JP2016065030A - スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置 - Google Patents

スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016065030A
JP2016065030A JP2014242771A JP2014242771A JP2016065030A JP 2016065030 A JP2016065030 A JP 2016065030A JP 2014242771 A JP2014242771 A JP 2014242771A JP 2014242771 A JP2014242771 A JP 2014242771A JP 2016065030 A JP2016065030 A JP 2016065030A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose
spray
spraying
composition
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014242771A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6425518B2 (ja
Inventor
祐輔 花木
Yusuke Hanaki
祐輔 花木
太一 後藤
Taichi Goto
太一 後藤
橋本 賀之
Yoshiyuki Hashimoto
賀之 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd filed Critical Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Publication of JP2016065030A publication Critical patent/JP2016065030A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6425518B2 publication Critical patent/JP6425518B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

【課題】電解質やイオン性物質等の機能性添加剤の存在下でも粘度が低下せず、経時的に安定なゲル形状を保ち、かつ、スプレーすることが可能なスプレー用組成物を提供する。【解決手段】下記の(A)および(B)成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1質量%以上3.0質量%以下であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3S-1〜1×103S-1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax)がηmax≧1×104mPa・sであり、最小値(ηmin)がηmin≦1×102mPa・sであることを特徴とするスプレー用組成物。(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。(B)水。【選択図】なし

