JP2016059852A - 触媒、アンモニア合成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高触媒活性を備える触媒を提供する。
【解決手段】
フェロシアン化鉄を含有する担体化合物に、活性金属を担持させた触媒である。フェロシアン化鉄に、リチウムと、ナトリウムと、カリウムと、ルビジウムと、セシウムと、ベリリウムと、マグネシウムと、カルシウムと、ストロンチウムと、バリウムと、チタンと、バナジウムと、クロムと、マンガンと、鉄と、コバルトと、ニッケルと、銅と、亜鉛とからなる群から一種以上選択される原子を一種以上ドープさせてなる担体化合物に、活性金属を担持させた触媒である。担体化合物の仕事関数は1〜3eVが好ましい。担体化合物の伝導電子のキャリア濃度は1020〜1022cm-3が好ましい。活性金属が、鉄と、ルテニウムと、オスミウムとからなる群から一種以上選択されることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、高触媒活性を有する触媒と、該触媒を用いるアンモニア合成方法に関する。
従来、活性炭、酸化アルミニウム、酸化カルシウム等の比表面積が大きな材料を担体化合物として用いることにより、活性金属の担持量を増加させる触媒活性向上技術が提案される。また、担体化合物の比表面積を増大させるため触媒材料を微粒子化するプロセスを行う場合や、電気陰性度の大きなアルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等の反応促進剤を添加して触媒活性を向上させる場合がある。しかし更なる触媒能の向上が求められる。
触媒の電子供与性の観点からも触媒能の向上が検討される。電子供与性が高い公知の化合物としてマイエナイト型化合物がある。非特許文献1では、マイエナイト型化合物が、活性金属の電子供与能力を向上させる化合物として報告される。マイエナイトとは鉱物名であり、CaO、Al2O3、SiOを構成成分とするアルミノケイ酸カルシウムの一種である。マイエナイト型化合物とは、マイエナイト、およびマイエナイト結晶と同型の結晶構造を有する化合物をいう。
マイエナイト型化合物の代表組成は、12CaO・7Al2O3(以下、「C12A7結晶」と記す)である。C12A7結晶は、2分子を含む単位胞にある66個の酸素イオンのうち、2個が結晶骨格により形成されるケージ内の空間にフリー酸素イオンとして包接される結晶構造を有する(非特許文献1)。同型化合物の例としては、12SrO・7Al2O3が挙げられる。
東京工業大学の細野秀雄教授らのグループは、2003年以降、C12A7結晶のケージ内に包接されるフリー酸素イオンを種々の陰イオンで置換できることを明らかにした。特に、強い還元雰囲気中でC12A7結晶を保持すると、全てのフリー酸素イオンを電子で置換できる。フリー酸素イオンを電子で置換したC12A7結晶([Ca24Al28O64]4+(e-)4、以下「C12A7:e-」と記載することがある。)のような、陰イオンに対し電子が置き換わった物質はエレクトライドと称される。エレクトライドは、良好な電子伝導性を示す(非特許文献2)。
特許文献1には、12CaO・7Al2O3化合物や、12SrO・7Al2O3化合物、および上記2種類の化合物の混晶化合物が開示される。特許文献1によれば、上記の化合物や混晶化合物は、ケージ中に含まれるフリー酸素イオンのうち、1×1018個/cm3以上、1.1×1021個/cm3未満のフリー酸素イオンを該酸素イオン1個当り2個の電子で置換した、2×1018個以上2.2×1021個/cm3未満の電子をケージ中に含む。該化合物の室温での電気伝導率は、10-4S/cm以上103S/cm未満である。
特許文献2には、C12A7単相を(a)アルカリ金属またはアルカリ土類金属蒸気中で高温アニールする方法、(b)不活性イオンをイオン打ち込みする方法、または(c)還元雰囲気で融液から直接固化する方法で、1×1019cm-3以上の伝導電子を有するC12A7:e-およびC12A7と同型化合物が開示される。
