JP2016057649A - 時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置 - Google Patents

時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置 Download PDF

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Abstract

【課題】軌道平行測度法による時系列データの検出精度を向上する。
【解決手段】監視・制御対象から取得した時系列データを軌道平行測度法により解析する時系列データの解析方法である。取得した時系列データをn次元状態空間に埋め込む。埋め込まれた時系列データであるデータベクトルから一つのデータベクトルを選択ベクトルとして選択する。n次元状態空間のデータベクトルを論理演算に基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、選択ベクトルの近傍に埋め込まれた近傍ベクトルの選択を行う。選択ベクトルと近傍ベクトルにおける軌道の接線を算出し、接線の平行度に基づいて時系列データの解析を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、時系列データをカオス解析技術により解析する時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置に関する。
監視対象の異常及びその予兆を検知するために、監視対象から時系列データを取得し、この時系列データをカオス理論に基づく軌道平行測度法(Trajectory Parallel Measure Method:TPM法)により解析する方法や装置が提案されている(例えば、特許文献1,2、非特許文献1)。軌道平行測度法は、決定論に基づいた時系列データに混在する確率過程的要因を検出する手段として有用であり、例えば、特許文献1では、時系列データの軌道平行測度(TPM)を逐次的に求め、時系列データの確率過程的要因を検出している。
特開2013−211002号公報 特開平10−134034号公報
藤本泰成、五百旗頭正、谷村隆義、「観測された時系列データの決定論的性質を測る軌道平行測度法」、日本ファジイ学会誌、1997年、Vol.9、No.4、pp580−588
しかしながら、実際の時系列データにおいては、季節変動等の長期トレンドにより、時系列データにおいて決定論的な力学系のパラメータが緩やかに変化しており、その違いにより現在のデータと古いデータとの埋め込み空間での軌道が交差すると、誤って異常と判断されるおそれがある。
上記事情に鑑み、本発明は、軌道平行測度法による時系列データの検出精度向上を目的とする。
上記目的を達成する本発明の時系列データの解析方法は、時系列データを軌道平行測度法により解析する時系列データの解析方法であって、時系列データをn次元状態空間に埋め込み、前記n次元状態空間に埋め込まれた時系列データであるデータベクトルから一つのデータベクトルを選択ベクトルとして選択し、前記n次元状態空間のデータベクトルを論理演算に基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択し、前記選択ベクトルにおけるデータベクトルの軌道の接線方向と、前記近傍ベクトルにおけるデータベクトルの軌道の接線方向との平行度を算出し、算出された平行度に基づいて、前記時系列データの解析を行うことを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の時系列データの異常監視装置は、評価対象から時系列データを取得する取得手段と、取得された時系列データをn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込み手段と、前記n次元状態空間に埋め込まれた時系列データであるデータベクトルから一つのデータベクトルを選択ベクトルとして選択するデータベクトル選択手段と、前記n次元状態空間のデータベクトルを論理演算に基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択する近傍ベクトル選択手段と、前記選択ベクトルと前記近傍ベクトルにおけるデータベクトルの軌道の接線方向を演算する接線方向演算手段と、前記選択ベクトルにおける軌道の接線方向と前記近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との平行度を算出する平行度算出手段と、前記平行度算出手段により算出された平行度に基づいて、前記時系列データの評価を行う時系列データ評価手段と、備えたことを特徴としている。
