JP2003066033A - マイクロプレート及びその製造方法 - Google Patents

マイクロプレート及びその製造方法

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JP2003066033A
JP2003066033A JP2001252781A JP2001252781A JP2003066033A JP 2003066033 A JP2003066033 A JP 2003066033A JP 2001252781 A JP2001252781 A JP 2001252781A JP 2001252781 A JP2001252781 A JP 2001252781A JP 2003066033 A JP2003066033 A JP 2003066033A
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JP2001252781A
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Tetsuo Takada
哲生 高田
Atsushi Teramae
敦司 寺前
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウエルの微小化が容易でウエル表面を親水性
化して生体成分の吸着を低く抑えたマイクロプレート、
逆に疎水性化して、抗原等の標的タンパク質を吸着また
は共有結合させることができる表面としたマイクロプレ
ート、更に、親水性のウエル底部と疎水性のウエル壁部
を持つ水溶液が外部に溢れにくいマイクロプレート等の
種々の物性を有するマイクロプレート及びその簡便な製
造方法を提供する。 【解決手段】 試料収納用凹部であるウエルが基材上に
多数配列して設けられ、前記ウエルの壁部と底部の少な
くとも一つが活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)
の硬化物から成ることを特徴とするマイクロプレート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗原抗体反応、酵
素反応、DNAの反応や分析、その他の化学、生化学微
量反応、並びに反応生成物の定性的または定量的な測定
に使用されるマイクロプレート及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】医学特に診断分野、製薬及びバイオ分野
では、96穴マイクロプレートの様なマイクロプレート
を使用した反応と分析が多く行われている。近年、より
高価な試薬(例えばDNA)等による診断の出現や、検
出器機の精度向上、反応と分析の時間短縮のために、使
用される機器並びに試薬量が微小化されてきた。それに
伴い、反応と分析用の容器としてのマイクロプレートの
微小化及びマイクロプレートへの生体成分の吸着防止が
必要になってきた。
【0003】しかしながら、現在使用されているマイク
ロプレートは、射出成形で製造された96穴型、384
穴型及び1536穴型の3種類のものである。使用され
るポリマーは主にポリスチレンやポリカーボネートのよ
うな熱可塑性樹脂であり、これらの樹脂は疎水性で、タ
ンパクなどの生体成分に対する吸着性が強いという欠点
を有している。
【0004】一方、ウエル底部の直径を0.5mm以下
にするマイクロプレートの微小化に関しては、従来の射
出成形法による製造では限界であり、また、ウエル内表
面への官能基付与などによる生体成分の低吸着型のマイ
クロプレートや、ウエルの底部が親水性で壁部が疎水性
のような底部と壁部の表面物性が異なるマイクロプレー
トを製造することは、熱可塑性樹脂を用いた従来の射出
成型法では製造が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、試料収納凹部であるウエルの微小
化が容易で、ウエル表面を親水性化して生体成分の吸着
を低く抑えたマイクロプレート、逆に疎水性化して、抗
原等の標的タンパク質を吸着または共有結合させること
ができる表面としたマイクロプレート、更に、親水性の
ウエル底部と疎水性のウエル壁部を持つ水溶液が外部に
溢れにくいマイクロプレート等の種々の物性を有するマ
イクロプレート及びその簡便な製造方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、基材上に試料収納
用凹部であるウエルが多数配列して設けられたマイクロ
プレートを、ウエルの壁部と底部の少なくとも一つを活
性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)の硬化物で構成
し、更に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の種
類を選択することにより、上記課題を解決できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、試料収納用凹部であるウ
エルが基材上に多数配列して設けられ、前記ウエルの壁
部と底部の少なくとも一つが活性エネルギー線硬化性樹
脂組成物(A)の硬化物から成ることを特徴とするマイ
クロプレートを提供する。
【0008】本発明は、下記の工程を含む、試料収納用
凹部であるウエルが基材上に多数配列して設けられたマ
イクロプレートの製造方法を提供する。 (1)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)を基材
上に塗布または印刷して基材上に活性エネルギー線硬化
性樹脂組成物(A)から成る樹脂層(B1)を形成する
第1工程と、(2)前記樹脂層(B1)上にパターン化
したマスクをのせて活性エネルギー線を照射し、ウエル
となる部分以外の樹脂層を硬化させ、次いで未硬化の樹
脂層を除去してウエルを形成させる第2工程。
【0009】更に本発明は、下記の工程を含む、試料収
納用凹部であるウエルが基材上に多数配列して設けられ
たマイクロプレートの製造方法をも提供する。 (1)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)を基材
上に塗布または印刷して、基材上に活性エネルギー線硬
化性樹脂組成物(A)から成る樹脂層(B1)を形成す
る第1工程、(2)前記樹脂層(B1)にエネルギー線
を照射して、前記樹脂層(B1)を半硬化させる第2工
程、
【0010】(3)半硬化させた前記樹脂層(B1)上
に前記樹脂層(B1)の活性エネルギー線硬化性樹脂組
成物(A)と同一もしくは異なる組成の活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物を塗布または印刷し、半硬化させた
前記樹脂層(B1)上に更に活性エネルギー線硬化性樹
脂組成物から成る樹脂層(B2)を形成する第3工程、
及び、(4)前記樹脂層(B2)上にパターン化したマ
スクをのせて活性エネルギー線を照射してウエルとなる
部分以外の樹脂層を硬化させ、次いで未硬化の樹脂層を
除去してウエルを形成させる第4工程。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いる活性エネルギー線
硬化性樹脂組成物(A)は、紫外線、可視光、赤外線の
如き活性エネルギー線の照射により重合し、硬化物とな
る活性エネルギー線重合性化合物を含むものであれば良
く、これら活性エネルギー線重合性化合物はラジカル重
合性化合物、アニオン重合性化合物、カチオン重合性化
合物などのいずれであっても良い。
【0012】これらの活性エネルギー線重合性化合物と
しては、例えば、分子内に、ビニル基、ビニリデン基、
アクリロイル基、メタクリロイル基[以下併せて(メ
タ)アクリロイル基と称する。(メタ)アクリル、(メ
タ)アクリレート等についても同様である]、マレイミ
ド基などを有する化合物が挙げられるが、これらの中で
も活性エネルギー線の照射による重合速度が早いことか
ら、(メタ)アクリレートが好ましい。
【0013】上記の活性エネルギー線重合性化合物は親
水性の重合性化合物と疎水性の重合性化合物、及び両親
媒性の重合性化合物の3種類に分けることができる。こ
こで言う親水性とは上記の重合性化合物の硬化物が水と
の接触角が約55°以下の重合性化合物であることをい
い、また、疎水性とは、その硬化物が水との接触角が約
55°を越える重合性化合物のことを言う。
【0014】1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基
を有する疎水性の重合性化合物(以下、単官能化合物と
いう)としては、例えば、ブチル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチ
ル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メ
タ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)
アクリレート、3−(メタ)アクリロイルプロピルトリ
ス(トリメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。
【0015】1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基
を有する疎水性の重合性化合物(以下、2官能化合物と
いう)として、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−アクリロ
イルオキシグリセリンモノメタクリレート、
【0016】2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイ
ルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン2,
2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロ
ピレンオキシフェニル)プロパン、ジシクロペンタニル
ジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロイル
オキシエチル]ヒドロキシエチルイソシアネート、フェ
ニルグリシジルエーテルアクリレートトリレンジイソシ
アネート、アジピン酸ジビニル等が挙げられる。
【0017】1分子中に3個の(メタ)アクリロイル基
を有する疎水性の重合性化合物(以下、3官能化合物と
いう)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキ
シエチル]イソシアネート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】1分子中に4個の(メタ)アクリロイル基
を有する疎水性の重合性化合物(以下、4官能化合物と
いう)として、例えば、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレ
ートヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、1分子中に5個の(メタ)アクリロイル基を有す
る疎水性の重合性化合物(以下、5官能化合物という)
として、例えば、ジペンタエリスリトールモノヒドロキ
シペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】1分子中に6個の(メタ)アクリロイル基
