JP2016055760A - シートベルトリトラクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】テンションレデューサ(TRD)のOFF時(シートベルトの巻き取り・引き出し時)とON時(シートベルトの通常装着時)の巻取力の差を大きくする。
【解決手段】シートベルトリトラクタは、スピンドル10と、スピンドル10に対してベルト巻取方向の付勢力を常時付与する主スプリング21と、主スプリング21と並列に配置され、スピンドル10に対してベルト巻取方向の付勢力を選択的に付与する第1副スプリング22と、第1副スプリング22と直列に配置され、スピンドル10の巻取方向の回転に対して反発する方向の付勢力を付与し、主スプリング21の付勢力よりも弱い付勢力を有する第2副スプリング23と、第1副スプリング22の内端部及び第2副スプリング23の外端部が固着され、複数のラチェット歯部43を有するラチェットホイール40と、ラチェットホイール40を規制状態と解除状態とに切り換える切換え装置80と、を備えている。
【選択図】図7
【解決手段】シートベルトリトラクタは、スピンドル10と、スピンドル10に対してベルト巻取方向の付勢力を常時付与する主スプリング21と、主スプリング21と並列に配置され、スピンドル10に対してベルト巻取方向の付勢力を選択的に付与する第1副スプリング22と、第1副スプリング22と直列に配置され、スピンドル10の巻取方向の回転に対して反発する方向の付勢力を付与し、主スプリング21の付勢力よりも弱い付勢力を有する第2副スプリング23と、第1副スプリング22の内端部及び第2副スプリング23の外端部が固着され、複数のラチェット歯部43を有するラチェットホイール40と、ラチェットホイール40を規制状態と解除状態とに切り換える切換え装置80と、を備えている。
【選択図】図7
Description
本発明は、自動車等の車両に装備されるシートベルトリトラクタに係り、特にシートベルトの装着時に乗員を不必要に圧迫することのないシートベルトリトラクタに関するものである。
自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、車両衝突時等の車両に大きな減速度が生じた緊急時にシートベルトで乗員を拘束して乗員のシートからの慣性移動を阻止することにより、乗員を保護している。このシートベルト装置には、スピンドルによりシートベルトの巻き取り・引き出しを行うと共に、緊急時にシートベルトの引き出しを阻止するシートベルトリトラクタが設けられている。
このようなシートベルトリトラクタでは、乗員がシートに座ってシートベルトを引き出し、タングをバックルに挿入係合した際に、その余分な引き出し分を吸収し、通常装着状態で乗員の胸部等に不必要な圧迫感を与えないようにすることが好ましい。しかし、一般のシートベルトリトラクタでは、一定の力を発揮するスプリングの付勢力でスピンドルがベルト巻取方向に常時付勢されているため、通常装着時において乗員が圧迫感を抱くことがある。
そこで、シートベルトの通常装着時にシートベルトを巻き取るスプリングの付勢力を軽減するテンションレデューサ(TRD)機能を備えたシートベルトリトラクタが提供されている。
図12及び図13は、特許文献1に記載されたテンションレデューサ(TRD)機能を備える各シートベルトリトラクタの模式図である。このシートベルトリトラクタでは、シートベルトを巻取方向に付勢するスプリング手段を、予め主スプリングと付加スプリングとに分けて構成し、通常のベルト巻取時には、両スプリングの合成付勢力により充分なベルト巻取力を作り出すと共に、シートベルトの正常装着時には、主スプリングの付勢力のみによる弱い巻取力でシートベルトに張力を付与するようにしている。
まず、図12に示すシートベルトリトラクタについて述べる。
図12(a)〜(c)に示すように、このシートベルトリトラクタでは、主スプリング521と付加スプリング522とが並列に設置されている。主スプリング521は、ベルトBを巻回したスピンドル510に常時連結されており、スピンドル510に対して常時ベルト巻取方向の付勢力FAを付与する。付加スプリング522は、ラチェットホイール540に連結されており、ラチェットホイール540に対してベルト巻取方向の付勢力FBを付与する。そして、ラチェットホイール540がスピンドル510と一体に回転するときは、付加スプリング522の付勢力がスピンドル510に加わり、ラチェットホイール540が回転をロックされているときには、付加スプリング522の付勢力がスピンドル510に加わらないようになっている。
図12(a)〜(c)に示すように、このシートベルトリトラクタでは、主スプリング521と付加スプリング522とが並列に設置されている。主スプリング521は、ベルトBを巻回したスピンドル510に常時連結されており、スピンドル510に対して常時ベルト巻取方向の付勢力FAを付与する。付加スプリング522は、ラチェットホイール540に連結されており、ラチェットホイール540に対してベルト巻取方向の付勢力FBを付与する。そして、ラチェットホイール540がスピンドル510と一体に回転するときは、付加スプリング522の付勢力がスピンドル510に加わり、ラチェットホイール540が回転をロックされているときには、付加スプリング522の付勢力がスピンドル510に加わらないようになっている。
ラチェットホイール540のラチェット歯543には、ロックレバー560の爪562が対向しており、ソレノイド570の切り替えによりTRDの機能をON(以下、「TRD=ON」という)にすると、ロックレバー560の爪562がラチェット歯543に係合して、ラチェットホイール540のベルト巻取方向の回転を阻止する。その際、ラチェットホイール540のラチェット歯543とロックレバー560の爪562は一方向クラッチを構成しており、ラチェットホイール540は、ベルト引出方向にのみ回転できる状態に保たれる。また、ソレノイド570の反対方向への切り替えによりTRDの機能をOFF(以下、「TRD=OFF」という)にすると、ロックレバー560の爪562がラチェット歯543から外れて、ラチェットホイール540が、ベルト巻取方向とベルト引出方向の両方向に自由に回転できる状態になる。