特許文献3には、C12A7単結晶をチタン金属(Ti)蒸気中でアニールさせることにより、金属電気伝導性を示すC12A7:e-を得る、エレクトライド12CaO・7Al2O3化合物の製造方法および電子放出素子が開示される。金属電気伝導性を示すC12A7:e-の製造方法としては、非特許文献3に、CaCO3およびAl2O3を11:7で混合して、1300℃で加熱した生成物を金属Ca蒸気雰囲気中で加熱することによるC12A7:e-粉末の直接合成が開示される。しかし電子供与性が高い材料を用いた触媒は、まだ見出されていない。
アンモニア合成方法として知られるハーバー・ボッシュ法では二重促進鉄触媒が用いられる。該二重促進鉄触媒は、Fe3O4を主成分とする。二重促進鉄触媒の組成は、BASF社製の二重促進鉄触媒の例によれば、Fe3O4 94.3%、K2O 0.8%、Al2O3 2.3%、その他(CaO、MgO、SiO2)2.6%である。二重促進鉄触媒においては、Fe3O4がアンモニア合成過程で水素により還元され金属鉄を生成する。この金属鉄が触媒能を発揮する。
ハーバー・ボッシュ法は、400〜600℃、20〜100MPaの高温高圧条件下で行われる。しかし、近年は低温低圧条件下でアンモニアを合成するための技術が提案される。特許文献4には、触媒成分にMo、W、Re、Fe、Co、Ru、Osのうちのいずれかの金属元素、またはFeとRu、RuとRe、FeとMoとの組み合わせのいずれか1つからなる遷移金属を実質的に金属状態で使用する方法が開示される。上記の方法は、反応温度200〜300℃で行うアンモニアを合成できる。その他、Fe、Ru、Os、Co等の8族または9族遷移金属を触媒成分とするアンモニア合成方法(特許文献5〜7)や、ルテニウムをアンモニア合成反応の触媒として用いる方法(特許文献8〜11)が提案される。
特許文献12、13には、反応条件300〜500℃で行うアンモニア合成方法として、8族または6B族遷移金属の窒化物や、Co-Mo複合窒化物を触媒とするアンモニア合成方法が開示される。特許文献14には、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Mn、Cuの群からの少なくとも1つの遷移金属から選ばれる触媒活性成分を担体材料に含有させた触媒を用いて窒素および水蒸気からアンモニアをプラズマ接触により製造する方法が提案される。しかし触媒活性のさらなる向上が求められる。とりわけ、低温低圧条件下で良好な触媒活性を発揮する触媒が望まれる。またそのような触媒を用いた効率的なアンモニア合成方法の確立が望まれる。
再表2005/000741号公報 特開2005-314196号公報 再表2007/060890号公報 特公昭51-47674号公報 特公昭54-37592号公報 特公昭59-16816号公報 国際公開第96/38222号 特開平2-258066号公報 特開平9-239272号公報 特開平2004-35399号公報 特開平2006-231229号公報 特開平2000-264625号公報 特開2008-13435号公報 特開2001-151507号公報
H. B.Bartl, T. Scheller and N. Jarhrb, Mineral Monatch 1970, 647 S. Matsuishi, T. Nomura, M. Hirano, K.Kodama, S. Shamoto and H. Hosono, Chemistry of Materials 21 2589-2591 (2009) MasaakiKitano et al., Nature Chem., 4, 934-940 (2012)
本発明の課題は、電子供与性に優れる高活性の触媒を提供することである。
本発明は、フェロシアン化鉄を含有する担体化合物に、活性金属を担持させた触媒である。本発明はフェロシアン化鉄に、リチウムと、ナトリウムと、カリウムと、ルビジウムと、セシウムと、ベリリウムと、マグネシウムと、カルシウムと、ストロンチウムと、バリウムと、チタンと、バナジウムと、クロムと、マンガンと、鉄と、コバルトと、ニッケルと、銅と、亜鉛とからなる群から一種以上選択される原子を一種以上ドープさせてなる担体化合物に、活性金属を担持させた触媒を包含する。本発明に用いられる担体化合物の仕事関数は1〜3eVが好ましく、伝導電子のキャリア濃度は1020〜1022cm-3が好ましい。本発明に用いられる活性金属は、鉄と、ルテニウムと、オスミウムとからなる群から一種以上選択されることが好ましい。
