JP2016062207A - 緊急事態検知装置、システム及びプログラム及び方法 - Google Patents

緊急事態検知装置、システム及びプログラム及び方法 Download PDF

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宏典 松政
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勇哉 久藤
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Abstract

【課題】誤検知や過剰検知を防止しつつ、監視範囲の網羅性を高めることが可能な緊急事態検知システムを提供する。
【解決手段】緊急事態検知システムは、位置情報取得部31、推定部32、判定部33、通知部34を備えている。位置情報取得部31は、GPSを利用して得られる複数の携帯端末12の現在位置の時間的変化を示す位置情報を取得する。推定部32は、位置情報取得部31により取得された位置情報に基づいて、緊急事態発生地点を推定する。判定部33は、推定部32が推定した地点が除外エリアに該当するか否かを調べ、該当しない場合、推定部32が推定した地点を緊急事態発生地点と判定する。通知部34は、判定部33が判定した緊急事態発生地点を、予め設定された通知先の端末に通知する。
【選択図】図4

Description

本発明は、緊急事態を検知する緊急事態検知装置、システム及びプログラム及び方法に関する。
街頭などに設置した複数台の監視カメラを用いた緊急事態検知システムが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。ここで、緊急事態とは、例えば、街頭で突然人が倒れた、あるいは、人身事故や、人が巻き込まれる事件が発生した場合など、人の身体が危険にさらされており、緊急に、何らかの対処が必要な事態をいう。
下記特許文献1記載の緊急事態検知システムでは、監視カメラによって撮影された画像を解析することで人の移動状況を把握し、複数人の移動先が集中している状況を把握した場合には、その状況において何らかの緊急事態が発生したと検知する。そして、予め登録されている監視カメラの位置に基づいて、緊急事態が発生したと検知された緊急事態発生地点を判定し、所定の通知先に通知する。
特許第5271277号公報
しかしながら、上記特許文献1では、人の移動状況を把握するために監視カメラを用いるため、監視カメラが設置されていない場所や、監視カメラの死角となる場所では監視が不能となり、監視範囲の網羅性が低いといった問題があった。監視範囲の網羅性を高めるためには、監視カメラの設置台数を増やさなければならないが、設置場所の確保の困難性やコスト面を考慮すると費用対効果も低く、現実的ではない。
また、監視範囲の網羅性が向上すると、その分、緊急事態では無いにも関わらず緊急事態を検知してしまうという誤検知や、緊急事態と判定する必要性の乏しい場所において緊急事態を検知してしまう過剰検知が多くなるという問題も懸念される。
本発明は、誤検知や過剰検知を防止しつつ、監視範囲の網羅性を高めることが可能な緊急事態検知装置、システム、プログラム及び方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の緊急事態検知装置は、GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と通信し、複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、複数の携帯端末の位置情報から把握される複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定部と、推定部が推定した緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、除外エリアに該当しない場合に、発生地点において緊急事態が発生したと判定する判定部と、を備えていることを特徴としている。
推定部は、移動状況として、所定数を超える携帯端末の移動先が同一の地点に集中している状況を検知して、移動先において緊急事態が発生したと推定するものでもよい。
推定部は、所定数を超える携帯端末が複数の方向にそれぞれ移動していた状況から、ある時点を境に一斉に方向を変えて移動先に向かって移動を開始した状況を検知して、移動先において緊急事態が発生したと推定するものでもよい。
推定部は、所定数を超える携帯端末が移動先に向かって移動をしている状況が一定時間継続した状況を検知して、移動先において緊急事態が発生したと推定するものでもよい。
推定部は、所定数を超える携帯端末が移動先において、一定時間停止した状況を検知して、移動先において緊急事態が発生したと推定するものでもよい。
