〔部品供給装置〕
本発明の一実施形態に係る部品供給装置1を、図1乃至図19を参照しつつ説明する。なお、各図面において、説明に不要な部分の各構成については、適宜、省略されている。図1は、部品供給装置1の平面図であり、図2は、部品供給装置1の正面図であり、図3は、クランプ2の斜視図である。
部品供給装置1は、複数個のクランプ2の集まり(以下、クランプ群20)から、クランプ2を1つずつ向きを揃えながら取り出し、その取り出したクランプ2を作業者が受け取る位置まで搬送する装置であり、作業者がクランプ2を受け取る動作を利用して作動する装置である。
ここで、先ずクランプ2について説明する。クランプ2は、自動車のエンジン吸気系のエアクリーナ(不図示)で利用されるC字型部品である。クランプ2は、エアクリーナのハウジング(キャップ及びケース)を固定するための部品であり、短冊状をなした金属製の板材を所定形状に加工したものからなる。
クランプ2は、図3に示されるように、外側に膨らんだ円弧状のクランプ本体部2aと、クランプ本体部2aの一端に接続され外側に膨らんだ円弧状係合部(軽端部の一例)2bと、クランプ本体部2aの他端に接続され外側に折り返された板片状の折返し部(重端部の一例)2cとからなる。なお、円弧状係合部2bには、厚み方向に貫通する貫通孔2dが形成されている。クランプ2は、全体的にはC字型をなしているものの、両端の形状及び両端の重さが互いに異なった左右非対称の部品である。本実施形態の場合、円弧状係合部2bよりも、折返し部2cの方が大きく、かつ重くなっている。
このようなクランプ2を複数個まとめた状態(つまり、クランプ群20の状態)で保管すると、クランプ2同士が互いに絡まり易い。このようなクランプ2を、部品供給装置1を用いることで、クランプ群20から1つずつ向きが揃えられた状態でクランプ2を取り出すことができる。
部品供給装置1は、主として、ほぐし装置3、中継滑走部(中継レール)4、受取装置5、動力伝達装置6を備えている。なお、ほぐし装置3、中継滑走部4、受取装置5及び動力伝達装置6は、それぞれ水平な載置台7上に設置されている。
ほぐし装置3は、回転動作によりクランプ群20を解しつつ、クランプ群20から1つずつ向きを揃えた状態でクランプ2を取り出す装置である。中継滑走部4は、ほぐし装置3により取り出されたクランプ2を、重力(自重)で滑走させながら1つずつ受取装置5まで搬送する部分である。受取装置5は、ほぐし装置3により取り出されたクランプ2を中継滑走部4を介して受け取り、その受け取ったクランプ2を作業者が取り出して受け取る際に下方へ引っ張る力を利用して、動力伝達装置6を介してほぐし装置3を作動させる装置である。動力伝達装置6は、作業者がクランプ2を受取装置5から取り出して受け取る際に受取装置5に加えられた力を、ほぐし装置3へ伝達する装置である。
作業者は、部品供給装置1の正面側(図1の下側、及び図2の紙面手前側)に配置される。図1に示されるように、受取装置5は、載置台7の左端側に配され、作業者側に近付くように傾斜した状態で載置台7上に配設されている。この受取装置5の右隣に、中継滑走部4が配設されている。そして、中継滑走部4の右隣に、ほぐし装置3が配設されている。中継滑走部4は、図1に示されるように、ほぐし装置3から受取装置5に向かって載置台7の奥側から手前側に近付くように湾曲した形をなしている。また、ほぐし装置3の右隣(載置台7の右側)には、動力伝達装置6が配されている。なお、図2等においては、説明の便宜上、受取装置5は、傾斜した状態ではなく、左右方向に配された状態で示されている。
ほぐし装置3は、クランプ群20を収容し、一方向に回転可能な状態で支持される回転ドラム31を備えている。回転ドラム31は、円筒状の有底の容器からなり、クランプ群20を収容する収容部32と、蓋部33とを備えている。回転ドラム31は、回転軸方向Lが水平方向(左右方向)となるように設定されている。回転ドラム31の収容部32は、円筒状の周壁部32aと、周壁部32aの一端(図1の右側の端部)に配される円形の底部32bとを備えている。収容部32は、周壁部32aの開口端32cが図1の左側を向き、かつ底部32bが図1の右側を向くように設定されている。
図4は、ほぐし装置3の左側面図である。蓋部33は、全体的には、開口端32cの内側空間を概ね塞ぐような形をなしており、収容部32(周壁部32a)の開口端32cに外嵌する形で取り付けられる。蓋部33の略中央には、回転ドラム31内から外側へクランプ2等を通過させる貫通孔状の通過口33aが設けられている。通過口33aは、底部32bと対向するように蓋部33に設けられている。
このような蓋部33は、収容部32の開口端32cに外嵌し、中央に円形状の貫通孔33bを含む円環状の外側蓋部33cと、外縁が外側蓋部33cの内周縁と外側(左側方)から重なるように外側蓋部33cの中央に配され、外側蓋部33cの内周縁の一部との間で前記通過口33aを形成する切り欠き部33dを有する中央蓋部33eとからなる。なお、蓋部33は、外側蓋部33cの外周縁部が、開口端32c側の周壁部32aの外周面32a1上に設けられた円環状の凸部32dと当接した状態で収容部32に固定されている。
また、ほぐし装置3は、回転ドラム31の内部に配され、クランプ2の向きを一定方向に揃えた状態で回転ドラム31内から1つずつクランプ2を取り出す取出し部34を備えている。
取出し部34は、通過口33aから回転ドラム31内に挿入された状態で保持され、底部32b側から通過口33aに向かって下るように傾斜する長手状の部材(本実施形態の場合、金属製の円筒状部材)からなり、円弧状の曲面(外周面)35aが長手方向に延びてなる滑走面35aを有し、クランプ2を回転ドラム31の外側(通過口33a側)へ向けて滑走させる滑走部35を備えている。
更に、取出し部34は、滑走面35aに隣接しつつ滑走部35の長手方向に亘って形成され、滑走面35aから凸条に盛り上がり、クランプ2の折返し部(重端部)2cを受けるための受け部36を備えている。
このような取出し部34は、載置台7上に立設されている支持部81によって、通過口33aから回転ドラム31内に挿入され、所定の傾斜角度を維持した状態で保持されている。なお、取出し部34の滑走部35に対して、クランプ2は、クランプ本体部2aの内側(凹状に窪んだ部分)から滑走面35aに対して被さるように載せられる。