また、スピンドル510とラチェットホイール540の間には、ラチェットホイール540がベルト巻取方向に回転したときに互いに係合する係合部581、582が設けられている。
そして、図12(a)に示すように、TRD=OFFのとき、ラチェットホイール540は自由に回転できる状態とされ、係合部581、582が互いに係合することで、主スプリング521と付加スプリング522の双方の付勢力の合計FA+FBがベルトBに加えられる。つまり、TRD=OFFのとき、シートベルトを巻き取るときも引き出すときも、ベルト巻取方向の付勢力FA+FBが作用する。
次に図12(b)に示すように、乗員がタングをバックルに装着するために、ベルトBを十分に長く引き出してタングをバックルに装着すると、バックルの検知スイッチに応答した指令によりTRD=ONとなる。つまり、ラチェットホイール540がベルト巻取方向に一方向回転阻止される。この状態から、ベルトBを巻取方向に巻き戻すと、図12(c)に示す状態になる。このとき、ラチェットホイール540は止まったまま保持されているので、ラチェットホイール540の止まった位置からベルトBが巻取方向に巻き戻された位置までの区間H2において、主スプリング521の付勢力FAだけがベルトBに加わる。つまり、付加スプリング522の付勢力FBが無効とされることで、弱い力(主スプリング521の付勢力FAだけ)で乗員が拘束されることになり、圧迫感が軽減される。
また、TRD=ONの状態(タングをバックルに装着した状態)で更にベルトBを引き出すと、ラチェットホイール540がベルト引出方向に回転して、一方向クラッチを構成するラチェット歯543と爪562による一方向回転規制位置が変更(更新)される。そのベルトBの引き出し時には、主スプリング521と付加スプリング522の双方の付勢力の合計FA+FBがベルトBに加わる。このとき、図12(b)に示すように、主スプリング521は、ベルト巻取方向にもベルト引出方向にも弾性変形可能であるが、付加スプリング522は、一方向クラッチ(ラチェット歯543と爪562)の働きにより、ベルト引出方向にのみ弾性変形可能となる。
そして、ラチェットホイール540が位置変更された更新位置で一方向回転規制された状態から、ベルトBを巻取方向に巻き戻すと、再び図12(c)に示す状態になる。従って、ラチェットホイール540の止まった位置からベルトBが巻取方向に巻き戻された位置までの区間H2において、主スプリング521の付勢力FAだけがベルトBに加わることになり、弱い力で乗員が拘束され、圧迫感が軽減される。
また、図12(c)の状態において、ソレノイド570の切り替えによりTRD=OFFにすると、ロックレバー560の爪562がラチェットホイール540のラチェット歯543から外れて、ラチェットホイール540の回転規制が解除される。そうすると、ラチェットホイール540は、付加スプリング522の付勢力によりベルト巻取方向に回転することで、図12(a)に示すように、係合部582が係合部581に係合して、付加スプリング522の付勢力FBもベルトBに加わることになる。従って、ベルトBは力強くスピンドル510に巻き取られる。
ところで、図12(c)に示す状態からTRD=OFFにすると、OFFにした瞬間に付加スプリング522の付勢力でラチェットホイール540がベルト巻取方向に急回転することにより、係合部582が係合部581に強く当たって衝撃音を生じる懸念がある。
そこで、図13に示すシートベルトリトラクタでは、スピンドル510とラチェットホイール540とをテープ600を介して連結している。
図13(a)に示すように、TRD=OFFの状態では、テープ600が付加スプリング522の付勢力によって引っ張られることにより緊張状態に保たれるので、スピンドル510には、主スプリング521と付加スプリング522のベルト巻取方向の合計付勢力が加わる。
次に図13(b)に示すように、乗員がタングをバックルに装着するために、ベルトBを十分に長く引き出してタングをバックルに装着すると、ソレノイド570の切り替えによりTRD=ONとなる。つまり、ラチェットホイール540がベルト巻取方向に一方向回転阻止される。この状態から、ベルトBを巻取方向に巻き戻すと、図13(c)に示す状態になる。即ちテープ600は緊張状態が解かれて弛みを生じる。このとき、ラチェットホイール540は止まったまま保持されているので、ラチェットホイール540の止まった位置からベルトBが巻取方向に巻き戻された位置までの区間H2において、主スプリング521の付勢力だけがベルトBに加わる。従って、弱い力で乗員が拘束されることになり、圧迫感が少なくなる。
また、TRD=ONの状態(タングをバックルに装着した状態)で更にベルトBを引き出すと、テープ600に引っ張られることで、ラチェットホイール540がベルト引出方向に回転して、一方向クラッチを構成するラチェット歯543と爪562による一方向回転規制位置が変わる。そのベルトBの引き出し時には、主スプリング521と付加スプリング522の双方の付勢力の合計がベルトBに加わる。このとき、図13(b)に示すように、主スプリング521は、ベルト巻取方向にもベルト引出方向にも弾性変形可能であるが、付加スプリング522は、一方向クラッチの作用により、ベルト引出方向にのみ弾性変形可能となる。
そして、ラチェットホイール540が変更された位置で一方向回転規制された状態から、ベルトBを巻取方向に巻き戻すと、再び図13(c)に示す状態になる。従って、ラチェットホイール540の止まった位置からベルトBが巻取方向に巻き戻された位置までの区間H2において、主スプリング521の付勢力だけがベルトBに加わることになり、弱い力で乗員が拘束され、圧迫感が少なくなる。
