JP2016065327A - 抗菌性アクリル系繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、アクリル系繊維に対する抗菌剤の結合を強化し、抗菌性能の低下を抑えた耐久性に優れた抗菌性アクリル系繊維を提供する。
【解決手段】
本発明の抗菌性アクリル系繊維は、アニオン性共重合成分を0.60質量%以上2.10質量%以下含有するアクリル系繊維であって、抗菌剤として第四級アンモニウム塩をアクリル系繊維に対する含有量が、0.22質量%以上0.48質量%以下含有し、かつ親水剤成分としてアクリル酸エステル共重合体をアクリル系繊維に対する含有量が、0.02質量%以上0.20質量%以下含有する抗菌性アクリル系繊維である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い洗濯耐久性を有する抗菌性アクリル系繊維に関するものである。
近年、健康的で快適な生活環境を求める消費者のニーズに応えるべく、抗菌防臭機能を付与した繊維製品が数多く提案されている。特に、インナーや靴下用途に関しては、人間の汗による雑菌の増殖を抑制し、不快な異臭の発生を防止する目的で、抗菌性を付与した抗菌性繊維製品が頻繁に用いられている。このため、繊維に抗菌性を付与する方法について、数多くの提案がなされてきた。
従来、繊維に対する抗菌性の付与方法として、銀やキトサン等を抗菌剤に用いた方法が提案されている(特許文献1参照。)。また、抗菌性と吸湿性を兼ね備えた繊維として、繊維にキチンの脱アセチル化物とセルロース微粉体からなる複合体を固着させる方法が提案されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、上記提案の方法では、洗濯などにより有効成分が脱落するなど耐久性に劣るという課題がある。
一方、アニオン性共重合成分を含有する繊維に対して、第四級アンモニウム塩を用いた方法が提案されており(特許文献3参照。)、この提案の方法では、イオン結合により抗菌剤を固着させており、耐久性を向上させた抗菌性アクリル系繊維の製造方法が提案されている。しかしながら、この提案の方法においても、洗濯の前後により抗菌性能の低下が生じており、製品を繰り返し使用した際に抗菌性能が低下するという課題がある。
特開2010−18895号公報 特開平5−33265号公報 特開2013−76188号公報
上記のように抗菌性アクリル系繊維は、抗菌性能自体の高さと同時に、その性能の保持が課題であった。特に、インナーやソックスなど、洗濯頻度の高い製品に用いられる製品では、このような課題を解決するための検討がなされてきた。
そこで、本発明の目的は、アクリル系繊維に対する抗菌剤の結合を強化し、抗菌性能の低下を抑えた耐久性に優れた抗菌性アクリル系繊維を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明の抗菌性アクリル系繊維は、アニオン性共重合成分を0.60質量%以上2.10質量%以下含有するアクリル系繊維であって、抗菌剤として第四級アンモニウム塩を含有し、かつ親水剤成分としてアクリル酸エステル共重合体を含有する抗菌性アクリル系繊維である。
本発明の抗菌性アクリル系繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記のアクリル酸エステル共重合体のアクリル系繊維に対する含有量は、0.02質量%以上0.20質量%以下である。
本発明の抗菌性アクリル系繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の抗菌剤として第四級アンモニウム塩のアクリル系繊維に対する含有量は、0.22質量%以上0.48質量%以下である。
本発明によれば、抗菌性能の低下を抑えた高い耐久性を有する抗菌性アクリル系繊維を得ることが可能である。また、本発明の抗菌性アクリル系繊維を衣料として用いたときに、繰り返し洗濯を行っても抗菌性を保ち、かつ吸湿性に優れたインナーおよび靴下等の製品を得ることができる。
本発明の抗菌性アクリル系繊維は、アニオン性共重合成分を含有するアクリル系繊維であって、抗菌剤成分として第四級アンモニウム塩を含有し、かつ親水剤成分としてアクリル酸エステル共重合体を含有する抗菌性アクリル系繊維である。
