JP2016066827A - 基地局装置、プリコーディング方法、集積回路、無線通信システム - Google Patents

基地局装置、プリコーディング方法、集積回路、無線通信システム Download PDF

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Abstract

【課題】端末装置が高精度に復調用参照信号に基づいてmodulo幅を推定できるMU−MIMO伝送を行なうことができる基地局装置、プリコーディング方法、集積回路および無線通信システムを提供する。
【解決手段】本発明の基地局装置は複数のアンテナを備え、複数の端末装置宛の信号に非線形プリコーディングを施し空間多重して無線送信を行なうことが可能であり、前記端末装置との間の伝搬路情報に基づいて、前記端末装置宛のデータ信号に対して生成する第1の線形フィルタと、前記端末装置宛の復調用参照信号に対して生成する第2の線形フィルタを互いに異なるものとし、前記第1の線形フィルタと、前記第2の線形フィルタに基づいて、前記データ信号と前記復調用参照信号にプリコーディングを施して送信する。
【選択図】図3

Description

本発明は、マルチユーザ多重入力多重出力伝送を行なう技術に関する。
無線通信システムでは、多様なブロードバンド情報サービスの提供のために、伝送速度の向上が常に望まれている。伝送速度の向上は通信帯域幅の拡大により実現可能だが、利用可能な周波数帯域には限りがあるため、周波数利用効率の改善が必須となる。周波数利用効率を大幅に改善できる技術として、複数の送受信アンテナを用いて無線伝送を行なう多重入力多重出力(Multiple Input Multiple Output(MIMO))技術が注目を集めており、セルラーシステムや無線LANシステムなどで実用化されている。MIMO技術による周波数利用効率改善量は送受信アンテナ数に比例する。しかし、端末装置に配置できる受信アンテナ数には限りがある。そこで、同時接続する複数端末装置を仮想的な大規模アンテナアレーとみなし、基地局装置から各端末装置への送信信号を空間多重させるマルチユーザMIMO(Multi User−MIMO(MU−MIMO))が周波数利用効率の改善に有効である。
MU−MIMOでは、各端末装置宛ての送信信号同士がユーザ間干渉(Inter−User−Interference(IUI))として端末装置に受信されてしまうため、IUIを抑圧する必要がある。例えば、第3.9世代移動無線通信システムの一つとして採用されているLong term evolutionにおいては、各端末装置より通知される伝搬路情報に基づき算出される線形フィルタを基地局装置にて予め乗算することでIUIを抑圧する線形プリコーディングが採用されている。
また、一層の周波数利用効率の改善が望めるMU−MIMOの実現方法として、非線形処理を基地局装置側で行なう非線形プリコーディングを用いるMU−MIMO技術が注目を集めている。端末装置において、剰余(Modulo、モジュロ)演算が可能である場合、送信信号に対して、任意のガウス整数に一定の実数が乗算された複素数(摂動項)を要素とする摂動ベクトルの加算が可能となる。
そこで、基地局装置と複数の端末装置との間の伝搬路状態に応じて、摂動ベクトルを適切に設定してやれば、線形プリコーディングと比較して、所要送信電力を大幅に削減することが可能となる。非線形プリコーディングとして、非特許文献1記載のVector perturbation(VP)や、非特許文献2記載のTomlinson Harashima precoding(THP)が良く知られている。
基地局装置においてプリコーディングを行なうためには、基地局装置は各端末装置との間の伝搬路情報(Channel state information(CSI))が必要である。図13は、非線形プリコーディングを施す基地局装置と端末装置間の通信の様子を表すシーケンスチャートである。はじめに基地局装置は、端末装置に対してCSIを推定するための参照信号を生成する(ステップS101)。次いで、基地局装置は、送信データと復調用参照信号を生成する(ステップS102)。次いで、基地局装置はCSIを推定するための参照信号を端末装置に向けて送信する(ステップS103)。なお,無線フレーム構成によっては、基地局装置は別のCSIを推定するための参照信号に関連付けられたデータ信号と復調長参照信号も同時に基地局装置に向けて送信する場合もあるが、ここでは別々に送信するものとする。CSIを推定するための参照信号は、基地局装置と端末装置とでお互いに既知であるから、端末装置は受信された参照信号に基づいてCSIを推定することができる(ステップS104)。
端末装置は推定したCSIを基地局装置に通知可能な情報に変換し(ステップS105)、基地局装置に通知する(ステップS106)。通知可能な情報としては、推定された情報を直接ディジタル情報に量子化した情報や、基地局装置と端末装置とで共用しているコードブックに記載されたコードを示す番号などが挙げられる。その後、基地局装置は、復元されたCSIに基づきデータと復調用参照信号にプリコーディングを施し(ステップS107)、端末装置に対して送信する(ステップS108)。
端末装置は、基地局装置からデータと復調用参照信号を受信すると、復調用参照信号に基づいて伝搬路推定を行ない(ステップS109)、その伝搬路推定値に基づいて、データに対して、チャネル等化(空間信号検出処理)を行なう(ステップS110)
ここで、基地局装置が行なうプリコーディングが非線形プリコーディングであった場合、端末装置は、チャネル等化後の信号に対して、modulo演算(ステップS111)を施す必要がある。modulo演算は、与えられた実定数2δに対して、入力された複素信号の実部と虚部をそれぞれ[−δ,δ]以内に収める信号処理である。ここで2δはmodulo幅と呼ばれる。端末装置はmodulo演算後の信号から送信データを復調する(ステップS112)。
ここで、受信側で行なわれるmodulo演算のmodulo幅は伝搬路状態に依存するため、端末装置が復調用参照信号に基づいて推定する必要がある。しかし、基地局装置で行なわれるプリコーディングによっては、端末装置が復調用参照信号に基づいて推定するmodulo幅と、真の最適なmodulo幅との間に誤差が生じてしまう場合がある。
この問題を解決するために、非特許文献3では、復調用参照信号に基づいて推定されるmodulo幅を補正する方法が開示されている。しかし、開示されている方法では、伝搬路環境に応じて、補正するためのパラメータを最適化する必要がある。そのため、伝搬路環境毎にパラメータのキャリブレーションが必要となり、キャリブレーションが出来ていない伝搬路環境において最適な伝送特性を実現させることは出来ない。
B. M. Hochwald, et. al., "A vector-perturbation technique for near-capacity multiantenna multiuser communication-Part II:Perturbation," IEEE Trans. Commun., Vol. 53, No. 3, pp.537-544, March 2005. M. Joham, et. al., "MMSE approaches to multiuser spatio-temporal Tomlinson- Harashima precoding", Proc. 5th Int. ITG Conf. on Source and Channel Coding, Erlangen, Germany, Jan. 2004. 矢野,他,"Vector perturbationにおけるストリーム間干渉を考慮したmodulo格子サイズ設定に関する一検討", 信学技法, RCS2012-225, 2012年12月
基地局装置が非線形プリコーディングに基づくMU−MIMO伝送を行なう無線通信システムにおいて、端末装置が復調用参照信号に基づいてmodulo幅を推定する場合、端末装置が復調用参照信号に基づいて推定するmodulo幅と、最適なmodulo幅との間に誤差が生じてしまい、伝送特性が大幅に劣化してしまう。しかし、この誤差の抑圧を事前のキャリブレーションを行なうことなく実現する方法は、未だ明らかとなっていないのが実状である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、基地局装置が非線形プリコーディングに基づくMU−MIMO伝送を行なう無線通信システムにおいて、端末装置が復調用参照信号に基づいて高精度にmodulo幅を推定することが出来る基地局装置、無線通信システム、および集積回路を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の基地局装置は複数のアンテナを備え、複数の端末装置宛の信号に非線形プリコーディングを施し空間多重して無線送信を行なう基地局装置であって、前記端末装置との間の伝搬路情報を取得する伝搬路情報取得部と、前記複数の端末装置宛のデータ信号と復調用参照信号を多重するマッピング部と、前記伝搬路情報に基づいて前記データ信号と前記復調用参照信号にプリコーディングを施すプリコーディング部と、を備え、前記プリコーディング部は、前記伝搬路情報に基づいて、前記データ信号に乗算する第1の線形フィルタと、前記復調用参照信号に乗算する第2の線形フィルタとの、互いに異なる線形フィルタを生成する線形フィルタ生成部を備えることを特徴とする。
このような基地局装置は、端末装置宛の復調用参照信号に乗算する第2の線形フィルタとして、端末装置宛のデータ信号に乗算する第1の線形フィルタとは異なる線形フィルタを用いることができる。よって、端末装置は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、高精度にmodulo幅を推定できる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(2)また、本発明の基地局装置は、前記第1の線形フィルタは、前記複数の端末装置がそれぞれ受信する受信信号と、前記複数の端末装置宛の前記データ信号との間の平均二乗誤差を最小とする規範に基づいて算出されることを特徴とする。
このような基地局装置は、前記複数の端末装置がそれぞれ受信する受信信号と、前記複数の端末装置宛の前記データ信号との間の平均二乗誤差を最小とする規範に基づいて前記第1の線形フィルタを生成することができる。そのため、端末装置は、基地局装置より送信されるデータ信号を、高精度に復調することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(3)また、本発明の基地局装置は、前記線形フィルタ生成部は、前記第1の線形フィルタと、前記伝搬路情報とに基づいて第1の対角行列を算出し、前記第1の対角行列と、前記第1の線形フィルタに基づいて、前記第2の線形フィルタを生成することを特徴とする。
このような基地局装置は、前記第1の線形フィルタと、前記伝搬路情報とに基づいて第1の対角行列を算出し、前記第1の対角行列と、前記第1の線形フィルタに基づいて、前記第2の線形フィルタを生成することが可能となる。そのため、端末装置は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、高精度にmodulo幅を推定できる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(4)また、本発明の基地局装置は、前記第1の対角行列は、前記第1の線形フィルタと前記伝搬路行列との積で表される行列の対角成分の逆数から構成される対角行列であることを特徴とする。
このような基地局装置は、前記第1の線形フィルタと前記伝搬路行列との積で表される行列の対角成分の逆数から構成される対角行列を前記第1の対角行列とすることができ、前記第1の対角行列に基づいて、前記第2の線形フィルタを生成することが可能となる。そのため、端末装置は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、高精度にmodulo幅を推定できる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(5)また、本発明の基地局装置は、前記線形フィルタ生成部は、前記伝搬路情報に基づいて算出される拡大伝搬路行列に対するLQ分解もしくはQR分解に基づいてフィードバックフィルタと前記第1の線形フィルタを生成し、前記プリコーディング部は、前記フィードバックフィルタに基づいて、前記データ信号に干渉抑圧とモジュロ演算を施すTHP部を更に備えることを特徴とする。
