JP2016070686A - Tdlas法による濃度測定装置。 - Google Patents

Tdlas法による濃度測定装置。 Download PDF

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豊文 梅川
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昌博 川崎
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Abstract

【課題】TDLAS法による濃度測定装置において基準光路を必要としない。
【解決手段】TDLAS法による濃度測定装置において、演算手段は、前記吸収信号より、前記濃度を求める式あるいはテーブルを用いて目的物質の濃度を得る。抽出手段は、測定時に前記受光信号より、駆動信号に対応する信号を抜き出す。初期値記憶手段は、前記抜き出された信号に基づいて、濃度を求める式、またはテーブルを決定した時点での、前記駆動信号を構成する特定の要素に対応する初期信号の大きさαを記憶する。変化分算出手段は、前記初期信号の大きさαと、前記抽出された実測信号の大きさβとの変化分を算出する。補正手段は、前記変化分に基づいて目的物質の濃度を補正する。
【選択図】図6

Description

本発明は濃度測定に関し、特にTDLAS法でのレーザ強度の変化を補正する濃度測定装置に関するものである。
半導体製造時に使用するアンモニア、塩化水素などの各種のガスは純度が高い程、被加工物質に与えるダメージは少なくなる。ところが、僅かではあっても水分等の不純物が製造過程で混入してしまうのが現状である。
上記のようにガス中の水分濃度は用途に応じて、できるだけ少なくすることが要求されることがあるが、この点を改良するには、まず対象ガスの水分濃度を測定する必要がある。
また、各種炉(焼結炉、窒化炉、無酸化過熱炉、アンモニア炉)でも低濃度の水分管理が重要となっている。
試料ガスに含まれる目的物質の濃度を測定する方法としてTDLAS(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy)法がある。目的物質を含む試料ガス(雰囲ガス)を充填した測定セルに、波長可変レーザダイオードより、対象物質の吸収波長前後のレーザを入射し、当該測定セルからの出射光を光電変換した吸収信号の大きさ(より正確には吸収信号の2次微分相当の大きさ)から対象物質の濃度を得ようとするものである。
TDLAS法は、ppmレベルのガスや水分の濃度を高感度かつリアルタイム(応答性は数秒)に測定出来、他のガス成分や共存物質の影響を受けないという特徴がある。
この方法は、レーザ発光素子、受光素子が、前記測定セルの外部(通常は大気中)に配置されるところから、大気中に対象物質が含まれない、あるいは測定セル内の対象物質濃度に対して大気中の対象物質濃度が無視できる程小さいことを前提として成立する方法である。
ところで、TDLAS法で使用するレーザ光の強度は、測定装置が置かれた環境の変化(例えば、電源電圧の変動)によって、測定の都度、その強度が変化する。また、発光素子をはじめ、測定装置に用いた部品は経年により徐々にその特性が変化する。従って、前記吸収信号の大きさが、そのまま試料ガス中の目的物質の濃度を表すのではなく、同じ強度のレーザ光で測定した既知の濃度での吸収信号の大きさとの比較において、正確な濃度を得ることができる。
一般に、上記既知の濃度での吸収信号の大きさを把握するために、前記既知の濃度の目的物質を含む試料ガスを充填した基準セルに、入射光の一部を分岐して入射し、その出射光を光電変換することにより、基準となる値を得、当該基準となる値に基づいて、測定セルより得られた濃度を補正することがなされている(例えば、特開2001−21493号公報、図3の符合C3、16参照)。
特開2001−21493号公報
上記の従来の補正方法によると、本来の測定セルを通る光路と、基準の測定セル(以下基準セルとする)を通る光路の二重の光路を備える必要があり、部品点数が増え、コスト的にもデメリットが大きくなる。
加えて、本願は試料ガス中の水分濃度を測定しようとするものであるが、水分は前記測定セル内だけではなく、当該測定セルが配置される環境にも高濃度で存在することになる。
