JP2016066463A - イオン発生装置及びそれを備えた装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子放出方式を用いることでオゾンの発生を大幅に低減させながら、シンプルな構成でイオンの発生を効率良く行うことを可能なイオン発生装置を提供する。【解決手段】本発明に係るイオン発生装置1は、電子放出素子10を備える。さらに、イオン発生装置1は、電子放出素子10から空間を隔てた位置に配置された制御用電極15を備え、制御用電極15に電圧を印加することにより電子放出素子10から放出させる電子の量を制御する。【選択図】図2A

Description

本発明は、イオン発生装置及びそれを備えた装置に関し、より詳細には、電子放出素子に電圧を印加することにより電子を放出しこの電子の放出に伴いイオンを発生させるイオン発生装置、及びそのイオン発生装置を備えた及び装置に関する。
近年、プラスイオンやマイナスイオンを発生させるイオン発生装置が製品として多種販売されている。このイオン発生装置では、アレルゲンの元となる空気中に浮遊するカビ菌や花粉、インフルエンザ発症の原因である各種ウイルスを不活性化させたり、PM2.5粒子を帯電させフィルタで捕獲したりすることが可能となっている。
このうち、マイナスイオンのみ発生する装置の多くはコロナ放電やプラズマ放電といった放電現象を用いており、空気中のO2分子を放電による電離作用によりO2 -化させ、さらに空気中のH2Oと反応してOHラジカルを形成し菌等の核中あるH+イオンを生体の殻を破って抜き取りこれを不活性化させる。H+とOHラジカルは結合後にH2Oを形成するため、生成物は無害である。
マイナス及びプラスの両イオンを発生させる代表的なものには、シャープ株式会社製のプラズマクラスターイオン発生装置のように、プラズマ放電によりO2 -イオンとH+イオンを発生させて、両イオンの結合によりOHラジカルを形成して同上の効果を発揮するものがある。前述の通りO2 -イオンと空気中の水分によりOHラジカルも形成されるので、カビ菌の発生が活発になる高湿下では特に効率良くOHラジカルが発生させることができる。
このように従来のイオン発生装置ではマイナスイオンのみ又は必要に応じてマイナスプラスイオンの双方を発生させることができるが、両極のイオン発生装置を持つために装置が大きくなってしまう。また、放電現象はオゾン(O3)やNOXの発生を伴うが、特にマイナス放電によるオゾンの発生量が同じ放電条件でのプラス放電に比べて1桁多いのは公知である。このオゾンも殺菌等の効果があるがオゾン自身が元々有害であり、異臭が発生したり、部品の劣化を引き越したりする可能性もある。
このため、上述したようなイオン発生装置と異なり、マイナスイオン発生装置においてコロナ放電現象を利用しない方法の一つとして、電子放出素子による電子放出現象を用いてイオンを発生させる方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ここで、放出された電子(e-)が直接的に空気中のO2に付与されるためO2 -が生成されてOHラジカルが発生するのは前述の通りである。この電子放出素子の特徴としてオゾンの発生が無いといった利点がある。
特許文献1に記載のイオン発生装置について、図1を参照しながら説明する。図1に示すイオン発生装置100は、電子放出素子104を用いてマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生部103、その電源である第1電源部105、針電極107aとリング状の対向電極107bを用いてプラスのコロナ放電によりプラスイオンを発生させるプラスイオン発生部107、その電源である第2電源部108、及び、第1,第2電源部105,108等を制御する制御部101を備える。マイナスイオン発生部103、プラスイオン発生部107はそれぞれ支持壁102,106に設けられている。
そして、イオン発生装置100は、マイナスイオン発生部103とプラスイオン発生部107との間に隔壁109を設け、マイナスイオンとプラスイオンとが内部で打ち消されずに、支持壁102と隔壁109とで形成された放出口からマイナスイオンを放出し、支持壁106と隔壁109とで形成された放出口からプラスイオンを放出することが可能となっている。また、イオン発生装置100では、上述のようにマイナスイオン発生部103が電子放出素子で構成され、プラスイオン発生部107がコロナ放電装置で構成されており、マイナスイオンの発生に電子放出方式を用いているため、有害なオゾンの発生を伴わない特徴がある。
特開2013−214443号公報
しかしながら、特許文献1に記載のイオン発生装置では、電子放出量を増やしてコロナ放電レベルまで大量のマイナスイオンを発生させるのには限界がある。よって、より効率良くイオンを発生させることが望まれ、また装置のシンプル化も望まれる。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子放出方式を用いることでオゾンの発生を大幅に低減させながら、シンプルな構成でイオンの発生を効率良く行うことを可能なイオン発生装置、及びそのイオン発生装置を備えた及び装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、電子放出素子を備えたイオン発生装置であって、前記電子放出素子から空間を隔てた位置に配置された制御用電極を備え、該制御用電極に電圧を印加することにより前記電子放出素子から放出させる電子の量を制御することを特徴としたものである。
