JP2016068358A - 印刷方法及び印刷システム - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット印刷機の色域外の色を含むカラーチャートの印刷を可能とする方法等を提供する。
【解決手段】L*a*b*空間において、印刷対象のカラーチャートを構成する複数のパッチの色にそれぞれ対応するL*a*b*値の中でインクジェット印刷機の色域外であるL*a*b*値について、インクジェット印刷機の色域の限界を表すガマット上の点を新L*a*b*値として決定し、色域内のL*a*b*値については当該L*a*b*値に基づき、また、色域外のL*a*b*値については新L*a*b*値に基づきカラーチャートを印刷する。新L*a*b*値は、L*値が色域外であるL*a*b*値のL*値と同一であり、且つ、a*値及びb*値が、L*a*b*空間におけるa*b*平面において色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線上の点で示される。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット印刷機によりカラーチャートを印刷する方法等に関する。
従来、物体色用のカラーチャートには、DICカラーガイド、日本塗料工業会標準色、パントンなど様々な団体の規格が存在する。これらのカラーチャートに用いられる色やその数はそれぞれ独自の戦略に基づいて規定されており、色空間を万遍なく包含するものではない。一方で、工業製品色や景観色など実際の色選定では、複数の規格色と、着色紙や色情報データなど規格色外の色を合わせたオーダーメイド見本帳を使うユーザーが多い。こうした事情から、色空間を万遍なく包含するカラーチャートが求められている。
一方で、カラーチャートを構成する色は色調不良があると、重大な事故に繋がるおそれがあることから厳重な色調管理と耐久性が求められる。カラーチャートの印刷方法としては、特許文献1に示すようなシルクスクリーン印刷方式が知られている。シルクスクリーン印刷方式は、任意の色調を個々に色調管理できるという利点がある。
特開平11−326320号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたようなシルクスクリーン印刷方式は、手工芸に頼る調色プロセスがあり、定量化が困難とされている。また、シルクスクリーン印刷方式を採用した印刷物は、用紙や表面加工など使用材料の柔軟性や印刷生産性の利点がある一方で、クオリティー(調色誤差、厚盛によるインキコスレ)、コスト(多色印刷、都度生産する費用負担)、デリバリー(過剰在庫、納期遅延)における問題がある。
また、シルクスクリーン印刷方式よりも印刷コストの低いインクジェット印刷機を用いた印刷方法も存在するが、インクジェット印刷機は色空間を万遍なく包含するカラーチャートを印刷するに当たって色域外の色を印刷できないという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その課題の一例は、インクジェット印刷機の色域外の色を印刷可能とすることにより、インクジェット印刷機を用いて色空間を万遍なく包含するカラーチャートを印刷する方法等を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、L*a*b*空間において、印刷対象のカラーチャートを構成する複数のパッチの色にそれぞれ対応するL*a*b*値の中でインクジェット印刷機の色域外であるL*a*b*値について、前記インクジェット印刷機の色域の限界を表すガマット上の点を新L*a*b*値として決定する決定工程と、印刷材料に関する情報を参照して、印刷に使用する印刷材料を選択する選択工程と、前記選択工程で選択した印刷材料を用いて前記インクジェット印刷機が、前記色域内のL*a*b*値については当該L*a*b*値に基づき、また、前記色域外のL*a*b*値については前記新L*a*b*値に基づき前記カラーチャートを印刷する印刷工程と、を含み、前記新L*a*b*値は、L*値が前記色域外であるL*a*b*値のL*値と同一であり、且つ、a*値及びb*値が、L*a*b*空間におけるa*b*平面において前記色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線上の点で示されることを特徴とする。
当該発明によれば、色域外のL*a*b*値について新たに決定される新L*a*b*値のa*値及びb*値は、色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線状の点で示されるため、色域外のL*a*b*値のa*値及びb*値と同じ比率となることから色相が維持され、見た目も近似する。また、新L*a*b*値はガマット上の点であるため、色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線上におけるガマット内の他の点で示されるa*値及びb*値と比較して、色域外のL*a*b*値との色差が小さく、見た目が近似する。すなわち、インクジェット印刷機の色域外の色を色域内であって見た目が近似する色に置換することが可能となり、色域外の色を含むカラーチャートの印刷をインクジェット印刷機で実現することができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷方法であって、複数の色を第1測色器により測色して得られる各L*a*b*値と、当該複数の色を第2測色器により測色して得られる各L*a*b*値の対応関係を表す3次多項式を生成する生成工程と、前記生成工程で生成した3次多項式を用いて、前記印刷工程で印刷したカラーチャートを構成するパッチの色を前記第1測色器により測色して得た各L*a*b*値を、前記第2測色器によるL*a*b*値に変換する変換工程と、前記変換工程で得られた前記第2測色器によるL*a*b*値に基づいて前記印刷工程で印刷したカラーチャートを評価する評価工程と、を更に含むことを特徴とする。