なお、クランプ2の折返し部2cが受け部36に載るような向きで、クランプ2が滑走部35に載せられた場合、クランプ2は、周方向へ移動して滑走部35から落ちないように受け部36によって折返し部2cが支えられる。
これに対し、クランプ2の円弧状係合部2bが受け部36に載るような向きで、クランプ2が滑走部35に載せられた場合、クランプ2は、自重により折返し部2cが滑走面35aの周方向に沿って下方へ移動するように滑走部35から落下する。
また、上述の回転ドラム31は、収容部32の内周面32a2上に立設された複数の羽根部37を備えている。図5は、ほぐし装置3の内部構造の説明図である。図5には、左側方(図1参照)から回転軸方向Lに沿って見たほぐし装置3の内部構造が示されている。羽根部37は、帯状の金属製板材を加工したものからなり、略L字状に折り曲げられた基部37aが周壁部32aに固定されている。羽根部37の先端部37bは、回転ドラム31の略中央に配設されている取出し部34を向くように設定されている。
複数の羽根部37は、取出し部34を取り囲むように、周壁部32aの内周面32a2上で環状に並べられている。羽根部37の先端部37bと、取出し部34との間には、所定の隙間が設けられており、羽根部37と取出し部34とが互いに干渉することを防止するため防止されている。なお、このような隙間は、羽根部37から取出し部34へクランプ2を移動し易くする等の目的でも適宜、調節される。各羽根部37は、取出し部34に向かうにつれて、先端部37bが蓋部33側から底部32b側に、又は底部32b側から蓋部33に向かって反るような形としてもよい。なお、羽根部37としては、直線状に真っ直ぐに延びた形状であってもよいが、上述のように、反るような形とすることで、クランプ2が羽根部37に引っ掛かり易くなる。
本実施形態の場合、複数の羽根部37からなる環状の列が、回転ドラム31の回転軸方向Lにおいて、2つ形成されている。そのため、説明の便宜上、回転ドラム31の蓋部33側に配される環状の列を構成する羽根部37を「羽根部37A」と表し、底部32b側に配される環状の列を構成する羽根部37を「羽根部37B」と表す場合がある。図5に示されるように、隣り合った羽根部37Aの間、及び隣り合った羽根部37Bの間には、それぞれ隙間が設けられている。また、羽根部37Aと羽根部37Bとは、互いに基部37aが回転軸方向Lで重ならないように設定されている。
また、ほぐし装置3は、収容部32の内周面32a2上に形成されたガイド部38を備えている。ガイド部38は、帯状の金属製板材を加工したものからなり、長手方向が内周面32a2に沿うように周壁部32aに固定されている。ガイド部38は、羽根部37と比べて内周面32a2からの高さが低く、収容部32の底部32b側から蓋部33側に向うにつれて傾斜するように設けられている。
図6は、ほぐし装置3及び動力伝達装置6の断面構成を模式的に表した説明図である。図6には、回転軸方向Lに沿って切断された状態のほぐし装置3が示されている。図6等に示されるように、ほぐし装置3の回転ドラム31は、載置台7上に立設されている一対の支持部82,82によって蓋部33側が支えられている。各支持部82,82の先端には、ローラ82a,82aが回転自在な状態で保持されており、それらのローラ82a,82aが蓋部33付近の外周面と接触した状態で回転ドラム31を支えている。また、回転ドラム31の底部32bには、動力伝達装置6を構成するワンウェイクラッチ機構を備えたベアリング61が外側から取り付けられている。ベアリング61の一部は、載置台7上に立設されている支持部83により固定されている。つまり、回転ドラム31の底部32b側は、ベアリング61を介して支持部83によって支えられている。
また、ほぐし装置3は、ワンウェイクラッチ機構を備えたベアリング61に挿着される回転軸39を備えている。回転軸39は、ベアリング61に挿入する形で装着される円柱状の挿着部39aと、この挿着部39aに延設され、挿着部39aよりも外径が小さい円柱状をなし、後述する揺動部65が固定される固定部39bとからなる。なお、ベアリング61は、回転軸39に対して外嵌する形で装着されている。
動力伝達装置6は、上述したベアリング61以外に、ワイヤー62、滑車63、揺動部(プーリー)65、重り66、逆回転防止部67等を備えている。
ワイヤー62は、予め一定の長さに設定されており、受取装置5と、回転軸39に固定される揺動部65との間を繋ぎ、作業者により受取装置5に加えられた力を揺動部65へ伝達する。ワイヤー62は、受取装置5と揺動部65との間で、2つの滑車63,63に架けられた状態で弛まないように張られている。これらの滑車63,63は、載置台7上に取り付けられており、一方の滑車63が受取装置5の下方に配され、他方の滑車63が揺動部65の下方に配されている。なお、滑車63からの脱落防止等を目的として、可撓性を備えたプラスチック製のチューブ内にワイヤー62を挿し通し、その状態でワイヤー62を滑車63に架けてもよい。
図7は、待機状態の部品供給装置1の右側面図である。揺動部(プーリー)65は、円弧状の外周縁65aを有する略半円型の板状部材からなり、回転軸39と共に回転するように構成されている。揺動部65の円弧状の外周縁65aには、凹状の溝部が円弧状に形成されており、その溝部に沿ってワイヤー62が掛けられる。揺動部65側のワイヤー62の端部62aは、ビス等の固定手段65bを利用して、揺動部65の外周縁65aに固定されている。揺動部65は、円弧状の外周縁65aが上方に配されるように、ビス等の固定手段65cを利用して、回転軸39の固定部39bに固定されており、回転軸39と一体的に回転する。図7に示されるように、揺動部65を部品供給装置1の左側方から見た際に、右側の外周縁65aから下方の滑車63に向かってワイヤー62が張られている。これに対し、左側の外周縁65aには、紐66aを介して重り66が吊り下げられている。紐66aの一端は、揺動部65の外周縁65aにビス等の固定手段65dを利用して固定されており、その他端は、重り66に接続されている。
