JP2016058358A - 端子台 - Google Patents

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克文 松井
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Abstract

【課題】優れた耐熱性を有する端子台を提供する。【解決手段】端子台1は、ハウジング2と、板状のバスバー3と、シール部4をと有している。ハウジング2は樹脂成形部21を有している。バスバー3は樹脂成形部21に埋設された埋設部32及び樹脂成形部21から外方に突出した接続部31を一体に備えている。シール部4は樹脂成形部21と埋設部32との間に存在する隙間5の開口端面51を覆い、隙間5を封止している。シール部4は、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤を硬化させてなる含フッ素エラストマーまたはシリコーン系接着剤を硬化させてなるシリコーンエラストマーより構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、端子台に関する。
自動車用のワイヤーハーネス等の接続に用いられる端子台としては、金属製のバスバーとハウジングとを有しており、インサート成形によりバスバーがハウジングの樹脂部分に固定されているものがある。ハウジングの樹脂部分は、通常、金属に接着しにくく、また、成形収縮等による寸法変化を起こし易い。そのため、ハウジングとバスバーとの間には不可避的に隙間が形成される。一方、端子台はバスバーとハウジングとの間を液密に封止することを要求される場合がある。この場合には、通常、ハウジングとバスバーとの間に上記隙間を液密に封止するための封止手段が設けられる。
例えば特許文献1には、インサート成形によって金属製のバスバーと樹脂製のコネクタハウジングとが一体に成形されたコネクタの例が開示されている。このコネクタは、バスバーの一部に予めシール部を配設しておき、インサート成形の際に加わる熱及び圧力によりシール部がコネクタハウジングの樹脂部分に接着するよう構成されている。そのため、インサート成形後には、バスバーとコネクタハウジングとの間の隙間がシール部により塞がれ、両者の間が液密に封止される。
特開2013−45510号公報
近年、プラグインハイブリッド車や電気自動車等へ適用するために、より大きな電流を流すことができる端子台が望まれている。端子台に流れる電流が大きくなると通電に伴う発熱量が増大するため、このような用途の端子台には従来より高い耐熱性が求められる。一方、従来のシール部にはエピクロロヒドリン系ゴムが多用されている。しかし、エピクロロヒドリン系ゴムよりなるシール部は上記の状況においては耐熱性が不十分であり、熱老化による軟化が比較的早期から発生するという問題がある。
この問題を解決するための最も単純な方法として、シール部を構成する材料をエピクロロヒドリン系ゴム以外の材料に変更して耐熱性をより向上させることが挙げられる。しかしながら、エピクロロヒドリン系ゴムよりも高い耐熱性を有する材料は、バスバー上に配設した後にインサート成形を行ってもコネクタハウジングに接着させることができず、バスバーとコネクタハウジングとの間の隙間を封止することができないという問題がある。
このように、インサート成形によりコネクタハウジングに接着させることができるという条件を前提にすると、エピクロロヒドリン系ゴムよりも高い耐熱性を有する他の材料を見出すことは現時点においてできていない。それ故、単純にシール部に用いる材料を変更する方法を採用することはできない。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性を有する端子台を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、樹脂成形部を有するハウジングと、
上記樹脂成形部に埋設された埋設部及び上記樹脂成形部から外方に突出した接続部を一体に備えた板状のバスバーと、
上記樹脂成形部と上記埋設部との間に存在する隙間の開口端面を覆い、該隙間を封止するシール部とを有しており、
該シール部は、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤を硬化させてなる含フッ素エラストマーまたはシリコーン系接着剤を硬化させてなるシリコーンエラストマーより構成されていることを特徴とする端子台にある。
上記端子台は、上記樹脂成形部と上記埋設部との間に存在する隙間の開口端面を覆い、該隙間を封止するシール部を有している。また、上記シール部はフッ素化ポリエーテルを含む接着剤を硬化させてなる含フッ素エラストマーまたはシリコーンを含む接着剤を硬化させてなるシリコーンエラストマーより構成されている。発明者は、鋭意検討の結果、上記接着剤を上記特定の位置に塗布した後に硬化させることにより、従来よりも優れた耐熱性を有し、かつ、上記隙間を液密に封止可能な上記シール部を形成できることを見出した。
