JP2016065838A - 線条計測装置及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】広範囲の撮像領域の確保と撮像分解能の細かさを両立できる線条計測装置及びその方法を提供する。【解決手段】架線8,9を撮像する3台のラインセンサカメラ1,2,3を車両10の両端及び中央に設置し、3台のラインセンサカメラ1,2,3で撮像された架線8,9の画像についてステレオ計測を利用した画像処理装置100にて画像処理することにより架線8,9の高さ・偏位を計測する線条計測装置において、車両10の中央に設置されるラインセンサカメラ3は、架線として渡り線9が存在する領域の全てを撮像範囲とする一方、車両10の両端に設置されるラインセンサカメラ1,2は、渡り線の範囲のうち車両10の中央線で2分割した片側半分の範囲を各々撮像範囲とする。【選択図】図7

Description

本発明は線条計測装置及びその方法に関する。詳しくは、電車線の架線について、偏位及び高さの位置を測定する分野に係り、特に、車両中央から偏位900mm離れ、本線を横切る渡り線を測定する分野のものである。
計測対象となる架線とは、本線及び渡り線を含んでおり、各架線の特徴を下記に示し、本線及び渡り線の範囲を図1に示す。
本線は、電車(車両)010の中央線(一点鎖線で示す)Cから約偏位±300mmの範囲に存在し、パンタグラフが常に接しているため摺動面が存在する。本線の存在する範囲(本線の範囲)Dは、図中縦線を入れて示すように、電車010の中央線Cから水平方向に一定の横幅(約偏位±300mm)dを持ち、また、垂直方向に一定の高さhを持つ。
渡り線は、本線を横切る架線であり、電車010の中央線Cから離れた範囲(例:約偏位±900mm)に存在し、また、パンタグラフに接しない箇所があるため、摺動面が存在しない箇所もある。渡り線の存在する範囲(渡り線の範囲)Eは、本線の範囲よりも横幅が広く、図中斜線を入れて示すように、電車010の中央線Cから水平方向に一定の横幅(例:約偏位±900mm)eを持ち、また、垂直方向に一定の高さhを持つ。
また、渡り線は、本線の高さから30mm以内の高さに設置される。
なお、本線及び渡り線は、何れも、トロリ線の一種であり、線路の交差する箇所において、本線に対して斜めに交差する線条が渡り線である。
特許文献1は、架線位置測定方法として、ステレオ計測を用いる。ステレオ計測とは、複数台のカメラの視差情報を元に3次元の位置情報を算出する手法である。
図3〜図6のようにラインセンサカメラ(カメラとも略称する)01の撮像範囲(図中、実線で示す)とカメラ02の撮像範囲(図中、破線で示す)の重複する範囲がステレオ計測可能の範囲Jとなる。撮像範囲は、枕木方向にスキャンした角度で表される。
また、偏位と高さの分解能は下式(1)(2)式になり、高さ分解能では、カメラ間の距離Bに依存しており、カメラ間の距離Bが離れているほど高さ分解能は良くなる。

偏位分解能Δx(mm/pix) :
Δx = L × Z / f …(1)

高さ分解能Δy(mm/pix):
Δy = Z2 / (A − Z) …(2)
[A = f × B / L]
但し、
f:焦点距離(mm)
L:1素子当たりの長さ (mm/pix)
B:カメラ間の距離(mm)
Z:ターゲットまでの高さ(mm)
また、図2のように、カメラ01,02を用いた架線のステレオ計測で、画像中に二つの架線が存在する場合、ステレオ対応の組み合わせのミスマッチで、つまり、カメラ01,02の仰角θ1,θ2が各々二つ存在し、それらの組み合せによるため、正常対応であるp1,p2だけでなく、誤対応であるp3,p4まで検出する。
そのため、どれが本物の架線であるかを、画像中のステレオ対応のみで検出することは困難である。そのため、特許文献1では、後述するように、画像中の架線までの距離を計測するレーザ距離計を利用したステレオの対応点マッチングを行う。
特開2012-8026
ここで、特許文献1の方法は、下記の2点の課題がある。
i.図3に示すように、二台のカメラ01,02は電車010の屋根上に設置される。
そのため、カメラ間の距離を離すことにより、撮像分解能を重視するパターン1では、二台のカメラ01,02によりステレオ計測可能の範囲(図中斜線を入れて示す)Jが渡り線の範囲(図中、二点鎖線で示す)Eをカバーできない。つまり、図4に示すように、パターン1では、ステレオ計測可能な架線検測の範囲(図中斜線を入れて示す)Kが、渡り線の範囲Eの一部に限られることとなり、撮像範囲が条件を満たさない。