また、図13(c)の状態において、ソレノイド570の切り替えによりTRD=OFFにすると(バックルからタングを抜くと)、ロックレバー560の爪562がラチェットホイール540のラチェット歯543から外れて、ラチェットホイール540の回転規制が解除される。そうすると、ラチェットホイール540は、付加スプリング522によってベルト巻取方向に回転し、それにより、図13(a)に示すように、テープ600が再び緊張状態になって、付加スプリング522の付勢力もベルトBに加わることになる。従って、ベルトBは力強くスピンドル510に巻き取られる。
このように、図13(c)に示す状態において、TRDをONからOFFに切り替えた際に、テープ600を介して、付加スプリング522の付勢力がスピンドル510に伝達される。この際、テープ600が緊張した状態となるが、部材同志の衝突がないため、衝撃音が低減されている。
ところで、図13に示す従来のシートベルトリトラクタでは、付加スプリング522の付勢力のスピンドル510への伝達の有無によって、シートベルトの巻き取り・引き出し時(TRD=OFFの時)と通常装着時(TRD=ONの時)のスピンドル510に加わる巻取力の差を作り出している。しかしながら、巻取力の差をより大きくして、ベルト装着時の乗員の快適性を向上することが望まれている。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、TRDのOFF時(シートベルトの巻き取り・引き出し時)とON時(シートベルトの通常装着時)の巻取力の差を大きくすることで、ベルト装着時の乗員の快適性の向上が図れるようにしたシートベルトリトラクタを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
(1) シートベルトが巻き取り及び引き出し可能に巻回されるスピンドルと、
内端部が前記スピンドルに固着され、外端部が固定側部材に固着され、前記スピンドルに対してベルト巻取方向の付勢力を常時付与する、渦巻きバネで構成される主スプリングと、
前記主スプリングと並列に配置されるとともに、外端部が前記固定側部材に固着され、前記スピンドルに対してベルト巻取方向の付勢力を選択的に付与する、渦巻きバネで構成される第1副スプリングと、
前記第1副スプリングと直列に配置されるとともに、内端部が前記スピンドルに固着され、前記スピンドルの巻取方向の回転に対して反発する方向の付勢力を付与し、前記主スプリングの付勢力よりも弱い付勢力を有する、渦巻きバネで構成される第2副スプリングと、
前記第1副スプリングの内端部及び前記第2副スプリングの外端部が固着され、前記スピンドルと同軸に回転自在に設けられ、外周部に複数のラチェット歯部を有するラチェットホイールと、
前記ラチェットホイールの前記ラチェット歯部に係合可能な爪部を備え、前記ラチェットホイールのベルト引出方向の回転を許容しベルト巻取方向の回転を規制する規制状態と、前記ラチェットホイールのベルト引出方向及びベルト巻取方向の両方向の回転を許容する解除状態と、に選択的に切り換える切換え装置と、
を備え、
前記第2副スプリングは、前記切換え装置が解除状態において、前記内端部側に巻き締められた形状になっていることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
(1) シートベルトが巻き取り及び引き出し可能に巻回されるスピンドルと、
内端部が前記スピンドルに固着され、外端部が固定側部材に固着され、前記スピンドルに対してベルト巻取方向の付勢力を常時付与する、渦巻きバネで構成される主スプリングと、
前記主スプリングと並列に配置されるとともに、外端部が前記固定側部材に固着され、前記スピンドルに対してベルト巻取方向の付勢力を選択的に付与する、渦巻きバネで構成される第1副スプリングと、
前記第1副スプリングと直列に配置されるとともに、内端部が前記スピンドルに固着され、前記スピンドルの巻取方向の回転に対して反発する方向の付勢力を付与し、前記主スプリングの付勢力よりも弱い付勢力を有する、渦巻きバネで構成される第2副スプリングと、
前記第1副スプリングの内端部及び前記第2副スプリングの外端部が固着され、前記スピンドルと同軸に回転自在に設けられ、外周部に複数のラチェット歯部を有するラチェットホイールと、
前記ラチェットホイールの前記ラチェット歯部に係合可能な爪部を備え、前記ラチェットホイールのベルト引出方向の回転を許容しベルト巻取方向の回転を規制する規制状態と、前記ラチェットホイールのベルト引出方向及びベルト巻取方向の両方向の回転を許容する解除状態と、に選択的に切り換える切換え装置と、
を備え、
前記第2副スプリングは、前記切換え装置が解除状態において、前記内端部側に巻き締められた形状になっていることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
(2) 前記切換え装置が解除状態にあるとき、及び、前記切換え装置が規制状態において、前記ラチェットホイールがベルト引出方向に回転するときには、前記主スプリング及び前記第1副スプリングの前記巻取方向の付勢力が前記スピンドルに付与され、
前記切換え装置が規制状態において、前記ラチェットホイールがベルト引出方向に回転するとき以外では、前記主スプリングの前記巻取方向の付勢力及び前記第2副スプリングの前記引出方向の付勢力が前記スピンドルに付与されることを特徴とする(1)に記載のシートベルトリトラクタ。
前記切換え装置が規制状態において、前記ラチェットホイールがベルト引出方向に回転するとき以外では、前記主スプリングの前記巻取方向の付勢力及び前記第2副スプリングの前記引出方向の付勢力が前記スピンドルに付与されることを特徴とする(1)に記載のシートベルトリトラクタ。
(3)前記シートベルトのタングと車体側のバックル部材との結合状態を検知する検知装置を更に備え、
前記検知装置が前記タングと前記バックル部材との結合状態を検知したとき、前記切換え装置は、前記解除状態から前記規制状態に切り換えることを特徴とする(1)または(2)に記載のシートベルトリトラクタ。
