JP2016060864A - 超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】超臨界発泡成形時の金型キャビティ面に対する腐食の問題を解決する超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)99.5〜80質量部 、ゴム質重合体にメタアクリル酸エステル単量体をグラフト重合させてなるグラフト重合体、及び/又は、ゴム質重合体にメタアクリル酸エステル単量体および芳香族ビニル単量体成分をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)0.5〜20質量部(但し、前記(A)成分と(B)成分の合計を100質量部とする。)を含有し、グラフト共重合体(B)中の、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸のいずれか1つ以上のカルボン酸又はそれらの塩の含有量の合計が0.05〜20質量%であり、かつ有機スルホン酸系化合物の含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物及び成形品に関し、詳しくは超臨界成形時の金型キャビティ面に対する腐食性を向上させたゴム質グラフト共重合体で強化されたポリカーボネート樹脂の熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いて超臨界発泡成形した成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気・電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂をゴム質グラフト共重合体で強化した熱可塑性樹脂組成物は難燃性と衝撃性のバランスに優れている為、、コンピューター、ノートブック型パソコン、各種携帯端末、プリンター、複写機等の電気・電子機器やOA・情報機器等の部品等として好適に使用されている。
近年、これらの機器は小型化や軽量化が急速に進展しており、使用する樹脂量を減らして軽量化するために、発泡成形する方法が採用されつつある。発泡成形としては、化学発泡剤や物理発泡剤を用いて製造する方法があるが、化学発泡法は、発泡剤を用いるためコストが高く、また発泡体中に残存する発泡剤の分解残留物による発泡体の変色や臭気の発生、化学発泡剤による成形機の汚れ等の問題がある。
一方、物理発泡剤によるガス発泡法は、成形機で樹脂を溶融しブタン等の低沸点有機化合物を供給し混練した後、低圧域に放出することにより発泡成形する方法であり、この方法に用いられる低沸点有機化合物は、樹脂に対して親和性があるため溶解性に優れ高倍率発泡体を得ることができる。しかし、これらの発泡剤はコストが高い上に、低沸点有機化合物は可燃性等の危険性を有している。
このような問題点を解決する為に、クリーンでコストがかからない窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガスを発泡剤とする方法が提案されている。しかしながら、これら不活性ガスはそのままでは樹脂との親和性が低いので溶解性に乏しく、得られる発泡体は、気泡径が大きく不均一で、セル密度が小さいため、外観性、機械的強度等に問題がある。
特許文献1には、発泡剤として超臨界流体を用い、これを樹脂に含浸させることにより、極めて微細なセル径と大きなセル密度を有する発泡体を得る技術が記載されている。この超臨界発泡成形において、超臨界液体は、液体に近い優れた溶解性と気体に近い優れた拡散性を有するため樹脂への溶解性が高く、また樹脂中での拡散速度も大きいことから、短時間で発泡剤を樹脂中に含浸させることが可能となる。
しかしながら、このような超臨界流体を溶融樹脂に添加し発泡させる方法においては、金型腐食の問題が生じやすい。この問題は、通常の射出成形に使用されているポリカーボネート樹脂組成物で金型腐食の問題などが全くない樹脂組成物であっても、発生してしまい、特に金型キャビティ面に著しく錆が発生してしまうという重大な問題が生じる。
特許文献2に記載の発明では、金型腐食の問題のため、熱分解温度が280℃以上の離型剤を配合することが提案されているが、その目的は腐食性ガスの低減であり、腐食低減の効果は金型ガスベント部に発現するものであり、金型キャビティ面への腐食が発生する環境においては腐食低減に対する効果がなかった。
米国特許第5158986号公報 特開2013−53271号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて創案されたもので、ゴム質グラフト共重合体で強化されたポリカーボネート樹脂に対して、超臨界発泡成形時の金型キャビティ面に対する腐食の問題を解決する超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂とMBS樹脂系のアロイにおいて、特定のカルボン酸成分及び有機スルホン酸系化合物の含有量が特定の範囲にあるMBS樹脂を含有する樹脂組成物が、超臨界発泡成形時の金型キャビティ面に対する腐食の問題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物及び成形品である。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)99.5〜80質量部、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト重合させてなるグラフト重合体、及び/又は、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸エステル単量体および芳香族ビニル単量体成分をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)0.5〜20質量部(但し、前記(A)成分と(B)成分の合計を100質量部とする。)を含有し、グラフト共重合体(B)中の、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸のいずれか1つ以上のカルボン酸又はそれらの塩の含有量の合計が0.05〜20質量%であり、かつ有機スルホン酸系化合物の含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
[2]さらに、リン系難燃剤(C)を、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、3〜30質量部含有する上記[1]に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
[3]リン系難燃剤(C)が縮合リン酸エステル及び/又はホスファゼン化合物である上記[2]に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
[4]さらに、ABS樹脂(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100重量部に対して、1〜50質量部含有する上記[1]〜[3]のいずれかに記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
