JP2016063772A - 生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物、生鮮魚肉加工食品 - Google Patents

生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物、生鮮魚肉加工食品 Download PDF

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【課題】本発明の課題は、生鮮魚肉加工食品に用いて、魚肉の外観を損ねることなく、油脂の染み出しのない、風味良好な生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物を提供することにある。また、上記の油脂組成物を用いて、寿司ネタとして用いても油脂の染み出しのない良好な生鮮魚肉加工食品を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決する手段としては、5℃で液状である油脂(A)93.5〜97.0質量%と、ハイエルシン酸ナタネ油の極度硬化油(B)3.0〜6.5質量%からなることを特徴とする油脂組成物を生鮮魚肉加工食品に用いることにより、生鮮魚肉の赤身の外観を良好に保ちつつ、油脂の染み出しのない生鮮魚肉加工食品を提供することができる。

Description

本発明は、生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物、生鮮魚肉加工食品に関する。
マグロ、サケの生鮮魚肉は、刺身、寿司の具材等の加工食品として広く使用されている。これら生鮮魚肉加工食品のうち、脂肪含有量の高い脂身は風味が良好で、コク味があるが、全魚体量に対して1/3〜1/4の割合しかなく、量的には不足している。一方、脂肪含有量の少ない赤身は魚体に対しての割合が多いものの、淡白な風味でコク味がなく、脂身と比較して付加価値の低い商品として扱われている。そこで従来より付加価値の低い赤身を風味良好でコク味がある生鮮魚肉加工食品とするため、赤身のミンチ状生肉にショートニング、マーガリン、マヨネーズ等の油脂組成物を混合してネギトロ様の生鮮魚肉加工食品とする方法が知られている。このような用途に用いられる油脂組成物としては、生鮮魚肉加工食品を製造、保管する際の温度帯である冷蔵時において固体あるいは半固体である油脂が用いられ、コーン油およびコーン油の水素添加油脂を用いたもの(特許文献1、特許文献2)、窒素ガスを入れたショートニングタイプのもの(特許文献4)、海産動物油脂と固形油脂の混合物を用いたもの(特許文献3)、パーム系油脂を含むエステル交換油脂と液状油脂を配合したもの(特許文献5)が知られている。
高級食品として扱われてきた寿司は、近年ではスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの惣菜コーナーでも商品として取り扱われるようになってきた。スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの惣菜コーナーでは、多種多様の食品が一斉に陳列されるため、よりおいしく見える、よりきれいに見えるといった、商品の見た目が売り上げを左右する重要な要因となっている。生鮮魚肉加工食品は、主に寿司ネタとして用いられるため、味のみならず見た目も重要である。生鮮魚肉加工食品用の油脂として冷蔵時に固体あるいは半固体である油脂を用いると、油脂分が白いため生鮮魚肉加工食品も白っぽくなり、魚肉が少なく添加物が多いように見え、寿司としての高級感が失われてしまう。
また冷蔵時に液状である油脂を用いると、色調が魚肉本来の赤色となり良好であるが、液状油脂は容易にミンチ状生肉の間を移動することができるため、生鮮魚肉加工食品からの液状油脂の染み出しが発生する。生鮮魚肉加工食品から油脂が染み出すと、赤身を風味良好でコク味がある生鮮魚肉加工食品にする効果がなくなり、風味の乏しいパサ付いた感じになってしまう。生鮮魚肉加工食品からの液状油脂の染み出しを防止する技術として、20℃の固体脂指数が0.1〜3である配合油を用いたもの(特許文献6)が知られているが、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどでは数日間の賞味期限が求められるため、そのような期間の染み出しを防止する効果としては不十分であった。
