JP2016062718A - 硫化物固体電解質材料およびリチウム固体電池 - Google Patents

硫化物固体電解質材料およびリチウム固体電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、水分による劣化を抑制した硫化物固体電解質材料を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、γ−LiPS結晶相の2aサイトのLi元素が、M元素(M元素は、Cu(I)元素、Mg元素およびCa元素の少なくとも一種である)により置換された結晶相を主体として有することを特徴とする硫化物固体電解質材料を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図3

Description

本発明は、水分による劣化を抑制した硫化物固体電解質材料に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。さらに、このような固体電解質層に用いられる固体電解質材料として、硫化物固体電解質材料が知られている。
硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導性が高いため、電池の高出力化を図る上で有用であり、従来から種々の研究がなされている。例えば、特許文献1には、オルト組成を有するイオン伝導体(例えばLiPS)と、LiIとを有し、ガラス転移点を有する硫化物固体電解質材料が開示されている。また、特許文献2には、一般式Li4−2xMg(0<x<2)で表されるチオリン酸リチウムマグネシウム化合物が開示されている。
特開2014−089986号公報 特開2003−206110号公報
硫化物固体電解質材料は、水分と反応することで水和物を形成し、Liイオン伝導度が低下しやすいという問題がある。LiPS組成やその近傍組成を有する硫化物固体電解質材料は、比較的、水分との反応性が低いものの、それでもLiイオン伝導度の低下は生じてしまう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、水分による劣化を抑制した硫化物固体電解質材料を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、γ−LiPS結晶相の2aサイトのLi元素が、M元素(M元素は、Cu(I)元素、Mg元素およびCa元素の少なくとも一種である)により置換された結晶相を主体として有することを特徴とする硫化物固体電解質材料を提供する。
本発明によれば、2aサイトのLi元素が、特定のM元素で置換されているため、水分による劣化を抑制した硫化物固体電解質材料とすることができる。
上記発明においては、上記M元素の置換量が、6.3%〜16.7%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明においては、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム固体電池であって、上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記固体電解質層の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするリチウム固体電池を提供する。
本発明によれば、上述した硫化物固体電解質材料を用いることにより、水分に対する安定性の高いリチウム固体電池とすることができる。
本発明の硫化物固体電解質材料は、水分による劣化を抑制できるという効果を奏する。
本発明の硫化物固体電解質材料を得る製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明のリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。 本発明における安定状態サイトおよび遷移状態サイトを示す概略斜視図である。 水分子が拡散する経路を示す模式図である。 安全状態サイト同士を結ぶ各区間でのエネルギー準位図である。 水分子にとって最も有利な(最大障壁が低い)経路である。 シミュレーションに使用するLiPS構造の単位セルである。 Liの置換・欠損による結晶対称性の低下を説明する模式図である。 LiをCu(I)で置換した場合の障壁の変化を示すグラフである。 LiをMgで置換した場合の障壁の変化を示すグラフである。 LiをCaで置換した場合の障壁の変化を示すグラフである。 水分子にとって最も有利な経路における最大障壁である。 水分子にとって最も有利な経路以外の経路も含めた障壁変化の結果である。 Mg濃度による最大障壁の変化を示すグラフである。 Mg濃度および生成エネルギーの関係を示すグラフである。 Mg濃度が16.7%である場合のエントロピーによるエネルギー利得である。
以下、硫化物固体電解質材料およびリチウム固体電池について詳細に説明する。
A.硫化物固体電解質材料