[5]さらに、AS樹脂(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100重量部に対して、1〜50質量部含有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
[6]超臨界発泡に使用する気体が窒素である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて超臨界発泡成形してなる成形品。
本発明の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、超臨界発泡成形時の金型キャビティ面に対する腐食の問題を解決することができる。
実施例で金型腐食性の評価に用いた金型の構造を示す図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)99.5〜80質量部、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト重合させてなるグラフト重合体、及び/又は、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸エステル単量体および芳香族ビニル単量体成分をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)0.5〜20質量部(但し、前記(A)成分と(B)成分の合計を100質量部とする。)を含有し、グラフト共重合体(B)中の、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸のいずれか1つ以上のカルボン酸又はそれらの塩の含有量の合計が0.05〜20質量%であり、かつ有機スルホン酸系化合物の含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
ポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂であり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。また、難燃性向上の為に、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物や、シロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有ポリマー、またはそのオリゴマーを用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の好ましい例としては、ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とを併用したポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、制限はないが、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度20℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量(Mv)で、好ましくは10,000〜40,000、より好ましくは14,000〜32,000である。粘度平均分子量がこの範囲であると、得られる樹脂組成物の超臨界発泡成形における成形性が良く、且つ機械的強度の大きい成形品が得られやすい。ポリカーボネート樹脂(A)の最も好ましい分子量範囲は16,000〜30,000である。
なお、本発明において、ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、20℃にて、ポリカーボネート樹脂のメチレンクロライド溶液の粘度を測定し極限粘度([η])を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値である。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)及び溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂も好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂(A)は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、光学ディスクなどの光記録媒体、導光板、自動車窓ガラスや自動車ヘッドランプレンズ、風防などの車両透明部材、水ボトルなどの容器、メガネレンズ、防音壁やガラス窓、波板などの建築部材などが好ましく挙げられる。また、再生ポリカーボネート樹脂としては、製品の不適合品、スプルー、またはランナーなどから得られた粉砕品、またはそれらを溶融して得たペレットなども使用可能である。
[グラフト共重合体(B)]
本発明の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体(b1)に(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)をグラフト重合させてなるグラフト重合体、及び/又は、ゴム質重合体(b1)に(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)および芳香族ビニル単量体(b3)をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)であって、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸のいずれか1つ以上のカルボン酸又はそれらの塩の含有量の合計が0.05〜20質量%であり、かつ有機スルホン酸系化合物の含有量が0.5質量%以下であるグラフト共重合体(B)を含有する。このようなグラフト共重合体(B)を含有する。
グラフト共重合体(B)を構成するゴム質重合体(b1)の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シロキサンなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ジエン系ゴム、特にポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム質重合体(b1)には、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)、又は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)および芳香族ビニル単量体(b3)をグラフト重合する。
グラフト重合する(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル等を好ましく挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。
グラフト重合する芳香族ビニル単量体(b3)としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されないが、官能基等の置換基を有さないものが好ましい。芳香族ビニル単量体(b3)の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
