JP2016064792A - 冠水路の走行制御装置 - Google Patents

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【課題】冠水の水位に応じた的確な車速で車両を走行させる。【解決手段】第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12により冠水の水位を2段階で検出し、車速を2段階に制限し、水深が深い状態で低速側に車速を制限し、水深に対して的確な走行速度に車速を制限して車両を走行させる。すなわち第1検出手段で水が検出された際に、車速を第1車速に制限し、第2検出手段で水が検出された際に、車速を第1車速よりも低速の第2車速に制限する。【選択図】図2

Description

本発明は、冠水路の走行制御装置に関する。
内燃機関(エンジン)の駆動により走行する車両が、豪雨時等に冠水路(冠水した道路や深い水溜り等)を走行する時に、外気の吸込み口であるエアクリーナから水を吸い込む虞がある。エアクリーナから水を吸い込むと、シリンダ内に水が浸入し、エンジンが停止することが考えられる。
このため、従来から、複数の浸水センサを車両に設けて、車両の水没を的確に判断してウインドウを開く等させる水没検出装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術を適用することにより、一つの浸水センサに誤動作や故障が生じても、水没を確実に検出することができる。
冠水路を走行する場合、どの程度の深さまで車両が走行できるか否かの判断をすることは困難である。また、どの程度の深さで車速をどの程度に維持できるか判断をすることは困難である。従来の技術は、車両の水没を確実に検出するための技術であるため、冠水路を走行する場合の問題である、冠水路を的確に走行できるように制御することはできない。
特開2008−96378号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、冠水路の走行を的確に制御することができる冠水路の走行制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の冠水路の走行制御装置は、車両に備えられ、走行路の水位を検出する水位検出手段と、前記水位検出手段により検出された前記水位にしたがい、車速を制限する車速制限手段とを備えたことを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、水位検出手段により検出された水位にしたがい、車速を制限するので、水深が深い状態になると低速側に車速が制限され、水深に対して的確な走行速度に車速を制限して車両を走行させることができる。即ち、冠水に応じた的確な車速で車両を走行させ、冠水路を抜けることができる。この結果、冠水路の走行を的確に制御することが可能になる。
そして、請求項2に係る本発明の冠水路の走行制御装置は、請求項1に記載の冠水路の走行制御装置において、前記水位検出手段は、前記走行路の水を検出する第1検出手段と、前記第1検出手段よりも高い位置に備えられる第2検出手段とを有し、前記車速制限手段は、前記第1検出手段で水が検出された際に、前記車速を第1車速に制限し、前記第2検出手段で水が検出された際に、前記車速を前記第1車速よりも低速の第2車速に制限することを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、第1検出手段で冠水が検出された際に車速を第1車速に制限し、冠水の水位が高くなると(冠水が深くなると)、第2検出手段で冠水が検出され、車速を第1車速よりも低速の第2車速に制限する。このため、冠水が深くなるにしたがって、段階的に車速を低下させることができる。
また、請求項3に係る本発明の冠水路の走行制御装置は、請求項2に記載の冠水路の走行制御装置において、前記第2検出手段は、前記車両の内燃機関の外気取入れ口に対応する高さに備えられていることを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、水位が上がり、内燃機関の外気取入れ口(エアクリーナ入口)の下部に対応する外気取入れ口の下側まで水位が達すると(外気取入れ口から水が吸引される状態になる前に)、第1車速よりも低速の第2車速に制限される。
また、請求項4に係る本発明の冠水路の走行制御装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冠水路の走行制御装置において、前記車速制限手段は、前記水位検出手段により前記水位が検出される状態が、所定時間継続した後に、前記車速を低速に制限することを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、水位検出手段により水位が検出される状態が所定時間継続した後に車速を低速に制限するので、走行に伴って水面が波打っていても的確な水位で車速を低速に制限することができる。
また、請求項5に係る本発明の冠水路の走行制御装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冠水路の走行制御装置において、前記車速制限手段は、前記車速を低速に制限すると共に、乗員に報知する報知手段を有していることを特徴とする。
請求項5に係る本発明では、車速を低速に制限すると共に、表示、音等により運転者(乗員)に報知することができる。また、警報としてハザードランプを点灯させることで、外部に警報を発することもできる。
本発明の冠水路の走行制御装置によれば、冠水路の走行を的確に制御することが可能になる。
本発明の一実施例に係る冠水路の走行制御装置を備えた車両の概念斜視図である。 本発明の一実施例に係る冠水路の走行制御装置を備えた車両の概念側面図である。 車速制限手段の概略ブロック図である。 本発明の一実施例に係る冠水路の走行制御装置のフローチャートである。
図1から図3に基づいて本発明の一実施例に係る冠水路の走行制御装置を説明する。図1には走行制御装置を備えた車両の要部を説明する外観、図2には走行制御装置を備えた車両の要部を説明する概略側面視、図3には車速制限手段のブロック構成を示してある。
図1、図2に示すように、内燃機関(エンジン)1の駆動により走行する車両2には、エンジン1に外気を導入するための導入口3(外気取入れ口)が備えられ、導入口3から導入された外気(空気)は、エアクリーナ4で埃などが除去され、スロットルバルブ5で流入量が調整されてエンジン1に導入される。図中の符号で6はラジエータである。
車両2の後側におけるエンジン1の下方の底部に設けられたオイルパン7の部位(エンジン1の下部に対応する高さ)には、水位検出手段としての第1検出センサー11(第1検出手段)が設けられ、第1検出センサー11でエンジン1の下方にまで達する水位、オイルパン7の高さの水(走行路の冠水)の存在が検出される。
第1検出センサー11よりも高い位置であるエンジン1のシリンダブロック8の上部(例えば、シリンダヘッド9)で車両の前側には、第2検出センサー12(第2検出手段)が設けられている。第2検出センサー12では、エンジン1のシリンダブロック8の上部の高さで、走行風をエンジン1に供給するための導入口3(エアダクト)よりも低い位置(外気取入れ口に対応する高さ)の水(走行路の冠水)の存在(水位)が検出される。
第1検出センサー11、第2検出センサー12は、例えば、ケース内に水に反応する反応素子が収容され、ケースが水没した際に反応する構成とされている。これにより、結露や水滴の付着による反応が阻止され、水位が上昇した際にだけ反応させることができる。
図3に示すように、第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12の検出情報は車速制限手段としての制御装置13に入力される。制御装置13からは、第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12の検出情報に基づいて(反応情報に基づいて)、スロットルバルブ5に動作指令が出力される。即ち、冠水の水位が高くなるにしたがい、車速を低速に制限する状態にスロットルバルブ5を閉動作させる。
