JP2017141339A - 再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、回収ポリカーボネート樹脂を未使用のポリカーボネート樹脂と混合して、再生ポリカーボネート樹脂組成物とする場合に、熱安定性及び湿熱安定性、特に耐熱処理後の引張破断伸びの低下率が大きくなりやすい。
本発明の目的(課題)は、熱安定性及び湿熱安定性、特に耐熱処理後の引張破断伸びの低下率が小さく、難燃性にも優れた再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
本発明は、以下に関する。
回収ポリカーボネート樹脂(A)として、ポリカーボネート樹脂成分が98質量%以上で且つ粘度平均分子量(Mv)が20,000以上であり、30分間予熱時のMVR(300℃×1.2kgで測定)が、4分間予熱時のMVR(300℃×1.2kgで測定)に対し、上昇率が50%を超えない回収ポリカーボネート樹脂(A)を選定し、(A)及び(B)の合計100質量%に対し、3〜60質量%の割合で使用し、
さらに、(A)及び(B)の合計100質量部に対し、リン系難燃剤(C)を2〜20質量部及びフルオロポリマー(D)を0.5質量部以下の割合で配合することを特徴とする再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
[2]さらに、ABS樹脂(E)又は熱可塑性ポリエステル樹脂(F)を配合する上記[1]に記載の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
[3]回収ポリカーボネート樹脂(A)中のアルカリ金属の含有量が10質量ppm以下である上記[1]又は[2]に記載の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
[4]回収ポリカーボネート樹脂(A)が、主として飲料用容器あるいは半導体搬送用容器由来の回収ポリカーボネート樹脂である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
回収ポリカーボネート樹脂(A)として、ポリカーボネート樹脂成分が98質量%以上で且つ粘度平均分子量(Mv)が20,000以上であり、30分間予熱時のMVR(300℃×1.2kgで測定)が、4分間予熱時のMVR(300℃×1.2kgで測定)に対し、上昇率が50%を超えない回収ポリカーボネート樹脂を、(A)及び(B)の合計100質量%に対し、3〜60質量%の割合で使用し、
さらに、(A)及び(B)の合計100質量部に対し、リン系難燃剤(C)を2〜20質量部及びフルオロポリマー(D)を0.5質量部以下の割合で配合することを特徴とする。
本発明でいうポリカーボネート樹脂は、式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。式中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
ビスフェノール−A由来の構造単位を有するポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール−A以外の他のジヒドロキシ化合物由来のカーボネート構造単位を有していてもよい。ビスフェノール−A以外に由来する構造単位の共重合量は、通常50モル%未満が好ましく、より好ましくは40モル%以下、さらには30モル%以下、特には20モル%以下であり、10モル%以下、なかでも5モル%以下が最も好ましい。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
本発明の方法で原料として使用される回収されたポリカーボネート樹脂(A)(以下、「回収ポリカーボネート樹脂(A)」ともいう。)は、各種の用途で使用されたポリカーボネート樹脂の成形品から回収される。成形品としては、制限されず、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、溶融押出、カレンダー法などの種々の成形法によって成形された成形品、例えば、飲料水や各種飲料用の容器並びに飲料水サーバー用水ボトル等の飲料用容器、半導体搬送用容器、車両のヘッドランプやテールランプ等の各種ランプレンズ、各種の照明カバー、信号灯カバー、街灯カバー、ガラス代替としての窓、サンルーフ、アーケード、カーポート、明かり採りの屋根材、農業用ハウス向け建材、ベランダの腰板、道路や線路沿いの透光板(遮音板)、DVD、CD、CD−ROM等の光記録媒体、電気・電子・OA用途として携帯電話、パソコンハウジング、電池パックケース、液晶用各種部品、コネクタ、自動車部品としてのドアハンドル、バンパ、フェンダ、ルーフ、ルーフレール、インバネ、コンソールボックス等、また、風防等の車両透明部材、ヘルメット前面のシールド、ゴーグル、サングラスレンズ、保護眼鏡、カメラレンズ、パチンコ用玉入れケース、飲料や食品の容器等が挙げられる。また、成形品としては製品化の工程で発生した不良品、試作品等も含む。
このような回収ポリカーボネート樹脂(A)は、上記したようなポリカーボネート樹脂の成形品を破砕した破砕物から、必要により異物を除去したり分離することによって、得ることができる。破砕は、例えば、カッターミル、ロールクラッシャー、ハンマークラッシャー、ディスクミル、ピンミル、ターボミル、ジェットミル等、公知の粉砕装置を使用することで製造できる。
破砕物中の、例えば、金属、金属蒸着物、他の樹脂等のポリカーボネート樹脂以外の他の成分は破砕物中で2質量%以下、好ましくは2質量%未満になるように、除去される。
化学処理による異物除去としては、アルカリ又は酸、界面活性剤による処理が挙げられる。なかでも、水酸化ナトリウム等によりアルカリ処理が好ましい。
MVRの上昇率は、好ましくは45%以下であり、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下、特には30%以下であることが好ましい。また、上昇率の下限は、好ましくは5%、より好ましくは3%、さらに好ましくは0%である。
回収ポリカーボネート樹脂(A)は、未使用のポリカーボネート樹脂(B)と混合される。
ここで未使用のポリカーボネート樹脂とは、いわゆるバージン材ともいわれ、前記したポリカーボネート樹脂が製造された状態そのもの、またはパウダー、粉粒体もしくはペレット等に予備成形されたものを表す。
未使用のポリカーボネート樹脂(B)(以下、「未使用ポリカーボネート樹脂(B)」ということもある。)として使用されるポリカーボネート樹脂は、その種類等に制限はなく、前記した通りのポリカーボネート樹脂が使用できる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上の未使用ポリカーボネート樹脂(B)を混合して上記粘度平均分子量に調整してもよい。また、必要に応じ、粘度平均分子量が上記の好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよい。
本発明の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法では、リン系難燃剤(C)を、回収ポリカーボネート樹脂(A)及び未使用ポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量部に対して、3〜30質量部の割合で配合する。このようにリン系難燃剤を配合することで、得られる再生ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び湿熱安定性を良好に維持した上で高度の難燃性を向上させることができる。
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物は、kが異なる数を有する化合物の混合物であってもよく、かかるkが異なる縮合リン酸エステルの混合物の場合は、kはそれらの混合物の平均値となる。kは、通常0〜5の整数であり、異なるk数を有する化合物の混合物の場合は、平均のk数は好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.6〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2、特に好ましくは0.95〜1.15の範囲である。
トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、tert−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(tert−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(tert−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル類;
レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(RDP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート(RDX)、ビスフェノールA−ビス−ジフェニルホスフェート(BDP)、ビフェニルビス−ジフェニルホスフェート等の縮合リン酸エステル類;
等が挙げられる。
前記一般式(2)及び(3)で表されるホスファゼン化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン(例えば、o−トリルオキシホスファゼン、m−トリルオキシホスファゼン、p−トリルオキシホスファゼン、o,m−トリルオキシホスファゼン、o,p−トリルオキシホスファゼン、m,p−トリルオキシホスファゼン、o,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)キシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C1−6アルキルC6−20アリールオキシホスファゼンや、(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン(例えば、フェノキシo−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm−トリルオキシホスファゼン、フェノキシp−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p−トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m,p−トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)フェノキシキシリルオキシホスファゼン、(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン等の環状及び/又は鎖状C6−20アリールC1−10アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン等が例示できる。
これらのうち、好ましくは、環状及び/又は鎖状フェノキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状C1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン、C6−20アリールオキシC1−3アルキルC6−20アリールオキシホスファゼン(例えば、環状及び/又は鎖状トリルオキシホスファゼン、環状及び/又は鎖状フェノキシトリルフェノキシホスファゼン等)である。
このような環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120〜130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。
このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220〜250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3〜10,000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。
このような架橋ホスファゼン化合物としては、下記一般式(4)に示す架橋構造、例えば、4,4’−スルホニルジフェニレン(すなわち、ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2−(4,4’−ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4’−チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4’−ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
本発明の製造方法では、さらに滴下防止剤としてフルオロポリマー(D)を配合する。
フルオロポリマー(D)としては、例えば、フルオロオレフィン樹脂が挙げられる。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体である。具体例としては、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂、テトラフルオロエチレン/パーフルアルキルビニルエーテル共重合樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくはテトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。このフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂が挙げられる。
なお、フルオロポリマーは、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
本発明の製造方法では、さらにABS樹脂(E)を配合することも好ましい。ABS樹脂は、ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物とをグラフト共重合した熱可塑性グラフト共重合体からなる樹脂をいう。
ABS樹脂におけるシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の量は、その合計量100質量%に対して、シアン化ビニル化合物が好ましくは5〜50質量%、より好ましくは15〜35質量%、芳香族ビニル化合物が好ましくは95〜50質量%、より好ましくは65〜85質量%である。
ABS樹脂は、通常、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合等の方法で製造され、そのいずれの方法によるものでもよい。
本発明の製造方法では、熱可塑性ポリエステル樹脂(F)を配合することも好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂(F)の好適な具体例として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレート樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ−ト)樹脂(PCT)、ポリシクロヘキシルシクロヘキシレート(PCC)等が挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)が流動性、耐衝撃性の点から好ましい。
共重合体の場合のコモノマーとしては、テレフタル酸又はその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の脂肪族、芳香族多塩基酸、又はそのエステル形成性誘導体、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロシキナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
また、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等、1,3−オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
なお、本明細書中において、熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定した値である。
共重合体の場合のコモノマーとしては、テレフタル酸又はその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の脂肪族、芳香族多塩基酸、又はそのエステル形成性誘導体、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロシキナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
