JP2016067569A - 安全走行装置 - Google Patents

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宏行 十河
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Abstract

【課題】車椅子等において坂を登るときに利用者が動作を止めると後退してしまう。従来の後退防止装置は容易に操作することができない。また、旋回時に小回りができない。【解決手段】本発明の走行安全装置は、駆動輪に装着される係合歯部材と、アームレスト近傍に設けられた揺動爪部材と、前記揺動爪部材の上方に配される操作レバーを備え、前記操作レバーにより前記揺動爪部材を揺動させて前記係合歯部材と前記揺動爪部材の係合状態を変化させることにより、坂を登るときの後退を防止する。さらに操作レバーにより駆動輪を制動することができる。また、本発明の走行安全装置は、差動歯車におけるデフケースとともに回転する係合歯と、前記係合歯に対して配される揺動爪を有し、左右の駆動輪の車軸に接続し、旋回性に優れる。【選択図】図1

Description

本発明は、車椅子、歩行補助車、ベビーカー、カート等の手動で走行する小型の車における安全走行装置に関する。
通常の自走式の車椅子は、利用者が坂(傾斜面)を登るときに疲労、急病などのトラブルにより手を離すなどして走行を止めると、坂で後退して事故を起こすおそれがある。歩行補助車、ベビーカー、カート等の手動で走行する小型の車においても同様である。
そこで自走式の車椅子においては、一方向クラッチまたはラチェット機構を用いて坂道での逆走を防止するものがある。
特開2013−94636
しかしながら、この車椅子では一方向クラッチまたはラチェット機構のスイッチがアームレストの下方にあり、利用者はスイッチを操作するためには下方に腕を伸ばしたり身体を前傾させる必要があった。このことは無理な姿勢をとることができない高齢者や身障者には困難を強いる場合もあった。
さらに、左右両輪それぞれに対して一方向クラッチまたはラチェット機構を配する車椅子で旋回する場合、小回りができないという問題があった。
第1発明の安全走行装置は、車椅子において、駆動輪の内側または外側に配される係合歯部材と、アームレスト近傍に設けられた揺動中心軸によって揺動可能に支持される揺動爪部材と、前記アームレスト近傍に設けられた操作レバーを備え、前記操作レバーを操作することにより、前記揺動爪部材が、前記揺動中心軸を中心に揺動することにより、前記係合歯部材と係合する状態、または前記係合が解除される状態に変化するものである。
第2発明の安全走行装置は、第1発明の安全走行装置において、前記操作レバーの操作により駆動輪を制動するものである。
第3発明の安全走行装置は、ピニオンギア支持部及び1対の車軸挿入孔を有するデフケースと、前記ピニオンギア支持部に回転自在に支持されたピニオンギアと、前記ピニオンギアに噛合する1対のサイドギアと、前記デフケースとともに回転する係合歯部材と、揺動中心軸によって揺動可能に支持される揺動爪部材とを備え、前記揺動爪部材が、前記揺動中心軸を中心に揺動することにより、前記係合歯部材と係合する状態、または前記係合が解除される状態に変化するものである。
第1発明によれば、安全走行装置の操作レバーがアームレスト近傍に配備されているので、利用者は無理な姿勢を強いられることなく、容易に坂を登るときの後退を防止することができる。
第2発明によれば、容易に坂を登るときの後退を防止できるとともに、駆動輪を制動する(ブレーキをかける)ことができる。
第3の発明によれば、ラチェット機構により坂を登るときの後退を防止するともに、小回りができ旋回性を向上させることができる。
(a)第一の実施例の安全走行装置を有する車椅子の側面図、(b)第一の実施例の安全走行装置を有する車椅子における駆動輪周辺の構成の概観図、(c)第一の実施例の安全走行装置周辺の拡大図、(d)操作レバーを下方に下げるときの第一の実施例の安全走行装置を有する車椅子の側面図、(e)操作レバーを下方に下げるときの第一の実施例の安全走行装置周辺の拡大図、(f)操作レバーをさらに下方に下げるときの第一の実施例の安全走行装置を有する車椅子の側面図、(g)操作レバーをさらに下方に下げるときの第一の実施例の安全走行装置周辺の拡大図である。 第一の実施例の安全走行装置を有する車椅子の上面図、(a)停止時、(b)90度程度の旋回時、(c)180度の旋回時である。 