JP6365146B2 - 時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置 - Google Patents

時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置 Download PDF

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Description

本発明は、時系列データをカオス解析技術により解析する時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置に関する。
監視対象の異常及びその予兆を検知するために、監視対象から時系列データを取得し、この時系列データをカオス理論に基づく軌道平行測度法(Trajectory Parallel Measure Method:TPM法)により解析する方法や装置が提案されている(例えば、特許文献1,2、非特許文献1)。軌道平行測度法は、決定論に基づいた時系列データに混在する確率過程的要因を検出する手段として有用であり、例えば、特許文献1では、時系列データの軌道平行測度(TPM)を逐次的に求め、時系列データの確率過程的要因を検出している。
軌道平行測度法は、このような時系列データに含まれる確率過程的要因だけでなく、時系列データの背後にある力学系が他の力学系に遷移した場合でも、その遷移をTPMの変化として捉えることができる。したがって、軌道平行測度法を用いて、時系列データの力学系の遷移を捉えることが期待されている。
特開2013−211002号公報 特開平10−134034号公報
藤本泰成、五百旗頭正、谷村隆義、「観測された時系列データの決定論的性質を測る軌道平行測度法」、日本ファジイ学会誌、1997年、Vol.9、No.4、pp580−588
しかしながら、軌道平行測度法は、確率過程的要因を鋭敏に捉えるので、確率過程的要因を捉えたTPMと力学系の遷移を捉えたTPMとの区別が困難であった。つまり、力学系の遷移を捉えたTPMが確率過程的要因を捉えたTPMに埋もれ、力学系の遷移を検出することが困難となるおそれがある。
上記事情に鑑み、本発明は、軌道平行測度法により力学系の遷移を検出する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の時系列データの解析方法は、時系列データを軌道平行測度法により解析する時系列データの解析方法であって、時系列データをn次元状態空間に埋め込み、埋め込まれた時系列データから選択されたデータベクトルにおける軌道の接線方向と、当該選択されたデータベクトルの近傍に埋め込まれた時系列データである近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との平行度を算出し、前記平行度に基づいて導出される軌道平行測度の時系列データの移動平均を算出し、移動平均処理された時系列データに基づいて、前記時系列データの解析を行うことを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の時系列データの異常監視装置は、評価対象から時系列データを取得する取得手段と、取得された時系列データをn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込み手段と、所定時間毎に埋め込まれた時系列データから選択されたデータベクトルとこのデータベクトルの近傍に埋め込まれた時系列データである近傍ベクトルにおいて、前記埋め込まれた時系列データの軌道の接線方向を演算する接線方向演算手段と、前記選択されたデータベクトルにおける軌道の接線方向と前記近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との平行度を算出する平行度算出手段と、前記平行度算出手段により算出された平行度に基づいて導出される軌道平行測度の時系列データの移動平均を算出する移動平均算出手段と、移動平均処理された時系列データに基づいて前記時系列データの評価を行う時系列データ評価手段と、備えたことを特徴としている。
以上の発明によれば、軌道平行測度法を用いて、時系列データにおける力学系の遷移を検出することができる。
本発明の第1実施形態に係る異常監視装置の概略図である。 本発明の第1実施形態に係る異常監視装置のデータ判定処理部の詳細を説明する図である。 解析対象の時系列データの一例を示す図である。 漏水が発生している場合の配水量を模擬した時系列データと漏水が発生していない場合の配水量を模擬した時系列データを示す図である。 図3の時系列データにおけるTPMの算出結果を示す図である。 図5の時系列データの移動平均処理(120時刻分)後の結果を示す図である。 電力供給量の時系列データ(5日)を示す図である。 図7の時系列データをアトラクタに埋め込んだ結果を示す図である。 図7の時系列データに対して移動平均処理(5時刻分)を行った後に、アトラクタに埋め込んだ結果を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る異常監視装置のデータ判定処理部の詳細を説明する図である。 (a)漏水が発生した場合の配水量を模擬した時系列データ(離散移動平均処理後)を示す図、(b)図11(a)に示した時系列データのTPMの推移を示す図である。 図11(b)の時系列データに対して移動平均処理を行った時系列データを示す図である。
