JP2016058497A - 有機発光素子および有機発光素子の製造方法 - Google Patents

有機発光素子および有機発光素子の製造方法 Download PDF

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希之 伊藤
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【課題】 水に対する耐久性が高く、素子寿命が長い有機発光素子を提供する。【解決手段】 本発明は、陽極と陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置されている発光層と、前記陰極と前記発光層の間に配置されている第一有機化合物層と、前記第一有機化合物層と前記陰極との間に配置されている第二有機化合物層と、を有する有機発光素子であって、前記第一有機化合物層は、有機化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、前記第二有機化合物層は、有機化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、前記第二有機化合物層が有する前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属は、前記陽極から前記陰極に向かう方向に、濃度が小さくなる濃度勾配を有していることを特徴とする有機発光素子を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、有機発光素子および有機発光素子の製造方法に関する。
有機発光素子は、陽極と陰極とその間に配置されている発光層を含む有機化合物層とから構成されている。有機発光素子は陽極から有機化合物層に注入されたホールと陰極から注入された電子が発光層で再結合することにより発光する。ところで、有機発光素子の内部に水分や酸素が浸入した場合、素子に欠陥が発生することが知られている。
有機発光素子を構成する電子注入層や陰極が水分と反応すると、反応した領域の電子注入性が低下することがある。このように電子注入性が低下した領域は、発光層でホールと電子が再結合できないため、ダークスポットと呼ばれる非発光の欠陥となってしまう。
一方、有機発光素子は薄型化や軽量化が望まれている。そのため有機発光素子を封止する手段として、従来の金属やガラスを用いたキャップ封止ではなく、素子上に保護膜を形成する封止手段が知られている。保護膜の形成方法として、例えばCVD法(化学気相成長法)用いてSiN(窒化ケイ素)膜により有機発光素子をカバーする手法が知られている。
水分や酸素の浸入を抑制し、有機発光素子を保護する観点から、保護膜の特性として密度が高く、カバレッジ性が高いことが求められている。
しかしながら、有機発光素子を作製する過程において、真空チャンバー内に存在する異物およびマスクに付着した異物が、基板の搬送過程や成膜中に成膜面に付着することがある。特に有機膜の成膜においては、有機膜の塗り分けを行うために多数のマスクを用いる場合があり、有機膜形成中にマスクから、有機膜表面に異物の付着がおきる確率が極めて高い。
有機膜表面に異物が存在する場合、上部電極や保護層に欠陥が生じやすいので、その結果、素子にダークスポットが発生しやすかった。
また、陰極と発光層との間に配置されている電子輸送層は、高い電子注入性とするため、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有することが知られている。
特許文献1には、保護膜を形成する前に、ドライ洗浄を行い有機発光素子上の異物を取り除くことが記載されている。
特許文献2には、電子輸送層にアルカリ金属を有する有機発光素子が記載されている。
特開2011−81966号公報 国際公開第2008/081178号
特許文献1に記載のドライ洗浄する方法では、不活性ガスの粒が衝突することによる有機化合物層への物理的ダメージ(有機膜のハガレ、凹み)が生じてしまう。
特許文献2に記載の電子輸送層は、水に対する耐久性が低いアルカリ金属を有するので、有機発光素子の水に対する耐久性が低く、その結果、素子寿命が短い。
本発明は、陰極と発光層との間に配置されている第一有機化合物層と、第二有機化合物層とを有し、第二有機化合物層は、第一有機化合物層から拡散されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属以外を含まないことで、水に対する耐久性が高く、素子寿命が長い有機発光素子を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、陽極と陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置されている発光層と、前記陰極と前記発光層の間に配置されている第一有機化合物層と、前記第一有機化合物層と前記陰極との間に配置されている第二有機化合物層と、を有する有機発光素子であって、
前記第一有機化合物層は、有機化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、
前記第二有機化合物層は、有機化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、
前記第二有機化合物層が有する前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属は、前記陽極から前記陰極に向かう方向に、濃度が小さくなる濃度勾配を有していることを特徴とする有機発光素子を提供する。
本発明によれば、陰極と発光層との間に配置されている第一有機化合物層と、第二有機化合物層とを有し、第二有機化合物層は、第一有機化合物層から拡散されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属以外を含まないことで、水に対する耐久性が高く、素子寿命が長い有機発光素子を提供できる。
本発明の有機発光素子の製造方法における洗浄工程を表わす模式図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。