を有する疎水性の重合性化合物(以下、6官能化合物と
いう)として、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、などが挙げられる。また、疎水
性の重合性化合物として、ビスフェノールA−ジエポキ
シ−(メタ)アクリル酸付加物の如きエポキシ樹脂の
(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メ
タ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリル
基を有するポリウレタン樹脂なども挙げられる。これら
疎水性の活性エネルギー線重合性化合物は、単独で用い
ることも、2種以上の化合物を混合して用いることもで
きる。
【0020】一方、親水性の活性エネルギー線重合性化
合物としては、例えば、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレートの如きポリエチレングリコール
親水鎖を有する重合性化合物や、(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イ
ソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチレン
ビス(メタ)アクリルアミドの如きアミド基を有する
(メタ)アクリレートや、
【0021】(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホ
ン酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウム−2−メチルプ
ロパン−2−アクリルアミドの如き陰イオンを有する
(メタ)アクリレートや、トリ−ブチル{2−(メタ)
アクリロイルオキシエチル}ホスホニウムクロライド、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物の
如き陽イオンを有する(メタ)アクリレートや、
【0022】2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
ハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシエチ
ル琥珀酸、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレー
トの如きカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート
や、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートの如き水酸基を有する
(メタ)アクリレートや、
【0023】モノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チル}アシッドホスフェート[CH=C(R)COO
CHCHOPO(OH)、ここで、R=H、−C
]、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジヒ
ドロジエンホスフェート[CH =C(R)COO(C
10OPO(OH)、ここで、R=H、−CH
]、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル
リン酸[CH=C(R)COOCHCHOPO
(OH)OC、ここで、R=H、CH]の如き
リン酸(メタ)アクリレートや、糖(メタ)アクリレー
ト及びアミノ酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの親水性重合性化合物は、単独で用いることも、
2種以上の化合物を混合して用いることもできる。
【0024】更に、本発明に用いる活性エネルギー線硬
化性樹脂組成物(A)に両親媒性の活性エネルギー線重
合性化合物を含有させることにより、マイクロプレート
のウエル表面に親水性を付与することが出来る。ここで
言う両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物とは、分
子内に親水基と疎水基の両方を含有し、活性エネルギー
線の照射により、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)に含有される活性エネルギー線重合性化合物と共
重合することが可能な重合性官能基を有するものであ
る。
【0025】両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物
が有する親水基としては、例えば、アミノ基、四級アン
モニウム基、フォスフォニウム基の如きカチオン基;ス
ルホン基、燐酸基、カルボキシル基の如きアニオン基;
水酸基、ポリエチレングリコール鎖、アミド基の如きノ
ニオン基または重合鎖;アミノ酸の如き両性イオン基等
が挙げられる。中でも、本発明に用いる両親媒性の活性
エネルギー線重合性化合物が有する親水基としては、窒
素雰囲気中での重合による親水性付与の点から、ポリエ
ーテル鎖、特に繰り返し数6〜20のポリエチレングリ
コール鎖を有する化合物が好ましい。
【0026】一方、両親媒性の活性エネルギー線重合性
化合物の疎水基としては、例えば、アルキル基、アルキ
レン基、アルキルフェニル基、長鎖アルコキシ基、フッ
素置換アルキル基、シロキサン基などが挙げられる。中
でも、本発明に用いる両親媒性の活性エネルギー線重合
性化合物は、疎水基としては、炭素数6〜20のアルキ
ル基またはアルキレン基を有する化合物であることが好
ましい。炭素数6〜20のアルキル基またはアルキレン
基は、例えば、アルキルフェニル基、アルキルフェノキ
シ基、アルコキシ基、フェニルアルキル基などの形で含
有されていてもよい。
【0027】本発明に使用する両親媒性の活性エネルギ
ー線重合性化合物は、中でも、親水基として繰り返し数
6〜20のポリエチレングリコール鎖を有し、且つ、疎
水基として炭素原子数6〜20のアルキル基またはアル
キレン基を有する化合物であることが好ましい。これら
両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物の中でも、ノ
ニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8〜1
7)(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロ
ピレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリレー
トが特に好ましい。
【0028】これらの両親媒性の活性エネルギー線重合
性化合物を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)に
含有させることにより、該樹脂組成物を窒素雰囲気中で
重合させても、良好な親水性かつ低タンパク吸着性の樹
脂硬化物表面が得られるので好ましい。
【0029】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)
に含有させる両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物
と(メタ)アクリレート等の他の活性エネルギー線重合
性化合物との好ましい割合は、両親媒性の活性エネルギ
ー線重合性化合物及び他の活性エネルギー線重合性化合
物の種類によって異なるが、(メタ)アクリレートを含
む他の活性エネルギー線重合性化合物1重量部に対し
て、両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物を0.1
重量部以上含むことが好ましく、0.2重量部以上であ
ることが更に好ましい。0.1重量部未満であると、高
い親水性の表面を形成することが困難となる。
【0030】また、両親媒性の活性エネルギー線重合性
化合物が(メタ)アクリレートを含む他の活性エネルギ
ー線重合性化合物1重量部に対して、5重量部以下であ
ることが好ましく、3重量部以下であることが更に好ま
しい。5重量部よりも多い場合は、水に対して膨潤性に
なりがちである。
【0031】本発明のマイクロプレートは、活性エネル
ギー線硬化性樹脂組成物(A)の架橋重合体からなるこ
とにより、耐溶剤性、耐熱性などの特性が向上し、好ま
しい。ここで言う架橋重合体とは、2官能以上の活性エ
ネルギー線重合性化合物を使用することにより、架橋重
合による硬化物(重合体)の生成と同時にマイクロプレ
ートの構造が形成され、新たな成形加工が不要なもので
ある。
【0032】また、マイクロプレートに機能性(特に抗
原などのタンパク質との高吸着性または高結合性等)を
付与できる活性エネルギー線重合性化合物として、例え
ば、アクロレインの如きアルデヒド基を有する(メタ)
アクリレートや、(メタ)アクリロイルクロライドの如
き(メタ)アクリレートの酸ハロゲン化物、(メタ)ア
クリロイルオキシエチルイソシアネートの如きイソシア
ナト基(−NCO)を有する(メタ)アクリレートや、グ
リシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基を有す
る(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】これらの活性エネルギー線重合性化合物
は、単独、あるいは2種以上の活性エネルギー線重合性
化合物または上記の疎水性の活性エネルギー線重合性化
合物、または親水性の活性エネルギー線重合性化合物と
混合して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)に
用いることができる。
【0034】本発明が提供できるマイクロプレートのウ
エル横断面の形状は特に限定されないが、例えば、円
形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形などの形
状が挙げられる。中でも洗浄のしやすさや底面積の大き
さより、円形や正方形以上の多角形の方が好ましい。ま
た、本発明が提供できるマイクロプレートのウエル底部
面積も特に限定されないが、反応・分析に使用される場
合の操作性の観点から、7×10−5mm〜38mm
であることが好ましく、試薬量の微量化の観点から、
ウエル底部面積が7×10−5mm〜0.1mm
あることが更に好ましい。
【0035】ウエル内の試料の洗浄性やウエル内の乾燥
性、及びウエル底部への透過光を利用する測定の観点か
ら、本発明のマイクロプレートのウエルの底部/側壁部
の面積比は0.005〜10であることが好ましく、
0.05〜1であることが更に好ましい。
【0036】本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成
物(A)の硬化物からなるマイクロプレートは一般に透
明であるが、特にウエル底部が透明であるものは、透過
光を利用する測定に利用できるためにより好ましい。具
体的には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)の
硬化物からなるマイクロプレートのウエル底部の全光透
過率が70%以上であることが好ましく、90%以上で
あることが更に好ましい。
【0037】更に、ウエルとウエルの間の距離も特には
限定されないが、操作性の点から、ウエルの直径(ウエ
ル形状が円以外の場合は同一底面積の円の直径とする)
/ウエルの中心間距離(ピッチ)の比が0.01〜0.