後に説明するように、装置が置かれる環境下の水分濃度と、測定セル内の試料ガスに含まれる水分濃度を分離し、試料ガスに含まれる水分濃度のみを測定できるTDLAS法による濃度測定装置(方法)が提案されているが、この装置(方法)では、上記した環境による、あるいは経年によるレーザ光の強度の変化については考慮されていない。
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、TDLAS法を用いたガス濃度測定装置において、1光路のみで、得られた濃度値を基準の光強度下で測定したときに相当する濃度値に補正できる濃度測定装置を提案することを目的とするものである。
本発明は前記目的を達成するために以下の手段を採用している。まず本発明は、オフセット信号にスイープ信号を重畳した駆動信号により駆動された発光素子により得られるレーザ光を測定セルに入射して、当該測定セルに充填された試料ガス中の目的物質で前記レーザ光を吸収させ、出射側の受光素子から得られる吸収信号強度により当該目的物質の濃度を測定するTDLAS法による濃度測定装置を前提とするものであり、下記の演算手段と、抽出手段と、初期値記憶手段と、変化分算出手段と、補正手段より構成される。
演算手段は、前記吸収信号より、前記濃度を求める式あるいはテーブルを用いて目的物質の濃度を得る。
抽出手段は、測定時に前記受光信号より、駆動信号を構成する特定の要素に対応する信号を抜き出す。
初期値記憶手段は、前記抽出手段が抜き出した信号に基づいて、吸収信号の影響を受けない波長での初期信号αの大きさを記憶する。
変化分算出手段は、前記初期値記憶手段に記憶された初期信号の大きさαと、前記抽出手段が抜き出した信号の、吸収信号の影響を受けない波長での実測信号の大きさβとの変化分を算出する。
補正手段は、前記演算手段より得られる目的物質の濃度を、前記変化分に対応する値に基づいて補正する。
前記初期信号の大きさは、前記濃度を求める式、またはテーブルを決定した時点での、前記受光信号中のスイープ信号のピーク・ボトム間に対応する信号強度、または、前記受光信号の平均信号強度、あるいは、前記受光信号中のオフセットに対応する信号強度を用いることができる。また、前記実測信号の大きさは前記各初期信号に対応して、測定時の前記抽出手段が抜き出した信号中のスイープ信号のピーク・ボトム間に対応する信号強度、または、前記前記抽出手段が抜き出した信号の平均信号強度、あるいは、前記抽出手段が抜き出した信号中のオフセット信号に対応する信号強度を用いることができる。
前記演算手段は、吸収信号の二次微分相当の信号を生成するロックインアンプと、前記二次微分相当の信号から測定セル内の目的物質の濃度を求めるフィッティング手段とを備えている。ここで、前記補正手段は、前記ロックインアンプの出力に対して補正を掛ける態様、前記フィッティング手段の出力に対して補正を掛ける態様、前記ロックインアンプのゲインを調整する態様が考えられる。
上記の装置によって、1光路で、発光素子の発光強度の変化に対応することができ、基準セルは不要となる。
TDLAS法を説明する図。 図1で示す各部の吸収信号の波形を示す図。 本発明の濃度計のブロック図。 基準信号波形図。 フィッティング処理を説明する図。 本願発明の補正回路のブロック図。 本発明の別の補正回路ブロック図。 本発明の更に別の補正回路のブロック図。
<TDLAS法>
図1はTDLAS法による濃度測定の原理を示す概念図である。
対象物質を含む試料ガスが充填された所定長さの測定セル100の一方端から、図1(b)に示すような、特定の電流オフセットを持った10Hz程度の三角波(もしくは鋸波)であるスイープ信号に、10kHz程度の正弦波が重畳された駆動信号によって駆動された発光素子(波長可変レーザダイオード)10からのレーザ光が入射される。従ってこのレーザ光は、三角波の大きさに対応して波長λが変化(電流が大きくなると波長が短くなる)し、かつ、正弦波に従って前記波長λが変化する図1(c)に示す波長となる。このように入射されたレーザ光は図1(d)の上段に示すように、測定セル100内で対象物質に対応する特定の波長付近で吸収される。この吸収信号波形の2次微分に対応する信号波形の大きさから、対象物質の濃度を測定することになる。