本発明は、陽極と陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置されている発光層と、前記陰極と前記発光層の間に配置されている第一有機化合物層と、前記第一有機化合物層と前記陰極との間に配置されている第二有機化合物層と、を有する有機発光素子であって、
前記第一有機化合物層は、有機化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、
前記第二有機化合物層は、有機化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、
前記第二有機化合物層が有する前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属は、前記陽極から前記陰極に向かう方向に、濃度が小さくなる濃度勾配を有していることを特徴とする有機発光素子である。
本実施形態において、陰極と発光層との間に配置されている有機化合物層は、電子注入層とも呼び、第一有機化合物は、第一電子注入層とも呼び、第二有機化合物層は、第二電子注入層とも呼ぶ。
本発明に係る有機発光素子は、陽極、発光層、第一電子注入層、第二電子注入層、陰極をこの順で有する有機発光素子である。
第二有機化合物層は、第一有機化合物層より拡散されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属以外は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有さない。
第二有機化合物層に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、第一有機化合物層から拡散されたものなので、陽極から陰極へ向かう方向に濃度が小さくなる濃度勾配を有する。
また、第一有機化合物層に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、陽極から陰極に向かう方向に濃度が小さくなる濃度勾配を有する。
第二有機化合物層は、第一有機化合物層から拡散されない限り、水分と反応しやすい物質であるアルカリ金属またはアルカリ土類金属を有さない有機化合物層である。そのため、製造時に水を含む液体で洗浄した場合でも、水と反応してその機能を失わない。
図1は、第二有機化合物層を水を含む液体により洗浄する工程の模式図である。基板1上に陽極2、有機化合物層3が形成されている。ここで有機化合物層3は一層のごとく記載しているが、少なくとも発光層、第一有機化合物層、第二有機化合物層を有する。
第二有機化合物層を洗浄後に形成された陰極は、欠陥の原因となる異物が少ない状態で形成されるので、欠陥が少ない陰極となる。さらにその後形成される保護層も同様に欠陥が少なくなる。その結果、素子寿命が長い有機発光素子を提供できる。
その後、加熱により、第一有機化合物層から第二有機化合物層にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を拡散させることで、第二有機化合物層に優れた電子注入性を付与することができる。
次に本発明の特徴である第一有機化合物層および第二有機化合物層について説明する。本発明の第一有機化合物層は、有機化合物とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含有する層であり、第二有機化合物層は、有機化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有する。だたし、第二有機化合物層は、第一有機化合物層から拡散されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属以下のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を有さない。
陰極に接してアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含有する成分を含む有機化合物層が形成された場合、この有機化合物層の形成から陰極を形成するまでの間に水分との接触を抑制しなければならない。ダークスポットと呼ばれる非発光欠陥が発生じやすいためである。水分と反応しやすい化合物を有する有機化合物層を水を含む液体で洗浄することは好ましくない。
本発明の有機発光素子では、有機化合物を主成分とする第二有機化合物層により水分から第一有機化合物層がブロックされるため、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含む成分が水分と接触することを抑えることができる。
そのため、有機化合物層を形成してから上部電極を形成する工程が真空条件でなくても良い。すなわち、有機化合物層を形成した後、水分との接触を抑制しなくてよい。
本発明の第二有機化合物層は、層厚が好ましくは0.1nm以上20nm以下の膜厚であり、より好ましくは1nm以上10nm以下の層厚である。
第二有機化合物層に接して陰極が設けられる際に、ITOやIZOスパッタリング法によりを陰極として形成する場合、有機化合物層が酸素に暴露される。そのため有機化合物層中のアルカリ金属やアルカリ土類金属が酸化してしまい電子注入性が低下する場合がある。本発明の有機発光素子では第二有機化合物層により、第一有機化合物層中のアルカリ金属やアルカリ土類金属が酸化しないようにブロックする効果がある。