Description

本発明は、スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置に関するものである。
スプレー製品は、ヘアケア製品、スキンケア製品、芳香剤、洗浄剤、各種コーティング剤、農薬などの広い分野の製品に使用されている。そして、多くのスプレー製品は、液状の組成物をスプレー装置に充填することにより、製品化されている。スプレー製品として望まれる特性は、通常のスプレー容器を使用して広い環境条件(温度や湿度等)でスプレー可能なこと、スプレーの液滴が,使用する用途に応じて好適な大きさとなり,かつ噴霧むらが生じないこと、垂直面や傾斜面などへ噴霧する際に液だれが発生しにくいこと等があげられる。
ところで、近年、スプレー可能なゲル状の組成物が、数多く提案されている(特許文献1〜4参照)。これらのスプレー可能なゲル状の組成物は、垂直面や傾斜面へスプレーした際に液だれが発生しないという優れた特性を示す。
例えば、上記特許文献1には、粘土鉱物であるスメクタイトを用いたゲル状ミスト化粧品が提案されており、上記特許文献2には、同じく粘土鉱物であるヘクトライトを用いたゲル状のスプレー用組成物が提案されている。これら粘土鉱物は粒子が非常に小さいため、水やその他溶媒により膨潤し、分散してゾル・ゲルを形成する。これらの粘土鉱物の分散液はチキソトロピー性を有しており、そのため一定以上の圧力(力)を加えると液化し、圧力(力)を取り除くと直ちにゲル化する性質を示す。この粘土鉱物特有の性質を利用して、上記スプレー用組成物をスプレー容器と組み合わせることにより、液だれを発生させずにスプレーすることが可能となる。
また、上記特許文献3には、粘度の高い水性原液をミスト状に噴霧して液だれもなく均一に付着させるエアゾール組成物が提案されている。この水性原液にはセルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤が使用されており、これらの増粘剤は高い粘度であっても糸引き性(曳糸性)を示すことなく、また高いチキソトロピー性を示すことから優れたゲル状のスプレー用組成物となりうる。
また、上記特許文献4には、平均重合度(DP)が100以下、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下で、かつ、平均粒子径が2μm以下であるセルロース微粒子と、液状分散媒体とを含有する組成物であって、その組成物中のセルロース濃度が0.1〜5.0重量%であり、かつ、その組成物のコーン・プレート型回転粘度計を用いて測定する少なくとも1×10-3-1〜1×102 -1を含むずり速度領域で25℃で測定した粘度−ずり応力曲線における粘度の最大値(ηmax )が、ηmax ≧1×103 mPa・sであることを特徴とするスプレー剤用の組成物が提案されている。このスプレー剤組成物に使用されているセルロース微粒子は、天然セルロースまたは再生セルロースを酸加水分解処理して得ることができる。上記のようなセルロース粒子を用いたスプレー用組成物は、水性媒体中で透明であり、吹き付けられた表面に母液滴が良好に定着し、噴霧むらが生じにくく、母液滴の垂直面や傾斜面での液だれが発生しないなど優れた特性を有している。
特開平9−241115号公報 特開2000−51682公報 特開2006−321760公報 特開2003−73229公報
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2のスプレー用組成物は、その粘土鉱物の分散によって分散液が不透明であり、しかも粘土鉱物独特の着色がみられるため、透明性が求められる用途には使用できないという問題がある。また、スプレーした塗膜を乾燥させると、粉吹きが生じやすいという問題もある。さらに、溶媒中にアルコールが存在すると、粘土鉱物が凝集し、スプレー特性(噴霧特性)が大きく低下する等の問題もある。
また、上記特許文献3のスプレー用組成物は、その増粘剤(特に、架橋型アクリル系増粘剤)が、電解質などの塩類やイオン性物質の存在下で機能低下するため、組成物の粘度が大きく低下する。そのため、粘度が要求されるスプレー用組成物として利用する場合、配合できる機能性添加剤(電解質やイオン性物質等)に制限があるという問題がある。
また、上記特許文献4のスプレー用組成物は、アニオン性活性剤、無機塩、カルボキシメチルセルロースなど、イオン性を有している物質を添加した場合、少量の添加であってもセルロース分子の水和が阻害されて凝集・沈降を起こす。スプレー用組成物には、通常、イオン性物質等の各種機能性添加剤を配合し、製品化されるが、特許文献4に記載のセルロース微粒子は、上記の事情から、配合できる機能性添加剤に制限があるという問題がある。
以上のように、従来提案されているスプレー可能なゲル組成物は、総括すると、下記の(1)および(2)に示すような問題がある。
(1)使用する用途等が限定され、かつスプレーされた塗膜が乾燥すると、粉吹きが生じる。
(2)イオン性物質や電解質等の存在下で、粘度が大きく低下してゲル状態を保てなかったり、増粘剤自体の凝集・沈降がみられるようになる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、電解質やイオン性物質等の機能性添加剤の存在下でも粘度が低下せず、経時的に安定なゲル形状を保ち、かつ、スプレーすることが可能な、スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置の提供をその目的とする。
すなわち、本発明は下記に掲げる発明に関する。
〔1〕下記の(A)および(B)成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1質量%以上3.0質量%以下であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )がηmax ≧1×104 mPa・sであり、最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sであることを特徴とするスプレー用組成物。
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。
(B)水。
〔2〕好ましい実施形態として上記(A)および(B)成分とともに、下記の(C)成分を含有するスプレー用組成物。
(C)機能性添加剤。
〔3〕好ましい実施形態として、上記(C)成分の機能性添加剤が、電解質、イオン性物質、界面活性剤、オイル類、保湿剤、有機微粒子、無機微粒子、防腐剤、消臭剤および香料からなる群から選ばれた少なくとも一つであるスプレー用組成物。
〔4〕上記スプレー用組成物を収容することを特徴とするスプレー噴霧装置。
本発明のスプレー用組成物は、特殊なセルロース繊維と、水とを必須成分とし、目的・必要に応じて、機能性添加剤(電解質、イオン性物質等)も含有する。このように、本発明の上記組成物は、電解質やイオン性物質等の機能性添加剤を含んでいても、経時的に安定なゲル状態を保つことができるため、その用途において必要とされる各種の機能性添加剤を、何ら支障なく配合することができる。また、本発明のスプレー用組成物は、スプレーする際には、そのスプレー圧により直ちに液化するため、良好にスプレー塗布することができる。そして、このようにスプレー塗布された母液滴は、再度ゲル化するため、定着性も良好であり、噴霧むらも生じにくく、母液滴の垂直面や傾斜面での液だれが発生しない。また、本発明のスプレー用組成物により形成された塗膜は、乾燥しても粉吹きを生じない。