以上のような背景のもと、ネギトロのような生鮮魚肉加工食品においても、現代の流通形態、市場ニーズに合致した、従来は重視されなかった機能である、見た目の高級感、美しさを有し、かつ、油脂の染み出しの起こらない風味良好な生鮮魚肉加工食品が求められている。
特開昭62−210966号公報 特開昭63−181979号公報 特開平7−39348号公報 特開平8−163968号公報 国際公開第2012/105548号パンフレット 特開2003−169602号公報
上記の通り、本発明の課題は、生鮮魚肉加工食品に用いて、魚肉の外観を損ねることなく、油脂の染み出しのない、風味良好な生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、上記の油脂組成物を用いて、寿司ネタとして用いても油脂の染み出しのない良好な生鮮魚肉加工食品を提供することにある。
本発明者は、上記の外観向上と油脂の染み出しの防止という、相反する技術課題に対して、液状の油に特定の極度硬化油を特定量配合することによって、課題解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の(1)〜(3)である。
(1)5℃で液状である油脂(A)93.5〜97.0質量%と、ハイエルシン酸ナタネ油の極度硬化油(B)3.0〜6.5質量%からなる生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物。
(2)前記の(1)に記載の油脂組成物を含む生鮮魚肉加工食品。
(3)前記の(2)に記載の生鮮魚肉加工食品を含む米飯食品。
本発明により、外観が良好で、油脂の染み出しのない風味良好な生鮮魚肉加工食品、およびそれに用いられる油脂組成物、ならびにその生鮮魚肉加工食品を用いた米飯食品を提供することができる。
本発明の油脂組成物は、5℃で液状である油脂(A)を93.5〜97.0質量%と、ハイエルシン酸ナタネ油の極度硬化油(B)を3.0〜6.5質量%とからなる。
<油脂(A)>
本発明で使用する油脂(A)は、天然の植物から抽出された油脂を用いて製造した5℃で液状の油脂である。
本発明において油脂(A)は、本発明の油脂組成物に流動性を与えるために用いる。5℃で液状であるとは、70℃で完全に融解し、100g容のビーカーに50g分取し、5℃に5.5時間静置した後、目視による観察で凝固や白濁の無い液状状態であることをいう。さらには、日本農林規格におけるサラダ油規格に記載の0℃で5.5時間凝固や白濁の無い状態である植物油脂が、好ましく挙げられる。
具体的には、コーン油、ナタネ油、大豆油、紅花油、ヒマワリ油、米油、オリーブ油、綿実油、太白ゴマ油、ハイオレイック紅花油、ハイオレイックヒマワリ油などの植物油脂、魚油、牛脂、ラード等の動物油脂から選択される。生鮮魚肉加工食品の風味を損なわないように、植物油脂又は魚油を用いることが好ましい。さらに、植物油脂は、動物油脂と比較して淡泊な風味であるため、生鮮魚肉原料本来の風味を損なうことがなく、特に好ましい。
油脂(A)には、植物や動物から抽出、精製した精製油脂のほかに、硬化油脂、分別油脂、エステル交換油脂等の加工油脂を用いても良い。硬化油脂とは、水素添加により融点を調整した油脂のことである。分別油脂とは、油脂を乾式分別、溶剤分別、乳化分別などの方法により、1つの油脂から高融点部と低融点部に分けられた油脂のことである。エステル交換油脂とは、化学触媒あるいは酵素触媒を用いて、グリセリン骨格に結合している脂肪酸を相互変換させることにより得られる油脂のことである。なお、加工の容易性の観点から、精製油脂、硬化油脂、分別油脂を用いることが好ましく、精製油脂のみを用いることがさらに好ましい。
