43又は第3段部44)とシリンダ30との間に入り込むことで、当該第1段部42(あるいは、第2段部43又は第3段部44)が損傷することを回避できる。なお、上記かき落とされた析出物の一部は、第1段部42と第2段部43との相互間に形成された空間(以下、「第1空間」と称する)や第2段部43と第3段部44との相互間に形成された空間(以下、「第2空間」と称する)に収容される。つまり、これら第1空間及び第2空間によって、例えば、第1内部空間のうちシリンダ30、チップ部41、及び第1段部42によって囲繞された部分に上記かき落とされた析出物が流入することを抑制できる。
(分注システムの動作)
次に、上述のように構成された分注システム1の動作について説明する。なお、この分注システム1の動作方法については任意であるが、例えば、制御装置80の制御部83が、ユーザからの所定の起動指示を制御装置80の入力部81を介して受け付けられた場合に、制御装置80のデータ記録部84にインストールされた分注プログラムを解釈実行することで、自動的に動作される。また、分注システム1のデフォルト状態については、試液容器10に収容された試液Sがキュベット60に流入することを回避するために、図5(a)に示すように、切替バルブ74の切替状態を「吐出状態」とすると共に、シリンジ20におけるプランジャ40の位置状態を「吐出位置」に位置する状態とする。
まず、制御装置80の入力部81によってユーザからの所定指示が受け付けられることにより、試液容器10に収容された試液Sをキュベット60に分注するタイミングが到来すると、制御装置80の制御部83は、試液容器10に収容された試液Sをシリンジ20に吸引させるための制御を行う。具体的には、制御装置80のバルブ制御部83aは、切替バルブ74の切替状態が「吐出状態」から「吸引状態」となるように、当該切替バルブ74に対して切替制御を行う。次いで、制御装置80のシリンジ制御部83bは、プランジャ40の位置状態が「吐出位置」に位置する状態から「吸引位置」に位置する状態となるように、データ記録部84にあらかじめ記憶されたプランジャ40の吸引位置に関するデータに基づいて、駆動部50によって当該プランジャ40を下方に向けて移動させる。
これにより、図5(b)に示すように、試液容器10に収容された試液Sが、第1配管71、切替バルブ74、及び第2配管72を介してシリンジ20のシリンダ30における第1内部空間に流入される。この場合において、プランジャ40の第1段部42は、シリンダ30の第3内部空間に位置すると共に、プランジャ40の第2段部43及び第3段部44は、シリンダ30の第2内部空間に位置する。これにより、例えば、シリンジ20による試液Sの吸引及び吐出に伴って、プランジャ40のシリンダ30内での移動が繰り返し行われる場合に、プランジャ40を吐出位置に位置させることで、シリンダ30の内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液Sが第1段部42の外縁に付着しても、当該付着した試液Sがシリンダ30の内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避できる。また、例えば、シリンダ30の第2内部空間で析出された上記析出物がシリンダ30の内縁における第1内部空間、第2内部空間、又は第3内部空間に対応する部分に付着した場合でも、上記プランジャ40の移動に伴って、第1段部42(あるいは、第2段部43又は第3段部44)の下端部の角部によって、当該付着した上記析出物をかき落とすことができる。
次に、制御装置80の制御部83は、上記吸引された試液Sを吐出させるための制御を行う。具体的には、制御装置80のバルブ制御部83aは、切替バルブ74の切替状態が「吸引状態」から「吐出状態」となるように、当該切替バルブ74に対して切替制御を行う。次いで、制御装置80のシリンジ制御部83bは、プランジャ40の位置状態が「吸引位置」に位置する状態から「吐出位置」に位置する状態となるように、データ記録部84にあらかじめ記憶されたプランジャ40の吐出位置に関するデータに基づいて、駆動部50によって当該プランジャ40を上方に向けて移動させる。
これにより、図5(a)に示すように、第1内部空間に収容された試液Sが、第2配管72、切替バルブ74、及び第3配管73を介してキュベット60に流入される。これにて、分注システム1の動作が終了する。
(効果)
このように実施の形態1によれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ30内におけるプランジャ40が移動する位置のうち、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャ40が位置する場合でも、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44のうち、当該シリンダ30の長手方向において最も流入出口31側に位置する第1段部42が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ30及び当該プランジャ40を形成したので、例えば、シリンジ20による試液Sの吸引及び吐出に伴ってプランジャ40の移動が繰り返し行われる場合において、プランジャ40を吐出位置に位置させた場合に、シリンダ30の内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液Sが第1段部42の外縁に付着しても、プランジャ40を吸引位置に位置させた場合に、第1段部42の外縁がシリンダ30の内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、第1段部42の外縁に付着した試液Sがシリンダ30の内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液Sが第2内部空間に流入することを抑制できる。よって、従来に比べて、第2内部空間で試液Sに含まれる物質が析出されることを抑制できることから、この析出物によるプランジャ40の損傷を抑制することができる。