本発明の実施形態に係る時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置、並びに、異常監視装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムについて、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る異常監視装置1は、監視・制御対象2から時系列データを取得し、監視・制御対象2の監視及び制御を行う。また、異常監視装置1には、出力装置3が接続され、監視・制御対象2の判定結果が出力装置3に出力される。
異常監視装置1は、データ収集部4、データ蓄積部5、データ判定処理部6を有する。データ収集部4は、監視・制御対象2から時系列データを検出し、検出した時系列データを取り込む。データ蓄積部5は、データ収集部4で取り込まれた時系列データを蓄積する。データ判定処理部6は、データ蓄積部5に蓄積された時系列データに異常が発生しているか否かの判定を行う。
監視・制御対象2は、例えば、回転機械系の回転軸、電力需要量若しくは水の需要量(配水量)等である。異常監視装置1には、軸振動の音データや振動データ等の時系列データ、電力需要量の時系列データ若しくは水の需要量の時系列データ等が送信される。
出力装置3は、例えば、ディスプレイやプリンタ等であり、異常監視装置1における時系列データの分析結果を出力する。
図2は、異常監視装置1のデータ判定処理部6の詳細を示す図である。図2を参照して、データ判定処理部6の各処理部の機能について詳細に説明する。
データ取得部7は、データ蓄積部5に蓄積された時系列データを、判定対象とする時系列データとして取得する。
埋め込み処理部8は、データ取得部7が取得した時系列データに対して、n次元状態空間(nは、正の整数)に埋め込み処理を行う。つまり、データ取得部7が取得した時系列データy(t)から、ベクトルXt=(y(t),y(t−τ),・・・,y(t−(n−1)τ))をつくる(τは遅れ時間)。このベクトルは、n次元再構成状態空間Rnの1点を示すこととなる。なお、次元nと遅れ時間τは、対象とするシステムに応じて予め設定される値である。
データベクトル選択部9は、埋め込み処理部8で埋め込まれた時系列データから、各時刻におけるデータ系列の現在時刻点を表す最先端のデータベクトルXiを選択する。なお、データベクトル選択部9は、前述した各時刻におけるデータ系列の現在時刻点を表す最先端のデータベクトルを選択することに限定されず、最先端から1つ手前、2つ手前、…、n個手前(nは正の整数)のデータベクトルを選択するようにしても良い。
近傍ベクトル検出部10は、データベクトル選択部9で選択されたデータベクトルXi近傍空間内の近傍ベクトルXjを検出する。
接線方向演算部11は、選択されたデータベクトルXi及び近傍ベクトルXjの軌道に対する単位接ベクトル(接線方向)TiとTjを演算する。
平行度評価部12は、接線方向演算部11で演算された各データベクトルXi,Xjにおける単位接ベクトルTi,Tjに基づいて平行度γi(単位接ベクトルTiとTjの平行度)を算出する。なお、実際に解析を行う場合には、統計的誤差を小さくするため平行度の平均値を求めることとなる。以後、求められた平行度(または、平行度の平均値)を軌道平行測度(TPM)と称する。
移動平均処理部13は、平行度評価部12で算出されたTPMの時系列データの移動平均を算出する。移動平均処理は、時系列データにおける平均値計算を、少しずつ期間をずらしながら行う方法であり、単純移動平均、加重移動平均、指数移動平均、三角移動平均等が知られている。時系列データの単純移動平均は、式(1)により算出することができる。
Figure 0006365146
移動平均処理を行う際に用いるデータの数(サンプル数m)は、対象となる時系列データによって適宜設定される。例えば、配水量の時系列データの解析を行う場合、配水量の時系列データは、一日を周期とする基本周期を有するものの、平日と休日の時系列データが異なる傾向がある。よって、1週間分(168点)または2週間分(336点)のサンプル数mを目安に移動平均が算出される。これは、サンプル数mが時系列データが有する基本周期以上となるように選択することで、基本周期の特徴を残しつつ、確率過程的要因の除去が期待できるためである。すなわち、配水量の時系列データでは、24時間周期(基本周期)の他に、週周期や月周期を有する場合があるので、この週周期や月周期の特徴の変動の影響を低減する目的でサンプル数mが選択される。また、回転機のような基本周期の他に周期を有さない場合は、例えば、基本周期の5倍程度のサンプル数mで移動平均が算出される。なお、基本周期は、時系列データの自己相関に基づく方法等により算出することができる。移動平均処理後のTPMの時系列データは、平行度判定部14に送信される。
平行度判定部14は、移動平均処理部13で移動平均処理されたTPMの変化に基づいて、時系列データの異常(例えば、異常の進行度に応じた力学系の遷移)を検出する。