また、油脂(A)は、上記の植物油脂や動物油脂の精製油脂又は加工油脂を単一で用いても、種々の油脂を配合した配合油脂として用いてもよい。なお、容易に調製できることから、単一の油脂を用いることが好ましい。
本発明の油脂(A)として配合油脂を用いた場合には、配合油脂として5℃で液状であればよく、5℃で液状ではない油脂を少量配合してもよい。但し、5℃で液状ではない油脂を配合すると、油脂の口どけに影響するため、5℃で液状ではない油脂の配合量は、油脂(A)に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることががさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
油脂(A)は、本発明の油脂組成物中に93.5〜97.0質量%、好ましくは94.2〜95.8質量%、更に好ましくは94.7〜95.3質量%を含有する。油脂(A)の量が93.5質量%未満の場合、油脂組成物が固形脂を含む白い油脂となるため、生鮮魚肉加工食品が白っぽくなり、魚肉が少なく添加物が多いように見え、外観が悪くなる。油脂(A)が97.0質量%を超える場合、生鮮魚肉加工食品から油脂が染み出しやすくなり、生鮮魚肉と油脂の一体感がなくなるため風味も悪くなる。
<ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)>
本発明で使用するハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)は、ハイエルシン酸ナタネ油を既知の方法にて水素添加し、ヨウ素価を5以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下にしたものが好ましく用いられる。ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油は、炭素数22の飽和脂肪酸を含有し、炭素数22の飽和脂肪酸が40質量%以上60質量%以下、好ましくは50質量%以上58質量%以下のものがよい。ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油を配合すると、油脂組成物に保形性を与えるため、生鮮魚肉加工食品からの油脂の染み出しを防止することができる。
ここで水素添加とは、油脂を構成する脂肪酸に含まれる二重結合にニッケル触媒等を用いて水素を付加して二重結合を飽和化することであり、その処理をした油脂を水素添加油脂という。特に、ヨウ素価を5以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下にしたものを本発明では極度硬化油とする。
近年、水素添加油脂由来のトランス酸が、循環器疾患の原因になるとの報告があり、市場においてもトランス酸含量が低い食品が求められている。本発明の油脂組成物においても、トランス酸は含まれないことが好ましいことは言うまでもなく、市場製品の基準を鑑みて、油脂組成物中トランス酸含量が2質量%以下であることが好ましい。よって本発明の油脂組成物に用いる油脂は、トランス酸が2質量%以下で実質的にトランス酸が含まれない油脂、または極度硬化油を用いるのが好ましい。
ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)と5℃で液状である油脂(A)とが本発明における特定の配合比率であるときに、固形脂による白色化が起こらず、風味良好で、液状油脂の染み出しのない生鮮魚肉加工食品を製造することができる。すなわち、本発明の油脂組成物中におけるハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)の配合量は3.0質量%以上6.5質量%以下である。好ましくは4.2質量%以上5.8質量%以下、更に好ましくは4.7質量%以上5.3質量%以下である。3.0質量%未満の場合、生鮮魚肉加工食品からの液状油脂の染み出しが発生し、生鮮魚肉と油脂との一体感もなくなるため風味も悪くなる。また6.5質量%を超える場合、植物油脂組成物が固形脂を含む白い油脂となるため、生鮮魚肉加工食品が白っぽくなり、魚肉が少なく添加物が多いように見え、外観が悪くなり、さらに口腔内温度で溶解しない高融点油脂の割合が多くなるため、風味も悪くなる。