推定部は、停止状況として、予め設定された設定範囲内に、予め設定された設定数を上回る携帯端末が、予め設定された設定時間を超えて停止している状況を検知して、設定範囲の中心地点において緊急事態が発生したと推定するものでもよい。
除外エリアとして、警察署、消防署、及び医療施設の少なくとも1つが設定されていてもよい。
除外エリアとして、さらに、駅、空港、官公庁、災害時避難区域、及び地方公共団体の少なくとも1つが設定されていてもよい。
緊急事態の発生地点を、予め設定された通知先に通知する通知部を設けても良い。
通知先として、警察関係者によって閲覧される端末、消防関係者によって閲覧される端末、医療関係者によって閲覧される端末、地域代表者によって閲覧される端末、予め登録されたボランティアスタッフによって閲覧される端末の少なくとも1つが設定されていてもよい。
通知部は、緊急事態の発生地点を地図上にマーキングした通知画面を、通知先に配信するものでもよい。
また、上記目的を達成するために、本発明の緊急事態検知システムは、GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と、複数の携帯端末と通信する緊急事態検知装置とから構成され、緊急事態検知装置は、複数の携帯端末と通信し、複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、複数の携帯端末の位置情報から把握される複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定部と、推定部が推定した緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、除外エリアに該当しない場合に、発生地点において緊急事態が発生したと判定する判定部と、を備えていることを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、本発明の緊急事態検知プログラムは、コンピュータを緊急事態検知装置として機能させるための緊急事態検知プログラムにおいて、GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と通信し、複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、複数の携帯端末の位置情報から把握される複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定ステップと、推定ステップで推定した緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、除外エリアに該当しない場合に、発生地点において緊急事態が発生したと判定する判定ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、本発明の緊急事態検知方法は、GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と通信し、複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、複数の携帯端末の位置情報から把握される複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定ステップと、推定ステップで推定した緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、除外エリアに該当しない場合に、発生地点において緊急事態が発生したと判定する判定ステップと、緊急事態検知装置が実行することを特徴としている。
本発明では、GPS(Global Positioning System)を用いて取得した複数の携帯端末の位置情報に基づいて緊急事態の発生を推定し、推定した緊急事態の発生地点が予め設定された除外エリアに該当しない場合に、発生地点において緊急事態が発生したと判定するので、ノイズを低減しつつ、監視範囲の網羅性を高めることが可能である。
緊急事態検知システムの構成を示す説明図である。 地図データの例を示す説明図である。 緊急事態検知サーバに用いられるコンピュータの電気的な構成を示すブロック図である。 緊急事態検知サーバの機能概略を示す説明図である。 緊急事態発生地点と推定される状況の例を示す説明図である。 緊急事態発生地点の推定手法を示すフローチャートである。 緊急事態発生地点と推定される状況の例を示す説明図である。 緊急事態発生地点の推定手法を示すフローチャートである。 緊急事態発生地点の推定手法を示すフローチャートである。 緊急事態発生地点の推定手法を示すフローチャートである。 緊急事態発生地点の推定手法を示すフローチャートである。 推定された地点を緊急事態発生地点と判定する手順を示すフローチャートである。 通知画面の例を示す説明図である。
図1に示す緊急事態検知システム10は、緊急事態を検知するためのコンピュータシステムである。この緊急事態検知システム10は、緊急事態検知サーバ11と、携帯端末12と、これらを相互に通信可能に接続するネットワーク13とで構成されている。ネットワーク13は、例えば、インターネットである。