そして、上記スプレー用組成物を収容してなるスプレー噴霧装置は、上記のような本発明のスプレー用組成物の特有の効果を、より有効に発揮することができる。
次に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のスプレー用組成物は、先に述べたように、下記の(A)および(B)成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1〜3.0重量%であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )がηmax ≧1×104 mPa・sであり、最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sである。
(A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。
(B)水。
本発明の(A)は、数平均繊維径が2nm以上500nm以下であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比50以上であるセルロース繊維である。
上記数平均繊維径は2nm以上500nm以下であり、より好ましくは2nm以上150nm以下である。数平均繊維径が500nm超の場合はセルロース繊維が沈降するため、均一なゲル状とはならないからである。
ここで、上記数平均繊維径の解析は、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1質量%のセルロース繊維の水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、本発明外の大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、数平均繊維径を算出する。
上記置換基としては、セルロース分子中の水酸基との間にエーテル結合が生じる置換基であれば特に制限されない。具体的には、カルボキシメチル基、メチル基、エチル基、シアノエチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、エチルヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピルメチル基等があげられる。これらのうち、カルボキシメチル基が好ましい。
上記置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
本発明の(A)セルロース繊維の置換度は0.01以上0.5以下であり、より好ましくは0.01以上0.25以下である。置換度が0.01未満ではセルロース繊維の解繊が困難であり、0.5超では増粘性・分散安定性が低下するため本発明の効果を発現することが困難である。
本発明の(A)セルロース繊維はI型及び/又はII型の結晶構造を有する。結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、セルロースI型またはII型に典型的なX線回折パターン(I型:回折角2θ=14.8°、16.8°、22.6°、II型:回折角2θ=12.1°、19.8°、22.0°)をもつことから確認できる。
本発明の(A)セルロース繊維は、アスペクト比が50以上である。より好ましくは100以上である。アスペクト比が50未満の場合、ゲル状組成物がゲル状の性状を保持することが困難となる不具合が生じる。
上記セルロースのアスペクト比は、例えば以下の方法で測定することが出来る。すなわ
ち、セルロースを親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウ
ラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、セルロー
スの短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を観察した。すなわち、各先に述べ
た方法に従い、短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を算出し、これらの値を
用いてアスペクト比を下記の式(1)に従い算出した。
Figure 2016065030
本発明の(A)セルロース繊維を得るためには、下記に例示するセルロースを公知の方法を用いてアニオン変性させることが必要である。その一例として次のような製造方法をあげることができる。セルロースを原料とし、溶媒に重量で3〜20倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%である。マーセル化剤としては、セルロースのグルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。セルロースと溶媒、マーセル化剤を混合してマーセル化処理を行う。このときの反応温度は0〜70℃、好ましくは10〜60℃であり、反応時間は15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間である。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加してエーテル化反応を行う。このときの反応温度は30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間である。
本発明のセルロース原料は、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。
本発明の(A)セルロース繊維は、アニオン変性したセルロースを高圧ホモジナイザー等によって解繊処理することで得ることができる。高圧ホモジナイザーとは、ポンプによって流体に加圧し、流路に設けた非常に繊細な間隙より噴出させる装置である。粒子間の衝突、圧力差による剪断力等の総合エネルギーによって乳化・分散・解繊・粉砕・超微細化を行うことができる。
本発明のホモジナイザーによる処理条件としては、特に限定されるものではないが、圧力条件としては、30MPa以上、好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、アニオン変性されたセルロースに予備処理を施すことも可能である。
つぎに、本発明のスプレー用組成物、上記(A)セルロース繊維とともに、(B)水が用いられる。
上記(A)セルロース繊維および(B)水とともに、必要に応じ用いられる(C)機能性添加剤としては、例えば、電解質、イオン性物質、界面活性剤、オイル類、保湿剤、有機微粒子、無機微粒子、防腐剤、消臭剤、香料、有機溶媒といったものがあげられる。特に、本発明のスプレー用組成物は、電解質やイオン性物質(イオン性の界面活性剤を含む)を配合しても、ゲル状態を示す高い粘度を有し、かつ、分離や離水などを起こさずにゲル状態を保つという特徴があることから、これらの機能性添加剤が必要材料とされるスプレー用組成物において、優れた性能を発揮することができる。
上記電解質・イオン性物質としては、例えば、塩化ナトリウム,エデト酸ナトリウム,アスコルビン酸ナトリウム等の、アルカリ金属,アルカリ土類金属,遷移金属等と、ハロゲン化水素,硫酸,炭酸,分子中にカルボキシル基を1つ以上有する有機酸等とからなる塩類、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等のリン酸エステル系界面活性剤等であって、水などの分散媒に溶解・分散できるものが用いられる。
非イオン性の界面活性剤としては、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合体等があげられる。
