JP2016056311A - エポキシ樹脂硬化物、注型品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物及び注型品の提供。【解決手段】式(1)で表される分子鎖を備えるエポキシ樹脂硬化物。また、実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、2官能のエポキシ化合物(A)及びエポキシ化リグニン(B)を含有する樹脂組成物の硬化物。[nは5〜100の数]【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、エポキシ樹脂硬化物、注型品及びその製造方法に関する。
電力機器や受配電機器には、モールドバルブ、支持碍子やモールドコイル等、金属導体を絶縁材料でモールドした注型品が用いられる。このような注型品の製造方法としては、成形型内に金属導体を位置させ、次いで成形型内に絶縁材料となる樹脂組成物を注入し、注入した樹脂組成物を硬化する方法が挙げられる。
電力機器や受配電機器は、運転されることで発熱する。このため、注型品に用いられる絶縁材料には、E種、B種、F種等の耐熱クラスが定められている。E種の耐熱温度(許容最高温度)は120℃である。B種の耐熱温度は130℃であり、F種の耐熱温度は150℃である。
耐熱性を有する絶縁材料としては、エポキシ樹脂硬化物が知られている。エポキシ樹脂硬化物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物と酸無水物等の硬化剤とを含む樹脂組成物が硬化されたエポキシ樹脂硬化物、が知られている。
エポキシ樹脂硬化物の耐熱性の指標は、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度である。ビスフェノールA型エポキシ化合物が硬化された硬化物のガラス転移温度は、140℃程度である。
エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度を高めて、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性を高める技術としては、前記の樹脂組成物に下記一般式(10)で表されるフェノールノボラック型多官能エポキシ化合物を加える技術が知られている。この技術によれば、エポキシ樹脂硬化物中の架橋密度が高められ、エポキシ分子鎖の運動が抑制されることで、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度が高められる。
Figure 2016056311
[(10)式中、mは繰り返し数を表す数である。]
一般に、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物の粘度は、ビスフェノールA型エポキシ化合物の粘度に比べて高い。このため、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物が添加された樹脂組成物は、高い粘度となる。
高い粘度の樹脂組成物を用いて注型品を製造すると、成形型内に樹脂組成物を注入した際に、コイル線間等の微細な空間への樹脂組成物の進入が妨げられる場合があった。また、高い粘度の樹脂組成物を用いて注型品を製造すると、注型品にボイドが発生し、注型品の絶縁破壊を生じる可能性があった。
特開平1−158755号公報
本発明が解決しようとする課題は、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂硬化物及び注型品を提供することにある。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、下記一般式(1)で表される分子鎖を持つ。
Figure 2016056311
[(1)式中、nは5〜100の数である。]
実施形態のエポキシ樹脂硬化物の概念図。 実施形態のエポキシ樹脂硬化物の製造方法を示すフロー図。 実施形態のモールドバルブを示す断面図。 実施形態のモールドトランスを示す断面図である。 フェノールノボラック型多官能エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂硬化物の概念図。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、下記一般式(1)で表される分子鎖を備える。
Figure 2016056311
[(1)式中、nは5〜100の数である。]
図1は、実施形態のエポキシ樹脂硬化物の概念図である。
図1に示すように、実施形態のエポキシ樹脂硬化物においては、エポキシ樹脂の分子鎖α(以下、単に分子鎖αということがある)同士が(1)式で表される分子鎖β(以下、単に分子鎖βということがある)を介して架橋している、と考えられる。
前記(1)式中、nは、5〜100の数であり、10〜50が好ましく、10〜20がより好ましい。nが上記下限値以上であれば、エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度がより高まる。nが上記上限値以下であれば、分子鎖βが大きくなりすぎず、分子鎖αが偏在しにくくなる。このため、エポキシ樹脂硬化物の機械強度がより高まる。
分子鎖βの重量平均分子量は、特に限定されず、例えば、200〜10000が好ましく、1000〜2000がより好ましい。分子鎖βの重量平均分子量が上記下限値以上であれば、エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度がより高まる。分子鎖βの重量平均分子量が上記上限値以下であれば、分子鎖βが大きくなりすぎず、分子鎖αが偏在しにくくなる。このため、エポキシ樹脂硬化物の機械強度がより高まる。
分子鎖αは、2官能のエポキシ化合物の重合体(エポキシ樹脂)である。