携帯端末12は、GPSによる位置検出機能及び通信機能を備えた携帯電話やスマートフォン、タブレット端末などである。携帯端末12は、GPS衛星14からの電波に基づいて、リアルタイムで自己の現在位置を検出し、検出した現在位置を、ネットワーク13を介して緊急事態検知サーバ11へ送信する。緊急事態検知システム10は、情報提供を承諾した不特定多数のユーザーの携帯端末12から、各携帯端末12の位置情報を継続的に収集する。
緊急事態検知サーバ11は、複数の携帯端末12からリアルタイムに送られる位置情報を取得し、取得した位置情報から把握される複数の携帯端末12の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて緊急事態を検知する、本発明の緊急事態検知装置である。ここで、緊急事態とは、例えば、街頭で突然人が倒れた、あるいは、人身事故や、人が巻き込まれる事件が発生した場合など、人の身体が危険にさらされており、緊急に、何らかの対処が必要な事態をいう。
緊急事態検知サーバ11は、データベース(DB(Data Base))15を備えており、このDB15には、図2に示すように、緊急事態検知サーバ11がカバーする監視範囲に対応する地図データ16が格納されている。監視範囲は、例えば、市区町村などの行政区域である。もちろん、監視範囲を行政区域よりも狭い範囲としてもよいし、GPSを利用しているため、全国に広げることも可能である。緊急事態検知サーバ11は、監視範囲内で発生した緊急事態を検知する。地図データ16には、携帯端末12から収集された位置情報と照合可能なように、各地点に対応する位置情報が含まれている。
また、地図データ16には、ハッチングで示すように、除外エリア17が設定されている。除外エリア17は、後述するように、緊急事態の誤検知や過剰検知を防止するために設定されるエリアである。緊急事態検知サーバ11は、複数の携帯端末12の位置情報から緊急事態の発生を推定し、推定した緊急事態の発生地点が、除外エリア17に該当する場合は、緊急事態の発生が誤検知かあるいは過剰検知と判断する。一方、推定した緊急事態の発生地点が除外エリア17に該当しない場合は、推定した発生地点において緊急事態が発生したと判定する。
除外エリア17は、例えば、駅、警察署、学校、災害時避難区域(図2の例では寺院)、市役所などが設定されている。駅など、平時においても人が集中する場所では、人の離合集散が激しく、こうした場所においては携帯端末12の移動状況から緊急事態を検知すると、誤検知の可能性が高い。しかも、駅には、駅員など緊急事態に対処するための教育を受けた職員がいるため、緊急事態を検知する必要性も乏しい。警察署などは、緊急事態の対応を職務としている職員が存在する場所であるため、路上などと比較して、緊急事態の検知の必要性が低く、過剰検知の可能性がある。このように、誤検知や過剰検知の可能性が高く、かつ、緊急事態を検知する必要性が乏しいエリアが、除外エリア17として設定される。
緊急事態検知サーバ11は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、サーバプログラム等のアプリケーションプログラムをインストールして構成される。
図3に示すように、緊急事態検知サーバ11を構成するコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、ストレージデバイス23、通信I/F24、及び入出力部26を備えている。これらはデータバス27を介して接続されている。入出力部26は、ディスプレイ28と、キーボードやマウスなどの入力デバイス29とからなる。
ストレージデバイス23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、制御プログラムやアプリケーションプログラム(以下、APという)30が格納される。また、DB15を有する緊急事態検知サーバ11には、プログラムを格納するHDDとは別に、DB用のストレージデバイス23として、例えば、HDDを複数台連装したディスクアレイが設けられる。なお、ディスクアレイは、サーバ本体に内蔵されるものでもよいし、サーバ本体とは別に設けられ、サーバ本体にLAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて接続されるものでもよい。
メモリ22は、CPU21が処理を実行するためのワークメモリであり、RAM(Random Access Memory)で構成される。CPU21は、ストレージデバイス23に格納された制御プログラムをメモリ22へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。通信I/F24は、ネットワーク13との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースである。