当該発明によれば、第1測色器で測色しつつ、第2測色器によるL*a*b*値に基づいてカラーチャートの評価をすることができる。
更に、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の印刷方法であって、前記第1測色器は、前記第2測色器より測色効率が高いことを特徴とする。例えば、第1測色器は第2測色器より、一枚のカラーチャートを構成する全パッチの色を測色するのに要する時間が短かったり、測定方法が手動ではなく自動であったり、又は、測色可能なパッチの最小サイズが小さかったりする。
当該発明によれば、第2測色器より測色効率が高い第1測色器で測色しつつ、第2測色器によるL*a*b*値に基づいてカラーチャートの評価をすることができる。したがって、第2測色器によるL*a*b*値に基づく評価を、第1測色器を用いて効率良く行うことができる。
更にまた、請求項4に記載の発明は、L*a*b*空間において、印刷対象のカラーチャートを構成する複数のパッチの色にそれぞれ対応するL*a*b*値の中でインクジェット印刷機の色域外であるL*a*b*値について、前記インクジェット印刷機の色域の限界を表すガマット上の点を新L*a*b*値として決定する決定手段と、印刷材料に関する情報を参照して、印刷に使用する印刷材料を選択する選択手段と、前記選択手段が選択した印刷材料を用いて前記インクジェット印刷機が、前記色域内のL*a*b*値については当該L*a*b*値に基づき、また、前記色域外のL*a*b*値については前記新L*a*b*値に基づき前記カラーチャートを印刷する印刷手段と、を備え、前記新L*a*b*値は、L*値が前記色域外であるL*a*b*値のL*値と同一であり、且つ、a*値及びb*値が、L*a*b*空間におけるa*b*平面において前記色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線上の点で示されることを特徴とする。
本発明によれば、インクジェット印刷機の色域外の色を色域内であって見た目が近似する色に置換することが可能となり、色域外の色を含むカラーチャートの印刷をインクジェット印刷機で実現することができる。
測色器差シミュレーション手法の精度検証実験における製造条件を示す図である。 測色器差シミュレーション手法の精度検証実験により作成した3次多項式を示す図である。 測色器差シミュレーション手法の精度検証実験の結果を示す図である。 L*a*b*空間におけるガマットGの一例を示す図である。 色域圧縮(ガマットマッピング)の種類を説明するための図である。 「色相を維持したガマットマッピング」の一例を示す模式図である。 カラーチャートを印刷する際の流れの一例を示す図である。 データベース121に登録される内容の一例を示す図である。 バリエーションチャート600の一例を示す図である。 印刷制御装置1の構成例を示すブロック図である。 印刷制御装置1の制御部11による動作例を示すフローチャートである。 印刷制御装置1の制御部11による動作例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、色空間を満遍なく包含するカラーチャートをインクジェット印刷機で印刷する印刷システムについて本発明を適用した場合の実施形態である。
[1.カラーチャートの概要]
まず、本実施形態の印刷システムが印刷するカラーチャートについて説明する。カラーチャートは、次の3要件を満たしている。
(1)色空間を満遍なく包含する。
(2)カラーチャート内のカラーパッチは2000色である。
(3)各色を表す色値(例えば、HVC値)は一定間隔で変化し、カラーチャート上で視覚的な連続性(グラデーション)が保たれている。
[2.測色器差シミュレーション手法]
カラーチャートは、一般的には顧客からの要望に応じて作成することが多い。この場合、カラーチャートを構成する各カラーパッチの測色値には、顧客の指定する基準となる測色値との色差ΔEが所定範囲内に含まれることが求められる。また、測色に当たっては、測色器のメーカーや機種、測色手法等によって測色結果が異なるため、顧客が測色器を指定することがある。しかしながら、顧客の指定する測色器の測色効率が低い場合には、作成したカラーチャートが顧客の求める条件を満たしているか検証するための時間が膨大なものとなってしまう。このような場合には、顧客の指定した測色器より測色効率の高い測色器により検証を行うのが好ましい。
本実施形態では、以下のスペックを有する分光測色器Aと分光測色器Bが存在し、測色効率が低い分光測色器Aを顧客が指定してきた場合に、測色効率が高い分光測色器Bを用いて検証を行う場合について説明する。当然ながら、分光測色器Bを用いて検証を行ったとしても、分光測色器Aで検証を行った場合と同様の検証結果が得られなければならないため、工夫する必要がある。
(1)分光測色器Aのスペック
(i)照明受光光学系:積分球方式
(ii)測定方法:手動
(iii)測定時間(IT8.7/3):約180分
(iv)最小パッチサイズ:30mm×30mm
(2)分光測色器Bのスペック
(i)照明受光光学系:0°/45°方式
(ii)測定方法:自動
(iii)測定時間(IT8.7/3):約50分
(iv)最小パッチサイズ:6mm×6mm
分光測色器Bは、IT8.7/3チャート(928色)を約50分で測定できる。また、カラーチャート上の3点(左上、右上、右下)を指定すれば、測定台が自動的に測色器を制御し、測定が完了する。一方、分光測色器Aは、一点一点を手動で測定する必要があり、IT8.7/3チャートの測色に約180分かかる。また、効率良く測定するためには30mm×30mm程度のパッチサイズが必要であり、出力コスト(IJ用紙、IJインク)も高い。そこで、本実施形態では、分光測色器Bを用いて、分光測色器Aを用いた場合と同様の結果が得られるように、以下に説明する測色器差シミュレーション手法を採用する。