以上の発明によれば、軌道平行測度法による時系列データの検出精度が向上する。
本発明の実施形態に係る異常監視装置の概略図である。 本発明の実施形態に係る異常監視装置のデータ判定処理部の詳細を説明する図である。
本発明の実施形態に係る時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置、並びに、異常監視装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る異常監視装置1は、監視・制御対象2から時系列データを取得し、監視・制御対象2の監視及び制御を行う。また、異常監視装置1には、出力装置3が接続され、監視・制御対象2の判定結果が出力装置3に出力される。
異常監視装置1は、データ収集部4、データ蓄積部5、データ判定処理部6を有する。データ収集部4は、監視・制御対象2から時系列データを検出し、検出した時系列データを取り込む。データ蓄積部5は、データ収集部4で取り込まれた時系列データを蓄積する。データ判定処理部6は、データ蓄積部5に蓄積された時系列データに異常が発生しているか否かの判定を行う。
監視・制御対象2は、例えば、回転機械系の回転軸、電力需要量若しくは水の需要量(配水量)等である。異常監視装置1には、軸振動の音データや振動データ等の時系列データ、電力需要量の時系列データ若しくは水の需要量の時系列データ等が送信される。
出力装置3は、例えば、ディスプレイやプリンタ等であり、異常監視装置1における時系列データの分析結果を出力する。
図2は、異常監視装置1のデータ判定処理部6の詳細を示す図である。図2を参照して、データ判定処理部6の各処理部の機能について詳細に説明する。
データ取得部7は、データ蓄積部5に蓄積された時系列データを、判定対象とする時系列データとして取得する。
埋め込み処理部8は、データ取得部7が取得した時系列データに対して、n次元状態空間(nは、正の整数)に埋め込み処理を行う。つまり、データ取得部7が取得した時系列データy(t)から、ベクトルXt=(y(t),y(t−τ),・・・,y(t−(n−1)τ))をつくる(τは遅れ時間)。このベクトルは、n次元再構成状態空間Rnの1点を示すこととなる。なお、次元nと遅れ時間τは、対象とするシステムに応じて予め設定される値である。
データベクトル選択部9は、埋め込み処理部8で埋め込まれた時系列データから、各時刻におけるデータ系列の現在時刻点を表す最先端のデータベクトルXiを選択する。なお、データベクトル選択部9は、前述した各時刻におけるデータ系列の現在時刻点を表す最先端のデータベクトルを選択することに限定されず、最先端から1つ手前、2つ手前、…、n個手前(nは正の整数)のデータベクトルを選択するようにしても良い。
近傍ベクトル検出部10は、データベクトル選択部9で選択されたデータベクトルXi近傍空間内の近傍ベクトルXjを検出する。このとき、近傍ベクトル検出部10は、埋め込み処理部8により埋め込まれたデータベクトルから一定の条件でデータベクトルを除外し、この一定の条件でデータベクトルが除外されたデータベクトルの範囲(以後、探索対象と称する)から近傍ベクトルXjを検出する。一定の条件による制限は、例えば、ロジック計算(論理演算)やマップを用いて行うことができる。
例えば、埋め込まれたデータベクトルの集合をX(t)、データベクトル選択部9により選択された選択ベクトルをX(c)とすると、逐次軌道平行測度法での探索対象U(c)は、式(1)で表される。
Figure 2016057649
すなわち、式(1)での演算により、時刻c以前の時系列データを要素に持つデータベクトルであって、X(c)と同じ軌道上にないデータベクトルが近傍ベクトルの探索対象U(c)として設定されることとなる。
近傍ベクトル検出部10は、さらにこの探索対象U(c)の部分集合を作成し、新たな探索対象U’(c)を指定し、この新たな探索対象U’(c)から近傍ベクトルXjの検出を行う。新たな探索対象U’(c)は、例えば、時刻cと時刻tに対して、X(t)がX(c)の探索対象に含まれるか否かを判断する関数j(c,t)を指定し、式(2)より判定される。
Figure 2016057649
すなわち、関数j(c,t)を指定することで、一定の条件を満たした探索対象U’(c)を設定することができる。具体的には、関数j(c,t)は、時刻差の剰余が一定範囲内である関数や、解析対象となる時系列データに並行した分類情報に関する関数等が用いられる。また、これら関数の組み合わせることで、より複雑な条件設定を行うこともできる。
接線方向演算部11は、選択されたデータベクトルXi及び近傍ベクトルXjの軌道に対する単位接ベクトル(接線方向)TiとTjを演算する。