5であることが好ましく、0.1〜0.3であることが
更に好ましい。
【0038】本発明の製造方法に使用される基材の素材
は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)と同じ素
材であっても良いし、異なる素材であっても良い。マイ
クロプレートと異なる素材としては、活性エネルギー線
硬化性樹脂組成物(A)の硬化物との接着性が良ければ
特に限定されず、金属、ガラス、不織布、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂から
なる群から選ばれる素材から成るシートであれば良い。
【0039】例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ポリプロビレン、ポリスルホンなどの
熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹
脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹
脂、ガラス(特に無蛍光ガラス)、不織布、金属等が挙
げられる。
【0040】また、本発明のマイクロプレートは、ウエ
ルの壁部と底部の素材を組み合わせることにより、下記
のような種々のマイクロプレートを製造することが出来
る。 (1)ウエル壁部が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)の硬化物からなり、ウエル底部も活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A)の硬化物からなるもの。 (2)ウエル壁部が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)の硬化物からなり、ウエル底部は活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A)と異なる組成の活性エネルギ
ー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるもの。
【0041】(3)ウエル壁部が活性エネルギー線硬化
性樹脂組成物(A)の硬化物からなり、ウエル底部は他
の基材(例えばガラス)からなるもの。 (4)ウエル壁部も底部も、その硬化物が疎水性である
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)の硬化物か
らなるもの。 (5)ウエル壁部も底部も、その硬化物が親水性である
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)の硬化物か
らなるもの。
【0042】(6)ウエル壁部は、その硬化物が疎水性
である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)の硬
化物からなり、ウエル底部は、その硬化物が親水性であ
る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)の硬化物
からなるもの等が挙げられる。
【0043】その硬化物が疎水性である活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A1)は、(A1)の硬化物の水
との接触角が55°を越える活性エネルギー線硬化性樹
脂組成物であり、その成分として、上記の疎水性の活性
エネルギー線重合性化合物を含むもので、更に該疎水性
の活性エネルギー線重合性化合物の種類によって、その
他の活性エネルギー線重合性化合物、例えば親水性の活
性エネルギー線重合性化合物や両親媒性の活性エネルギ
ー線重合性化合物を含有させてもよいが、得られた組成
物の硬化物の水接触角が55°を越えるものであればよ
い。
【0044】一方、その硬化物が親水性である活性エネ
ルギー線硬化性樹脂組成物(A2)とは、その硬化物の
水との接触角が55°以下である活性エネルギー線硬化
性樹脂組成物である。その成分として、上記した親水性
の活性エネルギー線重合性化合物を含むもので、更に該
親水性の重合性化合物の種類により、その他の重合性化
合物、例えば疎水性の活性エネルギー線重合性化合物、
両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物を含有させて
もよいが、得られた硬化物の水との接触角が55°以下
になるものであればよい。
【0045】換言すれば、用途に応じて、その硬化物が
疎水性の活性エネルギー線重合性化合物、親水性の活性
エネルギー線重合性化合物及び両親媒性の活性エネルギ
ー線重合性化合物を種類と含有割合とを調整することに
より、得られるマイクロプレートの表面の親水性と疎水
性とを任意に調整することが出来る。
【0046】例えば、マイクロプレートのウエルの容積
が小さくなるにつれ、ウエル内の液が溢れ易くなり、隣
接するウエル間での汚染が発生しやすくなるが、ウエル
底部を親水性表面にし、その他の部分を疎水性にするこ
とにより、ウエル内から液が溢れにくくなり、隣接のウ
エルを汚染しにくくなる。上述した(1)〜(4)及び
(6)のマイクロプレートがこの用途に特に適してい
る。
【0047】また、上記(5)のマイクロプレートはウ
エル壁部も底部も親水性である活性エネルギー線硬化性
樹脂組成物(A2)の硬化物からなるマイクロプレート
であるが、このようなマイクロプレートを用いると、タ
ンパク質、酵素等の生体成分に対する吸着性が低くな
り、測定の感度、再現性が向上して好ましい。
【0048】本発明のマイクロプレートの製造方法は大
きく分けて二つある。第一の製造方法は、(1)活性エ
ネルギー線硬化性樹脂組成物(A)を基材上に塗布また
は印刷して基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)から成る樹脂層(B1)を形成する第1工程と、
(2)前記樹脂層(B1)上にパターン化したマスクを
のせて活性エネルギー線を照射し、ウエルとなる部分以
外の樹脂層(B1)を硬化させ、次いで未硬化の樹脂層
(B1)を除去してウエルを形成させる第2工程とから
なるマイクロプレートの製造方法である。
【0049】本発明の製造方法に使用される活性エネル
ギー線硬化性樹脂組成物(A)、両親媒性の活性エネル
ギー線重合性化合物については、上記マイクロプレート
の説明に述べられたものと同じものであるので、ここで
は説明を省略する。
【0050】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)
の塗布方法(樹脂層(B1)の形成方法)は、活性エネ
ルギー線硬化性樹脂組成物(A)が塗膜状に形成できれ
ば良く、特に限定されない。例えばコーターによる塗布
方法や、基材を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)に浸漬する塗布方法、活性エネルギー線硬化性樹
脂組成物(A)の基材へのスプレーによる塗布方法、及
びスピンコーターによる塗布方法などが挙げられる。操
作の簡便さから、コーターによる塗布方法が好ましい。
【0051】また、印刷はウエルの浅いマイクロプレー
トの製造に特に有効である。印刷方法としては特に限定
されないが、例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、ス
タンプ印刷等の印刷方法が挙げられる。
【0052】本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成
物(A)を硬化させるために活性エネルギー線を照射す
る方法は任意であり、例えば、照射不要部分をマスキン
グして照射する、或いはレーザーなどの活性エネルギー
線のビームを走査する、照射部分のみに焦点を結ばせる
等のフォトリソグラフの手法が利用できる。
【0053】その他に、いわゆる光造形法によっても製
造できる。即ち、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)からなる樹脂層(B1)にエネルギー線をパター
ニング照射し、未照射部分の未硬化の樹脂層(B1)を
除去すること無く、その上に活性エネルギー線硬化性樹
脂組成物(A)の第2層を置き(或いは活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A)の液面下に、第2層の厚みと
