JP2016067322A - プラスチック製容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞や組織を培養し、これらを生きたままの状態で位相差顕微鏡によって撮像することができるプラスチック製容器を提供する。【解決手段】プラスチック製容器10は、ウェル11を2つ以上有するマルチウェルプレートである。ウェル11の開口の直径Rは、0.5mm以上2cm未満であり、かつ、ウェル11の深さDは、2mm以上2cm未満である。ウェル11の内側面11aは撥水性を有し、かつ、ウェル11の底面11bは親水性を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、細胞や組織を培養し、かつ、培養した細胞や組織を観察するためのプラスチック製容器に関する。
近年、創薬や再生医療の分野において、染色等をせず、生きたままの細胞や組織(以下、生細胞という)を撮像する技術に注目が集まっている。位相差顕微鏡は、生細胞を撮像するための代表的な装置であり、リングスリットを有する位相差観察用コンデンサと、リング状の位相差板を有する位相差観察用対物レンズとを備える。生細胞はプラスチック製容器に入れられた状態で、位相差観察用コンデンサと位相差観察用対物レンズとの間に配置され、撮像される。近年ではスクリーニングをハイスループット化するために、位相差顕微鏡で用いられるプラスチック製容器は、生細胞を培養するための培養容器を兼ねており、生細胞を培養及び観察するための複数の凹部(以下、ウェルという)を有している。このようなプラスチック製容器は、マイクロプレート、マイクロタイタープレート、マイクロウェルプレート、マルチウェルプレート、または、ウェルプレート等と呼ばれる。
ところで、プラスチック製容器(あるいはウェルの内壁)の培養液に対する性質や、ウェルの開口の大きさによっては、生細胞を培養するための培養液の表面が凹状または凸状に湾曲する場合がある。すなわち、培養液の液面がメニスカスになる場合がある。培養液の液面がメニスカスになっていると、ウェルの壁面付近とウェルの中央付近とで、培養液中を通過する光に位相差が生じる。また、培養液の液面のメニスカスがレンズとして作用してしまう。位相差顕微鏡は、位相差をコントラストに変換して観察するので、培養液液面のメニスカスによって、ウェル内での位置による位相差が生じたりすると、生細胞を正常に撮像できないことや、生細胞を撮像できるとしても、画質が良くない場合がある。このため、ウェルに入れた培養液の液面に、透明な平板を浮かせることにより、培養液の液面を平面化する方法が知られている(特許文献1)。
この他、上記のように位相差顕微鏡で用いるのに好適なプラスチック製容器ではないが、生物分野や生化学分野では、様々な工夫がされたプラスチック製容器が知られている。例えば、ウェルの内側面を撥水性(疎水性)にし、底面を親水性にすることで、DNA(DeoxyriboNucleic Acid)等の親水性溶液をウェルの底面にスムースに誘導するようにしたプラスチック製容器が知られている(特許文献2)。同様に、試薬分析用のプラスチック製容器においても、ウェルの内側面を撥水性にし、底面を親水性にすることで、親水性溶液をウェルの底面にスムースに誘導する場合がある(特許文献3)。ウェルに入れる水溶液を溢れ難くしたり、ウェル間での試料混入による汚染(クロスコンタミネーション)を防止したりするために、ウェルの内側面を撥水性にするプラスチック製容器も知られている(特許文献4,5)。
特許文献1のように、ウェルに入れた培養液の液面に透明な平板を浮かせると、培養液の液面を平面化し、メニスカスを低減することができるが、培養液内の生細胞への酸素の供給路が絶たれてしまう。このため、培養液の液面に透明な平板を浮かせてメニスカスを低減すると、生細胞は死滅し、あるいは、生細胞に多大なストレスを与えてしまうので、この方法で生細胞を撮像し、観察するのは困難である。
すなわち、生細胞を培養し、生きたままの状態で撮像し、観察するためには、ウェルは開口させておくことが必要である。そして、位相差顕微鏡で生細胞を撮像するためには、ウェルを開口させた状態で、培養液の液面に生じるメニスカスを低減する必要がある。