本発明は、上記の触媒を、窒素と水素とに接触させてアンモニアを合成するアンモニア合成方法を包含する。本発明は、少なくとも温度条件250〜350℃と、圧力条件0.1〜1MPaとのいずれか一つを満たす反応条件下でアンモニアを合成することが好ましい。
本発明は、担体化合物に担持させた活性金属からの電子放出性を向上でき、反応系の分子の結合を切断させやすい。これにより本発明は良好な触媒活性を備える。
本発明のアンモニア合成方法を適用するアンモニア合成装置例の模式図である。
[担体化合物]
本発明に用いられる担体化合物は、フェロシアン化鉄を主成分とし、担体化合物の全質量に対しフェロシアン化鉄を90〜98質量%含有する。該フェロシアン化鉄は、安定的な結晶構造を備える微粒子で、結晶成長過程で粒子径が5〜10nm程度になると結晶化が完了する。そのようなフェロシアン化鉄の微粒子は比表面積が大きい。そのため担体化合物の準備工程として微粒子化工程を必要としない。したがって、本発明は生産コストを低減できる。
本発明は、担体化合物の電子放出能を向上させる観点から、上記のフェロシアン化鉄に、所定群の原子を一種以上ドープさせてもよい。ドープさせる原子は、そのイオン半径がフェロシアン化鉄の結晶構造に適合する原子のうち、導電性を有するものや電子を放出しやすいものが選択される。具体的には、リチウム(Li)と、ナトリウム(Na)と、カリウム(K)と、ルビジウム(Rb)と、セシウム(Cs)と、ベリリウム(Be)と、マグネシウム(Mg)と、カルシウム(Ca)と、ストロンチウム(Sr)と、バリウム(Ba)と、チタン(Ti)と、バナジウム(V)と、クロム(Cr)と、マンガン(Mn)と、鉄(Fe)と、コバルト(Co)と、ニッケル(Ni)と、銅(Cu)と、亜鉛(Zn)が挙げられる。
すなわち本発明の担体化合物には、フェロシアン化鉄に上記に例示する原子をドープさせてなる、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カルシウム、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化銅等を用いることが好ましい。なお、本発明に用いられる、フェロシアン化鉄とフェロシアン化に所定の原子をドープさせたフェロシアン化鉄とからなる群を言い換えた別の用語例として、フェロシアン化物と表現する場合がある。
ドープさせる原子は、一種でも二種以上でもよい。二種以上を選択する場合、導電性原子と電子を放出しやすい原子とを組合せることが好ましい。そのような例として、電荷補償される原子数比でNiとNaとを含有させる場合が挙げられる。例えばNiの原子数をxとし、Naの原子数をyとして、フェロシアン化鉄に含有されるFeが三価の場合、NiとNaとは、x+2y=3を満たす原子数比でドープさせることができる。上記鉄が二価の場合、NiとNaとは、x+2y=4を満たす原子数比でドープさせることができる。他の例としては、NiとKとを含有させる場合が挙げられる。
本発明の担体化合物は、上記のフェロシアン化鉄や、所定の原子をドープさせたフェロシアン化鉄を主成分とするが、本発明の作用効果を損なわない限り、少量の不純物や他の成分を含みうる。他の成分としては、例えば、紺青や他のヘキサシアノ鉄酸化合物類、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、ハスクレイ(非晶質アルミニウムケイ酸塩と層状粘土鉱物との複合体)、イモゴライト、イオン交換樹脂、キトサン、フィチン酸、ジビコリン酸、ペクチン又はその加工複合物等が挙げられる。