現在時刻点更新部15は、平行度判定部14によって、ある時刻におけるデータベクトルにおける時系列データの評価が行われる毎に、データベクトルXiを選択するための基準となる現在時刻点の更新を行う。
蓄積データ更新部16は、データ蓄積部5の蓄積データを適正量に維持するため、異常検知への寄与度が低いデータをデータ蓄積部5から削除する(分析対象から除外する)。例えば、蓄積データ更新部16は、設定期間以上経過したデータをデータ蓄積部5から削除する。これは、時系列データの中で古いデータは異常検知への寄与度が低いためである。
[時系列データの解析方法]
次に、異常監視装置1による時系列データの処理手順について説明する。
<ステップS1>データ収集部4が、時系列データを取り込む。なお、通常の異常監視装置1では、データ収集部4は、監視・制御対象2からの時系列データを検出し、検出した時系列データを取り込む。
<ステップS2>データ蓄積部5が、データ収集部4により取り込まれた時系列データを蓄積する。
<ステップS3>データ取得部7が、データ蓄積部5に蓄積された時系列データを取得する。
<ステップS4>埋め込み処理部8が、データ取得部7が取得した時系列データに対してn次元状態空間に埋め込み処理を行う。
<ステップS5>データベクトル選択部9が、埋め込み処理部8により埋め込まれた時系列データから各時刻におけるデータ系列の現在時刻点を表す最先端のデータベクトルを選択する。
<ステップS6>近傍ベクトル検出部10が、データベクトル選択部9により選択されたデータベクトル近傍空間内の近傍ベクトルを検出する。
<ステップS7>接線方向演算部11が、データベクトル選択部9により選択されたデータベクトルと、近傍ベクトル検出部10により検出された近傍ベクトルにおける、埋め込まれた後の時系列データの軌道の接線方向を演算する。選択されたデータベクトルの接線方向は、例えば、選択されたデータベクトルと、このデータベクトルに隣接するデータベクトル等の連続する3つデータベクトルを選択し、この3つのデータベクトルを点と同一視することで、3点のデータベクトルを通る円の選択されたデータベクトルにおける接線として算出する。
<ステップS8>平行度評価部12が、データベクトル選択部9により選択されたデータベクトルにおける軌道の接線方向と、近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との軌道平行測度(TPM)を算出する。なお、TPMは、接線方向の向きが揃っているほど0となる。
<ステップS9>移動平均処理部13が、平行度評価部12により算出されたTPMの時系列データの移動平均処理を行う。
<ステップS10>平行度判定部14が、移動平均処理部13で算出されTPMの時系列データに基づいて、時系列データの評価を行う。なお、平行度判定部14は、従来の時系列データの評価方法を併せて行ってもよい。例えば、TPMに閾値を設定し、TPMと閾値とを比較して時系列データの異常が判定される。
<ステップS11>現在時刻点更新部15が、平行度判定部14によってある時刻におけるデータベクトルにおける時系列データの評価が行われる毎に、埋め込み処理部8により埋め込まれた時系列データの現在時刻点を更新する。
<ステップS12>蓄積データ更新部16が、データ蓄積部5に蓄積された時系列データから、設定期間以上経過したデータを削除する。
なお、現在時刻点更新部15及び蓄積データ更新部16の処理動作では、ステップS11及びステップS12の処理と併せて、新たな時系列データの取得や参照する時系列データ範囲の定義や時系列データの埋め込み処理が行われる。
[実施例1]
本発明の実施形態に係る時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置1について、具体的な実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
実施例1では、図3に示す時系列データを軌道平行測度法(ステップS4乃至ステップS10の手順)により解析した。図3の時系列データは、水処理場の配水量データを模擬したデータであり、時刻721において漏水が発生しているデータである。また、時刻483時において、局所的なノイズ(元のデータに対して50%の値のノイズ)を加えた時系列データである。
水処理場の配水量データは、図4に示すような1日単位の基本周期を有する時系列データである。漏水が発生すると、漏水が発生していない場合と比較して、午前中の配水量に差異が現れることが知られている。そこで、漏水が発生していない時系列データに、0時から6時までの間、最大負荷の4%を漏水量として加算した時系列データを、漏水が発生した場合の配水量を模擬する時系列データとして用いた。
つまり、図3の時系列データは、時刻721以前は、漏水が発生していない時系列データ(図4の実線に示す時系列データを基本周期とする時系列データ)に微量の確率過程的要因に基づくノイズを重畳した時系列データであり、時刻721以後は、漏水が発生した時系列データ(図4の点線で示す時系列データを基本周期とする時系列データ)に微量の確率過程的要因に基づくノイズを重畳した時系列データである。なお、確率過程的要因に基づくノイズは時系列データに一様に重畳される乱数ノイズであり、実際の配水量データにおける需要動向の変化による変動を模擬している。