このような基地局装置は、前記伝搬路情報に基づいて算出される拡大伝搬路行列に対するLQ分解もしくはQR分解に基づいてフィードバックフィルタと前記第1の線形フィルタを生成し、前記フィードバックフィルタに基づいて、前記データ信号に干渉抑圧とモジュロ演算を施すことができる。そのため、端末装置は、基地局装置より送信されるデータ信号を、高精度に復調することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(6)また、本発明の基地局装置は、前記プリコーディング部は、前記第1の線形フィルタと、前記データ信号に基づいて、摂動ベクトルを探索する摂動ベクトル探索部を更に備える、上記(4)に記載の基地局装置であることを特徴とする。
このような基地局装置は、前記第1の線形フィルタと、前記データ信号に基づいて、摂動ベクトルを探索することができる。そのため、基地局装置の所要送信電力を小さくすることが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(7)また、本発明の基地局装置は、前記プリコーディング部は、空間多重する前記複数の端末装置のうち、受信信号から摂動ベクトルを除去可能な非線形端末装置に対しては摂動ベクトルを加算したデータ信号を生成し、受信信号から摂動ベクトルを除去不可能な線形端末装置に対しては摂動ベクトルを加算しないデータ信号を生成する、上記(4)に記載の基地局装置であることを特徴とする。
このような基地局装置は、空間多重する複数の端末装置のうち、受信信号から摂動ベクトルを除去可能な非線形端末装置に対しては摂動ベクトルを加算したデータ信号を生成し、受信信号から摂動ベクトルを除去不可能な線形端末装置に対しては摂動ベクトルを加算しないデータ信号を生成することができる。そのため、基地局装置はデータ信号および復調用参照信号を送信する複数の端末装置の組み合わせを柔軟に決定できる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(8)また、本発明の基地局装置は、前記プリコーディング部は、前記線形端末装置宛のデータ信号の一部に摂動ベクトルを加算する、上記(7)に記載の基地局装置であることを特徴とする。
このような基地局装置は、線形端末装置宛のデータ信号の一部に摂動ベクトルを加算することができる。そのため、基地局装置の所要送信電力を小さくすることができる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(9)また、本発明のプリコーディング方法は、複数のアンテナを備える基地局装置から、複数の端末装置へ送信されるデータ信号と復調用参照信号に、前記複数の端末装置との間の伝搬路情報に基づいて、予備的処理を行なうプリコーディング方法であって、前記伝搬路情報に基づいて、第1の線形フィルタ、第2の線形フィルタ及びフィードバックフィルタを算出する過程と、前記フィードバックフィルタに基づいて、前記データ信号に対して、干渉抑圧とモジュロ演算を施し、送信符号を算出する過程と、前記送信符号と前記第1の線形フィルタに基づいて、送信データ信号と電力正規化係数を算出する過程と、前記復調用参照信号、前記第2の線形フィルタ、及び前記電力正規化係数に基づいて、送信復調用参照信号を算出する過程と、前記送信データ信号と前記送信復調用参照信号の送信電力を調整する過程と、を有することを特徴とする。
このようなプリコーディング方法は、複数のアンテナを備える基地局装置から、複数の端末装置へ送信されるデータ信号と復調用参照信号に、前記複数の端末装置との間の伝搬路情報に基づいて、予備的処理を行なうことができる。そのため、端末装置は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、高精度にmodulo幅を推定できる。また、端末装置は、基地局装置より送信されるデータ信号を、高精度に復調することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(10)また、本発明のプリコーディング方法は、複数のアンテナを備える基地局装置から、複数の端末装置へ送信されるデータ信号と復調用参照信号に、前記複数の端末装置との間の伝搬路情報に基づいて、予備的処理を行なうプリコーディング方法であって、前記伝搬路情報に基づいて、第1の線形フィルタと、第2の線形フィルタを算出する過程と、前記データ信号と、前記第1の線形フィルタに基づいて、摂動ベクトルを探索する過程と、前記データ信号、前記第1の線形フィルタ及び前記摂動ベクトルに基づいて、送信データ信号と電力正規化係数を算出する過程と、前記復調用参照信号、前記第2の線形フィルタ、及び前記電力正規化係数に基づいて、送信復調用参照信号を算出する過程と、前記送信データ信号と前記送信復調用参照信号の送信電力を調整する過程と、を有することを特徴とする。
このようなプリコーディング方法は、複数のアンテナを備える基地局装置から、複数の端末装置へ送信されるデータ信号と復調用参照信号に、前記複数の端末装置との間の伝搬路情報に基づいて、予備的処理を行なうことができる。そのため、基地局装置は所要送信電力を小さくできる。また、端末装置は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、高精度にmodulo幅を推定できる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(11)また、本発明の集積回路は、複数のアンテナを備え、複数の端末装置宛の信号に非線形プリコーディングを施し空間多重して無線送信を行なう基地局装置に実装され、前記基地局装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、前記端末装置との間の伝搬路情報を取得する機能と、前記複数の端末装置宛のデータ信号と復調用参照信号を多重する機能と、前記伝搬路情報に基づいて前記データ信号と前記復調用参照信号にプリコーディングを施す機能と、の一連の機能を発揮させ、前記プリコーディングを施す機能は、前記伝搬路情報に基づいて、前記データ信号に乗算する第1の線形フィルタと、前記復調用参照信号に乗算する第2の線形フィルタとの、互いに異なる線形フィルタを生成することを特徴とする。
このような集積回路は、複数のアンテナを備え、複数の端末装置宛の信号に非線形プリコーディングを施し空間多重して無線送信を行なう基地局装置に実装され、前記基地局装置に複数の機能を発揮させることができる。そのため、端末装置は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、高精度にmodulo幅を推定できる。また、端末装置は、基地局装置より送信されるデータ信号を、高精度に復調することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(12)また、本発明の無線通信システムは上記(1)に記載の基地局装置と、前記基地局装置から送信される信号をそれぞれ受信する複数の端末装置とを備えることを特徴とする。
このような無線通信システムは、上記(1)に記載の基地局装置と、前記基地局装置から送信される信号をそれぞれ受信する複数の端末装置とを備えることができる。そのため、端末装置は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、高精度にmodulo幅を推定できる。また、端末装置は、基地局装置より送信されるデータ信号を、高精度に復調することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
本発明によれば、基地局装置が非線形プリコーディングに基づくMU−MIMO伝送を行なう無線通信システムにおいて、端末装置が復調用参照信号に基づいて高精度にmodulo幅を推定することが出来るから、modulo幅の推定誤差に起因する特性劣化が抑圧され、周波数利用効率の大幅な改善に寄与できる。
本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概略の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る基地局装置の一構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部27の一構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部27における信号処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ部29の一構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る端末装置2の一構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る端末アンテナ部51の一構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部35の一構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部35における信号処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る無線通信システムの概略の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るプリコーディング部37の一構成例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る端末装置3の一構成例を示すブロック図である。 従来の基地局装置と端末装置間の通信の様子を示すシーケンスチャートである。
以下、図面を参照して本発明の無線通信システムを適用した場合における実施形態について説明する。なお、本実施形態において説明した事項は、発明を理解するための一態様であり、実施形態に限定して発明の内容が解釈されるものではない。特に断らない限り、以下では、Aは行列Aの転置行列、Aは行列Aの随伴(エルミート転置)行列、A−1は行列Aの逆行列、diag(A)は行列Aの対角成分のみを抽出した対角行列もしくは括弧内の要素を対角成分に並べた対角行列、IはN行N列の単位行列、0はN行N列の零行列、floor(c)は実部と虚部がそれぞれ複素数cの実部と虚部の値を超えない最大のガウス整数を返す床関数、E[x]はランダム変数xのアンサンブル平均、||a||はベクトルaのノルム、をそれぞれ表すものとする。また、[A,B]は行列AおよびBを列方向に結合した行列を表すものとする。また、Z[i]はガウス整数全体の集合を表すものとする。なお、ガウス整数とは、実部と虚部がそれぞれ整数で表される複素数である。
[1.第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概略の一例を示す図である。第1の実施形態においては、N本の送信アンテナを有し、非線形プリコーディングが可能な基地局装置1(無線送信装置とも呼ぶ)に対して、N本の受信アンテナを有する端末装置2(無線受信装置とも呼ぶ)がU個(図1では端末装置2−1〜2−4の4個)接続しているMU−MIMO伝送を対象とする。各端末装置2にはそれぞれL個のデータを同時に送信するものとし(同時送信するデータ数のことをランク数とも呼ぶ)、U×L=NおよびL=Nであるものとする。
以下では簡単のために、各端末装置2の受信アンテナ数およびランク数は全て同一で、L=N=1として説明を行なうが、端末装置2毎に異なる受信アンテナ数およびランク数となっていても構わない。また、U×L≦NおよびL≦Nが満たされているのではあれば、ランク数と受信アンテナ数が各端末装置2間で同一である必要も無い。
伝送方式としては、N個の副搬送波(サブキャリア)を有する直交周波数分割多重(Orthogonal frequency division multiplexing(OFDM))を仮定する。ただし、特別に断らない限り、以下で説明する信号処理は、サブキャリア毎に行なわれるものとする。基地局装置1は各端末装置2より通知される制御情報により基地局装置1から各端末装置2までのCSIを取得し、その伝搬路情報に基づき、送信データに対してサブキャリア毎にプリコーディングを行なうものとする。以下では複信方式は周波数分割複信を仮定するが、時間分割複信も本実施形態には含まれる。
はじめに基地局装置1と端末装置2の間のCSIについて定義する。本実施形態においては、準静的周波数選択性フェージングチャネルを仮定する。ここで準静的とは、1OFDM信号内で伝搬路が変動しないこととする。第n送信アンテナ(n=1〜N)と第u端末装置2−u(u=1〜U)の第m受信アンテナ(m=1〜N)の間の第tOFDM信号における第kサブキャリアの複素チャネル利得をhu,m,n(k,t)としたとき、伝搬路行列H(k,t)を式(1)のように定義する。