オイル類としては、例えば、ホホバ油,マカデミアナッツ油,アボガド油,月見草油,ミンク油,ナタネ油,ひまし油,ヒマワリ油,トウモロコシ油,カカオ油,ヤシ油,コメヌカ油,オリーブ油,アーモンド油,ごま油,サフラワー油,大豆油,椿油,パーシック油,ミンク油,綿実油,モクロウ,パーム油,パーム核油,卵黄油,ラノリン,スクワレン等の天然動植物油脂類、合成トリグリセライド,スクワラン,流動パラフィン,ワセリン,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,イソパラフィン等の炭化水素類、カルナバウロウ,パラフィンワックス,鯨ロウ,ミツロウ,キャンデリラワックス,ラノリン等のワックス類、高級アルコール類(セタノール,ステアリルアルコール,ラウリルアルコール,セトステアリルアルコール,オレイルアルコール,ベヘニルアルコール,ラノリンアルコール,水添ラノリンアルコール,ヘキシルデカノール,オクチルドデカノール等),ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,ベヘニン酸,イソステアリン酸,オレイン酸,リノレン酸,リノール酸,オキシステアリン酸,ウンデシレン酸,ラノリン脂肪酸,硬質ラノリン脂肪酸,軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸類、コレステリル−オクチルドデシル−ベヘニル等のコレステロールおよびその誘導体、イソプロピルミリスチン酸,イソプロピルパルミチン酸,イソプロピルステアリン酸,2エチルヘキサン酸グリセロール,ブチルステアリン酸等のエステル類、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリトリトールエーテル,ポリオキシプロピレンブチルエーテル,リノール酸エチル等の極性オイル、アミノ変性シリコーン,エポキシ変性シリコーン,カルボキシル変性シリコーン,カルビノール変性シリコーン,メタクリル変性シリコーン,メルカプト変性シリコーン,フェノール変性シリコーン,片末端反応性シリコーン,異種官能基変性シリコーン,ポリエーテル変性シリコーン,メチルスチリル変性シリコーン,アルキル変性シリコーン,高級脂肪酸エステル変性シリコーン,親水性特殊変性シリコーン,高級アルコキシ変性シリコーン,高級脂肪酸含有シリコーン,フッ素変性シリコーン等のシリコーン類等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
なお、上記シリコーン類は、より具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサンエマルション、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン等である。
保湿剤としては、トリオクタン酸グリセリル、マルチトール、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリコール等の多価アルコール、ピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ、クエン酸ソーダなど有機酸およびその塩、ヒアルロン酸ソーダなどヒアルロン酸およびその塩、酵母および酵母抽出液の加水分解物、酵母培養液、乳酸菌培養液など醗酵代謝産物、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性蛋白、コラーゲン加水分解物、カゼイン加水分解物、シルク加水分解物、ポリアスパラギン酸ナトリウム等のぺプチド類およびその塩、トレハロース、キシロビオース、マルトース、蔗糖、ブドウ糖、植物性粘質多糖等の糖類・多糖類およびその誘導体、水溶性キチン、キトサン、ペクチン、コンドロイチン硫酸およびその塩等のグリコサミノグリカンおよびその塩、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、アスパラギン酸、チロシン、バリン、ロイシン、アルギニン、グルタミン、プロリン酸等のアミノ酸、アミノカルボニル反応物等の糖アミノ酸化合物、アロエ、マロニエ等の植物抽出液、トリメチルグリシン、尿素、尿酸、アンモニア、レシチン、ラノリン、スクワラン、スクワレン、グルコサミン、クレアチニン、DNA、RNA等の核酸関連物質等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
有機微粒子としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合系ラテックス、アクリル系エマルジョン等の乳化重合によって得られるラテックス・エマルジョンやポリウレタン水分散体があげられる。また、無機微粒子としては、例えば、ゼオライト、モンモリロナイト、アスベスト、スメクタイト、マイカ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン等の無機微粒子があげられる。そして、これらの微粒子は、噴霧特性を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化されたものが望ましい。
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等があげられる。
消臭剤・香料としては、リモネン、デシルアルデヒド、メントン、プレゴン、オイゲノール、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メントール、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、植物の各器官より抽出した消臭有効成分(例えば、水や親水性有機溶剤により、カタバミ,ドクダミ,ツガ,イチョウ,クロマツ,カラマツ,アカマツ,キリ,ヒイラギモクセイ,ライラック,キンモクセイ,フキ,ツワブキ,レンギョウの各器官から抽出し得られた消臭有効成分)等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
有機溶媒としては、水に可溶するアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)やN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
なお、これらの機能性添加剤は、本発明のスプレー用組成物の利用分野、要求性能に応じて、単独であるいは二種以上併せて用いられるものであり、その配合量も要求性能に応じて適正な範囲で用いられる。
本発明のスプレー用組成物は、上記(A)セルロース繊維および(B)水〔また必要に応じて(C)機能性添加剤等〕の各成分を、種々の分散機で分散することにより、調製される。この分散機としては、(A)セルロース繊維を調製する際に使用した分散機と同様のものが用いられる。また、先にも述べたように、(A)セルロース繊維調製時(微細化処理時)に、(B)水(分散媒体)や、(C)機能性添加剤を添加してもよいが、(A)セルロース繊維を調製した後、水および機能性添加剤を添加し、上記分散機により分散を行ってもよい。また、(A)セルロース繊維は、乳化安定剤としての働きもあるため、オイル類を配合するときには、あらかじめセルロース繊維分散体とオイル類を、常法のO/W型乳化エマルジョンの調整方法に従い調製すればよい。その際に、乳化安定剤となる非イオン性の界面活性剤等を併用しても良く、セルロース繊維の配合量は、乳化安定性とスプレー性を考慮して決定する。