平行度評価部12は、接線方向演算部11で演算された各データベクトルXi,Xjにおける単位接ベクトルTi,Tjに基づいて平行度γi(単位接ベクトルTiとTjの平行度)を算出する。なお、実際に解析を行う場合には、統計的誤差を小さくするため平行度の平均値を求めることとなる。以後、求められた平行度(または、平行度の平均値)を軌道平行測度(TPM)と称する。
平行度判定部13は、平行度評価部12で算出されたTPMの変化に基づいて、時系列データの異常を検出する。
現在時刻点更新部14は、平行度判定部13によって、ある時刻におけるデータベクトルにおける時系列データの評価が行われる毎に、データベクトルXiを選択するための基準となる現在時刻点の更新を行う。
蓄積データ更新部15は、データ蓄積部5の蓄積データを適正量に維持するため、異常検知への寄与度が低いデータをデータ蓄積部5から削除する(分析対象から除外する)。例えば、蓄積データ更新部15は、設定期間以上経過したデータをデータ蓄積部5から削除する。これは、時系列データの中で古いデータは異常検知への寄与度が低いためである。
[時系列データの解析方法]
次に、異常監視装置1による時系列データの処理手順について説明する。
<ステップS1>データ収集部4が、時系列データを取り込む。異常監視装置1において、データ収集部4が、監視・制御対象2からの時系列データを検出し、検出した時系列データを取り込む。
<ステップS2>データ蓄積部5が、データ収集部4により取り込まれた時系列データを蓄積する。
<ステップS3>データ取得部7が、データ蓄積部5に蓄積された時系列データを取得する。
<ステップS4>埋め込み処理部8が、データ取得部7が取得した時系列データに対してn次元状態空間に埋め込み処理を行う。
<ステップS5>データベクトル選択部9が、埋め込み処理部8により埋め込まれた時系列データから各時刻におけるデータ系列の現在時刻点を表す最先端のデータベクトルを選択する。
<ステップS6>近傍ベクトル検出部10が、データベクトル選択部9により選択されたデータベクトル近傍空間内の近傍ベクトルを検出する。近傍ベクトル検出部10は、埋め込み処理部8により埋め込まれたデータベクトルに一定の条件で制限を加えた探索対象U’(c)を設定し、設定された探索対象U’(c)から近傍ベクトルの検出を行う。
<ステップS7>接線方向演算部11が、データベクトル選択部9により選択されたデータベクトルと、近傍ベクトル検出部10により検出された近傍ベクトルにおける、埋め込まれた後の時系列データの軌道の接線方向を演算する。選択されたデータベクトルの接線方向は、例えば、選択されたデータベクトルと、このデータベクトルに隣接するデータベクトル等の連続する3つデータベクトルを選択し、この3つのデータベクトルを点と同一視することで、3点のデータベクトルを通る円の選択されたデータベクトルにおける接線として算出する。
<ステップS8>平行度評価部12が、データベクトル選択部9により選択されたデータベクトルにおける軌道の接線方向と、近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との軌道平行測度(TPM)を算出する。なお、TPMは、接線方向の向きが揃っているほど0となる。
<ステップS9>平行度判定部13が、平行度評価部12で算出されTPMの時系列データに基づいて、時系列データの評価を行う。なお、平行度判定部13は、従来の時系列データの評価方法を併せて行ってもよい。例えば、TPMに閾値を設定し、TPMと閾値とを比較して時系列データの異常が判定される。
<ステップS10>現在時刻点更新部14が、平行度判定部13によってある時刻におけるデータベクトルにおける時系列データの評価が行われる毎に、埋め込み処理部8により埋め込まれた時系列データの現在時刻点を更新する。
<ステップS11>蓄積データ更新部15が、データ蓄積部5に蓄積された時系列データから、設定期間以上経過したデータを削除する。
なお、現在時刻点更新部14及び蓄積データ更新部15の処理動作では、ステップS10及びステップS11の処理と併せて、新たな時系列データの取得や参照する時系列データ範囲の定義や時系列データの埋め込み処理が行われる。
[実施例1]
本発明の実施形態に係る時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置1について、具体的な実施例を挙げてさらに詳細に説明する。なお、実施例の説明では、近傍ベクトル検出部10における探索対象U’(c)の設定方法について詳細に説明するが、時系列データの解析は、上記のステップS1乃至ステップS11に基づいて行われる(他の、実施例も同様である)。
