JP2016065255A - 不凍性液体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選ばれる界面活性剤からなる過冷却促進剤を含有する不凍性液体。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの不凍タンパク質の活性温度はせいぜい−5℃程度であり、より低温での活性がなく、また、安定的な供給が困難であること、さらに高価格であることなどから、広く産業に応用されるには至っていない。
木部柔細胞を取り囲む細胞壁は、細胞からの脱水及び細胞外の氷が細胞内に侵入することを防ぐため、細胞外に氷ができても、細胞内の水が外界から孤立した水滴として振舞って過冷却すると考えられる。
また、越冬植物に含まれるフェノール化合物は、凍結防御物質として働くことが示唆されている(非特許文献2参照)。これらの物質は、生殖細胞等を培養するための凍結培地(特許文献1参照)や、内燃機関等の冷却液として用いる不凍液の一成分(特許文献2参照)として使用することが開示されている。
さらに研究を推進し、その原因物質の一つとして、フラボノール配糖体が過冷却活性を有することを見出し、先に特許出願している(特許文献3)。
[1].非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選ばれる界面活性剤からなる水の過冷却促進剤を水に溶解させてなる不凍性液体。
[2].界面活性剤が非イオン性界面活性剤である前項[1]に記載の不凍性液体。
[3].界面活性剤がカチオン性界面活性剤である前項[1]に記載の不凍性液体。
[5].前記水の過冷却促進剤が水に0.005〜10g/L溶解されている前項[1]〜[4]のいずれかに記載の不凍性液体(ただし、氷・水スラリー生成用助剤としてのソルビトール系助剤を含有するもの、及び氷・水スラリー生成用助剤としての食塩を含有するものを除く)。
また、本発明に用いる水の過冷却促進剤を水と混合することで、−10℃前後で使用できる不凍性液体となり、この不凍性液体中で、例えば、生物材料等を長期間低温保存することが可能である。
更に、凍結防止剤を高濃度で含有するガラス化液に本発明に用いる水の過冷却促進剤を添加すると、ガラス化液の濃度を低下させることができ、ガラス化液への浸漬による毒性を軽減することができる。従って、超低温のガラス体中で、これまでガラス保存が困難だった生物材料等を保存することも可能であると考えられる。
これらの界面活性剤のうち、本発明の水の過冷却促進剤である特定の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤である。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンモノエーテル、一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノエステル、一般式(3)で表されるポリオキシアルキレンアミドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
(式中、R1は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、あるいは炭素数6〜12のアルキル基又はアルケニル基を有するフェニル基を示し、R2は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは1〜100の整数を示す。mが2以上である場合は、R2は1種単独であってもよし、2種以上であってもよく、R2が2種以上の場合の(R2−O)mはブロック構造であってもよいし、ランダム構造であってもよい。)
一般式(1)において、R2は炭素数2〜4のアルキレン基であるが、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。mは1〜100の整数であるが、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。
(式中、R3は炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、R4は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、R5は水素原子又はソルビタン残基を示し、nは1〜100の整数を示す。nが2以上である場合は、R4は1種単独であってもよし、2種以上であってもよく、R4が2種以上の場合の(R4−O)nはブロック構造であってもよいし、ランダム構造であってもよい。)
一般式(2)において、R4は炭素数2〜4のアルキレン基であるが、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。また、R5のソルビタン残基は、ソルビタンの一つの水酸基を除いた残りの部分をいう。nは1〜100の整数であるが、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。
一般式(3)において、pは1〜20の整数であるが、1〜10が好ましく、qは1〜20の整数であるが、1〜10が好ましい。
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルにおいては、オキシアルキレン基は炭素数2〜3のオキシアルキレン基が好ましく、炭素数2のオキシエチレン基がより好ましい。ソルビタンに置換するポリオキシアルキレン基の数は、1であってもよいし、2又は3であってもよい。また、ソルビタンに置換する脂肪酸基の炭素数は8〜22が好ましく、12〜18がより好ましい。ソルビタンに置換する脂肪酸基の数は、1であってもよいし、2又は3であってもよい。