測色器差シミュレーション手法は、多項式近似による「測色値A(分光測色器Aによる測色値)⇔測色値B(分光測色器Bによる測色値)」変換シミュレーション手法である。本手法は、以下の4ステップを含む。
(1)カラーチャートの作成
色空間を満遍なく包含したカラーチャートを作成する。なお、パッチ数が多いほど多項式近似は正確になるが、その反面、測定にかかる手間が増える。既存のカラーチャートを利用することができる(例えば、IT8.7/3チャート、ECI2002チャート等)。
(2)測定対象物の作成
作成したカラーチャートを、任意の媒体(印刷用紙、IJ用紙等)に印刷する。
(3)測定対象物の測定
測定対象物を、分光測色器A及び分光測色器Bで測定し、それぞれ測色値A、測色値Bを得る。
(4)多項式近似の係数算出
測色値A、測色値Bをグラフ上にプロットし、回帰分析によりn次多項式を作成する。
次に、測色器差シミュレーション手法の精度検証実験について説明する。実験条件は次の通りである。
(1)カラーチャートの作成
色数、色空間カバー率ともに不足のない、IT8.7/3チャート(928色)を使用した。
(2)測定対象物の作成
作成したカラーチャートを、図1に示す製造条件にて印刷した。
(3)測定対象物の測定
測定対象物を、分光測色器A及び分光測色器Bで測定し、それぞれ測色値A(L*a*b*値)、測色値B(L*a*b*値)を得た。
(4)多項式近似の係数算出
表計算ソフトにて、3次多項式を作成した。
3次多項式の作成結果を、図2に示す。図2では、横軸に分光測色器AのL*a*b*値、縦軸に分光測色器BのL*a*b*値をプロットしている。線Lが3次多項式である。元々の測色器差が大きいため、3次多項式の線上に乗らないプロットも散見された。
ここで、分光測色器BのL*a*b*値をL*B、a*B、b*B、分光測色器AのL*a*b*値をL*A、a* A、b* Aとすると、3次多項式により、以下のように変換される。
L*B = 0.0001(L*A)3- 0.0134(L*A)2 + 2.0216(L*A) - 26.4015
a*B = -0.0004(a*A)2+ 1.2317(a*A) + 0.3961
b*B = 0.0006(b*A)2+ 1.1996(b*A) - 0.2712
本式によるシミュレーション結果を、図3に示す。元々の測色器差(平均ΔE=7.1)は、本シミュレーション手法により平均ΔE=3.4まで縮小することができた。
[3.色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)手法]
カラーチャートの2000色のうち、全ての色をインクジェット印刷機で色再現できることが好ましいが、一部の色を再現できないことがある。そこで、インクジェット印刷機で再現できる色と再現できない色を検証するために、「色域内外判定」を行う。図4は色域内外判定の結果を示す図である。図4において、ガマットGは、L*a*b*空間において、インクジェット印刷機の色再現可能な範囲の限界を示している。この図に対して、2000色分のL*a*b*値に対応する点をプロットすることにより、色域内外判定を行うことができる。すなわち、ガマットGの内部にプロットされる色は色再現ができ、ガマットGの外部にプロットされる色は色再現ができないことを示している。図4の例では、全体の8〜10%が色再現できない。したがって、通常の手法によりカラーチャートを印刷すると、ガマットGの外部にプロットされる色は適切に印刷することができない。そこで、本実施形態では、ガマットGの外部にプロットされる色について色域圧縮処理を採用することにより、ガマットG上の点まで色域圧縮して、インクジェット印刷機での色再現を実現する。
次に、図5を用いて色域圧縮の種類について説明する。色域圧縮(ガマットマッピング)には、「色差最小でマッピングする手法」と「見た目で好ましい色にマッピングする手法」の2種類がある。「色差最小でマッピングする手法」とは、図5に示すガマットGの外部にプロットされる点P(L*a*b*値で特定される点)から、ガマットG上の最も近い点Paをマッピングする手法である。つまり、元の色に最も忠実なマッピング手法である。しかし、色相を考慮せず2点間距離を最短で結ぶため、元々の色相から大きくずれる可能性がある。また、階調が潰れやすく、周辺色との連続性(見た目でグラデーションに違和感がないか)を重視する場合、本手法は適さない。
一方、「見た目で好ましい色にマッピングする手法」には、見る者にとって好ましい点にマッピングする手法である。何をもって「好ましい」と判断するかにより、実現方法が異なる。鮮やかさを重視したい、明るさを重視したい等、色再現に特定の意図がある場合に選択されるマッピング手法である。本実施形態では、色相を維持することを主眼とするマッピング手法を採用する。
「色相を維持したガマットマッピング」の模式図を図6に示す。図6は、L*a*b*空間におけるa*b*平面を示している。ここでは、色域外のL*a*b*値(図6の点Pに対応)を、インクジェット印刷機で印刷可能な色域内のL*a*b*値に修正するため、色域外のL*a*b*値に対して「色相を維持したガマットマッピング」を行う場合について説明する。
「色相を維持したガマットマッピング」のポイントは次の3つである。すなわち、(1)色域外のL*a*b*値を色域内のL*a*b*値に修正する、(2)修正前のL*a*b*値と修正後のL*a*b*値の色相を維持する、及び、(3)修正前のL*a*b*値と修正後のL*a*b*値との色差をなるべく小さくする、ことである。
まず、「色相を維持したガマットマッピング」では、色域外の点P(L*1,a*1,b*1)を、色相角θの直線L上で点P(L*2,a*2,b*2)、P(L*3,a*3,b*3)、・・・となるように、段階的にL*a*b*値を小さくしていく。このときの段階的変化量をΔL*,Δa*,Δb*とする。最終的にガマットGと接する点P(L*n,a*n,b*n)のL*a*b*値が、色相を維持して色域圧縮した際のL*a*b*値となる。具体的には、以下の条件、数式を満たす点を算出する。
(1)ΔL*=0 (条件1)