なる深さだけ第1層を沈め)第2層にエネルギー線をパ
ターニング照射し、この工程を繰り返す方法を採ること
も出来る。
【0054】この際、パターニング照射した活性エネル
ギー線が表面層のみを硬化させ、下の層の非照射部を硬
化させないようにするためには、活性エネルギー線硬化
性樹脂組成物(A)の活性エネルギー線吸収率を高くし
て下層に届かないようにする方法、吸収されやすいエネ
ルギー線、例えば電子線を用いる方法、口径比の大きい
光学系を使用して表面層にのみ焦点を合わせる方法、2
光子過程で硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)を使用する、などにより実施できる。この場合
も、活性エネルギー線照射は、パターニング照射法であ
っても、活性エネルギー線走査法によっても良い。
【0055】未硬化の樹脂層(B1)の除去が必要な場
合は、その除去方法として例えば、物理的な除去や、水
や水溶液または溶剤洗浄による除去、または物理的な除
去の後、溶剤洗浄による除去などが挙げられる。洗浄
後、必要に応じ、更に活性エネルギー線照射などによる
再硬化を行っても良い。
【0056】本発明の製造方法に使用される基材として
は、マイクロプレートと同じ素材である活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A)であっても良いし、異なる素
材であっても良い。また、基材として、活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A)と同じ組成のもの、または違
う組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を上記の基
材に塗布して、活性エネルギー線の照射により、硬化ま
たは半硬化物を形成させて用いても良い。
【0057】基材に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A)と同じ組成のもの、または違う組成の樹脂組成物
を塗布し、活性エネルギー線照射などによる硬化または
半硬化は、窒素雰囲気中で行っても良いし、親水性重合
性化合物の水溶液中で行っても良い。
【0058】その硬化物が疎水性である活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A1)を、親水性の活性エネルギ
ー線重合性化合物(例えば、親水基を有する(メタ)ア
クリレート)の水溶液中で半硬化(本発明の第二の製造
方法)または硬化を行うと、活性エネルギー線硬化性樹
脂組成物(A1)の硬化物の表面に親水性の活性エネル
ギー線重合性化合物がグラフト重合し、硬化物もしくは
半硬化物の表面が親水性のものが得られる。
【0059】従って、親水性の活性エネルギー線重合性
化合物により親水性化した活性エネルギー線硬化性樹脂
組成物(A1)の硬化物の上に更に活性エネルギー線硬
化性樹脂組成物(A)を塗布し、ウエル部以外の部分を
活性エネルギー線照射によって硬化させた後、未重合の
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)を除去する
と、ウエル底部が親水性化されたマイクロプレートを得
ることが出来る。
【0060】親水性の活性エネルギー線重合性化合物の
水溶液中での硬化または半硬化は、疎水性の活性エネル
ギー線硬化性樹脂組成物(A1)の硬化物の表面のみに
親水性の活性エネルギー線重合性化合物をグラフト重合
できる特徴を有する。硬化物が疎水性の活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A1)の硬化物の表面にグラフト
重合させる親水性の活性エネルギー線重合性化合物の量
は、水溶液中の親水性の活性エネルギー線重合性化合物
の濃度や疎水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A1)中の重合開始剤の含有量、及び硬化温度を変え
ることにより調整することが出来る。
【0061】親水性の活性エネルギー線重合性化合物の
水溶液中の濃度は1〜20重量%が好ましく、5〜15
重量%が更に好ましい。また、硬化物が疎水性の活性エ
ネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)中の重合開始剤の
含有量は0.1重量%〜5重量%が好ましく、1〜5重
量%が更に好ましい。更に、親水性の活性エネルギー線
重合性化合物の水溶液中に界面活性剤を添加すると、親
水性の活性エネルギー線重合性化合物が疎水性の活性エ
ネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)とより馴染みやす
く、より親水性の高い表面が得られるので好ましい。
【0062】そのような界面活性剤は、親水性の活性エ
ネルギー線重合性化合物の水溶液に溶解するものであれ
ば良く、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウムの如きアニオン性界面活性剤、n−ドデシルトリ
メチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活
性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、
ポリエチレングリコールモノーパラーノニルフェニルエ
ーテルの如き非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
親水性の重合性化合物の水溶液中の界面活性剤濃度は
0.1重量%〜15重量%が好ましく、0.5重量%〜
5重量%が更に好ましい。
【0063】上記の硬化物が疎水性の活性エネルギー線
硬化性樹脂組成物(A1)を親水性の活性エネルギー線
重合性化合物の水溶液中で硬化または半硬化させる方法
は、疎水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A
1)に親水性の活性エネルギー線重合性化合物を含有さ
せて基材に塗布し、空気中または窒素雰囲気中で硬化ま
たは半硬化させる方法に比べて、硬化物内部に親水性の
重合性化合物が存在しない為に、膨潤や強度低下が起こ
らない利点を有する。
【0064】本発明の第二の製造方法は、(1)活性エ
ネルギー線硬化性樹脂組成物(A)を基材上に塗布また
は印刷して、基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成
物(A)から成る樹脂層(B1)を形成する第1工程
と、(2)前記樹脂層(B1)にエネルギー線を照射し
て、前記樹脂層(B1)を半硬化させる第2工程と、
【0065】(3)半硬化させた前記樹脂層(B1)上
に前記樹脂層(B1)の活性エネルギー線硬化性樹脂組
成物(A)と同一もしくは異なる組成の活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物を塗布または印刷し、半硬化させた
前記樹脂層(B1)上に更に活性エネルギー線硬化性樹
脂組成物から成る樹脂層(B2)を形成する第3工程
と、及び、(4)前記樹脂層(B2)上にパターン化し
たマスクをのせて活性エネルギー線を照射して、ウエル
となる部分以外の樹脂層を硬化させ、次いで未硬化の樹
脂層を除去してウエルを形成させる第4工程とからなる
マイクロプレートの製造方法である。
【0066】本発明の第二の製造方法で使用される活性
エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)、両親媒性の活性
エネルギー線重合性化合物、基材、及び活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A)の塗布方法及び印刷方法につ
いては、上記マイクロプレートの説明に述べられたもの
と同じものであるので、ここでは説明を省略する。
【0067】本発明の第2の製造方法は、活性エネルギ
ー線硬化性樹脂組成物(A)の粘度が低い場合、または
ウエルの壁部とウエルの底部が同じ素材、または異なる
素材、特にウエルの壁部が疎水性で、ウエルの底部が親
水性のマイクロプレートの製造に特に有効である。
【0068】例えば、ウエルの壁部が疎水性で、ウエル
の底部が親水性のマイクロプレートを製造するには、上
記第2の製造方法において、樹脂層(B1)を構成する