また、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の各々の端部のうち、シリンダ30の長手方向における流入出口31側の端部とは反対側の端部の角部を、エッジ形状としたので、例えば、第2内部空間で析出された上記析出物がシリンダ30の内縁における第1内部空間、第2内部空間、又は第3内部空間に対応する部分に付着した場合でも、プランジャ40の移動に伴って、当該付着した上記析出物をかき落とすことができる。よって、シリンダ30の内縁に上記析出物が付着し続けることを抑制できるため、上記析出物が第1段部42(あるいは、第2段部43又は第3段部44)とシリンダ30との間に入り込むことで、当該第1段部42(あるいは、第2段部43又は第3段部44)が損傷することを回避できる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、プランジャ40に複数の段部を設けた形態であって、実施の形態1とは複数の段部の配置が異なる形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
(構成)
最初に、実施の形態2に係る分注システムの構成を説明する。図6は、実施の形態2に係る分注システムの領域Aの拡大図である。図7は、プランジャの位置状態を示す図であり、(a)はプランジャが吐出位置に位置する状態を示す図であり、(b)はプランジャが吸引位置に位置する状態を示す図である。図6、図7に示すように、実施の形態2に係る分注システム101は、実施の形態1に係る分注システム1とほぼ同様に構成される。ただし、シリンジ20の構成については、下記に示す工夫が施されている。
(構成−シリンジの構成)
シリンジ20は、シリンダ30と、プランジャ40とを備えている。このうち、シリンダ30の内部には、第1内部空間と、第2内部空間と、第3内部空間とが設けられている。また、プランジャ40は、チップ部41と、軸部45とを備えている。このうち、チップ部41の外周面には、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44とが設けられている。これら第1段部42、第2段部43、及び第3段部44は、当該第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の各々の外縁がシリンダ30の内縁と接触するように配置されていると共に、上下方向に沿って相互に間隔を隔てて上から順に並設配置されている。
ここで、シリンダ30及びプランジャ40の構成については、プランジャ40の損傷をさらに一層抑制するために、以下に示す構成が採用されている。
具体的には、シリンダ30における第3内部空間の上下方向の長さについては、図6に示すように、プランジャ40のチップ部41における第1段部42の上端から第2段部43の下端に至る長さと略同一の長さに設定されている。
また、プランジャ40の形状については、図6に示すように、チップ部41の上下方向の長さが、第1内部空間の上下方向の長さと第3内部空間の上下方向の長さとの合計長さに設定されている(すなわち、実施の形態1のチップ部41の上下方向の長さに比べて長く設定されている)。
また、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の配置については、図7(a)、図7(b)に示すように、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、プランジャ40が位置する場合でも、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44のうち、当該プランジャ40が吐出位置に位置する場合においてシリンダ30の第1内部空間に位置する部分全体が第1内部空間又は第3内部空間に位置するように配置されている。より具体的には、プランジャ40が吐出位置に位置する場合には、第1段部42及び第2段部43は第1内部空間に位置し、且つ第3段部44は第3内部空間に位置すると共に、プランジャ40が吸引位置に位置する場合には、第1段部42及び第2段部43は第3内部空間に位置し、且つ第3段部44は第2内部空間に位置するように配置されている(すなわち、第1段部42と第2段部43との相互間の距離が、実施の形態1の場合と略同一であるものの、第2段部43と第3段部44との相互間の距離が、実施の形態1と比べて長くなるように配置されている)。