芳香族ビニル単量体(b3)は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)、芳香族ビニル単量体(b3)以外の他のグラフト共重合可能な単量体を併用することもでき、そのような単量体の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート及びベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
グラフト共重合体(B)は、耐衝撃性や表面外観の点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもジエン系ゴムをコア層とし、その周囲にメタアクリル酸エステル単量体、さらには芳香族ビニル単量体をグラフト共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。
このようなコア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、芳香族ビニル単量体成分及びメタアクリル酸エステル単量体成分は、10質量%以上含有するものが好ましい。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体等が挙げられる。このようなゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明で使用するグラフト共重合体(B)は、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸のいずれか1つ以上のカルボン酸又はそれらの塩の含有量の合計が0.05〜20質量%であり、かつ有機スルホン酸系化合物の含有量が0.5質量%以下である。カルボン酸の中でも、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸又はそれらの塩の含有量がこのような範囲にあって、かつ有機スルホン酸系化合物の含有量が0.5質量%以下であるグラフト共重合体(B)が、超臨界発泡成形時の金型キャビティ面に対する腐食性を低減させることが見出された。
オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸の塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が特に好ましく挙げられる。
グラフト共重合体(B)のオレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸又はそれらの塩の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、中でも1質量%以上、とりわけ1.5質量%以上が好ましく、特には2質量%以上が好ましく、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、中でも9質量%以下、とりわけ8質量%以下が好ましく、特には7質量%以下、最も好ましは6質量%以下である。
グラフト共重合体(B)が含有する有機スルホン酸系化合物としては、代表的にはアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、ドデシルベンゼンスルホン酸、ステアリルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸等のナトリウム塩、カリウム塩を例示することができる。このような有機スルホン酸系化合物はグラフト共重合体(B)を乳化重合する際の界面活性剤に由来するものと考えられる。
有機スルホン酸系化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。
グラフト共重合体(B)は通常、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの方法で製造される、本発明ではいずれの方法によるものでも使用可能である。
グラフト共重合体(B)を乳化重合で製造する場合は、ゴム質重合体成分(b1)のラテックス中に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b2)、又は、メタアクリル酸エステル単量体(b2)および芳香族ビニル単量体(b3)及びその他の単量体を添加し、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤等のラジカル重合開始剤、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤などの乳化剤および連鎖移動剤などを用いて、乳化グラフト重合等により製造する。
オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸又はそれらの塩及び有機スルホン酸系化合物の含有量を所定の範囲とするためには、重合時にそれらを配合する量を調整することで可能である。また、その際、これらのカルボン酸又はそれらの塩や有機スルホン酸系化合物を上記の乳化剤として使用し、その量を調節することによっても製造可能である。また、これらカルボン酸又はそれらの塩及び有機スルホン酸系化合物の含有量は製造後のラテックスを水洗することなどによっても調整可能である。
また、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸又はそれらの塩及び有機スルホン酸系化合物の含有量が所定の範囲にあるグラフト共重合体(B)は、市販されているグラフト共重合体の中から所定の含有量であるものを適宜選択して使用することでも可能である。
本発明において、グラフト共重合体(B)は、グラフト共重合体(B)1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のグラフト共重合体を組み合わせて含む態様でもよい。複数種のグラフト共重合体を組み合わせて含む場合は、アビエチン酸、オレイン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸又はそれらの塩及び有機スルホン酸系化合物の含有量が所定範囲にあるグラフト共重合体(B)に、含有量が所定の範囲外にあるグラフト共重合体を配合し、グラフト共重合体全体として上記化合物の含有量を所定の範囲内とすることでもよい。
グラフト共重合体(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、好ましくは0.5〜20質量部である。含有量が0.5質量部を下回ると、耐衝撃性向上効果が不十分となりやすく、20質量部を超える場合は、樹脂組成物を超臨界発泡成形した成形品の外観不良や耐熱性、難燃性の低下が生じやすい。グラフト共重合体(B)の含有量は、より好ましくは、ポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)の合計100質量部に対し、1.5質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、また、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