高級アルコールとしては、炭素数12〜24アルキル基又はアルケニル基を有するアルコールなどが挙げられ、具体的にはセタノールなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の好適な具体例としては、例えば、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、茶種子由来サポニン、あるいはセタノールなどが挙げられる。
4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤としては、窒素原子の4つの置換基の少なくとも1つが炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基、或いは炭素数1〜24のアシルアミノアルキル基であり、他の置換基は炭素数1〜5のアルキル基である4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、窒素原子の4つの置換基の少なくとも1つが炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、置換基の少なくとも1つがベンジル基であり、他の置換基は炭素数1〜5のアルキル基である4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤の好適な具体例としては、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルアミンアセテートなどが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤の分子量は、特に制限ないが、好ましくは200〜400である。なお、好ましい範囲以外の分子量であっても、ある程度の効果は得られる。
カルボン酸塩型アニオン性界面活性剤としては、炭素数6〜24の脂肪酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)、ナフテン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩)、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシドを0.5〜8モル付加させたアルキルポリエトキシカルボン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)、ロジン酸セッケン、脂肪酸サルコシドなどが挙げられる。
また、アニオン性界面活性剤の分子量は、特に制限ないが、好ましくは200〜400である。なお、好ましい範囲以外の分子量であっても、ある程度の効果は得られる。
両性界面活性剤としては、窒素原子の4つの置換基の1つが炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、他の置換基の2つは炭素数1〜5のアルキル基であり、残りの置換基が炭素数2〜3のカルボキシアルキレン基であるカルボキシベタイン型両性界面活性剤、窒素原子の4つの置換基の1つが炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、他の置換基の2つは炭素数1〜5のアルキル基であり、残りの置換基がオキシド基であるアミノオキシド型両性界面活性剤、窒素原子の4つの置換基の1つが炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、他の置換基の2つは炭素数1〜5のアルキル基であり、残りの置換基が炭素数2〜3のスルホン酸アルキレン基であるスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
また、両性界面活性剤の分子量は、特に制限ないが、好ましくは200〜400である。なお、好ましい範囲以外の分子量であっても、ある程度の効果は得られる。
従来のエチレングリコールなどの不凍液は、濃度依存のモル凝固点降下によるものである。それに対し、本発明に係る界面活性剤からなる水の過冷却促進剤は、モル凝固点降下によらず、極微量の添加によって過冷却を促進する。これは、本発明に用いる界面活性剤からなる水の過冷却促進剤が、水が凍結する際に形成される氷核の形成そのものを阻害することによるものと考えられる。
塩、糖、糖アルコールなどの一般的な物質では、凝固点降下度の2倍程度の過冷却促進を示すが、本発明に係る水の過冷却促進剤は10倍以上、条件によっては100倍以上の過冷却促進を示す。
特に、カチオン性界面活性剤は高い活性を示し、AgIに対して最大で約−12℃の過冷却活性を示す。
また、本発明に用いる界面活性剤からなる水の過冷却促進剤は、AgI以外の他の物質に対しても優れた過冷却活性を示す。例えば、水中では、様々な異物が氷核となり水の凍結が起こると考えられており、これらの異物は、非常に多種にわたる。場合によっては、容器のヒビ等も氷核形成の開始点となり得る。このように、実用的には、同定できない様々な氷核形成物質が含有される水に対しても、本発明に用いる界面活性剤からなる水の過冷却促進剤は、優れた過冷却活性を示す。
(1)種々の植物(桃など)の種子から抽出した未同定の粗抽出物は、−2.6〜−8.1℃の水の過冷却活性を示すことが記載されている(Caple et al.,(1983)Cryoletters,4,59−64)。しかし、この値は冷却速度1℃/minと本発明における水の過冷却促進剤の冷却速度0.2℃/minより非常に速く、一時的な過冷却を起こしやすい条件下での評価であるため、これらの粗抽出物は、本発明に用いる水の過冷却促進剤の過冷却活性には及ばない。