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)として、硬化
物が親水性である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A2)を、また樹脂層(B2)を構成する活性エネル
ギー線硬化性樹脂組成物(A)として、硬化物が疎水性
である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)を用
いれば良い。更に必要に応じて各組成物に両親媒性の重
合性化合物を添加しても良い。
【0069】本発明の第2の製造方法において、活性エ
ネルギー線などによる樹脂層(B1)の半硬化(第2工
程)は、基材に塗布された活性エネルギー線硬化性樹脂
組成物(A)の流動性がなくなる程度で良い。活性エネ
ルギー線硬化性樹脂組成物(A)の粘度が低い場合は、
(A)からなる樹脂層(B1)の上に更に活性エネルギ
ー線硬化性樹脂組成物(A)を塗布して樹脂層(B2)
を形成させた時に、樹脂層(B1)の形状を維持しにく
い場合がある。このような場合、樹脂層(B1)を予め
活性エネルギー線で半硬化させてから、該半硬化した樹
脂層(B1)の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成
物(A)を塗布または印刷した方が樹脂層(B1)及び
(B2)の平滑性が向上するので好ましい。
【0070】樹脂層(B1)と樹脂層(B2)の硬化物
間の接着性を十分に保つ為、樹脂層(B1)表面に重合
性不飽和二重結合が残留している程度に半硬化を止める
必要があるが、この最適条件は簡単な実験により求める
ことが出来る。半硬化は窒素雰囲気中において短時間で
行うことも出来るが、重合阻害を受けやすい空気中で短
時間不完全硬化させる方法が好ましい。
【0071】本発明の第二の製造方法において、活性エ
ネルギー線硬化性樹脂組成物(A)に親水性の活性エネ
ルギー線重合性化合物を併用することにより、マイクロ
プレートに親水性を付与することが出来る。そのような
親水性の活性エネルギー線重合性化合物は、先に述べた
親水性の活性エネルギー線重合性化合物と同じものであ
るので、ここでは説明を省略する。
【0072】また、樹脂層(B1)の半硬化は親水性の
活性エネルギー線重合性化合物の水溶液中で行っても良
い。硬化物が疎水性である活性エネルギー線硬化性樹脂
組成物(A1)から形成した樹脂層(B1)を親水性の
活性エネルギー線重合性化合物(例えば、親水基を有す
る(メタ)アクリレート)の水溶液中で半硬化を行う
と、樹脂層(B1)の半硬化物の表面に親水性重合性化
合物がグラフト重合され、表面が親水性化されたものが
得られる。
【0073】樹脂層(B1)の半硬化物表面にグラフト
重合させる親水性の活性エネルギー線重合性化合物の量
は、水溶液中の親水性の活性エネルギー線重合性化合物
の濃度、疎水性の活性エネルギー線樹脂組成物(A1)
中の重合開始剤の含有量および硬化温度などにより調整
することが出来る。ここで用いる親水性の活性エネルギ
ー線重合性化合物の種類、添加しても良い界面活性剤の
種類は先に述べたものと同様であり、ここでの記載は省
略する。
【0074】用いる親水性の活性エネルギー線重合性化
合物の水溶液中の親水性の活性エネルギー線重合性化合
物濃度は1〜20重量%が好ましく、5〜15重量%が
更に好ましい。また、硬化物が疎水性である活性エネル
ギー線硬化性樹脂組成物(A1)中の重合開始剤の含有
量は0.1重量%〜5重量%が好ましく、1〜5重量%
が更に好ましい。また親水性の重合性化合物の水溶液中
の界面活性剤濃度は0.1重量%〜15重量%が好まし
く、0.5重量%〜5重量%が更に好ましい。
【0075】本発明に用いられる重合方法は生産効率な
どの面から、活性エネルギー線(例えば電子線、γ線、
X線、紫外線、可視光線等)を用いることが好ましい。
これらの中でも、装置及び取扱いの簡便さから紫外線を
用いることが更に望ましい。照射する紫外線の強度は、
10〜500mW/cm (100〜5000W/m
)の範囲が好ましく、照射時間は、0.1〜180秒の
範囲が好ましい。
【0076】エネルギー線として紫外線や可視光線を用
いる場合、重合速度を速める目的で、活性エネルギー線
硬化性樹脂組成物(A)に光重合開始剤を含有させるこ
ともできる。また、紫外線の照射を不活性ガス雰囲気下
で行うことによって、更に重合速度を速めることができ
る。電子線もまた本発明に用いることのできる好ましい
エネルギー線である。電子線を用いると、添加剤(例え
ば増粘剤、増白剤、抗菌剤)などの紫外線吸収の影響を
受けないため、これらの選択の幅が広がると共に、製造
速度も向上する。
【0077】本発明で使用する活性エネルギー線硬化性
樹脂組成物(A)には、例えば、重合開始剤、重合遅延
剤、重合禁止剤、溶剤、増粘剤、消泡剤、紫外線吸収
剤、浸透剤、pH調整剤、塩、顔料、染料等の着色剤、
界面活性剤、耐水化剤、ポリマー、無機物(シリカ、ア
ルミナ等)、酸、アルカリ、防黴剤、抗菌剤等のその他
成分を溶解または分散した状態で含有させることもでき
る。
【0078】本発明で使用する活性エネルギー線硬化性
樹脂組成物(A)に混合することができる紫外線重合開
始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロ
ロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノ
ン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン −1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノ
ン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2
−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、
2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサ
ントンの如きケトン類;
【0079】ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメ
チルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。ま
た、開始剤の代わりに、マレイミド化合物の如きマイク
ロプレート成分に組み込まれ、かつ、開始剤としての機
能を有する化合物を用いても良い。
【0080】活性エネルギー線として可視光や紫外線等
を使用する場合には、パターニング精度を向上させるた
めに、重合遅延剤及び/または重合禁止剤と光重合開始
剤を併用することが好ましい。重合遅延剤や重合禁止剤
としては、α−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−
4−メチル−1−ペンテンなどのエネルギー線重合性化
合物としては重合速度の低いビニル系モノマー;ter
t−ブチルフェノールなどのヒンダントフェノール類な
どが挙げられる。
【0081】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範
囲に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び
比較例において、「部」は特に断りのない限り「重量
部」を表わす。
【0082】[実施例1] (疎水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)
1の調製)疎水性アクリレートとして、「ユニディック
V−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製の1
分子内に平均して3個のアクリル基を有するウレタンア
クリレート)59.5部、「ニューフロンティアHDD
A」(第一工業製薬株式会社製のヘキサンジオールジア
クリレート)40部、重合遅延剤として2,4−ジフェ
ニル−4−メチル−1−ペンテン(和光純薬工業株式会
社製)0.5部、紫外線重合開始剤として「イルガキュ
アー184」(日本チバガイギー社製)5部を均一に混
合して、疎水性樹脂組成物(A1)1を得た。
【0083】(マイクロプレート1の作製)厚さ2mm