本発明の抗菌性アクリル系繊維は、アクリル系モノマーとしてアクリロニトリルを85質量%以上、好ましくは90質量%以上含有するアクリル系ポリマーからなる繊維である。このアクリル系ポリマーにおけるアクリロニトリルが85質量%未満では、アクリル系繊維としての耐熱性が劣るものとなる。
また、本発明で用いられるアクリロニトリルからなるアクリル系モノマーと共重合されるアニオン性共重合成分としては、メタリルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ、およびイソプレンスルホン酸ソーダ等のイオン性不飽和単量体等が好ましく選択される。中でも、メタリルスルホン酸ソーダとスチレンスルホン酸ソーダが好ましく用いられる。
上記のアニオン性共重合成分の抗菌性アクリル系繊維に対する含有量は、0.6〜2.1質量%であり、好ましくは0.9〜1.5質量%である。上記の含有量が0.6質量%未満では抗菌性の低下を惹起し、含有量が2.1質量%を超えると延伸性が低下したり、単繊維間での膠着を生じ易くなる。
本発明においては、その他の不飽和単量体をアクリロニトリルと共重合させることができる。本発明において、その他、アクリロニトリルと共重合させる不飽和単量体としては、アクリル酸メチルやアクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エチルやメタクリル酸イソプロピルなどのメタクリル酸エステル、スチレンおよび酢酸ビニルなどが挙げられる。許容される不飽和単量体の共重合の割合は、好ましくは6〜13質量%である。共重合の割合が6質量%未満では紡糸性が低下し、また13質量%を超えるとピリングの脱落性(抗ピル性)が悪化する傾向を示す。
本発明抗菌性アクリル系繊維は、抗菌剤として第四級アンモニウム塩を含有する。
本発明において使用される抗菌剤は、第四級アンモニウム塩である。第四級アンモニウム塩としては、抗菌活性に優れる点で、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セトリモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムおよび臭化ドミフェンなど長鎖アルキル基を有する第四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
前記の抗菌剤として用いられる第四級アンモニウム塩のアクリル系繊維に対する含有量は、好ましくは0.22質量%以上0.48質量%以下である。含有量が0.22質量%より低いと十分な抗菌性能が得られず、また含有量が0.48質量%より高いと染色性に影響が出る他、後加工や高次加工工程での抗菌剤の脱落が発生し、紡績機械に錆を発生させる懸念が生じる。
また、本発明抗菌性アクリル系繊維は、親水剤成分としてアクリル酸エステル共重合体を含有する。本発明において親水剤として好適に使用されるアクリル酸エステル共重合体は、アクリル酸エステルとビニル化合物の共重合体である。
本発明において使用される親水剤は、上記のアクリル酸エステル共重合体である。アクリル酸エステル共重合体に用いられる共重合成分としては、好ましくはエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルアルコールおよびアクリロニトリルなどのオレフィン系成分が挙げられる。また、エステル部を構成するアルコールとしては、親水性の観点から、重合度が15〜40のポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基であることが好ましい。アクリル酸エステル共重合体におけるビニル化合物の共重合割合は、共重合成分やエステル部のアルコールの種類にもよるが、親水性の観点から20〜50質量%であることが好ましい。
前記のアクリル酸エステル共重合体のアクリル系繊維に対する含有量は、好ましくは0.02質量%以上0.20質量%以下であり、より好ましくは0.05〜0.15質量%である。含有量が0.02質量%より低いと親水性能が十分付与されず、含有量が0.20質量%を超える範囲では、単繊維同士が接着する、乾燥緻密化が不十分で失透になるなど、工程上の課題が生じる。