上記のフェロシアン化鉄や、所定の原子をドープさせたフェロシアン化鉄(以下、「フェロシアン化鉄等」と記載する場合がある。)は、仕事関数が1〜3eVのものが好ましく、1〜2.5eVのものがより好ましい。本発明に用いられるフェロシアン化鉄等の仕事関数は、光電子分光法で測定可能であり、詳細については、Y. Toda, H. Yabnagi, E. Ikenaga, J. J. Kim, M. Kobata, S. Ueda, T. Kamiya, M. Hirano, M. Kobayashi, and H. Hosono, Adv. Mater 19 (2007) 3564の記載を参照できる。また、「吉武道子、“UPS、XPS、AESを用いた仕事関数計測の原理と実践的ノウハウ”、表面科学、Vol.28、(2007)pp397-401」を参照できる。
上記のフェロシアン化鉄等は、伝導電子のキャリア濃度が1020〜1022cm-3のものが好ましく、1021〜1022cm-3のものがより好ましい。本発明に用いられるフェロシアン化鉄等の伝導電子のキャリア濃度は、N. Tsujii et al., Journal of Solid State Chemistry 184 (2011) 1293-1303の記載を参照できる。
仕事関数や伝導電子のキャリア濃度は、化学種の電子放出能を表す指標となる。電子放出能が高い化学種は、比較的、仕事関数が小さく伝導電子のキャリア濃度が大きい。上記の所定の仕事関数や伝導電子のキャリア濃度を備える本発明のフェロシアン化鉄等は、豊富な電子放出量により、担持する活性金属の最外殻電子の放出を促進する。放出された活性金属の最外殻電子は、反応系の原子の反結合軌道に入る。反結合軌道中の電子数が増加すると、該分子内の原子間結合距離が大きくなり、該分子が活性化される。
すなわち本発明は、所定の仕事関数や伝導電子のキャリア濃度を備えることにより、反応系の分子の活性化を促進する。そのような観点から、仕事関数が3eVを超える、または伝導電子のキャリア濃度が1020cm-3未満の担体化合物は、触媒活性向上が不十分になる。
本発明に用いられるフェロシアン化鉄等の粒子径は、3〜10nmが好ましく、5〜10nmがより好ましい。なお本発明において粒子径とは、レーザー回折法での粒子径分布測定による体積基準累積粒度分布における50%粒子径(D50)を意味する。上記の粒子径を備えるフェロシアン化鉄微粒子の比表面積は、少なくとも200m2/gであり、200〜800m2/gが好ましく、300〜800m2/gがより好ましい。上記の比表面積は、BET法等公知の方法により、流動式比表面積自動測定装置 FlowSorb III 2310等の機器を用いて測定できる。上記の所定範囲の比表面積を備えるフェロシアン化鉄等を担体化合物として用いることで活性点を出しやすくなる。これにより本発明は触媒活性を向上させることができる。
上記の担体化合物に担持させる活性金属としては、適用される反応系および反応条件に応じて遷移金属が適宜選択され、鉄(Fe)と、ルテニウム(Ru)と、オスミウム(Os)とからなる群から一種以上選択されることが好ましい。活性金属は、一種を担持させても二種以上を担持させてもよい。本発明をアンモニア合成反応に適用する場合、活性金属としてはFeと、Ruと、Osとが好ましく選択される。
活性金属の粒子径は、フェロシアン化鉄や原子をドープさせたフェロシアン化鉄の表面に担持させることができる範囲内であればよい。好ましくは、5〜10nmであり、より好ましくは5〜8nmである。活性金属の担持量は多いほど触媒活性の向上に寄与する。本発明は、担体化合物の主成分であるフェロシアン化鉄等の比表面積が大きいため、多量の活性金属を担持させることができる。
本発明は、アンモニア合成触媒、排ガス浄化用触媒、燃料電池材料、2次電池の活物質等に適用できる。本発明をアンモニア合成触媒として用いる場合、アンモニア生成速度を、400〜900μmol/gh程度にできる。
[触媒の製造方法]
本発明の触媒は、その作用効果が損なわれない限り、フェロシアン化鉄等を含有する担体化合物に、従来公知の方法を用いて活性金属を担持させることにより製造できる。フェロシアン化鉄の製造方法は限定されないが、一例として、フェロシアン化ナトリウムと硫酸第一鉄とを硫酸アンモニウム存在下で反応させ、得られた沈殿物を60℃の条件下で保持することにより製造できる。結晶化が終了したフェロシアン化鉄の粒子径は5〜10nm程度である。該フェロシアン化鉄微粒子は、仕事関数が1〜3eVであり、伝導電子のキャリア濃度が1020〜1022cm-3である。