緊急事態検知サーバ11には、AP30として、サーバプログラムがインストールされている。サーバプログラムは、携帯端末12から位置情報を取得する機能、位置情報から緊急事態の発生及び発生地点を推定する機能、推定した発生地点が、除外エリア17に該当するか否かを調べて、推定した発生地点において緊急事態が発生したか否かを判定する機能、緊急事態が発生したと判定された場合に所定の通知先に通知する機能を緊急事態検知サーバ11に実行させるためのプログラムである。サーバプログラムは、例えば、緊急事態検知サーバ11のスタートアップメニューに登録され、緊急事態検知サーバ11の起動に伴って起動される。
図4に示すように、サーバプログラムが起動されると、緊急事態検知サーバ11のCPU21は、メモリ22などと協働して、位置情報取得部31、推定部32、判定部33、通知部34として機能する。
位置情報取得部31は、各携帯端末12からリアルタイムで送られる現在位置に関する情報を受け付け、携帯端末12毎に収集することによって、各携帯端末12それぞれの現在位置の時間的な変化を示す、携帯端末12毎の位置情報を取得する。位置情報取得部31は、このように取得した各携帯端末12の位置情報を格納するためのログファイルを作成し、このログファイルをメモリ22に記憶させる。
推定部32は、ログファイルに格納された位置情報を監視し、各携帯端末12の移動状況または停止状況を把握している。そして、把握した移動状況または停止状況に基づいて、緊急事態が発生したとみなせる発生地点を推定する。なお、推定部32は、推定手法1と推定手法2との2通りの推定手法により、前述した発生地点(以下、緊急事態発生地点)を推定するので、以下では場合を分けて各推定手法について具体的に説明を行う。
[推定手法1]
初めに推定手法1について説明する。推定手法1は、各携帯端末12の位置情報から把握される各携帯端末12の移動状況に基づき、所定数以上の携帯端末12の移動先が集中した場合に、これらの移動先を緊急事態発生地点と推定する手法である。
例えば、図5に示すように、時刻T1において、歩道上の歩行者Xが、突然、歩道上に倒れるといった緊急事態が発生した場合、倒れた歩行者Xの回りには、人だかりが発生する。すなわち、歩行者Xが倒れた時刻T1から、これに気づいた周辺の者(携帯端末12のユーザー)が歩行者Xの所に到達する時刻T2までは、複数(図6に例では6台)の携帯端末12の移動先が歩行者Xの倒れた場所に集中する。推定手法1では、このような移動先の集中を検出して、検出した移動先を緊急事態発生地点と推定する。
具体的には、図6に示すように、推定部32は、時刻T1における各携帯端末12の現在位置と、時刻T2における各携帯端末12の現在位置とを比較(差分を算出)することによって、時刻T1〜T2へかけての各携帯端末12の移動方向を検出する。そして、所定数(例えば、5台)を超える携帯端末12の移動方向が1点(または、半径1メートルのエリアなどの比較的小さなエリア内)で交差する場合、すなわち、所定数を超える携帯端末12の移動先が同一の地点(またはエリア)に集中している場合、この地点(またはエリア)を緊急事態発生地点と推定する。
なお、スクランブル交差点などで信号が青に変わった場合、歩行者が交差点の中心に向かって進行するといった事態が発生するが、このような事態は、緊急事態ではない。よってこのような事態を緊急事態と推定しないように、移動先が集中したか否かだけでなく、移動先へ向けて移動を開始する前の移動方向も考慮して、緊急事態発生地点を推定してもよい。
この場合、例えば、図7に示すように、移動先が集中する前は、それぞれランダムな方向に移動していた携帯端末が、ある時点を境に共通の移動先へ向けて移動を開始した場合に、移動先を緊急事態発生地点と推定すればよい。具体的には、図8に示すように、時刻T1を境に、移動先が集中したことが検出された場合(図5,図6参照)、時刻T1における各携帯端末12の現在位置と、時刻T1より以前の時刻T0における各携帯端末12の現在位置とを比較することによって、時刻T0〜T1へかけての各携帯端末12の移動方向を検知する。そして、各携帯端末12が複数の方向へ移動していることが検出された場合に、移動先が集中した地点を緊急事態発生地点と推定すればよい。
また、図9に示すように、移動先が同一の地点(またはエリア)に集中している状況が一定時間以上継続した場合、すなわち、図5(または図7)において、時刻T1〜時刻T2までの時間が一定時間以上であった場合に、移動先を緊急事態発生地点と推定するといった方法も考えられる。
さらに、図10に示すように、複数の携帯端末12が同一の地点(またはエリア)へ向けて移動した後、移動先で一定時間以上停止した場合、すなわち、図5(または図7)において、時刻T2の状態が一定時間以上維持された場合に、移動先を緊急事態発生地点と推定するといった方法も考えられる。