本発明の硫化物固体電解質材料は、γ−LiPS結晶相の2aサイトのLi元素が、M元素(M元素は、Cu(I)元素、Mg元素およびCa元素の少なくとも一種である)により置換された結晶相を主体として有することを特徴とする。
本発明によれば、2aサイトのLi元素が、特定のM元素で置換されているため、水分による劣化を抑制した硫化物固体電解質材料とすることができる。水分による劣化を抑制できる理由は、後述する実施例に記載するように、水分子が最も拡散し易い経路において、エネルギー障壁が高くなるからである。
本発明の硫化物固体電解質材料は、γ−LiPS結晶相の2aサイトのLi元素が、M元素(M元素は、Cu(I)元素、Mg元素およびCa元素の少なくとも一種である)により置換された結晶相を主体として有する。LiPSは、いわゆるオルト組成に該当し、PS 3−構造は化学的安定性が高いという利点を有する。ここで、オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本発明においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。なお、LiS−P系において、オルト組成を得るLiSおよびPの割合は、化学量論的には、LiS:P=75:25(モル比)である。
また、「主体として有する」とは、上記結晶相の割合が、硫化物固体電解質材料における全結晶相に対して、50mol%以上であることをいう。この割合は、60mol%以上であることが好ましく、70mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることがさらに好ましく、90mol%以上であることが特に好ましい。なお、上記結晶相の割合は、ラマン分光法、NMR、XPS等により決定することができる。
また、本発明においては、γ−LiPS結晶相の2aサイトのLi元素が、M元素(M元素は、Cu(I)元素、Mg元素およびCa元素の少なくとも一種である)により置換されている。γ−LiPS結晶相の2aサイトとは、後述する図7に示すAのサイトをいう。γ−LiPS結晶相には、2aサイトおよび4bサイトという2種類のサイトがあるが、2aサイトは、4bサイトよりも水分子が最も拡散し易い経路に近いため、M元素による置換の効果(エネルギー障壁の向上)が得られ易いという利点がある。
また、本発明におけるM元素は、通常、Cu(I)元素、Mg元素およびCa元素の少なくとも一種であり、中でもMg元素であることが好ましい。後述するように、水分子が拡散する全ての経路において、エネルギー障壁が高くなるからである。
M元素の置換量は、目的とする効果が得られる量であれば特に限定されるものではない。すなわち、M元素の置換量は、水分子が最も拡散し易い経路において、M元素で置換しなかった場合におけるエネルギー障壁よりも高いエネルギー障壁が得られる量であれば、特に限定されるものではない。ここで、「M元素の置換量」とは、γ−LiPS結晶相に含まれる、2aサイトおよび4bサイトの合計に対する、2aサイトに位置するM元素の割合をいう。例えば、後述する図7に示すように、γ−LiPSの単位セルを考えた場合、2aサイトおよび4bサイトに位置するLi元素は12であり、その2aサイトのLi元素を1つのM元素で置換した場合、M元素の置換量は、8.3%となる。M元素の置換量は、例えば6.3%以上である。一方、M元素の置換量は、例えば20%以下であり、16.7%以下であることが好ましい。γ−LiPS結晶相の2aサイトのLi元素がM元素で置換されていることは、XRD、X線結晶構造解析、中性子回折法等で確認することができる。また、M元素の置換量は、例えば、ICP、XRF等で求めることができる。
また、本発明の硫化物固体電解質材料は、LiSを実質的に含有しないことが好ましい。硫化水素の発生を抑制できるからである。例えば、原料組成物に含まれるLiSの割合が大きいと、LiSが残存しやすい。「LiSを実質的に含有しない」ことは、X線回折により確認することができる。具体的には、LiSのピーク(2θ=27.0°、31.2°、44.8°、53.1°)を有しない場合は、LiSを実質的に含有しないと判断することができる。
また、本発明の硫化物固体電解質材料は、架橋硫黄を実質的に含有しないことが好ましい。硫化水素の発生を抑制できるからである。「架橋硫黄」とは、例えばSP−S−PS構造(P 4−構造)の架橋硫黄が該当する。架橋硫黄は、水と反応しやすく、硫化水素が発生しやすい。さらに、「架橋硫黄を実質的に含有しない」ことは、ラマン分光スペクトルの測定により、確認することができる。例えば、LiS−P系の硫化物固体電解質材料の場合、SP−S−PS構造のピークが、通常402cm−1に表れる。そのため、このピークが検出されないことが好ましい。また、PS 3−構造のピークは、通常417cm−1に表れる。本発明においては、402cm−1における強度I402が、417cm−1における強度I417よりも小さいことが好ましい。より具体的には、強度I417に対して、強度I402は、例えば70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。