所定の原子をドープさせたフェロシアン化鉄を担体化合物とする場合は、公知の方法によりフェロシアン化鉄酸化合物表面にアルカリ金属を析出させて担体化合物を作製し、これに活性金属を含浸させることで本発明を製造できる。その詳細な製造方法は、C. Loos-Neskovic, M. Fedorff, E. Garnier and P. Gravereaufe, "ZINC AND NICKEL FERROCYANIDES: PREPARATION, COMPOSITION AND STRUCTURE", Talanta, Vol.31(1984) 1133-1147を参照できる。
活性金属の担持方法として公知の含浸法を選択できる。含浸法を適用する場合、まず活性金属源となる金属化合物を有機溶媒中に溶解させる。有機溶媒は、担体化合物と活性金属源とを均質に分散させ得るものであれば特に限定されないが、具体例としては、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。該金属化合物溶液に、担体化合物としてフェロシアン化鉄または所定の原子をドープさせたフェロシアン化鉄を添加し、均質に分散させた分散溶液を調製する。
上記の活性金属源となる金属化合物としては、トリルテニウムドデカカルボニル(Ru3(CO)12)、ジクロロテトラスキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(RuCl2(PPh3)4)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(RuCl2(PPh3)3)、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)(Ru(acac)3)、ペンタカルボニル鉄ヨウ化物(Fe(CO)4I2)などの熱分解しやすい無機金属化合物または有機金属錯体が挙げられる。
該溶液に対するフェロシアン化鉄等の添加量は、フェロシアン化鉄等を良好に分散させる観点から3〜10質量部が好ましい。金属化合物の添加量は、遷移金属化合物を最大限担持させる観点から、フェロシアン化鉄等100質量部に対し0.1〜40質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。0.1質量部より少ない場合、担持量が不十分で良好な触媒能が得られない。
該分散溶液を不活性ガス気流中あるいは真空下で熱処理して溶媒を蒸発、乾燥させ、担体化合物に金属化合物を含浸させた触媒前駆体を得る。除去させる溶媒の種類に応じて、熱処理時の処理温度は50〜200℃が好ましく、処理時間は30分間〜5時間が好ましい。
得られた触媒前駆体を不活性ガス気流中、または真空中で加熱して還元処理する。好ましい加熱温度は、300〜900℃である。これにより担体化合物に活性金属が担持され、本発明の触媒を得られる。得られた触媒は、アンモニア合成反応、NOx還元反応、燃料電池材料等に適用する為、適切な形状に成形される。アンモニア合成反応やNOx還元反応等のプラントのリアクターに充填する場合は、粒状、球状、タブレット状等のペレットとして成形してもよい。燃料電池材料として用いる場合は、膜厚50〜300nmのシート状に成形してもよい。
[アンモニア合成方法]
本発明のアンモニア合成方法は、上記に説明した所定の触媒を用いて、水素と窒素とを直接反応させることにより、アンモニアを合成させる方法である。本発明の合成方法においては、少なくとも温度条件250〜350℃と、圧力条件0.1〜1MPaとのいずれか一つを満たす反応条件下でアンモニアを合成できる。合成時の反応速度は、400〜900μmolg-1h-1である。