(2)Δa*=0.5 (条件2)
(3)Δb*=Δa*tanθ (条件3)
(4)tanθ=C (式1)
この関係式に基づき、点PからガマットGに接するまでn回の計算を繰り返すことにより、ガマットG上の点Pが求められる。なお、Δa*が0.5であるため、きっかりガマットG上の点Pが求められない場合には、ガマットGの外部から内部に入った最初の点をガマットG上の点として取り扱うことができる。また、ガマットG上の点Pを求める際には、ガマットGを示す数式と、色相角θを形成する直線Lを示す数式とに基づいて、ガマットGと直線Lの交点を算出することとしてもよい。なお、L*値は視覚に及ぼす影響が少ないと考えられ判断できたため、ΔL*=0としている。点Pの(L*n,a*n,b*n)値は、点Pの(L*1,a*1,b*1)値と同じ色相を持つL*a*b*値であるので、「色差最小でマッピングする手法」で算出したL*a*b*値よりも、見た目が近似する。
[4.カラーチャートの印刷の流れ]
次に、図7を用いて、色空間を万遍なく包含するカラーチャートをインクジェット印刷機で印刷する際の流れについて説明する。
[4.1.色情報の決定(S11)]
まず、カラーチャートに配する色情報を決定する。色情報は、既存の物体色用のカラーチャートに採用されている色や印刷物に採用されている色及び色空間を満遍なく包含するために採用すべき色等に基づいて決定する。色情報は、マンセル値、XYZ値、L*a*b*値、RGB値、CMYK値などであり、これらの値はカラーチャートを印刷する過程で適宜、公知の手法によりそれぞれ相互に変換することができる。色情報を決定したら、分光測色器Bで測定し、測色値Bを取得して、後述する印刷制御装置に入力する。
[4.2.印刷材料等の選択(S12)]
次に、印刷時に使用するインクジェット印刷機、印刷材料及び後加工方法(以下、まとめて「印刷材料等」という場合がある)を後述する印刷制御装置又は人間が選択する。カラーチャートは色調以外にも用途に応じて所定の機能が必要とされる場合があり、例えば、物に貼り付けるための糊適性/カール適性、耐光性、耐水性、耐摩擦性などの機能が求められる場合がある。そうした要求される機能を備えるカラーチャートを作成するのに適したインクジェット印刷機、印刷材料及び後加工条件を選択するため、予め要求に対応する項目毎に検証を実施して検証結果を後述するデータベースに登録しておき、印刷する色や要求される機能に適合するインクジェット印刷機、印刷材料及び後加工方法を選択する。
このように、印刷材料等の選択を行う場合には、後述する印刷制御装置又は人間が、データベース121を参照し、要求される機能に適合する印刷材料等の選択を行う。なお、人間が印刷材料等の選択を行う場合には、データベースの代わりに、例えば、印刷材料等の一覧(電子データ又は紙媒体に印刷されたものを含む)を参照してその一覧の中から選択を行い、選択結果を印刷制御装置に入力することとしてもよい。また、人間が印刷材料等の選択を行う場合には、印刷制御装置が予め要求される機能に適合する印刷材料等を抽出し、抽出結果の一覧を表示部に表示させるなどして、人間に提示することとし、人間は提示された一覧の中から印刷材料等の選択を行うこととしてもよい。
[4.3.色域内外判定(S13、S14)]
次に、ステップS11で決定した色情報の示す色がインクジェット印刷機の色域内にあるか否か(すなわち、インクジェット印刷機が色再現できるか)を判定する。判定手順は次の通りである。
(1)インクジェット印刷機でカラーチャート(例えば、IT8.7/3チャート)を印刷する。
(2)印刷したカラーチャートを分光測色器Bで測定し、L*a*b*値を取得する。
(3)取得したL*a*b*値に基づいて判定対象のインクジェット印刷機が色再現可能な範囲の限界を示す立体(図4に示すガマットG)を作成する。
(4)ステップS11で決定した色情報(L*a*b*値以外の色情報である場合はL*a*b*値に変換する)を、ガマットGと同一色空間にプロットする(図4参照)。
(5)ガマットG内にプロットされたL*a*b*値に対応する色は、インクジェット印刷機の色域内(色再現可能)であり、ガマットG外にプロットされたL*a*b*値に対応する色は、インクジェット印刷機の色域外(色再現不可能)であると判定する。
[4.4.「色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)」及びバリエーションチャートによる修正(S15)]
色域内外判定の結果、ステップS11で決定した色情報(L*a*b*値)の中に色域外の色情報(L*a*b*値)がある場合には(ステップS14:YES)、色域外の色情報(L*a*b*値)を、「色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)」及びバリエーションチャートにより修正する。具体的には、色域外と判定された各色情報について、上述した「色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)」により、ガマットG上の点に対応する色情報(L*a*b*値)を算出する。なお、算出した色情報をカラーチャートに採用する色情報として決定することとしてもよいが、後述するバリエーションチャートを用いることにより、更に適切な色情報を決定することができる場合があるため、バリエーションチャートを用いた修正を試みる。
ここで、図9を用いてバリエーションチャート600について説明する。バリエーションチャート600とは、基準となるCMYK値と、基準となるCMYK値から僅かにCMYK値を変化させた複数のパッチ601群のことである。ここでは、基準となるCMYK値は、「色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)」により算出したL*a*b*値を変換したCMYK値となる。バリエーションチャート600の中心位置には、基準となるCMYK値を印刷することによりパッチ601Aを作成し、中心から離れるほど段階的にCMYK値を変化させたパッチ601を作成する。そして、人間が、カラーチャートに配する色として最適な色をバリエーションチャート600に印刷された各パッチ601の色の中から選択し、そのパッチ601(例えば、パッチ601B)を印刷した際のCMYK値に対応する色情報により、「色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)」により算出した色情報を修正する。