図3の時系列データをアトラクタ(埋め込み次元n=4、遅れ時間τ=6、近傍数5)に埋め込み、TPMを算出した(ステップS5乃至ステップS8)。TPMの算出結果を図5に示す。
図5に示すように、漏水発生時にTPMの上昇が認められ、漏水の発生をTPMの上昇に基づいて検出できることがわかる。しかしながら、短期的な確率過程的要因に基づくノイズ(時刻483時に加えたノイズ)を捉えたTPMが最も高くなっており、漏水期間中のTPMの上昇が確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの上昇に埋もれてしまっている。つまり、確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの上昇と漏水の発生(力学系の遷移)を捉えたTPMの上昇の分離が困難であり、単純な閾値判定では、漏水の発生を検出することができない。
そこで、図5に示したTPMの時系列データの移動平均を算出した。移動平均は、120時刻分のサンプルの平均をとることにより算出した。移動平均処理後のTPMの時系列データを図6に示す。
図6に示すように、短期的な確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの値は、移動平均処理によって平均化され低い値となった。これに対して、漏水期間を捉えたTPMの値は平均化されて低くなるものの、確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMと比較して低くなる度合いが異なり、比較的高い値を示した。
以上のような本発明の第1実施形態に係る時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置1によれば、短期的な確率過程的要因を捉えたTPMに埋もれることなく、時系列データの背後にある力学系の遷移を検出することができる。
すなわち、TPMの時系列データに対して移動平均処理を行うことで、確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの影響を低減し、長期的な力学系の遷移状態を捉えたTPMを検出することができる。
つまり、時系列データの背後にある力学系が他の力学系に遷移し、その後の遷移状態が長期的に継続したならば、この遷移を捉えたTPMの値も一定の期間は継続して高い値を示すものと考えられる。よって、TPMの移動平均処理を行った場合、移動平均処理後のTPMも高い値を保持するものと考えられる。これに対して、短期的な確率過程的要因を捉えたTPMは、移動平均化処理を行うことで鈍らされ、低い値となるものと考えられる。
また、算出されたTPMの時系列データの移動平均を算出することで、時系列データに含まれる確率過程的要因に基づくノイズの影響を低減するだけでなく、軌道平行測度法による解析方法により発生するノイズを低減することができる。つまり、軌道平行測度法では、基準となるデータベクトルと近傍ベクトルとの平行度に基づいて、時系列データの評価を行うので、異なる軌道のデータベクトルを近傍ベクトルとして選択する等の理由により一定の割合でノイズが含まれることとなるが、TPMの時系列データの移動平均をとることで、その影響を低減することができる。
なお、解析対象となる時系列データの移動平均をとった後、軌道平行測度法に基づいて解析することで、時系列データの確率過程的要因に基づくノイズを除去することができるものと考えられる。しかしながら、解析対象となる時系列データの移動平均を算出すると、元の時系列データの基本的な特徴も損なわれるおそれがある。例えば、図7に示す電力需要量の時系列データ(5日分)を再構成(n=3,τ=5)すると、図8に示すアトラクタが描かれる。これに対して、図7の時系列データを単純移動平均処理した時系列データを再構成(n=3,τ=5)すると、図9に示すアトラクタが描かれる。図9から明らかなように、単純移動平均処理を行うことにより、単純移動平均処理を行っていないアトラクタ(図8)とは異なる形状(より単純な形状)となることがわかる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置について、図10を参照して詳細に説明する。第2実施形態に係る異常監視装置は、データ取得部7が取得した時系列データに対して離散移動平均処理を行った後、埋め込み処理部8がn次元状態空間に埋め込み処理を行うことが第1実施形態に係る異常監視装置1と異なるものである。よって、第1実施形態に係る異常監視装置1と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る異常監視装置のデータ判定処理部6’の詳細を示す図である。
データ判定処理部6’は、第1実施形態に係る異常監視装置1のデータ判定処理部6が有する各処理部(データ取得部7、埋め込み処理部8、データベクトル選択部9、近傍ベクトル検出部10、接線方向演算部11、平行度評価部12、移動平均処理部13、平行度判定部14、現在時刻点更新部15、及び蓄積データ更新部16)に加え、離散移動平均処理部17を有する。
離散移動平均処理部17は、データ取得部7で取得された時系列データの離散移動平均を算出し、離散移動平均された時系列データを出力する。離散移動平均は、所定の間隔離れた離散点を用いた平均化処理であり、式(2)に基づいて算出することができる。