のガラス板の周りにシリコーンゴムで厚さ1mm、50
mm角の四角い囲いを作って、その中に活性エネルギー
線硬化性樹脂組成物(A1)1を流し込んで樹脂層(B
1)を形成し、該樹脂層(B1)の上に厚さ50μmの
ポリプロピレン製フィルムを載せて、更にその上に直径
3mmの円形状が3個×3個、6mmのピッチ(円の中
心間距離)で配列されているポリエチレンテレフタレー
ト製マスクを載せて、メタルハライドランプにより波長
360nmの強度が80mW/cm(800W/m)
の紫外線(垂直光)を15秒間照射した。
【0084】照射後、マスク及びポリプロピレンフィル
ムを取り除いて、エタノールで未硬化部分の樹脂層(B
1)を除去して、自然乾燥させて、透明なマイクロプレ
ート1を得た。マイクロプレート1を顕微鏡で観察した
結果、ウエルが直径約3mmの円筒状になっており、ピ
ッチ(円の中心間距離)が約6mm、ウエルの深さが約
0.9mmであった。このマイクロプレート1はウエル
底部がガラスで出来ており、ウエルの寸法から体積は約
6.4μlであった。
【0085】ウエル底部の親水性を測定する為、上記の
厚さ2mmのガラス板を水接触角測定に用いた。測定は
協和科学株式会社製の液滴法CA−D型接触角計を用い
た。測定の結果、該ガラス表面の水との接触角が約27
°であった。またウエルの壁部の疎水性を測定する為、
厚さ1mmのアクリル板にコーターを用いて活性エネル
ギー線硬化性樹脂組成物(A1)1を厚さ100μmに
なるように塗布し、窒素雰囲気中でメタルハライドラン
プにより波長360nm、強度60mW/cm (60
0W/m)の紫外線を60秒照射して硬化させて、水
接触角の測定に用いた。測定の結果、塗膜表面の水との
接触角は約71°であった。
【0086】[実施例2] (親水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)
2の調製)疎水性アクリレートとして、「ユニディック
V−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製の1
分子内に平均して3個のアクリル基を有するウレタンア
クリレート)74.5部、「ニューフロンティアHDD
A」(第一工業製薬株式会社製のヘキサンジオールジア
クリレート)5部、両親媒性の活性エネルギー線重合性
化合物として「ニューフロンティアN−177E」(第
一工業製薬株式会社製のノニルフェノキシポリエチレン
グリコールアクリレート)20部、重合遅延剤として
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(和光
純薬工業株式会社製)0.5部、紫外線重合開始剤とし
て「イルガキュアー184」(日本チバガイギー社製)
5部を均一に混合して、親水性樹脂組成物(A2)2を
得た。
【0087】(マイクロプレート2の作製)ウエル底部
の作製として、厚さ1mmのアクリル板にコーターを用
いて活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)2を厚
さ100μmになるように塗布し樹脂層(B1)を形成
し、空気中でメタルハライドランプにより波長360n
m、強度60mW/cm(600W/m)の紫外線を
5秒照射し、半硬化させた。
【0088】次いでウエルの壁部の作製として、この半
硬化させた樹脂層(B1)の上にコーターを用いて活性
エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)2を厚み250
μmになるように塗布して樹脂層(B2)を形成し、該
樹脂層(B2)の上に厚さ50μmのポリプロピレン製
フィルムを載せ、更にその上に500μm角の正方形が
40個×60個、700μmのピッチ(正方形の中心間
距離)で格子状に配列されているポリエチレンテレフタ
レート製のマスクを載せて、メタルハライドランプによ
り波長360nm、強度が80mW/cm(800W
/m)の紫外線(垂直光)を15秒間照射した。
【0089】照射後、マスク及びポリプロピレンフィル
ムを取り除き、エタノールで未硬化部分の樹脂層(B
2)を除去し、自然乾燥させて、ウエルの底部と壁部が
親水性のマイクロプレート2を得た。マイクロプレート
2を電子顕微鏡で観察した結果、ウエルが約500μm
角の正方形筒状になっており、ピッチ(正方形の中心間
距離)が約700μm、ウエルの深さが約200μmで
あった。上記のウエルの寸法から、ウエルの体積は約
0.05μlであった。
【0090】ウエルの底部及び壁部の親水性度合いを測
定する為、厚さ1mmのアクリル板にコーターを用いて
親水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)2
を厚さ100μmになるように塗布し、窒素雰囲気中で
メタルハライドランプにより波長360nm、強度60
mW/cm(600W/m)の紫外線を60秒照射し
て硬化させて、水接触角の測定に用いた。測定は協和科
学株式会社製の液滴法CA−D型接触角計を用いた。測
定の結果、該塗膜表面の水との接触角は約10°であっ
た。
【0091】[実施例3] (疎水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)
3の調製)疎水性アクリレートとして、「ユニディック
V−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製の1
分子内に平均して3個のアクリル基を有するウレタンア
クリレート)80部、「ニューフロンティアHDDA」
(第一工業製薬株式会社製のヘキサンジオールジアクリ
レート)19部、「ビスコート17F」(大阪有機化学
工業株式会社製のヘプタデカフルオロデシルアクリレー
ト)0.5部、重合遅延剤として2,4−ジフェニル−
4−メチル−1−ペンテン(和光純薬工業株式会社製)
0.5部、紫外線重合開始剤として「イルガキュアー1
84」(日本チバガイギー社製)5部を均一に混合し
て、疎水性の樹脂組成物(A1)3を得た。
【0092】(親水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組
成物(A2)3の調製)疎水性アクリレートとして、
「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業
株式会社製の1分子内に平均して3個のアクリル基を有
するウレタンアクリレート)75部、「ニューフロンテ
ィアHDDA」(第一工業製薬株式会社製のヘキサンジ
オールジアクリレート)5部、親水性アクリレートとし
て「ライトエステルP−2M」(共栄社化学株式会社製
の2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェー
ト)5部、両親媒性の活性エネルギー線硬化性化合物と
して「ニューフロンティアN−177E」(第一工業製
薬株式会社製のノニルフェノキシポリエチレングリコー
ルアクリレート)15部、紫外線重合開始剤として「イ
ルガキュアー184」(日本チバガイギー社製)5部を
均一に混合して、親水性の活性エネルギー線硬化性樹脂
組成物(A2)3を得た。
【0093】(マイクロプレート3の作製)ウエル底部
の作製として、厚さ2mmのガラス板にコーターを用い
て親水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)
3を厚さ100μmになるように塗布して樹脂層(B1)
を形成し、空気中でメタルハライドランプにより波長3
60nm、強度60mW/cm(600W/m)の紫
外線を2秒照射して半硬化させた。
【0094】次いで、ウエルの壁部の作製として、この
半硬化した樹脂層(B1)の上にコーターを用いて疎水
性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)3を厚
み250μmになるように塗布して樹脂層(B2)を形
成し、該樹脂層(B2)の上に厚さ50μmのポリプロ
ピレン製フィルムを載せて、更にその上に直径500μ
mの円形状が40個×60個、1000μmのピッチ
(円の中心間距離)で配列されているポリエチレンテレ
フタレート製マスクを載せて、メタルハライドランプに
より波長360nm、強度80mW/cm(800W
/m)の紫外線(垂直光)を15秒間照射した。
【0095】照射後、マスク及びポリプロピレンフィル
ムを取り除いて、エタノールで未硬化部分の樹脂層(B