本発明の硫化物固体電解質材料の形状は、特に限定されるものではないが、例えば粒子状を挙げることができる。本発明の硫化物固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、本発明の硫化物固体電解質材料のLiイオン伝導度(25℃)は、例えば1×10−4S/cm以上であることが好ましく、1×10−3S/cm以上であることがより好ましい。
本発明の硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導性を必要とする任意の用途に用いることができ、電池に用いられるものであることが好ましい。
本発明の硫化物固体電解質材料を得る製造方法は、所望の硫化物固体電解質材料を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。図1は、硫化物固体電解質材料を得る製造方法の一例を示すフローチャートである。図1においては、まず、LiS、PおよびMgSを含有する原料組成物を用意する。次に、原料組成物を非晶質化することにより、硫化物ガラスを得る。その後、硫化物ガラスを熱処理することで、上述した結晶相を有する硫化物固体電解質材料(ガラスセラミックス)を得る。
原料組成物は、LiS、PおよびMgSを含有することが好ましい。Pの代わりに、同様の組成となる混合物を用いていても良い。また、原料組成物は、LiS、PおよびMgSのみを含有していても良く、他の材料を含有していても良い。LiS、PおよびMgSの合計に対する、LiSおよびMgSの割合は、72mol%以上であることが好ましく、73mol%以上であることがより好ましく、74mol%以上であることがさらに好ましい。一方、上記割合は、78mol%以下であることが好ましく、77mol%以下であることがより好ましく、76mol%以下であることがさらに好ましい。
原料組成物を非晶質化する方法としては、例えば、メカニカルミリングを挙げることができる。メカニカルミリングは、乾式メカニカルミリングであっても良く、湿式メカニカルミリングであっても良いが、後者が好ましい。容器等の壁面に原料組成物が固着することを防止でき、より非晶質性の高い硫化物ガラスを得ることができるからである。メカニカルミリングとしては、例えばボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができる。
メカニカルミリングの各種条件は、所望の硫化物ガラスを得ることができるように設定する。例えば、遊星型ボールミルを用いる場合、容器に原料組成物および粉砕用ボールを加え、所定の回転数および時間で処理を行う。台盤回転数としては、例えば200rpm〜500rpmの範囲内であり、250rpm〜400rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、例えば1時間〜100時間の範囲内であり、1時間〜50時間の範囲内であることが好ましい。
硫化物ガラスを熱処理する際には、例えば、硫化物ガラスを結晶化温度付近の温度で熱処理する方法を挙げることができる。2aサイトのLiを置換した構造は、4bサイトのLiを置換した構造よりもエネルギー的に安定である。一方、熱処理により付与するエネルギーが大きいと、2aサイトのLiではなく、4bサイトのLiが置換される可能性がある。そのため、熱処理の条件は、なるべく穏やかにすることが好ましい。熱処理温度は、例えば250℃以下であり、240℃以下であることが好ましい。一方、熱処理温度は、例えば120℃以上であり、180℃以上であることが好ましい。熱処理の時間は特に限定されるものではなく、熱処理温度に合せて適宜調整することが好ましい。
B.リチウム固体電池
図2は、本発明のリチウム固体電池の一例を示す概略断面図である。図2に示されるリチウム固体電池10は、正極活物質を含有する正極活物質層1と、負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された固体電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。本発明においては、正極活物質層1、負極活物質層2および固体電解質層3の少なくとも一つが、上記「A.硫化物固体電解質材料」に記載した硫化物固体電解質材料を含有することを大きな特徴とする。
本発明によれば、上述した硫化物固体電解質材料を用いることにより、水分に対する安定性の高いリチウム固体電池とすることができる。
以下、本発明のリチウム固体電池について、構成ごとに説明する。
1.正極活物質層
本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。正極活物質層に含まれる固体電解質材料は、上記「A.硫化物固体電解質材料」に記載した硫化物固体電解質材料であることが好ましい。
正極活物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCuPO等のオリビン型活物質等を挙げることができる。また、LiFeSiO、LiMnSiO等のSi含有酸化物を正極活物質として用いても良い。