[リン系難燃剤(C)]
本発明の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、リン系難燃剤(C)を含有することが好ましい。リン系難燃剤(C)を含有することで、超臨界発泡成形により得られた成形品の難燃性を改良することができる。
リン系難燃剤(C)としては、分子中にリンを含む化合物であり、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよいが、熱安定性の面から、下記一般式(1)で表される縮合リン酸エステル化合物や一般式(2)および(3)で表されるホスファゼン化合物が特に好ましい。
Figure 2016060864
Figure 2016060864
Figure 2016060864
・縮合リン酸エステル化合物
上記一般式(1)で表される縮合リン酸エステル化合物は、kが異なる数を有する化合物の混合物であってもよく、かかるkが異なる縮合リン酸エステルの混合物の場合は、kはそれらの混合物の平均値となる。kは、通常0〜5の整数であり、異なるk数を有する化合物の混合物の場合は、平均のk数は好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.6〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2、特に好ましくは0.95〜1.15の範囲である。
また、Xは、二価のアリーレン基を示し、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、2,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基である。これらのうち、特に、レゾルシノール、ビスフェノールA、3,3’−ジヒドロキシビフェニルから誘導される二価の基が好ましい。
また、一般式(1)におけるp、q、rおよびsは、それぞれ0または1を表し、なかでも1であることが好ましい。
また、R、R、RおよびRは、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。このようなアリール基としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジ−tert−ブチルフェニル基、p−クミルフェニル基等が挙げられるが、フェニル基、クレジル基、キシリル基がより好ましい。
一般式(1)で表される縮合リン酸エステル化合物の具体例としては、
トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、tert−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(tert−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(tert−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル類;
レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(RDP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート(RDX)、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BDP)、ビフェニルビス−ジフェニルホスフェート等の縮合リン酸エステル類;
等が挙げられる。
一般式(1)で表される縮合リン酸エステル化合物の酸価は、0.2mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは0.15mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.1mgKOH以下であり、特に好ましくは0.05mgKOH/g以下である。かかる酸価の下限は実質的に0とすることも可能である。一方、ハーフエステルの含有量は1.1質量部以下がより好ましく、0.9質量部以下がさらに好ましい。酸価が0.2mgKOH/gを超える場合やハーフエステル含有量が1.5mgを超える場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性や耐加水分解性の低下を招く。
リン酸エステル化合物としては、上述のものの他に、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、リン酸エステル部位を含有するポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはエポキシ樹脂も当然含まれる。
・ホスファゼン化合物
上記一般式(2)及び(3)で表されるホスファゼン化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン(例えば、o−トリルオキシホスファゼン、m−トリルオキシホスファゼン、p−トリルオキシホスファゼン、o,m−トリルオキシホスファゼン、o,p−トリルオキシホスファゼン、m,p−トリルオキシホスファゼン、o,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)キシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C1−6アルキルC6−20アリールオキシホスファゼンや、(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン(例えば、フェノキシo−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm−トリルオキシホスファゼン、フェノキシp−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)フェノキシキシリルオキシホスファゼン、(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C6−20アリールC1−10アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン等が例示できる。
これらのうち、好ましくは、環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状C1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン、C6−20アリールオキシC1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン(例えば、環状及び/又は鎖状トリルオキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状フェノキシトリルフェノキシホスファゼン等)である。