もちろん、図5〜図10を用いて説明した方法の中から複数または全てを組み合わせて、緊急事態発生地点を推定してもよい。
また、どの程度の数の携帯端末12の移動先が同一である場合に緊急事態発生地点と指定するか、すなあち、前述した所定数をどのような値とするかについては自由に設定できる。ただし、人口の多い都心部では、人が倒れるなどの緊急事態が発生すると多くの人が集中することが予想され、反対に、人口の少ない地方では緊急事態が発生しても多くの人が集中することは考え難い。このため、緊急事態を検知するエリアの人口に応じて所定数を決定することが好ましい。
[推定手法2]
続いて、推定手法2について説明する。推定手法2は、各携帯端末12の位置情報から把握される各携帯端末12の停止状況に基づき、設定範囲内に設定数を上回る数の携帯端末12が、設定時間を超えて停止している場合に、設定範囲の中心を緊急事態発生地点と推定する手法である。
図11に示すように、推定部32は、各携帯端末12の現在位置を監視し、単位面積あたりの携帯端末12の数が予め設定された閾値を上回るエリア(例えば、10m四方のエリア)を抽出する。引き続き、推定部32は、抽出したエリア内(設定範囲内)で、設定時間(例えば、1分)以上停止した状態の携帯端末12の数を監視する。そして、推定部32は、このような携帯端末12の数が設定数(例えば、50)を超えた場合に、設定エリアの中心を緊急事態発生地点と推定する。
なお、推定手法2では、前述した閾値の値や、抽出するエリアの大きさ、設定時間や設定数については、自由に設定できる。ただし、前述の推定手法1でも説明したように、人口の多い都心部と人口の少ない地方とでは、緊急事態が発生した際に集まる人(携帯端末)の数が異なる。このため、これらの値は、緊急事態を検知するエリアの人口に応じて決定することが好ましい。
図4に戻り、推定部32は、上述の推定手法1及び推定手法2の両方の手法で手法により緊急事態発生地点を推定し、緊急事態発生地点と推定された地点(またはエリア)を判定部33に通知する。
図12に示すように、判定部33は、推定部32が推定した緊急事態発生地点を、DB15に格納された地図データ16に照合することによって、推定部32が推定した緊急事態発生地点が、除外エリア17に該当するか否かを調べる。そして、除外エリア17に該当しない場合は、推定部32が推定した緊急事態発生地点を、緊急事態発生地点と判定し、この旨を通知部34に通知する。なお、除外エリア17に該当する場合は、緊急事態発生地点とは判定されず、通知部34への通知も行われない。
通知部34は、推定部32が推定した地点が、判定部33により緊急事態発生地点と判定されると、これを契機に作動される。通知部34は、作動に伴って、予め設定された通知先の端末に対して、緊急事態が発生したこと、及び、緊急事態発生地点と判定された地点を通知する。通知先の端末は、例えば、警察関係者によって閲覧される端末、消防関係者によって閲覧される端末、医療関係者によって閲覧される端末、地域代表者によって閲覧される端末、予め登録されたボランティアスタッフによって閲覧される端末などである。
この通知は、例えば、図13に示すように、緊急事態が発生したことを示すメッセージと、緊急事態発生地点がマーキングされた地図とを含む通知画面40を、通知先の端末に配信することによって行われる。なお、通知画面40は、電子メールに添付するなどの形態で配信してもよいが、緊急災害警報などのように、通知先の端末にインストールされたソフトウェアと協働し、通知が行われると強制的に通知先のディスプレイに通知画面が表示される形態で配信されることが好ましい。
以下、上記構成による本発明の作用について説明する。緊急事態検知システム10は、GPSを利用して得られる複数の携帯端末12の位置情報に基づいて緊急事態の発生及び発生地点を推定する。本実施形態では、所定数以上の携帯端末12が同一の移動先へ向けて移動したことが検知された場合、この移動先が緊急事態発生地点と推定する(図5、図6参照)。また、本実施形態では、設定範囲内に設定数を上回る携帯端末12が設定時間を超えて停止している場合、設定範囲の中心が緊急事態発生地点と推定する(図11参照)。
続いて、緊急事態検知システム10は、DB15を参照し、推定された地点が除外エリア17に該当するか否かを調べ、該当しない場合、推定された地点を緊急事態発生地点と判定する(図11参照)。そして、緊急事態検知システム10は、緊急事態が発生したこと及び緊急事態発生地点と判定された地点を、予め設定された通知先の端末に通知する(図12参照)。
このように、本実施形態の緊急事態検知システム10では、GPSを利用して得られる複数の携帯端末の位置情報に基づき、緊急事態を検知するので、例えば、監視カメラにより緊急事態を検知する場合と比較して、監視範囲(緊急事態を検知できる範囲)の網羅性が高い。
しかも、推定した緊急事態の発生地点が、除外エリア17に該当しない場合に、発生地点において緊急事態が発生したと判定するため、誤検知や過剰検知が少ない。