<本発明が適用される水分濃度測定の手順>
前記、吸収信号の大きさは、主として測定時の光路長、測定ガス(試料ガス)の圧力、対象物質の濃度に依存する。また、吸収信号の半値幅は測定ガスの圧力に比例し、圧力が低いほど、吸収波長の帯域は狭くなり、吸収信号の波形は鋭くなる。尚、上記半値幅とは、吸収信号の増加率が最も大きい点と減少率が最も大きい点間の幅を意味し、吸収信号の二次微分をとると、谷ピーク間の幅として現れる。
このように、吸収信号の波長帯域は測定ガスの圧力に比例するので、大気圧の1/10の環境下で得られる吸収信号の波形の前記半値幅は、図2(Aa)に示すように、大気圧から得られる吸収信号波形の半値幅(図2(Ab))の1/10となる。ちなみに水分による1392.53nm近辺の吸収信号の波形の半値幅は大気圧で0.02nm、大気圧の1/10で0.002nmとなる。
前記測定セル100内の圧力を大気圧の1/10、測定セル100が置かれた環境を大気圧とすると、前記したように光路は大気中と測定セルの両方に跨ることになり、図2(Ab)に示す信号と、図2(Aa)に示す信号が重なった波形が測定セル100からの出力信号(吸収信号)となる。この信号波形を個々に2次微分を取った場合には図2(Ba)、同(Bb)となり、ここでは、前記半値幅が立ち上りの基端部(谷ピーク)の幅として現れ、この幅が測定ガスの圧力に対応し、高さ(大きさ)が対象物質の濃度に対応することになる。
後に説明するように、本願発明では、両者が重なった図2(Ca)に示す信号波形が得られる。ここで、図2(Ca)に示す信号波形から、図2(Cb)に示すように、測定セル100内での吸収信号の波形のみを抽出することによって、当該抽出された波形の大きさ(谷ピーク間の高さ)から、試料ガスに含まれる対象物質の濃度が求められることになる。
<装置>
図3は本発明が適用される装置の概要を示すブロック図である。尚、以下の実施例では対象物質を水分とする。
所定長さの測定セル100に対して試料ガスが大気圧より充分低い圧力、例えば1/10の圧力で充填されるようになっている。尚、上記において、測定セル100に充填された試料ガスは、常時前記の圧力でかつ所定の量(300〜1000ml/min)流れている状態を保っている。
所定大きさの電流を出力するオフセット回路11と、三角波(または鋸波)をスイープ信号として出力するスイープ回路12からの出力と、正弦波発生回路13から出力される正弦波の変調信号が重畳されて、図1(b)に示すような駆動信号が形成される。
このLDドライバ14は前記駆動信号を用いて、レーザ発光素子(波長可変レーザダイオード)10を駆動し、対象物質(ここでは水分)の吸収波長に近いレーザ光が発光される。この光はコリメートレンズ15を介して前記測定セル100に入射される。
従って、LDドライバ14の出力により駆動されたレーザ発光素子10は、図1(b)に示す三角波の電流に従って、図1(c)に示すように波長が短くなるとともに、変調波の正弦波に対応して波長が変化するレーザ光を出力することになる。
尚、水分が測定対象であるときは、前記レーザ光の吸収波長は1392.5nmをピークとする。従って、測定セル100での吸収信号の波形は図1(d)に示すように、1392.5nmをピークとする波形となり、スイープ信号のピーク・ボトム間の中央値は当該1392.5nmに対応する電流値となる。
上記は、測定セル100内でのレーザ光の吸収を意味しているが、測定セル100に至る前段には、発光素子10とコリメートレンズ15との間、あるいは、コリメートレンズ15と測定セル100の入射窓との間、更に、測定セル100の出射窓と受光素子20との間には、僅かな間隙(全体で数ミリ程度)があり、その圧力は大気圧である。
前記したように、前記レーザ光の吸収強度は、水分濃度、光路長に比例し、圧力と温度にも関係するので、ここでは発光素子10から受光素子20までを恒温槽に入れ、測定セル100内の温度と、前記大気部分の温度は同じで、かつ一定とみなせる状態とする。また、測定セル100内の圧力は一定に保持する。また、吸収信号の波長帯域の半値幅は前記したように測定雰囲気の圧力に比例する。