(k,t)は第u端末装置2−uで観測される複素チャネル利得により構成されるN×Nの行列を表す。本実施形態において、特に断りが無い限り、CSIは複素チャネル利得により構成される行列の事を指す。ただし、空間相関行列や、基地局装置1と各端末装置2間で予め共有しているコードブック記載の線形フィルタを並べた行列をCSIとみなして、後述する信号処理を行なうことも可能である。また、端末装置2が推定した伝搬路行列に特異値分解(もしくは固有値分解)を施すことで得られる固有ベクトルを基地局装置1に通知する場合、基地局装置1は、固有ベクトルを並べた行列をCSIとみなしても良い。以下の説明では、第u端末装置2−uは時刻tにおけるCSIであるh(k,t)を推定し、量子化を施したのち、基地局装置1に通知するものとする。
ここで、第u端末装置2−uが基地局装置1に実際に通知するCSIをhFB,u(k,t)と定義する。以下では、hFB,u(k,t)はh(k,t)と同様に、N×Nの行列であるものとするが、必ずしもN×Nである必要はない。例えば、N本の受信アンテナを備える第u端末装置2−uが、(N−1)本の受信アンテナに関するCSIのみを通知するような場合も考えられる。この場合、当然hFB,u(k,t)は(N−1)×Nの行列となる。このとき、基地局装置1は第u端末装置2−uが備える受信アンテナ数は(N−1)本であるものとして、後述するプリコーディング等の送信信号処理を行なえば良い。
また、h(k,t)そのものではなく、h(k,t)に特異値分解を施すことによって得られる固有ベクトル、もしくは固有ベクトルと特異値の両方を通知するような場合も考えられる。この場合、固有ベクトルは要素数Nの列ベクトルがN個存在することになる。ただし、ここで算出される固有ベクトルには、第u端末装置2−u宛てにヌルビームを向ける線形フィルタとなり得るベクトルも含まれる。第u端末装置2−uは複数の固有ベクトルの中で任意の数の列ベクトルを通知するような制御を行なうことも可能である。例えば、第u端末装置2−uが固有ベクトルの中でQ個の固有ベクトルを通知するのであれば、基地局装置1は第u端末装置2−uが備える受信アンテナ数はQ本であるものとして、後述するプリコーディング等の送信信号処理を行なえば良い。
本実施形態において、第u端末装置2−uが基地局装置1にhFB,u(k,t)を通知する方法については、何かに限定されるものでは無い。以下では、第u端末装置2−uはh(k,t)を直接量子化して基地局装置1に通知するものとする。このとき、量子化ビット数に応じて、h(k,t)とhFB,u(k,t)との間には誤差が生ずることになる。しかし、本実施形態の方法自体は、誤差の大きさに影響を受けるものではないため、以下の説明では、h(k,t)=hFB,u(k,t)であるものとして説明を行なう
[1.1.基地局装置1]
図2は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置1の一構成例を示すブロック図である。図2に示すように、基地局装置1は、チャネル符号化部21と、データ変調部23と、マッピング部25と、プリコーディング部27と、アンテナ部29と、制御情報取得部31と、伝搬路情報取得部33と、を含んで構成されている。プリコーディング部27はサブキャリア数N、アンテナ部29は送信アンテナ数Nだけ、それぞれ存在する。
初めに、制御情報取得部31は、接続している各端末装置2より通知される制御情報を取得し、そのうち、伝搬路情報に関連付けられた情報を伝搬路情報取得部33に向けて出力する。伝搬路情報取得部33では、制御情報取得部31より入力された情報に基づき、各端末装置2から通知されたhFB,u(k,t)を取得する。そして、hFB,u(k,t)に基づいて、式(2)で表される量子化伝搬路行列HFB(k,t)を算出する。

ただし、既に説明したように、本実施形態の説明では、h(k,t)=hFB,u(k,t)を仮定しているから、HFB(k,t)=H(k,t)となる。また、本実施形態においては、N=1が仮定されているため、HFB(k,t)はU×Nの行列となる。伝搬路情報取得部33は、算出したHFB(k,t)をプリコーディング部27に向けて出力する。
次いで、チャネル符号化部21が各端末装置2宛ての送信データ系列に対してチャネル符号化を行なったのち、データ変調部23が、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等のディジタルデータ変調を施す。データ変調部23はデータ変調を施したデータ信号をマッピング部25に入力する。
マッピング部25は、各データを指定された無線リソース(リソースエレメント、もしくは単にリソースとも呼ぶ)に配置するマッピング(スケジューリングもしくはリソースアロケーションとも呼ぶ)を行なう。ここでの無線リソースとは、周波数、時間、符号および空間を主に指す。使用される無線リソースは、端末装置2で観測される受信品質や、空間多重される端末同士の伝搬路の直交性等に基づいて決定される。本実施形態においては、使用される無線リソースは予め定められているものとし、基地局装置1と各端末装置2の双方で把握できているものとする。なお、マッピング部25は、各端末装置2において伝搬路推定を行なうための既知参照信号系列の多重も行なう。
各端末装置2宛ての参照信号については、受信した端末装置2において分離可能なように、それぞれが直交するように多重されるものとする。また、参照信号には、伝搬路推定用の参照信号であるCSI−reference signal(CSI−RS)と復調用参照信号(固有参照信号とも呼ぶ)であるDemodulation reference signal(DMRS)の2つの参照信号が多重されるものとするが、別の参照信号を更に多重する構成としても構わない。CSI−RSは、各端末装置2で観測されるCSIを推定するためのものである。つまり、第u端末装置2−uはCSI−RSに基づいてh(k,t)を推定する。一方、DMRSは後述するプリコーディングの結果が反映された伝搬路情報を推定するためのものである。本発明において、マッピング部25は、データ信号、DMRSおよびCSI−RSを、それぞれ異なる時間、周波数もしくは符号で送信するようにマッピングするものとする。また、マッピング部25はCSI−RSを送信アンテナ間で直交するように配置する。また、マッピング部25は、DMRSを、端末装置間および関連付けられているデータストリーム間で直交するように配置する。マッピング部25は、マッピングしたデータ情報等を、それぞれ対応するサブキャリアのプリコーディング部27に入力する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部27の装置構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、プリコーディング部27は、スイッチ部27−1と線形フィルタ生成部27−2と、THP部27−4と送信データ信号生成部27−5と送信DMRS生成部27−6と送信信号生成部27−7とを含んで構成されている。なお、以下では、プリコーディング部27に入力される信号のうち、データ信号と、DMRSに対する信号処理についてのみ説明を行なう。CSI−RSについては、プリコーディング部において、伝搬路情報に基づくプリコーディング処理は施されず、送信電力制御のみが行なわれる事になるため、その説明は省略する。
プリコーディング部27に入力された信号は、はじめにスイッチ部27−1において、データ信号とDMRSとに分けられる。次いで、線形フィルタ生成部27−2は、伝搬路情報取得部33から入力される伝搬路情報HFB(k,t)に基づいて線形フィルタW(k,t)を生成する。なお、以下の説明では、HFB(k,t)=H(k,t)であるものとするとともに、データ信号とDMRSが送信されている無線リソースの伝搬路には十分に高い相関があるものとし、時間および周波数インデックスは省略して記述するものとする。また、実際の伝搬路には時間選択性が存在するため、基地局装置1がプリコーディングを行なっても、IUIは完全には除去できないが、本実施形態の方法自体は残留IUIの大きさには依存しないため、以下では、この影響は無視して説明を行なう。
本実施形態において、プリコーディング部27が施すプリコーディングは送信データ信号と各端末装置2の受信データ信号との平均二乗誤差を最小とするMMSE(Minimum mean square error)規範に基づくTHPを仮定するが、他の規範のTHP(例えばIUIを最小化するZero−forcing規範)も本実施形態には含まれる。MMSE−THPで用いられる線形フィルタは、基本的には、伝搬路行列を下三角行列に変換するものである。線形フィルタの生成方法にはいくつかの方法があるが、本実施形態では、QR分解に基づく方法を仮定する。
QR分解に基づく方法では、G=[H,αI]で与えられる拡大伝搬路行列Gを用いる。ここで、αは干渉制御項であり、例えば各端末装置2が観測する受信信号対干渉+雑音電力比(SINR)の逆数の平方根に設定すれば良い。線形フィルタ生成部27−2はGに対して、QR分解を施すことで、G=QRのようにGを分解する。ここで、Q=[Q11,Q12;Q21,Q22]と表現することができ、Q11、Q12、Q21およびQ22はそれぞれU行U列の行列となる。以下では、Q11=Qと表す。また、R=[R;0]と表現でき、RはU行U列の下三角行列である。以下では、Rのエルミート転置行列をLとする。すなわち、LはU行U列の下三角行列である。
従来のMMSE−THPでは、W=Q{diag(HQ)}−1が線形フィルタであるものとしている。つまり、この線形フィルタは拡大伝搬路行列Gを下三角行列に変換するフィルタであるが、実際の伝搬路行列であるHをMMSE規範で下三角行列とするフィルタにもなる。ここで、{diag(HQ)}−1は、各端末装置2のデータ信号に対する受信SINRを一定にするための電力配分制御項であり、プリコーディングの手法によっては乗算しなくても構わない。
本実施形態においては、線形フィルタ生成部27−2はデータ信号に対する線形フィルタWとしてW=Q{diag(L)}−1を算出する。従来方式とは異なり、線形フィルタ生成部27−2は(HQ)ではなく、Lを用いて、電力配分制御項を算出する。なお、LはHに対するLQ分解に基づいて求めても良い。
また、従来方式においては、データ信号に用いる線形フィルタ(これを第1の線形フィルタとも呼ぶ)と、後述するDMRSに乗算する線形フィルタ(これを第2の線形フィルタとも呼ぶ)は同一であるものとしていた。そして、従来方式においては、DMRSにもWが用いられていたが、本実施形態においては、データ信号とDMRSとで、違う線形フィルタを用いるものとする。
具体的には、線形フィルタ生成部27−2はDMRSに対する線形フィルタWはW=Q{diag(HW)}−1とする。HWの対角成分は各端末装置2の受信信号に含まれる所望信号の振幅情報に関連付けられた情報である。以下では、{diag(HW)}−1を第1の対角行列とも呼ぶ。線形フィルタ生成部27−2はWを送信DMRS生成部27−6に向けて出力する一方で、WをTHP部27−4および送信データ信号生成部27−5に向けて出力する。
次いで、THP部27−4における信号処理について説明する。THP部27−4では、マッピング部25より入力される信号のうち、データ信号が入力され、各端末装置2が受信する受信信号に含まれているユーザ間干渉(IUI)の一部を抑圧する干渉抑圧が行なわれる。以下では、基地局装置1には図1に示されているように、端末装置2−1〜2−4が接続されているものとし、THP部27−4には各端末装置2宛のデータ信号で構成される送信データベクトルd=[d,d,d,dが入力されているものとする。
THP部27−4が、入力されたデータ信号dに対して、線形フィルタ生成部27−2より入力される線形フィルタWを乗算して、各端末装置2に向けて送信することを考える。第u端末装置2−uの受信信号をrとした場合、システム全体の受信信号ベクトルr=[r,r,r,rはr=HWdで与えられる。なお、実際の送信信号ベクトルには後述する電力正規化が行なわれるとともに、受信信号には雑音が印加されるが、ここでは省略している。各端末装置2の受信信号には、自装置宛の所望信号に加えて、IUIも含まれている。例えば、第2端末装置2−2の受信信号は式(3)で与えられる。