図5に示すように、カメラ間の距離を短くすることにより、撮像範囲を重視するパターン2では、ステレオ計測可能な架線検測の範囲(図中斜線を入れて示す)Mが、渡り線の範囲をカバーできるが、カメラ間距離が短いため撮像分解能が条件を満たさない。
図6に示すように、カメラ01,02を斜めにし、分解能及び撮像範囲の両方を重視するパターン3では、カメラ間の距離が比較的離れ、ステレオ計測可能な架線検測の範囲(図中斜線を入れて示す)Nが、渡り線の範囲をカバーでき、分解能と撮像範囲の両立を図っているが、カメラ角度を考慮した計算処理になるため検測処理が複雑になる。
よって、渡り線を撮像する広範囲の撮像領域の確保と撮像分解能の細かさを両立できず、検測処理も複雑である。
ii.ステレオの対応点マッチングにレーザ距離計の位置情報を使用する。
レーザは性質上、検出率及び精度は計測距離に比例し悪くなるため、距離の離れた架線のステレオ計測が困難である。また、レーザの収録周期は、ラインカメラの撮像周期の0.1倍よりも低く、高速走行の営業車両には、不向きである。
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る線条計測装置は、架線を撮像する3台のラインセンサカメラを車両の両端及び中央に設置し、前記3台のラインセンサカメラで撮像された前記架線の画像についてステレオ計測を利用した画像処理装置にて画像処理することにより前記架線の高さ・偏位を計測する線条計測装置において、前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記車両の両端に設置されるラインセンサカメラに比較して、撮像範囲が広いことを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る線条計測装置は、請求項1において、前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記架線として渡り線が存在する範囲(以下、渡り線の範囲という)の全てを撮像範囲とする一方、前記車両の両端に設置される前記ラインセンサカメラは、前記渡り線の範囲のうち前記車両の中央で2分割した片側半分の範囲を各々撮像範囲とすることを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る線条計測装置は、請求項2において、前記画像処理装置は、前記3台のラインセンサカメラが前記架線として渡り線を撮像するとき、前記渡り線が前記架線である本線に対して一定高さにあるという高さ条件を満たす前記架線のみを渡り線として高さ・偏位を計測することを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る線条計測装置は、請求項3において、前記本線に接触するパンタグラフの高さを計測するパンタグラフ高さ計測装置を更に備え、前記画像処理装置は、前記パンタグラフ高さ計測装置により計測された前記パンタグラフの高さを以て前記本線の高さとして前記高さ条件を設定することを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項5に係る線条計測装置は、請求項3において、前記本線の高さについてステレオ計測を利用して検出するステレオ計測装置を更に備え、前記画像処理装置は、前記ステレオ計測装置により検出された前記本線の高さを用いて前記高さ条件を設定することを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項6に係る線条計測方法は、架線を撮像する3台のラインセンサカメラを車両の両端及び中央に設置し、前記3台のラインセンサカメラで撮像された前記架線の画像についてステレオ計測を利用して画像処理することにより前記架線の高さ・偏位を計測する線条計測方法において、前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記車両の両端に設置されるラインセンサカメラに比較して、撮像範囲が広いことを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項7に係る線条計測方法は、請求項6において、前