即ち、従来の端子台は、バスバーにおける樹脂に埋設される位置にシール部を設けていたため、インサート成形の際に上記シール部を上記ハウジングに接着させる必要があった。一方、上記端子台は、上記シール部を上記特定の位置に配置するよう構成されているため、接着剤を塗布して硬化させる作業をインサート成形とは別に行うことができる。それ故、上記端子台は、インサート成形の際に上記シール部を上記ハウジングに接着させる必要がない。
上記シール部の配置を上記特定の位置に変更した結果、上記端子台に上記接着剤を採用することができるようになった。上記接着剤は、バスバー上に塗布して一旦硬化をさせると、その後にインサート成形を行って熱及び圧力を加えても上記樹脂成形部に接着させることができない。しかし、インサート成形を行った後に上記接着剤を塗布し、次いで硬化させることにより、上記バスバー及び上記樹脂成形部の両方と接着された状態の上記シール部を形成することができ、結果として上記隙間を液密に封止することができる。更に、上記シール部は従来のシール部よりも優れた耐熱性を有しており、より高温の環境下においても上記隙間を長期間に亘って液密に封止することができる。
以上のように、上記端子台は、上記特定の位置に上記シール部を有するため、従来よりも高温の環境下においても上記隙間を長期間に亘って液密に封止することができ、結果として従来よりも大きな電流が流れる用途において端子台に要求される耐熱性を満足することができる。
実施例1における、端子台の上面図。 実施例1における、端子台の正面図。 図2のIII−III線矢視断面図。 実施例2における、接着剤受け部を有する端子台の矢視断面図(図3に相当する矢視断面図)。
上記端子台において、上記接着剤は、フッ素化ポリエーテルまたはシリコーンの少なくとも一方を含んでいればよい。これらの成分を含む接着剤の硬化物は優れた耐熱性を有するため、従来よりも大きな電流が流れる用途において端子台に要求される耐熱性を容易に満足することができる。
上記接着剤は、バスバーと樹脂成形部とを接着したときに0.5MPa以上の引張せん断接着強さを有することが好ましい。上記特定の範囲の接着強さを有する接着剤を硬化させてなるシール部は、バスバー及び樹脂成形部の両方と強固に接着する。そのため、上記シール部は、より長期間に亘って上記隙間を液密に封止することができる。また、上記シール部は、例えば上記隙間の内部と外部との間の圧力差が大きい場合等の過酷な環境下においても上記隙間を液密に封止することができる。なお、上記引張せん断接着強さは、例えば、JIS K 6850:1999(ISO 4587:1995)の規定に準じた方法により測定を行うことができる。
また、接着剤は、その硬化物の伸びが100%以上であり、かつ、該硬化物を室温のATF(オートマチックトランスミッションフルード)に100時間浸漬したときの体積増加率が50%以下であることが好ましい。この場合には、上記シール部は、ATF等の油に接触した際に膨潤しにくくなると共に、膨潤に伴う割れの発生をより抑制できる。それ故、上記端子台は、油と接触し得る場所においても長期間に亘って上記隙間を液密に封止することができる。かかる構成を有する端子台は、例えば潤滑油が封入された電動機ユニットにおけるユニットの内外を中継する用途等に好適に用いることができる。
油による膨潤を抑制する観点からは、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤を硬化させてなる含フッ素エラストマーよりなる上記シール部を用いることがより好ましい。
接着剤に含まれるフッ素化ポリエーテルは、シリコーン骨格を有する架橋基により末端を変性されていることが好ましい。末端を変性されたフッ素化ポリエーテルを含む接着剤は、硬化させた際にバスバー及び樹脂成形部の双方と強固に接着し易く、0.5MPa以上の上記引張せん断接着強さを容易に実現できる。それ故、上記フッ素化ポリエーテルを含む接着剤を用いることにより、上記端子台の封止性能をより向上させることができる。
上記ハウジングの樹脂成形部には、PA6T等の芳香族ナイロン樹脂またはPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂のいずれかを含む樹脂組成物を用いることが好ましい。これらの樹脂組成物は、耐熱性、絶縁性等の端子台に要求される特性を容易に満足することができる。樹脂組成物の耐熱性の観点からは、PPS樹脂を含む樹脂組成物を用いることがより好ましい。