本発明における正極活物質層は、正極活物質および固体電解質材料の他に、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。導電化材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。結着材としては、例えば、PTFE、PVDF等のフッ素含有結着材を挙げることができる。正極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
2.負極活物質層
本発明における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つをさらに含有していても良い。負極活物質層に含まれる固体電解質材料は、上記「A.硫化物固体電解質材料」に記載した硫化物固体電解質材料であることが好ましい。
負極活物質としては、例えば、金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えば、In、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。なお、導電化材および結着材については、上述した正極活物質層に用いられるものと同様である。負極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
3.固体電解質層
本発明における固体電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層であり、固体電解質材料から構成される層である。
本発明においては、固体電解質層に含まれる固体電解質材料が、上記「A.硫化物固体電解質材料」に記載した硫化物固体電解質材料であることが好ましい。固体電解質層における硫化物固体電解質材料の含有量は、例えば、10体積%〜100体積%の範囲内であり、50体積%〜100体積%の範囲内であることが好ましい。本発明においては、固体電解質層が硫化物固体電解質材料のみから構成されていても良い。一方、正極活物質層または負極活物質層が上述した硫化物固体電解質材料を用いている場合には、固体電解質層には任意の固体電解質材料を用いることができる。
また、固体電解質層は、結着材を含有していても良い。結着材を含有することにより、可撓性を有する固体電解質層を得ることができるからである。結着材としては、例えば、PTFE、PVDF等のフッ素含有結着材を挙げることができる。固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm〜1000μmの範囲内であり、0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
4.その他の構成
本発明のリチウム固体電池は、通常、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができる。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的なSUS製電池ケース等を用いることができる。
5.リチウム固体電池
本発明のリチウム固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池として有用だからである。本発明のリチウム固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
リチウム元素を他の元素で置換した場合における水分子の拡散性をシミュレーションにより評価した。
1.水分子の拡散性の計算
1.1 拡散係数D
分子・イオンの拡散係数は遷移状態理論より式(1)で求められる。つまり同じ結晶構造中であれば、拡散の活性化障壁ΔEactを求めることで、その拡散のし易さを評価できる。
ここで、水分子の拡散経路上で最も通過しにくい箇所、いわゆる「ボトルネック」に該当する障壁ΔEactを計算し、水分子の拡散性を評価した。γ−LiPSに対し、取り得る経路上の障壁ΔEを第一原理計算で全て求めて最も有利な経路(経路上の最大障壁が最も小さくなる経路)を見出し、その最大障壁をΔEactとした。以下、ΔEの計算方法および計算モデルに対する仮定について述べる。
1.2 ΔEの計算方法
Nudged Elastic Band(NEB)法等による真の遷移状態の探索は多大な計算コストがかかるため行わず、安定状態および遷移状態の結晶構造を仮定し、一部原子固定を用いた構造最適化計算にて全エネルギー差を求める方法を採用した(NEB法との比較を行い、相対評価としてこの方法が問題ないことを確認している)。
1.2.1 原子固定について
遷移状態に対する構造最適化計算では、水分子が、後述する仮定サイトから離れてしまう(安定なサイトへ移ってしまう)ことを防ぐため、全てのリン原子および硫黄原子を無水物位置に固定し、また水分子の酸素原子をサイト多面体の重心に固定した。安定状態に対しても、リン原子と硫黄原子を同じように固定し、遷移状態と条件を合わせた。
1.2.2 プログラムおよび計算条件
構造最適化計算に用いるプログラムおよび計算条件は以下の通りとした。