本発明のスプレー用組成物では、その粘度や、(A)セルロース繊維の含有割合は、母液滴の大きさなどの観点から特定の範囲に調整される。すなわち、本発明では、上記(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1〜3.0重量%であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )が、ηmax ≧1×104 mPa・sと設定されており、これにより、液だれが発生せずに、良好なスプレー塗布が可能となる。また、本発明では、上記粘度の最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sと設定されていることから、微細な母液滴としてスプレーされ、むらが生じない。これとは逆に、ηmax の値が1×104 mPa・sを下回る低粘性の組成物では、噴霧液滴の液だれ防止性が期待できなくなり、また、ηmin の値が1×102 mPa・sを上回ると、母液滴が大きくなり、スプレーむらを発生する。なお、スプレー噴霧における塗布密度が比較的低い場合には、ηmax ≧1×104 mPa・sを満足していれば充分に液だれ防止性が期待できるが、厚く塗布するような場合にはηmax ≧1×104 mPa・sを満たしていても、液だれ防止を阻止できないことが起こり得るため、スプレーによる塗布のあらゆる条件で、液だれ防止等の、本発明のスプレー用組成物の効果を充分に発現させるためには、ηmax ≧5×104 mPa・sであることが好ましい。また、通常の塗布密度では、ηmin ≦1×102 mPa・sを満足していればスプレーむらは生じないが、ごく薄く均一にスプレーしたい場合にはηmin ≦5×101 mPa・sであることが好ましい。また、本発明のスプレー用組成物において、噴霧を安定して行える範囲として、ηmax の値は109 mPa・sを超えないことが望ましい。
本発明のスプレー用組成物は、高いチキソトロピー性を有しているため、スプレー剤とした際、スプレー噴霧時には低粘度化して良好な噴霧を実施できるが、噴霧後液滴が被覆表面に定着するまでに粘度が回復するため、表面へ定着した後の液だれが極めて起こり難い。さらに本発明のスプレー用組成物は、50℃以上の高温においても粘度低下が起こらず温度安定性に優れており、水溶性高分子特有のべたつき感が無く、塗布後の展延性にも優れた性質を有している。
そして、本発明のスプレー噴霧装置は、上記スプレー用組成物を噴霧装置内に収容してなるものである。上記噴霧装置は、上記組成物を容易に充填でき、噴霧を可能とし、スプレー剤として機能するものであればよいが、汎用性や噴霧性能の精度の高さを考慮すると、以下の3つの形態(1)〜(3)であることが好ましい。
(1)噴霧可能なポンプ式ノズルを装着したディスペンサー式噴霧器:本噴霧器は、大気圧で噴霧を操作でき、加圧ガスなどを必要とせず、かつ容器構造も比較的単純であるので安全性が高く、携帯用に向いた噴霧装置である。構造は、吸い上げ用のチューブを装着した押し出しポンプ式のノズルと、これを固定し、上記組成物を充填するねじ式容器からなる。ここでいうディスペンサー式噴霧装置には、噴霧性能を高めるためにポンプ式ノズルの構造改良を行った装置等もすべて含まれる。噴霧特性は、噴出しノズルの孔径やポンプの1回当たりの押し出し体積等に依存するが、これらの条件は目的に応じて選定する。
(2)トリガー式噴霧器:トリガー式噴霧器は、住宅用洗剤、衣料用糊剤、台所用洗剤などの噴霧器として、上記組成物を充填する容器本体の口部にピストル状のトリガー式スプレー装置が装着されたものであり、大気圧で噴霧を操作でき、液体噴霧器として汎用性の高いものである。ここでいうトリガー式噴霧器には、噴霧性能を高めるために、トリガー式スプレー装置の一部を改良したものもすべて含まれる。
(3)エアゾール式噴霧器:エアゾール式噴霧器は、容器内への噴射剤を充填することによって上記2つの噴霧装置では実現できない連続噴霧化あるいは連続フォーム形成を可能とするものである。ここでいうエアゾール式噴霧器には、エアゾール式容器の噴射装置部分に改良を施したもの等もすべて含まれる。一般的に、本噴霧器を用いた噴霧化では、大気圧下で実施する上記2つの噴霧に比べ、より細かな噴霧が可能となる。エアゾール式噴霧で使用する噴射剤としては、ジメチルエーテル、液化石油ガス、炭酸ガス、窒素ガス、アルゴンガス、空気、酸素ガス、フロンガス等をあげることができ、これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
これらいずれの噴霧装置を用いた場合であっても、母液として本発明のスプレー用組成物を用いることにより、噴霧装置内の収容物がゲル状となるため、容器内部で母液の流動が起こらず、スプレー噴霧装置の全方位での噴霧化が可能となる。極端な場合、逆さまにしてもスプレーすることができ、スプレー噴霧装置として良好に機能するようになる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<グルコース単位当たりの置換度の測定方法>
セルロース繊維を0.6質量%スラリーに調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.4とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量からカルボキシル基量を測定し、下式を用いて算出した。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
Figure 2016065030
<数平均繊維径の測定方法>
セルロース繊維に水を加えて2質量%のスラリーとして、ディスパー型ミキサーを用いて回転数8,000rpmで10分間微細化処理を行った。各セルロース繊維の最大繊維径および数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
<結晶構造の確認方法>
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて広角X線回折像を測定し、各セルロース繊維の回折プロファイルにセルロースI型またはII型に典型的なX線回折パターン(I型:回折角2θ=14.8°、16.8°、22.6°、II型:回折角2θ=12.1°、19.8°、22.0°)がみられる場合は結晶構造を有すると判断した。
<アスペクト比の測定方法>
セルロースを親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、セルロースの短幅の方の数平均幅、長幅の方の数平均幅を観察した。すなわち、各先に述べた方法に従い、短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を算出し、これらの値を用いてアスペクト比を前述の式(1)に従い算出した。
(セルロース繊維の製造)
〔製造例1〕
撹拌機に、パルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で18g加え、パルプ固形分濃度が15%になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後に70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウムを23g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりの置換度0.01のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプに水を添加して固形分濃度5%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理し、数平均繊維径74nm、アスペクト比67で、結晶構造を有するセルロース繊維1の分散液を得た。