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記渡り線の範囲の全てを撮像範囲とする一方、前記車両の両端に設置される前記ラインセンサカメラは、前記渡り線の範囲のうち前記車両の中央で2分割した片側半分の範囲を各々撮像範囲とすることを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項8に係る線条計測方法は、請求項7において、前記画像処理装置は、前記3台のラインセンサカメラが前記架線として渡り線を撮像するとき、前記渡り線が前記架線である本線に対して一定高さにあるという高さ条件を満たす前記架線のみを渡り線として高さ・偏位を計測することを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項9に係る線条計測方法は、請求項8において、前記本線に接触するパンタグラフの高さを計測し、計測された前記パンタグラフの高さを以て前記本線の高さとして前記高さ条件を設定することを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項10に係る線条計測方法は、請求項8において、前記本線の高さについてステレオ計測を利用して検出し、検出された前記本線の高さを用いて前記高さ条件を設定することを特徴とする。
本発明では、車両の両端及び中央に設置した3台のラインセンサカメラで撮像した架線の画像についてステレオ計測を利用した画像処理装置にて画像処理する際、車両の中央に設置されるラインセンサカメラの撮像範囲を車両の両端に設置されるラインセンサカメラの撮像範囲に比較して広くしたため、広範囲の撮像領域の確保と撮像分解能の細かさを両立することができる。
架線の範囲を示す説明図である。 ラインセンサカメラの架線ステレオ計測による正常対応及び誤対応の例を示す説明図である。 ステレオ計測可能な範囲の例を示す説明図である。 カメラ2台のステレオ計測(パターン1:撮像分解能を重視)を示す説明図である。 カメラ2台のステレオ計測(パターン2:撮像範囲を重視)を示す説明図である。 カメラ2台のステレオ計測(パターン3:分解能及び撮像範囲の両方を重視)を示す説明図である。 電車の屋根上の配置を示す説明図である。 各カメラの撮像範囲を示す説明図である。 カメラ配置の条件図である。 左端と中央のカメラを使用したステレオ撮像可能領域図である。 右端と中央のカメラを使用したステレオ撮像可能領域図である。 左端のカメラと右端のカメラの撮像範囲が重なる箇所を示す説明図である。 図13(a)はパンタグラフの高さ計測装置の概要図、図13(b)はマーカーの拡大斜視図である。 本発明の第一の実施例に係る線条計測装置のブロック図(パンタグラフ高さ情報による渡り線検出)である。 渡り線検出のフローチャート(パンタグラフ高さ情報による渡り線検出)である。 本発明の第二の実施例に係る線条計測装置のブロック図(本線のステレオ計測情報による渡り線検出)である。 渡り線検出のフローチャート(本線のステレオ計測情報による渡り線検出)である。 架線候補の渡り線とその他の架線との関係を示す正面図である。
以下、本発明について、図面に示す実施例を参照して具体的に説明する。
本発明の第1の実施例に係る線条計測装置及びその方法を図7〜図15に示す。本実施例は、パンタグラフ高さ情報により渡り線を検出するものである。即ち、車上の両端及び中央に置いた3台のカメラにより、渡り線(例:偏位±900mm)の広範囲の撮像領域を確保し、かつ、撮像分解能も確保できる特徴がある。
即ち、図7に示すように、電車10の側方に立設される電柱6に曲引金具7を介して、トロリ線(本線)8と、トロリ線(渡り線)9が吊り下げられている。トロリ線(渡り線)9は、トロリ線(本線)8に対して斜めに横切っている。
車両(電車)10の屋根には、両端及び中央に3台のラインセンサカメラ(単にカメラとも略称する)1,2,3が架線であるトロリ線8,9を撮像できるよう上向きに設置されている。カメラ1,2,3の間には照明器具4,5が配置されている。
カメラ1,2,3は、枕木方向Pにスキャンすることにより所定範囲を撮像範囲とする。ここで、両端に設置されるカメラ1,2に比較し、中央に設置されるカメラ3は撮像範囲が広い。具体的には、図8に示すように、電車10の左端に設置されるカメラ1の撮像範囲(図中一点鎖線で示す)及び電車10の右端に設置されるカメラ2の撮像範囲(図中破線で示す)に比較し、電車10の中央に設置されるカメラ3の撮像範囲(図中実線で示す)が広い。カメラ配置の条件は、後述する。