第二の実施例の安全走行装置を有する車椅子の上面図である。 第二の実施例の安全走行装置、(a)正面図、(b)側面図である。 (a)、(b)、(c)左右の車軸が同方向に回転する場合の第二の実施例の安全走行装置の正面図、(d)ピニオンギアの上面図である。 (a)、(b)、(c)左右の車軸が逆方向に回転する場合の第二の実施例の安全走行装置の正面図、(d)ピニオンギアの上面図である。 旋回時の第二の実施例の安全走行装置を有する車椅子の上面図である。 旋回時の車椅子の上面図、(a)通常の坂道後退防止用のラチェット機構を有さない車椅子、(b)左右の駆動輪それぞれについてラチェット機構を有する坂道後退防止型の車椅子である。
以下、本発明の具体的な実施例について図面を参照しながら説明する。
第一の実施例に係わる安全走行装置を説明する。
図1(a)に本実施例の安全走行装置を有する車椅子を示す。自走式の車椅子100は、バックレスト(背もたれ)101、シート(座面)102、アームレスト103、フットレスト104、駆動輪105、ハンドリム106、車軸107、キャスター(前輪)108を有する。安全走行装置はラチェット機構の係合歯部材109、揺動爪部材110と操作レバー111を有し、アームレスト103近傍に揺動爪部材110を備え、アームレスト103近傍の揺動爪部材110の上方に操作レバー111を備える。
図1(b)に本実施例の安全走行装置を有する車椅子における駆動輪周辺の構成を示す。駆動輪周辺に、駆動輪105、ハンドリム106、車軸107、係合歯部材109を備える。駆動輪105の外側にハンドリム106、駆動輪105の内側に係合歯部材109を備える。
図1(c)に安全走行装置周辺の拡大図を示す。
係合歯部材109は円盤状であり駆動輪105の内側に装着される。係合歯部材109は駆動輪105と共に回転する。係合歯部材109の外周面には係合歯114が設けられている。係合歯114は係合歯部材109の周方向に沿って複数形成されており、その歯面は傾斜面115と規制面116からなる。係合歯114の形状はせん断応力を考慮して決定される。
揺動爪部材110は先端部118に先端前面117を有し、揺動中心軸119を中心に揺動する。揺動爪部材110の形状(長さ、断面形状など)は座屈と曲げ応力を考慮して決定される。
係合歯部材109と揺動爪部材110の材料は金属、例えばステンレス(SUS304など)、アルミ合金、アルミ、チタン、カーボンなどがある。また、プラスティックを用いることもできる。
操作レバー111は操作レバー支持軸121に支持され上下方向に回動でき、下方に向けて凸部122を有する。操作レバー111の本体の材料として金属(ステンレス、アルミ合金、アルミ、チタン、カーボンなど)またはプラスティックなどがある。凸部122にはゴムまたはプラスティックを用いることができる。さらに操作レバー111の本体の構造を中空パイプにすれば軽量化できる。
図1(c)に示す状態では、揺動爪部材110が係合歯部材109と係合している。揺動爪部材110の先端部118は係合歯部材109の係合歯114に係合している。具体的には、揺動爪部材110の先端前面117が係合歯114の規制面116に当接している。
この状態において、駆動輪105とともに係合歯部材109が図中矢印112方向に回転する場合には、揺動爪部材110は傾斜面115に沿って滑り、隣接する傾斜面115に摺接する。したがって、揺動爪部材110が係合歯部材109に摺接した状態で駆動輪105が回転する。
一方、駆動輪105とともに係合歯部材109が図中矢印113方向に回転しようとする場合には、揺動爪部材110の先端前面117は係合歯部材109の規制面116に当接する。したがって、揺動爪部材110は係合歯部材109に押圧され、係合歯部材109は動かず、駆動輪105が回転しない。この状態をラチェット機構オン状態と定義する。
このようにラチェット機構オン状態で坂を登る場合には、係合歯部材109と揺動爪部材110が係合するので、駆動輪105は前進走行する方向(実線矢印112)には回転するが、後退走行する方向(点線矢印113)には回転しない[図1(a)]。したがって、この状態で坂を登れば、利用者が動作を止めた場合等に車椅子が後退することを防止できる。
次に、アームレスト近傍の操作レバー111を操作する場合について説明する。図1(d)に、本実施例の安全走行装置を有する車椅子においてアームレスト近傍の操作レバー111を操作する(下方に下げる)場合を示す。図1(e)に安全走行装置周辺の拡大図を示す。