なお、ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油に近い融点を有する油脂として、ナタネ極度硬化油(カノーラ油由来)(融点69℃)、大豆極度硬化油(融点67℃)、パーム極度硬化油(融点57℃)、パーム分別ステアリン(融点55℃)なども市販されている。これらの極度硬化油は、本発明に用いるハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)(融点60℃)と同程度の融点を有しているものの、生鮮魚肉加工食品の白色化、風味劣化を抑えつつ、液状油の染み出しも抑制するという本願発明の課題を解決することができない。
<油脂組成物の製造>
本発明の油脂組成物を製造するには、まず、固体であるハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)を油脂(A)中に溶解する必要がある。通常、溶解は65〜75℃で加熱溶解した後、得られた油脂溶液を攪拌しながら冷却する。冷却・攪拌の方法は特に限定されないが、急冷練り合わせ装置を用いて急冷捏和することが好ましい。この操作により、より風味良好な油脂組成物を得ることができる。
ここで急冷捏和とは、65〜75℃に溶解した油脂組成物を10分以内に18±5℃に冷却し捏和する操作であり、密閉連続チューブ式のボテーター等により−10〜−20℃の冷媒を用いて冷却し捏和するのが一般的である。
<生鮮魚肉加工食品の製造>
本発明において生鮮魚肉とは、マグロ、サケ等の生鮮魚肉をミンチ状にしたものであり、本発明の生鮮魚肉加工食品とは、これらのミンチ状の生鮮魚肉に本発明の油脂組成物を混合したものである。本発明の油脂組成物を混合することにより、マグロ、サケ等の脂肪分の少ない生鮮魚肉にコク味を与えることができる。
本発明の生鮮魚肉加工食品の製造方法は、マグロ、サケ等の生鮮魚肉をミンチ状にし、本発明の油脂組成物を混合することにより製造することができる。油脂組成物は生鮮魚肉100質量部に対して5〜20質量部、好ましくは8〜15質量部で混合される。油脂組成物の量が少なすぎると風味が乏しいものとなり、量が多すぎると生鮮魚肉加工食品の風味のバランスが悪くなる。
生鮮魚肉加工食品には、生鮮魚肉に対する油脂組成物の混合量である5〜20質量%が変わらず、油脂組成物より少ない添加量において、各種食品、添加物を用いても差し支えない。特に制限されないが例えば、酸化防止剤、乳化剤、調味料、pH調整剤、タンパク質加水分解物、ゲル化剤、増粘多糖類、糖類、食塩、香料、香辛料、保存料等が挙げられる。これらは単独で用いることもでき、または2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
<米飯食品の製造>
本発明の米飯食品とは、生鮮魚肉加工食品を軍艦寿司のネタ、巻き寿司のネタ、おにぎりの具材などに用いたものである。本発明の生鮮魚肉加工食品を用いると、生鮮魚肉加工食品の外観が良好で、油脂の染み出しがない米飯食品を得ることができる。
本発明において風味とは、油脂組成物の由来原料や油脂組成に依存される生鮮魚肉加工食品の特徴的な味を意味する。
動物由来の油脂においては、豚脂、牛脂などはけもの由来の風味を有し、魚油は魚由来の風味を有する。植物由来の油脂においても、大豆油は大豆の、菜種油は菜種のように、由来原料の風味を有している。これら由来原料の風味は、各種油脂の配合工程、生鮮魚肉加工食品を製造する加工工程などを経ることにより、油が空気に触れ、酸化することにより、より強く感じることができる。
生鮮魚肉加工食品に用いられる油脂組成物において、固形脂が多いと風味、とりわけ口どけが悪くなる。液状油脂が多いと、生鮮魚肉加工食品から液状油脂の染み出しがおこり、生鮮魚肉と油脂組成物の風味の一体感が得られなくなる。