分子鎖αは、2官能のエポキシ化合物の重合体であればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物等のエポキシ化合物の重合体が挙げられる。分子鎖αは、1種のエポキシ化合物の重合体でもよいし、2種以上のエポキシ化合物の重合体でもよい。
分子鎖αの重量平均分子量は、特に限定されず、例えば、10万以上が好ましい。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、フィラー、カップリング剤、消泡剤等を含有してもよい。
フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、酸化チタン、ムライト等の無機フィラー;スチレン−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム等の有機フィラーが挙げられ、中でも、無機フィラーが好ましい。エポキシ樹脂硬化物は、無機フィラーを含有することで、線膨張係数が低減され、耐熱性がさらに高められる。これらのフィラーは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
エポキシ樹脂硬化物中のフィラーの含有量は、フィラーの種類や、エポキシ樹脂硬化物に求められる耐熱性等を勘案して、適宜決定される。
カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドオキシ−プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン等のシランカップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミニウム系カップリング剤が挙げられる。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度は、150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度が上記下限値以上であれば、エポキシ樹脂硬化物は、F種の耐熱クラスの絶縁部材に用いられることが可能となる。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物の架橋密度は、2.3mol/m以上が好ましく、2.5〜3.5mol/mがより好ましい。架橋密度が上記下限値以上であれば、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度がより高まる。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、スイッチギア用の絶縁部材等、電力機器や受配電機器に用いられる絶縁部材の絶縁材料として好適に用いられる。
次に、実施形態のエポキシ樹脂硬化物の製造方法を説明する。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物の製造方法は、2官能のエポキシ化合物(A)(以下、(A)成分ということがある)及びエポキシ化リグニン(B)(以下、(B)成分ということがある)とを含有する樹脂組成物、を硬化する操作を備える。即ち、実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、(A)〜(B)成分を含有する樹脂組成物の硬化物である。通常、樹脂組成物は、硬化剤(C)(以下、(C)成分ということがある)を含有する。
図2は、実施形態のエポキシ樹脂硬化物の製造方法の一例を示すフロー図である。
図2に示すように、本実施形態のエポキシ樹脂硬化物の製造方法は、組成物調製工程10と成形工程20とを備える。本実施形態においては、成形工程20が「樹脂組成物を硬化する操作」を含む。
実施形態の組成物調製工程10は、(A)〜(C)成分と任意成分とを混合して、樹脂組成物を得る工程である。
(A)成分と(B)成分と(C)成分と任意成分との混合方法としては、特に限定されず、例えば、(A)成分と(B)成分と(C)成分と任意成分とを混合機内に仕込み、これを混合機で混合する方法が挙げられる。
また、(A)成分と(B)成分と(C)成分と任意成分との混合方法としては、(A)成分と(B)成分とを混合して混合物とし、この混合物に(C)成分と任意成分とを分散する方法が挙げられる。
(A)成分は、2官能のエポキシ化合物である。
(A)成分としては、2官能のエポキシ化合物であればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物等のエポキシ化合物が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。なお、エポキシ化合物は、モノマーでもよく、オリゴマーでもよい。
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、(A)成分の種類や、エポキシ樹脂硬化物に求められる機械強度等を勘案して決定され、例えば、30〜60質量%が好ましく、35〜55質量%がより好ましい。
(B)成分は、リグニンがエポキシ化されたエポキシ化リグニンである。
(B)成分は、下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2016056311
一般式(2)中のn1は、一般式(1)中のnと同様である。
(B)成分の重量平均分子量は、特に限定されず、例えば、200〜10000が好ましく、1000〜2000がより好ましい。(B)成分の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度がより高まる。(B)成分の重量平均分子量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の粘度の過剰な増大が抑制されやすい。加えて、(B)成分の重量平均分子量が上記上限値以下であれば、(B)成分と(A)成分との相溶性が高まる。
(B)成分の製造方法としては、従来公知の方法が挙げられる。
以下に、(B)成分の製造方法の一例を説明する。