ここで、W=[wd,1,wd,2,wd,3,wd,4]であり、wd,uが第u端末装置2−u宛てのデータ信号に乗算されるN行1列の固有線形フィルタである。式(3)の右辺の第2項および第3項がIUIとなる。ここで、WはMMSE規範に基づいて伝搬路行列Hを下三角行列に変換するフィルタであることから、第3項のIUI、すなわち、第3端末装置2−3および第4端末装置2−4宛てのデータ信号に起因するIUIは十分に抑圧されている一方で、第1端末装置2−1宛てのデータ信号に起因するIUIは全く抑圧されていないことになる。
そこで、THP部27−4はWによって抑圧されないIUIを予め抑圧する干渉抑圧処理を各端末装置2宛てのデータ信号に対して施す。はじめに従来のMMSE−THPにおける信号処理について説明する。例えば、第2端末装置2−2宛の干渉抑圧後の信号(送信符号と呼ぶ)をxとしたとき、xは式(4)で与えられる。

式(4)で与えられる送信符号を基地局装置1が第2端末装置2−2に送信すれば、第2端末装置2−2には第1端末装置2−1宛ての送信信号に起因して発生するIUIが受信されないことになる。しかし、伝搬路情報Hの状態によっては、xの大きさがdよりも遥かに大きくなってしまい、膨大な送信電力を必要としてしまう可能性がある。そこで、THP部27−4ではxに対してmodulo演算と呼ばれる非線形信号処理を行う。なお、modulo演算は以下で説明する本実施形態のTHP部27−4でも行なわれる。
modulo演算Mod2δ(x)は、ある入力信号xに対して、その出力の実部と虚部がそれぞれ-δ以上かつδ未満に収まるようにするものである。ここでδはmodulo幅と呼ばれ、入力される信号の変調方式等に応じて設定される。例えばQPSK変調信号が入力される場合には、2δ=2×21/2と設定される。なお、2δのことを摂動ベクトルの基本単位とも呼ぶこととする。実際に、式(4)で表される信号xにmodulo演算を施した場合、その出力は式(5)で与えられる。

ここで、zはガウス整数であり、式(5)の第2式で与えられるzをもちいることで、第1式の右辺の実部と虚部がそれぞれ-δより大きく、かつδ以下に収まる。このz、もしくは2δzのことを本発明においては、摂動項と呼ぶこととする。modulo演算を施すことにより、伝搬路情報Hの状態に依らず、xの大きさを常に一定とすることが出来る。このように算出されたx(modulo演算も含む)が第2端末装置2−2宛の送信符号となる。
以下、同様にして、THP部27−4は第3端末装置2−3および第4端末装置2−4宛てのデータ信号に対して、干渉抑圧とmodulo演算を行なっていく。なお、第1端末装置2−1に受信されるIUIについては、全て線形フィルタWによって抑圧されているから、THP部27−4はdに対しては特に信号処理は行なわない(すなわち、x=d)。上述した逐次的な信号処理により求められる摂動項を纏めたベクトルz=[z,z,z,zを、本実施形態において摂動ベクトルと呼ぶこととする。摂動ベクトルzを用いると、送信符号ベクトルx=[x,x,x,xはx=(I−F)−1(d+2δz)で与えられる。ここで、Fはフィードバックフィルタである。つまり、THP部27−4で行なわれる干渉抑圧処理は、データ信号とフィードバックフィルタFに基づいて行なわれる事になる。Fは従来のMMSE−THPでは、I―(diag(HW))−1HWの下三角行列部分で与えられる。
従来のMMSE−THPでは、算出された線形フィルタWに基づいて、フィードバックフィルタFを算出してTHP処理を行なう。この場合、線形フィルタWによる干渉抑圧とTHPによる干渉抑圧がともにMMSE規範となるため、平均的に良好な伝送特性を実現できる。ところで、受信側でmodulo演算を施す非線形プリコーディングでは、modulo損失と呼ばれる伝送特性劣化が発生する。modulo損失は、特に低受信信号電力対雑音電力比(SNR)環境下において、影響が顕著に表れる。そのため、modulo損失の影響を抑圧するためには、MMSE規範では無く、受信SNRを最大とするMRC規範に近いプリコーディングを基地局装置1が施した方が有効な場合がある。
そこで、本実施形態において、THP部27−4は、THPで必要となるフィードバックフィルタとして、拡大伝搬路行列Gに対するQR分解に基づいて算出される下三角行列Lの対角成分を除いた下三角行列部分を用いるものとする。つまり、本実施形態における線形フィルタ生成部27−2はF=I―(diag(L))−1で与えられるフィードバックフィルタを生成し、THP部27−4は、このFに基づいてTHPによる干渉抑圧を行なう。なお、線形フィルタ生成部27−2はLの対角成分を含まない下三角行列成分のみに基づいてFを算出しても構わない。
本実施形態の方法によれば、THP部27−4が把握するIUIと実際に各端末装置2で観測されるIUIとの間に誤差が生ずることになる。このことは、受信SINRを劣化させることを意味している。一方で、各端末装置2の受信信号における所望信号の振幅はLの対角成分で与えられるものとして信号処理を行なうことになるため、従来のMMSE−THPと比較して、受信信号対雑音電力比(SNR)を改善させることが可能となる。よって、低SNR環境下においては、本実施形態における方法の方が良好な伝送特性となる。なお、本実施形態のTHP部27−4における信号処理はフィードバックフィルタの形状が異なること以外は従来のTHPと同様である。THP部27−4は算出された送信符号ベクトルxを送信データ信号生成部27−5に向けて出力する。
送信データ信号生成部27−5はTHP部27−4より入力される送信符号ベクトルxに線形フィルタ生成部27−2より入力される線形フィルタWを乗算することで送信データ信号ベクトルsを生成する。このとき、送信電力を一定とするための電力正規化も行なわれる。本実施形態においては、送信データ信号生成部27−5は電力正規化項βを送信データ信号ベクトルsに乗算することで電力正規化を行なう。送信データ信号ベクトルsは式(6)で与えられる。