本発明のアンモニア合成方法は、水素と窒素とを上記の所定の触媒に接触させることにより、アンモニアを効率よく合成できる。本発明で用いられるアンモニア合成触媒は、所定のフェロシアン化鉄等を担体として用いることにより、少なくとも温度条件250〜350℃と、圧力条件0.1〜1MPaとのいずれか一つを満たす反応条件下で、良好な触媒活性を発揮する担持金属を多量に担持できる。そのため本発明のアンモニア合成方法は、少なくとも温度条件250〜350℃と、圧力条件0.1〜1MPaとのいずれか一つを満たす反応条件下で行われる場合に好適である。
図1は、本発明のアンモニア合成方法が適用されるアンモニア合成装置例の模式図である。図1において、1はアンモニア合成装置、2はリアクター、3は触媒層である。リアクター2の触媒層3には、本発明所定のアンモニア合成触媒を成形したペレットが充填される。水素と窒素とをリアクター2を通気させることにより、水素と窒素とを反応させ、アンモニアを合成する。通常、水素と窒素とは混合ガスとしてリアクター2を通気させる。混合ガスの水素と窒素とのモル比は、1:3が好ましい。混合ガスのリアクターの通気速度は30〜180ml/minが好ましい。
リアクター内の温度条件は250〜350℃が好ましく、280〜330℃がより好ましい。圧力条件は、0.1〜1MPaが好ましい。上記の温度条件と圧力条件とは、少なくともいずれか一つを満たせばよく、両方を満たすことがより好ましい。本発明の触媒は、上記の反応条件でその触媒活性を好適に発揮し、アンモニア合成反応を効果的に進行させることができる。上記の合成されたアンモニアは、従来公知の冷却工程または吸着工程を経て回収できる。
本発明のアンモニア合成方法による反応速度は400〜900μmolg-1h-1である。本発明に所定の触媒は劣化が少なく、長時間上記の反応速度を維持する為、本発明のアンモニア合成方法を用いることにより、少なくとも1〜8時間連続してアンモニア合成反応を行うことができる。
本発明のアンモニア合成方法は、少なくとも温度条件250〜350℃と、圧力条件0.1〜1MPaとのいずれか一つを満たす反応条件下でアンモニア合成を行うことができる。そのため、アンモニア合成装置に高温高圧条件に対応するための設備を設ける必要がなく、メンテナンスの負担を軽減できる。
[実施例1]
体積モル濃度が0.0033mol/Lのフェロシアン化ナトリウム水溶液(Na4[Fe(CN)6])水溶液300ml中に、体積モル濃度が5×10-3mol/Lの硫酸ニッケル水溶液100mlを注ぎ込み、55℃で一日保持する。この後、溶液から析出した生成物をろ過分別して担体化合物を得る。該担体化合物を原子吸光度(空気−アセチレン炎)により組成分析を行う。上記の担体化合物の組成は、2価の鉄を含有するNa2Ni[Fe(CN)6]である。
上記の担体化合物の微粉末を、30質量%トリルテニウムドデカカルボニル−ヘキサン溶液20mlに添加し、撹拌する。フェロシアン化ナトリウムを十分に分散させた上記の溶液を窒素気流中、処理温度70℃で1時間加熱し、溶媒を蒸発させ、トリルテニウムドデカカルボニルを含浸させた触媒前駆体を得る。該触媒前駆体を60℃の温度条件で還元処理することにより、フェロシアン化ナトリウムにルテニウムを担持させ、本発明の触媒を得られる。この触媒を実施例1とする。
[実施例2]
体積モル濃度が0.4mol/Lのフェロシアン化ナトリウム水溶液(Na4[Fe(CN)6])300mlと、体積モル濃度が0.4mol/Lの硫酸ニッケル水溶液100mlとをフラスコ中で混合する。該混合液を24時間静置した後、80℃で16時間加熱して水を留去し、担体化合物を得る。得られた担体化合物の収量は508mgである。該担体化合物を原子吸光度(空気−アセチレン炎)により組成分析を行う。上記の担体化合物の組成は、2価の鉄を含有するNa2Ni[Fe(CN)6]である。上記の担体化合物に、実施例1と同様の方法でルテニウムを担持させ、本発明の触媒を得られる。この触媒を実施例2とする。
[実施例3]