(2)様々な不凍タンパク質は、最大−7.8℃の水の過冷却活性を示すことが記載されている(Duman(2002) J.Comp.Physio1.,172,163−168.)。しかし、この文献では、この最大値が得られる不凍タンパク質の添加濃度が不明であるとともに、0.5Mという高濃度のクエン酸を添加した時に得られた値であり、不凍タンパク質単独では−1.2℃の過冷却を促進するのみである。
この不凍性液体は、通常は界面活性剤を水に溶解させることで得られるが、水の代わりに用途に応じた添加物を含む水溶液を用いてもよい。このような添加物としては、例えば、動植物細胞の培地成分、生物材料の保存液成分、あるいは防錆剤、酸化防止剤などが挙げられる。水溶液中の添加物の濃度は、用途に応じて適宜定めることができる。
凍害防止剤を含む場合は、凍害防止剤を1種単独または2種以上組み合わせて1〜40溶積%、好ましくは1〜20容積%含有させることができる。
凍害防止剤とは、生物材料やこれらを浸漬させた水溶液に添加することで、凍結による障害を軽減する物質をいい、いずれも濃度依存の凝固点降下をもたらす、氷晶の形成量を軽減する、凍結材料の塩濃度の上昇を軽減する、ガラス化を容易にするなどの効果のうち、一つあるいは複合的な効果を有するものを指す。
この不凍性液体中に生物材料(植物や動物の細胞や組織、食用または観賞用等の魚介類、野菜などの植物、及びその一部などを指す。)を入れて冷却することで、通常5℃以下の低温で用いられるが、0℃以下、特に0〜−10℃の温度範囲で凍結を起こさずに、長期低温保存が可能となる。この不凍性液体は、過冷却により凍結開始温度が下がることで、氷晶を小さく制御することができ、また単独または凍害防止剤などとの併用によって、凍結乾燥により調製する医薬品や食品などの凍結制御剤としても使用できると考えられる。
ガラス化液とは、上記凍害防止剤を1種単独または2種以上組み合わせて20〜90容積%、好ましくは40〜90容積%含有し、残余が水である溶液のことを指す。この水として、動植物培養液などの溶媒を用いてもよい。動植物の培養や保存に用いる場合には、水や動植物培養液を30容積%以上、特に好ましくは40容積%以上混合することが望ましい。
本発明においては、このガラス化液に本発明に用いる界面活性剤からなる水の過冷却促進剤を通常、0.002g/L以上、好ましくは0.005〜10g/L、より好ましくは0.01〜1.0g/L、さらに好ましくは0.1〜1.0g/L添加する。このようなガラス化液は、ガラス化液の凍結温度以下、例えば−10℃以下、特に−60〜−273℃の温度範囲で非晶質の状態を保持させることが可能である。
このため、これらの材料を液体窒素に投入すると材料内外の水は氷晶を形成せずにガラス化する。植物などの生物材料をガラス化液に入れて液体窒素に投入すると、生物材料内外の水はガラス体(非晶質の氷)になる。ガラス状態では凍結による傷害が起こらないため、生物材料を超低温のガラス化液中で凍結保存することができるようになる。
下記実施例1〜8における過冷却活性(氷核阻害活性)は、以下の方法で測定した。
すなわち、氷核物質を含有する緩衝液に被測定物を任意の割合で混合した溶液の2μLの液滴を多数、温度コントロールができる銅板上に静置し、銅板を0.2℃/minで冷却した。その冷却過程において、凍結する液滴数を肉眼で観察し、50%の液滴が凍結した温度(INT50(℃))を凍結温度とし、被測定物と氷核物質を含む溶液と、氷核物質と緩衝液のみからなる溶液(control)のそれぞれの凍結温度の差を過冷却活性とした。緩衝液は50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を用いた。
下記の実施例1〜9では氷核物質として10mMのヨウ化銀(AgI)(ナカライ製)を、超純水(MilliQ Water)はミリポア社製超純水装置を通したものを用いた。
エステルエーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、分子量1300)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−14.5℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−10.1℃であった。
(実施例2)
エーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、triton X−100(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、分子量 650)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−11.5℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−7.1℃であった。
エーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(分子量1400)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−16.1℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−11.7℃となった。
(実施例4)
エステルエーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールモノステアラート(分子量2000)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−14.1℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−9.7℃となった。