実施例1は、近傍ベクトル検出部10が、時刻差の剰余が一定範囲内のデータベクトルのみを探索対象U1’(c)として指定し、指定した探索対象U1’(c)から近傍ベクトルを検出する。
探索対象U1’(c)は、式(3)に基づいて、周期定数mと、範囲定数a(0≦a<m/2)と、により設定される。周期定数mは、例えば、解析対象の時系列データにおいて、自己相関により求められる基本周期やこの基本周期の整数倍を設定することができる。また、範囲定数aは、周期定数mの1/2未満の値が解析対象に応じて適宜設定される。
Figure 2016057649
すなわち、選択ベクトルから周期m毎のデータベクトルと、このデータベクトルの前後aの範囲のデータベクトルが探索対象U1’(c)として設定される。そして、近傍ベクトル検出部10がこの探索対象U1’(c)から近傍ベクトルの検出を行う。
例えば、1時間毎にサンプリングされた時系列データを解析する場合、周期定数m=24、範囲定数a=1と設定すると、探索対象U1’(c)は、選択ベクトルと異なる日の同じ時刻のデータベクトル、及び選択ベクトルと異なる日の同じ時刻の前後1時間ずれたデータベクトルに制限された集合となる。
また、1時間毎にサンプリングされた時系列データを解析する場合、周期定数m=24×365.25=8766、範囲定数a=24×30=720とすると、探索対象U1’(c)は、選択ベクトルと異なる年の同じ日のデータベクトル、及び選択ベクトルと異なる年の同じ日の前後1月程度のデータベクトルに制限された集合となる。
実施例1の時系列データの解析方法によれば、選択ベクトルの近傍に埋め込まれた近傍ベクトルの検出にあたり、探索対象を周期的なデータベクトル(毎日の同じ時間帯や毎年の同じ季節等)に制限することができる。
[実施例2]
実施例2は、近傍ベクトル検出部10が、解析対象となる時系列データに並行して与えられた時系列データw(t)の値が選択ベクトルに近いもののみを探索対象U2’(c)として指定し、指定した探索対象U2’(c)から近傍ベクトルを検出する。
探索対象U2’(c)は、式(4)に基づいて、解析対象のデータベクトルX(t)に並行した時系列データw(t)と、範囲定数a(a≧0の実数)と、により設定される。
Figure 2016057649
すなわち、選択ベクトルに対応する時系列データw(c)と等しいデータベクトル及びこのデータベクトルから前後aの範囲のデータベクトルが探索対象U2’(c)として設定される。そして、近傍ベクトル検出部10が、探索対象U2’(c)から近傍ベクトルの検出を行う。
例えば、1時間毎にサンプリングされた時系列データを解析する場合、時系列データに並行して与えられた時系列データw(t)が気温データ(℃)であり、範囲定数a=3であるとすると、探索対象U2’(c)は、選択ベクトルと同じ気温±3℃以内のデータベクトルに制限された集合となる。
実施例2の時系列データの解析方法によれば、選択ベクトルに与えられた時系列データ(例えば、気温等)を利用して、近傍ベクトルの探索対象を、選択ベクトルと近い条件(例えば、気温が近い等)のデータベクトルに制限することができる。
[実施例3]
実施例3は、近傍ベクトル検出部10が、解析対象となる時系列データに並行して与えられた分類情報I(t)が選択ベクトルに近いもののみを探索対象U3’(c)として指定し、指定した探索対象U3’(c)から近傍ベクトルを検出する。
探索対象U3’(c)は、式(5)に基づいて、解析対象のデータベクトルX(t)に並行した分類情報I(t)により設定される。
Figure 2016057649
すなわち、選択ベクトルに対応する分類情報I(c)と等しい分類情報I(t)を有するデータベクトルが探索対象U3’(c)として設定される。そして、近傍ベクトル検出部10が、探索対象U3’(c)から近傍ベクトルの検出を行う。
例えば、1時間毎にサンプリングされた時系列データを解析する場合、休日=0、平日=1のような分類情報I(t)を指定することで、選択ベクトルが休日の場合には、休日のデータベクトルが探索対象U3’(c)と設定され、選択ベクトルが平日の場合には、平日のデータベクトルが探索対象U3’(c)と設定される。
なお、分類情報I(t)は、予め所定の情報を設定するだけでなく、機械学習等により時系列データをクラスタリングし、クラスタリングの結果に応じて設定することもできる。
実施例3の時系列データの解析方法によれば、例えば、施設の電力需要データ等を平日・休日の分類情報I(t)と組み合わせて、平日のみ、休日のみに限定して評価することができる。また、対象となる時系列データをクラスタリングした結果に基づいて、同じクラスタに属するデータベクトルのみに限定して評価を行うことができる。
[実施例4]