本発明の第一有機化合物層が有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の金属単体や合金、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物が挙げられる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物としては、酸化物やハロゲン化物、炭酸塩などの無機化合物、カルボン酸塩やβ−ジケトン錯体などの有機金属化合物などが含まれる。更にこれらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物が還元されたサブオキサイド等の化合物も含まれる。また、アルミノキノール等の有機金属錯体であってもよい。より好ましい化合物は、セシウム化合物であり、具体的には炭酸セシウム及び、セシウムサブオキサイド等の炭酸セシウム還元生成物質及び、セシウムが有機化合物に配位した配位化合物が挙げられる。セシウム化合物は、他のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属に比べて電子注入の性能が高く、有機発光素子の駆動電圧を低くすることができるため好ましく、その中でも炭酸セシウムは潮解性が低いため扱いやすく、好ましい。
本発明の第二有機化合物層は、公知の電子輸送材料を用いることができる。具体的には、フェナントロリン、ジアザフルオレン、ナフチリジン、ピリジン、オキサジアゾール等の複素環を有する有機化合物や、アルミキノリノール錯体など有機金属錯体等が挙げられる。
第一有機化合物層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属以外に有機化合物を有しており、その有機化合物は第二有機化合物層が有する有機化合物と同じであっても異なっていてもよい。
本発明の第一有機化合物層は、フェナントロリン化合物と、炭酸セシウムとを有することが好ましい。
下記に電子輸送材料の具体例を示す。上段の2つの有機化合物はフェナントロリンを有する有機化合物であり、中段の2つの有機化合物はジアザフルオレンを有する有機化合物であり、下段の2つの有機化合物はナフチリジンを有する有機化合物である。
(本発明の有機発光素子の製造方法)
本発明に係る有機発光素子の製造方法は、陽極を形成する工程と、前記陽極の上に発光層を形成する工程と、前記発光層の上に第一有機化合物層を形成する工程と、前記第一有機化合物層の上に第二有機化合物層を形成する工程と、前記第二有機化合物層の上に陰極を形成する工程とを有する有機発光素子の製造方法であって、
前記陰極を形成する工程の前に、前記第二有機化合物層を水を含む液体で洗浄する工程を有し、少なくとも前記第一有機化合物層および前記第二有機化合物層を加熱する工程とをさらに有する有機発光素子の製造方法である。
第二有機化合物層を水を含む液体によって洗浄することで、非発光欠陥が抑制された有機発光素子を製造できる。
本発明の有機発光素子の製造方法が有する加熱する工程は、第二有機化合物層を形成した後であれば、いつ行ってもよい。具体的には陰極を形成する工程の前でも、陰極を形成する工程の後でも、その両方でもよい。
陰極を形成する工程の前に加熱する工程を行う場合、第二有機化合物層に含まれる水を含む液体を除去できるので好ましい。陰極を形成する工程の後に加熱する工程を行う場合、陰極を形成する際に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化を抑制できるので好ましい。陰極を形成する工程の前後、両方で加熱する工程を行う場合、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が酸化されない程度に加熱することが好ましい。酸化されない程度は、時間を短くする、または温度を低くすることが挙げられる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属が酸化することを抑制するため、陰極を形成する際に、第二有機化合物層はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含まないことが好ましい。
少なくとも第一有機化合物層および第二有機化合物層を加熱する工程とは、第一有機化合物層および第二有機化合物層のみを加熱する形態でも、形成済みの他の構成(陽極や発光層)を含めた全体を加熱する形態であってもよい。
本実施形態において水を含有する液体とは、水が主成分である液体である。主成分とは、液体全体の組成を100%とした場合に、組成比が50%以上である成分を指す。好ましくは液体全体の組成を100%とした場合に水の組成比が80%以上、より好ましくは90%以上である。
水を含む液体は、添加剤を有していてもよい。具体的には、界面活性剤、二酸化炭素、帯電防止剤、潤滑剤の少なくともいずれか一種である。二酸化炭素を有する場合、静電気力により異物が再付着することを抑制することができるので好ましい。
洗浄方法としては、二流体ノズル洗浄や超音波洗浄、マイクロバブル洗浄、高圧スプレー洗浄等の方法があるが、水を含有する洗浄液による洗浄であれば、これらに方法に限られるものではない。
水を含む液体を用いて行われる洗浄工程は、異物の除去率が高い二流体洗浄を用いることが好ましい。
二流体洗浄を行う場合は、その二流体は水(液体)と窒素(気体)であることが好ましい。
二流体洗浄は二流体となる液体を気体とを混合させ、微細な粒子径の水粒子を作り、ノズルよりこれを基板に吹き付けることによって、基板上の異物やゴミを除去するものである。
二流体洗浄には、基板をある速度で回転させながら二流体ノズルを基板上でスイングさせて洗浄する方法が好適に用いられ、洗浄時の基板回転速度は100rpm以上200rpm以下である。
基板を回転させながら洗浄するのではなく、二流体ノズルがある間隔をあけて並んでいるノズルアレイの下を、基板を搬送して洗浄する方式でも良い。
二流体洗浄の洗浄効果を決定するパラメータとしては、気体流量、液体流量、洗浄時間等がある。これらにより、異物の除去率が変化する。気体としては、窒素ガス等が用いられ、液体としては、純水等が用いられる。
また、洗浄時には基板にすでに成膜された層があるため、この膜にダメージや剥がれを発生させてはならない。異物除去率と膜剥がれはトレードオフの関係にあるため、両者が両立する洗浄条件で洗浄をする必要がある。
二流体洗浄する場合には、窒素の流量は20L/min以上60L/min以下、純水流量は0.2L/min以上1.0L/min以下の条件で洗浄することが望ましい。二流体洗浄後、基板回転数を500rpm以上2000rpm以下にし、スピン乾燥を行なうことが好ましい。乾燥時間は、30秒以上3分以下で基板上に水滴が残らない条件で乾燥を行なう。