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記電子放出素子は、第1電極と、該第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、前記第1電極と該第2電極の間に設けられた中間層とを有し、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することにより、前記第2電極から電子を放出させる素子であり、前記制御用電極は、前記第2電極を挟んで前記第1電極の反対側で、前記第2電極から空間を隔てた位置に配置されることを特徴としたものである。
本発明の第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記制御用電極は1本の導線でなる電極であることを特徴としたものである。
本発明の第4の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記制御用電極は複数本の導線がメッシュ状又は平行に張り巡らされた電極であることを特徴としたものである。
本発明の第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、前記電子放出素子は平面状の電極から電子を放出させることを特徴としたものである。
本発明の第6の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、前記電子放出素子は平面状の電極を複数の領域に分割した電極から電子を放出させることを特徴としたものである。
本発明の第7の技術手段は、第1〜第6のいずれか1の技術手段において、周辺の温湿度を検知するセンサを備え、該センサでの検知結果に基づいて、前記電子放出素子に印加する電圧、及び/又は、前記制御用電極に印加する電圧を制御することを特徴としたものである。
本発明の第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1の技術手段において、前記制御用電極と前記電子放出素子で発生するイオンの移動を補助するための送風機を備えたことを特徴としたものである。
本発明の第9の技術手段は、第1〜第8のいずれか1の技術手段におけるイオン発生装置を2つ備えた装置であって、一方の前記イオン発生装置をマイナスイオンが発生するように制御し、他方の前記イオン発生装置をプラスイオンが発生するように制御することを特徴としたものである。
本発明によれば、シンプルな構成で、オゾンの発生を大幅に低減しながらイオンを効率良く発生させることが可能になる。
従来のイオン発生装置を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図である。 図2Aのイオン発生装置の一部を上から見た様子を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置の他の構成例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るイオン発生装置の他の構成例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係るイオン発生装置の他の構成例を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る装置の一構成例を示す図である。
本発明に係るイオン発生装置は、電子放出素子を備えると共に、その電子放出素子から空間を隔てた位置(離間した位置)に配置された制御用電極を備え、その制御用電極に電圧(無論、正電圧)を印加することによりその電子放出素子から放出させる電子の量を制御(変更)し、もってマイナスイオンの発生量を制御(変更)するものである。
イオンは電子に比べて質量が大きく、低速であり、電子放出素子で放出された電子により生じたマイナスイオンは放出面近辺の空間に停滞して電子の放出を制限することになる。この効果は空間電荷効果、或いは空間電荷制限効果と呼ばれている。本発明では、制御用電極に正電圧を印加することでプラスイオンを発生させており、そのプラスイオンにより、電子放出素子がもつ空間電荷制限効果に対抗して放出面近辺の空間の電荷を中和し、電子放出素子から電子を効率良く引き出す。上述の制御はこれを利用したものである。本発明に係るイオン発生装置では、制御用電極と電子放出素子との間にその間の空間を遮ってしまうような遮蔽部材(例えば図1の隔壁109)を設けていないため、このような制御が実現できる。
本発明に係るイオン発生装置によれば、シンプルな構成で、電子放出素子によりオゾンの発生を大幅に低減しながら、制御用電極への電圧印加によりイオンを効率良く発生させることが可能になる。また、本発明は、このようなイオン発生装置をプラスイオン用とマイナスイオン用に2つ備えた装置を提供することもできる。本発明に係るイオン発生装置や上記装置は、空気清浄機をはじめ、様々な機器に搭載することができる。
以下、本発明に係るイオン発生装置の様々な実施形態について、並びにそれを2つ備えた装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に記述する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明はこれによって限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図2Aは、本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図で、図2Bは、図2Aのイオン発生装置の一部を上から見た様子を示す図である。また、図2Cは、本発明の第1の実施形態に係るイオン発生装置の他の構成例を示す図である。