除外エリア17としては、誤検知や過剰検知が懸念される場所を設定しているが、除外エリア17の多くは、警察署など緊急事態の対応を職務としている職員が常駐しているエリアや、駅など緊急事態に対処する教育を受けた職員が常駐するエリアに設定されるため、これらのエリアを監視範囲から除外しても、問題は少ない。
また、本実施形態の緊急事態検知システム10では、例えば、緊急事態の発生原因となった者(例えば、図6において、倒れた歩行者X)が携帯端末を所持していない場合であっても、周囲の者の移動状況(または、停止状況)から緊急事態が発生したと検知することができる。
なお、上記実施形態では、平時でも人が集中する場所であることに加えて、緊急事態が発生したとしても緊急事態の対応を職務としている職員が存在する場所として、警察署を例に説明をしたが、このような場所としては、例えば、消防署や医療施設も該当する。よって、これら警察署以外の場所も除外エリア17に設定してもよい。
また、上記実施形態では、平時でも人が集中する場所であることに加えて、緊急事態が発生したとしても緊急事態に対処するための教育を受けた職員などが多く存在する場所として、災害時避難区域と市役所を例に説明をしたが、このような場所としては、例えば、空港、市役所以外の官公庁や地方公共団体も該当する。よって、これら市役所以外の場所も除外エリア17に設定してもよい。
もちろん、除外エリア17に設定する場所は、上述した例に限定されず適宜変更できるので、地域の事情、監視目的、監視対象などに応じて適宜更新することが好ましい。
また、上記実施形態では、複数の携帯端末の移動方向に基づいて緊急事態発生地点を推定する例で説明をしたが、携帯端末の位置情報からは、携帯端末の移動方向に加えて、携帯端末の移動速度も得られる。よって、これを利用して緊急事態発生地点を推定してもよい。この場合、例えば、ある時点までは移動方向がランダムであった携帯端末が、ある時点を境に同一の地点へ向けて移動を開始し、さらに、ランダムに移動していたときの移動速度よりも速い移動速度で同一地点へ向けて移動を開始した場合に、移動先の地点を緊急事態発生地点と推定するなどといったことが考えられる。
また、上記実施形態では、除外エリアを監視範囲から除外する例で説明をしたが、例えば、友人同士が待ち合わせ場所で集合するなどの状況を緊急事態と検知しないようにしてもよい。この場合、携帯端末のユーザーの属性(出身校や勤務先、所属するコミュニティなど)を示す属性情報を予め登録、または、SNS(Social Networking Service)を運営する運営サイトなどから取得し、移動先が集中するなど緊急事態と検知する状況となった場合に、移動先の集中したユーザーの属性情報を調べて、共通の属性を有するユーザー同士の移動先が集中した場合は、緊急事態とは検知しない構成とすればよい。
なお、本発明は、上記実施形態や上述した変形例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、上記実施形態や上述した変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、プログラムに加えて、プログラムを記憶する記憶媒体にも及ぶ。
10 緊急事態検知システム
11 緊急事態検知サーバ
12 携帯端末
13 ネットワーク
15 DB
16 地図データ
17 除外エリア
21 CPU
22 メモリ
30 AP
31 位置情報取得部
32 推定部
33 判定部
34 通知部
40 通知画面

Claims (14)

  1. GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と通信し、前記複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
    前記複数の携帯端末の位置情報から把握される前記複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定部と、
    前記推定部が推定した前記緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、前記除外エリアに該当しない場合に、前記発生地点において前記緊急事態が発生したと判定する判定部と、を備えていることを特徴とする緊急事態検知装置。
  2. 前記推定部は、前記移動状況として、所定数を超える携帯端末の移動先が同一の地点に集中している状況を検知して、前記移動先において前記緊急事態が発生したと推定することを特徴とする請求項1記載の緊急事態検知装置。
  3. 前記推定部は、前記所定数を超える携帯端末が複数の方向にそれぞれ移動していた状況から、ある時点を境に一斉に方向を変えて前記移動先に向かって移動を開始した状況を検知して、前記移動先において前記緊急事態が発生したと推定することを特徴とする請求項2記載の緊急事態検知装置。