〔製造例2〕
水酸化ナトリウムを176g、モノクロロ酢酸ナトリウムを234g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維2の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.10であり、数平均繊維径は10nm、アスペクト比140で、結晶構造を有していた。
〔製造例3〕
水酸化ナトリウムを308g、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維3の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.25であり、数平均繊維径は6nm、アスペクト比160で、結晶構造を有していた。
〔製造例4〕
水酸化ナトリウムを9g、モノクロロ酢酸ナトリウムを12g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維4の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.005であり、数平均繊維径は620nm、アスペクト比18で、結晶構造を有していた。
〔製造例5〕
水酸化ナトリウムを476g、モノクロロ酢酸ナトリウムを632g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維5の分散液を得た。なお、得られたセルロースのグルコース単位当たりの置換度は0.6であり、数平均繊維径は測定できず、結晶構造はみられなかった。
〔製造例6〕
水酸化ナトリウムを308g、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)、高圧ホモジナイザーによる処理を20回に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維6の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.25であり、数平均繊維径は測定できず、結晶構造はみられなかった。
〔製造例7〕
撹拌機に、パルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で308g加え、パルプ固形分濃度が15%になるように水を加えた。その後、70℃で9時間攪拌した後に、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりの置換度0.28のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプに水を添加して固形分濃度5%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理し、セルロース繊維7の分散液を得た。数平均繊維径は測定できず、結晶構造はみられなかった。
(スプレー性の評価1)
〔実施例1−1〜1−9〕
上記セルロース繊維1ないし3にイオン交換水を添加し下記表1に示す濃度(固形分換算)に調整後、ホモミキサー(プライミクス社製、T.Kロボミックス、8,000rpm×10分)を用いて分散して、試料を調整した。
〔比較例1−1、1−2〕
市販の増粘剤であるカルボキシビニルポリマー(製品名:カーボポール980、BFGoodrich社製)にイオン交換水を添加し、下記表1に示す濃度(固形分換算)に調整後、ホモミキサー(プライミクス社製、T.Kロボミックス、8,000rpm×10分)を用いて分散して、試料を調整した。
〔比較例1−3、1−4〕
カルボキシビニルポリマーをポリアクリルアミド(平均分子量:900万〜1000万、キシダ化学社製)に変更した以外は比較例1−1,1−2と同様に分散し試料を調整した。
〔比較例1−5、1−6〕
カルボキシビニルポリマーを合成スメクタイト微粒子(製品名:スメクトンSA、クニミネ工業社製)に変更した以外は比較例1−1,1−2と同様に分散し試料を調整した。
各試料を下記評価方法により評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
〔評価方法〕
[流動特性]
上記試料の、コーン・プレート型回転粘度計(Rheosol−G2000、UBM社製)の測定による、1×10-3-1〜1×103-1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )および最小値(ηmin )を求めた。
×:ηmax<1×104 mPa・s または ηmin >1×102 mPa・s である。
○:ηmax≧1×104 mPa・s かつ ηmin ≦1×102 mPa・s である。
上記試料を、各々、市販の容量50 mL用のディスペンサー型のスプレー容器(三谷ポンプ社製、ノズル:Z-75-1、ポンプ:H04-050)に20 mL充填した。ガラス板を垂直に立て、水平距離で10 cm の位置から噴霧を連続して5回実施し,噴霧状態と付着した液滴の液だれの有無を観察した。下記の基準に従い、スプレー特性(噴霧特性)の評価を行った。
[噴霧状態]
×:ミストとして噴射されない、またはつまりが生じて噴射できない。
△:ミストとして噴射されるものとミストにならないものが混在する。
○:良好なミストとして噴射される。
[液だれ]
×:噴霧から1分以内に液だれする。
○:噴霧から1分以上液だれしない。
Figure 2016065030
上記表1の結果から、置換度が0.02以上0.25以下であり、数平均繊維径が2nm以上150nm以下のセルロース繊維1ないし3は各評価項目において優れた結果を示しているのに対し、市販の増粘剤は各評価項目においてセルロース繊維1ないし3に対して劣る結果となった。
(スプレー性の評価2)
〔実施例2−1〜2−15〕
セルロース繊維1ないし3の各濃度が、1.5質量%(固形分換算値)、水および各種添加剤(NaCl、エタノール、ジメチルポリシロキサン、(D)-リモネン、酸化チタン)を下記の表2に示す割合で添加してホモミキサー(プライミクス社製、T.Kロボミックス、12,000rpm×10分)を用いて分散して、各試料を調整した。
〔比較例2−1〜2−20〕
セルロース繊維1ないし3をセルロース繊維4ないし7に置き換えた以外は上記実施例2−1〜2−15と同様の方法で各試料を調整した。
〔評価方法〕
[ゲル状態]
各試料調整後、25℃にて24時間静置した後、ゲルの様子を確認して下記の基準で評価した。
分離:分離がみられる。
× :流動性がある。
○ :流動性がない。
噴霧状態及び液だれは上記と同じ方法で評価を行った。
評価結果を下記表2に示す。
Figure 2016065030
上記表2に示す通り、セルロース繊維1ないし3を使用した場合、各評価項目において優れた評価結果となったが、セルロース繊維4ないし7を使用した場合、いずれの添加剤を配合した場合でもゲル状を呈せず、その他の評価においても不良となった。
本発明のスプレー用組成物は、ゲル状であり、天然素材を増粘剤として使用し、また、各種機能性添加剤との配合性にも富んでいるところからスプレー型化粧品、スプレー型芳香剤などのトイレタリー用品用基材、各種軟膏、各種皮膚外用剤の他、創傷治癒剤、臓器癒着防止剤等として広く好適に利用できる。