本実施形態に係るイオン発生装置1は、電子放出素子10及びそれに電圧を印加するための電源として第1電源部14を備える。この電子放出素子10は、第1電極11、第2電極13、及び中間層12を有し、第1電極11と第2電極13の間に電圧を印加することにより、第2電極13から電子を放出させる素子である。ここで、第1電極11は負電極、第2電極13は第1電極11に対向する位置に配置された正電極であり、中間層12は第1電極11と第2電極13の間に設けられた層である。
電子放出素子10は、第1電極11の下方に接触配置された基材(図示せず)上にある。この基材は金属板等の導電性をもつ板状のもの、或いは絶縁性の板状のものなどが挙げられる。このように、第1電極11は、導電性基板の上に形成されてもよいし、絶縁性基板の上に形成されてもよい。導電性基板等の導電性の基材を採用した場合には、その基材は第1電極11を兼ねることができる。また、第2電極13としては、金属を蒸着又はスパッタすることで形成した薄膜が用いられる。
上記電圧の印加により第2電極13から電子を放出させるために、中間層12は導電性をもつ層となる。中間層12は樹脂で形成されていてもよいし、導電性材料を含んでいてもよい。導電性材料は中間層12の電気伝導度を調整するために用いる材料(導電度の調整剤)であり、これには、例えば導電性微粒子や導電性樹脂を用いることができる。導電度の調整剤無しで樹脂のみで中間層12を形成する場合には、導電性樹脂が適用できる。
図2Aで例示する中間層12は、導電性微粒子12bを含んだ樹脂12aから形成されている。樹脂12aとしては、室温硬化型樹脂などの低温で硬化可能な樹脂を用いることが好ましい。これにより、高温での焼成工程を得ずに中間層12を形成することができ、熱膨張率の異なる中間層12や第1電極11に大きな体積変化を生じさせることがないため、第1電極11での反りや中間層12の剥離や亀裂の発生を防止することができる。このため、中間層12や第2電極13の剥離による部分的な欠損を抑制し、均一な電子放出性能をもつ電子放出素子10を得ることができる。
また、第1電源部14は、第1電極11と第2電極13との間に電圧V1を印加する電源である。電子放出素子10は、第1電源部14から、第1電極11と第2電極13との間に適度な電圧V1を印加することにより、第1電極11と第2電極13との間で電子を加速させて第2電極13の表面から電子を放出する。そして、電子放出素子10から放出される電子(e-)の量と拡散状態や空間に存在する酸素分子O2の量により、マイナスイオンの発生量が決まる。
しかし、電子放出素子10だけでは電子を効率良く空間に放出することができない。これは、電子放出素子10における第2電極13の表面近傍で、放出された電子が形成する空間電荷制限効果に因るものであると考えられる。
そこで、本実施形態の主たる特徴として、イオン発生装置1は次のような制御用電極(第3電極)15を備える。この制御用電極15は、第2電極13を挟んで第1電極11の反対側で、第2電極13から空間を隔てた位置(離間した位置)に配置される。
図2Bでその上から見た状態を示すように、本実施形態での制御用電極15は1本の導線でなる電極(つまり、1本のワイヤ形状の電極)である。そして、電子放出素子10は平面状の電極から電子を放出させる素子である。つまり、第2電極13は平面状の電極となっている。制御用電極15は、制御用電極支持部18に取り付けられている。制御用電極支持部18は、電子放出素子10又はそれが設けられた基材に設けられ、制御用電極15を支持するための部材である。
また、図2Bでは第2電極13が長方形の電極である例を挙げたが、これに限らず例えば図2Cで例示するように菱形の第2電極13aなど様々な形状の電極が適用できる。なお、後述する電子の引き出しのために、第2電極13は制御用電極15より広い面積を有するものとする。
そして、イオン発生装置1は、制御用電極15に電圧(正電圧)を印加することにより、電子放出素子10の第2電極13から放出させる電子の量を制御(変更)し、もってマイナスイオンの発生量を制御(変更)する。また、イオン発生装置1は、制御用電極15の電源である第2電源部16を備える。
イオン発生装置1では、制御用電極15によって、第2電極13から効率良く電子を放出させる(引き出させる)ことができるため、効率良くマイナスイオンを発生させることができる。つまり、制御用電極15は引き出し電極として設けられており、本実施形態に係るイオン発生装置1はその装置構成が非常にシンプルになっており、小型化が容易となる。
また、イオン発生装置1からこのようにマイナスイオンのみ発生させる場合、コロナ放電のような電離作用を用いていないため、オゾンの発生が全く無いメリットがある。そして、このイオン発生装置1で発生するマイナスイオンから形成されるOHラジカルは、カビ菌やウイルス、花粉、PM2.5に対して有効に作用する。
ここで、制御用電極15と第2電極13の間の距離(ギャップ)について説明する。
上記ギャップが狭すぎると、電子及びマイナスイオンが空間に拡散せずに制御用電極15へ集中・回収されてしまう。逆に上記ギャップが大きすぎると、制御用電極15の引き出し電極としての作用が弱くなり、空間電荷制限効果によって電子及びマイナスイオンが空間に拡散し難くなる。このように、第2電極13(電子放出面)と制御用電極15とのギャップによって電子の引き出し・回収の具合が異なってくる。
また、第2電極13に印加する電圧(V1)と制御用電極15に印加する電圧(V2)との電位差についても同様である。つまり、この電位差が大きすぎると発生したマイナスイオンが制御用電極15に回収されてしまい、逆にこの電位差が小さすぎると空間電荷制限効果によって電子及びマイナスイオンが空中に拡散し難くなる。
従って、上記ギャップ、第2電源部16から印加する電圧(V2)、第2電極13と第1電極11との間に印加する電圧(V1)等のパラメータは、電子の効率的な引き出しが可能なように適切に決めておけばよい。