一般式(2)で表される環状ホスファゼン化合物としては、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。このようなアリール基又はアルキルアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられるが、なかでもR及びRがフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。
このような環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120〜130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。
また、式(2)中、tは3〜25の整数を表すが、なかでもtが3〜8の整数である化合物が好ましく、tの異なる化合物の混合物であってもよい。なかでも、t=3のものが50質量%以上、t=4のものが10〜40質量%、t=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
式(3)中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アリール基又はアルキルアリール基を示す。このようなアリール基又はアルキルアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられるが、R及びRがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。
このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220〜250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3〜10,000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。
また、Rは、−N=P(OR基、−N=P(OR基、−N=P(O)OR基、−N=P(O)OR基から選ばれる少なくとも1種を示し、R10は、−P(OR基、−P(OR基、−P(O)(OR基、−P(O)(OR基から選ばれる少なくとも1種を示す。
また、式(3)中、uは3〜10,000の整数を示し、好ましくは3〜1,000、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜25である。
また、ホスファゼン化合物は、その一部が架橋された架橋ホスファゼン化合物であってもよい。このような架橋構造を有することで耐熱性が向上する傾向にある。
このような架橋ホスファゼン化合物としては、下記一般式(4)で表わされる架橋基、例えば、4,4’−スルホニルジフェニレン(ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2−(4,4’−ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4’−ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
Figure 2016060864
[式(4)中、Xは−C(CH−、−SO−、−S−、又は−O−であり、vは0又は1である。]
また、架橋ホスファゼン化合物としては、一般式(2)においてR及びRがフェニル基である環状フェノキシホスファゼン化合物が前記一般式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物又は、前記一般式(3)においてR及びRがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物が難燃性の点から好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物が上記一般式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、一般式(2)で表される環状ホスファゼン化合物及び/又は一般式(3)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基及びフェニレン基数を基準として、通常50〜99.9%、好ましくは70〜90%である。また、該架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
本発明においては、ホスファゼン化合物は、前記一般式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物、及び、上記一般式(3)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物よる成る群から選択される少なくとも1種であることが、難燃性及び機械的特性の点から好ましい。
リン系難燃剤(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、好ましくは3〜30質量部であり、好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上であり、好ましくは25量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。リン系難燃剤(C)の配合量が3質量部を下回る場合は、難燃性が不十分となりやすく、30質量部を超えると著しい耐熱性の低下や機械物性の低下を引き起こしやすい。
[ABS樹脂(D)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹脂(D)を含有することが好ましい。
ABS樹脂は、通常、芳香族ビニル単量体成分、ジエン系ゴム質重合体成分及びその他の単量体成分からなる共重合樹脂であり、好ましいのは、芳香族ビニル単量体成分(d1)40〜80質量%、シアン化ビニル単量体成分(d2)10〜30質量%、ジエン系ゴム質重合体成分(d3)10〜30質量%及びその他の単量体成分(d4)0〜30質量%からなるABS樹脂(D)である。
ABS樹脂(D)における芳香族ビニル単量体成分(d1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
芳香族ビニル単量体成分(d1)のABS樹脂(D)中の割合は、ABS樹脂(D)100質量%中、40〜80質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは65質量%以下である。
ABS樹脂(D)におけるシアン化ビニル単量体成分(d2)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
シアン化ビニル単量体成分(d2)のABS樹脂(D)中の割合は、ABS樹脂(D)100質量%中、好ましくは10〜30質量%の範囲であり、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは14質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは26質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