本発明において外観とは、冷蔵から室温の範囲内で、油脂組成物と生鮮魚肉の混合物からなる生鮮魚肉加工食品を目視にて観察した場合の色調・状態を意味する。魚肉はその魚種、部位により、薄黄色、橙色、赤色などの色をしており、この魚肉をミンチしたものに、油のコク味を付与するために、植物油脂組成物を混合して生鮮魚肉加工食品を製造する。このとき固形の油脂を用いると、生鮮魚肉加工食品が白っぽくなり、魚肉とは異なる成分が混ぜられていることが目視でわかる。また、生鮮魚肉加工食品の製造において油脂組成物として液状油脂を用いると、生鮮魚肉加工食品は白っぽくならず、魚肉本来の色を生かすことができる。
本発明において油脂の染み出しとは、生鮮魚肉加工食品に混合した油脂が重力に従い下方に移動したり、接触しているご飯などに油脂が移動したりして、生鮮魚肉加工食品から分離した状態を言う。生鮮魚肉加工食品の製造において、固形の油脂を用いると、生鮮魚肉加工食品からの油脂の染み出しが起こりにくいが、油脂組成物として液状油脂を用いると、染み出しが発生しやすくなる。
以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<生鮮魚肉加工食品用油脂組成物の製造>
実施例および比較例に用いる油脂組成物は、表1および表2に示した配合にて各種油脂を配合し、実施例1−1〜7−1、比較例1−1〜8−1の油脂組成物を製造した。
製造においては各種配合した油脂を70〜75℃まで昇温して完全溶解し、さらに急冷練り合わせ装置を行いて、練り合わせをしながら2分間で18〜22℃まで冷却して製造した。
<生鮮魚肉加工食品の製造>
フードプロセッサーによりミンチにしたマグロ赤身(メバチマグロ赤身)100質量部に対して、上記の油脂組成物を表1および表2に示した添加量(5〜20質量部)添加し、よく混ぜ合わせて、実施例1−2〜7−2、比較例1−2〜8−2の生鮮魚肉加工食品を製造した。なお製造開始から終わりまで製品温度が5〜15℃の範囲となるように、マグロ赤身、油脂組成物の温度管理を行った。
<生鮮魚肉加工食品の評価>
得られたそれぞれの生鮮魚肉加工食品は、風味、外観、および染み出しについてよく訓練されたパネラー10名により評価を行った。
風味は、5〜15℃に調温した生鮮魚肉加工食品を摂食して以下の基準にて評価した。外観は、5℃の冷蔵庫、20℃の恒温槽で各30分保管した生鮮魚肉加工食品の外観を目視にて以下の基準にて評価した。染み出しは、生鮮魚肉加工食品を各20g100mL透明ビーカーに入れ、20℃の恒温槽で各30分保管したのち、目視にて以下の基準にて評価した。
≪風味の評価基準≫
3点:油脂組成物と生鮮魚肉の一体感がある。
2点:油脂組成物と生鮮魚肉の一体感がやや劣る。
1点:油脂組成物が生鮮魚肉の風味を損ねている
(劣化した油の味を感じる、魚以外の味を感じる)
≪外観の評価基準≫
3点:鮮やかな赤色
2点:やや白みがかった赤色
1点:ピンク色
≪染み出しの評価基準≫
3点:ビーカーの底にドリップした油がない
2点:ビーカーの底の一部に溶けた油がたまっている
1点:ビーカーの底全体に溶けた油がたまっている。
≪評価結果の記載≫
風味、5℃外観、20℃外観、染み出しの各評価項目につき、10名の平均点を下記の4段階にて評価した。評価結果は表1、表2に示した。
◎:2.6〜3.0
○:2.0〜2.6未満
△:1.5〜2.0未満
×:1.5未満
Figure 2016063772
Figure 2016063772
表1において、実施例1−1〜7−1の油脂組成物では、5℃で液状である油脂(A)を93.5〜97.0質量%、ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)を3.0〜6.5質量%の範囲で配合することにより、実施例1−2〜7−2のような風味が良好で、冷蔵(5℃)、室温(20℃)いずれもマグロの赤身がはっきりとした良好な外観で、室温(20℃)での液状油脂の染み出しのない生鮮魚肉加工食品を得ることができた。
さらに実施例3−1〜5−1では、5℃で液状である油脂(A)を94.7〜95.3質量%、ハイエルシン酸菜種極度硬化油(B)を4.7〜5.3質量%の範囲で配合することにより、実施例3−2〜5−2のような最適な品質の生鮮魚肉加工食品を得ることができた。