Claims (4)

  1. 下記の(A)および(B)成分を含有し、(A)成分のセルロース繊維の含有割合が0.1質量%以上3.0質量%以下であり、かつ、コーン・プレート型回転粘度計の測定による,1×10-3-1〜1×103 -1を含むずり速度領域において,20℃で測定した粘度の最大値(ηmax )がηmax ≧1×104 mPa・sであり、最小値(ηmin )がηmin ≦1×102 mPa・sであることを特徴とするスプレー用組成物。
    (A)数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。
    (B)水。
  2. 上記(A)および(B)成分とともに、下記の(C)成分を含有する請求項1記載のスプレー用組成物。
    (C)機能性添加剤。
  3. 上記(C)成分の機能性添加剤が、電解質、イオン性物質、界面活性剤、オイル類、保湿剤、有機微粒子、無機微粒子、防腐剤、消臭剤および香料からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項2または3記載のスプレー用組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組成物を収容することを特徴とするスプレー噴霧装置。
JP2014242771A 2014-09-19 2014-12-01 スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置 Active JP6425518B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014191722 2014-09-19
JP2014191722 2014-09-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016065030A true JP2016065030A (ja) 2016-04-28
JP6425518B2 JP6425518B2 (ja) 2018-11-21

Family

ID=55804982

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014242771A Active JP6425518B2 (ja) 2014-09-19 2014-12-01 スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6425518B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017222610A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 日本製紙株式会社 発泡性エアゾール組成物
KR102107339B1 (ko) * 2019-09-05 2020-05-07 주식회사 건바이오 생체 적합성, 조직 부착성, 생분해성 및 유착방지 효과가 개선된 유착방지제 및 이를 포함하는 유착 방지제 분사 장치
EP3763351A1 (en) * 2019-07-06 2021-01-13 American Spraytech, L.L.C. Aerosol texturizing hair filler with fibers
CN113950358A (zh) * 2019-05-31 2022-01-18 花王株式会社 覆膜形成组合物
WO2023193075A1 (pt) * 2022-04-08 2023-10-12 Eurofarma Laboratórios S.A. Composição em spray nasal bioadesivo, processo de preparação e uso