ABS樹脂(D)のジエン系ゴム質重合体成分(d3)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体等のゴム成分が用いられ、ジエン系ゴム質重合体成分(d3)のABS樹脂(D)中の割合は、ABS樹脂(D)100質量%中、好ましくは10〜30質量%の範囲であり、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは14質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは28質量%以下、さらに好ましくは26質量%以下である。
さらに、これらと共重合可能なその他の単量体成分(d4)を共重合したものでも良く、この場合、共重合可能な他のビニルモノマーとしては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
その他の単量体成分(d4)のABS樹脂(D)中の割合は、ABS樹脂(D)100質量%中、好ましくは0〜30質量%の範囲であり、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
ABS樹脂(D)の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体等が好ましく例示される。
ABS樹脂は、通常、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合等の方法で製造され、本発明では、いずれの方法によるものでも使用可能であるが、塊状重合法によるものが好ましい。
ABS樹脂(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、中でも35質量部以下、とりわけ30質量部以下が好ましく、最も好ましくは25質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは13質量部以上、最も好ましくは15質量部以上、最も好ましくは18質量以上である。ABS樹脂体(D)の含有量が50質量部を超えると、強度が不満足となりやすく、1質量部未満では流動性及び発泡性の改良効果が不十分となる。
[AS樹脂(E)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、AS樹脂(E)を含有することも好ましい。
AS樹脂は、アクリロニトリル−スチレン系共重合体であり、アクリロニトリルとスチレン系単量体の1種又は2種以上との共重合体をいう。
AS樹脂(E)を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびブロモスチレン等が好ましく、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましく、特にスチレンが好ましい。
AS樹脂(E)中のスチレン系単量体の含有率は、50〜95質量%が好ましく、65〜92質量%がより好ましい。
また、AS樹脂(E)の分子量を反映するメルトフローレート(MFR)としては、220℃、荷重10kgで5〜50g/10分の範囲にあることが好ましく、10〜30g/10分がより好ましい。
AS樹脂(E)を製造する方法は、特に制限はなく公知の方法が採用でき、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、塊状懸濁重合、乳化重合等の方法が用いられる。また、別々に重合ないし共重合した樹脂をブレンドすることによって得ることも可能である。
AS樹脂(E)は、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS樹脂)またはアクリロニトリルスチレン共重合体(SAN)として市販されているものを広く採用することもできる。
AS樹脂(E)の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、中でも35質量部以下、とりわけ30質量部以下が好ましく、最も好ましくは25質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、中でも好ましくは13質量部以上、特に好ましくは15質量部以上、最も好ましくは18質量以上である。
[離型剤(F)]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤(F)を含有することも好ましい。離型剤(F)としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
離型剤(F)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[フルオロポリマー(G)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、フルオロポリマー(G)を含有することが好ましい。
フルオロポリマー(G)としては、例えば、フルオロオレフィン樹脂が挙げられる。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体である。具体例としてはジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂、テトラフルオロエチレン/パーフルアルキルビニルエーテル共重合樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくはテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。このフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂が挙げられる。
フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)6J」、「テフロン(登録商標)640J」、ダイキン工業社製「ポリフロンF201L」、「ポリフロンF103」、「ポリフロンFA500B」、「ポリフロンFA500H」などが挙げられる。さらに、フルオロエチレン樹脂の水性分散液の市販品として、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)31−JR」、ダイキン工業社製「フルオンD−210C」等が挙げられる。さらに、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するフルオロエチレン重合体も使用することができ、このようなフルオロエチレン重合体としては、ポリスチレン−フルオロエチレン複合体、ポリスチレン−アクリロニトリル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸メチル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸ブチル−フルオロエチレン複合体等が挙げられ、具体例としては三菱レイヨン社製「メタブレンA−3800」、GEスペシャリティケミカル社製「ブレンデックス449」等が挙げられる。なお、滴下防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