制御装置13からは、車速を低速に制限する指令が出力されると共に、乗員へ報知する報知手段である警報14に動作指令が出力される。警報14は、例えば、冠水の水位が高くなった旨を運転者に知らせる表示の警報、冠水の水位が高くなった旨を音で運転者に知らせる警報、冠水の水位が高くなった旨をハザードランプの点灯で外部に知らせる警報等を適用することができる。
具体的には、第1検出センサー11で走行路の冠水の水位が検出された場合、エンジン1の下側の水位の冠水があると判断して、第1制限手段21により、車両2の速度を、例えば、20km/h(第1車速)に制限する。第2検出センサー12で走行路の冠水の水位が検出された場合、導入口3の下部まで冠水の水位が達していると判断して、第1制限手段21により、車両2の速度を、例えば、5km/h(第1車速よりも低速の第2車速)に制限する。
このため、走行路の冠水の水位が高くなるにしたがい、車速を段階的に低速に制限するので、水深が深い状態になると低速側に車速が制限され、水深に対して的確な走行速度に車速を制限して車両を走行させることができる。即ち、冠水に応じた的確な車速で車両を走行させ、冠水路を抜けることができる。
そして、導入口3の下までの水位で車速を制限して冠水路を抜けることができるようにしているので、導入口から水が吸い込まれることがなく、エンジン1のシリンダ内に水が吸い込まれてエンジン1が停止することがない。
図4に基づいて冠水路の走行制御装置の処理の流れを説明する。図4には本発明の一実施例に係る冠水路の走行制御装置のフローチャートを示してある。
ステップS1でシフト位置がP、N以外か否か(走行できる状態か否か)が判断される。ステップS1でシフト位置がP、N以外ではない、即ち、シフト位置がP、Nであると判断された場合、制御を終了する。ステップS1でシフト位置がP、N以外であると判断された場合、ステップS2で第1検出センサー11、第2検出センサー12の検出情報(反応情報が判断される)。
ステップS2で第1検出センサー11だけが所定時間(例えば、2秒間)反応していると判断された場合、冠水の水位がエンジン1の下部に達していると判断され、ステップS3で第1制限手段21による第1制限の処理が実施され、車両2の速度が、例えば、20km/hにt秒間(例えば、30秒間)制限される。車速が20km/hにt秒間制限された後、ステップS2の処理に移行する。
第1検出センサー11だけが所定時間(例えば、2秒間)反応している時に車速を例えば、20km/hに制限するので、走行に伴って水面が波打っていても的確な水位で車速を低速に制限することができる。
尚、第1検出センサー11は、車両2の後側におけるエンジン1のオイルパン7の部位に設けられているので、配置によっても走行に伴う水面の波打ちの影響を受け難い。車両2の前側におけるエンジン1のオイルパン7の部位に第1検出センサー11を設けることも可能である。
ステップS2で第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12が同時に所定時間(例えば、2秒間)反応していると判断された場合、冠水の水位が導入口3の下側の高さに達していると判断され、ステップS4で第2制限手段22による第2制限の処理が実施され、車両2の速度が、例えば、5km/hにt秒間(例えば、30秒間)制限される。
車速が5km/hにt秒間制限された後、ステップS5で第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12の反応が継続しているか否かが判断される。
第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12が同時に所定時間(例えば、2秒間)反応している時に車速を例えば、5km/hに制限するので、走行に伴って水面が波打っていても的確な水位で車速を低速に制限することができる。
ステップS2で第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12がいずれも反応していないと判断された場合、制御を終了する。
ステップS5で第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12の反応が継続しているか否かが判断された時に、第1検出センサー11だけが反応していると判断された場合、ステップS3に移行して第1制限手段21による第1制限の処理が実施される。
ステップS5で第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12の反応が継続しているか否かが判断された時に、第2検出センサー12だけが反応していると判断された場合ステップS4に移行して第2制限手段22による第2制限の処理が実施される。
ステップS5で第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12の反応が継続しているか否かが判断された時に、第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12がいずれも反応していないと判断された場合、制御を終了する。
上述したように、走行路の冠水の水位が高くなるにしたがい、オイルパン7の高さの第1検出センサー11、及び、導入口3の下側に対応する高さの第2検出センサー12の反応状況に基づいて、車速が、例えば、20km/h、例えば、5km/hと段階的に低速に制限される。
このため、水深が深い状態になると低速側に車速が制限され、水深に対して的確な走行速度に車速を制限して車両を走行させることができる。即ち、冠水に応じた的確な車速で車両を走行させ、冠水路を抜けることができる。
そして、水深が深い状態になっても、導入口3の下部までの水位で、車速を、例えば、5km/hに制限して冠水路を抜けることができるようにしているので、導入口3から水が吸い込まれることがなく、エンジン1のシリンダ内に水が吸い込まれてエンジン1が停止することがない。
冠水の水位が導入口3の高さに近づいた状況で、車両2の速度を、例えば、5km/hに制限しているので、吸入空気量が減らされることになり、流体の吸い込み力が低下し、この点でも冠水の水が浸入しにくくなっている。
このため、上述した走行制御装置を適用することにより、冠水路(冠水した道路、深い水溜り)の走行を的確に制御することが可能になる。
上述した実施例では、第1検出センサー11、及び、第2検出センサー12により冠水の水位を複数段階で検出して車速を2段階に抑制するようにしたが、3つ以上の検出センサーを用いて3段階以上の水位を検出して車速を3段階以上に抑制することも可能である。
上述した実施例では、第1検出センサー11を車両2の後側におけるエンジン1の下方の底部のオイルパン7の部位(エンジン1の下部に対応する高さ)に設けたが、例えばフロントバンパ、アンダーカバー、車両骨格部材の車両下部を構成する部材に設けるなど、少なくとも第2検出センサー12よりも低い位置に備え付けるようにしてもよい。
また、例えば、浮き部材の移動で電気的に水位をリニアに検出できるセンサーを用い、一つのセンサーにより冠水の水位を複数段階(または、リニア)に検出して車速を抑制することも可能である。
また、スロットルバルブ5を閉動作させて車速を制限する例を挙げて説明したが、制動装置を動作させて車速を制限することも可能である。また、低速走行時にトルクの低下を抑制する手段を講じ、脱出の際の走行を確実に実施できるようにすることも可能である。
また、万一、冠水路を抜けることができない状況になる虞が生じた場合、強制的にウインドウを開く等して、乗員の脱出ができる措置を講じることも可能である。
本発明は、冠水路(冠水した道路、深い水溜り)を走行する際の走行制御装置の産業分野で利用することができる。
1 エンジン
2 車両
3 導入口
4 エアクリーナ
5 スロットルバルブ
6 ラジエータ
7 オイルパン
8 シリンダブロック
9 シリンダヘッド
11 第1検出センサー
12 第2検出センサー
13 制御装置
14 警報(報知手段)
21 第1制限手段
22 第2制限手段