図7には、部品供給装置1の待機状態において、原位置で静止した状態の揺動部65が示されている。この状態において、ワイヤー62が受取装置5によって引っ張られると、揺動部65は、部品供給装置1の左側方から見て、時計回りに所定の角度だけ回転(以下、正回転)する。なお、後述するように、揺動部65は、部品供給装置1の左側方から見て反時計回りに回転(以下、逆回転)して、原位置に戻ることができる。揺動部65は、正回転と逆回転とを交互に繰り返すことで揺動する。
ベアリング61は、内側に回転軸39の挿着部39aが挿入される円環状の内輪部61aと、内側に内輪部61aが嵌められる円環状の外輪部61bと、内輪部61aの外周面と外輪部61bの内周面との間に配され、各々がリテーナで保持された球状の複数の転動体61c等を備えている。
内輪部61aは、回転ドラム31の底部32bに対して外側(図1の左側)から隣接する形で取り付けられる。なお、内輪部61aは、底部32bの内側から外側にある内輪部61aに向かってプレート61dを介して挿し込まれる皿螺子61eを利用して、回転ドラム31に固定されている。
内輪部61aの外周面上には、内輪部61aを取り囲むように複数個の球状の転動体61cが円環状に配され、その転動体61cの回りを囲むように、外輪部61bが内輪部61aに対して回転自在な状態で装着されている。なお、外輪部61bは、載置台7上に立設されている支持部83の上端部83aに、ビス等の固定手段61fを利用して固定されている。
内輪部61aの内周面には、回転軸39を一方向のみに回転させるためのクラッチ部61a1が設けられている。クラッチ部61a1は、所謂ローラ式のワンウェイクラッチ機構であり、ローラ、スプリング、カム面等の機械要素を備えている。クラッチ部61a1は、回転軸39の挿着部39aの外周面を取り囲むように配される。回転軸39が正回転すると、クラッチ部61a1の作用により、回転軸39の動力が内輪部61aに伝達され、回転軸39と共に内輪部61aも正回転する。これに対し、回転軸39が逆回転すると、内輪部61aは、回転軸39からの動力伝達が切断され、回転軸39に対して空転する。なお、内輪部61aから外側に露出する回転軸39の回りには、クラッチ部61a1を覆うように円環状のカバー61gが取り付けられている。
逆回転防止部67は、ギア部67aと、爪部67bとを備え、回転ドラム31の逆回転を防止するラチェット機構からなる装置である。ギア部67aは、ベアリング61の外輪部61bよりも大きな円環状をなし、外周縁には複数の歯67a1が並んだ歯列が設けられている。ギア部67aは、内側にベアリング61が配されるように、回転ドラム31の底部32bに、外側から取り付けられている。なお、ギア部67aは、ビス等の固定手段62cを利用して底部32bに固定されている。
爪部67bは、帯状の金属製板材を加工したものからなり、載置台7上に立設された柱状の支持部84の上端部に固定されている。爪部67bは、板ばねのような弾性を備えており、爪部67bの先端67b1がギア部67aの歯67a1に押し当てられている。爪部67bの先端67b1は、ギア部67aの歯67a1に対して接触しているものの、回転ドラム31は正回転することができる。これに対し、回転ドラム31が逆回転しようとすると、爪部67bの先端67b1が、ギア部67aの歯67a1と係止するめ、その結果、回転ドラム31の逆回転が防止される。
(部品供給装置1の動作)
次いで、部品供給装置1の動作を説明する。部品供給装置1は、受取装置5に蓄えられているクランプ2を作業者が取り出すことで始動する。部品供給装置1が始動すると、受取装置5が動力伝達装置6のワイヤー62を引っ張り、ほぐし装置3の回転ドラム31を正回転させる。回転ドラム31が正回転すると、回転ドラム31内のクランプ群20からクランプ2が1つずつ向きが揃えられた状態で取り出される。取り出されたクランプ2は、中継滑走部4を介して受取装置5まで搬送され、受取装置5で蓄えられる。以下、部品供給装置1の動作を詳細に説明する。
図1及び図2には、待機状態の部品供給装置1が示されている。待機状態の部品供給装置1には、予め回転ドラム31内に複数個のクランプ2(クランプ群20)が供給されている。回転ドラム31の周壁部32aには、図示されない開閉式の供給口が設けられており、その供給口から回転ドラム31内にクランプ2が適宜、供給される。なお、説明の便宜上、図2の回転ドラム31内のクランプ2(クランプ群20)は省略されている。
作業者が、受取装置5で保持されて蓄えられているクランプ2を取り出すと、受取装置5が作動して動力伝達装置6のワイヤー62が引っ張られる。なお、受取装置5の詳細な構成及び動作については、後述する。
ワイヤー62が受取装置5によって引っ張られると、ワイヤー62に引っ張られて揺動部65にトルクがかかり、揺動部65が回転軸39を中心として回転軸39と共に正回転する。図8は、揺動部65が正回転した状態の部品供給装置1の右側面図である。その際、揺動部65に吊り下げられている重り66は、揺動部65の回転に伴って引き上げられる。回転軸39が正回転すると、ベアリング61のクラッチ部61a1の作用により、回転軸39の動力が内輪部61aに伝達され、回転軸39と共に内輪部61aも正回転する。内輪部61aが正回転すると、内輪部61aに固定されている回転ドラム31が、内輪部61aと共に正回転する。このように、ワイヤー62が受取装置5に引っ張られることによって、ほぐし装置3の回転ドラム31が正回転する。作業者がクランプ2を1つ受取装置5から取り出すことにより、回転ドラム31が回転する角度は、特に制限はないが、例えば、45°〜90°程度に調節される。