操作レバー111を、前述の揺動爪部材110が係合歯部材109と係合している状態(ラチェット機構オン状態)から、下方(図中黒矢印123の方向)に下げると、操作レバー111が揺動爪部材110の後端部120を下方に押す(図中白矢印124)。その結果、揺動爪部材110は、揺動中心軸119を中心に図中左方向に回動され、揺動爪部材110の先端部118が上方に動くので(図中白矢印125)、揺動爪部材110は係合歯部材109から離反した状態になる。
したがって、揺動爪部材110と係合歯部材109との係合が解除されるので、駆動輪105は矢印112の方向にも矢印113の方向にも回転できる。この状態をラチェット機構オフ状態と定義する。
このようにラチェット機構オフ状態では、駆動輪105は前進走行する方向(実線矢印112)にも後退走行する方向(実線矢印113)にも回転するので、平地で通常通りに自由に走行できる。
図1(f)に、本実施例の安全走行装置を有する車椅子において、さらに操作レバーを下げる場合を示す。図1(g)に安全走行装置周辺の拡大図を示す。
操作レバー111を、揺動爪部材110と係合歯部材109との係合が解除される状態(ラチェット機構オフ状態)から、さらに下方(黒矢印116の方向)に下げると、ラチェット機構オフ状態のままで、操作レバー111の凸部122が駆動輪105のタイヤに接して押圧する(図中白矢印127)。その結果、駆動輪105が制動されブレーキが働く。この状態をブレーキ状態と定義する。
このように操作レバー111を、さらに下方(黒矢印116の方向)に下げれば、車椅子の走行時にブレーキをかけて減速、停止をすることができる。
本実施例では、操作レバー111に設けた凸部122を駆動輪105のタイヤに押圧して駆動輪105を制動する機構を説明したが、操作レバー111とブレーキをワイヤやシャフトなどで連結して操作レバー111を用いてブレーキを操作して駆動輪105を制動してもよい。このとき、ブレーキにはバンドブレーキ、カンチブレーキ、ディスクブレーキなどを用いることができる。
以上のように、本実施例の安全走行装置を有する車椅子では、アームレスト近傍の操作レバーを操作することにより、坂を登るときの後退を防止することができ、駆動輪を制動する(ブレーキをかける)こともできる。
ここで、操作レバー111は操作レバー支持軸121に支持され上下方向に回動でき、ラチェット機構オン状態、ラチェット機構オフ状態、ブレーキ状態それぞれの位置で保持することができる。さらに、操作レバーを押圧するなどの所定の条件により保持状態を解除することができる。例えば、操作レバー支持軸121に係止歯部(凹部)と爪部(凸部)からなるラチェット機構を配し、爪部にばね等の弾性体を装着することにより、前記それぞれの位置で保持でき保持状態を解除できる。または、複動づめ等の機構を用いることによって同様の動作は可能になる。
本実施例では、操作レバーを下方に押し下げることにより、ラチェット機構オン状態からラチェット状態オフに変化させたが、揺動爪部材の先端部にワイヤなどを係止して操作レバーを上方に上げれば、揺動爪部材の先端部が上方に牽引され係止歯部材と揺動爪部材の係合を解除でき、ラチェット機構オン状態からラチェット状態オフに変化させることができる。
本実施例では、操作レバーは揺動爪部材の上方に配されたが、アームレストの近傍で揺動爪部材を操作できる位置に配されればよく、操作レバーを操作して揺動爪部材が揺動中心軸を中心に揺動することにより、前記係合歯部材と係合する状態、または前記係合が解除される状態に変化すればよい。
本実施例の安全走行装置はアームレスト近傍に配備されているので、利用者は無理な姿勢を強いられることなく、容易に坂を登るときの後退を防止することができ、駆動輪を制動する(ブレーキをかける)こともできる。
ここでラチェット機構のトルクについて説明する。回転運動におけるトルク(N)は物体に作用する力(F)と回転軸から力(F)が作用する点までの距離(r)との積である。
従来のラチェット機構を用いた車椅子の安全走行装置(坂道後退防止装置など)は車椅子にコンパクトに収容するために小型化されている。この結果、rが小さくなるので、ラチェット機構の動作に必要なトルク値を得るためには大きな力(F)を必要とする。
一方、本実施例の安全走行装置におけるラチェット機構では、駆動輪105の半径とほぼ同等までrを大きくできるので、ラチェット機構の動作に必要なトルク値を得るために必要な力(F)を低減することができる。