本発明の抗菌性アクリル系繊維の横断面は、湿式紡糸において形成されるβ状断面、円型断面、その他扁平、Y状およびC状など任意の断面について適用される。また、抗菌性アクリル系繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.5〜5.6dtexの範囲で繊維製品への用途展開が可能であり、より好ましくは0.5〜1.5dtexの範囲でより風合いの良い繊維製品への用途展開が可能である。
次に、本発明の抗菌性アクリル系繊維の製造方法について説明する。
本発明の抗菌性アクリル系繊維は、湿式紡糸法により製造される。湿式紡糸に使用される紡糸原液の重合方法は、懸濁重合法、乳化重合法および溶液重合法等のうち何れも用いられるが、連鎖移動定数より有機溶媒にジメチルスルホキシド(以下、DMSOということがある。)を選択した溶液重合法が望ましく用いられる。
上記の溶液重合で用いられる重合体濃度は、好ましくは20〜25質量%であり、より好ましくは21〜23質量%である。重合体濃度が20質量%より少なくなると、得られるアクリル系繊維が失透し、光沢が失われるとともに発色性低下をきたす。また、重合体濃度が25質量%を超えると、紡糸性が著しく悪化する傾向を示す。
得られた重合体溶液を紡糸原液として、紡糸口金から水を主成分とする貧溶媒中に吐出し凝固する。このとき使用される紡糸浴での溶媒としては、DMSO、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられるが、紡糸原液の溶媒と同溶媒を使用することが好ましく、溶媒回収の観点から、さらに連鎖移動定数の点で、DMSOが特に好ましく用いられる。
紡糸浴に紡糸原液を吐出する際の紡糸ドラフトは、1.5〜2.2の範囲が好ましい。紡糸ドラフトが1.5未満では口金から引取ローラー間で糸条が緩み、浴中の乱流による糸揺れによる糸切れが起こり易い。また、紡糸ドラフトが2.2を超えると、糸が張りすぎることにより口金面から糸条が切れることがある。吐出凝固された凝固糸条は、濃度55〜75質量%、好適にはDMSO濃度60〜70質量%の浴中で、好ましくは3.5〜5.0倍に延伸される。延伸倍率が3.5倍より小さくなると紡糸操業性の低下を招き、一方、延伸倍率が5.0倍を超えると強度が高くなる。
延伸された糸条は、好適には温度40〜60℃の温水中で溶媒を除去された後、好適には150〜165℃の温度の乾熱下で、好ましくは5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化緊張熱処理が施される。収縮率が5%を超える場合、または熱処理温度が150℃より低い場合には、紡糸ドラフトを高めたことにより繊維を配向させる効果が維持され難い。また、乾燥緻密化と緊張熱処理は、通常分離せずに熱風乾燥機で行われるが、分離する方法を用いることができる。
アクリル系繊維への抗菌剤の付与は、ガイドを設置した油剤浴中にアクリル系繊維(束)を通過させることにより行うことができる。油剤浴中を走行したアクリル系繊維(束)は、ニップローラーによって一定圧で絞られることによりアクリル系繊維(束)による持ち出し量が定量となるため、油剤浴濃度を調整することによりアクリル系繊維への抗菌剤および後述する親水剤の付着量が調整される。
本発明において使用される抗菌剤は、前述のとおり第四級アンモニウム塩である。第四級アンモニウム塩としては、抗菌活性に優れる点で、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セトリモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムおよび臭化ドミフェンなど長鎖アルキル基を有するものが好ましく用いられる。
これら抗菌剤成分については、任意の割合で水またはその他油剤と混合し、調整油剤(処理液)としてアクリル系繊維に含浸付与することができる。このとき調整油剤の有効成分における抗菌剤の比率としては、50〜70質量%であることが好ましい。
油剤浴における抗菌剤成分の濃度範囲は、1.6〜2.8%の範囲であることが好ましい。この範囲を逸脱すると抗菌性能が得られなかったり、持ち出された余剰分が高次加工の際に脱落したりして、機器を腐食させる可能性がある。