なお、回転ドラム31が正回転した後、作業者により受取装置5に加えられた力が解消され、揺動部65に吊り下げられている重り66の重力が、受取装置5がワイヤー62を引っ張る力を上回ると、重り66が下降して揺動部65が回転軸39を中心として回転軸39と共に逆回転する。その際、回転ドラム31は、ギア部67aの歯67a1が爪部67bによって係止されることで逆回転することなく静止している。また、その際、ベアリング61のクラッチ部61a1の作用により、回転軸39からの内輪部61aに対する動力伝達は切断されるため、回転軸39は、回転ドラム31に固定されている内輪部61aに対して空転している。なお、重り66は、揺動部65が図7に示される原位置に戻るまで下降する。そしてワイヤー62が元の位置まで引張戻される。このように、揺動部65は、回転ドラム31が正回転した後、自動的に逆回転して原位置まで復帰することができる。そして、部品供給装置1は、再び待機状態となる。このような部品供給装置1では、作業者がクランプ2を受取装置5から取り出す動作を繰り返すことによって、回転ドラム31を一方向に、連続的又は間欠的に回し続けることができる。
図9は、ほぐし装置3の断面構成を模式的に表した説明図である。上述したように回転ドラム31が回転すると、回転ドラム31の内周面32a2上に立設されている各羽根部37が、取出し部34の周りを回るように回転移動する。そのため、回転ドラム31が回転すると、回転ドラム31内の下側に溜まっていたクランプ2(クランプ群20)の幾つかが、羽根部37によって解されながら引っ掛かり、回転ドラム31内の上側(取出し部34の上側)まで羽根部37によって持ち上げられる。その際、1つの羽根部37に対して、1つのクランプ2が引っ掛かることもあれば、2つ以上のクランプ2が引っ掛かることもある。また、隣り合った羽根部37の間(例えば、回転ドラム31の周方向で隣り合った羽根部37,37の間、又は、回転軸方向Lで隣り合った羽根部37A,37B)で、クランプ2が引っ掛かることもある。
羽根部37によって持ち上げられたクランプ2は、その後、自重により、羽根部37から落下する。羽根部37は、上述したように、先端部37bが取出し部34に向かって延びた形をなしている。そのため、クランプ2は、自重で羽根部37から落下する際に、羽根部37を伝うことで取出し部34へ誘導される。そして、取出し部34へ誘導されたクランプ2は、取出し部34に載せられる。したがって、回転ドラム31が回転し続けると、取出し部34に向かってクランプ2が、次々に供給されることになる。
なお、羽根部37から落下するクランプ2の中には、取出し部34へ向かわずに回転ドラム31内の下側(クランプ群20等)へ向うものもある。このようなクランプ2は、取出し部34に載せられるまで繰り返し羽根部37で持ち上げられることになる。
取出し部34へ供給されたクランプ2は、予め設定されている正規姿勢で載った場合に、取出し部34から落下せずに傾斜した取出し部34上を滑って蓋部33の通過口33aへ向かうことができる。図10は、正規姿勢で取出し部34に載せられているクランプ2を示す説明図である。図10には、取出し部34を、回転ドラム31の蓋部33側から底部32b側を見た状態が模式的に示されている。図10に示されるように、取出し部34に載せられている正規姿勢のクランプ2では、円弧状のクランプ本体部2aが滑走部35を跨ぐように配されている。その際、クランプ本体部2aの円弧状の内周面が、滑走部35の外周面35a上に載せられる。そして、正規姿勢のクランプ2では、折返し部2cが受け部36上に載せられるように配されている。
クランプ本体部2aの一端に接続されている折返し部2cは、他端に接続されている円弧状係合部2bと比べて重いため、クランプ2全体の重心は、折返し部2c側に片寄っている。そのため、クランプ2を取出し部34から落下させずに取出し部34上に載せ続けるためには、折返し部2cが受け部36で支えられる必要がある。
図11は、正規姿勢のクランプ2に対して両端の位置が入れ替わった状態で取出し部34に載せられたクランプ2を示す説明図である。図11に示されるクランプ2は、受け部36側に円弧状係合部2bが配され、その反対側に折返し部2cが配されている。このような姿勢でクランプ2が取出し部34に対して載せられると、クランプ2は、折返し部2c側の方が円弧状係合部2b側よりも重いため、自重により折返し部2c側から落下する。なお、落下したクランプ2は、正規姿勢で取出し部34に載せられるまで、繰り返し羽根部37で持ち上げられ取出し部34に向けて供給されることになる。
なお、取出し部34へ供給されたクランプ2の中には、折返し部2cが受け部36側に配され、円弧状係合部2bがその反対側に配された状態で、取出し部34に載せられるものの、クランプ2が、正規姿勢から傾いた状態のまま、取出し部34を滑り降りることがある。例えば、クランプ本体部2aの一方の側縁が取出し部34に近付き、かつ他方の側縁が取出し部34から離れて、クランプ2全体が取出し部34に対して斜めに立ち上がった姿勢で、クランプ2が取出し部34を滑り下りることがある。このように傾いた姿勢のクランプ2は、取出し部34の上方に配され、蓋部33に設けられた切り欠き部33dを囲む部分(中央蓋部33eの一部)からなる矯正部330と接触することで、傾いたクランプ2が、正規姿勢に矯正される。
また、取出し部34へ供給されたクランプ2の中には、正規姿勢とは反対に、円弧状係合部2bが受け部36側に配され、折返し部2cがその反対側に配された状態で、取出し部34に載せられるものの、クランプ2が取出し部34に対して傾く等して、取出し部34から落下しないまま、通過口33aへ向かうように取出し部34を滑り下りることがある。このように正規姿勢とは両端位置が入れ替わった状態のクランプ2が、通過口33aまで到達した場合には、取出し部34の受け部36の反対側に配され、蓋部33に設けられた切り欠き部33dを囲む部分(中央蓋部33eの一部)からなる排除部331が、クランプ2の折返し部2cと接触することで、クランプ2が取出し部34から落とされる。つまり、蓋部33に設けられた通過口33aは、正規姿勢で載ったクランプ2を通過させると共に、正規位置と両端位置が入れ替わったクランプ2を通過させないような形状をなしている。