電車10内には、画像処理部100が配置されており、カメラ1,2,3により撮像された架線の画像はラインセンサ信号として、画像処理部100に送られる。
画像処理部100は、送られてくるラインセンサ信号を画像として記録する画像記録部を兼ねる他、送られてくるラインセンサ信号である架線の画像についてステレオ計測を利用した画像処理により、架線の高さ・偏位を計測する。
具体的には、画像処理部100は、図14に示すように、画像入力部11、線条検出部12、ステレオ計測部13、高さデータ入力部14、架線推定部15、渡り線検出部16、処理設定部17及び記憶部18からなる。
画像入力部11は、カメラ1,2,3からのラインセンサ信号を画像データとして、記憶部18に入力する。
線条検出部12は、記憶部18に保存されている画像データから線条データを検出する。線条データとは、各カメラの画面上の架線の位置情報である。線条データは、各カメラ1,2,3について各々検出されることになる。
ステレオ計測部13は、線条検出部12で検出された各カメラの線条データに基づきステレオ計測により架線候補位置データを作成する。ステレオ計測は、各カメラの撮像範囲が重複する範囲で行われる。
高さデータ入力部14は、パンタグラフの高さ情報に基づき、本線の高さデータを取得する。ここでは、パンタグラフの高さを以て本線の高さとする。
パンタグラフの高さ情報は、例えば、図13(a)(b)に示すように、ラインセンサカメラ20でパンタグラフ40のマーカー50を撮像することでパンタグラフ40の高さを計測するパンタグラフ高さ計測装置が使用できる。詳しくは、後述する。
架線推定部15は、ステレオ計測部13で作成した架線候補位置データに対して、架線である渡り線は架線である本線に対して一定高さにあるという高さ条件、具体的には、「渡り線は本線高さの30mm以内にある」という条件により渡り線推定を行う。つまり、上記高さ条件を満たす架線候補位置データを渡り線であると推定する。上記高さ条件は、架線の特徴である。本線高さ情報は、高さデータ入力部14から入力する。
渡り線検出部16は、架線推定部15の高さ条件を満たす架線候補位置データを渡り線として検出し、検出した渡り線の高さ・偏位を表示装置(図示省略)、記録装置(図示省略)に送る。上記高さ条件を満たさない架線候補位置データはノイズとして処理される。
処理設定部17は、各種の処理パラメータを設定する。
記憶部18は、各種のデータを記憶する。
ここで、図9を参照して、カメラ1,2,3の配置条件を説明する。
電車10の両端に設置されるカメラ1及び2の偏位距離aは、撮像最低の高さYの時に、撮像片側の偏位Xが撮像範囲に入るように調整する。撮像最低の高さYとは、電車10
の屋根から渡り線の範囲Eの最下端までの距離である。
つまり、電車10の左端に設置されるカメラ1の撮像範囲(図中一点鎖線で示す)に、電車10の中央線Cで渡り線の範囲Eを2分割した左片側半分(図中、左半分)が全て含まれるようにし、電車10の右端に設置されるカメラ2の撮像範囲(図中破線で示す)に、電車10の中央線Cで渡り線の範囲Eを2分割した右片側半分(図中、右半分)が全て含まれるようにする。
渡り線の範囲Eの水平方向の横幅は、偏位2Xとする。つまり、電車10の中央線Cか
ら左右に偏位Xとする。
カメラ3は,電車10の中央に設置する。つまり、カメラ3の偏位距離は0である。
中央に設置されるカメラ3の高さ距離bは、撮像最低の高さYの時に、撮像両側の偏位2Xが撮像範囲に入るように、調整する。
つまり、カメラ3の撮像範囲(図中実線で示す)に、渡り線の範囲Eが全て含まれるようにする。カメラ3の高さ距離bは、カメラ1,2の高さから下向きに計測するものとし、カメラ1,2は、電車10の屋根から一定の高さに設置されるものとする。
なお、カメラ3は電車10の中央に配置され、カメラ1,2は電車10の両端に配置されるものであるが、ここにいう「中央」、「両端」とは厳密な位置を意味するものではない。電車10の中央線Cについても同様である。広範囲の撮像領域の確保と撮像分解能の細かさを両立するという本発明の技術思想の本質に沿って柔軟に解釈されるものとする。
カメラ1,2,3でステレオ計測可能な架線検測の範囲を図10、図11示す。