従って、上記大気部分の水分濃度に対応する吸収信号の波形は、図2(Ab)に示すようにレーザ光の波長帯域の広い範囲で現れ、測定セル100の内部の水分濃度による吸収信号の波形は、図2(Aa)に示すように帯域の狭い範囲で表れ、受光素子20からは両者の重なった信号が出力され、演算手段(ロックインアンプ22+フィッティング手段23)200に入力されることになる。
ロックインアンプ22では、前記受光素子20からの吸収信号波形の2次微分に相当する波形の信号を得る。当該2次微分に相当する波形は、図2(Ca)に示すような波長帯域の広い波形と、帯域が狭くて鋭い波形が組み合わされ、その重なった信号はフィッティング手段23に入力される。
フィッティング手段23では、上記のようにしてロックインアンプ22から得られた信号から、測定セル100での吸収信号に相当する部分を抽出し、水分濃度を決定する処理をする。
まず、図4(a)に示す測定セル100で得られる吸収信号の2次微分波形の基準パターンRaと、図4(b)に示す大気中の吸収信号の2次微分波形の基準パターンRbをフィッティング手段23の記憶手段24に記憶させておく。
ここで、吸収信号に対応する2次微分波形の半値幅は、圧力に比例するのであるから、測定セル100内の圧力を固定にするようにしておくと、測定セル側の基準パターンRaの谷−谷幅(半値幅)は、前記固定にされた測定セル100内の圧力に対応した値となる。従って、後述するフィッティング処理においては、水分濃度に応じて高さを調整すればいいことになる。
一方、大気に対応する基準パターンRbの帯域幅は1気圧近辺でほぼ一定であり、高さは、そのときの湿度に対応することになる。
前記の2つの基準パターンを、ロックインアンプ22からの出力信号(図5(a))の波形にフィッティングさせる。フィッティングの手順は本発明の本質ではないので、省略するが、図5(b)に示すように、図5(a)に示すロックインアンプ22からの出力信号波形に対して、大気対応の基準パターンRbと、測定セル100の基準パターンRaが重なるように、フィッティング処理をする。
このようにしてフィッティングが完了すると、図5(c)に示すように、完了後の低圧部の基準パターンRaを抽出して、谷ピーク間の中間位置(P1−P2の1/2)に対応する位置と山ピークP0間の高さhを求める。この高さhからフィッティング手段22は測定セル100内の水分濃度を算出することになる。高さhから水分濃度を算出する具体的な方法としては、所定圧力での高さ(大きさ)hと水分濃度との関係をテーブルにして記憶させておく。
<補正処理>
ところで、前記理論式での各係数値は、測定セル100内の水分濃度が一定であっても、測定毎にレーザ光の強度が異なると、測定毎に異なった値を使う必要が生じて不都合である。また、濃度決定に、所定圧力での高さ(大きさ)hと水分濃度との関係をテーブルを用いるについても、レーザ光の強度が異なる毎に異なったテーブルを用いる必要が生じて不都合である。
ところが、上記構成において発光素子10からのレーザ光の強度は、発光素子の特性の経年劣化、回路を構成する素子の物性値(容量、抵抗等)の経年変化によって、あるいは外部電源の電圧の変化等によって変化する。
そこで本発明では、基本的には、「所定の時点」での駆動信号の構成要素に対応する受光素子20の強度(以下受光信号という)を基準とし、当該基準(以下初期値という)の値αと測定時の受光信号の強度β(実測信号の強度)との「変化分」を利用して、演算手段200で得られた値を補正する。
ここで駆動信号の構成要素に対応する値としては、前記スイープ信号である三角波(鋸波)のピーク・ボトム間の受光側で信号強度の差が採用される。また。前記「変化分」は、以下に説明するようにβ/α、あるいはβ―αで表される値である。
図6は、クロックインアンプ22の出力に前記補正をするための機能ブロック図を演算手段との関係で示した図である。
フィッッティング手段22で、水分濃度を算出する場合は、当該式の各係数を「所定の時点」の受光素子20の出力する吸収信号に基づいて決定する。また、フィッッティング手段23で、テーブルを用いて水分濃度を決定する場合も同様、「所定の時点」の受光素子20の出力する吸収信号に基づいてテーブルの各値(水分濃度)を決定しておく。更に、前記「所定の時点」での受光素子20の出力する前記駆動信号に含まれる三角波(鋸波)(スイープ信号)に対応する信号の強度(ピーク・ボトム間の信号強度)を初期値として初期記憶手段33に記憶しておく。