また、樹脂成形部は、上記開口端面の周縁部を埋設部側に陥没させてなる接着剤受け部を有しており、上記シール部が上記接着剤受け部内に設けられていることが好ましい。この場合には、接着剤受け部に接着剤を注入することにより、接着剤の塗布量及び接着剤を塗布する領域を容易に制御することができる。そのため、接着剤の過不足やはみ出し等のトラブルをより抑制することができ、シール部の製造上のバラつきをより低減することができる。その結果、接着剤を塗布する作業をより容易に行うことができると共に、得られる端子台の性能のバラつきをより低減することができる。
(実施例1)
上記端子台の実施例について、図を用いて説明する。図1〜図3に示すように、端子台1は、樹脂成形部21を有するハウジング2と、板状のバスバー3と、シール部4とを有している。図3に示すように、バスバー3は、樹脂成形部21に埋設された埋設部32及び樹脂成形部21から外方に突出した接続部31を一体に備えている。シール部4は、樹脂成形部21と埋設部32との間に存在する隙間5の開口端面51を覆い、隙間5を封止している。また、シール部4は、後述するように、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤を硬化させてなる含フッ素エラストマーより構成されている。なお、図1及び図2においては、便宜上シール部4の記載を省略している。
図1〜図3に示すように、端子台1のハウジング2は略平板状を呈しており、その中央部に樹脂成形部21が設けられている。また、樹脂成形部21には、複数のバスバー3が貫通配置されている。複数のバスバー3は、埋設部32の幅方向に互いに並んでいる。また、バスバー3は、埋設部32の長手方向がハウジング2の厚み方向を向くように配置されている。なお、以下において、バスバー3の並び方向を「横方向Y」という。また、埋設部32の長手方向を「高さ方向Z」といい、埋設部32の厚み方向を「縦方向X」という。
ハウジング2の樹脂成形部21は、バスバー3の埋設部32を覆う壁部211を有している。壁部211と埋設部32との間には、インサート成形後の成形収縮等によって形成された隙間5が存在している。図3に示すように、隙間5は高さ方向Zの両端において開口しており、隙間5の一対の開口端面51(51a、51b)のうち一方の開口端面51aがシール部4により覆われている。なお、本例の樹脂成形部21は、ガラス繊維強化された芳香族ナイロン樹脂(PA6T)を含む樹脂組成物より構成されている。
バスバー3はニッケルめっきされた銅板より構成されており、図1〜図3に示すように、樹脂成形部21を貫通すると共にインサート成形により樹脂成形部21に固定されている。本例のバスバー3は、長手方向に直交する断面が幅12.5mm×厚み2.5mmの長方形状を呈している。
また、図3に示すように、バスバー3は、樹脂成形部21に埋設された埋設部32の両端に接続部31を有している。各々の接続部31は、ワイヤーハーネス等を締結するための締結孔311及び締結ナット312を有している。
シール部4は、接続部31における埋設部32側の基端部313と、樹脂成形部21における開口端面51aの周縁部212との両方に接着されており、一方の開口端面51aを覆っている。本例のシール部4は、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤(信越化学工業株式会社製、「SIFEL2614」)を加熱して硬化させることにより形成される含フッ素エラストマーより構成されている。また、上記接着剤に含まれるフッ素化ポリエーテルは、シリコーン骨格を有する架橋基により末端を変性されている。
次に、端子台1の作用効果について説明する。端子台1は、樹脂成形部21と埋設部32との間に存在する隙間5の開口端面51aを覆い、隙間5を封止するシール部4を有している。また、シール部4は、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤を硬化させてなる含フッ素エラストマーである。上述したように、端子台1は、シール部4を上記特定の位置に配置するよう構成したことにより、上記接着剤を採用することができる。
そして、シール部4は、インサート成形を行った後に上記接着剤の塗布及び硬化を行うことにより形成することができる。シール部4は、バスバー3及び樹脂成形部21の両方と接着した状態で形成されるため、隙間5を液密に封止することができる。更に、シール部4は優れた耐熱性を示すフッ素化ポリエーテルを含んでいるため、従来のシール部よりも優れた耐熱性を有しており、より高温の環境下においても隙間5を長期間に亘って液密に封止することができる。
また、本例のシール部4に用いた接着剤には、シリコーン骨格を有する架橋基により末端を変性されたフッ素化ポリエーテルが含まれている。そのため、シール部4は、バスバー3及び樹脂成形部21の双方に対して強固に接着されており、隙間5をより長期間に亘って液密に封止することができる。
以上のように、端子台1は、上記特定の位置にシール部4を有するため、従来よりも大きな電流が流れる用途において端子台1に要求される耐熱性を満足することができる。
(実施例2)