また、抗菌剤の付与は、アクリル系繊維の乾燥緻密化後に実施することが好ましい態様である。繊維構造が未だ疎構造にある緻密化前に抗菌剤を付与すると、繊維表面にとどまらず繊維内層部への抗菌剤の浸透により染着座席が封鎖されることにより、染色性に影響を及ぼすことがある。
乾燥緻密化と未だ疎構造にある緻密化前は、製造工程において、乾熱処理機を通過する前後で区別することができる。乾熱処理を行う前の膨潤状態にある繊維束を“未だ疎構造にある”としている。
本発明で用いられる第四級アンモニウム塩は、熱に弱い(塩化ベンザルコニウムの熱分解温度135℃に対して、乾熱温度150℃以上)ため、緻密化処理前に実施すると抗菌性能に影響する。また、他の利点としては、乾熱状態(水分が少ない状態)で油剤浴を通過するため、持ち込み水分が少なく浴濃度管理が易しいことが挙げられる。
本発明では、前述のとおり、親水剤としてアクリル酸エステル共重合体を使用する。本発明において親水剤として好適に使用されるアクリル酸エステル共重合体は、アクリル酸エステルとビニル化合物の共重合体である。このアクリル酸エステル共重合体の平均分子量は、50,000〜80,000であることが好ましい。
アクリル酸エステル共重合体に用いられる共重合成分としては、好ましくはエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルアルコールおよびアクリロニトリルなどのオレフィン系成分が挙げられる。また、エステル部を構成するアルコールとしては、親水性の観点から、重合度が15〜40のポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基であることが好ましい。アクリル酸エステル共重合体におけるビニル化合物の共重合割合は、共重合成分やエステル部のアルコールの種類にもよるが、親水性の観点から20〜50質量%であることが好ましい。
アクリル系繊維に親水剤を付与することにより、イオン性物質である第四級アンモニウム塩との水素結合および静電気的な相互作用により、抗菌剤のアクリル系繊維への保持力が高まり、洗濯耐久性を高めることが可能となる。また、親水剤を付与することにより、アクリル系繊維に吸湿性を付与することができ、インナーや靴下のような人の肌に直接触れる衣料用途として優れた素材を提供することが可能となる。
これらの親水剤については、任意の割合で水またはその他の油剤と混合し、工程油剤としてアクリル系繊維に含浸付与することができる。親水剤成分を含む油剤の濃度範囲は0.03質量%〜0.20質量%の範囲であり、好ましくは0.05質量%〜0.15質量%の範囲である。0.03質量%未満では親水剤が十分付与されず、0.20質量%を超える範囲では、単繊維同士が接着する、乾燥緻密化が不十分で失透になるなど、工程上の課題が生じる。
親水剤成分は、乾燥緻密化の前あるいは乾燥緻密化の後どちらで付与することができるが、繊維内部まで親水剤が浸透し、耐久性の面で優れるという観点から、乾燥緻密化前に付与することが好ましい態様である。乾燥緻密化の前に親水剤を付与する場合、付与方法は乾燥緻密化の後に付与する方法と同様にすることができる。
親水剤および抗菌油剤を付与した後は、アクリル系繊維に捲縮を付与しさせた後に乾燥させることにより、本発明で意図する吸湿性に優れた抗菌性アクリル系繊維が得られる。
本発明における第四級アンモニウム塩の繊維への付着量は、十分な抗菌性能を与えるために好ましくは0.22質量%以上とし、染色性および紡績工程での脱落を防ぐ上で0.48質量%以下であることが好ましい。
本発明における親水剤成分のアクリル系繊維への付着量は、十分な吸湿性能を与えるために0.02質量%以上とし、単繊維同士の接着や失透あるいは紡績工程におけるローラーカードへの巻き付きを防ぐ上で0.20質量%以下であることが好ましい。
本発明の抗菌性アクリル系繊維は、これを用いて紡績糸とすることができるが、さらに他の繊維を混紡することができる。
本発明の抗菌性アクリル系繊維と他の繊維との紡績より得られた紡績糸において、抗菌性を得るためには、本発明の抗菌性アクリル系繊維が40質量%以上で混紡されていることが好ましい。本発明の抗菌性アクリル系繊維と混紡される他の繊維としては、綿、レーヨン、ウールおよびポリエステル系繊維などが挙げられる。
本発明の抗菌性アクリル系繊維の対象用途としては、インナー、靴下、水廻りマット、ジャージおよび毛布などが挙げられるが、吸湿性と抗菌性を兼ね備えていることから、特に靴下とインナー用途に適している。