実施例4は、近傍ベクトル検出部10が、解析対象となる時系列データに並行して与えられた時系列データw(t)の剰余が一定範囲内のデータベクトルを探索対象U4’(c)として指定し、指定した探索対象U4’(c)から近傍ベクトルを検出する。
探索対象U4’(c)は、式(6)に基づいて、解析対象のデータベクトルX(t)に並行した時系列データw(t)と、周期定数mと、範囲定数a(0≦a<m/2)と、により設定される。
Figure 2016057649
すなわち、選択されたデータベクトルX(c)に対応する時系列データw(c)とデータベクトルX(t)に対応する時系列データw(t)が一致するか前後aの範囲に入るようなデータベクトルX(t)が探索対象U4’(c)として設定される。そして、近傍ベクトル検出部10が、探索対象U4’(c)から近傍ベクトルの検出を行う。
例えば、1時間毎にサンプリングされた時系列データを解析する場合、休日=0、平日=1のような分類情報を指定すると、平日と休日との変わり目で急に別の分類となるため、平日と休日との境界で誤検知が発生するおそれがある。そこで、時系列データw(t)として、休日前の平日の19時=1、20時=2、21時=3、22時=4、23時=5、休日=6、休日後の平日の0時=7、1時=8、2時=9、3時=10、4時=11、その他の平日=0のような時系列データw(t)を設定し、周期定数m=12、範囲定数a=3と設定することで、休日と平日の境界が緩和された集合である探索対象U4’(c)が設定される。
実施例4のデータベクトルの解析方法によれば、平日・平日から休日の変わり目・休日・休日から平日の変わり目のように、周期的に変化する分類でデータベクトルの制限を行う際に、隣接項目まで探索対象U4’(c)とするような評価を行うことができる。
以上のような本発明の時系列データの解析方法及び時系列データの解析装置によれば、埋め込み空間での近傍ベクトル探索時に一定の条件で選択範囲からデータベクトルを除外することで、時系列データに混在する確率過程的要因の検出精度を向上させることができる。
すなわち、近傍ベクトルの検出において、探索対象となるデータベクトルを限定することで、外部的要因により選択ベクトルの近傍に埋め込まれるデータベクトルを除外することができる。その結果、確率過程的要因に基づくTPMが誤って上昇する要因を低減し、確率過程的要因に基づくTPMの検出精度が向上する。
なお、上記のように構成された本発明の実施形態に係る異常監視装置1及び異常監視装置のデータ判定処理部6は、例えば、ROM、RAM、CPU等で構成されるコンピュータに所定のプログラムが読み込まれて、CPUがそのプログラムを実行することで実現されるものである。また、各手段は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよいし、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
上記装置及び処理部における処理手段をコンピュータによって実現する場合、装置及び処理部が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、装置及び処理部における処理手段がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の記録媒体が例示される。具体的には、例えば、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等の磁気記録装置や、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等の光ディスクや、MO(Magneto Optical disc)等の光磁気記録媒体や、フラッシュメモリー等の半導体メモリを用いることができる。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を流通することによって行う。さらに、ネットワークを介して、このプログラムをサーバコンピュータから他のコンピュータに転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
また、本発明の時系列データの解析方法や時系列データの異常監視装置は、実施形態に記載された用途に限定されるものではなく、様々な時系列データの解析に用いることができる。例えば、電力需要量や水の需要量の他に、太陽光発電装置の発電量の時系列データ、製造設備や動力系の回転設備の時系列データ等の解析に用いることができる。
また、実施形態では、逐次軌道平行測度法で時系列データの解析を行っているが、非特許文献1に記載の軌道平行測度法の解析に本発明の時系列データの解析方法を適用することもできる。