本実施例の安全走行装置では、大きなrを有するラチェット機構をアームレスト103近傍のスペース、例えばアームレスト103と駆動輪の間105の間のスペースを有効活用して収容することを特徴とする。
本実施例の安全走行装置を有する車椅子における坂での旋回(方向転換)動作を説明する。図2(a)に本実施例の安全走行装置を有する車椅子の上面図を示す。
自走式の車椅子200は、バックレスト(背もたれ)201、シート(座面)202、アームレスト203、フットレスト204、駆動輪205(左が205a、右が205b)、ハンドリム206、車軸207(左が207a、右が207b)、キャスター(前輪)208を有する。安全走行装置はラチェット機構の係合歯部材209、揺動爪部材210と操作レバー211(左が211a、右が211b)を有する。また、操作レバー211は駆動輪205を制動するための凸部212(左が212a、右が212b)を有する。車椅子200は坂を登る方向(矢印213)に向いている。
車椅子を右回りで180度旋回して方向転換する場合を説明する。まず、左の操作レバー211aを下方に押し込み、左の凸部212aを左の駆動輪205aのタイヤに押圧させる。その結果、左の駆動輪105aが制動されブレーキが働くので、左の駆動輪105aが固定される。
一方、右の駆動輪105bに対しては安全走行装置をラチェット機構オフ状態にする。この結果、右の駆動輪105bは重力により坂を後退する。したがって、車椅子は左の駆動輪105aを支点にして右回りで90度程度旋回する[図2(b)]。
次に、右の操作レバー211bを下方に押し込み、右の凸部212bを右の駆動輪205bのタイヤに押圧させる。その結果、右の駆動輪105bが制動されブレーキが働くので、右の駆動輪105bが固定される。
一方、左の駆動輪105aに対しては安全走行装置をラチェット機構オフ状態にする。この結果、左の駆動輪105aは重力により下り坂の方向に回転する。したがって、車椅子は右の駆動輪105bを支点にして旋回する。[図2(c)]。
このように、車椅子200は坂を登る方向から下る方向へ方向転換することができる。また、左回りで方向転換する場合には左右の操作レバー211の操作を反対にすれば、同様に方向転換できる。
本実施例において、係合歯部材109は駆動輪105の内側に装着されたが、駆動輪105の外側に装着されてもよい。また、駆動輪105に直接装着されなくても、駆動輪105の内側または外側に備えられればよい。
第二の実施例に係わる安全走行装置を説明する。
図3に本実施例の安全走行装置を有する車椅子の上面図を示す。自走式の車椅子300は、バックレスト(背もたれ)301、シート(座面)302、アームレスト303、フットレスト304、駆動輪305、ハンドリム306、車軸307(左が307a、右が307b)を有する。本実施例の安全走行装置308により左右の車軸307a、307bを接続する。
図4(a)に本実施例の安全走行装置の正面図を示す。本実施例の安全走行装置は、差動歯車401と揺動爪部材402により構成される。
差動歯車401において、デフケース404は1対の車軸挿入孔とピニオンギア支持部を有し、リングギア403が一体的に固着されている。デフケース404内のピニオンギア支持部にピニオンギア406が回転自在に支持される。
ピニオンギアには、1対のサイドギア(左)405aとサイドギア(右)405bが噛合する。デフケース404の車軸挿入孔を通してサイドギア(左)405aには車軸(左)407a、サイドギア(右)405bには車軸(右)407bが繋がっている。リングギア403とサイドギア407a、407bは同じ軸に通してあるだけで連動はしない。
図4(b)に、本実施例の安全走行装置の側面図[図4(a)におけるA−矢視図]を示す。リングギア403の外周部に係合歯部材408が配されており、係合歯部材408と揺動爪部材402がラチェット機構を形成する。
係合歯部材408はリングギア403の外周部に装着され、係合歯部材408はリングギア403と共に回転する。係合歯部材408の外周面には係合歯409が設けられている。係合歯409は、係合歯部材408の周方向に沿って複数形成されており、その歯面は傾斜面410と規制面411からなる。係合歯409の形状はせん断応力を考慮して決定される。
揺動爪部材402は先端部413に先端前面414を有し、揺動中心軸412を中心に揺動する。揺動爪部材402の形状(長さ、断面形状など)は座屈と曲げ応力を考慮して決定される。