[4.5.色情報を印刷用データに変換(S16)]
次に、カラーチャートを構成する各色の色情報を印刷用データに変換する。具体的には、色域内の色情報については当該色情報を印刷用データに変換し、色域外の色情報についてはステップS15で修正した色情報を印刷用データに変換する。具体的には、色情報を、予め分光測色器Aと分光測色器Bについて作成しておいた上記3次多項式を用いて測色値B(L*a*b*値)から測色値A(L*a*b*値)へ変換処理を行った上で、更に、印刷用データ(CMYK値)に変換する。なお、3次多項式は図7に示すフローチャートにおける処理とは別の処理で予め算出しておくものとする。
[4.6.印刷(S17)]
カラーチャートを構成する各色の印刷用データを決定すると、インクジェット印刷機により印刷する。
[4.7.見た目NG判定(S18)]
ステップS17で印刷したカラーチャートを構成するパッチの色の中には、見た目がNGの色が存在する場合がある。見た目がNGの色とは、カラーチャートにおいて視覚的な連続性を妨げる色である。理論的には、色値を一定間隔で変化させた色情報に基づいてカラーチャートを印刷した場合、視覚的な連続性が実現されるはずであるが、インクジェット印刷機の特性等によって、実際に印刷したカラーチャートにおいて視覚的な連続性を妨げる色が含まれる場合がある。そこで、見た目がNGの色に対応する色情報を修正するために、人間が、印刷されたカラーチャートに対して見た目NG判定を行う。
[4.8.見た目NGの色情報をバリエーションチャートにより修正(S19)]
見た目NG判定の結果、見た目NGと判定した色の色情報について、バリエーションチャート600を作成して当該色情報を修正する。具体的には、バリエーションチャート600の中心位置には、見た目NGと判定した色の色情報を変換したCMYK値を印刷することによりパッチ601Aを作成し、中心から離れるほど段階的にCMYK値を変化させたパッチ601を作成する。そして、人間が、カラーチャートに配する色として最適な色(すなわち、印刷したカラーチャートにおける視覚的な連続性を満たす色)をバリエーションチャート600に印刷された各パッチ601の色の中から選択することとし、そのパッチ601(例えば、パッチ601B)を印刷した際のCMYK値に対応する色情報によって、見た目NGと判定された色情報を修正する。
[4.9.色情報を印刷用データに変換(S20)]
次に、カラーチャートを構成する各色の色情報(ステップS11で決定した色情報、ステップS15及びステップS19で修正した色情報)を印刷用データに変換する。
[4.10.印刷(S21)]
カラーチャートを構成する各色の印刷用データを決定すると、インクジェット印刷機により印刷する。
[4.11.印刷物の評価(S22)]
次に、印刷されたカラーチャートの評価を行う。具体的には、カラーチャートを構成する各色を分光測色器Aで測色した得た測色値について、それぞれ基準となる色情報との色差ΔEが所定の閾値以下であるか否かにより評価を行う。但し、本実施形態では、測色時間を短縮するために、カラーチャートの測色は分光測色器Bで行って、得られた測色値Bを測色器差シミュレーション手法で算出した3次多項式を用いて測色値Aに変換し、測色値Aと基準となる色情報との色差ΔEが所定の閾値以下であるか否かを判定することとする。このように、カラーチャートの2000色を本来、分光測色器Aで測色すべき場合において、分光測色器Bで測色した測色値Bを、3次多項式を用いて測色値Aに変換することにより、測定時間を大幅に削減することができる。
[5.印刷システムSの構成]
次に、図10を用いて本実施形態における印刷システムSの構成について説明する。印刷システムSは、印刷制御装置1、インクジェット印刷機P、分光測色器900A(上述した「分光測色器A」)及び分光測色器900B(上述した「分光測色器B」)を含んで構成される。
印刷制御装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、操作部15とを含んでいる。
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ等により構成されており、オペレーティングシステムや、各種プログラムを記憶する。各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしても良いし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしても良い。また、記憶部12には、印刷時に使用するインクジェット印刷機Pや印刷材料、後加工方法を選択する際に参照されるデータベース121が構築されている。更に、記憶部12は、分光測色器900Aの測色値等の色情報と分光測色器900Bの測色値等の色情報を変換するための、測色器差シミュレーション手法により算出した3次多項式を記憶する。
通信部13は、他のデバイス等との通信を制御する。本実施形態では、通信部13はインクジェット印刷機P、分光測色器900A、分光測色器900Bとの通信を制御し、分光測色器900A、分光測色器900Bから測色値を受け付けたり、インクジェット印刷機Pに対して印刷に関する信号を出力したりする。
表示部14は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ等により構成されており、文字や画像等の情報を表示するようになっている。