なお、部品供給装置1が作動し続けると、回転ドラム31内のクランプ2の数が少なくなり、クランプ2が回転ドラム31の底部32b側に移動して滞留する虞がある。回転ドラム31の底部32bには、羽根部37が設けられていないため、そのような所へ移動したクランプ2は、羽根部37に引っ掛かり難くなる。そのため、このようなクランプ2は、回転ドラム31内に設けられたガイド部38を利用して、羽根部37に引っ掛かり易いように蓋部33側へ誘導される。図12は、回転ドラム31の底部32b側に配されているクランプ2にガイド部38が接近した状態を模式的に表した説明図であり、図13は、クランプ2がガイド部38によって持ち上げられ、ガイド部38に沿って蓋部33側へ誘導される状態を模式的に表した説明図である。図12及び図13に示されるように、ガイド部38は収容部32の底部32b側から蓋部33側に向うにつれて傾斜し、回転ドラム31が回転した際にクランプ2が底部32b側から蓋部33側へ誘導されるように設けられている。
以上のように、ほぐし装置において、取出し部34が正規姿勢のクランプ2のみを落下させずに通過口33aへ搬送することによって、クランプ2が、1つずつ向きが揃えられた状態で回転ドラム31内から外側へ取り出されることになる。
クランプ2が取出し部34を正規姿勢で滑り降りて、回転ドラム31の通過口33aを通過すると、クランプ2は取出し部34に接続する中継滑走部(中継レール)4へ乗り移る。中継滑走部4は、上述のように、ほぐし装置3により取り出されたクランプ2を、重力で滑走させながら1つずつ受取装置5まで搬送する部分である。中継滑走部4は、細長く延びた所定の厚みを有する帯状の金属製板材からなる。中継滑走部4は、短手方向(幅方向)が載置台7に対して起立し、かつ長手方向に延びた一方の側端縁4aが上方を向くように配されている。そして、中継滑走部4は、ほぐし装置3から受取装置5に向かって下るように傾斜した状態で、載置台7上に立設された柱状の支持部85によって支持される。なお、中継滑走部4は、図1に示されるように、ほぐし装置3から受取装置5に向かって載置台7の奥側から手前側に近付くように(膨らむように)湾曲した形をなしている。このように、中継滑走部4を湾曲させることで、受取装置5に向かって中継滑走部4上を滑走するクランプ2の速度等を調節することが可能であり、また、クランプ2が中継滑走部4から落下し難くなる。
図4及び図5に示されるように、中継滑走部4のほぐし装置3側の端部41は、円柱状をなした滑走部35の端面に対して、受け部36の反対側(正規姿勢のクランプ2における円弧状係合部2b側)に片寄った状態で接続されている。そして、中継滑走部4の端部41の高さ位置は、滑走部35の外周面(滑走面)35aよりも外側にはみ出さないように設定されている。このように中継滑走部4の端部41の位置を設定することによって、正規姿勢のクランプ2が、中継滑走部4に乗り移る際、凹状をなした円弧状係合部2bが中継滑走部4の側端縁4aに対して上方から嵌るように引っ掛かり、そして、折返し部2cが自重で円弧状係合部2bの下方へ移動する。つまり、クランプ2が取出し部34から中継滑走部4へ乗り移ると、クランプ2は、中継滑走部4に対して、円弧状係合部2bを利用してぶら下がった状態となる。このように取出し部34から中継滑走部4へ乗り移ったクランプ2は、中継滑走部4にぶら下がった状態のまま、自重で受取装置5まで移動する。なお、図14は、クランプ2が中継滑走部4を移動する様子が示された部品供給装置1の正面図である。
以上のように、部品供給装置が作動することにより、ほぐし装置3の回転ドラム31内から、クランプ2が、向きが揃えられた状態で次々に中継滑走部4に供給される。そして、更に中継滑走部4へ供給されたクランプ2は、中継滑走部4を移動して受取装置5へ供給される。
(受取装置の構成及び動作)
次いで、受取装置5の詳細な構成及び動作について説明する。図15は、クランプ2を保持していない状態で待機する受取装置5の拡大図であり、図16は、クランプ2を保持した状態で待機する受取装置5の拡大図であり、図17は、図16のA−A線断面図である。受取装置5は、上述したように、ほぐし装置3により取り出されたクランプ2を、中継滑走部4を介して受け取り、その受け取ったクランプ2を作業者が取り出して受け取る際に下方へ引っ張る力を利用して、動力伝達装置6を介してほぐし装置3を作動させる装置である。
受取装置5は、揺動保持部51を備えている。揺動保持部51は、全体的には、長手状をなし、一端51aで中継滑走部4より供給されたクランプ2を保持し、上下方向に揺動可能な状態で支持され、他端51bにワイヤー62の他端62aが接続される構成となっている。そして、揺動保持部51は、上方に回転する形で揺動することにより、ワイヤー62を上方へ引っ張り上げる。
また、揺動保持部51は、載置台7上に立設された柱状の支持部51cに、支持軸51dを中心として上下方向にそれぞれ回転するように揺動可能な状態で支持されている。揺動保持部51が上方に揺動可能な範囲は、上限ストッパ52によって定まり、揺動保持部51が下方に揺動可能な範囲は、下限ストッパ53によって定まる。上限ストッパ52は、扁平な金属製板材を加工したものからなり、揺動保持部51を上方から覆うような形をなしている。また、下限ストッパ53も、上限ストッパ52と同様、扁平な金属製板材を加工したものからなり、揺動保持部51の下方に配されている。上限ストッパ52及び下限ストッパ53は、載置台7上に立設された柱状の支持部54に固定されている。
なお、図15等に示されるように、待機状態の受取装置5(部品供給装置1)では、揺動保持部51が下限ストッパ53に支えられた状態で、他端51b側から一端51a側に向って下るように傾斜している。また、本実施形態の場合、揺動保持部51は、支持軸51dから上方の端部(他端)51bまでの長さが、支持軸51dから下方の端部(一端)51aまでの長さよりも長くなるように設定されている。このような揺動保持部51は、可動滑走部(可動レール)511、第1保持部512、第2保持部513、クランプストッパ514、ワイヤー固定部515、重り516等を備えている。
可動滑走部511は、上下方向にそれぞれ回転する形で揺動可能であり、待機状態の受取装置5において、中継滑走部4に対して一列に並んで、中継滑走部4からクランプ2が受け渡される。可動滑走部511は、中継滑走部4と同様、細長く延びた所定の厚みを有する帯状の金属製板材からなり、短手方向(幅方向)が載置台7に対して起立し、かつ長手方向に延びた一方の側端縁511aが上方を向くように配されている。そして、可動滑走部511は、待機状態の受取装置5において、中継滑走部4側から見て下るように傾斜している。クランプ2は、中継滑走部4と同様、円弧状係合部2bが側端縁511aに上方から引っ掛かり、折返し部2cが下方に垂れ下がった状態で、側端縁511aに沿って自重で滑走する。クランプ2は、クランプストッパ514と、又はクランプストッパ514により既に停止しているクランプ2と接触するまで、可動滑走部511を滑走する。