係合歯部材408と揺動爪部材402の材料は金属、例えばステンレス(SUS304など)、アルミ合金、アルミ、チタン、カーボンなどがある。また、プラスティックを用いることもできる。
図4(b)において揺動爪部材402を実線で示す状態では、揺動爪部材402が係合歯部材408と係合している。揺動爪部材402の先端部413は係合歯部材408の係合歯409に係合している。具体的には、揺動爪部材402の先端前面414が係合歯409の規制面411に当接している。
この状態において、リングギア403とともに係合歯部材408が図中矢印416方向に回転する場合には、揺動爪部材402は傾斜面410に沿って滑り、隣接する傾斜面410に摺接する。したがって、揺動爪部材402が係合歯部材408に摺接した状態でリングギア403が回転する。
一方、リングギア403とともに係合歯部材408が図中矢印417方向に回転しようとする場合には、揺動爪部材402の先端前面414は係合歯部材408の規制面411に当接する。したがって、揺動爪部材402は係合歯部材408に押圧され、係合歯部材408は動かず、リングギア403は回転しない。この状態をラチェット機構オン状態と定義する。
ラチェット機構オン状態で坂を登る場合には、係合歯部材408と揺動爪部材402が係合する。したがって、リングギア403が図中矢印416方向に回転する場合には、左右両方の車軸405a、405bとともに左右両方の駆動輪が前進走行する方向に回転する。リングギア403は図中矢印417方向に回転できないので、左右両方の車軸405a、405bとともに左右両方の駆動輪は後退走行する方向には回転しない。
このように、ラチェット機構オン状態では、駆動輪は前進走行する方向には回転するが、後退走行する方向には回転しない。したがって、この状態で坂を登れば、利用者が動作を止めた場合等に車椅子が後退することを防止できる。
揺動爪部材402が揺動中心軸412を中心に左方向に回動され、図4(b)において揺動爪部材402を点線で示す状態になると、揺動爪部材402は係合歯部材408から離反した状態になる。
したがって、揺動爪部材402と係合歯部材408との係合が解除されるので、リングギアは図中矢印416の方向にも矢印417の方向にも回転でき、左右両方の車軸405a、405bとともに左右両方の駆動輪も両方向に回転する。この状態をラチェット機構オフ状態と定義する。
このようにラチェット機構オフ状態では、駆動輪は前進走行する方向にも後退走行する方向にも回転するので、平地で通常通りに自由に走行できる。
ラチェット機構オフ状態とオン状態とを切り替えるには、車椅子に装着された操作レバーに連結されたワイヤにより、バネ、ゴムなどの弾性体を備えた揺動爪を揺動させる機構を用いることができる。
例えば、図4(b)において、揺動爪の先端部413にワイヤを連結するとともに先端部413にバネを備えれば、操作レバーを操作して、係合歯409と揺動爪402が係合した状態で先端部413をワイヤにより牽引したとき、揺動爪402が支持軸412を中心に回動して係合歯409と揺動爪402との係合が解除される。一方、操作レバーを元に戻してワイヤの張力を消失させれば、バネの付勢力によって揺動爪402は回動して元の位置に戻り係合歯409と揺動爪402が係合する。
ここではワイヤとバネを用いて揺動爪を揺動せる機構を説明したが、シャフトを利用して力を伝達して揺動爪を揺動する機構でもよく、電気的制御で揺動爪を揺動する機構でもよく、レバーやスイッチ等の操作により揺動爪を揺動できる機構であればよい。
次に本実施例の安全走行装置の動作を説明する。図5(a)、(b)、(c)に本実施例の安全走行装置において左右の車軸が同方向に回転する場合の動作形態を示す。図5(d)にピニオンギアの上面図と、ピニオンギアにサイドギアから伝達される回転の方向を示す。
差動歯車501において、車軸(左)507a、車軸(右)507bを同方向に回転させる[図5(a)]。この結果、サイドギア(左)505aとサイドギア(右)505bは同方向に回転する[図5(b)下図]。
したがって、ピニオンギア506に対してサイドギア(左)505aから伝達する回転(方向510a)と、サイドギア(右)505bから伝達する回転(方向510b)は、ピニオンギア506に対して逆方向の回転を与えるので、ピニオンギア506は回転しない[図5(d)]。