図2Bの例のように制御用電極15が1本の導線でなる場合、制御用電極15と第2電極13の間の距離(ギャップ)の分布は、第2電極13上の位置に応じて異なることになる。例えば、制御用電極15を通り第2電極13に垂直な垂直面を定義すると、その垂直面と交わる第2電極13の線上ではギャップは最短となり、第2電極13におけるこの線上から離間するに連れてギャップは長くなる。この例のように第2電極13上の位置に応じてギャップが異なる場合には、全体として電子の効率的な引き出しが可能なようにギャップ等のパラメータを決めておけばよい。
本実施形態においてマイナスイオンの発生についてのみ説明した。しかし、本実施形態に係るイオン発生装置1では、制御用電極15への印加電圧V2を高くすることで、制御用電極15をプラスのコロナ放電器として機能させ、制御用電極15からプラスのコロナ放電を生じさせ、プラスイオンもマイナスイオンと同時に発生させることが可能である。すなわち、本実施形態に係るイオン発生装置1は、必要に応じて、マイナスイオンのみの発生を行うことや、マイナスプラス両極のイオンの発生を行うことが可能な装置となり得る。このように、イオン発生装置1では、プラスイオン発生への切り替えも可能となっていることからも、効率良いイオンの発生が行えると言える。
図2Aで例示するイオン発生装置1では、このような切り替えを可能とするための制御部17を設けている。この切り替えは、例えば制御部17に接続されたスイッチやボタン等のユーザ操作部(図示せず)からユーザに操作させることで実行できる。例えば、湿気が多いと感じるときは、ユーザは電子放出のみ行うように操作することで、O2 -とH2OからOHラジカルを生成し、オゾンが発生しない仕様で稼働させればよい。逆に乾燥していると感じるときは、空気中の水分量が不足してOHラジカルが充分生成しないような場合であるため、ユーザはO2 -とH+の両極のイオンを発生させるように操作することで、必要なOHラジカルを形成することが可能となる。また、後述する実施形態のように環境に応じた自動的な切り替えも可能である。
なお、このような切り替えが不要な場合(マイナス用、或いは両極用のいずれかに固定した装置とする場合)には、制御部17を設けず、予め定めたV1,V2でイオン発生装置1を駆動させればよい。但し、上記いずれかに固定した装置とする場合にもイオンの発生量を調整可能とするためには、制御部17やスイッチやボタン等のユーザ操作部を設けておく必要がある。
<パラメータ例a>
次に、図2A,図2Bで例示したイオン発生装置1における各部材の材料や寸法等のパラメータについて、具体的な例を挙げて説明する。
図2Aで例示する第1電極11は、基板の機能を兼ねる電極基板であり、導電性を有する板状体で構成されており、アルミニウム板やステンレス鋼板を用いることができる。また、第1電極11は、ガラスなどの絶縁性基板上にアルミや銅、金、銀といった導電性薄膜を形成したものを用いることもできる。ここでは、パラメータ例aとして、板厚0.5mmのアルミ鋼板(住友軽金属FS003)を用いる例を挙げる。
中間層12は、主体となる樹脂12aと、樹脂12a中に分散された導電性微粒子12bを含んでおり、樹脂12aは、絶縁性の樹脂であり、例えば、シラノール(R3Si−OH)を縮合重合したシリコーン樹脂を用いることができる。導電性微粒子12bは、金属や半導電体など導電性材料を用いることが可能である。例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミ等の導電性を有する金属微粒子を用いることができる。樹脂12aに対する導電性微粒子12bの含有量を変えることにより、中間層12の抵抗値を調整することができる。導電性微粒子12bは中間層12の導電性を調整するために用いるため、材料調整時に酸化し導電性が低下することを抑制するために、酸化し難い貴金属類がより好ましい。
中間層12は、樹脂12aと導電性微粒子12bを混合した分散液を用い、スピンコート法、ドクターブレード法、スプレー法、ディッピング法等により第1電極11の表面に塗布することができる。
このパラメータ例aでは、試薬瓶へ樹脂12aとしてシリコーン樹脂(室温硬化性、東レ・ダウコーニング株式会社製)を入れ、これに導電性微粒子12bとしてAgナノ粒子(平均径10nm)を混合し、さらに上記混合液が入った試薬瓶を超音波振動器にかけて導電性微粒子12bを樹脂12a中に分散させ、分散液を作製する。なお、樹脂12aと導電性微粒子12bの割合は、シリコーン樹脂(75〜98wt%)、Agナノ粒子(2〜25wt%)の範囲が好ましい。上記分散液の割合とすることにより、中間層12の抵抗値が調整され、5〜40V程度の適度な印加電圧で電子放出させることができる。電圧は必要に応じて周波数を持ち1〜99%といったDuty制御されたものでも構わない。
このパラメータ例aでは、シリコーン樹脂90wt%、Agナノ粒子(10wt%)とした例を挙げる。このように作製した分散液をスプレーコート法(武蔵エンジニアリング社製SV−6改造機)で第1電極11の表面に1.0μmの厚さで塗布し、室温で硬化させ中間層12を得る。そして、中間層12の表面にスパッタ法によりAuの厚さ50nmの第2電極13を形成する。
なお、このパラメータ例aでは、シリコーン樹脂として室温硬化性シリコーンを用いたが、シリコーン樹脂の硬化方法は限定されない。但し、熱硬化性シリコーン樹脂は、硬化温度が一般的に100℃〜150℃であり、熱応力による撓みが発生するため、第1電極11の材料や膜厚により適さない場合がある。一方、紫外線(UV)硬化性シリコーン樹脂は、UV光の照射によって硬化できるため熱応力が発生することがなく、第1電極11の材料や膜厚に影響されずに用いることができる。
このような材料からイオン発生装置1を構成する一具体例について説明する。第1電極11として幅10mm、長さ234mmのアルミ鋼板を用い、その第1電極11が露出した状態の表面に、前述の通り作製した樹脂12aと導電性微粒子12bの分散液をスプレーコート法で塗布する。