前記検知装置が前記タングと前記バックル部材との結合状態を検知したとき、前記切換え装置は、前記解除状態から前記規制状態に切り換えることを特徴とする(1)または(2)に記載のシートベルトリトラクタ。
(4) 前記第2副スプリングの内端部は、前記スピンドルと一体に回転するリテーナに形成された抜け止め溝に係止され、該抜け止め溝は、その中間部分で屈曲していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のシートベルトリトラクタ。
本発明のシートベルトリトラクタによれば、切換え装置が解除状態にある時と、規制状態におけるシートベルトの通常装着時とで、スピンドルに加わる巻取力に大きな差を作り出すことができ、それにより、ベルト装着時の乗員の快適性の向上が図れる。
以下、本発明の一実施形態に係るシートベルトリトラクタを図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、実施形態のシートベルトリトラクタは、巻き取り及び引き出し可能にシートベルトB(図7参照)が巻回されるスピンドル10と、スピンドル10を左右側壁8a、8b間に回転自在に支持するフレーム8と、スピンドル10に対しベルト巻取方向RAの付勢力を常時付与する主スプリング21と、主スプリング21と並列に配置され、スピンドル10に対してベルト巻取方向RAの付勢力を選択的に付与する第1副スプリング22と、第1副スプリング22と直列に配置され、弾性復元によりスピンドル10に対してベルト引出方向RBの付勢力を付与する第2副スプリング23と、ラチェットホイール40と、ラチェットホイール40を選択的に一方向回転ロックするロックアーム60と、ロックアーム60をロック位置とロック解除位置に切り替え変位させる電磁ソレノイド70と、車両衝突時等の車両に大きな減速度が生じた緊急時を検出してシートベルトの引き出しを阻止するセンサ機構5と(図3参照)、を有している。
主スプリング21、第1副スプリング22、第2副スプリング23は、全て、渦巻き方向が同じ方向の渦巻きバネ(ゼンマイバネとも言われる)によって構成されている。主スプリング21及び第1副スプリング22の渦巻きバネは、巻き締め方向に巻かれることでエネルギー(トルク)を蓄え、巻き緩め方向(巻き締め方向と逆方向)にエネルギー(トルク)を解放する機能を有するものである。一方、第2副スプリング23は、エネルギー(トルク)を蓄えていない自由状態において、径方向に隣接するばね同士が密着する巻き締められた形状となっており、密着した状態から巻き緩んだ状態になると、ベルト引き出し方向の回転付勢力を発生する。
なお、主スプリング21と第1副スプリング22のトルク(回転付勢力)は、任意に設定することができ、例えば、互いに等しく設定してもよい。また、テンションレデューサのON/OFF時に、スピンドル10に加わる巻取力に大きな差を付与するため、第1副スプリング22のトルクを、主スプリング21のトルクより大きく設定してもよい。
また、第2副スプリング23のトルク(回転付勢力)は、主スプリング21のトルク(回転付勢力)よりも遥かに小さく(弱く)設定されている。
また、第2副スプリング23のトルク(回転付勢力)は、主スプリング21のトルク(回転付勢力)よりも遥かに小さく(弱く)設定されている。
スピンドル10の軸端11は、センサ機構5を配した側と反対側の側壁8aの中心孔8cから外部に突出しており、その軸端11側に、テンションレデューサ(TRD)機能を備えた巻取機構2が配置されている。前述の主スプリング21、第1副スプリング22、第2副スプリング23、ラチェットホイール40、ロックアーム60、電磁ソレノイド70は、巻取機構2の構成要素として備わっている。TRDは、以上の要素のうち主スプリング21を除いた要素で構成されている。
巻取機構2は、その他のハウジング類として、第1ハウジング31と、第2ハウジング32と、第3ハウジング33と、を有している。これらのハウジング31、32、33は、スプリング21〜23やラチェットホイール40などを支持したり収容したりするもので、固定側部材として、フレーム8に対して直接または間接に固定されている。これら第1ハウジング31、第2ハウジング32、第3ハウジング33は、図3に示すように、この順に、スピンドル10の軸線方向の外側(フレーム8の側壁8aから遠い側)から内側(フレーム8の側壁8aに近い側)に向かって並んでいる。なお、図2に示すように、第1ハウジング31には、ロックアーム60や電磁ソレノイド70などを収容するカバー部31sが一体に設けられている。
第3ハウジング33は、フレーム8の側壁8aの外面に固定されており、その第3ハウジング33の中にラチェットホイール40が収容されている。ラチェットホイール40は、円形基板41の第3ハウジング33側(内側)の側面に大径の筒壁42を突設し、その筒壁42の外周に、周方向に一定間隔でラチェット歯部43を配列したものである。ラチェット歯部43を外周に形成した筒壁42の内部には第2副スプリング23が収容されており、その第2副スプリング23を覆うように、スプリングカバー48が、ラチェットホイール40の第3ハウジング33側(内側)の側面に固定されている。スプリングカバー48は、その周囲に設けた取付爪48aを、ラチェットホイール40の円形基板41に形成した取付孔46に係合させることで、ラチェットホイール40に一体化されている。また、ラチェットホイール40の円形基板41の反対側(外側)の側面の中央孔の周囲には、外周にバネ係止部45の付いた小径のボス筒部44が形成されている。
ラチェットホイール40の軸線方向外側には第1副スプリング22が配設されている。また、その軸線方向外側には第2ハウジング32が配置され、その軸線方向外側には主スプリング21が配設され、その軸線方向外側には第1ハウジング31が配設されている。従って、主スプリング21は、第1ハウジング31と第2ハウジング32の間に配設され、第1副スプリング22は、第2ハウジング32とラチェットホイール40と間に配設されている。