本実施形態の(B)成分の製造方法は、リグニンをエポキシ化する工程(エポキシ化工程)を備える。即ち、エポキシ化工程は、リグニンにエポキシ基を導入する工程である。
リグニンにエポキシ基を導入する方法としては、例えば、アルカリ性条件下で、リグニンとグリシジル化剤とを反応させる方法が挙げられる。
以下に、リグニンとグリシジル化剤とを反応させる方法を説明する。
まず、リグニンをグリシジル化剤に分散して、リグニン分散液を得る。得られたリグニン分散液を減圧下、55℃〜60℃で還流する。リグニン分散液を還流しつつ、リグニン分散液にアルカリ溶液を滴下して、任意の量のアルカリ溶液をリグニン分散液に加える。これにより、リグニンはエポキシ化されて、(B)成分とされる。その後、(B)成分が分散した分散液に遠心分離処理を施し、上澄み液を濃縮して濃縮液を得る。得られた濃縮液をシクロヘキサン等の有機溶媒中に滴下し、沈殿した(B)成分を得る。
リグニンとしては、例えば、ソーダリグニン、オルガノソルブリグニン、リグノスルホン酸、ソルボリシスリグニン、爆砕リグニン、糸状菌処理木材、硫酸リグニン、ジオキサンリグニン及びミルドウッドリグニン等が挙げられ、中でも、爆砕リグニン、オルガノソルブリグニン、ソーダリグニンが好ましい。
グリシジル化剤としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリン、β−エチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。
樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。樹脂組成物中の(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、得られるエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度がより高まりやすい。樹脂組成物中の(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、エポキシ樹脂硬化物の機械硬度がより高まりやすい。
(C)成分は硬化剤である。
(C)成分は、従来、エポキシ化合物の硬化剤として用いられるものであればよい。(C)成分としては、例えば、酸無水物、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール系硬化剤、ルイス酸系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等が挙げられる。中でも、(C)成分としては、酸無水物が好ましい。酸無水物は、(B)成分のエポキシ基と反応しやすい。このため、(C)成分を含有する樹脂組成物が硬化されると、(B)成分のエポキシ基を介して、分子鎖αと分子鎖βとが架橋しやすくなる。
酸無水物としては、例えば、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロへキセンジカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水ポリアゼライン酸、水素化メチルナジック酸無水物等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、ジプロプレンジアミン、ポリエーテルジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチル)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミン、トリ(メチルアミノ)へキサン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロへキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等が挙げられる。
ポリメルカプタン系硬化剤としては、例えば、ポリサルファイド、チオエステル等が挙げられる。
樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、(C)成分の種類等を勘案して決定され、例えば、(A)成分100質量部に対して30〜140質量部が好ましく、60〜100質量部がより好ましい。
樹脂組成物中、(B)成分/[(A)成分+(C)成分]で表される質量比(B/(A+C)比)は、例えば、0.005〜0.22が好ましく、0.027〜0.12がより好ましい。B/(A+C)比が上記下限値以上であれば、得られるエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度がより高まりやすい。B/(A+C)比が上記上限値以下であれば、エポキシ樹脂硬化物の機械硬度がより高まりやすい。
任意成分は、必要に応じて適宜配合されるものである。従って、本実施形態において、樹脂組成物は、任意成分を含有しなくてもよい。
任意成分としては、例えば、硬化促進剤、フィラー、カップリング剤、消泡剤等が挙げられる。
硬化促進剤としては、例えば、三級アミン又はその塩、四級アンモニウム化合物、イミダゾール、アルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。
樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、硬化促進剤の種類等を勘案して決定される。
樹脂組成物は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、(A)成分以外のエポキシ化合物(任意エポキシ化合物)を含有してもよい。任意エポキシ化合物としては、1分子中に3つ以上の官能基を有するエポキシ化合物が挙げられる。1分子中に3つ以上の官能基を有するエポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物等が挙げられる。