Figure 0006365146
離散移動平均処理部17では、例えば、取得した時系列データの自己相関に基づいて時系列データの基本周期を算出し、この基本周期を離散間隔dとして時系列データの離散移動平均を出力する。また、解析する時系列データの基本周期が予め予測できる場合には、その基本周期を離散間隔dとして用いることもできる。具体的に説明すると、時系列データが電力需要量である場合、電力需要量は、平日や祝祭日、季節等の違いにより変動があるものの、基本的には日単位の周期波形(基本周期)を有するため、離散間隔dを1日(24時間)と設定することができる。また、離散移動平均をとるために抽出する時系列データの数(サンプル数m)は、解析対象となる時系列データによって適宜設定されるものである。例えば、時系列データが電力需要量の場合は、平日の時系列データと休日の時系列データとが異なる場合が多いので、平日の時系列データと休日の時系列データと差異が現れないように、1〜2週間分(すなわち、基本周期を1日とした場合には、7〜14個)のサンプルを用いて離散移動平均が算出される。
[時系列データの解析方法]
次に、第2実施形態に係る異常監視装置による時系列データの処理手順について説明する。
まず、第1実施形態の<ステップS1>乃至<ステップS3>と同じ処理手順を行い、監視対象となる時系列データを取得する。
次に、離散移動平均処理部17が、取得された時系列データの基本周期を算出し、算出された基本周期離れた離散点の移動平均を算出する。離散移動平均処理された時系列データは、埋め込み処理部8に送信される。
そして、第1実施形態の<ステップS4>乃至<ステップS12>と同じ処理手順を行い、時系列データの評価を行う。
[実施例2]
図11(a)に示す漏水を模擬した水処理場の配水量データ(離散移動平均処理された時系列データ)の解析を行う例を示して、第2実施形態に係る異常監視装置及び時系列データの解析方法についてさらに詳細に説明する。
図11(a)の時系列データは、漏水の発生を模擬した時系列データ(詳細は、図3の時系列データの説明と同様である)に局所的なノイズ(時刻482及び時刻506時)を重畳した時系列データに対して離散移動平均処理を行った時系列データである。この時系列データのTPMの推移を求めると図11(b)の時系列データが得られた。
図11(b)に示すように、離散移動平均処理を行うことにより、時系列データに一律に重畳させた確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの値が抑えられ、漏水の影響(力学系の遷移)を捉えたTPMの増加を把握することができる。
しかしながら、図11(b)から明らかなように、漏水発生前の局所的なノイズの影響を捉えたTPMが最も高くなっており、単純な閾値設定では漏水現象の検知が困難となる可能性がある。つまり、離散移動平均処理を行った場合においても、局所的なノイズを除去しきれない場合があり、確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの上昇を力学系の遷移として検出するおそれがある。
そこで、第2実施形態に係る異常監視装置では、得られたTPMの時系列データに対して、単純移動平均処理(例えば、120時刻分)を行った。単純移動平均処理後のTPMの時系列データを図12に示す。
図12に示すように、単純移動平均処理後のTPMの時系列データでは、局所的ノイズを捉えたTPMが平滑化され、漏水期間中の特徴(TPMの上昇)を抽出できることがわかる。
なお、離散移動平均処理では、漏水発生期間からしばらく経過した後に、TPMの上昇が確認されているが、これは離散移動平均をとることに起因するものである。つまり、漏水発生直後の時系列データでは、漏水発生前の時系列データとの離散移動平均をとるため、漏水発生前の時系列データの特徴の影響を受けることとなる。その結果、漏水発生直後においては、漏水発生後の時系列データの特徴を捉えられないものと考えられる。
以上のような本発明の第2実施形態に係る時系列データの解析方法及び時系列データの異常監視装置によれば、予め解析対象となる時系列データに対して離散移動平均処理を行うことで、確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの上昇を抑制することができる。
そして、TPMの時系列データに対して移動平均処理を行うことで、離散移動平均処理において除去しきれなかった確率過程的要因に基づくノイズ(例えば、局所的なノイズ)を捉えたTPMの上昇や軌道平行測度法の解析時のノイズであるTPMの上昇をさらに抑制することができる。
その結果、連続的にTPMの上昇が観測される力学系の遷移を捉えたTPMの上昇をより的確に検出することができる。また、確率過程的要因に基づくノイズを捉えたTPMの上昇を抑制することで、力学系の遷移を捉えたTPMを閾値判定する際の閾値判定精度が向上する。
なお、上記のように構成された第1実施形態または第2実施形態に係る異常監視装置及び異常監視装置のデータ判定処理部6,6’は、例えば、ROM、RAM、CPU等で構成されるコンピュータに所定のプログラムが読み込まれて、CPUがそのプログラムを実行することで実現されるものである。また、各手段は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよいし、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