本発明は、細胞や組織を培養し、これらを生きたままの状態で位相差顕微鏡によって撮像することができるプラスチック製容器を提供することを目的とする。
本発明のプラスチック製容器は、開口の円相当径が0.5mm以上2cm未満、かつ、深さが2mm以上2cm未満であるウェルを少なくとも2つ以上有するプラスチック製容器において、ウェルの内側面が撥水性を有し、かつ、ウェルの底面が親水性を有する。
ウェルの内側面には、フッ素を含む撥水性コートが設けられており、撥水性コートは、フッ素含有量が0.01mg以上1.5mg/cm2未満であることが好ましい。
ウェルの内側面は、ダイヤモンドライクコーティングが設けられていることが好ましい。
ウェルの内側面は、純水に対する接触角が75度以上100度以下であることが好ましい。
ウェルの底面は、純水に対する接触角が0度以上70度以下であることが好ましい。
ウェルの内側面の純水に対する接触角と、ウェルの底面の純水に対する接触角との差が、5度以上110度以下であることが好ましい。
ウェルの内側面は、粗面化されていることが好ましい。
ウェルの内側面は、気相法による表面処理が施されていることが好ましい。
ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリカーボネートで形成されていることが好ましい。
本発明のプラスチック製容器は、細胞や組織を培養し、これらを生きたままの状態で位相差顕微鏡によって撮像することができる。
図1に示すように、プラスチック製容器10は、生物の細胞や組織等の生細胞を培養する容器であり、かつ、培養した生細胞を位相差顕微鏡で撮像(あるいは観察)するための容器である。また、プラスチック製容器10は、いわゆるマルチウェルプレートであり、円形に開口された複数のウェル11を有している。ウェル11は、培養及び培養後に撮像する生細胞と生細胞を培養するための培養液を入れる凹部である。図1では、一例として、8行12列の96個のウェル11を有する96ウェルプレートを示しているが、プラスチック製容器10は、ウェル11を少なくとも2つ以上有していれば良く、ウェル11の個数は任意である。96ウェルプレートの他には、ウェル11が、6個、24個、または384個のマルチウェルプレートがよく用いられる。
プラスチック製容器10に好適な材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ウレタンアクリレート等のアクリル系材料、セルロース、ガラス等が挙げられる。また、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクタン、もしくはその共重合体のような生分解性ポリマー等の樹脂等を用いることができる。これらなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネートを好ましく用いることができ、特に、ポリスチレンを好ましく用いることができる。細胞毒性が低いからである。また、プラスチック製容器10の表面は、任意の表面処理(例えば、プラズマ、コロナ、マイクロウェーブ、電子線および紫外線等の照射等)が施されていても良い。
図2に示すように、ウェル11は非貫通孔であり、プラスチック製容器10の表面に開口されている。ウェル11には、開口から、培養する生細胞13と生細胞13を培養するための培養液12(例えば血清液)とが注入される。プラスチック製容器10を用いる場合、ウェル11は開口されているので、ウェル11に注入された培養液12は、生細胞13の培養中及び位相差顕微鏡での撮像時にも常にウェル11の開口近傍で空気に接触する。このため、培養された生細胞13は生きたまま位相差顕微鏡によって撮像(観察)される。
プラスチック製容器10では、ウェル11は、開口の直径Rが0.5mm以上2cm未満に形成され、深さDが2mm以上2cm未満に形成されている。ウェル11の開口の直径Rが0.5mm以上2cm未満に形成されているのは、同一環境下で培養された生細胞13の細胞数をばらつきなく収束したデータを取得するために好ましいからである。ウェル11の開口の直径Rは、1mm以上であることがより好ましい。ウェル11の開口の直径Rが2cm未満の場合には、培養液12の液面12aのメニスカスが顕著になるので、本発明が特に有用であり、ウェル11の開口の直径Rは1cm以下である場合に特に好適である。例えば、96個のウェル11を有する96ウェルプレートの場合、ウェル11の開口の直径は例えば6mmである、384個のウェル11を有する384ウェルプレートの場合、ウェル11の開口の直径は例えば3mmである。