また、エチレングリコール以外のグリコール成分として、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等、1,3−オクタンジオール等の低級アルキレングリコール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物又はそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
本発明の製造方法では、さらに、エラストマーを配合することも好ましい。エラストマーを配合することで、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を改良することができる。
本発明に用いるエラストマーは、なかでもゴム質重合体にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴムが好ましい。
これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
本発明の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法においては、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記以外のその他成分を配合していてもよい。その他の成分の例を挙げると、上記ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、上記した以外の各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が配合されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で配合されていても良い。
その他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
その他の樹脂を配合する場合は、上記ポリカーボネート樹脂及びその他の樹脂の合計100質量部中の、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、充填材、ガラス繊維、紫外線吸収剤、染顔料(カーボンブラックを含む)、酸化チタン、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が配合されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で配合されていても良い。
以下、本発明の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に好適な添加剤の例について具体的に説明する。
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられ、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
なお、熱安定剤は、1種が配合されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で配合されていても良い。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリイル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なお、酸化防止剤は、1種が配合されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で配合されていても良い。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
離型剤の配合量は、回収ポリカーボネート樹脂(A)と未使用ポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の配合量が上記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の配合量が上記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
本発明の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造するには、前記した規定を満たす回収ポリカーボネート樹脂(A)を調整または選択し、未使用のポリカーボネート樹脂(B)とその他の成分と混練することにより行う。
この際の配合方法や混合、混練の方法には制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、回収ポリカーボネート樹脂(A)、未使用ポリカーボネート樹脂(B)、リン系難燃剤(C)及びフルオロポリマー(D)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
得られた再生ポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットは、各種の成形法で成形して成形品とされる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して成形品にすることもできる。
成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
なお、MVR上昇率は以下の計算式で求められる。
上記表1〜2に記載した各成分を、下記の表3及び表4に示す割合(全て質量部にて表示)にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製TEX30HSST)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、溶融混練させて、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上記で得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを、120℃で5時間以上乾燥した後、射出成形機(ファナック製「ロボショットα2000i−150T型」)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で、ISOの引張試験片を作製した。
作製した引張試験片について、温度70℃の環境下で150時間の熱処理を実施した。熱処理前後の引張破断伸度(単位:%)を、ISO527−1に準拠して23℃において測定した。
熱処理後の引張伸び保持率(単位:%)は下記式に基づいて算出した。
熱処理後引張伸び保持率(%)=
[(熱処理後の引張伸び)/(熱処理前の引張伸び)]×100(%)
以上の評価結果を、表3及び表4に示した。
Claims (4)
- 回収されたポリカーボネート樹脂(A)と未使用のポリカーボネート樹脂(B)を含有する再生ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、
回収ポリカーボネート樹脂(A)として、ポリカーボネート樹脂成分が98質量%以上で且つ粘度平均分子量(Mv)が20,000以上であり、30分間予熱時のMVR(300℃×1.2kgで測定)が、4分間予熱時のMVR(300℃×1.2kgで測定)に対し、上昇率が50%を超えない回収ポリカーボネート樹脂(A)を、(A)及び(B)の合計100質量%に対し、3〜60質量%の割合で使用し、
さらに、(A)及び(B)の合計100質量部に対し、リン系難燃剤(C)を2〜20質量部及びフルオロポリマー(D)を0.5質量部以下の割合で配合することを特徴とする再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - さらに、ABS樹脂(E)又は熱可塑性ポリエステル樹脂(F)を配合する請求項1に記載の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 回収ポリカーボネート樹脂(A)中のアルカリ金属の含有量が10質量ppm以下である請求項1又は2に記載の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 回収ポリカーボネート樹脂(A)が、主として飲料用容器あるいは半導体搬送用容器由来の回収ポリカーボネート樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の再生ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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