第1保持部512は、可動滑走部511と同程度の長さを有する角柱状をなし、起立した帯状の可動滑走部511に対して部品供給装置1の背面側から取り付けられ、可動滑走部511等を保持するものである。なお、可動滑走部511の側端縁511aは、第1保持部512よりも上方に飛び出しており、クランプ2の円弧状係合部2bが上方から引っ掛かるように設定されている。
第2保持部513は、可動滑走部511と同程度の長さを有する長手状の扁平な金属製板材を加工したものからなり、ワイヤー固定部515、重り516等を保持する。第2保持部513は、図17等に示されるように、第1保持部512に対して部品供給装置1の背面側から取り付けられている。このような第2保持部513は、上下方向に沿って起立し、第1保持部512よりも上方に飛び出すように延びた板状の起立部513aと、この起立部513aの上端から手前側に向かいつつ、可動滑走部511の側端縁511aとの間にクランプ2の円弧状係合部2bを通過させるための隙間が形成されるように延びた板状の天板部513bとを備えている。なお、第1保持部512及び第2保持部513は、可動滑走部511と一体的に上下方向に揺動する。
クランプストッパ514は、揺動保持部51の下方側の端部51a側に設けられ、可動滑走部511に沿って滑走してきたクランプ2を堰き止めるように接触し、クランプ2を可動滑走部511上で停止させる。揺動保持部51は、このクランプストッパ514の働きにより、下方側の端部51aでクランプ2を保持することができる。クランプストッパ514は、扁平な金属製板材を加工したものからなり、揺動保持部51を支持する支持部51cに固定されている。クランプストッパ514は、可動滑走部511の端部(長手方向における下方側の端部)と対向するように配され、クランプ2と当接する板片状の当接部514aと、この当接部514aと接続し、支持部51cに固定される板片状の固定部514bとを備える。なお、この固定部514bは、後述するように、一部停止装置56を作動させるためにも利用される。
ワイヤー固定部515は、揺動保持部51の上方側の端部51bに設けられ、ワイヤー62の端部(受取装置5側の端部)62bが取り付けられる。ワイヤー固定部515は、扁平な金属製板材を加工したものからなり、第2保持部513の天板部513bに固定されている。ワイヤー固定部515には、内側に貫通孔が形成された枠状の部分を有し、その部分にワイヤー62の端部62bが固定されている。
重り516は、揺動保持部51の下方側の端部51aに設けられ、揺動保持部51が上下方向に揺動する速度等を調節するために用いられる。重り516は、重り支持部517を介して第2保持部513の天板部513bに固定されている。
ここで、待機状態の受取装置5において、作業者がクランプ2を受取装置5から取り出して受け取る動作により、受取装置5が作動する仕組みを説明する。図16に示されるように、揺動保持部51の端部51a側において、複数個のクランプ2が並んで保持されている場合に、作業者は、ランプストッパ514の当接部514aと当接している最も下端のクランプ2を取り出すことになる。なお、最も下端のクランプ2は、作業者が受取り易く、しかも直ちにクランプ2の取付作業を行い易いように、円弧状係合部2bが上方に配され、折返し部2cが下方に配される形で、可動滑走部511に吊り下げられている。
この最も下端に配されるクランプ2を作業者が下方へ引っ張ると、クランプ2の円弧状係合部2bの引っ掛かりにより、端部51a側の可動滑走部511に力が加えられると、揺動保持部51の下方側の端部51a側が押し下げら、揺動保持部51の上方側の端部51bが上方に回転する形で揺動する。すると、揺動保持部51の上方側の端部51bに設けられたワイヤー固定部515がワイヤー62を引っ張り上げ、その引っ張り上げられたワイヤー62に連動して、上述したように揺動部65が正回転すると共に回転ドラム31が正回転することになる。なお、揺動保持部51の上方側の端部51b側は、上限ストッパ52と当接するまで、上方に回転する形で揺動する。図18は、揺動保持部51の上方側の端部51b側が、上限ストッパ52と当接するまで、上方に回転する形で揺動した状態の受取装置5の説明図である。
なお、待機状態の受取装置5において、クランプ2が保持されていない場合、作業者は揺動保持部51の下方側の端部51aを直接、押し下げることによって、受取装置5を作動させ、回転ドラム31を回転させることができる。
また、揺動保持部51の下方側の端部51aに作業者によって加えられた力が解消された際は、揺動部65に取り付けられている重り66の作用により、ワイヤー62が引き戻され、揺動保持部51の上方側の端部51b側が、下限ストッパ53と当接するまで、下方に回転する形で揺動する。
ところで、図18に示されるように、揺動保持部51の上方側の端部51bが上方に回転する形で揺動した際に、中継滑走部4と可動滑走部511とが互いに上下方向で離れてしまうため、中継滑走部4を伝って滑走してきたクランプ2が、可動滑走部511へ乗り移らずに落下する虞がある。そのため、本実施形態の受取装置5は、揺動保持部51の上方側の端部51bにおける可動滑走部511に、落下防止部55が設けられている。この落下防止部55は、金属製の板片状の部材からなり、揺動保持部51の上方側の端部51bが上限位置まで上昇した際に、中継滑走部4の下端にあるクランプ2と当接することができると共に、揺動保持部51の上方側の端部51bが下限位置(つまり、待機状態の受取装置5における揺動保持部51の位置)まで下降した際に、クランプ2と干渉しないように設定されている。待機状態の受取装置5において、クランプ2が中継滑走部4から可動滑走部511へ乗り移る際、板片状の落下防止部55は、円弧状のクランプ本体部2aの内側を通過することになる。