ウェル11の深さDとは、ウェル11の底面11bから開口(プラスチック製容器10の表面)までの高さであり、ウェル11の深さDが2mm以上に形成されているのは、生細胞13を培養するために十分な培地を確保し、かつ、生細胞13を培養するために十分な培養液12の量を確保するためである。ウェル11の深さDが2cm未満に形成されているのは、透過型顕微鏡で観察する場合のケラレによる周辺視野の光量低下を防ぐためである。ウェル11の深さDが3mm以上1cm以下の範囲内であれば、生細胞13の培養及び撮像に特に好適である。また、ウェル11に入れる培養液12の量は、ウェル11の深さDの1/2以下であることが好ましい。
また、ウェル11の内側面11aは、撥水性を有している。図3に示すように、ウェル11の内側面11aには、例えば、フッ素を含む撥水性コート17が設けられており、純水の微小な液滴16を滴下した場合に、液滴16とウェル11の内側面11aとの接触角αが、75度以上110度以下になる撥水性を有する。ウェル11の内側面11aは、純水の液滴16との接触角αが80度以上100度以下になる撥水性を有することがより好ましく、純水の液滴16との接触角αが85度以上95度以下であることが特に好ましい。接触角αは、ウェル11の内側面11aの一部を切り出し、純水の液滴16を滴下して市販の接触角計によって測定することができる。撥水性コート17のフッ素含有量は0.01mg以上1.5mg/cm2未満であることが好ましい。撥水性コート17のフッ素含有量が0.01mg未満の場合、撥水性コート17にピンホールが形成される、撥水性コート17の耐久性が低いために溶解するなどの不具合が生じる場合がある。また、撥水性コート17のフッ素含有量が1.5mg/cm2以上の場合、撥水性コート17が厚くなり、ウェル11の観察視野が狭くなってしまう場合がある。
ウェル11の底面11bは、親水性を有する。ウェル11の底面11bは、例えば、プラズマ処理(IHI技報Vol.52 No.4(2012) p.65)やコロナ処理等によって、プラスチック製容器10の材料の表面に対して親水化処理が施されており、図4に示すように、ウェル11の底面11bに対する純水の微小な液滴16の接触角βは、0度以上70度以下担っている。ウェル11の底面11bに親水性を持たせているのは、生細胞13をウェル11の底面11bに安定的に吸着させ、培養(成長)させるためである。生細胞13を安定して培養するためには、ウェル11の底面11bは、純水の液滴16の接触角βが10度以上65度以下になる親水性を有していることが特に好ましい。
プラスチック製容器10は、上記のように、開口の直径R及び深さDが定められ、内側面11aが撥水性を有し、かつ、底面11bが親水性を有するウェル11を備えている。このため、図5に示すように、ウェル11に生細胞13と培養液12を注入すると、ウェル11の内側面11aと培養液12の液面12aのなす角γ1は、概ね90度になる。培養液12の成分は、複数あるウェル11毎に(あるいはウェル11の内容物を入れ替えた測定毎に)変わることがあるが、何れの場合も培養液12が水溶液であることに変わりはないので、プラスチック製容器10を用いれば、透明な平板を培養液12に浮かせるまでもなく、プラスチック製容器10を用いるだけで、ウェル11の内側面11aに対する培養液12の液面12aのなす角度γ1は概ね90度になる。
プラスチック製容器10で培養された生細胞13を培養した後、あるいは生細胞13の培養の過程で、生細胞13はプラスチック製容器10ごと位相差顕微鏡にセットされ、撮像される。例えば、図6に示すように、位相差顕微鏡20は、照明光を発する光源21と、位相差観察用コンデンサ22と、位相差観察用対物レンズ26と、撮像センサ29を備え、プラスチック製容器10は、位相差観察用コンデンサ22と位相差観察用対物レンズ26との間に配置される。なお、図6では、位相差観察用対物レンズ26からの光が直接入射する位置に撮像センサ29を配置しているが、位相差観察用対物レンズ26と撮像センサ29の間には図示しないミラーを配置し、位相差観察用対物レンズ26からの光をミラーによって90度曲げて撮像センサ26に入射するようにしても良い。