次に、実施例により、本発明の吸湿性に優れた抗菌性アクリル系繊維とその製造方法について、具体的に説明する。各測定の測定回数は3回であり、その平均値を測定結果とした。
(油剤成分の測定方法)
アクリル系繊維2gを測定サンプルとし、ソックスレー抽出器を使用して抽出溶媒に繊維に付着している油剤を抽出する。抽出溶媒には、メタノールとクロロホルムの混合液(体積比3:1)を使用する。抽出液は、質量既知の(A)のアルミトレイに採取し、溶媒を留去する。油剤を含むアルミトレイの質量を測定(B)することにより付着している油剤質量を測定し、次式に基づき油剤付着率を算出する。
・油剤付着率=(B−A)/2×100
使用している油剤の成分構成は既知であるから、抗菌剤成分および親水剤成分の成分比率から、各成分の付着率(含有量)を算出する。
(1)静菌活性値(抗菌性能)測定:
抗菌性能の評価方法については、繊維評価技術協議会の抗菌防臭加工繊維製品の認証基準にあるJIS L 1902(2008年)(繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果)の定量試験法(菌液吸収法)によって行い、静菌活性値を求めた。
洗濯後の抗菌性評価についても同手法で行い、洗濯方法については同協議会が定める「SEKマーク繊維製品の洗濯マニュアル」に準じた。また、洗濯回数については、所定回数により10回実施した。求めた静菌活性値については、次の3段階で判定し、優秀(◎)と良(○)を有効とした。
・優秀(◎) :静菌活性値≧ 3.0。
・良 (○) :静菌活性値= 2.2 〜 2.9。
・不良(×) :静菌活性値< 2.2。
(2)洗濯耐久性評価:
洗濯耐久性の評価については、上記の抗菌性能測定における洗濯前後の静菌活性値の差をとって次の3段階で判定し、優秀(◎)と良(○)を有効とした。
・優秀(◎) :洗濯前後の静菌活性値の差≦ 0.4。
・良 (○) :洗濯前後の静菌活性値の差= 0.4 〜 0.8。
・不良(×) :洗濯前後の静菌活性値の差> 0.8。
(3)総合評価
・優秀(◎) :洗濯10回後の静菌活性値、洗濯耐久性が共に◎判定。
・良 (○) :洗濯10回後の静菌活性値、洗濯耐久性が共に○判定以上。
・不良(×) :洗濯10回後の静菌活性値、洗濯耐久性のいずれかに×判定。
<実施例1>
実施例1については、原料モノマーにアクリロニトリル、アニオン性共重合成分にメタリルスルホン酸ソーダ、およびその他の共重合成分にアクリル酸メチルをそれぞれ選択して、前記のアクリロニトリル/メタリルスルホン酸ソーダ/アクリル酸メチルを、それぞれ質量%で91.8/1.2/7.0の割合でDMSOに溶解させて溶液重合を行い、作製した共重合体のDMSO溶液を紡糸原液とした。このようにして得られた紡糸原液を、濃度が64%で浴温度が48℃のDMSO水溶液の凝固浴中に口金を使用して吐出し、湿式紡糸を行い凝固糸を得た。
得られた凝固糸については、これを5.0倍で延伸し水洗後に、さらに親水剤成分としてアクリロニトリル/アクリル酸ポリエチレングリコール共重合体0.10質量%を含む工程油剤に浸漬した。油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.6秒間、ガイドを通じてディップ方式で油剤浴中を通過させた。
その後160℃の温度の乾熱下で5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化を実施した。緻密化された繊維束は、さらに抗菌剤成分として塩化ベンザルコニウムを選択して調整された抗菌油剤浴中を通過させ、塩化ベンザルコニウムを繊維表面においてイオン交換させることにより、繊維質量に対して抗菌剤成分を0.31質量%付与した。調整された油剤浴濃度は3.1%とした。質量成分比は、抗菌剤成分を1.9質量%とし、非イオン性界面活性剤の紡績油剤を1.2質量%とし、水を96.9質量%とした。抗菌油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.8秒間、ガイドを通じてディップ方式で抗菌油剤浴中を通過させた。
<実施例2>