図10は、左端のカメラ1と中央のカメラ3により電車10の中央線Cで渡り線の範囲Eを2分割した左片側半分の範囲(例:900mm)を確保したものである。
つまり、左端のカメラ1と中央のカメラ3でステレオ計測可能な架線検測の範囲Qは、電車10の中央線Cで渡り線の範囲Eを2分割した左片側半分の範囲(例:900mm)を完全に含むものである。
図11は、右端のカメラ2と中央のカメラ3により電車10の中央線Cで渡り線の範囲Eを2分割した右片側半分の範囲(例:900mm)を確保したものである。
つまり、右端のカメラ2と中央のカメラ3でステレオ計測可能な架線検測の範囲Rは、電車10の中央線Cで渡り線の範囲Eを2分割した右片側半分の範囲(例:900mm)を完全に含むものである。
これにより、分解能は高いが撮像範囲の狭いカメラ1及び2と、撮像範囲は広いが分解能が低いカメラ3を組み合わせることで、渡り線も含む撮像領域で高い分解能を確保したステレオ計測が可能となる。
なお、特許文献1の段落[0016]に「本実施例に係る架線位置測定装置においては、ラインセンサカメラを2台設置することとしているが、ラインセンサカメラを3台以上設置してステレオ測定して、ステレオ対応点の探索を行うこととしてもよい。」と記載されているが、具体的ではなく、特別な効果をもたらすカメラの配置、条件については記載がない。
また、図12に示すように、カメラ1とカメラ2の撮像範囲が重なる領域(ステレオ計測可能な架線検測の範囲)Sでは、カメラ1とカメラ3の架線位置情報、カメラ1とカメラ3の架線位置情報を平均して使用することができる。
これにより、1架線に対する位置情報が増えることでより高精度の位置情報を取得することができる。
本実施例は、ステレオの誤対応の中から本物架線を検出するための対応付けの情報に、先行技術のレーザ距離計ではなく、「渡り線が本線高さの30mm以内にある」という架線の特徴(高さ条件)を使用し、架線候補の中から高さを限定することで、渡り線の線条計測を可能とする点に特徴がある。
即ち、カメラ1,2,3で撮像された画像から、ステレオ計測により推定された線条候補には、渡り線以外にも、その他の架線や誤対応による仮想の架線がある。
例えば、図18に示すように、本線P10の他に渡り線P11や、その他の架線P12,P13,P14が存在する。
これを本線P10の高さ情報から「本線から30mm以内」に制限する。具体的には、図18に示すように、本線P10の高さデータから高さを限定した渡り線のある高さ範囲Tに存在する架線を渡り線P11として検出するのである。
本実施例では、渡り線の高さを制限するための本線の高さ情報は、例えば、図13に示すパンタグラフ高さ計測装置で取得する。
これより、渡り線の高さが限定されるため、ステレオ計測の対応点を制約することができ、渡り線の適切な線条計測が可能である。また、レーザではなくカメラを使用しているため、高速走行の営業車両にも対応できる。
ここで、パンタグラフ高さ計測装置としては、具体的には、図13(a)に示すように、電車10の屋根上に、ラインセンサカメラ20と照明器具30を設置し、照明器具30で照らしながら、パンタグラフ40の舟体に取り付けたマーカー50の映像をラインセンサカメラ20で取得するものである(特開2013-181755)。
ここで、ラインセンサカメラ20は、図中矢印Hで示すラインセンサ撮像面が、パンタグラフ40とマーカー50を上下方向に垂直に切断する方向に設置し、パンタグラフ40がどの高さに変動したとしてもマーカー50を必ず撮像できるようにする。
マーカー50は、図13(b)に拡大して示すように、光を反射しにくい色や材質の第1領域(黒マーカー)をベースに、光を反射しやすい色や材質の第2領域(白マーカー)を重ねた縞模様である。
さらに、ラインセンサカメラ20により取得された画像は、画像処理部60で画像処理し、画像処理の結果、計測したパンタグラフ40の高さが記録装置70に記録されることになる。
本実施例の動作手順について、図15に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、カメラ1,2,3で撮像された架線の画像がラインセンサ信号として、画像処理部100の画像入力部11に送られ(ステップS1)、画像データとして記憶部18に入力される(ステップS2)。