2)を除去し、自然乾燥させて、ウエル底部が親水性で
壁部が疎水性であるマイクロプレート3を得た。マイク
ロプレート3を電子顕微鏡で観察した結果、ウエル直径
が約500μm、ピッチ(円の中心間距離)が約100
0μm、深さが約200μmであった。ウエルの直径及
び深さから、ウエルの体積は約0.04μlであった。
【0096】ウエル底部の親水性を測定する為、厚さ2
mmのガラス板にコーターを用いて親水性樹脂組成物
(A2)3を厚さ100μmになるように塗布し、窒素
雰囲気中でメタルハライドランプにより波長360n
m、強度60mW/cm(600W/m)の紫外線を
60秒照射して硬化させ、水接触角の測定に用いた。測
定は協和科学株式会社製の液滴法CA−D型接触角計を
用いた。測定の結果、該塗膜表面の水との接触角は約1
2°であった。
【0097】一方、ウエル壁部の疎水性を測定する為
に、厚さ2mmのガラス板にコーターを用いて疎水性樹
脂組成物(A1)3を厚さ100μmになるように塗布
し、窒素雰囲気中でメタルハライドランプにより波長3
60nm、強度60mW/cm (600W/m)の紫
外線を60秒照射して硬化させて、水接触角の測定に用
いた。測定の結果、該塗膜表面の水との接触角は約76
°であった。
【0098】[実施例4] (疎水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)
4の調製)疎水性アクリレートとして、「ユニディック
V−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製の1
分子内に平均して3個のアクリル基を有するウレタンア
クリレート)80部、「ニューフロンティアHDDA」
(第一工業製薬株式会社製のヘキサンジオールジアクリ
レート)19.5部、重合遅延剤として2,4−ジフェ
ニル−4−メチル−1−ペンテン(和光純薬工業株式会
社製)0.5部、紫外線重合開始剤として「イルガキュ
アー184」(日本チバガイギー社製)5部を均一に混
合して、疎水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
(A1)4を得た。
【0099】(ウエル底部の樹脂組成物(A1)4の親
水性化とマイクロプレート4の作製)ウエルの底部作製
として、厚さ1mmのアクリル板にコーターを用いて疎
水性の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)4を
厚さ100μmになるように塗布して樹脂層(B1)を
形成し、このアクリル板をアクリルアミド(和光純薬工
業株式会社製)10重量%の水溶液中に浸漬したまま、
メタルハライドランプにより波長360nm、強度60
mW/cm(600W/m)の紫外線を5秒照射して
半硬化させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A
1)4を親水性化した。
【0100】次いで、ウエルの壁部の作製として、この
半硬化した樹脂層(B1)の上にコーターを用いて疎水
性樹脂組成物(A1)4を300μmになるように塗布
し樹脂層(B2)を形成し、その上に直径1mmの円形
状が3個×3個、4mmのピッチ(円の中心間距離)で
配列されているポリエチレンテレフタレート製マスクを
載せて、メタルハライドランプにより波長360nm、
強度80mW/cm(800W/m)の紫外線(垂直
光)を15秒間照射した後、マスク及びポリプロピレン
フィルムを取り除いて、エタノールで未硬化部分の樹脂
層(B2)を除去して自然乾燥させ、更に窒素雰囲気中
で上記の紫外線を照射して、ウエル底部が親水性で壁部
が疎水性であるマイクロプレート4を得た。
【0101】マイクロプレート4を顕微鏡で観察した結
果、ウエルが直径約1mmの円筒状になっており、ピッ
チ(円の中心間距離)が約4mm、ウエルの深さが約2
50μmであった。上記のウエルの寸法から、ウエル体
積は約0.2μlであった。
【0102】ウエル底部の親水性を測定する為に、厚さ
1mmのアクリル板にコーターを用いて疎水性の活性エ
ネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)4を厚さ250μ
mになるように塗布し、このアクリル板をアクリルアミ
ド(和光純薬工業株式会社製)10重量%の水溶液中に
浸漬したまま、メタルハライドランプにより波長360
nm、強度60mW/cm(600W/m)の紫外線
を40秒照射して硬化させて、水接触角の測定に用い
た。測定は協和科学株式会社製の液滴法CA−D型接触
角計を用いた。測定の結果、該塗膜表面の水との接触角
は約20°であった。
【0103】一方、ウエル側壁部の疎水性を測定する為
に、厚さ1mmのアクリル板にコーターを用いて疎水性
の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)4を厚さ
250μmになるように塗布し、窒素雰囲気中でメタル
ハライドランプにより波長360nm、強度60mW/
cm(600W/m)の紫外線を40秒照射して硬化
させたものを水接触角測定に用いた。測定は協和科学株
式会社製の液滴法CA−D型接触角計を用いた。測定の
結果、該塗膜表面の水との接触角は約67°であった。
【0104】[実施例5] (マイクロプレート5の作製)ウエル底部の作製とし
て、厚さ1mmのアクリル板にコーターを用いて疎水性
の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)1を厚さ
100μmになるように塗布して樹脂層(B1)を形成
し、空気中でメタルハライドランプにより波長360n
m、強度60mW/cm(600W/m)の紫外線を
3秒照射して半硬化させた。
【0105】次いで、ウエル壁部の作製として、この半
硬化した樹脂層(B1)の上にコーターを用いて疎水性
の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)3を厚み
300μmになるように塗布して樹脂層(B2)を形成
し、その上に直径1mmの円形状が3個×3個、4mm
のピッチ(円の中心間距離)で配列されているポリエチ
レンテレフタレート製マスクを載せて、メタルハライド
ランプにより波長360nm、強度80mW/cm
(800W/m)の紫外線(垂直光)を15秒間照射
した。
【0106】照射後、マスク及びポリプロピレンフィル
ムを取り除き、エタノールで未硬化部分の樹脂層(B
2)を除去し自然乾燥させ、更に窒素雰囲気中で上記の
紫外線を照射して、ウエルの底部と壁部が異なる樹脂組
成物の硬化物からなるマイクロプレート5を得た。マイ
クロプレート5を顕微鏡で観察した結果、ウエルが直径
約1mmの円筒状になっており、ピッチ(円の中心間距
離)が約4mm、ウエルの深さが約250μmであっ
た。ウエルの寸法から、ウエルの体積は約0.2μlで
あった。
【0107】ウエル底部の疎水性を測定する為に、厚さ
1mmのアクリル板にコーターを用いて、活性エネルギ
ー線硬化性樹脂組成物(A)1を厚さ100μmになる
ように塗布し、窒素雰囲気中でメタルハライドランプに
より波長360nm、強度60mW/cm(600W
/m)の紫外線を60秒照射して硬化させて水接触角
の測定に用いた。測定の結果、該塗膜表面の水との接触
角は約71°であった。
【0108】一方、ウエル壁部の疎水性を測定する為
に、厚さ1mmのアクリル板にコーターを用いて疎水性
樹脂組成物(A1)3を厚さ100μmになるように塗
布し、窒素雰囲気中でメタルハライドランプにより波長
360nm、強度60mW/cm(600W/m)の
紫外線を60秒照射して硬化させて、水接触角の測定に
用いた。測定の結果、塗膜表面の水との接触角は約76
°であった。
【0109】
【発明の効果】本発明は、試料収納凹部であるウエルの
微小化が容易で、ウエル部の形状や寸法(底部面積やウ
エル深さ)の調整幅が広いマイクロプレートの製造方
法、及びウエル表面を親水性化して生体成分の吸着を低
く抑えたマイクロプレート、逆に疎水性化して、抗原等
の標的タンパク質を吸着、または共有結合させることが
できる表面としたマイクロプレート、更に、親水性のウ
エル底部と疎水性のウエル壁部を持つ水溶液が外部に溢
れにくいマイクロプレート等の種々の物性を有するマイ