フルオロポリマー(G)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは2質量部以下であり、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.7質量部以下である。フルオロポリマー(G)の含有量が0.01質量部未満の場合は、滴下防止剤による難燃性の効果が不十分となりやすく、含有量が2質量部を超える場合は、熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度の低下が生じやすい。
[ケイ酸塩化合物(H)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ケイ酸塩化合物(H)を配合することも好ましい。ケイ酸塩化合物(H)は、燃焼時の溶融樹脂のドリップを防止する効果が大きく、樹脂組成物の難燃性をより向上させ、剛性、寸法安定性を改良することができる。
ケイ酸塩化合物(H)の具体例としては、タルク、カオリン、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ワラストナイト、天然シリカ、合成シリカ、各種ガラスフィラー、ゼオライトおよびケイソウ土等、またはこれらの混合物を挙げることができるが、好ましくはタルク、マイカ、ワラストナイトであり、さらに難燃性・寸法安定性のバランスから最も好ましいのはタルクである。タルクは、上記の中でも、燃焼時の溶融樹脂ドリップ防止効果が特に大きい。
タルクは、特に限定されないが、光透過式粒度分布測定器を用いる沈降法(浅田法)で測定した数平均粒子径で好ましくは1.0〜20μm、より好ましくは1.5〜18μmである。数平均粒子径を1.0μm以上とすることにより、難燃性が向上する傾向にあり、20μm以下とすることにより、成形品の外観がより向上する傾向にある。
ケイ酸塩化合物(H)は、ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)及び前記したグラフト共重合体(B)との親和性あるいは界面結合力を高める目的で、種々のカップリング剤を使用することもできる。
カップリング剤としては通常はシラン系、クロム系、チタン系等のカップリング剤が挙げられる。中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物、ビニルトリクロロシラン化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン化合物等のシラン系カップリング剤を含むものが好ましい。この際、非イオン、陽イオン、陰イオン型等各種の界面活性剤や脂肪酸、金属石鹸、各種樹脂等の分散剤による処理を合わせて行うことが、機械的強度および混練性の向上の点で好ましい。
ケイ酸塩化合物(H)の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、0〜5質量部であり、0.5〜4質量部がより好ましい。
[安定剤(I)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、安定剤を含有することが好ましく、安定剤としてはリン系安定剤やフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
リン系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量以下、より好ましくは0.5質量部以下である。リン系安定剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、熱安定効果が不十分となる可能性があり、リン系安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
フェノール系安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、BASF社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
フェノール系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。フェノール系安定剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、フェノール系安定剤としての効果が不十分となる可能性があり、フェノール系安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[その他の成分]
本発明の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、上記した以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・その他の樹脂
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する製造方法には制限はなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
[超臨界発泡成形]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は超臨界発泡成形により発泡成形品にされる。成形機としては射出成形機、押出し成形機、ブロー成形機などが使用されるが、射出成形機等が好ましく使用される。
超臨界発泡成形は、公知の各種方法が適用可能である。その具体例の一つを説明すると、先ず、得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットは、射出成形機のホッパーから成形機に投入され、成形機スクリューの搬送ゾーン、圧縮ゾーンにて加熱溶融された後、成形機スクリューの計量ゾーン及び圧縮ゾーンに送られる。そして、窒素または二酸化炭素ガスを超臨界流体としたものが計量ゾーン部に設けた注入口より注入され、この超臨界流体と溶融樹脂は加圧され単一相化され、射出成形機のノズルから射出され、スプルー、ランナー内を単一相を維持しながら流動し金型キャビティへ送られ、そして、ゲートを通過後に気泡核が発生し、気泡が拡大しながら金型内への充填が進行することにより、超臨界発泡成形が行われる。ここで、気泡核の生成は、金型において圧力が窒素または二酸化炭素の臨界圧力以下の圧力に圧力低下することで、窒素または二酸化炭素を過飽和状態にし、過飽和状態になった溶融樹脂組成物に多数のセル核が発生することにより行われる。
[成形体]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、超臨界発泡成形により任意の形状に成形して成形品として用いる。この成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形品の例を挙げると、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気・電子機器やOA機器の各種部品に特に好適である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
以下の実施例及び比較例に使用した各成分は、以下の表1のとおりである。
Figure 2016060864
[グラフト共重合体(B)中のカルボン酸又は塩の含有量測定]