異物を除去するため、洗浄力の高い条件で洗浄をした方が好ましいが、高すぎると成膜した有機化合物層にダメージを与える場合や、膜が剥がれてしまう場合がある。
本発明の有発光素子の製造方法は、第一有機化合物層および第二有機化合物層を加熱する工程を有する。加熱する工程は、1×10−3Pa以下の減圧下で行われることが好ましい。またその温度範囲は、115℃以上有機発光素子が有する有機化合物のガラス転移温度以下であることが好ましい。
(本発明の有機発光素子)
本発明に係る有機発光素子は、陽極、発光層、第一電子注入層、第二電子注入層、陰極以外にも、有機化合物層を有してよい。具体的には、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔エキシトンブロック層、電子輸送層等が挙げられる。有機発光素子の層構成は、例えば、基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子ブロッキング層/発光層/正孔エキシトンブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極をこの順に有する有機発光素子が挙げられる。
また陰極の上に保護層をさらに有していてもよい。保護層は窒化シリコン、酸化シリコン等で形成される。
本発明の有機発光素子は、基板側から光を取りだすボトムエミッション型でも、基板とは反対側より光を取りだすトップエミッション型であっても、両側から光を取りだす形態であってもよい。
以下に本発明の有機発光素子の実施の形態について更に詳細に説明する。
基板は、例えば、ガラス、プラスチック、金属を用いることができる。ボトムエミッション型の場合は、基板は光を透過する透明基板である。その光の透過度は90%以上が好ましい。
下部電極(陽極)は、金属、合金、透明酸化物導電体、およびこれらの複合物を用いることができる。例えば、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の金属やこれらの合金を用いることができる。また、下部電極(陽極)はこれらの材料の多層構成でも良い。基板および下部電極(陽極)が透過率を有する場合は、基板側からの発光が得られ、下部電極(陽極)が不透明もしくは高い反射率を有し、上部電極(陰極)が透過率を有する場合は上部電極側からも発光を得ることができる。
正孔注入層は、下部電極(陽極)から正孔輸送層へ正孔注入効率を向上させる層であり、正孔輸送性材料から電子引き抜きが可能な電子アクセプター性材料を用いることができる。例えば、MoO3等の遷移金属酸化物、テトラシアノキノジメタン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体等の有機材料を用いることができる。
また、HOMOが6eV以下の正孔輸送性材料および前記電子アクセプター材料の混合膜を用いても良い。6eV以下の正孔輸送性材料として、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
正孔輸送層は、発光層への正孔注入効率を向上させる層であり、発光層のHOMOを考慮して選択される。正孔輸送層としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、正孔輸送層は、複数の積層構成であっても良く、発光層からの電子漏れを防ぐための電子ブロック層を正孔輸送層と発光層の間に入れることもできる。
発光層は、発光性の高い物質を含む層である。発光性の高い物質を単独で用いても良いが、発光性の高い物質をホスト材料に少量ドーピングすることが好ましい。ホスト材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレン誘導体、縮合環芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、クリセン誘導体、など)、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体等)およびポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体、ポリ(アセチレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
発光性の高い物質としては、例えば、トリアリールアミン誘導体、フェニレン誘導体、縮合環芳香族化合物(例えばフルオランテン誘導体、ベンゾフルオランテン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、またそれらとジアリールアミン置換誘導体など)、スチルベン誘導体、等の青、緑、赤発光性の蛍光性発光材料や有機金属錯体(例えば有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体、希土類金属錯体等)等の青、緑、赤発光性の燐光性発光材料が挙げられる。
発光性が高い物質は、ゲスト材料とも呼ばれる。ゲスト材料は発光層の全体を100重量%とした場合、0.1重量%以上30重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上10重量%以下であることがより好ましい。
正孔ブロック層は、発光層ホストのHOMOレベル以上のHOMOレベルを有し、発光層内から正孔が漏れることを抑制し、発光層へ電子を注入する層である。正孔ブロック層としては、炭化水素芳香族、もしくはフェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体等の複素環材料を用いることができる。
電子輸送層は、正孔ブロック層に電子電荷を効率よく輸送することができる電子輸送性の高い材料で構成される。電子輸送性材料としては、ホール注入性材料あるいはホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入性能あるいは電子輸送性能を有する材料としては、縮合環芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、クリセン誘導体、など)、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