スピンドル10の軸端11は、フレーム8の側壁8aに固定された第3ハウジング33の中央孔33aを貫通しており、その軸端11にリテーナ12がスピンドル10と一体回転するように結合されている。また、第3ハウジング33に設けられたアーム支持軸部33bには、クランク形状のロックアーム60の中央部が揺動自在に装着されている。ロックアーム60は、先端に、ラチェット歯部43と係合する爪部62を有したもので、電磁ソレノイド70により、ロック位置とロック解除位置とに選択的に切替変位させられる。
この場合、図6や図7に示すように、電磁ソレノイド70のプランジャ71にロックアーム60の基端63が連結され、プランジャ71に配設した復帰スプリング72の付勢力で、電磁ソレノイド70が非通電状態にある時(OFF時)、ロックアーム60は、ロック解除位置(ロックアーム60の爪部62がラチェットホイール40のラチェット歯部43から離れる位置)に保持される。また、電磁ソレノイド70が通電状態に切り替えられると(ON時)、プランジャ71が復帰スプリング72の付勢力に抗して引き込まれることで、ロックアーム60が、ロック解除位置からロック位置(ロックアーム60の爪部62がラチェットホイール40のラチェット歯部43に係合する位置)に変位するようになっている。
ロックアーム60の爪部62は、ラチェットホイール40のラチェット歯部43と対向する関係にある。ロックアーム60がロック位置に操作されることで、ロックアーム60の爪部62がラチェットホイール40のラチェット歯部43に係合する。その係合状態にあるとき、ロックアーム60の爪部62は、ラチェットホイール40のベルト引出方向RBの回転のみを許し、ベルト巻取方向RAの回転を阻止する。つまり、ロックアーム60の爪部62とラチェットホイール40のラチェット歯部43によって、ラチェットホイール40のベルト引出方向RBのみの回転を許す一方向クラッチが構成されている。
ここでは、ロックアーム60がロック位置に操作された状態(即ち、ラチェットホイール40がベルト巻取方向に一方向回転規制された状態)を「TRD=ON」といい、ロック解除位置に操作された状態(即ち、ラチェットホイール40がベルト巻取方向及び引出方向の両方向に回転自由な状態)を「TRD=OFF」と言う。
図1に示すように、スピンドル10の軸端11にスピンドル10と一体回転するように連結されたリテーナ12には、ラチェットホイール40を回転自在に支持する円筒支持部12aと、ラチェットホイール40の中心孔を貫通してコネクタ13の角孔に嵌合される角軸部12bと、コネクタ13を貫通して第1ハウジング31の内面の軸受孔(図示せず)に回転自在に支持される先端突部12cと、が設けられている。
リテーナ12の円筒支持部12aにはラチェットホイール40がスピンドル10と同軸に回転自在に嵌合されており、ラチェットホイール40の筒壁42の内部に収容された第2副スプリング23は、図6に示すように、外端部23aがラチェットホイール40に係止され、内端部23bがリテーナ12に直線部分と曲線部分とで形成された抜け止め溝12dによって係止されている。また、第2副スプリング23は、第1副スプリング23との付勢力との関係で、TRD=OFFの状態において、内周端部側に巻き締められる状態に維持されており、TRD=ONの状態において、主スプリング21の付勢力との関係で巻き緩んで、そのベルト引出方向RBの付勢力を、リテーナ12を介してスピンドル10に付与する。
また、ラチェットホイール40の外側に配設された第1副スプリング22は、図5に示すように、外端部22aが第2ハウジング(固定側部材)32に係止され、内端部22bがラチェットホイール40のボス筒部44のバネ係止部45に係止されている。そして、これにより、第1副スプリング22は、第2ハウジング32を基準にした状態で、そのベルト巻取方向RAの付勢力を、ラチェットホイール40に付与している。
また、第2ハウジング32の軸線方向外側に配設された主スプリング21は、図4に示すように、外端部21aが第1ハウジング(固定側部材)31に係止され、内端部21bが、スピンドル10の軸端11に、リテーナ12を介してスピンドル10と一体回転するように結合されたコネクタ13のバネ係止部13aに係止されている。これにより、主スプリング21は、第1ハウジング31を基準にした状態で、そのベルト巻取方向RAの付勢力を、コネクタ13及びリテーナ12を介してスピンドル10に常時付与している。
ロックアーム60及び電磁ソレノイド70は、ラチェットホイール40の状態を、ラチェットホイール40のベルト引出方向RBの回転を許容し、ベルト巻取方向RAの回転を規制した規制状態(TRD=ONの状態)と、ラチェットホイール40のベルト引出方向RB及びベルト巻取方向RAの両方向の回転を許容する解除状態(TRD=OFFの状態)と、に選択的に切り替える切換え装置80を構成する。
即ち、電磁ソレノイド70は、ロックアーム60をロック解除位置に切り替えたとき、第1副スプリング22によるベルト巻取方向RAの付勢力のスピンドル10への伝達を有効とし、ロックアーム60をロック位置に切り替えたとき、第1副スプリング22によるベルト巻取方向RAの付勢力のスピンドル10への伝達を無効とする。
また、電磁ソレノイド70は、シートベルトBのタングがバックルにロックされていないとき、TRD=OFF、つまりロックアーム60をロック解除位置に保持し、シートベルトBのタングがバックルにロックされているとき、TRD=ON、つまりロックアーム60をロック位置に保持する。この切り替え信号は、バックルに内蔵された不図示の検知スイッチの検知信号に応じて発せられる。即ち、バックルにタングが挿入されて係合されたとき、TRD=ONとするべく電磁ソレノイド70に通電信号(ON信号)が供給され、バックルにタングが挿入されてないとき、または係合が外れたとき、TRD=OFFとするべく電磁ソレノイド70に非通電信号(OFF信号)が供給される。
次に、図7〜図11を参照してシートベルトリトラクタの作用について説明する。