ここで、Pは送信符号ベクトルの共分散行列である。送信データ信号生成部27−5はsを送信信号生成部27−7に向けて出力するとともに、算出された電力正規項βを送信DMRS生成部27−6に向けて出力する。
次いで、送信DMRS生成部27−6における信号処理について説明する。送信DMRS生成部27−6にはマッピング部25より入力される信号のうち、DMRSが入力される。ここで、基地局装置1は各端末装置2宛てのDMRSを、連続する無線リソースにおいて各端末装置2に順番に送信するものとする。第u端末装置2−u宛のDMRSをpとしたとき、送信DMRS生成部27−6が算出する第u端末装置2−u宛の送信DMRSであるsp,uはsp,u=μβwp,uで与えられる。なお、s=[sp,1,sp,2,sp,3,sp,4、W=[wp,1,wp,2,wp,3,wp,4]である。Wは線形フィルタ生成部27−2より入力され、電力正規化項βは送信データ信号生成部27−5より入力される。μは、DMRSの電力調整項であり、任意の実数で与えられるが、基本的には基地局装置1と各端末装置2との間で共有されている必要がある。以下では、μ=1として説明を行なう。送信DMRS生成部27−6は算出したsを送信信号生成部27−7に向けて送信する。
送信信号生成部27−7は、送信データ信号生成部27−5および送信DMRS生成部27−6よりそれぞれ入力された送信信号ベクトルsおよびsに適切な送信電力を与えたのち、アンテナ部29に向けて出力する。なお、送信電力は、後述するアンテナ部29の無線送信部29−3において調整するように制御しても良い。
図4は本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部27における信号処理の一例を説明するフローチャートである。初めに、スイッチ部27−1は、マッピング部から入力される信号をデータ信号とDMRSに分ける(ステップS201)。次いで、線形フィルタ生成部27−2は伝搬路情報取得部33から入力される伝搬路情報に基づいて、第1の線形フィルタWと第2の線形フィルタWとフィードバックフィルタFを算出する(ステップS202)。次いで、THP部27−4はフィードバックフィルタFに基づいて、データ信号に対して、干渉抑圧とmodulo演算を施し、送信符号ベクトルxを算出する(ステップS203)。次いで、送信データ信号生成部27−5は送信符号ベクトルxと第1の線形フィルタWに基づき、電力正規化係数βと送信データ信号ベクトルsを算出する(ステップS204)。次いで、送信DMRS生成部27−6は、DMRSと第2の線形フィルタWと電力正規化係数βと電力調整項に基づいて、送信DMRSであるsを算出する(ステップS205)。最後に、送信信号生成部27−7がsとsの送信電力を調整し、アンテナ部29に向けて出力する(ステップS206)。
以上の説明では、プリコーディング部27が施すプリコーディング処理は、サブキャリア毎に行なうことを前提としているが、複数のサブキャリアおよびOFDM信号からなるサブバンド毎に、プリコーディング部27はプリコーディング処理を施しても良い。例えは、線形フィルタ生成部27−2は、第1および第2の線形フィルタとフィードバックフィルタを、サブバンド毎にそれぞれ一つずつ算出し、サブバンド内の各サブキャリアに対して適用するように制御しても良い。
また、送信データ信号生成部27−5は、サブバンド毎に送信電力が一定となるように、電力正規化係数βを求めるように制御しても良い。
また、プリコーディング部27は、伝搬路情報取得部33より入力される伝搬路情報(伝搬路行列)に対して、予め予備処理を施してから、一連の信号処理を行なうようにしても良い。予備処理として、例えば、伝搬路行列に対するオーダリング(順序入れ替え)技術や格子基底縮小技術が考えられる。伝搬路行列に対して予備処理が行なわれる場合、プリコーディング部27は、それに準じた処理をマッピング部より入力されるデータ信号と復調用参照信号にも施すことになる。例えば、オーダリングが伝搬路行列に施される場合、同じオーダリング処理が、データ信号および復調用参照信号(復調用参照信号については行なわなくても構わない)にも行なわれることになる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ部29の装置構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、アンテナ部29は、IFFT部29−1と、GI挿入部29−2と、無線送信部29−3と、無線受信部29−4と、アンテナ29−5とを含んで構成されている。各アンテナ部29では、初めに、IFFT部29−1が、対応するプリコーディング部27より出力される信号に対して、Nポイントの逆高速フーリエ変換(IFFT)、もしくは逆離散フーリエ変換(IDFT)を適用し、Nサブキャリアを有するOFDM信号を生成し、GI挿入部29−2に入力する。ここでは、サブキャリア数とIFFTのポイント数は同じものとして説明しているが、周波数領域にガードバンドを設定する場合、ポイント数はサブキャリア数よりも大きくなる。GI挿入部29−2は入力されたOFDM信号にガードインターバルを付与したのち、無線送信部29−3に入力する。無線送信部29−3は、入力されたベースバンド帯の送信信号を無線周波数(RF)帯の送信信号に変換し、アンテナ29−5に入力する。アンテナ29−5は入力されたRF帯の送信信号を送信する。
一方、無線受信部29−4には、各端末装置2から基地局装置1に送信された信号が入力されることになる。無線受信部29−4では、受信された信号から、各端末装置2からの送信信号を復調する処理が行なわれ、そのうち、制御情報に関連する信号が、制御情報取得部31に向けて出力されることになる。
[1.2.端末装置2]
図6は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置2の一構成例を示すブロック図である。図6に示すように、端末装置2は端末アンテナ部51と、伝搬路推定部53と、フィードバック情報生成部55と、チャネル等化部57と、デマッピング部59とデータ復調部61と、チャネル復号部63と、を含んで構成されている。そのうち、端末アンテナ部51は受信アンテナ数Nだけ存在する。ただし、以下の説明では、受信アンテナ数はN=1であるものとする。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る端末アンテナ部51の一構成例を示すブロック図である。図7に示すように、端末アンテナ部51は、無線受信部51−1と、無線送信部51−2と、GI除去部51−3と、FFT部51−4と、参照信号分離部51−5と、アンテナ51−6と、を含んで構成されている。基地局装置1より送信された送信信号は、はじめに端末アンテナ部51のアンテナ51−6で受信されたのち、無線受信部51−1に入力される。無線受信部51−1は、入力された信号をベースバンド帯の信号に変換し、GI除去部51−3に入力する。GI除去部51−3は、入力された信号からガードインターバルを取り除き、FFT部51−4に入力する。FFT部51−4は、入力された信号に対してNポイントの高速フーリエ変換(FFT)もしくは離散フーリエ変換(DFT)を適用し、N個のサブキャリア成分に変換したのち、参照信号分離部51−5に入力する。参照信号分離部51−5は、入力された信号を、データ信号成分とCSI−RS成分と、DMRS成分とに分離する。参照信号分離部51−5は、データ信号成分については、チャネル等化部57に入力し、CSI−RSとDMRSについては、伝搬路推定部53に入力する。以下で説明する信号処理は基本的にはサブキャリア毎に行なわれることになる。
伝搬路推定部53は、入力された既知参照信号であるCSI−RSおよびDMRSに基づいて伝搬路推定を行なう。はじめにCSI−RSを用いた伝搬路推定について説明する。
CSI−RSは、プリコーディングを適用されずに送信されているため、式(1)で表されている伝搬路行列H(k,t)のうち、第u端末装置2−uに対応する行列h(k,t)を推定することが可能である。通常、CSI−RSは無線リソースに対して周期的に多重されるため、全てのサブキャリアの伝搬路情報を直接推定することはできない。しかし、標本化定理を満たすような時間間隔、および周波数間隔でCSI−RSが送信されれば、端末装置2は、適切な補間により全サブキャリアの伝搬路情報を推定することができる。具体的な伝搬路推定方法については、特に限定しないが、例えば二次元MMSE伝搬路推定を用いれば良い。
第u端末装置2−uの伝搬路推定部53はCSI−RSに基づいて推定した伝搬路情報h(k,t)をフィードバック情報生成部55に入力する。フィードバック情報生成部55は、入力された伝搬路情報と各端末装置2がフィードバックする伝搬路情報形式に応じて、基地局装置1にフィードバックする情報、すなわち、hFB,u(k,t)を生成する。本発明においては、伝搬路情報形式については何かに限定されるものではない。例えば、推定された伝搬路情報h(k,t)の各要素に対して、有限ビット数にて量子化を行ない、その量子化情報をフィードバックする方法が考えられる。また、基地局装置1との間で予め取り決めておいたコードブックに基づいてフィードバックを行なっても良い。
また、h(k,t)を直接量子化するのではなく、何らかの信号変換を施したのちに、量子化を行なっても良い。信号変換として、例えば、特異値分解を施す方法が考えられる。この場合、フィードバック情報生成部55は、特異値分解によって得られた固有ベクトル、もしくは固有ベクトルと特異値の両方を量子化することで、基地局装置1に通知する情報を生成する。
次いで、伝搬路推定部53は、DMRSに基づいて伝搬路推定を行なうが、このことについては後述するものとし、先にチャネル等化部57における信号処理について説明する。チャネル等化部57に入力される第u端末装置2−uで受信される受信信号rは式(7)で与えられる。