次に、上部電極(陰極)について説明する。陰極材料としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)等の高反射性金属、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)のような透明無機導電材料を用いることができる。また、上部電極である陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。特に膜厚に限定は無いが、10nm以上あれば良く、発光取り出し側を考慮して適宜膜厚は選択される。さらに、陰極は、抵抗加熱方式、スパッタ方式等による成膜が可能である。
保護層は、窒化シリコンや酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機材料からなる層が単層あるいは2層以上で構成される。また、膜厚は、100nm以上10μm以下である。
次に、本発明の有機発光素子の製造方法について詳細に説明する。
以下に、各工程について説明する。
基板上に、下部電極を蒸着もしくはスパッタ法にて成膜する。下部電極はパターニングにより所定の位置に形成することができる。パターニングの方法としては、公知の方法を採用することができる。尚、下部電極が基板上に予め設けられている電極付基板を用意することができる場合は、この工程を省略することができる。
また、下部電極パターン形成後、下部電極上の異物を除去する工程および下部電極の表面を改質する工程を行うことが好ましい。例えば、アルゴンプラズマ処理、酸素プラズマ、UV照射処理、加熱処理などを基板に施し下部電極の電荷注入性を整えるとともに、下部電極上の汚染等を除去する。
(1)下部電極上に有機化合物層を形成する工程
下部電極上に有機化合物層を形成する工程について説明する。本実施形態においては、有機化合物層を真空蒸着法により形成する方法について説明する。本発明の有機化合物層は、公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成しても良い。
下部電極が形成され、下部電極の表面を洗浄した後に、電極が形成された基板を真空蒸着装置に搬送し、下部電極上に有機化合物層を真空蒸着により成膜する。有機化合物層は、少なくとも発光層および電子注入層を有する有機積層膜で構成され、有機化合物層の最表面には電子注入層、具体的には第二有機化合物層が形成される。
(2)有機化合物層を水を含む液体により洗浄する工程
有機化合物層を成膜したところで、膜内あるいは膜上に存在する異物を除去するために、水を含む液体により洗浄を行なう。水を含む液体を使用する理由は、洗浄液に2つの条件を満たすことが望ましいためである。
まず一つの条件は有機発光素子を構成する有機化合物層が、洗浄液に対して溶解しにくいことである。水は有機発光素子を構成する有機化合物層を溶解しにくいため、洗浄液として使用できるが、一般的な有機溶剤などの液体は有機化合物層を容易に溶解してしまうため、洗浄液として使用することができない。
もう一つの条件は、洗浄液の沸点が有機化合物層のガラス転移点(Tg)よりも低いことである。洗浄後に洗浄液が有機発光素子内に残留すると、有機発光素子の特性に悪影響を与える場合があるため、洗浄後には洗浄液を取り除くことが望ましい。特に洗浄液を取り除く手法としては、洗浄液の沸点以上の温度で有機発光素子を加熱することが効果的である。しかしながら洗浄液の沸点が有機化合物層のTgよりも高い場合、洗浄液を取り除こうとすると有機化合物層のTg以上まで加熱することになるため、有機化合物層が変質してしまう。一般的に有機発光素子を構成する有機化合物層のTgは100〜200℃であるため、洗浄液には100〜200℃以下の沸点の液体であることが望まれる。したがってこれら2つの条件を満たし、有機化合物層へ与えるダメージの少ない洗浄液として水が挙げられる。洗浄液には各種の添加剤を混合することも可能であるが、前述した2つの条件を満たしていることが望まれる。
洗浄方法としては、二流体や超音波、メガソニック、マイクロバブル、高圧スプレー等の方法を適宜選択できる。特に二流体洗浄であることが好ましい。
また本工程では、蒸着装置内などの真空環境ではなく、大気中に露出して行われる。この際、有機化合物層に環境光が照射されると、有機化合物層中の発光層が大気中の酸素や水分と、光の影響で化学反応を引き起こし、劣化する場合がある。発光層の劣化が起きると、有機発光素子の電圧が高くなったり、発光効率や発光寿命の低下を招くことがある。
この発光層の劣化を抑制するため、環境光については、短波長側のスペクトル端が、有機化合物層中の発光層を形成する材料の励起一重項状態よりもエネルギーが低いことが好ましい。具体的には、環境光を白色の蛍光灯でなく、半導体製造に用いられるイエロー蛍光灯としたり、有機化合物層を遮光することで発光層の劣化を抑制することができる。
(3)有機化合物層を加熱する工程
有機化合物層、具体的には第一有機化合物層および第二有機化合物層を加熱する工程である。本工程は、有機化合物層を乾燥させて、有機化合物層の表面に付着、あるいは内部に浸透した水分を除去すると同時に、加熱により第一有機化合物層からアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を第二有機化合物層に拡散させる工程である。
本工程では、大気中での加熱のほか、Nガス中での加熱や真空条件下での加熱を行ってもよい。
本工程を洗浄する工程の後に行う場合は、この次の工程は、真空中でのプロセスとなる。そこで、本工程と次の工程との間で水分の再付着を避けるために、本工程では真空条件下で有機化合物層を有する基板を加熱して有機化合物層の表面あるいは側面に付着した水分を除去することが好ましい。
尚、ここでいう真空とは、簡易的な真空ポンプを用いて得ることのできる圧力を意味しており、具体的には1×10−3Pa以下の圧力である。1×10−3Pa以下の圧力に減圧することで、上記乾燥工程において有機化合物層内に吸着された水分が層内から除去された後、有機化合物層内に水分が再度取り込まれるのを抑制することができる。