次に、記憶部18に入力された画像データに基づき線条検出部12により各カメラの画面上の架線の位置情報である線条データが検出され(ステップS3)、線条検出部12で検出された各カメラの線条データに基づきステレオ計測によりステレオ計測部13で架線候補位置データが作成される(ステップS4)。架線候補位置データには、図18に示すように、対象でない架線や線条対応のミスマッチで生じる仮想の架線が複数ある。架線候補位置データだけでは、渡り線を適切に判別できない。
そこで、図13に示すようなパンタグラフ高さ計測装置で計測したパンタグラフ高さ情報を入力し(ステップS9)、高さデータ入力部14によりパンタグラフの高さを以て本線の高さとする(ステップS10)。
引き続き、高さデータ入力部14から入力された本線の高さ情報及びステレオ計測部13で作成された架線候補位置データとに基づき、架線推定部5により、「渡り線は本線の高さから30mm以内に設置されている」という高さ条件より渡り線を判別する。具体的には、図18に示すように、本線P10の高さデータから高さを限定した渡り線のある高さ範囲Tに存在する架線を渡り線P11として検出する。
そして、上記高さ条件を満足する架線候補は渡り線検出部16により渡り線として検出され(ステップS6)、検出された渡り線の高さ・偏位はデータとして出力される一方(ステップS7)、上記高さ条件を満足しない架線候補はノイズとして処理する(ステップS8)。
以上、説明した通り、本実施例は、以下の効果を奏する。
1)カメラ設置は車両屋根上に限定される。特許文献1の2台のみのカメラ構成では、渡り線を撮像する広範囲の撮像領域の確保と撮像分解能の細かさを両立できない。
しかしながら、本実施例は、車上の両端及び中央に置いた3台のカメラ構成により、分解能は高いが撮像範囲の狭いカメラ1及び2と、撮像範囲は広いが分解能が低いカメラ3を組み合わせることで、渡り線の範囲(例:偏位±900mm)も含む広い撮像範囲で高い分解能を確保したステレオ計測が可能な点で優れている。
2)特許文献1は、ステレオの対応点マッチングにレーザ距離計の位置情報を使用しており、レーザは性質上、検出率及び精度は計測距離に比例し悪くなるため、距離の離れた架線のステレオ計測が困難だった。
しかしながら、本実施例は、レーザ距離計ではなく、「渡り線が本線高さの30mm以内にある」という架線の特徴を使用し、架線候補の中から高さを限定することで、渡り線の線条計測を可能とする点が優れている。
又、本実施例では、本線の高さ情報には、パンタグラフ高さ計測(図13)を使用する。レーザ距離計ではなくカメラを使用するため、撮像周期の関係上高速走行の営業車両にも対応できる。
本発明の第2の実施例に係る線条計測装置及びその方法を図16及び図17に示す。本実施例は、本線のステレオ計測情報により渡り線を検出するものである。
即ち、本実施例は、実施例1に比較し、パンタグラフ高さ計測(図13)ではなく、本線のステレオ計測により本線の高さ情報を取得する点が異なる。
そのため、図16に示す本実施例の線条計測装置のブロック図において、図14の高さデータ入力部(パンタグラフの高さ情報)14に代えて、高さ情報データ入力部(ステレオ計測情報)24を使用し、また、図17に示す本実施例の動作手順を示すフローチャートにおいて、ステップS9のパンタグラフ高さデータ入力に代えて、ステップS11のステレオ計測データ入力を用いる点が異なる以外については、図7〜図15に示す実施例1と同様な構成であり、同様な作用・効果を奏する。
図16に示す高さ情報データ入力部(ステレオ計測情報)24は、ステレオ計測により本線の高さデータを入力するものであり、例えば、3台のカメラ1,2,3で撮像された少なくとも二つ画像の内から線条検出部12で本線について位置情報である線条データを検出し、検出した線条データからステレオ計測部13でステレオ計測により本線の高さを検出するものである。
そして、図17に示すフローチャートにおいては、ステレオ計測部13でステレオ計測により計測した本線の高さを入力し(ステップS11)、高さデータ入力部24により計測した本線の高さを本線の高さとして入力するのである(ステップS12)。
このように、本実施例は、実施例1に比較し、高さ情報データ入力部(ステレオ計測情報)24は、パンタグラフの高さ情報ではなく、本線のステレオ計測により算出された本線の高さデータを使用する点が異なる。
以上、説明したように、本実施例によれば、実施例1の効果1)2)3)に加え、本線の高さ情報をステレオ計測から取得することにより、図13に例示するような、パンタグラフ高さ計測装置が不要になる利点がある。