このようなシリンダ30及びプランジャ40の構成により、シリンジ20による試液Sの吸引及び吐出に伴って、プランジャ40のシリンダ30内での移動が繰り返し行われたとしても、以下に示す事項を根拠として、プランジャ40の損傷を一層抑制することができる。具体的には、まず、シリンジ20を吐出位置から吸引位置に移動させると、第1内部空間に試液Sが収容されることで、当該試液Sがシリンダ30の内縁における第1内部空間に対応する部分に付着する可能性がある。次に、シリンジ20を吸引位置から吐出位置に移動させると、上記第1内部空間に対応する部分に付着した試液Sが、当該第1内部空間に対応する部分と第1段部42との間、及び当該第1内部空間に対応する部分と第2段部43との間に入りこむことにより、当該第1段部42の外縁と当該第2段部43の外縁に付着する可能性がある。次いで、シリンジ20を吐出位置から吸引位置に再び移動させると、上記第1段部42の外縁及び第2段部43の外縁に付着した試液Sが、シリンダ30の内縁における第3内部空間に対応する部分と第1段部42との間、及び当該第3内部空間に対応する部分と第2段部43との間に入り込むことにより、当該第3内部空間に対応する部分に付着する可能性があるものの、当該試液Sの付着をシリンダ30の内縁における第2内部空間に対応する部分の手前でとどめることができる。これにより、上記第1段部42の外縁及び第2段部43の外縁に付着した試液Sがシリンダ30の内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避できることから、第1内部空間に収容された試液Sが第2内部空間に流入することを一層抑制できる。よって、実施の形態1に比べて、第2内部空間で試液Sに含まれる塩類等が析出されることを抑制できるため、この析出物によってプランジャ40が損傷することを一層抑制することができる。
(効果)
このように実施の形態2によれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ30内におけるプランジャ40が移動する位置のうち、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャ40が位置する場合でも、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44のうち、当該プランジャ40が吐出位置に位置する場合において第1内部空間に位置する部分全体が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ30及び当該プランジャ40を形成したので、例えば、シリンジ20による試液Sの吸引及び吐出に伴ってプランジャ40の移動が繰り返し行われる場合において、プランジャ40を吐出位置に位置させた場合に、シリンダ30の内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液Sが上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁に付着しても、プランジャ40を吸引位置に位置させた場合に、上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁がシリンダ30の内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁に付着した試液Sがシリンダ30の内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液Sが第2内部空間に流入することを一層抑制できる。
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。従来のシステムよりもプランジャ40の損傷を抑制することができない場合であっても、本願発明の手段が従来のシリンジ20の手段と異なっている場合には、本願発明の課題が解決されている。
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、制御装置80を複数の装置に分散して構成することができる。
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
(試液について)
上記実施の形態1では、試液Sとして希釈液のみが用いられると説明したが、これに限られず、複数の試液Sが用いられてもよい。例えば、試液容器10からキュベット60に希釈液を分注するために、試液Sとして希釈液が用いられると共に、シリンジ20のシリンダ30内を洗浄するために、試液Sとして洗浄液が用いられてもよい。この場合において、試液Sが洗浄液である場合の分注システム1の動作においては、制御装置80の制御部83が、シリンダ30の内縁に付着した希釈液が第2内部空間に流入しないように制御されること、すなわち、試液Sが希釈液である場合の分注システム1の動作と略同一の制御が行われることが望ましい(なお、実施の形態2で、試液Sとして希釈液及び洗浄液が用いられる場合についても同様とする)。
(シリンダについて)
上記実施の形態1、2では、シリンダ30が中空状の略円柱体にて形成されていると説明したが、これに限られず、例えば、略角柱状体(例えば、三角柱状体、直方体等)にて形成されてもよい。この場合には、プランジャ40のチップ部41が、シリンダ30の形状に対応する形状となるように略角柱状体にて形成されてもよい。
また、上記実施の形態1、2では、シリンダ30の第1内部空間の上下方向の長さが、180μL〜200μLの試液Sが収容可能な長さに設定されていると説明したが、これに限られず、例えば、180μL〜200μL以外の他の容量の試液S(具体的には100μLの試液S、300μLの試液S等)が収容可能となる長さにて設定されてもよい。
また、上記実施の形態1、2では、シリンダ30が上下方向に沿って配置されていると説明したが、これに限られず、例えば、左右方向に沿って配置されてもよく、あるいは左右方向(又は上下方向)に対して傾斜して配置されてもよい。この場合には、シリンダ30の長手方向のいずれか一方の端部に流入出口31が設けられ、シリンダ30の長手方向のいずれか他方の端部に挿通口32が設けられる。
(プランジャについて)