また、真空条件下で加熱を行う場合、115℃以上で加熱することが好ましい。洗浄後の有機化合物層を加熱した場合、80℃前後での水分の脱離と、115℃前後での水分の脱離が観測されるので、115℃以上での加熱が好ましい。また、加熱時間は10分程度が好ましい。
また、112.5℃で20分加熱した場合と142.5で20分加熱した場合の本発明の有機発光素子を作製し、80mA/cm2の一定電流を印加し、耐久試験を行った。その結果、112.5℃で加熱した場合には200時間経過後に初期の輝度に対して9.5%輝度が低下したが、142.5℃で加熱した場合には4.3%しか輝度が低下しなかった。この結果は、水分を除去することで有機発光素子の耐久性能が向上していることを示唆している。
また、加熱する際の温度の範囲は、有機化合物層を構成する有機材料のガラス転移点を上限とする。ここで、有機材料のガラス転移点を超える温度で加熱すると有機化合物層が変質して所望の素子特性が得られない。一般に有機化合物層を構成する有機材料のガラス転移点は150℃前後であるが、150℃よりも高いガラス転移点の有機材料で有機化合物層を構成する場合には、150℃よりも高い温度で加熱をすることができる。
つまり、本発明の加熱工程における温度は、水分を十分に脱離させるため、115℃以上有機化合物層が有する材料のガラス転移点以下であることが好ましい。
また、加熱工程はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を拡散させるために、陰極を形成した後、または保護層を形成した後、に追加して行ってもよい。
(4)有機化合物層上に上部電極を形成する工程
上部電極(陰極)は、抵抗加熱方式、スパッタ方式等による成膜が可能である。パターニングを用いて所定の領域のみに陰極を形成しても、複数の有機発光素子に渡って共通の陰極を形成してもよい。
(5)上部電極上に保護層を形成する工程
保護層は、成膜領域の端部や上部から浸透し得る水分、酸素から有機発光素子を保護するために設けられる層である。本実施形態において、無機保護層は外部接続端子を設けた領域を除いた領域のほぼ全域に形成される。無機保護層の構成材料として、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン等が挙げられる。またこれらの構成材料を複数使用し積層体としてもよい。無機保護層の形成方法としては、スパッタ法やCVD法を用いることができる。
具体的な例として窒化シリコンをVHFプラズマCVD法により成膜する場合が挙げられる。この場合には、まず、堆積膜形成装置の高周波電極と、それに対向する接地電極とが基板の裏面に接するように固定する。そして、SiHガス、Nガス、Hガスをフローしながら高周波電極と接地電極との間の反応空間圧力を100Paに制御し、高周波電力を高周波電極に供給することにより、保護層として窒化シリコンを堆積形成する。
(本発明の有機発光素子の用途)
本発明の有機発光素子は、表示装置、画像表示装置、照明、光源などに用いることが可能である。
本発明の表示装置は、複数の画素を有し、この画素が、本発明に係る有機発光素子と、この有機発光素子に接続されている能動素子を有する。能動素子は、スイッチング素子でも、増幅素子であってもよい。能動素子の一例として、トランジスタ、MIM素子が挙げられる。トランジスタは、その活性領域にInGaZnOなどの酸化物半導体を有していてよい。
本発明の画像表示装置は、表示部と、画像情報を入力する入力部と、入力された画像情報を処理する処理部とを有する。入力部はエリアCCD等が挙げられ、処理部にはCPUが挙げられる。
本発明の照明装置は、光源と、放熱部を有する。放熱部は光源から発生した熱を装置外へ放出するものである。光源は、本発明の有機発光素子である。放熱部は、比熱の高い金属や液体シリコンが挙げられる。液体シリコンを流動させることで熱を外部へ放出できる。
照明装置は、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバーターを有する。変換された電圧は有機発光素子へ供給される。
本発明の画像形成装置は、感光体と、感光体を露光する露光部と、感光体を帯電させる帯電部と、感光体に現像剤を付与する現像部とを有する画像形成装置である。この露光部に本発明の有機発光素子を有する。
感光体を露光する露光装置は、複数の発光点を有する。この発光点は本発明の有機発光素子を有する。複数の発光点は、感光体の長軸方向に沿って、一列に配置されている。
以下、画像形成装置の露光ユニットの光源部として、本発明に係る有機発光素子を用いた画像形成装置の実施形態の一例について図面を参照して説明する。
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す副走査方向の要部断面模式図である。この画像形成装置105には、パーソナルコンピュータ等の外部機器115からコードデータDcが入力する。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ110によって、画像データ(ドットデータ)Diに変換され、有機発光素子を有する露光ユニット101に入力される。そして、この露光ユニット101からは、画像データDiに応じて変調された露光光104が射出され、感光ドラム102の感光面が露光される。
静電潜像担持体(感光体)たる感光ドラム102は、モーター113によって時計廻りに回転させられ、感光ドラム102の感光面が露光光104に対して、第二の方向に移動する。感光ドラム102の上方には、感光ドラム102の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ103が表面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラ103によって帯電された感光ドラム102の表面に、前記露光ユニット101によって露光光104が照射されるようになっている。
先に説明したように、露光光104は、画像データDiに基づいて変調されており、この露光光104を照射することによって感光ドラム102の表面に静電潜像を形成させる。この静電潜像は、上記露光光104の照射位置よりもさらに感光ドラム102の回転方向の下流側で感光ドラム102に当接するように配設された現像器106によってトナー像として現像される。