1.3 水分子サイトの仮定
水分子サイトの候補を、原子欠損等の無い純粋な無水物結晶中に存在する空隙多面体(硫黄原子が頂点の多面体)サイトに限定した。比較的広い空隙多面体サイトを安定状態における水分子サイト(以下、安定状態サイトまたはSSサイト)と見なし、安定状態サイト間にある比較的狭い空隙多面体サイトを遷移状態における水分子サイト(以下、遷移状態サイトまたはTSサイト)と見なす。
以下、具体的に説明する。なお、無水物の結晶構造には、K.Homma, et. al, Solid State Ionics, 182 (2011) 53-58に記載された構造を構造最適化計算したものを用いた。
1.3.1 安定状態サイト
ボロノイ半径が1Å以上の空隙多面体内部を安定状態サイトとする。MedeA(菱化システム社製)の“Empty Space Finder”による空隙探索結果を行ったところ、1Å以上の半径を有するボロノイ点は、表2に示すように、γ−LiPSでは3種類存在することが示され、それぞれ八面体の内部(ほぼ中央)にある。これらの3種類の八面体サイトを安定状態サイトとして仮定する(SS1、SS2、SS3)。
1.3.2 遷移状態サイト
安定状態サイト間に存在する空隙多面体内部を、遷移状態サイトとする。ただし、安定状態サイトの八面体同士が面を共有している場合はその面の内部とする。また、八面体同士が稜線を共有しており、間に空隙多面体が無い場合はその稜線上とする。本発明においては、図3に示すTS1〜TS6までの6種のサイトを遷移状態サイトと仮定する。図3(a)に示されるTS1〜TS3は、ある安定状態サイトとa、b軸方向に沿った次の安定状態サイトとの間にある四面体サイトである。図3(b)に示されるTS4〜TS6は、安定状態サイトの八面体同士が共有する面(三角形)の内部にある。
1.4 計算セルの大きさと水分子密度
低密度での水分子の拡散を想定し、表3のような設定のセルに水分子を1つ置くこととした。なお、計算セルとして2倍セルを採用し、2倍する方向は最も短い軸方向とした。
2. γ−LiPS構造(無置換)における水分子の拡散障壁計算結果
γ−LiPS結晶構造中の水分子が安全状態サイトまたは遷移状態サイトに位置するときの全エネルギーを構造最適化計算にて求めた。それを用いて、安全状態サイト同士を結ぶ各区間でのエネルギー準位図を作成し、有利な経路を特定した。その結果を図4および図5に示す。図4に示すように、安全状態サイト同士を結ぶ幾何学的に非等価な区間は10種(A〜J)存在する。また、図5に示すように、安全状態サイト同士を結ぶ各区間でのエネルギー準位図を作成した。なお、図5では、SS1を基準とした相対エネルギーとして算出している。
各区間を様々なパターンでつなぐことで経路を複数種類つくることができる。そのうち、最大障壁が最も低い有利な経路は、図6に示すように、区間Dおよび区間Eをつないだb軸方向の経路である。ただし、b軸の負の方向(SS2→TS3→SS3→TS1→SS2)のみが有利であり、逆方向での最大障壁は高く、他の経路と比べても低くない。なお、b軸の負の方向における最大障壁ΔEactは2.33eVである。また、区間A〜Jのうち、障壁が最も低い区間は区間G(1.25eV)であるが、単独だけでは経路とならない(経路をつくるには障壁がより高い他の区間とつなぐ必要がある)ため、経路上の最大障壁とはなり得ない。
3. γ−LiPS中のLiを他のカチオンに置換した構造
置換または欠損したγ−LiPSにおける水分子の拡散障壁を求めた。上記と同様に安定状態および遷移状態の結晶構造をそれぞれ構造最適化計算にて全エネルギーを求め、差を算出した。置換元素Mを表4に示す。
3.1 計算モデル
Liの置換は一部とする。Liへの2価M置換では、電荷補償のためLiを欠損させる(M元素に最も近いLiとする)。また、セル(最小繰り返し格子)の大きさは1×1×2とし、Li置換・欠損数はセルあたり1(12Liのうち1となる)とし、そのサイトは図7に示すAとする。なお、図7に示すセルは単位セル(1×1×1)であり、計算の際には、図面の左右のどちらかに同じセルを配置したものを用いる。これにより、セルに含まれるLiの数は12となる。また、1×1×1のセル中に、Aの位置に存在するLiは2原子分であるため、このサイトを2aサイトと称する。同様に、1×1×1のセル中に、Bの位置に存在するLiは4原子分であるため、このサイトを4bサイトと称する。また、図7に示すように、Liサイトは、2aサイトと、4bサイトの2種類あるが、2aサイトで評価を行った。その理由は、各サイトの生成エネルギーを、K、Ag、Ca置換(ケース1、2、3のそれぞれ一種)に対して計算したところ、いずれも2aサイトの方が小さかった(安定であった)からである。また、格子定数および原子位置は、表5に示すように設定した。なお、表5におけるイタリック(斜文字)は、最適化計算時にその値に固定していることを意味している。また、「重心」とはSを頂点とする多面体の重心を意味している。