形成された塗布膜では大気中の湿気によりシリコーン樹脂が縮合重合し、樹脂12a中にAgナノ粒子が分散されて中間層12が形成される。中間層12の膜厚は、電子放出素子10に印加する電圧の大きさや中間層12の抵抗値によって異なるが、例えば、0.3〜10.0μmとすることができる。中間層12の厚さが厚い程、絶縁破壊電圧が大きくなるため、より高い電圧V1を印加できる。また、中間層12は導電性微粒子12bの粒子径が大きい程、また、導電性微粒子12bの含有量が多い程、導電性微粒子12bが凝集することにより、リークポイントができやすくなる。したがって、用いる導電性微粒子12bの粒子径、含有量、及び凝集状態から、作製する膜厚を決定することが好ましい。
次に、中間層12の表面に、マグネトロンスパッタ装置を用いて第2電極13を形成する。第2電極13は、第1電極11との間で中間層12に対して電圧を印加できるものであればよいため、導電性を有する材質及び製法であれば特に制限されるものではない。
また、第2電極13の膜厚は、厚すぎると電子が第2電極13にトラップされて外部へ放出される電子の量が減少し、電子の放出効率が減少する。逆に薄すぎると劣化や破壊等が起こり易くなり耐久性が低下するといった問題が生じる。
ここでは、Auを材料として膜厚50nm、幅10mm、長さ234mmの第2電極13を形成する。次に、制御用電極15として200μmの銅線を使用し、それを第2電極13に5mm離れて対向配置する。制御用電極15の線の直径によって電子放出量は変化する。電子はできるだけ多く発生させて広範囲に拡散させるのがイオン発生の面で好ましいが、細いと電子放出量が少なくなり、逆に太すぎると流れ込む電子が電極に集中してしまい多くのイオンを発生させることができない。制御用電極15の材料は銅以外の導電性材料である鉄、タングステン、金、銀等も使用可能であるが、コストと耐久性によってこれが選択される。また、制御用電極15は、1本の導線として、メッシュ状に編み込んだ線材を採用してもよいし、それ以外にも平角導体などを採用してもよい。
このようにして作製したイオン発生装置1において、電子放出素子10を接続された第1電源部14から20Vの直流電圧V1を印加し、制御用電極15には第2電源部16から500Vの直流電圧V2をそれぞれ印加する。これにより、第2電極13から電子が放出され、マイナスイオンが発生することになる。
なお、例えば、第2電極13への印加電圧V1は10〜30Vの範囲、制御用電極15への印加電圧V1は10〜4000Vの範囲などが想定できる。そして、それらの範囲から第2電極13と制御用電極15との距離(ギャップ)などを踏まえ、且つマイナスイオンのみ発生させるのか或いはプラスイオンも併せて発生させるのかによって、印加電圧V1,V2を適宜決定すればよい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図である。以下、本実施形態について第1の実施形態との相違点を中心に説明するが、第1の実施形態での様々な応用例についても同様に適用できる。
本実施形態に係るイオン発生装置3は、イオン発生装置1において、周辺の温湿度を検知するセンサ(温湿度計)32を備える。温湿度計32は、イオン発生装置3の本体から離れた位置に設置してもよい。また、イオン発生装置3は制御部17に対応する制御部37を備える。
そして、イオン発生装置3の制御部37は、その温湿度計32での検知結果に基づいて、電子放出素子10に印加する電圧(この例では第1電極11と第2電極13の間に印加する電圧V1)、及び/又は、制御用電極15に印加する電圧V2を制御する。
例えば、制御部37は、イオン発生装置3の本体の近傍に設置された温湿度計32の測定データを元に空気中の水分量を算出する。そして、制御部37は、水分量の算出データより制御用電極15に印加する電圧V2等を変えることでイオンの発生量を制御することができる。
具体的には、空気中の水分量と制御用電極15へ印加する電圧V2とマイナス/プラス両極のイオン発生量との関係を予め求めて制御部37に設定しておくことで、印加電圧V2を実際の水分量に応じた値に変化させてプラスイオンを発生させることにより、効率良くOHラジカルの生成を行うことができる。
制御部37は、空気中の水分量が所定値より多い場合、電圧V2(及び電圧V1)を調整して電子放出のみ行うことで、O2 -とH2OからOHラジカルを生成しオゾンが発生しない仕様で稼働させる。一方、制御部37は、空気中の水分量が所定値以下であった場合、水分量が不足しOHラジカルが充分生成しないと判断し、電圧V2(及び電圧V1)を調整してO2 -とH+の両極のイオンを発生させることで、必要なOHラジカルを形成する。
また、本実施形態に係るイオン発生装置3は、制御用電極15と電子放出素子10で発生するイオンの移動を補助するための送風機33を備える。送風機33は、例えばDCファンモータなど、送風ファンとモータで構成できる。
無論、イオン発生装置3において送風機33を備えない形態も採用できる。但し、イオン発生装置1自身でもイオン風が発生するのでイオンを拡散させることができるが、イオン発生装置3のように、近傍に送風機33を設置し風量を制御することでイオンを遠くまで運ぶことができる。送風機33を備えた場合と備えない場合とでは、同じ量のイオンを発生させるための制御用電極15への印加電圧V2や電子放出素子10への印加電圧V1は異なってくると言える。
また、イオンの発生量については空気中イオン密度測定機、俗称イオンカウンタ31で測定することができる。本実施形態に係るイオン発生装置3はこのようなイオンカウンタ31を備える。イオンカウンタ31はマイナスイオンカウンタとプラスイオンカウンタを有している。そして、制御部37は、このイオンカウンタ31の検出結果に基づき、送風機33での送風量(モータの回転速度)や印加電圧V2及び/又は印加電圧V1を制御することもできる。