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物(和光純薬製、製造コード:161-03742、平均粒子径約50nm)を30質量%トリルテニウムドデカカルボニル−ヘキサン溶液20mlに添加し、撹拌する。ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物を十分に分散させた該溶液を窒素気流中、処理温度70℃で1時間加熱し、溶媒を蒸発させ、トリルテニウムドデカカルボニルを含浸させた触媒前駆体を得る。該触媒前駆体を60℃の温度条件で還元処理することにより、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物にルテニウムを担持させ、実施例3の触媒を得られる。
[比較例1]
γ-Al2O3を30質量%トリルテニウムドデカカルボニル−ヘキサン溶液20mlに添加し、撹拌する。γ-Al2O3を十分に分散させた該溶液を窒素気流中、処理温度70℃で1時間加熱し、溶媒を蒸発させ、トリルテニウムドデカカルボニルを含浸させた触媒前駆体を得る。該触媒前駆体を60℃の温度条件で還元処理することにより、γ-Al2O3にルテニウムを担持させ比較例1の触媒を得られる。
表1に実施例1ないし実施例3と比較例1とにそれぞれ用いる担体化合物の仕事関数と伝導電子のキャリア濃度とを示す。各仕事関数は、Y. Toda, H. Yabnagi, E. Ikenaga, J. J. Kim, M. Kobata, S. Ueda, T. Kamiya, M. Hirano, M. Kobayashi, and H. Hosono, Adv. Mater 19 (2007) 3564、および「吉武道子、“UPS、XPS、AESを用いた仕事関数計測の原理と実践的ノウハウ”、表面科学、Vol.28、(2007)pp397-401」を参照して決定した。伝導電子のキャリア濃度は、N. Tsujii et al., Journal of Solid State Chemistry 184 (2011) 1293-1303の記載を参照した。
<アンモニア合成反応>
実施例1ないし実施例3と比較例1との触媒をそれぞれ球形ペレットに成形し、0.3gをU字状のガラス管に詰め、該ガラス管を付けた内容積200mlガラス製閉鎖循環系に取り付ける。前処理として該閉鎖循環系にH2 200Torrを導入し400℃で3時間流通させた後、モル比1:3のN2/H2混合ガスを閉鎖循環系に流通させ、アンモニア合成反応を行う。反応条件は、反応温度400℃、反応圧力は1MPaである。Masaki Kitano et al., Nature Chem. 4, 934-940 (2012)に記載のキャリア濃度と反応速度とを参照して、反応開始から4時間、8時間、12時間経過後のアンモニア生成量を計算した。実施例1ないし実施例3と比較例1とのアンモニア生成量を表1に示す。
1 アンモニア合成装置
2 リアクター
3 触媒層

Claims (7)

  1. フェロシアン化鉄を含有する担体化合物に、活性金属を担持させた触媒。
  2. フェロシアン化鉄に、リチウムと、ナトリウムと、カリウムと、ルビジウムと、セシウムと、ベリリウムと、マグネシウムと、カルシウムと、ストロンチウムと、バリウムと、チタンと、バナジウムと、クロムと、マンガンと、鉄と、コバルトと、ニッケルと、銅と、亜鉛とからなる群から一種以上選択される原子を一種以上ドープさせてなる担体化合物に、活性金属を担持させた請求項1に記載の触媒。
  3. 担体化合物の仕事関数が1〜3eVである請求項1または請求項2に記載の触媒。
  4. 担体化合物の伝導電子のキャリア濃度が1020〜1022cm-3である請求項1または請求項2に記載の触媒。
  5. 活性金属が、鉄と、ルテニウムと、オスミウムとからなる群から一種以上選択される請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の触媒。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の触媒を、窒素と水素とに接触させてアンモニアを合成するアンモニア合成方法。
  7. 少なくとも温度条件250〜350℃と、圧力条件0.1〜1MPaとのいずれか一つを満たす反応条件下でアンモニアを合成する請求項6に記載のアンモニア合成方法。
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