図7〜図10は、各使用状況におけるシートベルトリトラクタの模式図であり、図11は、横軸にベルトの巻き取り・引き出し量をとり、縦軸にベルトの巻き取り・引き出し力(巻取トルク)をとって、ベルト引出量とベルトに作用する巻取力の関係を示す。
図7〜図10は、各使用状況におけるシートベルトリトラクタの模式図であり、図11は、横軸にベルトの巻き取り・引き出し量をとり、縦軸にベルトの巻き取り・引き出し力(巻取トルク)をとって、ベルト引出量とベルトに作用する巻取力の関係を示す。
先ず、図7を用いて、乗員がベルト装着のためにシートベルトを引き出して、タングをバックルに差込係合させるまでに状況について説明する。
シートベルトBのタングがバックルに係合されていないときは、図7に示すように、TRD=OFFであり、ラチェットホイール40が何ら拘束されていない(回転規制されていない)ので、スピンドル10には、主スプリング21と第1副スプリング22による合成巻取力FA+FBが作用する。
なお、第2副スプリング23は、ラチェットホイール40を介して第1副スプリング22と直列配置され、第1副スプリング22と渦巻き方向を同一方向とし、自由状態において完全に巻き締められた形状となっている。このため、TRD=OFFの状態では、第2副スプリング23は完全に巻き締められた状態に保たれ、ラチェットホイール40とリテーナ12とは一体に回転する。したがって、TRD=OFFの状態では、第2副スプリング23の付勢力FCはスピンドル10に対して作用せず、第1副スプリング22の付勢力FBが、主スプリング21の付勢力FAに加算されて、スピンドル10に作用する。
従って、この状況でのシートベルトBの引き出しや巻き取りの際には、主スプリング21と第1副スプリング22による大きな合成付勢力FA+FBがベルト巻取方向に作用することになる。乗員が主スプリング21及び第1副スプリング22の合成付勢力FA+FBに抗してシートベルトBを引き出して行くと、スピンドル10がベルト引出方向(図1の矢印RB方向)に回転して、主スプリング21及び第1副スプリング22を巻き締めて行く(第2副スプリング23は完全に巻き締められた状態を維持したまま、主スプリング21及び第1副スプリング22がエネルギーを蓄えて行く)。また、シートベルトBの巻き取りの際には、主スプリング21及び第1副スプリング22の合成付勢力FA+FBによって、スピンドル10を迅速に回転させることができる。図11の(1)で示す特性線がそのときのシートベルトBに作用する巻取力の変化を示している。
次に、乗員が、引き出したシートベルトBのタングをバックルに差込係合させる。そうすると、バックルの検知スイッチからON信号が出て、図8に示すように、電磁ソレノイド70がONされ、電磁ソレノイド70が復帰スプリング72の付勢力に抗してプランジャ71を引き込んで、ロックアーム60を動かす。それにより、ロックアーム60の爪部62がラチェットホイール40のラチェット歯部43に係合して、ラチェットホイール40が、ベルト巻取方向(図1の矢印RA方向)に一方向回転規制される。つまり、この状態がTRD=ONの状態(規制状態)である。図8は、TRD=OFFからONにした直後の状態を示している。図11の(2)で示す点が、このタイミングを示している。
そして、電磁ソレノイド70がONした状態(TRD=ON)から、シートベルトBの弛みをとるべくベルト巻取方向にシートベルトBを戻そうとすると、図9に示すように、ラチェットホイール40がベルト巻取方向に回転規制されているので、第1副スプリング22の付勢力FBのスピンドル10への伝達が無効とされる。図11の(4)で示す点は、そのタイミングを示している。
さらに、シートベルトBをベルト巻取方向に巻き戻すと、第2副スプリング23が主スプリング21の付勢力によって巻き緩み始める。即ち、第2副スプリング23は、完全に巻き締められた状態から、スピンドル10の巻取方向の回転に対して反発する方向にエネルギーを蓄積する。したがって、TRD=ONの状態においてスピンドル10に作用するベルト巻取方向の付勢力は、主スプリング21のベルト巻取方向の付勢力FAと第2副スプリング23のベルト引出方向の付勢力FCの差し引きした付勢力FA−FCとなる。なお、第2副スプリング23は、シートベルトBの巻き戻しに伴って巻き緩み方向に回転(エネルギーを蓄積)するので、第2副スプリング23の付勢力FCは、シートベルトBの巻き戻しと共に次第に大きくなる。この状態は、乗員がフィットする位置にシートベルトBを巻き戻した状態に相当し、このときの巻取力の変化は、図11の(5)の特性線で示すことができる。
なお、TRD=ONの状態から図11において(4)より右側の範囲でのシートベルトBの巻き取り、巻き戻しにおいてスピンドル10に作用する付勢力は、第1副スプリング22の付勢力FBが無効化されて、主スプリング21のベルト巻取方向の付勢力FAと第2副スプリング23のベルト引出方向の付勢力FCの差し引きした付勢力FA−FCであるので、第1副スプリング22の付勢力FBを主スプリング21の付勢力FAより大きく設定しておけば(FB>FA)、TRD=ON時とTRD=OFF時とのシートベルトBの巻取力の差を大きく設定することができる。
従って、タングをバックルに差込係合させたときの力よりも弱い力で乗員が拘束されることになり、乗員の圧迫感が少なくなり、自由感が増す。このように、TRD=OFF時(シートベルト装着のための巻取・引出時)とTRD=ON時(シートベルトの通常装着時)の巻取力の差を大きく設定することができるので、それにより、ベルト装着時の乗員の快適性の向上が図れる。