本発明は線条計測装置及びその方法として広く産業上利用可能なものである。
1,2,3, ラインセンサカメラ(カメラ)
4,5 照明器具
6 電柱
7 曲引金具
8 トロリ線(本線)
9 トロリ線(渡り線)
10 電車(車両)
11 画像入力部
12 線条検出部
13 ステレオ計測部
14 高さデータ入力部(パンタグラフの高さ情報)
15 架線推定部
16 渡り線検出部
17 処理設定部
18 記憶部
20 ラインセンサカメラ
24 データ入力部(ステレオ計測情報)
30 照明器具
40 パンタグラフ
50 マーカー
60 画像処理部
70 記録装置
100 画像処理装置
C 電車の中央線
D 本線の範囲
E 渡り線の範囲
J ステレオ計測可能の範囲
K,M,N,Q,R,S ステレオ計測可能な架線検測の範囲
T 渡り線のある高さ範囲

Claims (10)

  1. 架線を撮像する3台のラインセンサカメラを車両の両端及び中央に設置し、前記3台のラインセンサカメラで撮像された前記架線の画像についてステレオ計測を利用した画像処理装置にて画像処理することにより前記架線の高さ・偏位を計測する線条計測装置において、前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記車両の両端に設置されるラインセンサカメラに比較して、撮像範囲が広いことを特徴とする線条計測装置。
  2. 前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記架線として渡り線が存在する範囲(以下、渡り線の範囲という)の全てを撮像範囲とする一方、前記車両の両端に設置される前記ラインセンサカメラは、前記渡り線の範囲のうち前記車両の中央で2分割した片側半分の範囲を各々撮像範囲とすることを特徴とする請求項1記載の線条計測装置。
  3. 前記画像処理装置は、前記3台のラインセンサカメラが前記架線として渡り線を撮像するとき、前記渡り線が前記架線である本線に対して一定高さにあるという高さ条件を満たす前記架線のみを渡り線として高さ・偏位を計測することを特徴とする請求項2記載の線条計測装置。
  4. 前記本線に接触するパンタグラフの高さを計測するパンタグラフ高さ計測装置を更に備え、前記画像処理装置は、前記パンタグラフ高さ計測装置により計測された前記パンタグラフの高さを以て前記本線の高さとして前記高さ条件を設定することを特徴とする請求項3記載の線条計測装置。
  5. 前記本線の高さについてステレオ計測を利用して検出するステレオ計測装置を更に備え、前記画像処理装置は、前記ステレオ計測装置により検出された前記本線の高さを用いて前記高さ条件を設定することを特徴とする請求項3記載の線条計測装置。
  6. 架線を撮像する3台のラインセンサカメラを車両の両端及び中央に設置し、前記3台のラインセンサカメラで撮像された前記架線の画像についてステレオ計測を利用して画像処理することにより前記架線の高さ・偏位を計測する線条計測方法において、前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記車両の両端に設置されるラインセンサカメラに比較して、撮像範囲が広いことを特徴とする線条計測方法。
  7. 前記車両の中央に設置される前記ラインセンサカメラは、前記渡り線の範囲の全てを撮像範囲とする一方、前記車両の両端に設置される前記ラインセンサカメラは、前記渡り線の範囲のうち前記車両の中央で2分割した片側半分の範囲を各々撮像範囲とすることを特徴とする請求項6記載の線条計測方法。
  8. 前記画像処理装置は、前記3台のラインセンサカメラが前記架線として渡り線を撮像するとき、前記渡り線が前記架線である本線に対して一定高さにあるという高さ条件を満たす前記架線のみを渡り線として高さ・偏位を計測することを特徴とする請求項7記載の線条計測方法。
  9. 前記本線に接触するパンタグラフの高さを計測し、計測された前記パンタグラフの高さを以て前記本線の高さとして前記高さ条件を設定することを特徴とする請求項8記載の線条計測方法。
  10. 前記本線の高さについてステレオ計測を利用して検出し、検出された前記本線の高さを用いて前記高さ条件を設定することを特徴とする請求項8記載の線条計測方法。
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