操作部15は、例えば、キーボード、マウス等により構成されており、オペレータからの操作指示を受け付け、その指示内容を指示信号として制御部11に出力するようになっている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。そして、CPUが、ROMや記憶部12に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
[6.印刷制御装置1の制御部11の動作]
次に、図11及び図12を用いて、制御部11の動作例について説明する。
まず、制御部11は、カラーチャートに配する各パッチの色に対応する色情報を取得する(ステップS101)。具体的には、オペレータが予め決定されたカラーチャートに配する各パッチの色情報を印刷制御装置1に入力し、記憶部12に記憶させておくこととし、制御部11は、記憶部12から当該色情報を取得する。
次に、制御部11は、データベース121に登録された情報とカラーチャートに要求される機能に基づいて、印刷時に使用するインクジェット印刷機P、材料及び後加工方法を選択する(ステップS102)。なお、カラーチャートに要求される機能を示す情報は、オペレータがステップS102の処理を行う前までに操作部15を介して印刷制御装置1に入力し、印刷制御装置1が記憶部12に記憶させておく。制御部11は、ステップS102の処理において、記憶部12に記憶されている要求される機能を示す情報を取得して処理を行う。
次に、制御部11は、ステップS101の処理で取得した色情報の中に、ステップS102に処理で選択したインクジェット印刷機Pの色域外の色情報があるか否か判定する(ステップS103)。例えば、制御部11は、予めインクジェット印刷機P毎にガマットGを記憶部12に記憶させておき、ステップS102に処理で選択したインクジェット印刷機Pに対応するガマットGに、図4に示すように、各色情報に対応するL*a*b*値をプロットすることにより、その色情報がインクジェット印刷機Pの色域内であるか否か判定する。制御部11は、色域外の色情報はないと判定した場合には(ステップS103:NO)、ステップS106の処理に移行する。
一方、制御部11は、色域外の色情報があると判定した場合には(ステップS103:YES)、色域外の色情報毎に色域圧縮処理(「色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)」)を行い、色域圧縮処理によりガマットG上の点に対応する色情報(L*a*b*値)を得る(ステップS104)。
次に、制御部11は、ステップS104における色域圧縮処理で得た色情報毎にバリエーションチャート600を作成する(ステップS105)。具体的には、制御部11は、バリエーションチャート600を作成するためのプログラムを用いてバリエーションチャート600を印刷するための印刷用データを作成してインクジェット印刷機Pに送信する。これにより、インクジェット印刷機Pがバリエーションチャート600を印刷する。なお、バリエーションチャート600における基準となるCMYK値は、ステップS104の処理(「色相を維持したガマットマッピング(色域圧縮)」)により算出したL*a*b*値を変換したCMYK値となる。
次に、各色情報を印刷用データに変換する(ステップS106)。具体的には、ステップS101の処理で取得した色情報(ステップS103の処理で色域外であると判定した色情報については、ステップS104の処理の色域圧縮処理で得た色情報)を印刷用データに変換する。
次に、制御部11は、ステップS106の処理で変換した印刷用データに基づいてカラーチャートを印刷する(ステップS107)。具体的には、制御部11は、各パッチの印刷用データを指定して、インクジェット印刷機Pに送信する。これにより、インクジェット印刷機Pがカラーチャートを印刷する。
次に、制御部11は、ステップS104において色域圧縮処理をした色情報毎にバリエーションチャート600を作成したか否か(すなわち、ステップS105の処理を行ったか否か(より具体的にはステップS103の処理で「YES」と判定したか))を判定する(ステップS108)。制御部11は、色域圧縮処理をした色情報毎にバリエーションチャート600を作成していないと判定した場合には(ステップS108:NO)、ステップS110に移行する。一方、制御部11は、色域圧縮処理をした色情報毎にバリエーションチャート600を作成したと判定した場合には(ステップS108:YES)、ステップS105の処理で作成したバリエーションチャート600に基づいて選択された色情報を取得する(ステップS109)。具体的には、ステップS105の処理で作成したバリエーションチャート600に含まれるパッチ601の中で、ステップS107の処理で印刷したカラーチャートにおける該当パッチ(ステップS104で色域圧縮処理された色情報により印刷されたパッチ)の色として最適であると人間により判定されたパッチ601の色をオペレータが指定する。そして、制御部11は、オペレータが指定したパッチ601の色に対応する色情報を取得する。これにより、人間の目で見て、カラーチャートに配する色として最適な色がバリエーションチャート600に基づいて決定されるので、視覚的な連続性が保たれたカラーチャートを作成することができる。
次に、制御部11は、ステップS107の処理で印刷したカラーチャートにおいて見た目がNGのパッチがあるか否かを判定する(ステップS110)。なお、見た目がNGのパッチがあるか否かの判定については、予め、人間がステップS107の処理で印刷したカラーチャートを検証して、視覚的な連続性を妨げるパッチがあるか否かを判定し、視覚的な連続性を妨げるパッチがある場合には、オペレータが、見た目がNGであるパッチを特定するための情報を印刷制御装置1に入力する。そして、制御部11は、オペレータにより入力された情報に基づいて、見た目がNGのパッチがあるか否かを判定する。制御部11は、見た目がNGであるパッチはないと判定した場合には(ステップS110:NO)、ステップS114の処理に移行する。