また、本発明の時系列データの異常監視装置において、力学系の遷移を捉えたTPMの増加に閾値を設定し、閾値を超えた場合に警告を出力する構成とすることができる。
1…異常監視装置
2…監視・制御対象
3…出力装置
4…データ収集部
5…データ蓄積部
6…データ判定処理部
7…データ取得部(取得手段)
8…埋め込み処理部(埋め込み手段)
9…データベクトル選択部(データベクトル選択手段)
10…近傍ベクトル検出部(近傍ベクトル選択手段)
11…接線方向演算部(接線方向演算手段)
12…平行度評価部(平行度算出手段)
13…平行度判定部(時系列データ評価手段)
14…現在時刻点更新部
15…蓄積データ更新部

Claims (7)

  1. 時系列データを軌道平行測度法により解析する時系列データの解析方法であって、
    時系列データをn次元状態空間に埋め込み、
    前記n次元状態空間に埋め込まれた時系列データであるデータベクトルから一つのデータベクトルを選択ベクトルとして選択し、
    前記n次元状態空間のデータベクトルを論理演算に基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択し、
    前記選択ベクトルにおけるデータベクトルの軌道の接線方向と、前記近傍ベクトルにおけるデータベクトルの軌道の接線方向との平行度を算出し、
    算出された平行度に基づいて、前記時系列データの解析を行う
    ことを特徴とする時系列データの解析方法。
  2. 前記n次元状態空間のデータベクトルを、前記選択ベクトルを基準とした時刻差の剰余が一定の範囲内のデータベクトルに制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択する
    ことを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析方法。
  3. 前記n次元状態空間のデータベクトルを、前記データベクトルに並行して付与された時系列データに基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択する
    ことを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析方法。
  4. 前記n次元状態空間のデータベクトルを、前記データベクトルに並行して付与された分類情報に基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択する
    ことを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析方法。
  5. 前記n次元状態空間のデータベクトルを、前記選択ベクトルを基準として前記データベクトルに並行して付与された時系列データの剰余に基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択する
    ことを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析方法。
  6. 評価対象から時系列データを取得する取得手段と、
    取得された時系列データをn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込み手段と、
    前記n次元状態空間に埋め込まれた時系列データであるデータベクトルから一つのデータベクトルを選択ベクトルとして選択するデータベクトル選択手段と、
    前記n次元状態空間のデータベクトルを論理演算に基づいて制限し、該制限されたデータベクトルの範囲から、前記選択ベクトルの近傍に埋め込まれたデータベクトルを近傍ベクトルとして選択する近傍ベクトル選択手段と、
    前記選択ベクトルと前記近傍ベクトルにおけるデータベクトルの軌道の接線方向を演算する接線方向演算手段と、
    前記選択ベクトルにおける軌道の接線方向と前記近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との平行度を算出する平行度算出手段と、
    前記平行度算出手段により算出された平行度に基づいて、前記時系列データの評価を行う時系列データ評価手段と、備えた
    ことを特徴とする時系列データの異常監視装置。
  7. コンピュータを請求項6に記載の時系列データの異常監視装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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