次に、シートベルトBのタングをバックルから抜くと、バックル内の検知スイッチのOFF信号に応答して、電磁ソレノイド70がOFFに切り替わる。その結果、プランジャ71が復帰スプリング72の付勢力により突出位置へと復帰し、ロックアーム60が回転して、ラチェットホイール40のラチェット歯部43とロックアーム60の爪部62の係合が外れる。そして、図11の(6)で示すタイミングで、TRD=OFFの状態になる。この状態になると、ラチェットホイール40に作用している第1副スプリング22の付勢力FBが第2副スプリング23に伝達され、第2副スプリング23が自ら巻き締められた形状に戻ろうとする。そして、第2副スプリング23が完全に巻き締められた状態となると、第1副スプリング22の付勢力FBが、ラチェットホイール40及び第2副スプリング23を介してスピンドル10に伝達され、図7に示す状態に戻る。
図11の上向き点線矢印は、図7の状態に戻ることを示している。シートベルトBのタングをバックルから抜くタイミングは任意であり、最初にタングをバックルに差し込んだ位置((2)の位置)である場合もあるし、その前後のタイミングである場合もある。このように、図7に示す状態に戻ると、シートベルトBには、主スプリング21の付勢力FAと第1副スプリング22の付勢力FBの合成付勢力FA+FBが作用し、強い巻取力によって迅速にシートベルトBがスピンドル10に巻き取られる。
なお、乗員が、シートベルトBのタングをバックルに差込係合させた状態で、シートベルトBを更に引き出して行く場合や、乗員が正常にベルト装着した後、大きく前傾姿勢をとったり、車をバックさせるために後方に大きく振り向く場合など、TRD=ONの状態でのシートベルトBの引き出し位置((2)の位置)を超えてシートベルトBが引き出される場合がある。この場合、図10に示すように、第2副スプリング23は完全に巻き締められた状態で、ベルト引出方向に回転規制されていないラチェットホイール40が、第1副スプリング22を巻き締めながらベルト引出方向に回転する。この際、ロックアーム60は、爪部62とラチェット歯部43が一方向クラッチを構成する関係で、ラチェットホイール40のラチェット歯部43から外れる方向に回転するので、シートベルトBの引き出しを邪魔することはない。
そのときにスピンドル10に作用する巻取力は、主スプリング21のベルト巻取方向の付勢力FAと第1副スプリング22のベルト巻取方向の付勢力FBの合計付勢力FA+FBとなる。図11の(3)は、このときの巻取力の変化を示している。
したがって、ラチェットホイール40は、ロックアーム60の爪部62とのラチェット歯部43の噛み合い位置が変わった状態で回転規制される。この場合でも、更新されたロックアーム60とラチェットホイール40の噛み合い位置からシートベルトBがベルト巻取方向に巻き戻されることで、主スプリング21のベルト巻取方向の付勢力FAと第2副スプリング23のベルト引出方向の付勢力FCの差し引きした付勢力FA−FCがスピンドル10に作用する。
以上説明したように、本実施形態のシートベルトリトラクタによれば、スピンドル10と、スピンドル10に対してベルト巻取方向の付勢力を常時付与する主スプリング21と、主スプリング21と並列に配置され、スピンドル10に対してベルト巻取方向の付勢力を選択的に付与する第1副スプリング22と、第1副スプリング22と直列に配置され、スピンドル10の巻取方向の回転に対して反発する方向の付勢力を付与し、主スプリング21の付勢力よりも弱い付勢力を有する第2副スプリング23と、第1副スプリング22の内端部及び第2副スプリング23の外端部が固着され、複数のラチェット歯部43を有するラチェットホイール40と、ラチェットホイール40を規制状態と解除状態とに選択的に切り換える切換え装置80と、を備え、第2副スプリング23は、切換え装置80が解除状態において、内端部側に巻き締められている。これにより、切換え装置80が解除状態にある時と、規制状態におけるシートベルトの通常装着時とで、スピンドル10に加わる巻取力に大きな差を作り出すことができ、それにより、ベルト装着時の乗員の快適性の向上が図れる。
具体的には、切換え装置80が解除状態にあるとき、及び、切換え装置80が規制状態においてラチェットホイール40がベルト引出方向に回転するときには、主スプリング21及び第1副スプリング22の各付勢力FA,FBが合計された巻取方向の付勢力FA+FBがスピンドル10に付与される。また、切換え装置80が規制状態において、ラチェットホイール40がベルト引出方向に回転するとき以外では、主スプリング21及び第2副スプリング23の各付勢力FA,FCが差し引きされた巻取方向の付勢力FA−FCがスピンドル10に付与される。
なお、切換え装置80が規制状態においてラチェットホイール40がベルト引出方向に回転する場合とは、本実施形態では、TRD=ONとなった状態におけるシートベルトBの引き出し位置を超えてシートベルトBを引き出す状態に相当する。
また、切換え装置80が規制状態において、ラチェットホイール40がベルト引出方向に回転するとき以外の場合とは、本実施形態では、TRD=ONとなった状態におけるシートベルトBの引き出し位置からシートベルトBを巻き戻す状態や、該巻き戻した状態からTRD=ONとなった時点のシートベルトBの引き出し量を越えない範囲で、シートベルトBを引き出す状態に相当する。
さらに、第2副スプリング23の内端部23bは、スピンドル10と一体に回転するリテーナ12に形成された抜け止め溝12dに係止され、該抜け止め溝12dは、その中間部分で屈曲しているので、第2副スプリング23の内端部23bをリテーナ12に確実に固着することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施施形態では、シートベルトBのタングをバックルに差込係合させたとき、バックルの検知スイッチから送出される検知信号により電磁ソレノイド70を作動してTRD=OFF状態とTRD=ON状態とに切換えるようにしたが、TRD状態の切換え信号は、ドアの開閉に応じた検知信号により電磁ソレノイド70を作動させるようにしてもよい。この場合、ドアが閉じられたときの検出信号によりTRD=ON状態とし、ドアが開かれたときの検出信号によりTRD=OFF状態に切換える。