上記装置及び処理部における処理手段をコンピュータによって実現する場合、装置及び処理部が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、装置及び処理部における処理手段がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の記録媒体が例示される。具体的には、例えば、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等の磁気記録装置や、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等の光ディスクや、MO(Magneto Optical disc)等の光磁気記録媒体や、フラッシュメモリー等の半導体メモリを用いることができる。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を流通することによって行う。さらに、ネットワークを介して、このプログラムをサーバコンピュータから他のコンピュータに転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
また、本発明の時系列データの解析方法や時系列データの異常監視装置は、実施形態に記載された用途に限定されるものではなく、様々な時系列データの解析に用いることができる。例えば、電力需要量や水の需要量の他に、太陽光発電装置の発電量の時系列データ、製造設備や動力系の回転設備の時系列データ等の解析に用いることができる。また、劣化の進行に応じて異常状態が変わる(すなわち、異常の進行度に応じて力学系が遷移する)時系列データの解析を行うことで、劣化の進行に応じた異常状態を検出することができる。
また、実施形態の説明では、移動平均処理及び離散移動平均処理では、単純移動平均処理を行っているが、加重移動平均、指数移動平均、三角移動平均等を用いて移動平均を算出することもできる。ただし、時系列データを均等に評価する(すなわち、力学系に対する影響を抑制して時系列データを評価する)点では、単純移動平均処理が好ましい。
また、本発明の時系列データの異常監視装置において、力学系の遷移を捉えたTPMの増加に閾値を設定し、閾値を超えた場合に警告を出力する構成とすることができる。
1…異常監視装置
2…監視・制御対象
3…出力装置
4…データ収集部
5…データ蓄積部
6,6’…データ判定処理部
7…データ取得部(取得手段)
8…埋め込み処理部(埋め込み手段)
9…データベクトル選択部
10…近傍ベクトル検出部
11…接線方向演算部(接線方向演算手段)
12…平行度評価部(平行度算出手段)
13…移動平均処理部(移動平均算出手段)
14…平行度判定部(時系列データ評価手段)
15…現在時刻点更新部
16…蓄積データ更新部
17…離散移動平均処理部

Claims (3)

  1. コンピュータが実行する時系列データを軌道平行測度法により解析する時系列データの解析方法であって、
    前記コンピュータが、
    時系列データをn次元状態空間に埋め込み、埋め込まれた時系列データから選択されたデータベクトルにおける軌道の接線方向と、当該選択されたデータベクトルの近傍に埋め込まれた時系列データである近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との平行度を算出するステップと
    解析対象である時系列データが有する基本周期以上となるサンプル数で、前記平行度に基づいて導出される軌道平行測度の時系列データの移動平均を算出し、移動平均処理された時系列データに基づいて、前記時系列データの解析を行うステップと、を実行する
    ことを特徴とする時系列データの解析方法。
  2. 評価対象から時系列データを取得する取得手段と、
    取得された時系列データをn次元状態空間に埋め込み処理を行う埋め込み手段と、
    所定時間毎に埋め込まれた時系列データから選択されたデータベクトルとこのデータベクトルの近傍に埋め込まれた時系列データである近傍ベクトルにおいて、前記埋め込まれた時系列データの軌道の接線方向を演算する接線方向演算手段と、
    前記選択されたデータベクトルにおける軌道の接線方向と前記近傍ベクトルにおける軌道の接線方向との平行度を算出する平行度算出手段と、
    前記取得手段で取得された時系列データが有する基本周期以上のサンプル数で、前記平行度算出手段により算出された平行度に基づいて導出される軌道平行測度の時系列データの移動平均を算出する移動平均算出手段と、
    移動平均処理された時系列データに基づいて前記時系列データの評価を行う時系列データ評価手段と、を備えた
    ことを特徴とする時系列データの異常監視装置。
  3. コンピュータを請求項2に記載の時系列データの異常監視装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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