但し、イオンカウンタ31を設けない構成においても、予め水分量とイオン量を計測しながら、水分量に応じた印加電圧V1,V2及び送風量の関係を決定し、その関係を示した制御データを制御部37に設定しておけばよい。
<試験A>
次に、第1の実施形態で例示したパラメータ例aで規定されるイオン発生装置1において、本実施形態のようにイオンカウンタ31、温湿度計32、及び送風機33を設けたイオン発生装置3を形成し、試験を行った結果を説明する。この試験を試験Aと呼ぶ。
パラメータ例aで説明したが、試験Aでも、電子放出素子10を接続された第1電源部14から20Vの直流電圧V1を印加し、制御用電極15には第2電源部16から500Vの直流電圧V2をそれぞれ印加する。
そしてイオン発生装置3の本体(制御用電極15と第2電極13との間の空間の一端)から10cm離れた位置に送風機33を設置し、同じく送風機33と対向させて、同じくイオン発生装置3の本体(上記空間の他端)から10cm離れた位置にイオンカウンタ31(FISA社製FIC−3000)を設置した。そして、風量計(日本カルノマックス社製モデル6244:図示せず)で1m/sの風量になるように送風機33の電圧を設定した。
このような条件でマイナスイオン量の測定を30秒間行った所、35〜50万個/ccで推移し平均値40万個/ccが得られた。さらに、パラメータ例aを含むこのような前提条件から、以下に示すように条件(1)ギャップ、(2)V2、(3)V1、(4)制御用電極15の線径、をそれぞれ単独で変化させ、マイナスイオン量の平均増減を確認した。
(1)制御用電極15と第2電極13との最短距離(ギャップ)を5mmから2mmに短くしたところマイナスイオン量が20%減少し、10mmに長くしたところマイナスイオン量が10%減少した。前者の場合には、放出された電子が制御用電極15に集中してしまうことによりマイナスイオン発生量が減少したものと推察される。後者の場合には、ギャップを広げることで空間電荷制限効果の抑制効果が効き難くなり電子放出量が減っているものと推察される。
(2)制御用電極15の印加電圧V2を500Vから250Vに減らしたところマイナスイオン量が25%減少し、700Vに増やしたところマイナスイオン量が15%増加した。これらの減少/増加は、それぞれ空間電荷制限効果の抑制効果の効き具合の減少/増加による電子放出量の減少/増加に対応しているものと推察される。
(3)電子放出素子10の印加電圧V1を20Vから18Vに減らしたところマイナスイオン量が40%減少し、22Vに増やしたところマイナスイオン量が25%増加した。それぞれの増減は電子放出量の増減に対応しているものと推察される。
(4)銅ワイヤ径を200μmから70μmに細くしたところマイナスイオン量が15%減少し、250μmに太くしたところマイナスイオン量が10%減少した。いずれの場合にもパラメータ例aの場合に比べて効率良くイオンの生成ができていない。前者の場合には、空間電荷制限効果の抑制効果が効き難くなって電子放出量が減り、マイナスイオン発生量が減少したものと推察される。後者の場合には、放出された電子が制御用電極15に集中してしまうことによりマイナスイオン発生量が減少したものと推察される。
<試験B>
次に、試験Bとして、パラメータ例aにおけるアルミ鋼材の代わりに同じく幅10mm、長さ234mmで厚さ1mmのガラス上にアルミニウムを厚さ200nmで幅10mm、長さ234mmでスパッタしたもの用いて、同様の試験を行った。試験Bにおいても、試験Aとほぼ同じ結果が得られた。
<試験C>
マイナスイオンのみ発生させた場合において、空気中の水分量が少ないとOHラジカルの生成も減少してしまいウイルス等の不活性化への効果が低下してしまう問題が生じる。例えば温湿度と空気中の絶対水分量の関係を見ると、5℃/20%が1.4g/m3、23℃/50%が10.7g/m3、30℃/80%が24.3gである。カビ菌が発生し易い高温高湿下では空気中の水分量が多いのでマイナスイオンのみの発生で良いが、低温低湿下では水分量は94%も少ないため安定したOHラジカルを生成するためプラスイオンも発生させる必要が生じる。
そこで、試験Cとして、試験Aの上記前提条件にて制御用電極15に印加する電圧V2のみ変化させて、マイナスプラスの各イオンの発生量を測定した。その結果、1500V印加した場合の30秒値の平均値は、マイナスイオン35万個/cc、プラスイオン10万個/ccであった。また、2000V印加した場合の30秒値の平均値は、双方のイオンで20万個/ccであった。また、2500V印加した場合の30秒値の平均値は、マイナスイオン5万個/cc、プラスイオン45万個/ccであった。
さらに、制御用電極15の印加電圧V2を1500Vとし、第2電極13への印加電圧V1を20Vから22Vに増加させることで、マイナスイオン45万個/cc、プラスイオン15万個/ccが得られた。なお、これらの印加電圧の条件や第2電極13と制御用電極15とのギャップやさらには制御用電極15の線径等の条件によっては、マイナスイオンとプラスイオンの結合による消失の可能性があるため最適化が必要である。
以上、試験A〜Cはあくまで単なる例に過ぎず、これらの試験で用いた各種パラメータの値は絶対的な数値ではなく、またこれらの構成を基本に材料系の最適化によって、より多くのマイナスイオンを発生させることができると推察される。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、本発明の第3の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図で、図5は、他の構成例を示す図である。以下、本実施形態について上述した各実施形態との相違点を中心に説明するが、上述した各実施形態での様々な応用例についても同様に適用できる。なお、図4,図5で例示するイオン発生装置4,5においては、制御部、第1電源部、第2電源部等については簡略化のため図示していない。