位相差観察用コンデンサ22は、リング上のスリットが設けられたリングスリット23とコンデンサレンズ24を有しており、光源21が発した照明光をリングスリット23によってリンク状にし、コンデンサレンズ24によってプラスチック製容器10の特定のウェル11を通過させる。位相差観察用対物レンズ26は、対物レンズ27とリング状の位相差板28とを有しており、特定のウェル11を通過した光を対物レンズ27によって撮像センサ29に結像させる。その過程で、位相差板28によって特定のウェル11を通過した光の位相差をずらす。ウェル11に生細胞13がなければ、全ての光路の光が位相差板28を通るので、全体が均一な明るさの像が撮像される。
一方、ウェル11に生細胞13があると、生細胞13を通る光と、培養液12だけを通る光との間には光路長に差が生じる。このため、位相差板28によって位相を1/4波長進め、または1/4波長遅らせることによって、これらの各光を干渉させることにより、生細胞13を通る光と培養液12だけを通る光との位相差がコントラストとして撮像される。すなわち、透明な培養液12中にあるほぼ透明な生細胞13が撮像センサ29によって撮像される。
上記のように、位相差顕微鏡20でウェル11中にある生細胞13を撮像する場合、位相差顕微鏡20は、生細胞13による回折光の位相差をコントラストとして撮像するので、培養液12の液面12aがウェル11の内側面11aに対して略垂直であり、培養液12によって位相差が生じないことが前提となっている。プラスチック製容器10によれば、ウェル11の内側面11aに対して培養液12の液面12aはほぼ垂直になっているので、生細胞13の培養容器であるプラスチック製容器10をそのまま用い、位相差顕微鏡20で生細胞13を生きたままの状態で良好な画質で撮像することができる。
例えば図7に示すように、ウェル11の寸法や内側面11aまたは底面13bの特性が上記実施形態の特性を満たさない比較例のプラスチック製容器110では、培養液12の液面12aがウェル11の内側面11aとなす角γ2が90度よりも大きくなって、培養液12の液面12aは凹状のメニスカスになる。同様に、例えば図8に示すように、比較例のプラスチック製容器120では、培養液12の液面12aがウェル11の内側面11aとなす角γ3が90度よりも小さくなって、培養液12の液面12aは凸状のメニスカスになる。これらのように、培養液12の液面12aがメニスカスになると、ウェル11内の位置によって培養液12を通過する光路長が違うので、ウェル11を通過する光にはその分の位相差が生じる。また、培養液12の液面12aのメニスカスによってレンズとして作用してしまう。これらのことから、上記実施形態の特性を満たさない比較例のプラスチック製容器110,120では、生細胞13を正しく撮像できなかったり、画質が悪かったりするが、上記実施形態のプラスチック製容器10によれば、こうした不具合がなく、生細胞13を生きたままの状態で位相差顕微鏡20によって正しくかつ高画質で撮像することができる。
上記実施形態では、プラスチック製容器10の表面及び裏面に対して、ウェル11の内側面11aが略垂直であるが、ウェル11は、図9に示すプラスチック製容器210のように、内側面211aが傾斜し、開口から底面211bにかけて窄まる形状のウェル211にしても良い。また、図10に示すプラスチック製容器220のように、内側面221aが傾斜し、開口から底面221bにかけて拡がる形状のウェル221にしても良い。プラスチック製容器210,220のように、内側面が傾斜したウェルを形成する場合も、ウェルの内側面の傾斜が数度程度であれば、上記実施形態のプラスチック製容器10のウェル11と同様に形成すれば、培養液12の液面12aを略水平にすることができる。
また、図10に示すプラスチック製容器220のように、開口から底面221bにかけて拡がる形状のウェル221を形成する場合、プラスチック製容器220の成形方法は射出一体成型でも良く、ウェル221の内側面221aを形成する孔を設けた第1プレート231と、ウェル221の底面221bを形成する第2プレート232とをそれぞれ別々に成形し、これらを貼合成形しても良い。もちろん、上記実施形態のプラスチック製容器10や図9に示すプラスチック製容器210を作製する場合も、ウェルの内側面を形成する孔を設けた第1プレートと、ウェルの底面を形成する第2プレートとを別々に作成し、これらを貼合しても良い。