一方、制御部11は、見た目がNGであるパッチがあると判定した場合には(ステップS110:YES)、見た目がNGであるパッチに対応する色情報毎にバリエーションチャート600を作成する(ステップS111)。具体的には、制御部11は、バリエーションチャート600を作成するためのプログラムを用いてバリエーションチャート600を印刷するための印刷用データを作成してインクジェット印刷機Pに送信する。これにより、見た目がNGであるパッチ毎に、インクジェット印刷機Pがバリエーションチャート600を印刷する。なお、バリエーションチャート600における基準となるCMYK値は、ステップS110の処理で見た目NGと判定された色情報に対応するCMYK値となる。
次に、制御部11は、バリエーションチャート600に基づいて選択された色情報を取得する(ステップS112)。具体的には、ステップS111の処理で作成したバリエーションチャート600に含まれるパッチ601の中で、ステップS107の処理で印刷したカラーチャートにおける該当パッチ(ステップS110の処理で見た目がNGであると判定されたパッチ)の色として最適であると人間により判定されたパッチ601の色をオペレータが指定し、制御部11は、オペレータが指定したパッチ601の色に対応する色情報を取得する。これにより、見た目がNGであると判定されたパッチについて、人間の目で見て、カラーチャートに配する色として最適な色がバリエーションチャート600に基づいて決定されるので、視覚的な連続性が保たれたカラーチャートを作成することができる。
次に、制御部11は、ステップS112の処理で取得した色情報を印刷用データに変換する(ステップS113)。
次に、制御部11は、ステップS106の処理及びステップS113の処理で変換した印刷用データに基づいてカラーチャートを印刷する(ステップS114)。具体的には、制御部11は、各パッチの印刷用データを指定して、インクジェット印刷機Pに送信する。これにより、インクジェット印刷機Pがカラーチャートを印刷する。
次に、制御部11は、印刷終了であるか否かを判定する(ステップS115)。印刷終了とは、例えば、予め指定した部数の印刷が終了することなどである。制御部11は、印刷終了であると判定した場合には(ステップS115:YES)、印刷したカラーチャートの各パッチを分光測色器900Bで測色した測色値(「検証L*a*b*値」という)を取得する(ステップS116)。具体的には、分光測色器900Bはパッチを測色することにより得られた検証L*a*b*値をパッチ毎に印刷制御装置1に出力し、印刷制御装置1は分光測色器900Bから入力された検証L*a*b*値を記憶部12に記憶させておき、制御部11は、ステップS116の処理において、記憶部12に記憶されている検証L*a*b*値をパッチ毎に取得する。
次に、制御部11は、記憶部12に記憶されている3次多項式を用いて、ステップS116の処理で取得した検証L*a*b*値を、パッチ毎に分光測色器900Aの測色値(「測色器A用検証L*a*b*値」という)に変換する(ステップS117)。
次に、制御部11は、ステップS117の処理で変換した測色器A用検証L*a*b*値についてパッチ毎に検証する(ステップS118)。具体的には、測色器A用検証L*a*b*値と、予め指定された基準となるL*a*b*値との色差ΔEが所定の閾値以下であるか否かを判定することにより検証を行う。
次に、制御部11は、ステップS118の処理で行った検証結果を表示部14に表示し(ステップS119)、当該フローチャートに示す処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の印刷システムSは、制御部11(「決定手段」、「選択手段」、「印刷手段」の一例)は、L*a*b*空間において、印刷対象のカラーチャートを構成する複数のパッチの色にそれぞれ対応するL*a*b*値の中でインクジェット印刷機Pの色域外であるL*a*b*値について、インクジェット印刷機Pの色域の限界を表すガマットG上の点で示されるL*a*b*値を修正後のL*a*b*値(「新L*a*b*値」の一例)として決定し、データベース121に記録された印刷材料に関する情報を参照して、印刷に使用する印刷材料を選択し、当該選択した印刷材料を用いてインクジェット印刷機Pが、色域内のL*a*b*値については当該L*a*b*値に基づき、また、色域外のL*a*b*値については修正したL*a*b*値に基づきカラーチャートを印刷する。色域外であるL*a*b*値を修正したL*a*b*値は、L*値が色域外であるL*a*b*値のL*値と同一であり、且つ、a*値及びb*値が、L*a*b*空間におけるa*b*平面において色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線L上の点で示される。
したがって、本実施形態の印刷システムSによれば、色域外のL*a*b*値を修正するための「色相を維持したガマットマッピング」により決定されたL*a*b*値のa*値及びb*値は、色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点P1と原点Oを結んだ直線L上の点で示されるため、色域外のL*a*b*値のa*値及びb*値と同じ比率となることから色相が維持され、見た目が近似する。また、「色相を維持したガマットマッピング」により決定されたL*a*b*値はガマットG上の点であるため、直線L上におけるガマットG内の他の点で示されるa*値及びb*値と比較して、色域外のL*a*b*値との色差が小さく、見た目が近似する。すなわち、インクジェット印刷機Pの色域外の色を、色域内であって見た目が近似する色に置換することが可能となり、色域外の色を含むカラーチャートの印刷をインクジェット印刷機Pで実現することができる。