用紙カセット108端部には、給紙ローラ109が配設されており、用紙カセット108内の用紙111を搬送路へ送り込む。現像器106によって現像されたトナー像は、感光ドラム102の下方で、感光ドラム102に対向するように配設された転写ローラ107によって用紙111上に転写される。
以上のようにして、未定着トナー像を転写された用紙111はさらに感光ドラム102後方の定着器へと搬送される。定着器は内部に定着ヒータ(不図示)を有する定着ローラ112とこの定着ローラ112に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されている。転写部から搬送されてきた用紙111を定着ローラ112と加圧ローラ114の圧接部にて加圧しながら加熱することにより用紙111上の未定着トナー像を定着させる。
また上記の説明ではモノクロの画像形成装置について述べたが、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応した画像形成装置を並べて設けることにより、フルカラー画像形成装置とすることも可能である。
(二流体洗浄)
ここでは二流体ノズルを使用して洗浄した場合について説明する。
ここで、洗浄条件を検討するために次のような実験を行なった。第二有機化合物層まで成膜した後、膜上に模擬異物として0.2μmのポリスチレン粒子を散布した。散布後に異物数をカウントしておき、この基板の洗浄を行なった。洗浄後に再び異物数をカウントすることで、洗浄前後の異物数から洗浄による除去率を算出した。
また、膜剥がれが発生していないかを洗浄後に確認した。この実験を、洗浄条件を変えて行なうことで適切な洗浄条件を決めることができる。実際の工程で付着する異物は材質、大きさ等様々であり、今回使用したポリエチレン粒子ですべて代替できるものではないが、異物除去率と膜剥がれの傾向を把握することは可能である。二流体洗浄の水量は0.35L/minで一定にし、N2流量(L/min)を変えて洗浄を行なった時の結果を表1に示す。
これより、N2流量としては20〜60L/minに設定することが望ましい。また、水量を変えた実験から水量としては、0.2〜1.0L/min程度が望ましいことがわかった。
このように、洗浄工程により基板上の異物を除去したのちに、上部電極、保護膜を成膜すると、保護層に欠陥ができず、有機発光素子への水分や酸素の侵入を抑制できるようになる。
[実施例]
本実施例では、本発明の有機発光素子の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子ブロック層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/第一電子注入層/第二電子注入層/陰極の構成の有機発光素子を製造した。なお、第一電子注入層が第一有機化合物層であり、第二電子注入層が第二有機化合物層である。
基板としてガラス基板を用い、基板上にITOを成膜し、パターニング加工を施すことにより下部電極(陽極)としてITO電極を形成した。このときITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板を、以下の工程で使用した。
(A)下部電極上に有機化合物層を形成する工程
次に真空蒸着法により、基板上にマスクを用いて所望の位置に有機化合物層を成膜した。以下に、有機化合物層に用いた化合物について示す。
ITO電極上に、正孔注入層として化合物1を3nm、正孔輸送層として化合物2を50nm、電子ブロック層として化合物3を10nmした。ついで、発光層としてホスト材料の化合物4に発光材料として化合物5を1vol%含むように共蒸着して20nmの膜厚で成膜した。さらに、正孔ブロック層として化合物6を10nm、電子輸送層として化合物7を40nm、第一有機化合物層として化合物7に炭酸セシウムが4.5vol%含むように共蒸着して10nmの膜厚で成膜した。さらに、第二有機化合物層として化合物7を5nmの膜厚で順に成膜した。
(B)有機化合物層を水を含む液体により洗浄する工程
有機化合物層が成膜された上記基板を大気開放し、下記の条件で2流体洗浄を行った。尚、本工程は、有機化合物層成膜後の大気開放から(C)有機化合物層を加熱する工程の真空チャンバーに搬送するまで大気中イエロー光蛍光灯下にて行った。
2流体洗浄条件
・水流量0.34L/min、窒素流量40L/min
・基板回転速度 200rpm
・洗浄時間 30秒
(C)有機化合物層を加熱する工程
洗浄した上記基板を真空チャンバーに搬送し、1.0×10−4Paの減圧下にて、基板温度が130℃になるようにハロゲンランプヒーターにて有機化合物層を20分間加熱した。減圧加熱後の基板を、減圧状態を維持したまま次の工程を行った。
(D)有機化合物層上に上部電極を形成する工程
減圧状態を維持したまま、上記基板を成膜チャンバーに搬送し、上部電極としてアルミニウム(Al)を真空蒸着により100nmを、マスクを用いて所望の位置に成膜した。
(E)上部電極上に保護膜を形成する工程
次に、窒化珪素(SiN)からなる保護層による薄膜封止を行った。(D)まで終了した基板上に反応ガスとして、SiH、Nを用いたCVD成膜により窒化珪素を2μm成膜し、この後、フォトリソグラフィによって窒化珪素膜をパターニングして外部接続用のパッド電極を露出させ、有機発光素子を作製した。(E)まで終了した有機発光素子を第1電子注入層から第2電子注入層にセシウムを拡散させる為、更に80℃で8時間加熱を行い、本発明の有機発光素子を得た。
上述した本発明の有機発光素子、およびの有機発光素子の製造方法を用いて作製した有機発光素子は、100mA/cm2で電流を印加した時の電圧が8.8Vであり、耐久試験を行っても欠陥が発生しない有機発光素子であった。
[比較例]
第2電子注入層を形成しない以外は実施例と同じ方法で有機発光素子を作製した。
有機発光素子は、100mA/cm2で電流を印加した時の電圧が16.0Vであり、通電から数分で輝度が低下した。第二電子注入層を形成しないことで(B)有機化合物層上を水を含む液体により洗浄する工程において第2電子注入層中のセシウムを含む成分が溶出し電子注入性能が低下したと考えられる。