多くの場合上記の「所定の時点」とは製造工程のある時点、例えば出荷直前の時点ということになる。また、受光素子20の出力である受光信号は、入射側の前記駆動信号に対応し、抽出手段31を介して得られる。また前記吸収信号は前記受光信号に含まれる信号であって、例えば、図2(a)、(b)によって示される。
現実の測定時には測定セル100を透過したレーザ光を受光素子20で光電変換して得た吸収信号を、演算手段200を構成するロックインアンプ22に入力し、前記吸収信号の二次微分相当の信号を得る。
他方、前記受光素子20で光電変換して得た受光信号を分岐し、抽出手段31を介して、駆動信号(オフセット信号+三角波(鋸波))対応の信号を抽出し、更に、その中の三角波(鋸波)(スイープ信号)のピーク・ボトム間の信号強度を抽出して変化分算出手段32に入力する。次いで、変化分算出手段32では、前記初期値記憶手段33に記憶された初期の三角波(鋸波)に対応する信号強度αと、実際の測定に用いられた三角波(鋸波)の前期ピーク・ボトム間の信号強度βとの比β/αを求める。
次いで、補正手段34は、前記ロックインアンプ22より得られた信号に対して、前記比の逆数α/βを掛け合わせる。これによってレーザ光の強度が初期値であるときの二次微分相当の信号を得ることになる。
このようにして得られた値をフィッティング手段23に入力してフィッティング処理をするとともに、測定セル100内の水分濃度を得ることになる。
図7は前記補正をフィッッティング手段23の出力に対して補正を行う場合を示したものである。
初期値記憶手段33での記憶事項は前記図6の場合と同じである。更に、変化分算出手段32が、前記初期値記憶手段33に記憶された初期の三角波(鋸波)のピーク・ボトム間の信号強度αと、測定に用いられた三角波(鋸波)のピーク・ボトム間の信号強度β(実測信号の強度)との比β/αを求める点も上記図6での説明と同じである。
測定セル100を透過したレーザ光を受光素子20で光電変換して得た吸収信号から、前記したように演算手段200(ロックインアンプ22+フィッッティング手段23)で水分濃度を得る。
このように、フィッティング手段23で得られた値に対して補正演算手段34で前記比の逆数α/βを掛けてレーザ光の強度が初期の強さであるときの水分濃度を得ることになる。
図8では前記「変化分」として変化分演算手段32でαとβの差分(β―α)が求められる。この差分をロックインアンプ22に入力し、当該ロックインアンプ22は差分に応じてゲインを調整することになる。
尚、上記において、三角波(スイープ信号)のピーク・ボトム間の信号強度を抽出しているが、必ずしもピーク・ボトム間の信号強度でなくても、初期値α、測定値βとも水分の吸収の影響を受けない波長位置での信号強度であれば足りる。ピーク位置、ボトム位置は水分の吸収の影響を受けない波長位置である。
以上、スイープ信号の信号強度(ピーク・ボトム間の信号強度)の変化に応じて補正する内容で説明したが、本発明はこれに限らず、駆動信号を構成する要素の変化に対応して補正をすれば足りる。例えば、オフセット信号の信号強度の変化、駆動信号の平均値の信号強度の変化を採用することもできる。
また、水分を測定する場合、上記のように濃度測定装置が置かれる環境の水分の影響を排除する必要上、上記のようにフィッティング手段でのフィッティング処理を必要とする。しかしながら、目的物質が大気中に存在しない、あるいは殆ど存在しない場合は、上記ロックインアンプからの出力から直接目的物質の濃度を演算できる。本発明はこのようにフィッティング処理を必要としない濃度測定装置にたいしても当然適用できる。
以上のようにして、レーザ光の強度が環境によって、あるいは経年的に変化しても、当該変化に関係なく、基準用の光路を設けなくても、基準の強度の下での濃度値を得ることができる。また、以上の説明では水分を目的物質としたが、これに限定されることもない。