4級アンモニウム塩型の親水基を持つカチオン性界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(分子量360)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−16.2℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−11.8℃であった。
(実施例6)
4級アンモニウム塩型の親水基を持つカチオン性界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(分子量320)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−16.3℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−11.9℃であった。
カルボン酸塩型の親水基を持つアニオン性界面活性剤、コール酸ナトリウム(分子量430)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−8.5℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−4.0℃であった。
天然の界面活性剤であり、ノニオン性界面活性剤に分類することが可能な、茶種子由来サポニン(分子量)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−9.8℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−5.3℃であった。
実施例1〜8の結果を図1にまとめた。
超純水に対する界面活性剤の過冷却活性について、測定を行った。測定方法は実施例1〜8と概ね同様であるが、ヨウ化銀は用いずに測定を実施し、Control溶液は超純水とした。
界面活性剤としてはtriton X−100(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、分子量 650)を用い、超純水に0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。
INT50は−24.8℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−3.5℃となった。
本実施例における過冷却活性は、下記に記載する方法で測定した。
すなわち、示差走査熱量計(DSC(TA Instruments 社製、Q20))を用いて、各溶液の凍結温度を測定した。冷却速度は1.0℃/minとして、冷却過程で現れる発熱ピークのピークトップ温度を凍結温度とし、Control溶液との差を過冷却活性とした。Control溶液には、エチレングリコールを10容積%の濃度で含有する超純水を用いた。また、窒素ガスを50ml/minでパージし、不活性状態で測定を実施した。
ここで、図2は、DSC(示差走査熱量計)チャートを示す。
界面活性剤として、tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)を用いて、Control溶液に0.1g/L添加し、過冷却活性の測定を実施した。過冷却活性は−5.5℃であった。
(実施例12)
界面活性剤として、ヘキサデシルトリメチルアンモウムブロミドを用いて、Control溶液に0.1g/L添加し、過冷却活性の測定を実施した。過冷却活性は−7.5℃であった。
実施例11、12についてDSCのチャートを図2に示した。
超純水に非イオン性界面活性剤、tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)を0.1g/L、凍害防止剤である市販ロングライフクーラント(LLC)(トヨタ製、スーパーロングライフクーラント)を添加し、過冷却活性の測定を行った。本実施例で用いたLLCは、エチレングリコール(87〜90質量%)と防錆剤からなる。測定は示差走査熱量計を用いて、実施例11、12と同様の方法で行った。
超純水に上記LLCを10容量%添加したものをControlとし、そこへtween80を0.1g/Lの濃度で添加した溶液を被測定溶液とした。
その場合の過冷却活性は−5.0℃となり、防錆剤などの添加剤が含まれると考えられる不凍性液体においても、過冷却活性を示した。
実施例1に記載の方法と同様の方法で、同濃度(0.1g/L濃度)の食塩(NaCl)を添加した溶液の過冷却活性を測定した。しかし、Control溶液との差は見られず、NaClは極微量の添加で発現するような過冷却活性は持たないことが示唆される。
例えば、魚や肉などの生鮮食品の保存、ジュースなどの食品原料の輸入などを凍結保存から過冷却保存へと変換することが可能で、エネルギーの削減が可能となる。
Claims (5)
- 非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選ばれる界面活性剤からなる水の過冷却促進剤を水に溶解させてなる不凍性液体。
- 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1に記載の不凍性液体。
- 前記界面活性剤がカチオン性界面活性剤である請求項1に記載の不凍性液体。
- 前記界面活性剤がアニオン性界面活性剤である請求項1に記載の不凍性液体。
- 前記水の過冷却促進剤が水に0.005〜10g/L溶解されている請求項1〜4のいずれかに記載の不凍性液体(ただし、氷・水スラリー生成用助剤としてのソルビトール系助剤を含有するもの、及び氷・水スラリー生成用助剤としての食塩を含有するものを除く)。
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