上記実施の形態1、2では、プランジャ40の軸部45の外径が、チップ部41の外径よりも小さい径に設定されていると説明したが、これに限られず、例えば、プランジャ40のチップ部41の外径又はシリンダ30の内径と略同一に設定されてもよい。
また、上記実施の形態1、2では、プランジャ40は、駆動部50を備えていると説明したが、駆動部50を省略してもよい。この場合には、プランジャ40は、ユーザによって軸部45が押し引きされることで、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に移動されてもよい。
(段部について)
上記実施の形態1、2では、段部の設置個数が3つであると説明したが、これに限られない。例えば、段部とシリンダ30との接触抵抗を小さくするために、段部の設置個数が1つ又は2つであってもよい。あるいは、段部とシリンダ30との接触抵抗を高めるために、段部の設置個数が4つ以上であってもよい。
また、上記実施の形態1、2では、3つの段部の上下方向の長さが異なる長さに設定されていると説明したが、これに限られず、例えば3つの段部の上下方向の長さが同一の長さに設定されてもよい。
また、上記実施の形態1では、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、プランジャ40が位置する場合でも、第1段部42全体が第1内部空間又は第3内部空間に位置するように配置されていると説明したが、これに限られず、例えば、第1段部42のうち上下方向における流入出口31側の先端部分のみが第1内部空間又は第3内部空間に位置するように配置されてもよい。ここで、「先端部分」とは、第1段部42の上端部及びその近傍部分を意味する。この場合において、シリンダ30の第3内部空間の上下方向の長さは、上記先端部分の上下方向の長さと略同一に設定される。すなわち、チップ部41の上下方向の長さが、実施の形態1のプランジャ40の上下方向の長さに比べて短く設定できる(特に、第1段部42と第2段部43との相互間の距離が、実施の形態1の場合と略同一であるものの、第2段部43と第3段部44との相互間の距離が、実施の形態1と比べて短くなる)。
また、上記実施の形態1、2では、チップ部41の外周面の一部に、複数の段部が設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、チップ部41の外周面全体にわたって、1つの段部が設けられてもよい。この場合には、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、プランジャ40が位置する場合でも、1つの段部のうち、プランジャ40が吐出位置に位置する場合においてシリンダ30の第1内部空間に位置する部分全体が第1内部空間又は第3内部空間に位置するように配置される。
また、上記実施の形態1、2では、第1段部42、第2段部43、及び第3段部44の各々の端部のうち、下端部の角部がエッジ形状に設定されていると説明したが、これに限られない。例えば、上記下端部の角部がエッジ形状以外の他の形状(例えば、上記角部がシリンダ30の内縁に対して鈍角(例えば120°等。ただし、直角の近傍角度は除く。)となる形状にて設定されてもよい。
(付記)
付記1のシリンジは、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためのシリンジであって、長尺な中空状に形成されたシリンダと、前記シリンダの内部において、当該シリンダの長手方向に沿って移動可能に挿入されたプランジャと、を備え、前記シリンダには、当該シリンダの長手方向の一方の端部に形成された流入出口であって、前記プランジャの移動に伴って、試液を当該シリンダの内部に流入させ、且つ試液を当該シリンダの内部から流出させるための流入出口を設け、前記プランジャは、前記シリンダの内部に収容された試液を押圧するためのチップ部と、前記チップ部の端部のうち、前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部とは反対側の端部から前記流入出口側とは反対側に向けて突出するように配置された軸部と、を備え、前記シリンダの内部には、前記プランジャの移動に伴って前記流入出口から流入される試液を収容するための第1内部空間と、前記第1内部空間よりも前記シリンダの長手方向における前記流入出口側とは反対側に形成された第2内部空間であって、前記チップ部が前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部と接触した状態で、当該チップ部よりも前記シリンダの長手方向において前記流入出口側とは反対側に位置する第2内部空間と、前記第1内部空間と前記第2内部空間との相互間に形成された第3内部空間とを設け、前記プランジャには、前記シリンダの内部空間を仕切る段部であって、当該段部の外縁が前記シリンダの内縁と接触するように配置された段部を設け、前記一定量以下の試液を吸引及び吐出するために前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、当該シリンジが所定量の試液を吸引する位置である吸引位置から当該シリンジが試液を全量吐出する位置である吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向における前記流入出口側の先端部分が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した。