本例は、樹脂成形部21に接着剤受け部22を有する端子台1bの例である。図4に示すように、本例の端子台1bは、樹脂成形部21における一方の開口端面51aの周縁部212を埋設部32側に陥没させてなる接着剤受け部22を有している。そして、接着剤受け部22内にシール部4が設けられている。
接着剤受け部22の形状は特に限定されるものではないが、本例の接着剤受け部22は、周縁部212の表面213と、バスバー3における接続部31の基端部313を縦方向X及び横方向Yの四方から取り囲む側面214とから構成される直方体状の凹状空間である。その他は実施例1と同様である。なお、図4において用いた符号のうち実施例1と同一の符号は、特に説明のない限り実施例1と同様の構成要素等を示す。
本例のように、接着剤受け部22を有する端子台1は、接着剤受け部22内に接着剤を注入することにより、接着剤の塗布量及び接着剤を塗布する領域を容易に制御することができる。そのため、接着剤の過不足やはみ出し等のトラブルをより抑制することができ、シール部4の製造上のバラつきをより低減することができる。その結果、接着剤を塗布する作業をより容易に行うことができると共に、端子台1の性能のバラつきをより低減することができる。
(実験例1)
本例は、実施例1の端子台1において、接着剤及び樹脂成形部21の材質を種々変更して作成した試験体(試験体E1〜E6及び試験体C1〜C2)のシール部4の封止性能を評価した例である。本例において用いた材料を以下に示す。
・接着剤A:フッ素化ポリエーテル含有接着剤(信越化学工業株式会社製「SIFEL2614」)
・接着剤B:フッ素化ポリエーテル含有接着剤(信越化学工業株式会社製「SIFEL2661」)
・接着剤C:シリコーン樹脂系接着剤(信越化学工業株式会社製「KE1884」)
・接着剤D:エポキシ樹脂系接着剤(ペルノックス株式会社製「XM−2437」)
・PA6T:芳香族ナイロン樹脂を含む樹脂組成物
・PPS:PPS樹脂を含む樹脂組成物
各試験体の作製手順は以下の通りである。まず、PA6TまたはPPSのいずれかを用いてインサート成形を行い、バスバー3をハウジング2に固定した。次いで、バスバー3における接続部31の基端部313の外周に接着剤を塗布し、隙間5の開口端面51aを接着剤により覆った。その後、接着剤を150℃で1時間加熱して硬化させ、実施例1と同じ形状を有する8種の試験体を得た(表1参照)。
得られた試験体について、シール部4の封止性能を評価するためのリークテストを実施した。リークテストは、以下の手順により行った。まず、各試験体の樹脂成形部21における他方の開口端面51b(図3参照)から隙間5内にゲージ圧100kPaGの圧縮空気を導入した。そして、シール部4により封止された開口端面51aからの圧縮空気の漏出の有無を判定した。
また、リークテストは、各試験体について、接着剤を硬化させた後(初期状態)、初期状態の試験体を180℃で1000時間加熱する耐熱試験を行った後及び初期状態の試験体を室温のATFに1000時間浸漬する耐油試験を行った後の3種の条件で行った。リークテストの結果を表1に示す。
Figure 2016058358
また、本例においては、テストピースを用いてシール部4とバスバー3及び樹脂成形部21との接着性を評価した。
シール部4の接着性評価は、JIS K 6850:1999に規定された方法に準じて引張せん断接着強さを測定することにより行った。まず、試験体に用いた樹脂組成物を厚さ2mmの板状に成形し、得られた板を所定の寸法に切り出すことにより樹脂成形部21を模擬した樹脂板を準備した。また、厚さ0.64mmのニッケルめっき銅板を所定の寸法に切り出し、バスバー3を模擬した金属板を準備した。次いで、上記樹脂板と上記金属板とを上記接着剤を介して重ね合わせ、この状態で加熱して接着剤を硬化させた。以上によりテストピースを作製した。なお、接着剤A及びBは150℃で1時間の加熱を行うことにより硬化させた。また、接着剤C及びDは120℃で1時間の加熱を行うことにより硬化させた。
その後、得られたテストピースを用いて引張試験を行い、初期状態の引張せん断接着強さを測定した。また、各テストピースに上述した耐熱試験及び耐油試験を行い、それぞれの試験後における引張せん断接着強さを測定した。これらの結果を表2に示す。なお、引張速度は10mm/分とした。また、接着剤Dを用いたテストピースは、耐熱試験を行った後に接着剤の硬化物に割れが生じ、引張試験を行うことができなかった(符号「−」にて表示)。
Figure 2016058358
表1より知られるように、含フッ素エラストマーよりなるシール部4を有する試験体E1〜E4は、初期状態、耐熱試験後及び耐油試験後のいずれの状態においても圧縮空気のリークが発生しなかった。これらの結果から、試験体E1〜E4は、従来の端子台に比べて過酷な環境下においても長期間に亘って隙間5を封止できることがわかる。