なお、本実施形態の印刷システムSにおいて、制御部11が、既製のカラーチャート(例えば、IT8.7/3チャート)などに含まれる複数の色を分光測色器900B(「第1測色器」の一例)により測色して得られる各L*a*b*値と、当該複数の色を分光測色器900A(「第2測色器」の一例)により測色して得られる各L*a*b*値の対応関係を表す3次多項式を生成することとしてもよい。そして、制御部11が、生成した3次多項式を用いて、印刷したカラーチャートを構成するパッチの色を分光測色器900Bにより測色して得た各L*a*b*値を、分光測色器900AによるL*a*b*値に変換し、得られた分光測色器900AによるL*a*b*値に基づいて印刷したカラーチャートを評価することとしてもよい。この場合、分光測色器900Bで測色しつつ、分光測色器900AによるL*a*b*値に基づいてカラーチャートの評価をすることができる。また、分光測色器900Bの方が分光測色器900Aより測色効率が高いことから、分光測色器900AによるL*a*b*値に基づく評価を、分光測色器900Bを用いて効率良く行うことができる。
[7.変形例]
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、制御部11が図11のステップS102の処理を行うことにより、印刷に使用するインクジェット印刷機P、印刷材料及び後加工方法を選択する構成としたが、制御部11が、カラーチャートについて要求される機能に適合するインクジェット印刷機P、材料及び後加工方法の組み合わせを抽出し、それらを表示部14に表示させて、オペレータに選択させる構成としてもよい。このとき、制御部11は、オペレータにより選択された組み合わせに基づいて、印刷を行うものとする。また、制御部11が要求される機能に適合するインクジェット印刷機P、材料及び後加工方法の組み合わせを抽出したものを表示部14に表示させることなく、オペレータが、印刷材料等の一覧(電子データ又は紙媒体に印刷されたものを含む)を参照してその一覧の中からインクジェット印刷機P、材料及び後加工方法の組み合わせを選択して、印刷制御装置1に操作部15を介して入力することとし、制御部11は、入力されたインクジェット印刷機P、材料及び後加工方法の組み合わせに基づいて、後続の処理を行うこととしてもよい。
また、制御部11は、カラーチャートについて要求される機能に適合するインクジェット印刷機P、材料及び後加工方法の組み合わせが複数存在する場合には、それらの中から予め設定した方法により何れかを選択することとしてもよい。例えば、予めオペレータに要求される機能の優先順位(例えば、優先順位1位:コスト、優先順位2位:耐摩擦性能(表面保護)、優先順位3位:退色(紙))を指定してもらい、制御部11は、その優先順位を取得して、優先順位に従って何れかの組み合わせを選択することとしてもよい。
S 印刷システム
1 印刷制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 表示部
15 操作部
P インクジェット印刷機
900A 分光測色器A
900B 分光測色器B

Claims (4)

  1. L*a*b*空間において、印刷対象のカラーチャートを構成する複数のパッチの色にそれぞれ対応するL*a*b*値の中でインクジェット印刷機の色域外であるL*a*b*値について、前記インクジェット印刷機の色域の限界を表すガマット上の点を新L*a*b*値として決定する決定工程と、
    印刷材料に関する情報を参照して、印刷に使用する印刷材料を選択する選択工程と、
    前記選択工程で選択した印刷材料を用いて前記インクジェット印刷機が、前記色域内のL*a*b*値については当該L*a*b*値に基づき、また、前記色域外のL*a*b*値については前記新L*a*b*値に基づき前記カラーチャートを印刷する印刷工程と、
    を含み、
    前記新L*a*b*値は、L*値が前記色域外であるL*a*b*値のL*値と同一であり、且つ、a*値及びb*値が、L*a*b*空間におけるa*b*平面において前記色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線上の点で示されることを特徴とする印刷方法。
  2. 請求項1に記載の印刷方法であって、
    複数の色を第1測色器により測色して得られる各L*a*b*値と、当該複数の色を第2測色器により測色して得られる各L*a*b*値の対応関係を表す3次多項式を生成する生成工程と、
    前記生成工程で生成した3次多項式を用いて、前記印刷工程で印刷したカラーチャートを構成するパッチの色を前記第1測色器により測色して得た各L*a*b*値を、前記第2測色器によるL*a*b*値に変換する変換工程と、
    前記変換工程で得られた前記第2測色器によるL*a*b*値に基づいて前記印刷工程で印刷したカラーチャートを評価する評価工程と、
    を更に含むことを特徴とする印刷方法。
  3. 請求項2に記載の印刷方法であって、
    前記第1測色器は、前記第2測色器より測色効率が高いことを特徴とする印刷方法。
  4. L*a*b*空間において、印刷対象のカラーチャートを構成する複数のパッチの色にそれぞれ対応するL*a*b*値の中でインクジェット印刷機の色域外であるL*a*b*値について、前記インクジェット印刷機の色域の限界を表すガマット上の点を新L*a*b*値として決定する決定手段と、
    印刷材料に関する情報を参照して、印刷に使用する印刷材料を選択する選択手段と、
    前記選択手段が選択した印刷材料を用いて前記インクジェット印刷機が、前記色域内のL*a*b*値については当該L*a*b*値に基づき、また、前記色域外のL*a*b*値については前記新L*a*b*値に基づき前記カラーチャートを印刷する印刷手段と、
    を備え、
    前記新L*a*b*値は、L*値が前記色域外であるL*a*b*値のL*値と同一であり、且つ、a*値及びb*値が、L*a*b*空間におけるa*b*平面において前記色域外であるL*a*b*値のa*値及びb*値により特定される点と原点を結んだ直線上の点で示されることを特徴とする印刷システム。
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