ここで、Pはパスロス等の長区間変動成分も加味した平均受信電力であり、ηは第u端末装置2−uに印加される雑音である。式(7)の第2式は、基地局装置1における非線形プリコーディングによりIUIが理想的に抑圧されていることを仮定している。基地局装置1が非線形プリコーディングを施している場合、受信側においてmodulo演算が必要であることは既に述べた。本実施形態において伝搬路推定部53が推定すべきmodulo幅は(2P1/2β2δであり、hd,uは含まれない。このmodulo幅は、伝搬路推定部53におけるDMRSに基づいた伝搬路推定によって推定することができる。
伝搬路推定部53におけるDMRSに基づいた伝搬路推定について説明する。今第u端末装置2−uに受信されているDMRSrp,uは式(8)で与えられる。

伝搬路推定部53はrp,uに対して、既知の参照信号であるpによる逆変調を行なう。雑音の影響が無視できる場合、逆変調出力はrp,u/p=(2P1/2βとなり、2δは基地局装置1と端末装置2との間で共有されている値であるから、端末装置2は所望のmodulo幅を得ることが出来る。
一方、従来技術のように基地局装置1がDMRSに対してデータ信号と同じ線形フィルタWを乗算した場合を考えてみる。このとき、受信信号rp,uは式(9)で与えられる。

このrp,uに対して、伝搬路推定部53がpに基づく逆変調を施した場合、その出力は、(2P1/2βhd,uとなる。このことは、端末装置2は、modulo幅を(2P1/2βhd,u2δと推定することを意味しており、その推定値は所望のmodulo幅と一致していないことが分かる。もし、端末装置2が所望の値とは異なるmodulo幅を推定した場合、modulo演算結果には大きな誤差が生じてしまい、伝送特性も大幅に劣化してしまう。本実施形態が対象としたように、DMRSとデータ信号とで異なる線形フィルタを用いることで、そのような伝送特性の劣化を回避することが可能となる。
伝搬路推定部53は上述した方法に基づき求めた逆変調出力を伝搬路推定値としてチャネル等化部57に向けて出力する。なお、以上の説明では、伝搬路推定方法は単純な逆変調に基づくものとしているが、本実施形態において伝搬路推定部53がDMRSに対して施す伝搬路推定方法は何かに限定されるものではなく、CSI−RSに対する伝搬路推定方法と同様に、他の伝搬路推定方法に基づいて伝搬路推定値を求めても構わない。
チャネル等化部57は受信信号rに対して、伝搬路推定部53より入力される伝搬路推定値に基づいてチャネル等化を施す。例えば、端末アンテナ部より入力された受信信号rを、伝搬路推定部53より入力された伝搬路推定値で除算すれば良い。チャネル等化部57はチャネル等化後の受信信号に対して、modulo幅2δのmodulo演算を施したのち、デマッピング部59に向けて出力する。
デマッピング部59においては、端末装置2は、自装置宛ての送信データの送信に使われている無線リソースより、自装置宛ての送信データを抽出する。なお、参照信号分離部51−5の出力を、先にデマッピング部59に入力し、自装置に該当する無線リソース成分のみをチャネル等化部57に入力するような構成としても良い。デマッピング部59の出力は、その後、データ復調部61に入力されてデータ復調が行なわれ、データ復調結果は、チャネル復号部63に入力されてチャネル復号が行なわれる。
なお、チャネル復号部63が行なうチャネル復号の方法によっては、摂動項が加算された信号を用いて直接復号することも可能である。この場合、チャネル等化部57ではmodulo演算を行なわなくても構わない。
本実施形態においては、OFDM信号伝送を仮定し、プリコーディングはサブキャリア毎に行なうことを仮定したが、伝送方式(もしくはアクセス方式)やプリコーディングの適用単位に制限は無い。例えば、複数サブキャリアを一纏めとしたリソースブロック毎にプリコーディングが行なわれた場合も本実施形態は適用可能であり、同様に、シングルキャリアベースのアクセス方式(例えばシングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC−FDMA)方式など)にも適用することが可能である。
本実施形態においては、各端末装置2が備える受信アンテナ数Nは1、送信ランク数Lは1としていたが、受信アンテナ数および送信ランク数Lが複数であった場合も本実施形態には含まれる。この場合、各端末装置2は、基地局装置より送信される復調用参照信号に基づいて、見掛け上のMIMOチャネルを推定し、得られたMIMOチャネル推定値に基づいて、受信信号に対して、空間分離処理を施せば良い。このとき、各端末装置2は自装置宛の復調用参照信号のみを用いる場合と、他装置宛の復調用参照信号も用いる場合が考えられるが、本実施形態にはいずれの場合も含まれる
以上、説明してきた方法により、端末装置2は復調用参照信号に基づいて高精度にmodulo幅を推定できるとともに、低SNR環境下において、従来のMMSE−THPと比較して良好な伝送特性を実現できる非線形MU−MIMO伝送を実現することが出来る。
[2.第2の実施形態]
第1の実施形態においては、基地局装置1が行なう非線形プリコーディングはMMSE−THPであるものとした。第2の実施形態においては、非線形プリコーディングとしてMMSE−VPを基地局装置1が行なう場合を対象とする。
[2.1.基地局装置1]
本発明の第2の実施形態に係る基地局装置1の一構成例は図2と同様である。ただし、プリコーディング部27は、プリコーディング部35に置き換わる構成となる。置き換わるプリコーディング部35以外の各構成装置における信号処理は第1の実施形態と同様であるから説明は省略し、以下では、プリコーディング部35における信号処理について説明を行なう。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部35の装置構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、プリコーディング部35は、スイッチ部35−1と線形フィルタ生成部35−2と、摂動ベクトル探索部35−3と送信データ信号生成部35−5と送信DMRS生成部35−6と送信信号生成部35−7とを含んで構成されている。なお、スイッチ部35−1と送信DMRS生成部35−6と送信信号生成部35−7の信号処理は、それぞれ、第1の実施形態における図3のプリコーディング部27のスイッチ部27−1と送信DMRS生成部27−6と送信信号生成部27−7と同様であるから、説明は省略する。
線形フィルタ生成部35−2では線形フィルタを算出する。第1の実施形態においては、線形フィルタ生成部27−2が生成した線形フィルタWおよびWはいずれも伝搬路行列HをMMSE規範に基づいて下三角行列に変換するフィルタであり、各端末装置2が受信するIUIのうちの一部を抑圧できるものであった。本実施形態において線形フィルタ生成部35−2が算出する線形フィルタは、各端末装置2が受信するIUIを全て抑圧するものとなる。本実施形態においては、MMSE規範に基づいた線形フィルタを用いるものとする。線形フィルタ生成部35−2が生成するデータ信号に乗算する線形フィルタWは式(10)で与えられる。

従来のMMSE−VPでは、DMRSに乗算する線形フィルタWもWと同じものを用いるものとしている。本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、データ信号に乗算する線形フィルタとDMRSに乗算する線形フィルタを異なるものとする。本実施形態において線形フィルタ生成部35−2が生成する、DMRSに乗算する線形フィルタWは式(11)で与えられる。

線形フィルタ生成部35−2はWを摂動ベクトル探索部35−3と送信データ信号生成部35−5に入力し、Wを送信DMRS生成部35−6に入力する。
摂動ベクトル探索部35−3では、データ信号dに加算する摂動ベクトルzを探索する。第1の実施形態が対象としたMMSE−THPでは、摂動ベクトルzはmodulo演算を用いて求めていた。本実施形態が対象とするMMSE−VPでは、摂動ベクトルはmodulo演算ではなく、式(12)で与えられる最小化問題を解くことで探索する。

式(12)は、所望の摂動ベクトルは、線形フィルタ乗算後の送信信号の送信電力を最小化するものであることを示唆している。しかし、摂動ベクトルを構成する摂動項は任意のガウス整数で与えられるから、全ての組み合わせを調べるのは現実的では無い。そこで従来のMMSE−VPに関する検討でも、Sphere encoding等の演算量削減技術を用いることを前提としている。
本実施形態の方法は、摂動ベクトルの探索方法には影響を受けないため、本実施形態において、摂動ベクトルの探索方法は何かに限定されるものではない。また、送信電力を最小とする規範でなくても構わない。例えば、摂動ベクトル探索部35−3は送信電力最小規範ではなく、平均二乗誤差最小規範や与干渉電力最小規範、もしくは送信対与干渉+雑音電力比(SLNR)最大規範に基づいて摂動ベクトルの探索を行なっても良いし、格子基底縮小技術に基づいて摂動ベクトルを探索してもよい。また、極端なことをいえば、摂動ベクトル探索部35−3がランダムに摂動ベクトルを選択した場合も、本実施形態には含まれる。以下では、何かしらの規範と探索方法に基づき摂動ベクトル探索部35−3は摂動ベクトルzを探索し、送信データ信号生成部35−5に向けて出力したものとする。
送信データ信号生成部35−5では、スイッチ部35−1から入力されるデータ信号ベクトルdと、線形フィルタ生成部35−2から入力される線形フィルタWと、摂動ベクトル探索部35−3から入力される摂動ベクトルzに基づいて、送信データ信号ベクトルsを生成する。sは式(13)で与えられる。