Claims (5)

  1. 車両に備えられ、走行路の水位を検出する水位検出手段と、
    前記水位検出手段により検出された前記水位にしたがい、車速を制限する車速制限手段とを備えた
    ことを特徴とする冠水路の走行制御装置。
  2. 請求項1に記載の冠水路の走行制御装置において、
    前記水位検出手段は、
    前記走行路の水を検出する第1検出手段と、
    前記第1検出手段よりも高い位置に備えられる第2検出手段とを有し、
    前記車速制限手段は、
    前記第1検出手段で水が検出された際に、前記車両を第1車速に制限し、前記第2検出手段で水が検出された際に、前記車速を前記第1車速よりも低速の第2車速に制限する
    ことを特徴とする冠水路の走行制御装置。
  3. 請求項2に記載の冠水路の走行制御装置において、
    前記第2検出手段は、前記車両の内燃機関の外気取入れ口に対応する高さに備えられている
    ことを特徴とする冠水路の走行制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冠水路の走行制御装置において、
    前記車速制限手段は、
    前記水位検出手段により前記水位が検出される状態が、所定時間継続した後に、前記車速を低速に制限する
    ことを特徴とする冠水路の走行制御装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冠水路の走行制御装置において、
    前記車速制限手段は、
    前記車速を低速に制限すると共に、乗員に報知する報知手段を有している
    ことを特徴とする冠水路の走行制御装置。
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