ピニオンギア506が回転しないので、ピニオンギア506が固定されているデフケース504ごと車軸(左)507a、車軸(右)507bと同方向に回転してリングギア502も回転する(矢印511)[図5(c)]。
このように、左右の車軸507a、507bを同方向に回転する場合、リングギア503も回転する。
リングギア503の外周部に配された係合歯部材に揺動爪部材502が係合している(ラチェット機構オン)場合、図4(b)に示すようにリングギア503は一方向(矢印409)に回転するが、逆方向には(矢印417)回転しない。
このように、ラチェット機構オンの場合に左右の駆動輪すなわち車軸507a、507bを同方向に回転させる場合、前進方向(坂を登る方向)に回転するが、後退方向には回転しない。
図6(a)、(b)、(c)に、本実施例の安全走行装置において左右の車軸が逆方向に回転する場合の動作形態を示す。図6(d)にピニオンギアの上面図と、ピニオンギアにサイドギアから伝達する回転の方向を示す。
差動歯車601において、車軸(左)607a、車軸(右)607bを逆方向に回転させる[図6(a)]。この結果、サイドギア(左)605a、サイドギア(右)605bはそれぞれ逆方向に回転する[図6(b)]。
したがって、ピニオンギア606に対してサイドギア(左)605aから伝達する回転(方向610a)と、サイドギア(右)605bから伝達する回転(方向610b)は、ピニオンギア606に対して同方向の回転を与えるので、ピニオンギア506は回転する[図6(d)]。ピニオンギア606が回転するので、ピニオンギア606が固定されているデフケース604もリングギア602も回転しない [図6(c)]。
このように、左右の車軸607a、607bを逆方向に回転する場合、リングギア603は回転しない。したがって、リングギア603の外周部に配された係合歯部材に揺動爪部材602が係合している場合(ラチェット機構オン状態)であっても、左右の車軸607a、607bの回転方向が逆方向であれば駆動輪を自在に回転できる。
以上のように、ラチェット機構オン状態で車軸507a、507bすなわち左右の駆動輪を逆方向に回転させる場合、ラチェット機構の影響を受けることなく自在に回転することができる。
本実施例の安全走行装置を有する車椅子の旋回について説明する。
図7に本実施例の安全走行装置を有する車椅子の旋回の形態を示す上面図を示す。比較のために、図8(a)に通常の車椅子(坂道後退防止用のラチェット機構なし)の旋回の形態を示す上面図、図8(b)に左右の駆動輪それぞれについてラチェット機構を有する坂道後退防止型の車椅子の旋回の形態を示す上面図を示す。
通常の車椅子(坂道後退防止用のラチェット機構なし)800では、図8(a)に示すように、左右の駆動輪805a、805bを逆方向に回転させることにより旋回できる。このとき最小旋回半径Rminを零(0)にすることができ、すなわち小回りがきく。反面、当然のことながら、坂を登るときの後退を防止することはできない。
左右の駆動輪それぞれにラチェット機構を有する車椅子810では、坂道を登るときにラチェット機構818a,818bの効果により後退を防止できる。
しかしながら、この車椅子で坂道の途中で方向転換する場合、左右のラチェット機構818a,818bがオン状態のままで、駆動輪815a,815bを坂を下る方向に回転させることができない。したがって、通常の車椅子(上述)のように左右の駆動輪815a,815bを逆方向に回転させることにより旋回することができない。
そこで、一方の駆動輪815aに対してラチェット機構818aをオン状態にしたままで、他方の駆動輪815bに対してラチェット機構818bを解除してオフ状態にして、他方の駆動輪815bのみを坂を下る方向に回転させて旋回する [図8(b)]。この結果、最小旋回半径Rminは駆動輪815aと815bの間の距離になるので小回りができない。
このように、左右の駆動輪にラチェット機構を有する車椅子では、坂道での後退を防止できる反面、通常の車椅子と比較して小回りできないという問題を有している。さらに旋回時にラチェット機構を操作する必要があり、操作が複雑になるので危険をともなう。
また、この車椅子での旋回については、左右両方のラチェット機構を解除した上で、一方の駆動輪をブレーキで停止させた状態で他方の駆動輪のみを逆方向に回転させて旋回する方法も考えられる。しかしながら、左右のラチェット機構を完全に解除するので、旋回時に坂を登るときの後退を防止することができず危険をともなう。