クロプレートとその簡便な製造方法を提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 DA13 DA36 HA17 HA20 2G052 AA28 AD46 DA06 JA08 JA16 4F006 AA12 AA15 AA17 AA20 AA22 AA33 AA35 AA36 AA37 AA40 AA58 AB42 AB43 BA10 BA11 CA09 DA04 EA03

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料収納用凹部であるウエルが基材上に
    多数配列して設けられ、前記ウエルの壁部と底部の少な
    くとも一つが活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)
    の硬化物から成ることを特徴とするマイクロプレート。
  2. 【請求項2】 基材がガラス、熱可塑性樹脂、熱硬化性
    樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂から成る群から選
    ばれる素材から成るシートである請求項1に記載のマイ
    クロプレート。
  3. 【請求項3】 基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組
    成物(A)の硬化物から成る層を有し、ウエルの壁部が
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)の硬化物
    から成る請求項1または2に記載のマイクロプレート。
  4. 【請求項4】 基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組
    成物(A)の硬化物から成る層を有し、ウエルの壁部が
    活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)の硬化物から
    成り、ウエルの底部が(A)と同一もしくは異なる組成
    の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物から成る
    請求項1または2に記載のマイクロプレート。
  5. 【請求項5】 ガラスから成る基材上に活性エネルギー
    線硬化性樹脂組成物(A)の硬化物から成る層を有し、
    ウエルの底部が前記基材のガラスで形成され、ウエルの
    壁部が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)の硬化
    物から成る請求項1または2に記載のマイクロプレー
    ト。
  6. 【請求項6】 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
    (A)が、その硬化物が疎水性である活性エネルギー線
    硬化性樹脂組成物(A1)から成る請求項1〜5のいず
    れか一項に記載のマイクロプレート。
  7. 【請求項7】 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
    (A)が、その硬化物が親水性である活性エネルギー線
    硬化性樹脂組成物(A2)から成る請求項1〜5のいず
    れか一項に記載のマイクロプレート。
  8. 【請求項8】 ウエルの壁部が活性エネルギー線硬化性
    樹脂組成物(A1)の疎水性の硬化物から成り、ウエル
    の底部が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)の
    親水性の硬化物から成る請求項4に記載のマイクロプレ
    ート。
  9. 【請求項9】 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
    (A)が両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物を含
    む請求項1,2,3,4,5,7及び8のいずれか1項
    に記載のマイクロプレート。
  10. 【請求項10】 下記の工程を含む、試料収納用凹部で
    あるウエルが基材上に多数配列して設けられたマイクロ
    プレートの製造方法。 (1)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)を基材
    上に塗布または印刷して基材上に活性エネルギー線硬化
    性樹脂組成物(A)から成る樹脂層(B1)を形成する
    第1工程と、(2)前記樹脂層(B1)上にパターン化
    したマスクをのせて活性エネルギー線を照射し、ウエル
    となる部分以外の樹脂層を硬化させ、次いで未硬化の樹
    脂層を除去してウエルを形成させる第2工程。
  11. 【請求項11】 基材がガラス、熱可塑性樹脂、熱硬化
    性樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂から成る群から
    選ばれる素材から成るシートである請求項10に記載の
    マイクロプレートの製造方法。
  12. 【請求項12】 下記の工程を含む、試料収納用凹部で
    あるウエルが基材上に多数配列して設けられたマイクロ
    プレートの製造方法。 (1)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A)を基材
    上に塗布または印刷して、基材上に活性エネルギー線硬
    化性樹脂組成物(A)から成る樹脂層(B1)を形成す
    る第1工程、(2)前記樹脂層(B1)にエネルギー線
    を照射して、前記樹脂層(B1)を半硬化させる第2工
    程、(3)半硬化させた前記樹脂層(B1)上に前記樹
    脂層(B1)の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
    (A)と同一もしくは異なる組成の活性エネルギー線硬
    化性樹脂組成物を塗布または印刷し、半硬化させた前記
    樹脂層(B1)上に更に活性エネルギー線硬化性樹脂組
    成物から成る樹脂層(B2)を形成する第3工程、及
    び、(4)前記樹脂層(B2)上にパターン化したマス
    クをのせて活性エネルギー線を照射してウエルとなる部
    分以外の樹脂層を硬化させ、次いで未硬化の樹脂層を除
    去してウエルを形成させる第4工程。
  13. 【請求項13】 基材がガラス、熱可塑性樹脂、熱硬化
    性樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂から成る群から
    選ばれる素材から成るシートである請求項12に記載の
    マイクロプレートの製造方法。
  14. 【請求項14】 樹脂層(B1)を構成する活性エネル
    ギー線硬化性樹脂組成物(A)が、その硬化物が親水性
    である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A2)であ
    り、樹脂層(B2)を構成する活性エネルギー線硬化性
    樹脂組成物(A)がその硬化物が疎水性である活性エネ
    ルギー線硬化性樹脂組成物(A1)から成る請求項12
    または13に記載のマイクロプレートの製造方法。
  15. 【請求項15】 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
    (A)が両親媒性の活性エネルギー線重合性化合物を含
    む請求項10〜14のいずれか1項に記載のマイクロプ
    レートの製造方法。
  16. 【請求項16】 樹脂層(B1)が、その硬化物が疎水
    性である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(A1)か
    ら成り、前記樹脂層(B1)を半硬化させる際に、前記
    半硬化を親水性の活性エネルギー線重合性化合物の水溶
    液中で活性エネルギー線照射により行うことにより、前
    記樹脂層(B1)の前記水溶液との接触側の表面を親水
    性化する請求項12または13に記載のマイクロプレー
    トの製造方法。
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