実施例2については、原料モノマーにアクリロニトリル、アニオン性共重合成分にメタリルスルホン酸ソーダ、およびその他の共重合成分にアクリル酸メチルをそれぞれ選択して、前記のアクリロニトリル/メタリルスルホン酸ソーダ/アクリル酸メチルを、それぞれ質量%で89.6/0.8/9.6の割合でDMSOに溶解させて溶液重合を行い、作製した共重合体のDMSO溶液を紡糸原液とした。このようにして得られた紡糸原液を、濃度が64%で浴温度が48℃のDMSO水溶液の凝固浴中に口金を使用して吐出し、湿式紡糸を行い凝固糸を得た。
得られた凝固糸については、これを5.0倍で延伸し水洗後に、さらに親水剤成分としてアクリロニトリル/アクリル酸ポリエチレングリコール共重合体0.20質量%を含む工程油剤に浸漬した。油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.6秒間、ガイドを通じてディップ方式で油剤浴中を通過させた。
その後160℃の温度の乾熱下で5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化を実施した。緻密化された繊維束は、さらに抗菌剤成分として塩化ベンザルコニウムを選択して調整された抗菌油剤浴中を通過させ、塩化ベンザルコニウムを繊維表面においてイオン交換させることにより、繊維質量に対して抗菌剤成分を0.45質量%付与した。調整された油剤浴濃度は4.6%とした。質量成分比は、抗菌剤成分を2.8質量%とし、非イオン性界面活性剤の紡績油剤を1.8質量%とし、水を95.4質量%とした。抗菌油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.8秒間、ガイドを通じてディップ方式で抗菌油剤浴中を通過させた。
<実施例3>
実施例3については、原料モノマーにアクリロニトリル、アニオン性共重合成分にメタリルスルホン酸ソーダ、およびその他の共重合成分にアクリル酸メチルをそれぞれ選択して、前記のアクリロニトリル/メタリルスルホン酸ソーダ/アクリル酸メチルを、それぞれ質量%で89.6/0.8/9.6の割合でDMSOに溶解させて溶液重合を行い、作製した共重合体のDMSO溶液を紡糸原液とした。このようにして得られた紡糸原液を、濃度が64%で浴温度が48℃のDMSO水溶液の凝固浴中に口金を使用して吐出し、湿式紡糸を行い凝固糸を得た。
得られた凝固糸については、これを5.0倍で延伸し水洗後に、さらに親水剤成分としてアクリロニトリル/アクリル酸ポリエチレングリコール共重合体0.06質量%を含む工程油剤に浸漬した。油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度68.0m/分で1.5秒間、ガイドを通じてディップ方式で油剤浴中を通過させた。
その後160℃の温度の乾熱下で5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化を実施した。緻密化された繊維束は、さらに抗菌剤成分として塩化ベンザルコニウムを選択して調整された抗菌油剤浴中を通過させ、塩化ベンザルコニウムを繊維表面においてイオン交換させることにより、繊維質量に対して抗菌剤成分を0.24質量%付与した。調整された油剤浴濃度は2.7%とした。質量成分比は、抗菌剤成分を1.6質量%とし、非イオン性界面活性剤の紡績油剤を1.1質量%とし、水を97.3質量%とした。抗菌油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.8秒間、ガイドを通じてディップ方式で抗菌油剤浴中を通過させた。
<比較例1>
比較例1については、原料モノマーにアクリロニトリル、アニオン性共重合成分にメタリルスルホン酸ソーダ、およびその他の共重合成分にアクリル酸メチルをそれぞれ選択して、前記のアクリロニトリル/メタリルスルホン酸ソーダ/アクリル酸メチルを、それぞれ質量%で89.6/0.8/9.6の割合でDMSOに溶解させて溶液重合を行い、作製した共重合体のDMSO溶液を紡糸原液とした。このようにして得られた紡糸原液を、濃度が64%で浴温度が48℃のDMSO水溶液の凝固浴中に口金を使用して吐出し、湿式紡糸を行い凝固糸を得た。
得られた凝固糸については、これを5.0倍で延伸し水洗後に、非イオン性界面活性剤0.20質量%のみを含む工程油剤に浸漬した。油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.6秒間、ガイドを通じてディップ方式で油剤浴中を通過させた。