また、試験体E1〜E4に用いた接着剤A及び接着剤Bは、樹脂成形部21を模擬した樹脂板とバスバー3を模擬した金属板とを接着したときに、初期状態において1.0MPa以上の引張せん断接着強さを示した。表2より知られるように、このような接着剤は、耐熱試験や耐油試験を行った後においても0.5MPa以上の引張せん断接着強さを示した。このことから、初期状態における硬化物の引張せん断接着強さが1.0MPa以上であり、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤は、高温環境に長時間おかれた場合やオイル等に浸漬された場合等の接着力の低下を抑制できることが理解できる。従って、上記接着剤よりなるシール部4を有する端子台1は、より長期間に亘って隙間5を封止できる。
シリコーン樹脂系接着剤(接着剤C)を用いた試験体E5及びE6は、表1より知られるように、耐熱試験後において圧縮空気のリークが発生せず、優れた耐熱性を示した。しかしながら、試験体E5及びE6は、耐油試験後において圧縮空気のリークが発生した。このリークの発生は、耐油試験後に引張せん断接着強さが著しく低下したためと推測できる(表2参照)。また、引張せん断接着強さの低下は、ATFにより硬化物が膨潤し、割れが発生したことが原因と考えられる。
エポキシ樹脂系接着剤(接着剤D)を用いた試験体C1及びC2は、表1より知られるように、耐熱試験後において圧縮空気のリークが発生した。また、接着剤Dは、引張せん断接着強さ試験において耐熱試験後に割れが発生したために引張試験を行うことができなかった。このことから、試験体C1及びC2は、耐熱試験後のリークテストにおいてシール部4に割れが発生したと考えられる。
(実験例2)
本例は、実施例2の端子台1において、接着剤及び樹脂成形部21の材質を種々変更して作成した試験体(試験体E11〜E16及び試験体C11〜C12)のシール部4の封止性能を評価した例である。本例においては、端子台1の形状を実施例2と同一の形状に変更した以外は、実験例1と同様の方法により試験体を作製し、得られた試験体を用いてリークテストを行った。リークテストの結果を表3に示す。
Figure 2016058358
表3より知られるように、含フッ素エラストマーよりなるシール部4を有する試験体E11〜E14は、接着剤受け部22を有する端子台1においても耐熱試験後及び耐油試験後の両方の条件において圧縮空気のリークが発生しなかった。このように、試験体E11〜E14は、実験例1と同様に優れた封止性能を示した。
また、シリコーンエラストマーよりなるシール部4を有する試験体E15及びE16は、実験例1と同様に、耐熱試験後に圧縮空気のリークが発生せず、優れた耐熱性を示した。
1 端子台
2 ハウジング
21 樹脂成形部
3 バスバー
31 接続部
32 埋設部
4 シール部
5 隙間
51 開口端面

Claims (6)

  1. 樹脂成形部を有するハウジングと、
    上記樹脂成形部に埋設された埋設部及び上記樹脂成形部から外方に突出した接続部を一体に備えた板状のバスバーと、
    上記樹脂成形部と上記埋設部との間に存在する隙間の開口端面を覆い、該隙間を封止するシール部とを有しており、
    該シール部は、フッ素化ポリエーテルを含む接着剤を硬化させてなる含フッ素エラストマーまたはシリコーンを含む接着剤を硬化させてなるシリコーンエラストマーより構成されていることを特徴とする端子台。
  2. 上記接着剤は、上記バスバーと上記樹脂成形部とを接着したときに0.5MPa以上の引張せん断接着強さを有することを特徴とする請求項1に記載の端子台。
  3. 上記接着剤は、その硬化物の伸びが100%以上であり、かつ、該硬化物を室温のオートマチックトランスミッションフルードに100時間浸漬したときの体積増加率が50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の端子台。
  4. 上記フッ素化ポリエーテルは、シリコーン骨格を有する架橋基により末端を変性されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子台。
  5. 上記樹脂成形部は、上記開口端面の周縁部を上記埋設部側に陥没させてなる接着剤受け部を有しており、上記シール部が上記接着剤受け部内に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子台。
  6. 上記樹脂成形部は、芳香族ナイロン樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂のいずれかを含む樹脂組成物よりなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の端子台。
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