以上説明したように、本発明は基準用の光路を設けることなく、レーザ光が環境によって、あるいは経年的に変化しても、当該変化に関係なく基準の強度の下での濃度値を得ることができ、産業上極めて有効である。
10 レーザ発光素子
12 スイープ信号発生回路
11 オフセット回路
13 正弦波発生回路
14 LDドライバ
15 コリメートレンズ
20 受光素子
22 ロックインアンプ
23 フィッティング手段
31 抽出手段
32 変化分算出手段
33 初期値記憶手段
34 補正演算手段
100 測定セル
200 演算手段
Ra 基準パターン
Rb 基準パターン

Claims (7)

  1. オフセット信号にスイープ信号を重畳した駆動信号により駆動された発光素子により得られるレーザ光を測定セルに入射して、当該測定セルに充填された試料ガス中の目的物質で前記レーザ光を吸収させ、出射側の受光素子より得られる受光信号に含まれる吸収信号の強度より当該目的物質の濃度を測定するTDLAS法による濃度測定装置において、
    前記吸収信号より、前記濃度を求める式あるいはテーブルを用いて目的物質の濃度を得る演算手段と、
    測定時に前記受光信号より、駆動信号を構成する特定の要素に対応する信号を抜き出す抽出手段と、
    濃度を求める式、またはテーブルを決定した時点での、前記抽出手段が抜き出した信号の、吸収信号の影響を受けない波長での初期信号の大きさαを記憶する初期値記憶手段と、
    前記初期信号の大きさαと、実際の測定時に、前記抽出手段が抜き出した信号中の、吸収信号の影響を受けない波長での実測信号の大きさβとの変化分を算出する変化分算出手段と、
    前記演算手段より得られる目的物質の濃度を、前記変化分に対応する値に基づいて補正する補正手段と
    を備えたことを特徴とするTDLAS法による濃度測定装置。
  2. 前記初期信号の大きさが、濃度を求める式、またはテーブルを決定した時点での、スイープ信号に対応するピークとボトム間の信号強度であり、前記実測信号の大きさが、測定時の前記抽出手段が抜き出した信号中のスイープ信号のピークとボトム間の信号強度である請求項1に記載のTDLAS法による濃度測定装置。
  3. 前記初期信号の大きさが、前記濃度を求める式、またはテーブルを決定した時点での、前記駆動信号に対応する平均信号強度であり、前記実測信号の大きさが、測定時の前記前記抽出手段が抜き出した信号の平均信号強度である請求項1に記載TDLAS法による濃度測定装置。
  4. 前記初期信号の大きさが、前記濃度を求める式、またはテーブルを決定した時点での、前記受光信号中のオフセット信号に対応する信号強度であり、前記実測信号の大きさが、測定時の前記抽出手段が抜き出した信号中のオフセット信号に対応する信号強度である請求項1に記載のTDLAS法による濃度測定装置。
  5. 前記演算手段が、吸収信号の二次微分相当の信号を生成するロックインアンプと、前記二次微分相当の信号から測定セル内の目的物質の濃度を求めるフィッティング手段とを備え
    前記補正手段はβ/αの形で得た前記変化分の逆数を前記ロックインアンプの出力に掛け合わせることによって前記二次微分相当の信号の大きさを補正し、フィッティング手段に入力する請求項1に記載のTDLAS法による濃度測定装置。
  6. 前記演算手段が、吸収信号の二次微分相当の信号を生成するロックインアンプと、前記二次微分相当の信号から測定セル内の目的物質の濃度を求めるフィッティング手段とを備え
    前記補正手段はβ/αの形で得た前記変化分の逆数を、前記フィッティング手段より出力される測定セル内での目的物の濃度値に掛け合わせる請求項1に記載のTDLAS法による濃度測定装置。
  7. 前記演算手段が、吸収信号の二次微分相当の信号を生成するロックインアンプと、前記二次微分相当の信号から測定セル内の目的物質の濃度を求めるフィッティング手段とを備え
    前記補正手段はα―βの形で得た前記変化分を前記ロックインアンプに負帰還させ、当該ロックインアンプの出力に、前記変化分を反映させて、前記フィッティング手段より出力される測定セル内での目的物の濃度値を補正する請求項1に記載のTDLAS法による濃度測定装置。
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