送信データ信号生成部35−5は、算出した送信データ信号ベクトルsを送信信号生成部35−7に向けて出力する一方で、電力正規化項βを送信DMRS生成部35−6に向けて出力する。
図9は本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部35における信号処理の一例を説明するフローチャートである。初めに、スイッチ部35−1は、マッピング部25から入力される信号を、データ信号とDMRSに分ける(ステップS301)。次いで、線形フィルタ生成部35−2は伝搬路情報取得部33から入力される伝搬路情報に基づいて、第1の線形フィルタWと第2の線形フィルタWを算出する(ステップS302)。次いで、摂動ベクトル探索部35−3は、データ信号と、第1の線形フィルタに基づいて、摂動ベクトルzを探索する(ステップS303)。次いで、送信データ信号生成部35−5はデータ信号と、第1の線形フィルタと、摂動ベクトルに基づき、電力正規化係数βと送信データ信号ベクトルsを算出する(ステップS304)。次いで、送信DMRS生成部35−6は、DMRSと第2の線形フィルタWと電力正規化係数βと電力調整項に基づいて、送信DMRSであるsを算出する(ステップS305)。最後に、送信信号生成部35−7がsとsの送信電力を調整し、アンテナ部29に向けて出力する(ステップS306)。
以上が本実施形態に係るプリコーディング部35における信号処理の説明となる。基地局装置1の他の構成装置における信号処理は第1の実施形態と同様であるから説明は省略する。
[2.2.端末装置2]
本実施形態における端末装置2の装置構成は第1の実施形態と同様である。他の構成装置における信号処理も同様であるから説明は省略する。
以上、本実施形態では、基地局装置1がプリコーディング方式として、MMSE−VPを用いる場合を対象とした。第1の実施形態では、低SNR環境下において本発明の方法が有効であったのに対して、本実施形態が対象としたMMSE−VPでは、SNRの値に依らず、従来方式よりも良好な伝送特性を実現することが可能であり、無線通信システムの周波数利用効率の改善に寄与できる。
[3.第3の実施形態]
第1および第2の実施形態では、基地局装置1に接続される端末装置2は全てmodulo演算が可能であることを前提としていた。しかし、実際の無線通信システムにおいては、modulo演算を行なわない端末装置3が混在する場合が考えられる。また、modulo演算を前提とする非線形プリコーディング伝送では、modulo損失と呼ばれる特有の伝送特性劣化要因が存在する。よって、伝搬路環境によっては、端末装置がmodulo演算を必要としない送信信号を基地局装置が生成した方が、周波数利用効率が向上する場合がある。第3の実施形態では、modulo演算を行なう端末装置2とmodulo演算を行なわない端末装置3とが混在する場合を対象とする。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る無線通信システムの概略の一例を示す図である。第3の実施形態においては、N本の送信アンテナを有した基地局装置1bに対して、N本の受信アンテナを有する端末装置2(図10では端末装置2−1〜2−2の2個)と、N本の受信アンテナを有する端末装置3(図10では端末装置3−1〜3−2の2個)が複数接続する無線通信システムを対象とする。なお、送信ランク数等の無線パラメータについては、特別に断らない限り、第1の実施形態と同様であるものとする。端末装置2は第1および第2の実施形態で対象とした受信信号にmodulo演算を行なう端末装置(非線形端末装置とも呼ぶ)であり、端末装置3が受信信号にmodulo演算を行なわない端末装置(線形端末装置とも呼ぶ)となる。
なお、第2の実施形態と同様に、基地局装置1bに接続している端末装置が全て、受信信号に対してmodulo演算を行なえる端末装置であったとしても、一部の端末装置は受信信号に対してmodulo演算を行なわないように、基地局装置1bが制御することが可能である。本実施形態は、このような場合も含む。
[3.1.基地局装置1b]
本発明の第3の実施形態に係る基地局装置1bの構成は図2と同様である。ただし、プリコーディング部27は、プリコーディング部37に置き換わる構成となる。置き換わるプリコーディング部37以外の各構成装置における信号処理は第1の実施形態と同様であるから説明は省略し、以下では、プリコーディング部37における信号処理について説明を行なう。
図11は、本発明の第3の実施形態に係るプリコーディング部37の装置構成の一例を示すブロック図である。図11に示すように、プリコーディング部37は、スイッチ部37−1と線形フィルタ生成部37−2と、摂動ベクトル探索部37−3と送信データ信号生成部37−5と送信DMRS生成部37−6と送信信号生成部37−7とを含んで構成されている。なお、線形フィルタ生成部37−2と摂動ベクトル探索部37−3を除く各構成装置における信号処理は、第2の実施形態に係るプリコーディング部35において、対応する構成装置(例えば、スイッチ部37−1に対してはスイッチ部35−1)における信号処理と同じであるため、説明は省略する。以下では、線形フィルタ生成部37−2と摂動ベクトル探索部37−3における信号処理について説明する。
線形フィルタ生成部37−2では伝搬路情報取得部33より入力される伝搬路情報Hに基づき、データ信号に乗算する線形フィルタWとDMRSに乗算する線形フィルタWを算出する。以下では、第2の実施形態と同様に、プリコーディング部37はMMSE−VPを各データ信号に施すことを考えるが、第1の実施形態が対象としたMMSE−THP等の他の非線形プリコーディングも本実施形態には含まれる。MMSE−VPにおける線形フィルタWは式(10)で既に与えられている。
次いで、Wについて説明する。第2の実施形態においては、各端末装置2がDMRSに基づいて推定するmodulo幅と、所望のmodulo幅との誤差が小さくなるように、線形フィルタ生成部35−2はWに対して補正を行なうことで、Wを算出していた。しかし、本実施形態においては、基地局装置1bに接続している複数の端末装置の中に線形端末装置が含まれている。線形端末装置は、受信信号に対して、modulo演算を施さないから、modulo幅を推定する必要がない。そのため、本実施形態における線形フィルタ生成部37−2は、線形端末装置宛のDMRSに乗算する線形フィルタについては、従来方式と同様に、データ信号に乗算する線形フィルタと同じものを用いることが出来る。
基地局装置1bに接続している端末装置が4つであるものとし、そのうち、第1および第2端末装置が、線形端末装置である端末装置3−1および端末装置3−2であるものとし、第3および第4端末装置が、非線形端末装置である端末装置2−1および端末装置2−2であるものとする。データ信号に乗算する線形フィルタWはN行4列の行列で表すことが可能であるから、W=[wd,1,wd,2,wd,3,wd,4]のように、N行1列の4つの行列で表される。ここで、Wd,uが第u端末装置宛のデータ信号に乗算される線形フィルタとなる。
同様にして、DMRSに乗算する線形フィルタWもW=[wp,1,wp,2,wp,3,wp,4]と表すことができる。線形フィルタ生成部37−2が算出するWは式(14)で与えられることになる。

つまり、線形端末装置宛のDMRSに乗算される線形フィルタについては、データ信号に乗算される線形フィルタと同じものを用いる一方で、非線形端末装置宛のDMRSに乗算される線形フィルタについては、第1および第2の実施形態と同様に、データ信号に乗算される線形フィルタとは異なるものを用いることになる。線形フィルタ生成部37−2は算出した線形フィルタWを摂動ベクトル探索部37−3と送信データ信号生成部37−5に向けて出力し、線形フィルタWを送信DMRS生成部37−6に向けて出力する。
摂動ベクトル探索部37−3では、線形フィルタ生成部37−2より入力される線形フィルタWとスイッチ部37−1より入力される送信データベクトルdに基づいて摂動ベクトルzを算出する。摂動ベクトル探索部37−3が探索する摂動ベクトルは、第2の実施形態における摂動ベクトル探索部35−3と同様に、送信電力を最小とするものを探索する(式(12)参照)。しかし、本実施形態では、第1端末装置3−1と第2端末装置3−2は、受信信号に対してmodulo演算を行なわない。そのため、dおよびdに摂動項が加算された場合、第1端末装置3−1および第2端末装置3−2は、受信信号に含まれている摂動項を取り除くことができず、伝送特性は大幅に劣化してしまう。
そのため、本実施形態における摂動ベクトル探索部37−3では、第1端末装置3−1および第2端末装置3−2宛てのデータ信号に加算される摂動項については、常に0となるように、摂動ベクトルを探索する。すなわち、式(15)で与えられる最小化問題を解くことによって、摂動ベクトル探索部37−3は、摂動ベクトルを探索する。