上記実施形態では、ウェル11は円形に開口しているが、ウェル11の開口形状は任意であり、四角形等、任意の形状に開口していても良い。この場合、上記実施形態におけるウェル11の開口の直径Rとは、開口の面積を円に換算した場合の直径(以下、円相当径という)である。例えば、1辺が長さpの正方形の場合、R=2(p2/π)1/2である。
上記実施形態では、ウェル11の内側面11aは、撥水性コート17を設けることによって撥水性を有しているが、撥水性コート17を設ける代わりに、ウェル11の内側面11aをサンドブラスト等により粗面化し、表面に細かい凹凸を設けることにより撥水性を持たせても良い。また、大気圧プラズマ処理や紫外線照射処理等の気相法による表面処理によって、ウェル11の内側面11aに撥水性を持たせても良い。
上記実施形態では、フッ素を含む撥水性コート17(いわゆるフッ素コーティング)によってウェル11の内側面11aに撥水性を持たせているが、シリコーン樹脂をコーティングすることによってウェル11の内側面11aに撥水性を持たせても良い。
上記実施形態では、フッ素を含む撥水性コート17によってウェル11の内側面11aに撥水性を持たせているが、フッ素を含む撥水性コート17の代わりに、ダイヤモンドライクコーティングを設けることにより、ウェル11の内側面11aに撥水性を持たせても良い。ダイヤモンドライクコーティングは、例えば、大気圧プラズマ処理とカーボンコーティングの組み合わせによって形成される。この場合に形成されるダイヤモンドライクコーティングは、ダイヤモンドライクカーボン(Diamond‐Like Carbon)である。カーボンコーティングの代わりにシリコン(Si)を用いてダイヤモンドライクコーティングを形成することができる。ダイヤモンドライクコーティングを用いる場合、培養液12の液面12aのメニスカス形状の経時安定性に特に優れ、環境安全性も高い。
また、フッ素を含む撥水性コート17を設ける代わりに、プラスチック製容器10の基材をウェル11の内側面11aに露呈させておくことで、ウェル11の内側面11aに撥水性を持たせても良い。プラスチック製容器10をポリスチレンで形成する場合、プラズマ処理やコロナ処理等によって親水化処理を施すと、ポリスチレンに対する純水の液滴16の接触角αは70度以下になるが、こうした親水化処理を行わなければ、ポリスチレンに対する純水の液滴16の接触角αは約91度である。したがって、親水化処理を行っていないポリスチレンをウェル11の内側面11aに露呈させておけば、ウェル11の内側面11aに上記実施形態と同様の撥水性を持たせることができる。
撥水性コート17の厚さは、0.001μm以上1000μm以下であることが好ましい。同様に、撥水性コート17の代わりに上記各種処理等をウェル11の内側面11aに施す場合も同様であり、撥水性を有する層や撥水性を持たせるための各種処理を施す層(撥水処理層)の厚さは、0.001μm以上1000μm以下であることが好ましい。撥水性コート17等の厚さが0.001μm未満の場合、撥水性コート17等が薄すぎてその他の条件が満たされていても必要な撥水性が得られない場合があり、1000μmよりも厚いと、ウェル11の視野が狭窄されてしまうからである。また、撥水性コート17が十分な連続性を有するためには、撥水性コート17の厚さは0.02μm以上であることが好ましい。さらに、撥水性コート17が十分な耐擦性を有し、実用上、すぐに撥水性が低下してしまうのを防ぎ、繰り返しの利用に耐え得るようにするためには、撥水性コート17の厚さは0.5μm以上であることが特に好ましい。
撥水性コート17や撥水性コート17の代わりに施す各種処理等は、ウェル11の内側面11aの全部に施されている必要はない。ウェル11の内側面11aは、少なくとも培養液12の液面がウェル11の内側面11aに接触し得る範囲において、撥水性コート17等による撥水性を有していれば良い。