本実施形態の受取装置5では、揺動保持部51の下方側の端部51aにおける可動滑走部511において、複数個のクランプ2が、向きが揃えられた状態で一列に並ぶことになる。このような状態において、上述のように最下端のクランプ2が作業者により受取装置5から取り出されても、本実施形態の受取装置5では、その取り出されたクランプ2に隣接するクランプ2が、一時停止装置56の働きにより一時的に可動滑走部511上で停止され、可動滑走部511から滑り落ちることが防止されている。
一時停止装置56は、上下方向に揺動可能に支持された揺動停止部561を備えている。揺動支持部561は、全体的には長手状をなし、揺動保持部51を奥側から手前側に横切るように配されている。このような揺動停止部561は、第2保持部513の天板部513bに立設された柱状の支持部561aに軸部561bを中心として上下方向に揺動可能な状態で支持されている。揺動停止部561の一方の端部(手前側の端部)561cは、下方に向かって突出し、クランプ2の円弧状係合部2bにおける貫通孔2dに挿入されてクランプ2を係止する挿入部561cとなっている。なお、揺動停止部561の挿入部561cの上側には、重り561dが取り付けられており、揺動停止部561は、一方の端部側(挿入部561c側)が、他方の端部561e側よりも重くなるように設定されている。つまり、揺動停止部561は、支持部561aに支持された状態で、挿入部561c側が自重によって下方に傾くように設定されている。
図17には、待機状態の受取装置5が示されている。待機状態の受取装置5では、クランプストッパ514の当接部514aを固定する固定部514bが、揺動停止部561の端部561eを上方から当接して押し下げ、かつその反対側にある挿入部561cを持ち上げる形となる。なお、挿入部561cの真下には、天板部513bを厚み方向に貫通する形で孔部513cが設けられている。
図19には、揺動保持部51の上方側の端部51b側が、上限ストッパ52と当接するまで、上方に回転する形で揺動した状態の受取装置5が示されている。このように上方に回転する形で揺動した状態の受取装置5では、揺動停止部561全体が揺動保持部51と共に下降するため、揺動停止部561の端部561eが固定部514bから離れ、固定部514bによる端部561eの押し下げが解消される。その結果、揺動停止部561は、挿入部561c側が自重によって下方へ傾くことになる。その際、挿入部561cは、天板部513bに設けられた孔部513cを上方から下方に向かって通過する共に、作業者により取り出された最下端のクランプ2に隣接するクランプ2における円弧状係合部2bの貫通孔2dに挿入されて、そのクランプ2を係止する。なお、挿入部561cは、可動滑走部511の側端縁511aと当接することで、自重による下降が停止される。
このようにして一時停止装置56の挿入部561cにより係止されたクランプ2は、受取装置5が待機状態に復帰するまで、一時的に停止される。そして、受取装置5が待機状態に復帰すると、固定部514bが、再び揺動停止部561の端部561eを押し下げると共に挿入部561cを持ち上げるため、挿入部561cがクランプ2の貫通孔2dから引き抜かれ、挿入部561cとクランプ2の円弧状係合部2bとの係止が解消される。そして、一時停止装置56により一時的に停止されていたクランプ2は、クランプストッパ514の当接部514aと当接するまで、自重で可動滑走部511上を移動することになる。なお、一時停止装置56は、揺動停止部561の不要な跳ね上がり等を防止する目的で、挿入部561c側の上方に、揺動規制部562が設けられている。この揺動規制部562は、第2保持部513の天板部513b上に取り付けられている。なお、揺動保持部51が揺動する際に、揺動規制部562がクランプストッパ514の当接部514aと干渉しないように、揺動規制部562の取付位置が調節されている。このように本実施形態の受取装置5は、一時停止装置56を備えているため、受取装置5からクランプ2を1つずつ取り出すことができる。
以上のように、本実施形態の部品供給装置1は、作業者が受取装置5からクランプ2を取り出して受け取る際に受取装置5に加えられる力を、動力伝達装置6によって回転ドラム31に伝達し、その伝達された力を利用して回転ドラム31を回転させることができる。したがって、部品供給装置1は、モータ等の動力源を用いず、作業者がクランプ2を受取装置5から取り出して受け取る動作を利用して、クランプ2同士の絡まりを解しつつ、クランプ2を1つずつ作業者へ供給することができる。
また、本実施形態の部品供給装置1は、作業者が揺動保持部51の一端51aで保持されたクランプ2を取り出す際に、揺動保持部51の一端51aを引き下げるように力を加えるだけで、揺動保持部51が上方に回転する形で揺動してワイヤー62を引っ張り、その引っ張られたワイヤー62に連動して揺動部65が正回転すると共に回転ドラム31が正回転することができる。したがって、部品供給装置1では、作業者の容易な動作で回転ドラム31を回転させることができる。
また、本実施形態の部品供給装置1は、揺動保持部51の一端51aに加えられた力が解消された際に、重り66の作用で、自動的に揺動保持部51を逆方向(下方)に回転する形で揺動させることができる。その結果、部品供給装置1は、自動的に待機状態に復帰することができる。したがって、部品供給装置は、作業者が揺動保持部51の一端51aで保持されたクランプ2を取り出す動作を繰り返すことによって、回転ドラム31を続けて回転させることができる。
また、本実施形態の部品供給装置1は、取出し部34により取り出されるクランプの向きを一方向に揃えることができる。したがって、部品供給装置1は、クランプ2の向きを一方向に揃えた状態で、クランプ2を1つずつ受取装置5へ供給することができ、ひいては作業者へ供給することができる。