摂動ベクトル探索部37−3は、式(15)に基づいて探索した摂動ベクトルを送信データ信号生成部37−5に向けて出力する。なお、摂動ベクトル探索部37−3は、第2の実施形態と同様に、基地局装置1に接続している端末装置が、全て非線形端末装置であると見なして、摂動ベクトルを探索し、最終的に得られた摂動ベクトルzのうち、線形端末装置宛のデータ信号に加算される事になる摂動項のみを0と置き換えるように制御しても良い。
なお、以上の説明では、線形端末装置宛のデータ信号に加算される摂動項を全て0としている。しかし、線形端末装置の受信信号に対する復調処理に影響を与えないのであれば、0以外の摂動項を加算しても構わない。例えば、変調方式がQPSK変調であり、線形端末装置宛のデータ信号として第1象限の変調シンボルが送信される場合を考える。このとき、基地局装置1bが摂動項として第1象限のガウス整数(例えば(1+j))で与えられる摂動項をデータ信号に加算することを考える。このとき、たとえ線形端末装置がmodulo演算を行なうことが出来なくても伝送特性は劣化せず、逆に良好な伝送特性を実現できる場合がある。つまり、QPSK変調の場合、同一象限に存在する摂動項に限って言えば、基地局装置1bは線形端末装置宛のデータ信号に摂動項を加算しても構わない。
なお、多値直交振幅変調において、四方が信号判定面に囲まれていない変調シンボルを基地局装置1bが線形端末装置に送信する場合も、一部の摂動項を加算することが可能である。例えば、16QAMにおいて、3/101/2+j×3/101/2)で与えられる変調シンボルであれば、第1象限に存在する摂動項を加算可能である。また、3/101/2+j×1/101/2で与えられる変調シンボルであれば、正の実数で与えられる摂動項(例えば2δ、4δなど)が加算可能である。これは、各変調シンボルにおいて、信号判定面に囲まれていない方向に信号点を遷移させても、誤り率は劣化しないという性質に基づいている。
[3.2.端末装置3]
非線形端末装置である端末装置2の装置構成、および信号処理については、第1および第2の実施形態と同様であるから、説明は省略する。以下では、線形端末装置である端末装置3について説明する。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る端末装置3の一構成例を示すブロック図である。図12に示すように、端末装置3の構成は、図6に示す端末装置2の構成とほぼ同じであり、異なるのは、チャネル等化部57がチャネル等化部67に置き換わる点にある。
チャネル等化部57とチャネル等化部67の違いについて説明する。チャネル等化部57では、受信されたデータ信号に対して、伝搬路推定部53でDMRSに基づいて推定された伝搬路推定値に基づいたチャネル等化を行なう。そして、チャネル等化部57は、チャネル等化後の信号に対して、modulo演算を行なったのち、デマッピング部59に向けて出力している。一方、チャネル等化部67では、チャネル等化出力に対して、modulo演算を施すことなく、デマッピング部59に向けて出力することになる。
なお、端末装置2は、チャネル等化部57においては、modulo演算を行なわずに、チャネル復号部において、摂動項を加味した復調を行なうことで、摂動項の影響を取り除くことが可能であることは第1の実施形態にて既に述べた。この場合、端末装置2と端末装置3の違いは、チャネル復号部63における信号処理となり、端末装置2では、摂動項を加味したチャネル復号を行なうのに対して、端末装置3では、摂動項を加味しないチャネル復号を行なうことになる。
チャネル等化部67を除く、他の構成装置における信号処理は、端末装置2と同様であるから説明は省略する。なお、他の構成装置における信号処理が、端末装置2と端末装置3とで異なっていても構わない。例えば、フィードバック情報生成部55で生成される伝搬路情報に関連付けられた制御情報の生成方法について、端末装置2と端末装置3とで異なっている場合も、本実施形態には含まれる。
本実施形態においては、基地局装置1に接続している端末装置として、受信信号に対して、modulo演算を行なう非線形端末装置と、受信信号に対して、modulo演算を行なわない線形端末装置とが混在する場合を対象とした。本実施形態の方法によれば、受信信号に対して行なうことが出来る信号処理に違いがある端末同士を高効率に多重することが可能となるから、ユーザスケジューリング等の負担を軽減しつつ、通信システムの周波数利用効率を向上させることが可能となる。
[4.全実施形態共通]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の端末装置2および端末装置3は、セルラーシステム等の端末装置への適用に限定されるものではなく、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、たとえば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器などに適用できることは言うまでもない。
本発明に関わる端末装置2、端末装置3、基地局装置1および基地局装置1bで動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における端末装置2、端末装置3、基地局装置1および基地局装置1bの一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。端末装置2、端末装置3、基地局装置1および基地局装置1bの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
本発明は、基地局装置やプリコーディング方法や、集積回路や、無線通信システムに用いて好適である。
1、1b 基地局装置
2、2−1、2−2、2−3、2−4、2−u、3、3−1、3−2 端末装置
21 チャネル符号化部
23 データ変調部
25 マッピング部
27、35、37 プリコーディング部
27−1、35−1、37−1 スイッチ部
27−2、35−2、37−2 線形フィルタ生成部
27−4 THP部
27−5、35−5、37−5 送信データ信号生成部
27−6、35−6、37−6 送信DMRS生成部
27−7、35−7、37−7 送信信号生成部
29 アンテナ部
29−1 IFFT部
29−2 GI挿入部
29−3 無線送信部
29−4 無線受信部
29−5 アンテナ
31 制御情報取得部
33 伝搬路情報取得部
35−3、37−3 摂動ベクトル探索部
51 端末アンテナ部
51−1 無線受信部
51−2 無線送信部
51−3 GI除去部
51−4 FFT部
51−5 参照信号分離部
51−6 アンテナ
53、71 伝搬路推定部
55 フィードバック情報生成部
57、67 チャネル等化部
59 デマッピング部
61 データ復調部
63 チャネル復号部

Claims (12)

  1. 複数のアンテナを備え、複数の端末装置宛の信号に非線形プリコーディングを施し空間多重して無線送信を行なう基地局装置であって、
    前記端末装置との間の伝搬路情報を取得する伝搬路情報取得部と、
    前記複数の端末装置宛のデータ信号と復調用参照信号を多重するマッピング部と、
    前記伝搬路情報に基づいて前記データ信号と前記復調用参照信号にプリコーディングを施すプリコーディング部と、を備え、
    前記プリコーディング部は、前記伝搬路情報に基づいて、前記データ信号に乗算する第1の線形フィルタと、前記復調用参照信号に乗算する第2の線形フィルタとの、互いに異なる線形フィルタを生成する線形フィルタ生成部を備えることを特徴とする基地局装置。
  2. 前記第1の線形フィルタは、前記複数の端末装置がそれぞれ受信する受信信号と、前記複数の端末装置宛の前記データ信号との間の平均二乗誤差を最小とする規範に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  3. 前記線形フィルタ生成部は、前記第1の線形フィルタと、前記伝搬路情報とに基づいて第1の対角行列を算出し、
    前記第1の対角行列と、前記第1の線形フィルタに基づいて、前記第2の線形フィルタを生成することを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
  4. 前記第1の対角行列は、前記第1の線形フィルタと伝搬路行列との積で表される行列の対角成分の逆数から構成される対角行列であることを特徴とする請求項3に記載の基地局装置。
  5. 前記線形フィルタ生成部は、前記伝搬路情報に基づいて算出される拡大伝搬路行列に対するLQ分解もしくはQR分解に基づいてフィードバックフィルタと前記第1の線形フィルタを生成し、
    前記プリコーディング部は、前記フィードバックフィルタに基づいて、前記データ信号に干渉抑圧とモジュロ演算を施すTHP部を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の基地局装置。
  6. 前記プリコーディング部は、前記第1の線形フィルタと、前記データ信号に基づいて、摂動ベクトルを探索する摂動ベクトル探索部を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の基地局装置。
  7. 前記プリコーディング部は、
    空間多重する前記複数の端末装置のうち、
    受信信号から摂動ベクトルを除去可能な非線形端末装置に対しては摂動ベクトルを加算したデータ信号を生成し、
    受信信号から摂動ベクトルを除去不可能な線形端末装置に対しては摂動ベクトルを加算しないデータ信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の基地局装置。
  8. 前記プリコーディング部は、
    前記線形端末装置宛のデータ信号の一部に摂動ベクトルを加算することを特徴とする請求項7に記載の基地局装置。
  9. 複数のアンテナを備える基地局装置から、複数の端末装置へ送信されるデータ信号と復調用参照信号に、前記複数の端末装置との間の伝搬路情報に基づいて、予備的処理を行なうプリコーディング方法であって、
    前記伝搬路情報に基づいて、第1の線形フィルタ、第2の線形フィルタ及びフィードバックフィルタを算出する過程と、
    前記フィードバックフィルタに基づいて、前記データ信号に対して、干渉抑圧とモジュロ演算を施し、送信符号を算出する過程と、
    前記送信符号と前記第1の線形フィルタに基づいて、送信データ信号と電力正規化係数を算出する過程と、
    前記復調用参照信号、前記第2の線形フィルタ、及び前記電力正規化係数に基づいて、送信復調用参照信号を算出する過程と、
    前記送信データ信号と前記送信復調用参照信号の送信電力を調整する過程と、を有することを特徴とするプリコーディング方法。
  10. 複数のアンテナを備える基地局装置から、複数の端末装置へ送信されるデータ信号と復調用参照信号に、前記複数の端末装置との間の伝搬路情報に基づいて、予備的処理を行なうプリコーディング方法であって、
    前記伝搬路情報に基づいて、第1の線形フィルタと、第2の線形フィルタを算出する過程と、
    前記データ信号と、前記第1の線形フィルタに基づいて、摂動ベクトルを探索する過程と、
    前記データ信号、前記第1の線形フィルタ及び前記摂動ベクトルに基づいて、送信データ信号と電力正規化係数を算出する過程と、
    前記復調用参照信号、前記第2の線形フィルタ、及び前記電力正規化係数に基づいて、送信復調用参照信号を算出する過程と、
    前記送信データ信号と前記送信復調用参照信号の送信電力を調整する過程と、を有することを特徴とするプリコーディング方法。
  11. 複数のアンテナを備え、複数の端末装置宛の信号に非線形プリコーディングを施し空間多重して無線送信を行なう基地局装置に実装され、前記基地局装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、
    前記端末装置との間の伝搬路情報を取得する機能と、
    前記複数の端末装置宛のデータ信号と復調用参照信号を多重する機能と、
    前記伝搬路情報に基づいて前記データ信号と前記復調用参照信号にプリコーディングを施す機能と、の一連の機能を発揮させ、
    前記プリコーディングを施す機能は、前記伝搬路情報に基づいて、前記データ信号に乗算する第1の線形フィルタと、前記復調用参照信号に乗算する第2の線形フィルタとの、互いに異なる線形フィルタを生成することを特徴とする集積回路。
  12. 請求項1に記載の基地局装置と、前記基地局装置から送信される信号をそれぞれ受信する複数の端末装置とを備えることを特徴とする無線通信システム。
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