樹脂組成物中の任意エポキシ化合物の含有量は、例えば、(A)成分100質量部に対して20質量部以下が好ましい。樹脂組成物中の任意エポキシ化合物の含有量が上記上限値超では、樹脂組成物の粘度が高まり、後述する成形工程において、エポキシ樹脂組成物中にボイドが生じるおそれがある。
実施形態の成形工程20は、エポキシ樹脂硬化物を得る工程である。
以下、成形工程20について、注型品の成形方法を例にして説明する。
実施形態の注型品としては、例えば、モールドバルブ、モールドトランス、モールドコイル等、金属導体がエポキシ樹脂硬化物でモールドされたものが挙げられる。
注型品の成形方法は、成形型のキャビティ内に金属導体を位置させ、キャビティ内に実施形態の樹脂組成物を注入し、注入した樹脂組成物を硬化する方法である。
以下に、実施形態の注型品の一例であるモールドバルブについて説明する。
図3は、スイッチギアに用いられるモールドバルブを示す断面図である。図3のモールドバルブ50は、真空バルブ56と、真空バルブ56を覆う絶縁部58とを備える。絶縁部58は、実施形態のエポキシ樹脂硬化物である。真空バルブ56は、固定側導体51と、可動側導体52と、端板53,54と、絶縁筒55とを備える。
電流が流される固定側導体51及び可動側導体52は、絶縁部58によって、スイッチギアに備えられた他の部材(図示せず)との間を絶縁されている。即ち、モールドバルブ50は、金属導体である固定側導体51及び可動側導体52が、エポキシ樹脂硬化物でモールドされたものである。
モールドバルブ50の製造方法における成形工程を説明する。成形型のキャビティ内に真空バルブ56を位置させる。次いで、キャビティ内に、実施形態の樹脂組成物を注入する。この際、実施形態の樹脂組成物の粘度が低いため、注入された樹脂組成物には、ボイドが生じにくい。
注入された樹脂組成物を任意の温度で加熱する。樹脂組成物は、加熱されると硬化して、エポキシ樹脂硬化物となる。こうして、真空バルブ56は、エポキシ樹脂硬化物でモールドされて、モールドバルブ50となる。モールドバルブ50は、成形型から取り出される。
キャビティ内に注入された樹脂組成物に対する加熱温度(硬化温度)は、モールドバルブ50の大きさ等を勘案して決定され、例えば、80〜140℃とされる。
以下に、実施形態の注型品の一例であるモールドトランスについて説明する。
図4は、モールドトランスを示す断面図である。図4のモールドトランス60は、コイル62と、コイル62を覆う絶縁部64とを備える。絶縁部64は、実施形態のエポキシ樹脂硬化物である。
コイル62は、絶縁フィルムや絶縁塗料等で被覆された導線が捲回されたものである。コイル62を構成する導線の端部66,66は、絶縁部64の外部に露出している。
電流が流されるコイル62は、絶縁部64によって、外部との間を絶縁されている。即ち、モールドトランス60は、金属導体であるコイル62がエポキシ樹脂硬化物でモールドされたものである。
モールドトランス60の製造方法における成形工程を説明する。成形型のキャビティ内にコイル62を位置させる。次いで、キャビティ内に、実施形態の樹脂組成物を注入する。この際、実施形態の樹脂組成物の粘度が低いため、注入された樹脂組成物には、ボイドが生じにくい。加えて、実施形態の樹脂組成物の粘度が低いため、注入された樹脂組成物は、コイル62の層間に容易に進入できる。
注入された樹脂組成物を任意の温度で加熱する。樹脂組成物は、加熱されると硬化して、エポキシ樹脂硬化物となる。こうして、コイル62は、エポキシ樹脂硬化物でモールドされて、モールドトランス60となる。モールドトランス60は、成形型から取り出される。
キャビティ内に注入された樹脂組成物に対する加熱温度(硬化温度)は、モールドトランス60の大きさ等を勘案して決定され、例えば、80〜140℃とされる。
実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、分子鎖βを備える。このため、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度がより高められ、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性がより高められる。実施形態のエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度が高められる理由は、次のように推測される。
図5は、フェノールノボラック型多官能エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂硬化物の概念図である。
図5に示すように、フェノールノボラック型多官能エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂硬化物において、エポキシ樹脂の分子鎖αは、フェノールノボラック型多官能エポキシ樹脂の分子鎖γを介して架橋されている、と考えられる。ここで、分子鎖γは、比較的剛直であるため、分子鎖αと反応できなかったエポキシ基が分子鎖γ中に残留しやすい。このため、フェノールノボラック型多官能エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂硬化物は、分子鎖α同士の架橋密度のさらなる向上が妨げられる。
一般式(2)に示すように、(B)成分は、各構成単位同士がエーテル結合で連結されたものである。このため、(B)成分は、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物に比べて柔軟である。
実施形態のエポキシ樹脂組成物を硬化すると、(B)成分のエポキシ基の全てが分子鎖αと反応しやすい(図1参照)。このため、実施形態のエポキシ樹脂硬化物は、分子鎖α同士が近接して、架橋密度がさらに高められる。この結果、実施形態のエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度が高まる。
実施形態の注型品は、金属導体が実施形態のエポキシ樹脂硬化物でモールドされたものである。このため、実施形態の注型品は、優れた耐熱性と優れた絶縁性とを備える。