一方、表2において、比較例1−1〜4−1の油脂組成物では5℃で液状である油脂(A)、ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)以外の油脂を用いたため、生鮮魚肉加工食品の風味が悪くなり(比較例2−2、比較例3−2)、外観が悪くなり(比較例1−2〜4−2)、染み出しが発生した(比較例1−2、比較例2−2、比較例4−2)。
比較例5−1の油脂組成物では、ハイエルシン酸ナタネ極度硬化油(B)が3.0質量%より少ないために、比較例5−2の生鮮魚肉加工食品の風味が悪くなり、室温(20℃)で液状油脂の染み出しが起こった。
また、比較例6−1の油脂組成物では、ハイエルシン酸菜種極度硬化油(B)が6.5質量%より多いため、比較例6−2の生鮮魚肉加工食品は風味が悪くなり、外観も悪くなった。
比較例7−1の油脂組成物では、ハイエルシンナタネ極度硬化油(B)の代わりにカノーラ油由来のナタネ極度硬化油を用いた。この油脂組成物を用いた比較例7−2の生鮮魚肉加工食品は、風味が悪く、室温(20℃)で染み出しが生じた。
比較例8−1の油脂組成物では、5℃で液状である油脂(A)の代わりに融点21℃の油脂を用いた。その結果、油脂が21℃未満では固化してしまい、比較例8−2の生鮮魚肉加工食品風味は外観が悪くなった。
<生鮮魚肉加工食品を用いた米飯食品の製造>
実施例1−1、実施例5−1、比較例5−1、比較例8−1の油脂組成物を用いて製造した生鮮魚肉加工食品(実施例1−2、実施例5−2、比較例5−2、比較例8−2)を具材として、実施例1−3、実施例5−3、比較例1−3、比較例8−3の巻き寿司を製造した。米飯食品(巻き寿司)の製造では、酢飯100gに対して生鮮魚肉加工食品15gを入れた。
<米飯食品の評価>
各実施例及び各比較例において製造した米飯食品(巻き寿司)を、それぞれ保管試験群と非保管試験群に分けた。非保管試験群は、巻き寿司を製造直後に分解し、スパチラを用いて、巻き寿司の中身の生鮮魚肉加工食品をほぼ全量回収した。保管試験群は、巻き寿司を冷蔵庫(5℃)で48時間保管後に、非保管試験群と同様に生鮮魚肉加工食品を回収した。
回収した生鮮魚肉加工食品は、スパチラで混合後、10gを計り取り、計り取った生鮮魚肉加工食品から油分を抽出して重量を測定した。油分の抽出は、基準油脂分析試験法(日本油化学会編)参2.1.1−2013に準じてジエチルエーテルを用いて抽出した。
米飯食品(巻き寿司)での生鮮魚肉加工食品からの油脂の染み出し量は、以下の計算式により質量%として算出した。
油脂の染み出し量(質量%)=(A−B)/A×100
A:非保管試験群の生鮮魚肉加工食品10gから抽出した油分の質量
B:保管試験群の生鮮魚肉加工食品10gから抽出した油分の質量
≪評価結果の記載≫
米飯食品(巻き寿司)における、生鮮魚肉加工食品からの油脂の染み出しの評価は、同一種類の巻き寿司を各5本製造したのち、それぞれ油脂を抽出し、油脂の染み出し量を算出したのち、5本の平均値を下記の4段階にて評価した。
米飯食品(巻き寿司)染み出しの評価は下記の4段階にて評価した。評価結果は表3に示した。
◎:油脂の染み出し量が25質量%未満
○:油脂の染み出し量が25質量%以上35質量%未満
△:油脂の染み出し量が35質量%以上50質量%未満
×:油脂の染み出し量が50質量%以上
Figure 2016063772
表3から分かるように、本発明の油脂組成物は染み出し防止効果があり、生鮮魚肉加工食品が48時間酢飯と接していても、油脂組成物を生鮮魚肉加工食品中に保持していた。

Claims (3)

  1. 5℃で液状である油脂(A)93.5〜97.0質量%と、ハイエルシン酸ナタネ油の極度硬化油(B)3.0〜6.5質量%からなる生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物。
  2. 請求項1の油脂組成物をを含む生鮮魚肉加工食品。
  3. 請求項2記載の生鮮魚肉加工食品を含む米飯食品。
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