図4で例示するイオン発生装置4で採用する制御用電極45は、複数本の導線が平行に張り巡らされた電極である。なお、図4において制御用電極45は制御用電極支持部18と同様(但し複数本の導線を支持可能になっている)の制御用電極支持部48によって支持されている。
代わりに、図5で例示するイオン発生装置5のように、制御用電極45に垂直な制御用電極55を加え、複数本の導線がメッシュ状に張り巡らされた制御用電極を採用することもできる。なお、図5において制御用電極55は制御用電極支持部48と同様の制御用電極支持部58によって支持されている。
ここで、メッシュのマス目は正方形に限ったものではなく、極端な例を挙げれば四角形でなくてもよい。但し、メッシュの1つ1つの開口部が小さいと制御用電極45,55が平板のようになって電子が上手く引き出せなくなるため、特にイオン発生装置5でマイナスイオンのみを発生させるようにする際にはその点を考慮する必要がある。
また、図5では、制御用電極45の上側に制御用電極55を設けるように、つまり制御用電極45と制御用電極55とが離間した距離に配置され両者が接続していないことを前提に説明している。しかし、代わりに、メッシュ状に連なった1つの制御用電極を採用することもできる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第4の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図である。以下、本実施形態について第1の実施形態との相違点を中心に説明するが、上述した第1,第2の実施形態での様々な応用例についても同様に適用できる。
図6で例示するイオン発生装置6は、イオン発生装置1における電子放出素子10、第1電源部14、第2電源部16、及び制御部17と同様に、それぞれ電子放出素子60、第1電源部64、第2電源部66、及び制御部67を備える。
電子放出素子60は、壁部60bに設置された基材60aに取り付けられている。また、イオン発生装置6は、壁部60bに対向するように設けられた壁部65dに制御用電極65を備える。制御用電極65は、針電極65aとリング状の対向電極65bとが基材65cに取り付けられてなる。制御用電極65と電子放出素子60とは空間を隔てた位置に配置されている。なお、壁部60b,65dはそれに垂直な2つの壁で接続され、それらにより箱状の筐体を形成し、その開口部からイオンが放出されるようになっている。
ここで例示するように、本発明における制御用電極は、第1〜第3の実施形態で説明したような1本の導線や複数本の導線を用いたものに限らない。イオン発生装置6においても、制御用電極65に電圧を印加することにより電子放出素子60から放出させる電子の量を制御(変更)し、もってマイナスイオンの発生量を制御(変更)する。
よって、本実施形態においても、第1〜第3の実施形態と同様に、シンプルな装置構成で、効率良くマイナスイオンを発生させることができ、またプラスイオンも同時に発生させることもできる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について、図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、本発明の第5の実施形態に係るイオン発生装置の一構成例を示す図で、図8は他の構成例を示す図である。以下、本実施形態について上述した第1〜第3の実施形態との相違点を中心に説明するが、上述した第1〜第4の実施形態での様々な応用例についても同様に適用できる。
図7で例示するイオン発生装置7では、電子放出素子70は平面状の電極を複数の領域に分割した電極(分割電極)73dから電子を放出させている。つまり、本実施形態では、第2電極73として、平面状の電極を複数の領域に分割した分割電極73dを用いている。第1電極や中間層については第1の実施形態と同様である。
第1電源部14に対応する第1電源部74には、電源74aと各分割電極73dに接続されたスイッチ74bとが設けられている。各スイッチ74bのスイッチングは制御部17に対応する制御部77によって実行される。特に、後述するように電極の径時劣化をふせぐためにスイッチングを行うことが好ましい。さらに、第2の実施形態のように温湿度計32を設けた場合には、制御部77が、温湿度計32の計測結果に基づいて、何個の分割電極73dに通電させるかなどを制御することもできる。
また、図8で例示するイオン発生装置8では、イオン発生装置7において、第3の実施形態における図5の例と同様に制御用電極45,55をメッシュ状に張り巡らされたものであり、他の点はイオン発生装置7と同様である。
電極の径時劣化について説明する。第1〜第4の実施形態でのように、第2電極が一体型で構成される素子の問題点として電極の劣化や破壊が進むと徐々に電子放出の量が減って行き、これに伴いマイナスイオンの発生量が低下してしまうことがある。この問題に対して、第2電極と制御用電極の印加電圧V1,V2を上げることで電子放出量を増やすことができるが、マイナスイオン発生量の安定化が難しく、さらに第2電極の劣化の加速を招いたりして全体的にみると寿命が短くなってしまう。