また、Liが置換・欠損すると結晶対称性が低下するため、無置換では等価であったサイトを個別に取り扱わなければならない。例えば図8(a)に示すように、無置換では、図示する4個のSS1は全て等価である。これに対して、Liを他の元素に置換すると、図8(b)に示すように、SS1a、SS1b、SS1c、SS1dという非等価なサイトとして取り扱う必要がある。そのため、縮退していた経路も分裂させて考慮する必要がある。
3.2 Li置換構造における水分子の拡散経路
置換・欠損サイト周囲に限定し、表6に示す区間の障壁を計算した。上述したように、結晶対称性の低下を考慮して、区間も複数に分裂する。また、表6に示す区間として、無置換・無欠損時は等価だったサイトの中で、置換サイトから最も近いサイトを含む区間を選択した(例えば、SS1の中では、SS1aを選択した)。なお、表6に示す区間Kの「V」は欠損サイトを表す。また、置換サイトからの距離を表7に示す。なお、無置換・無欠損時に非常に高い障壁(4eV以上)を有する区間C、F、Hは計算から除外した。
計算結果を表8に示す。なお、拡散方向によって障壁が異なる場合は、それぞれの結果を示した。「方向」にはその経路が沿う結晶軸と向きを記した。例えば、a+は、a軸の正の方向を示す。
また、置換による障壁変化を把握するため、置換前後の障壁を比較した。特に、水分子にとって最も有利な経路(D−1−E−1、D−2−E−2)における最大障壁を表8から抽出した。なお、図9〜図11における矢印は、水分子にとって最も有利な経路(D−1−E−1、D−2−E−2)における最大障壁を示している。
水分子にとって最も有利な経路における最大障壁(図9〜図11の矢印)のうち、小さい方(水分子にとってより有利な方)を抽出して置換元素ごとに比較した。その結果を図12に示す。図12に示すように、水分子にとって最も有利な経路における最大障壁に着目すると、LiをMg、Cu(I)またはCaで置換した場合に、無置換の場合に比べて、障壁が大きくなり、水分子の拡散抑制に有効であることが確認された。Mg、Cu(I)またはCa以外の元素で置換した場合、無置換の場合に比べて、障壁が小さくなっていることから、水分子の拡散抑制には不向きである。同様に、Li欠損は、水分子の拡散を促進する可能性があることが示唆された。
図13は、水分子にとって最も有利な経路以外の経路も含めた障壁変化の結果である。一つのプロットが一つの区間障壁に対応する。すなわち、全障壁分(20点)を元素ごと並べた結果に該当する。図13に示すように、特に、Mgについては、全ての経路において障壁が大きくなっており、水分子の拡散に特に有効であることが確認された。
また、上述したシミュレーションは、いずれも、Li置換・欠損数をセルあたり1(12Liのうち1(8.3%))としたが、Li置換数を4セルあたり0〜8(48Liのうち0〜8)として、最大障壁を同様にして算出した。その結果を図14に示す。図14に示すように、Mg濃度(Mg置換量)が6.3%〜16.7%である場合に、最大障壁の向上が明確に確認された。
また、0ケルビンにおけるMg濃度および生成エネルギーの関係を図15に示す。図15において、Mg濃度が48Liあたり8である場合(Mg濃度が16.7%である場合)、生成エネルギーは、0.12eVである。一方、Mg濃度が16.7%である場合のエントロピーによるエネルギー利得を図16に示す。図16に示すように、523K(250℃)の場合、−0.13(eV)+0.12(eV)<0となることから、250℃程度の加熱で、Mg置換した硫化物固体電解質材料が得られることが示唆された。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
10 … リチウム固体電池

Claims (3)

  1. γ−LiPS結晶相の2aサイトのLi元素が、M元素(M元素は、Cu(I)元素、Mg元素およびCa元素の少なくとも一種である)により置換された結晶相を主体として有することを特徴とする硫化物固体電解質材料。
  2. 前記M元素の置換量が、6.3%〜16.7%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の硫化物固体電解質材料。
  3. 正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された固体電解質層と、を有するリチウム固体電池であって、
    前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも一つが、請求項1または請求項2に記載の硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするリチウム固体電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020184464A1 (ja) * 2019-03-08 2020-09-17 国立大学法人豊橋技術科学大学 固体電解質、リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池

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