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04506656A (ja) * 1989-04-20 1992-11-19 ブーク メディテック エイ/エス 美容用組成物
JP2010037200A (ja) * 2008-07-31 2010-02-18 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置
JP2011057747A (ja) * 2009-09-07 2011-03-24 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd スプレー用液体洗浄剤組成物およびそれを用いたスプレー容器入り洗浄剤
WO2011089709A1 (ja) * 2010-01-22 2011-07-28 第一工業製薬株式会社 粘稠な組成物
JP2014500287A (ja) * 2010-12-21 2014-01-09 アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ 水性化粧料用途のインスタントパウダー
JP2016060888A (ja) * 2014-09-22 2016-04-25 第一工業製薬株式会社 スプレー用液体洗浄剤組成物およびそれを用いたスプレー容器入り洗浄剤
JP2016069618A (ja) * 2014-09-28 2016-05-09 第一工業製薬株式会社 水系塗料組成物
JPWO2014088072A1 (ja) * 2012-12-07 2017-01-05 日本製紙株式会社 カルボキシメチル化セルロースの繊維

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04506656A (ja) * 1989-04-20 1992-11-19 ブーク メディテック エイ/エス 美容用組成物
JP2010037200A (ja) * 2008-07-31 2010-02-18 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置
JP2011057747A (ja) * 2009-09-07 2011-03-24 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd スプレー用液体洗浄剤組成物およびそれを用いたスプレー容器入り洗浄剤
WO2011089709A1 (ja) * 2010-01-22 2011-07-28 第一工業製薬株式会社 粘稠な組成物
JP2014500287A (ja) * 2010-12-21 2014-01-09 アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ 水性化粧料用途のインスタントパウダー
JPWO2014088072A1 (ja) * 2012-12-07 2017-01-05 日本製紙株式会社 カルボキシメチル化セルロースの繊維
JP2016060888A (ja) * 2014-09-22 2016-04-25 第一工業製薬株式会社 スプレー用液体洗浄剤組成物およびそれを用いたスプレー容器入り洗浄剤
JP2016069618A (ja) * 2014-09-28 2016-05-09 第一工業製薬株式会社 水系塗料組成物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017222610A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 日本製紙株式会社 発泡性エアゾール組成物
WO2017217511A1 (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 日本製紙株式会社 発泡性エアゾール組成物
CN109310614A (zh) * 2016-06-16 2019-02-05 日本制纸株式会社 发泡性气雾剂组合物
US11648189B2 (en) 2016-06-16 2023-05-16 Nippon Paper Industries Co., Ltd. Foamable aerosol composition
CN113950358A (zh) * 2019-05-31 2022-01-18 花王株式会社 覆膜形成组合物
CN113950358B (zh) * 2019-05-31 2023-11-03 花王株式会社 覆膜形成组合物
EP3763351A1 (en) * 2019-07-06 2021-01-13 American Spraytech, L.L.C. Aerosol texturizing hair filler with fibers
KR102107339B1 (ko) * 2019-09-05 2020-05-07 주식회사 건바이오 생체 적합성, 조직 부착성, 생분해성 및 유착방지 효과가 개선된 유착방지제 및 이를 포함하는 유착 방지제 분사 장치
WO2023193075A1 (pt) * 2022-04-08 2023-10-12 Eurofarma Laboratórios S.A. Composição em spray nasal bioadesivo, processo de preparação e uso

Also Published As

Publication number Publication date
JP6425518B2 (ja) 2018-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5269513B2 (ja) スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置
US9901527B2 (en) Viscous composition
JP5502712B2 (ja) 粘性水系組成物
JP6425518B2 (ja) スプレー用組成物およびそれを用いたスプレー噴霧装置
JP5269512B2 (ja) 化粧料組成物
JP6769748B2 (ja) 発泡性エアゾール組成物
US7094448B2 (en) Spray pack
JP6439937B2 (ja) 増粘性組成物
JP5795094B2 (ja) 増粘剤組成物
JP2019206521A (ja) カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを含む添加剤
JPWO2004061043A1 (ja) スプレー用組成物
JP2010018645A (ja) 後発泡性エアゾール組成物および該後発泡性エアゾール組成物を用いるエアゾール製品
JP7100550B2 (ja) スプレー用組成物
JP2016069294A (ja) 昆虫忌避剤組成物およびスプレー式昆虫忌避剤
JP6121887B2 (ja) 噴霧型化粧料
WO2020066163A1 (ja) 粒子含有組成物、スプレー用組成物、およびゲル状組成物
JP2016065031A (ja) 化粧料組成物
JP2022179845A (ja) ミスト化粧料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180424

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181023

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6425518

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150