本実施例の安全走行装置を用いれば、前述のようにラチェット機構オン状態のままで、左右の駆動輪705a、705bをそれぞれ逆方向に自在に回転することができる。したがって、図7に示すように、左右の駆動輪705a、705bを逆方向に回転させることにより、最小旋回半径Rminが零(0)で旋回できる。
このように、本実施例の安全走行装置を用いれば、ラチェット機構により坂を登るときの後退を防止するともに、小回りができ旋回性を向上させることができる。
本実施例においては、差動歯車におけるデフケース内のリングギアに設けた係止歯部材と、揺動爪部材から形成されるラチェット機構を用いたが、リングギアを用いなくても同様の効果を奏することができる。例えば、リングギアを用いずにデフケースの外周部の回転方向に係止歯部材を設けて、この係止歯部材と係合できる位置に揺動爪部材を配置すればよい。
このように、係止歯部材がデフケースとともに回転でき、係止歯部材が揺動爪部材と係合する状態と係合を解除される状態に変化できればよい。
本実施例においては、ラチェット機構を用いたが、ワンウェイクラッチ等を用いても、駆動輪の逆回転(坂を登るときの後退)を防止でき、同様の効果を奏する。
本実施例においては安全走行装置を車椅子に用いる場合を説明したが、歩行補助車、ベビーカー、カート等の手動で走行する小型の車に用いても同様の効果を奏することができる。
101、102
100、200、300、700、800、810 車椅子
101、201、301、701、801、811 バックレスト(背もたれ)
102、202、302、702、802、812 シート(座面)
103、203、303、703、803、813 アームレスト
104、204、304、704、804、814 フットレスト
105、205、305、705、805、815 駆動輪
106、206、306、706、806、816 ハンドリム
107、207、307、707、807、817 車軸
108、208 キャスター(前輪)
109 係合歯部材
110 揺動爪部材
111、211 操作レバー
114 係合歯
115 係合歯の傾斜面
116 係合歯の規制面
117 揺動爪部材の先端前面
118 揺動爪部材の先端部
119 揺動爪部材の揺動中心軸
120 揺動爪部材の後端部
121 操作レバー支持軸
122、212、818 操作レバーの凸部
112、113 回転方向(矢印)
123、124、126、127 操作レバー、揺動爪部材、操作レバーの凸部の動作方向(矢印)
213 坂を登る方向(矢印)
308 第二の実施例の走行安全装置
401、501,601 差動歯車
402、502,602 揺動爪部材
403、503,603 リングギア
404、504,604 デフケース
405、505,605 サイドギア
406、506,606 ピニオンギア
407、507,607 車軸
408 係合歯部材
409 係合歯
410 係合歯の傾斜面
411 係合歯の規制面
412 揺動爪部材の揺動中心軸
413 揺動爪部材の先端部
414 揺動爪部材の先端前面
415 揺動爪部材の後端部
416、417、508、509、608、609 回転方向(矢印)
510、610 ピニオンギアに回転が伝達される方向(矢印)

Claims (3)

  1. 車椅子において、駆動輪の内側または外側に配される係合歯部材と、アームレスト近傍に設けられた揺動中心軸によって揺動可能に支持される揺動爪部材と、前記アームレスト近傍に設けられた操作レバーを備え、
    前記操作レバーを操作することにより、前記揺動爪部材が、前記揺動中心軸を中心に揺動することにより、前記係合歯部材と係合する状態、または前記係合が解除される状態に変化する安全走行装置。
  2. 前記操作レバーの操作により駆動輪を制動する請求項1に記載の安全走行装置。
  3. ピニオンギア支持部及び1対の車軸挿入孔を有するデフケースと、前記ピニオンギア支持部に回転自在に支持されたピニオンギアと、前記ピニオンギアに噛合する1対のサイドギアと、前記デフケースとともに回転する係合歯部材と、
    揺動中心軸によって揺動可能に支持される揺動爪部材とを備え、
    前記揺動爪部材が、前記揺動中心軸を中心に揺動することにより、前記係合歯部材と係合する状態、または前記係合が解除される状態に変化する安全走行装置。
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