なお、上記実施形態では、ウェル11の内側面11aの撥水性と底面11bの親水性は、それぞれ別々に設定することができるが、生細胞13の培養と位相差顕微鏡20による観察を両立させるためには、ウェル11の内側面11aの撥水性と底面11bの親水性のバランスが重要である。このため、例えば、ウェル11の内側面11aに対する純水の液滴16の接触角αと、ウェル11の底面11bに対する純水の液滴16の接触角βの差(|α−β|)は、5度以上110度以下であることが好ましく、10度以上80度以下であることがより好ましい。
なお、位相差顕微鏡20で生細胞13を撮像して得た画像は、例えば、画像処理により培養した生細胞13の細胞数を取得するために用いることができる。生細胞13の細胞数は、例えば、Otsu法をはじめとする閾値分離の方法、Level Set法をはじめとする機械学習を用いた方法などによって画像から細胞を検出し、その個数を計数することによって取得することができる。
また、上記実施形態のプラスチック製容器10を用いれば、生細胞13を生きたままの状態で位相差顕微鏡20によって撮像することができるので、位相差顕微鏡20による撮像後、生細胞13の培養を継続した後に再び位相差顕微鏡20によって同じウェル11を位相差顕微鏡20で撮像することができる。このため、培養と撮像を繰り返すことにより得た複数の画像を用いて画像処理をすることにより、細胞系統樹を取得することができる。細胞系統樹の取得方法は、カーネギーメロン大Kanadeらの方法(“Cell Image Analysis: Algorithms, System and Applications” 2011 IEEE Workshop on Applications of Computer Vision, WACV 2011など)でもよいし、Kurokawaらの方法(”Software for precise tracking of cell proliferation” Biochemical and Biophysical Research Communications 417 (2012) 1080-1085)でもよい。
なお、上記実施形態では、プラスチック製容器10を用いて位相差顕微鏡20で生細胞13を撮像しているが、透過顕微鏡等、他の顕微鏡等を用いた撮像や観察にもプラスチック製容器10は好適である。
10 プラスチック製容器
11 ウェル
11a 内側面
11b 底面
12 培養液
16 純水の液滴
11 ウェル
11a 内側面
11b 底面
12 培養液
16 純水の液滴
Claims (9)
- 開口の円相当径が0.5mm以上2cm未満、かつ、深さが2mm以上2cm未満であるウェルを少なくとも2つ以上有するプラスチック製容器において、
前記ウェルの内側面が撥水性を有し、かつ、前記ウェルの底面が親水性を有するプラスチック製容器。 - 前記ウェルの内側面には、フッ素を含む撥水性コートが設けられており、
前記撥水性コートのフッ素含有量が0.01mg以上1.5mg/cm2未満である請求項1に記載のプラスチック製容器。 - 前記ウェルの内側面は、ダイヤモンドライクコーティングが設けられている請求項1に記載のプラスチック製容器。
- 前記ウェルの内側面は、純水に対する接触角が75度以上100度以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチック製容器。
- 前記ウェルの底面は、純水に対する接触角が0度以上70度以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチック製容器。
- 前記ウェルの内側面の純水に対する接触角と、前記ウェルの底面の純水に対する接触角との差が、5度以上110度以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチック製容器。
- 前記ウェルの内側面は、粗面化されている請求項1に記載のプラスチック製容器。
- 前記ウェルの内側面は、気相法による表面処理が施されている請求項1に記載のプラスチック製容器。
- ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリカーボネートで形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラスチック製容器。
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