これに対し、本実施形態では、第2電極73が複数に分割されており、1分割分から複数分までをスイッチ74bを離接し使い分けながら印加電圧を制御し使用することができる。例えば、低めの電圧設定で複数個を使用したり、やや高めの電圧設定で1分割のみ使用したりするなど、予め得られデータを元に制御することで、電子放出量を安定化させ、もってマイナスイオン発生量を安定化させることが可能になる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態について、図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の第6の実施形態に係る装置の一構成例を示す図である。以下、本実施形態について第1の実施形態との相違点を中心に説明するが、上述した第1〜第5の実施形態での様々な応用例についても同様に適用できる。なお、図9において、符号1a,1b、符号10a,10b、符号14a,14b、符号15a,15b、符号16a,16bはそれぞれ図2Aにおける符号1、符号10、符号14、符号15、符号16で示すものと同じものを指しており、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る装置は、第1〜第5の実施形態で説明したようなイオン発生装置を2つ備えた装置であり、この装置もイオン発生装置と呼べるが、区別のために単に「装置」と呼ぶ。
そして、本実施形態に係る装置9は、一方のイオン発生装置1aをマイナスイオンが発生するように制御し(つまりマイナスイオン発生装置として機能させ)、他方のイオン発生装置1bをプラスイオンが発生するように制御している(つまりプラスイオン発生装置として機能させている)。なお、装置9では双方に共通する制御部97を設けた例を挙げているが、別々に制御部を設けておいてもよい。また、第1電源部14a,14bは共通化し、同じ電圧を印加するようにしておいてもよい。
つまり、イオン発生装置1aではマイナスイオンのみを発生させており、イオン発生装置1bでは、マイナスイオンとプラスイオンとを同時に発生させているが、プラスイオンを優勢に発生させている。イオン発生装置1bでは、仮に両イオンが打ち消し合うような設置条件(壁の配置等)であっても結果としてプラスイオンを発生させている。なお、打ち消さない設置条件であってもプラスイオンを発生させていることに変わりはない。
このように、イオン発生装置1a,1bでそれぞれマイナスイオン、プラスイオンを同時に発生させ、両者が同程度に発生するように制御すると共に、両者が装置内部で打ち消されないようにイオン発生装置1a,1b間に隔壁(図示せず)を設けておくことで、両イオンによりクラスタイオンの形態をなすことができる。そして、このクラスタイオンにより、浮遊細菌が殺菌することが期待できる。
1,1a,1b,3,4,5,6,7,8…イオン発生装置、9…装置、10,10a,10b,60,70…電子放出素子、11…第1電極、12…中間層、12a…樹脂、12b…導電性微粒子、13,13a,73…第2電極、14,14a,14b,64,74…第1電源部、15,15a,15b,45,55,65…制御用電極(第3電極)、16,16a,16b,66…第2電源部、17,37,67,77,97…制御部、18,48,58…制御用電極支持部、31…イオンカウンタ、33…送風機、32…温湿度計、60a,65c…基材、60b,65d…壁部、65a…針電極、65b…対向電極、73d…分割電極、74a…電源、74b…スイッチ。

Claims (9)

  1. 電子放出素子を備えたイオン発生装置であって、
    前記電子放出素子から空間を隔てた位置に配置された制御用電極を備え、
    該制御用電極に電圧を印加することにより前記電子放出素子から放出させる電子の量を制御することを特徴とするイオン発生装置。
  2. 前記電子放出素子は、第1電極と、該第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、前記第1電極と該第2電極の間に設けられた中間層とを有し、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することにより、前記第2電極から電子を放出させる素子であり、
    前記制御用電極は、前記第2電極を挟んで前記第1電極の反対側で、前記第2電極から空間を隔てた位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
  3. 前記制御用電極は1本の導線でなる電極であることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン発生装置。
  4. 前記制御用電極は複数本の導線がメッシュ状又は平行に張り巡らされた電極であることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン発生装置。
  5. 前記電子放出素子は平面状の電極から電子を放出させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
  6. 前記電子放出素子は平面状の電極を複数の領域に分割した電極から電子を放出させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
  7. 周辺の温湿度を検知するセンサを備え、
    該センサでの検知結果に基づいて、前記電子放出素子に印加する電圧、及び/又は、前記制御用電極に印加する電圧を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
  8. 前記制御用電極と前記電子放出素子で発生するイオンの移動を補助するための送風機を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1に記載のイオン発生装置を2つ備えた装置であって、
    一方の前記イオン発生装置をマイナスイオンが発生するように制御し、他方の前記イオン発生装置をプラスイオンが発生するように制御することを特徴とする装置。
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