実施形態の樹脂組成物は、(B)成分を含有するため、優れた流動性を備える。このため、実施形態の注型品には、ボイドが少なく、実施形態の注型品は、絶縁破壊を生じにくい。
(使用原料)
<(A)成分:エポキシ化合物>
ビスフェノールA型エポキシ化合物:jEP828(商品名)、三菱化学株式会社製。
<(B)成分:エポキシ化リグニン>
エポキシ化リグニン:下記製造方法により製造されたもの。重量平均分子量=1000。
<エポキシ化リグニンの製造方法>
ソーダリグニン20gと、エピクロロヒドリン250mLとをセパラブルフラスコに入れた。セパラブルフラスコ内で、ソーダリグニンをエピクロロヒドリンに分散して、分散液とした。セパラブルフラスコ内を1.33×10−2MPaとし、分散液を55〜60℃で還流させた。分散液を還流させつつ、分散液に20質量%水酸化ナトリウム水溶液1.25gを滴下して、分散液に20質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えた。20質量%水酸化ナトリウム水溶液が添加された分散液を、55〜60℃で1時間30分間、還流した。その後、分散液に遠心分離処理を施して、分散液から上澄み液を得た。得られた上澄み液を減圧エバポレータで濃縮して、濃縮液を得た。得られた濃縮液をシクロヘキサンに滴下した。その後、濃縮液が滴下されたシクロヘキサンに遠心分離処理を施し、(B)成分の沈殿物を回収した。
<(B’)成分:(B)成分の比較品>
フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物:RE−305(商品名)、日本化薬株式会社製。
<(C)成分:硬化剤>
水酸化メチルナジック酸無水物。
<任意成分>
硬化促進剤:M2−100(商品名、日油株式会社製)。
(実施例1)
図2に示すフロー図に従い、注型品を製造した。
(A)成分100質量部と、(B)成分16質量部と、(C)成分90質量部と、硬化促進剤1質量部とを攪拌装置に入れ、(A)〜(C)成分及び硬化促進剤を混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を成形型のキャビティ内に注入した。キャビティ内に注入された樹脂組成物を120℃に加熱して樹脂組成物を硬化し、エポキシ樹脂硬化物を得た。得られたエポキシ樹脂硬化物は、100mm×4mm×1mmの直方体である。
得られたエポキシ樹脂硬化物について、架橋密度とガラス転移温度とを求めた。架橋密度とガラス転移温度とを表1中に示す。
(比較例1)
(B)成分16質量部を(B’)成分16質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を得た。
得られたエポキシ樹脂硬化物について、架橋密度とガラス転移温度とを求めた。架橋密度とガラス転移温度とを表1中に示す。
(比較例2)
(B)成分16質量部を配合せずに樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を得た。
得られたエポキシ樹脂硬化物について、架橋密度とガラス転移温度とを求めた。架橋密度とガラス転移温度とを表1中に示す。
(測定方法)
<架橋密度>
各例のエポキシ樹脂硬化物について、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて、ゴム状態(200℃)における貯蔵弾性率E’を測定した。得られた貯蔵弾性率E’から、下記(I)式により、架橋密度ρを算出した。
ρ=E’/3RT ・・・(I)
E’:ゴム状態(200℃)におけるエポキシ樹脂硬化物の貯蔵弾性率(Pa)。
R:気体定数(8.31J/mol・K)。
T:測定時の絶対温度(200+273K)。
<ガラス転移温度>
動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて、各例のエポキシ樹脂硬化物のtanδを測定した。得られたtanδをエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度とした。
Figure 2016056311
表1に示すように、実施形態のエポキシ樹脂硬化物である実施例1は、ガラス転移温度が172℃であった。
(B)成分に代えて、(B’)成分が用いられた比較例1は、ガラス転移温度が168℃であった。
(B)成分が含まれない比較例2は、ガラス転移温度が140℃であった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
50…モールドバルブ、51…固定側導体、52…可動側導体、58,64…絶縁部、60…モールドトランス、62…コイル、β…(1)式で表される分子鎖

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される分子鎖を備えるエポキシ樹脂硬化物。
    Figure 2016056311
    [(1)式中、nは5〜100の数である。]
  2. 2官能のエポキシ化合物(A)及びエポキシ化リグニン(B)を含有する樹脂組成物の硬化物であるエポキシ樹脂硬化物。
  3. 前記樹脂組成物は、酸無水物を含有する請求項2に記載のエポキシ樹脂硬化物。
  4. 前記樹脂組成物は、前記(A)成分100質量部に対して前記(B)成分1〜40質量部を含有する、請求項2又は3に記載のエポキシ樹脂硬化物。
  5. ガラス転移温度が150℃以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化物で金属導体がモールドされた注型品。
  7. 成形型のキャビティ内に前記金属導体を位置させ、2官能のエポキシ樹脂(A)及びエポキシ化リグニン(B)を含有する樹脂組成物を前記キャビティ内に注入し、前記の注入された樹脂組成物を硬化して注型品を得る、請求項6に記載の注型品の製造方法。
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