  4. 前記推定部は、前記所定数を超える携帯端末が前記移動先に向かって移動をしている状況が一定時間継続した状況を検知して、前記移動先において前記緊急事態が発生したと推定することを特徴とする請求項2または3記載の緊急事態検知装置。
  5. 前記推定部は、前記所定数を超える携帯端末が前記移動先において、一定時間停止した状況を検知して、前記移動先において前記緊急事態が発生したと推定することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の緊急事態検知装置。
  6. 前記推定部は、前記停止状況として、予め設定された設定範囲内に、予め設定された設定数を上回る携帯端末が、予め設定された設定時間を超えて停止している状況を検知して、前記設定範囲の中心地点において前記緊急事態が発生したと推定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の緊急事態検知装置。
  7. 前記除外エリアとして、警察署、消防署、及び医療施設の少なくとも1つが設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の緊急事態検知装置。
  8. 前記除外エリアとして、さらに、駅、空港、官公庁、災害時避難区域、及び地方公共団体の少なくとも1つが設定されていることを特徴とする請求項7記載の緊急事態検知装置。
  9. 前記緊急事態の発生地点を、予め設定された通知先に通知する通知部を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の緊急事態検知装置。
  10. 前記通知先として、警察関係者によって閲覧される端末、消防関係者によって閲覧される端末、医療関係者によって閲覧される端末、地域代表者によって閲覧される端末、予め登録されたボランティアスタッフによって閲覧される端末の少なくとも1つが設定されていることを特徴とする請求項9記載の緊急事態検知装置。
  11. 前記通知部は、前記緊急事態の発生地点を地図上にマーキングした通知画面を、前記通知先に配信することを特徴とする請求項9または10記載の緊急事態検知装置。
  12. GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と、前記複数の携帯端末と通信する緊急事態検知装置とから構成され、
    前記緊急事態検知装置は、
    前記複数の携帯端末と通信し、前記複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
    前記複数の携帯端末の位置情報から把握される前記複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定部と、
    前記推定部が推定した前記緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、前記除外エリアに該当しない場合に、前記発生地点において前記緊急事態が発生したと判定する判定部と、を備えていることを特徴とする緊急事態検知システム。
  13. コンピュータを緊急事態検知装置として機能させるための緊急事態検知プログラムにおいて、
    GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と通信し、前記複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
    前記複数の携帯端末の位置情報から把握される前記複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定ステップと、
    前記推定ステップで推定した前記緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、前記除外エリアに該当しない場合に、前記発生地点において前記緊急事態が発生したと判定する判定ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする緊急事態検知プログラム。
  14. GPS衛星からの電波に基づいて位置情報を検知する複数の携帯端末と通信し、前記複数の携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
    前記複数の携帯端末の位置情報から把握される前記複数の携帯端末の移動状況または停止状況の少なくとも一方に基づいて、緊急事態の発生を推定する推定ステップと、
    前記推定ステップで推定した前記緊急事態の発生地点が、予め設定された除外エリアに該当するか否かを調べて、前記除外エリアに該当しない場合に、前記発生地点において前記緊急事態が発生したと判定する判定ステップと、緊急事態検知装置が実行することを特徴とする緊急事態検知方法。
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