その後160℃の温度の乾熱下で5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化を実施した。緻密化された繊維束は、さらに抗菌剤成分として塩化ベンザルコニウムを選択して調整された抗菌油剤浴中を通過させ、塩化ベンザルコニウムを繊維表面においてイオン交換させることにより、繊維質量に対して抗菌剤成分を0.33質量%付与した。調整された油剤浴濃度は3.2%とした。質量成分比は、抗菌剤成分を1.9質量%とし、非イオン性界面活性剤の紡績油剤を1.3質量%とし、水を96.8質量%とした。抗菌油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.8秒間、ガイドを通じてディップ方式で抗菌油剤浴中を通過させた。
<比較例2>
比較例2については、原料モノマーにアクリロニトリル、アニオン性共重合成分にメタリルスルホン酸ソーダ、およびその他の共重合成分にアクリル酸メチルをそれぞれ選択して、前記のアクリロニトリル/メタリルスルホン酸ソーダ/アクリル酸メチルを、それぞれ質量%で92.0/0.5/7.5の割合でDMSOに溶解させて溶液重合を行い、作製した共重合体のDMSO溶液を紡糸原液とした。このようにして得られた紡糸原液を、濃度が64%で浴温度が48℃のDMSO水溶液の凝固浴中に口金を使用して吐出し、湿式紡糸を行い凝固糸を得た。
得られた凝固糸については、これを5.0倍で延伸し水洗後に、さらに親水剤成分としてアクリロニトリル/アクリル酸ポリエチレングリコール共重合体0.01質量%を含む工程油剤に浸漬した。油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.6秒間、ガイドを通じてディップ方式で油剤浴中を通過させた。
その後160℃の温度の乾熱下で5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化を実施した。緻密化された繊維束は、さらに抗菌剤成分として塩化ベンザルコニウムを選択して調整された抗菌油剤浴中を通過させ、塩化ベンザルコニウムを繊維表面においてイオン交換させることにより、繊維質量に対して抗菌剤成分を0.20質量%付与した。調整された油剤浴濃度は3.0%とした。質量成分比は、抗菌剤成分を1.8質量%とし、非イオン性界面活性剤の紡績油剤を1.2質量%とし、水を97.0質量%とした。抗菌油剤浴の温度は40℃で、浸漬時間は紡糸速度73.0m/分で1.8秒間、ガイドを通じてディップ方式で抗菌油剤浴中を通過させた。
実施例1〜3と比較例1と2について、それぞれの組成割合と製造条件を、表1に示す。
Figure 2016065327
作製した抗菌性アクリル系繊維については、上述の(1)の抗菌性能測定と(2)の洗濯耐久性評価を行い、結果を表2に示した。その結果、本発明による抗菌性アクリル系繊維は、耐久性に優れた抗菌性能を有し、繰り返し洗濯後の抗菌性能も優れていることが明確であった。
Figure 2016065327

Claims (5)

  1. アニオン性共重合成分を0.60質量%以上2.10質量%以下含有するアクリル系繊維であって、抗菌剤として第四級アンモニウム塩を含有し、かつ親水剤成分としてアクリル酸エステル共重合体を含有することを特徴とする抗菌性アクリル系繊維。
  2. アクリル酸エステル共重合体のアクリル系繊維に対する含有量が、0.02質量%以上0.20質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性アクリル系繊維。
  3. 第四級アンモニウム塩のアクリル系繊維に対する含有量が、0.22質量%以上0.48質量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の抗菌性アクリル系繊維。
  4. インナー用として用いられる請求項1または請求項2記載の抗菌性アクリル系繊維。
  5. 靴下用として用いられる請求項1または請求項2記載の抗菌性アクリル系繊維。
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