なお、上記表1において、グラフト共重合体(B)中の、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸又はそれらの塩の含有量の測定は、以下のようにして行った。
グラフト共重合体(B)2.4gをジクロロメタンに溶解させ、ヘキサンで再沈させた際の上澄みをろ過後、濃縮・乾燥させた。得られた乾固物を以下のGC法により測定した。
測定条件は以下の通りである。また定量には和光純薬社製のステアリン酸(特級)、パルミチン酸(特級)、オレイン酸、アビエチン酸をリファレンスとして使用した。
測定機器:GC/MS−QP2010(島津製作所社製)
カラム:UA1(MS/HT)
(フロンティア・ラボ社製、0.25mm×15m、膜厚0.25μm)
カラム温度:50〜350℃(12.5℃/min)
ガス流速:3ml/min
[グラフト共重合体(B)中の有機スルホン酸系化合物の含有量測定]
また、上記グラフト共重合体(B)中の有機スルホン酸系化合物の含有量の測定は、有機スルホン酸系化合物としてはドデシルベンゼンスルホン酸(塩)しか含有していないことがあらかじめ確認できたので、ドデシルベンゼンスルホン酸(塩)の含有量を以下のようにして測定した。
グラフト共重合体(B)5gをメタノール中に分散させることで得られたメタノール可溶分を抽出・乾燥させた固形物につき、以下の液体クロマトグラフ(LC)法にて測定した。
測定条件は以下の通りである。また定量には東京化成社製のドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)をリファレンスとして使用した。
カラム:SunShell C18
(クロマニックテクノロジー社製、4.6×50mm、粒径2.7μm)
カラム温度:40℃
移動相:0.1mol/L
過塩素酸ナトリウムを含む水/アセトニトリル=45/55
流速:1.3mL/min
注入量:5μL
検出器:UV(230nm)
(実施例1〜10、比較例1〜2)
[樹脂ペレットの製造]
上記表1に記した各成分のうちC1成分以外を、以下の表2に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30α)に上流のフィーダーより供給し、さらにC1成分をバレルの途中より供給しながら、回転数250rpm、吐出量45kg/時間、バレル温度は実施例1、比較例1は280℃、それ以外は260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
[金型腐食性の評価]
金型腐食性の評価を以下のようにして行った。
通常成形については、得られた樹脂組成物のペレットを、予め80℃で6〜12時間予備乾燥し、日本製鋼所社製J85AD射出成形機を用いて、シリンダー温度は実施例1と比較例1は280℃、それ以外は260℃、金型温度は全て50℃、1サイクル30秒となる設定にて、通常の射出成形を実施した。
一方、超臨界発泡成形については、TREXEL社製のMuCell SCF装置(型式:SII−TRJ−10−A)を用いて超臨界状態にした窒素を、日本製鋼所J85AD射出成形機のシリンダーへと所定量注入し、溶融した樹脂組成物と混合させ金型内へ射出するという一連のサイクルにて超臨界発泡成形を実施した。樹脂組成物ペレットの予備乾燥、成形条件は通常成形と同じ条件で、超臨界窒素の注入量は通常成形品質量の0.2質量%の設定とした。
金型腐食性の評価は、図1に示した構造を有する金型を用いて行った。図1−aは断面平面図、図1−bが断面側面図である。1はスプルー、2はランナー、3はキャビティ(20mm×60mm×3mm〜1mm厚)、4は突出しピンであり、破線で示した5が入れ駒部分である。
成形を200ショット実施した後、金型の入れ駒を取り外し、温度65℃、湿度85%の条件下で1時間放置した後の入れ駒の錆状態を目視で確認することで評価を行った。
キヤビティ部分の目視評価の基準は、以下の通りである。
A:錆腐食が目視では確認できない
B:錆腐食による変色がキャビティ面の面積の10%未満
C:錆腐食による変色がキャビティ面の面積の10%以上〜30%以下
D:錆腐食による変色がキャビティ面の面積の30%超〜60%以下
E:錆腐食による変色がキャビティ面の面積の60%より多い
評価結果を以下の表2に示す。
なお、以下の実施例において、他の機械物性等の低下は特にみられなかった。
Figure 2016060864
本発明の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物は、超臨界発泡成形時の金型キャビティ面の腐食の問題がないので、各種の超臨界発泡成形において良好な成形品を生産性良く製造でき、その産業上の利用性は高いものがある。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)99.5〜80質量部、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト重合させてなるグラフト重合体、及び/又は、ゴム質重合体に(メタ)アクリル酸エステル単量体および芳香族ビニル単量体成分をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(B)0.5〜20質量部(但し、前記(A)成分と(B)成分の合計を100質量部とする。)を含有し、グラフト共重合体(B)中の、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸及びアビエチン酸のいずれか1つ以上のカルボン酸又はそれらの塩の含有量の合計が0.05〜20質量%であり、かつ有機スルホン酸系化合物の含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  2. さらに、リン系難燃剤(C)を、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100質量部に対して、3〜30質量部含有する請求項1に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  3. リン系難燃剤(C)が縮合リン酸エステル及び/又はホスファゼン化合物である請求項2に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  4. さらに、ABS樹脂(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100重量部に対して、1〜50質量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  5. さらに、AS樹脂(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)の合計100重量部に対して、1〜50質量部含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 超臨界発泡に使用する気体が窒素である請求項1〜5のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物を用いて超臨界発泡成形してなる成形品。
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