以上のように、本発明によれば、有機発光素子に対してダメージが少ない方法で有機膜上の異物を除去することができ、保護膜に高い防護性能を有する有機発光素子を提供することができる。
1 基板
2 陽極
3 有機化合物層
4 水を含む液体
5 ノズル

Claims (16)

  1. 陽極と陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置されている発光層と、前記陰極と前記発光層の間に配置されている第一有機化合物層と、前記第一有機化合物層と前記陰極との間に配置されている第二有機化合物層と、を有する有機発光素子であって、
    前記第一有機化合物層は、有機化合物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、
    前記第二有機化合物層は、有機化合物と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有し、
    前記第二有機化合物層が有する前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属は、前記陽極から前記陰極に向かう方向に、濃度が小さくなる濃度勾配を有していることを特徴とする有機発光素子。
  2. 前記第一有機化合物層が有する前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属は、前記陽極から前記陰極に向かう方向に、濃度が小さくなる濃度勾配を有し、
    前記第一有機化合物層の前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属の濃度は、前記第二有機化合物層の前記アルカリ金属または前記アルカリ土類金属の濃度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
  3. 前記第一有機化合物層および前記第二有機化合物層が有する前記アルカリ金属は、セシウムであり、
    前記第一有機化合物層および前記第二有機化合物層が有する有機化合物は、フェナントロリン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光素子。
  4. 前記陰極に接する保護層をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機発光素子。
  5. 複数の画素を有し、前記画素は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されている能動素子とを有することを特徴とする表示装置。
  6. 前記能動素子は、トランジスタであり、
    前記トランジスタは、活性領域に酸化物半導体を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
  7. 画像を表示する表示部と、画像情報が入力される入力部と、前記画像情報を処理する処理部とを有し、前記表示部は、請求項5または6に記載の表示装置であることを特徴とする画像表示装置。
  8. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されているAC/DCコンバーターとを有することを特徴とする照明装置。
  9. 光源と、放熱部とを有する照明装置であって、
    前記放熱部は、前記光源より発生する熱を前記装置外へ放熱する放熱部であり、
    前記光源は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子であることを特徴とする照明装置。
  10. 感光体と、前記感光体を露光する露光部と、前記感光体を帯電させる帯電部と、前記感光体に現像剤を付与する現像部とを有する画像形成装置であって、
    前記露光部は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 感光体を露光する露光装置であって、
    複数の発光点を有し、前記発光点は請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子を有し、
    前記複数の発光点は、前記感光体の長軸方向に沿って、一列に配置されていることを特徴とする露光装置。
  12. 陽極を形成する工程と、前記陽極の上に発光層を形成する工程と、前記発光層の上に第一有機化合物層を形成する工程と、前記第一有機化合物層の上に第二有機化合物層を形成する工程と、前記第二有機化合物層の上に陰極を形成する工程とを有する有機発光素子の製造方法であって、
    前記陰極を形成する工程の前に、前記第二有機化合物層を水を含む液体で洗浄する工程を有し、少なくとも前記第一有機化合物層および前記第二有機化合物層を加熱する工程とをさらに有することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
  13. 前記陰極を形成する工程の後に、少なくとも前記第一有機化合物層および前記第二有機化合物層を加熱する工程を有することを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子の製造方法。
  14. 前記水を含む液体は、前記液体の全体の組成を100%とした場合、前記水の組成比は50%以上であることを特徴とする請求項12または13に記載の有機発光素子の製造方法。
  15. 前記水を含む液体により洗浄する工程は、二流体洗浄で行われることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の有機発光素子の製造方法。
  16. 前記二流体洗浄は、水と、窒素ガスによる二流体洗浄であることを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子の製造方法。
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