また、付記2のシリンジは、付記1のシリンジにおいて、前記プランジャには、複数の前記段部を相互に間隔を隔てて前記シリンダの長手方向に沿って並設し、前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、前記吸引位置から前記吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記複数の段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向において最も前記流入出口側に位置する前記段部が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した。
また、付記3のシリンジは、付記1又は2のシリンジにおいて、前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、前記吸引位置から前記吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記段部のうち、当該プランジャが前記吐出位置に位置する場合において前記第1内部空間に位置する部分全体が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した。
また、付記4のシリンジは、付記1から3のいずれか一項のシリンジにおいて、前記段部の端部のうち、前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部とは反対側の端部の角部を、エッジ形状とした。
(付記の効果)
付記1記載のシリンジによれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ内におけるプランジャが移動する位置のうち、当該シリンジが吸引位置から当該シリンジが吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向における流入出口側の先端部分が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成したので、例えば、シリンジによる試液の吸引及び吐出に伴ってプランジャの移動が繰り返し行われる場合において、プランジャを吐出位置に位置させた場合に、シリンダの内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液がこの先端部分の外縁に付着しても、プランジャを吸引位置に位置させた場合に、この先端部分の外縁がシリンダの内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、この試液がシリンダの内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液が第2内部空間に流入することを抑制できる。よって、従来に比べて、第2内部空間で試液に含まれる物質が析出されることを抑制できることから、この析出物によるプランジャの損傷を抑制することができる。また、このシリンジによれば、特に所定量で高濃度の試液(水溶液)を多数回吸引及び吐出することを要する自動分析機において、プランジャのチップ部の交換回数を減じる等の効果を奏する。
付記2記載のシリンジによれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ内におけるプランジャが移動する位置のうち、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、複数の段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向において最も流入出口側に位置する段部が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成したので、例えば、シリンジによる試液の吸引及び吐出に伴ってプランジャの移動が繰り返し行われる場合において、プランジャを吐出位置に位置させた場合に、シリンダの内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液がこの最も流入出口側に位置する段部の外縁に付着しても、プランジャを吸引位置に位置させた場合に、この最も流入出口側に位置する段部の外縁がシリンダの内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、この最も流入出口側に位置する段部の外縁に付着した試液がシリンダの内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液が第2内部空間に流入することを一層抑制できる。
付記3記載のシリンジによれば、一定量以下の試液を吸引及び吐出するためにシリンダ内におけるプランジャが移動する位置のうち、吸引位置から吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、段部のうち、当該プランジャが吐出位置に位置する場合において第1内部空間に位置する部分全体が、第1内部空間又は第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成したので、例えば、シリンジによる試液の吸引及び吐出に伴ってプランジャの移動が繰り返し行われる場合において、プランジャを吐出位置に位置させた場合に、シリンダの内縁における第1内部空間に対応する部分に付着した試液が上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁に付着しても、プランジャを吸引位置に位置させた場合に、上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁がシリンダの内縁における第3内部空間に対応する部分と接触することになることから、上記第1内部空間に位置する部分全体の外縁に付着した試液がシリンダの内縁における第2内部空間に対応する部分に付着することを回避でき、第1内部空間に収容された試液が第2内部空間に流入することをさらに一層抑制できる。