例えば、上記実施施形態では、シートベルトBのタングをバックルに差込係合させたとき、バックルの検知スイッチから送出される検知信号により電磁ソレノイド70を作動してTRD=OFF状態とTRD=ON状態とに切換えるようにしたが、TRD状態の切換え信号は、ドアの開閉に応じた検知信号により電磁ソレノイド70を作動させるようにしてもよい。この場合、ドアが閉じられたときの検出信号によりTRD=ON状態とし、ドアが開かれたときの検出信号によりTRD=OFF状態に切換える。
10 スピンドル
12 リテーナ
12d 抜け止め溝
21 主スプリング
21a 外端(外端部)
21b 内端部
22 第1副スプリング
22a 外端部
22b 内端部
23 第2副スプリング
23a 外端部
23b 内端部
31 第1ハウジング(固定側部材)
32 第2ハウジング(固定側部材)
40 ラチェットホイール
43 ラチェット歯部
60 ロックアーム
62 爪部
70 電磁ソレノイド
80 切換え装置
B シートベルト
FA 主スプリングの付勢力
FB 第1副スプリングの付勢力
FC 第2副スプリングの付勢力
RA ベルト巻取方向
RB ベルト引出方向
12 リテーナ
12d 抜け止め溝
21 主スプリング
21a 外端(外端部)
21b 内端部
22 第1副スプリング
22a 外端部
22b 内端部
23 第2副スプリング
23a 外端部
23b 内端部
31 第1ハウジング(固定側部材)
32 第2ハウジング(固定側部材)
40 ラチェットホイール
43 ラチェット歯部
60 ロックアーム
62 爪部
70 電磁ソレノイド
80 切換え装置
B シートベルト
FA 主スプリングの付勢力
FB 第1副スプリングの付勢力
FC 第2副スプリングの付勢力
RA ベルト巻取方向
RB ベルト引出方向
Claims (4)
- シートベルトが巻き取り及び引き出し可能に巻回されるスピンドルと、
内端部が前記スピンドルに固着され、外端部が固定側部材に固着され、前記スピンドルに対してベルト巻取方向の付勢力を常時付与する、渦巻きバネで構成される主スプリングと、
前記主スプリングと並列に配置されるとともに、外端部が前記固定側部材に固着され、前記スピンドルに対してベルト巻取方向の付勢力を選択的に付与する、渦巻きバネで構成される第1副スプリングと、
前記第1副スプリングと直列に配置されるとともに、内端部が前記スピンドルに固着され、前記スピンドルの巻取方向の回転に対して反発する方向の付勢力を付与し、前記主スプリングの付勢力よりも弱い付勢力を有する、渦巻きバネで構成される第2副スプリングと、
前記第1副スプリングの内端部及び前記第2副スプリングの外端部が固着され、前記スピンドルと同軸に回転自在に設けられ、外周部に複数のラチェット歯部を有するラチェットホイールと、
前記ラチェットホイールの前記ラチェット歯部に係合可能な爪部を備え、前記ラチェットホイールのベルト引出方向の回転を許容しベルト巻取方向の回転を規制する規制状態と、前記ラチェットホイールのベルト引出方向及びベルト巻取方向の両方向の回転を許容する解除状態と、に選択的に切り換える切換え装置と、
を備え、
前記第2副スプリングは、前記切換え装置が解除状態において、前記内端部側に巻き締められた形状になっていることを特徴とするシートベルトリトラクタ。 - 前記切換え装置が解除状態にあるとき、及び、前記切換え装置が規制状態において、前記ラチェットホイールがベルト引出方向に回転するときには、前記主スプリング及び前記第1副スプリングの前記巻取方向の付勢力が前記スピンドルに付与され、
前記切換え装置が規制状態において、前記ラチェットホイールがベルト引出方向に回転するとき以外では、前記主スプリングの前記巻取方向の付勢力及び前記第2副スプリングの前記引出方向の付勢力が前記スピンドルに付与されることを特徴とする請求項1に記載のシートベルトリトラクタ。 - 前記シートベルトのタングと車体側のバックル部材との結合状態を検知する検知装置を更に備え、
前記検知装置が前記タングと前記バックル部材との結合状態を検知したとき、前記切換え装置は、前記解除状態から前記規制状態に切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載のシートベルトリトラクタ。 - 前記第2副スプリングの内端部は、前記スピンドルと一体に回転するリテーナに形成された抜け止め溝に係止され、該抜け止め溝は、その中間部分で屈曲していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシートベルトリトラクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014183575A JP2016055760A (ja) | 2014-09-09 | 2014-09-09 | シートベルトリトラクタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014183575A JP2016055760A (ja) | 2014-09-09 | 2014-09-09 | シートベルトリトラクタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016055760A true JP2016055760A (ja) | 2016-04-21 |
Family
ID=55756493
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014183575A Pending JP2016055760A (ja) | 2014-09-09 | 2014-09-09 | シートベルトリトラクタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016055760A (ja) |
-
2014
- 2014-09-09 JP JP2014183575A patent/JP2016055760A/ja active Pending
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