また、本実施形態の部品供給装置1は、クランプ2が羽根部37を伝って取出し部34まで誘導されるように構成されている。したがって部品供給装置1は、効率よくクランプ2を取出し部34まで供給することが可能であり、ひいては、回転ドラム31から、効率よくクランプ2を1つずつ取り出すことができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において、回転ドラム31の周壁部32aは円筒状であったが、本発明はこれに限られるものではなく、目的に応じて適宜、設定される。例えば、回転ドラムの底部側から蓋部側に向って拡径するような形の周壁部(例えば、円錐台の周面のような形の周壁部)であってもよい。この場合、回転ドラムの底部側から蓋部側にクランプ2を移動させ易いため、回転ドラム内のクランプ2が少なくなった際に、羽根部の近くにクランプ2を誘導し易く、効率的に羽根部によってクランプを持ち上げることが可能となる。
(2)上記実施形態では、載置台7上において受取装置5が手前側に傾斜した状態で配置されていたが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、ほぐし装置と直線的に並ぶように、受取装置5を左右方向に配置してもよい。
(3)上記実施形態では、部品供給装置1を左側方から見みた際の時計回りを正回転としたが、他の実施形態においては、反対に、部品供給装置1を左側方から見みた際の反時計回りを正回転としてもよい。
(4)上記実施形態では、受取装置5の揺動保持部51の上方側の端部51bに、板片状の落下防止部55を取り付けることで、揺動保持部51の上方側の端部51bが上方に回転する形で揺動した際に、中継滑走部4を伝って滑走してきたクランプ2に落下防止部55を係止させて、クランプ2の落下を防止していた。他の実施形態においては、このような落下防止部55に替えて、後述するような落下防止装置550を利用して、揺動保持部51の上方側への揺動時におけるクランプ2の落下を防止してもよい。
図20は、待機状態の落下防止装置550の正面図であり、図21は、待機状態の落下防止装置の左側面図である。また、図22は、作動状態の落下防止装置550の正面図であり、図23は、作動状態の落下防止装置550の左側面図である。なお、各図において、上記実施形態1と同じ部分については、実施形態1と同じ符号を付した。落下防止装置550は、受取装置5における揺動保持部51の上方側の端部51b付近に固定される押下部551と、上下方向に揺動可能に支持され、中継滑走部4上のクランプ2を堰き止める揺動堰き止め部552とを備えている。
押下部551は、帯状の金属製板材を加工したものからなる。押下部551の基部551aは、揺動保持部51の上方側の端部51bに設けられているワイヤー固定部515に固定されている。そして、押下部551は、基部551aから中継滑走部4に向かって下るように傾斜する形で延びている。また、押下部551の先端部551bは、中継滑走部4に向かって延びた扁平な板片状をなしている。このような押下部551は、受取装置5の揺動保持部51と共に上下方向に揺動する。そして、押下部551の先端部551bは、揺動保持部51が下降した際に、上側から揺動堰き止め部552に接触して、揺動堰き止め部552を押し下げる。
揺動堰き止め部552は、載置台7上に立設された柱状の支持部553の上端部553aに対して、軸部554を中心として上下方向に揺動可能な状態で支持されている。揺動堰き止め部552は、帯状の金属製板材を加工したものからなる。揺動堰き止め部552は、全体的には長手状をなし、軸部554よりも手前側(図21の右側)に配される一方の端部には、中継滑走部4に吊り下がっているクランプ2と接触してクランプ2が中継滑走部4から落下しないように堰き止める堰き止め部555を備えている。なお、堰き止め部555は、上述した押下部551と接触して、押下部551によって押し下げられる部分でもある。堰き止め部555は、下方から上方に向かって折り返されるように湾曲した形をなしている。
また、軸部554よりも奥側(図21の左側)に配される他方の端部には、重り556が設けられている。揺動堰き止め部552は、堰き止め部555側よりも、重り556側の方が重くなるように設定されている。そのため、揺動堰き止め部552は、押下部551によって押し下げられていない場合、重り556側が下降し、堰き止め部555側が上昇する。なお、揺動堰き止め部552の堰き止め部555は、受取装置5の揺動保持部51が上限位置まで揺動した際に、中継滑走部4に吊り下げられているクランプ2に対して重なる位置まで上昇する。
なお、押下部551が揺動堰き止め部552を押し下げた際に、揺動堰き止め部552が勢い余って一回転する虞がある。そのためこのような回転を防止するために、支持部553の上端部553aに、棒状の回転防止部557が設けられている。この回転防止部557は、揺動堰き止め部552の堰き止め部555側が押し下げられ過ぎた場合に、その反対側にある重り556が回転防止部557に対して下方から接触する。このように重り556が回転防止部557に接触することで、揺動堰き止め部552の不要な回転が防止される。
このような落下防止装置550が図20及び図21に示されるような待機状態の場合、揺動堰き止め部552の堰き止め部555は、中継滑走部4及び可動滑走部511を通過するクランプ2と干渉しないように、押下部551により押し下げられて、中継滑走部4及び可動滑走部511から離されている。なお、揺動堰き止め部552を押し下げている押下部551も、クランプ2と干渉しないように設定されている。
待機状態の落下防止装置550は、待機状態の受取装置5が作動することによって、作動する。図22及び図23に示されるように、揺動保持部51が上限位置まで上昇している状態における落下防止装置550の状態を、落下防止装置550の作動状態と称する。この作動状態の落下防止装置550では、揺動堰き止め部552の堰き止め部555が、弧状係合部2bを利用して中継滑走部4に吊り下げられているクランプ2のクランプ本体部2a付近及び折返し部2c付近に対して重なる状態となっている。そのため、動保持部51の端部51bが上昇して、中継滑走部4と可動滑走部511との間に隙間が形成されても、クランプ2が堰き止め部555によって堰き止められるため、中継滑走部4からのクランプ2の落下が防止される。このような落下防止装置550を、部品供給装置1に適用してもよい。