付記4記載のシリンジによれば、段部の端部のうち、シリンダの長手方向における流入出口側の端部とは反対側の端部の角部を、エッジ形状としたので、例えば、シリンダの第2内部空間で試液に含まれる物質が析出され、この析出物がシリンダの内縁における第1内部空間、第2内部空間、又は第3内部空間に対応する部分に付着した場合でも、プランジャの移動に伴って、当該付着した析出物をかき落とすことができる。よって、シリンジの内縁にこの析出物が付着し続けることを抑制できるため、この析出物が段部とシリンダとの間に入り込むことで、当該段部が損傷することを回避できる。
1 分注システム
10 試液容器
11 挿通口
20 シリンジ
30 シリンダ
31 流入出口
32 挿通口
40 プランジャ
41 チップ部
42 第1段部
43 第2段部
44 第3段部
45 軸部
50 駆動部
60 キュベット
61 挿通口
70 移送機構
71 第1配管
72 第2配管
73 第3配管
74 切替バルブ
76 分注ノズル
80 制御装置
81 入力部
82 出力部
83 制御部
83a バルブ制御部
83b シリンジ制御部
84 データ記録部
101 分注システム
200 シリンジ
210 シリンジ本体
220 プランジャ
221 ピストン軸
222 チップ
230 注入部
S 試液

Claims (4)

  1. 一定量以下の試液を吸引及び吐出するためのシリンジであって、
    長尺な中空状に形成されたシリンダと、
    前記シリンダの内部において、当該シリンダの長手方向に沿って移動可能に挿入されたプランジャと、を備え、
    前記シリンダには、当該シリンダの長手方向の一方の端部に形成された流入出口であって、前記プランジャの移動に伴って、試液を当該シリンダの内部に流入させ、且つ試液を当該シリンダの内部から流出させるための流入出口を設け、
    前記プランジャは、
    前記シリンダの内部に収容された試液を押圧するためのチップ部と、
    前記チップ部の端部のうち、前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部とは反対側の端部から前記流入出口側とは反対側に向けて突出するように配置された軸部と、を備え、
    前記シリンダの内部には、
    前記プランジャの移動に伴って前記流入出口から流入される試液を収容するための第1内部空間と、
    前記第1内部空間よりも前記シリンダの長手方向における前記流入出口側とは反対側に形成された第2内部空間であって、前記チップ部が前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部と接触した状態で、当該チップ部よりも前記シリンダの長手方向において前記流入出口側とは反対側に位置する第2内部空間と、
    前記第1内部空間と前記第2内部空間との相互間に形成された第3内部空間とを設け、
    前記プランジャには、前記シリンダの内部空間を仕切る段部であって、当該段部の外縁が前記シリンダの内縁と接触するように配置された段部を設け、
    前記一定量以下の試液を吸引及び吐出するために前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、当該シリンジが所定量の試液を吸引する位置である吸引位置から当該シリンジが試液を全量吐出する位置である吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向における前記流入出口側の先端部分が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した、
    シリンジ。
  2. 前記プランジャには、複数の前記段部を相互に間隔を隔てて前記シリンダの長手方向に沿って並設し、
    前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、前記吸引位置から前記吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記複数の段部のうち、少なくとも当該シリンダの長手方向において最も前記流入出口側に位置する前記段部が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した、
    請求項1に記載のシリンジ。
  3. 前記シリンダ内における前記プランジャが移動する位置のうち、前記吸引位置から前記吐出位置までのいずれの位置に、当該プランジャが位置する場合でも、前記段部のうち、当該プランジャが前記吐出位置に位置する場合において前記第1内部空間に位置する部分全体が、前記第1内部空間又は前記第3内部空間に位置するように、当該シリンダ及び当該プランジャを形成した、
    請求項1又は2に記載のシリンジ。
  4. 前記段部の端部のうち、前記シリンダの長手方向における前記流入出口側の端部とは反対側の端部の角部を、エッジ形状とした、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のシリンジ。
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