JP2016054134A - リチウムイオン二次電池正極用組成物 - Google Patents

リチウムイオン二次電池正極用組成物 Download PDF

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光夫 渋谷
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Akiyoshi Inakuma
章誠 稲熊
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Seiji Maeda
誠二 前田
西 栄一
Eiichi Nishi
栄一 西
細田 朋也
Tomoya Hosoda
朋也 細田
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Toru Sasaki
徹 佐々木
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Abstract

【課題】充放電サイクルを向上させうるリチウムイオン二次電池正極用組成物の提供。
【解決手段】(A)式(1)のポリビニルアルコール系樹脂、(B)水酸基と反応する官能基を有するフッ素樹脂、(C)分散媒、(D)ポリビニルアルコール系以外の水溶性高分子、(E)リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物を含有するリチウムイオン二次電池正極用組成物。

〔R〜RはH又は有機基;Xは単結合又は結合鎖〕
【選択図】なし

Description

本発明はリチウムイオン二次電池の正極を作製するために用いられる組成物に関する。
リチウムイオン二次電池電極用バインダーとしては、一般に、活物質との結着力が優れているという理由から、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素系ポリマーが広く用いられている。さらに、折り曲げ、湾曲などが施されても、集電体から活物質が脱離、剥離などしないような結着性を有する必要がある。
このような観点から、例えば、特許文献1では、フッ素系ポリマーと共役ジエン系ポリマーとを水に分散させたバインダーが提案されている。しかしながら、リチウムイオン二次電池の小型化、薄型化、高性能化に伴い、電極用バインダーについても、より優れた耐溶剤性を有し、集電体の折り曲げ、屈曲に対しても結着力を保持でき、さらに繰り返し行われる充放電の安定性に優れたバインダーに対する要求が高まっている。
一方、昨今では、正極活物質、特に高電位を発現するニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とコバルト(Co)の三元系の複合酸化物、例えば(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)に対して使用できる水性バインダーが求められている。しかし、負極用バインダーの結着樹脂として一般に用いられているスチレンブタジエンゴム(SBR)等を正極用バインダーに用いると、電気化学的安定性が不十分であり、実用上、使用困難である。また、正極活物質のバインダーで一般に用いられているPVDFの場合、水に対する親和性が乏しいために、水を分散媒として使用することは困難である。また、PVDFは、電解液に膨潤しやすく高電位下での耐性に乏しいため、PVDFを結着樹脂とするバインダーは、電池の充放電特性等の耐久性に不十分な傾向がある。更に、電解液の溶媒としてエチレンカーボネート等のカーボネート系溶媒を用いると、カーボネート系溶媒が徐々に分解するので充分なサイクル特性が得られないという課題があった。
そこで、例えば特許文献2の発明では、電解液の溶媒としてフッ素化エーテル系溶媒を使用することで、正極活物質にリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池において、充放電サイクル特性を改善させることが試みられている。
しかしながら、特許文献2の発明では、大量のフッ素化エーテル系溶媒を使用することによりコストが上昇する割には、充放電サイクルにおける放電容量維持率の改善は劇的ではなく、まだまだ改良の余地を残すものであった。
また、特許文献3には、正極活物質にリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物を用いたリチウム二次電池用電極合剤において、水分散性高分子系バインダーとして水性エマルジョンおよび/または水性ディスパージョンを用いることが開示され、これら水性のバインダーを用いることによって初期放電容量の低下を防止できることが記載されている。
しかしながら、このエマルジョンの成分は、ポリビニルアルコールとエチレン−酢酸ビニル共重合(特許文献3の段落〔0094〕)、界面活性剤とエチレン−酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル酸共重合体(同文献の段落〔0095〕)、界面活性剤と塩化ビニル−エチレン共重合体(同文献の段落〔0096〕)などであり、これらのエマルジョンのコア成分はいずれも一般電解液に対し膨潤性があるので、充放電サイクルによる影響は少なからずあるものと考えられる。
また、界面活性剤を使用すると、活物質間の結着にゆるみを及ぼすおそれもある。特にポリテトラフルオロエチレン系水性ディスパージョンでは、造膜性に乏しく、バインダー力が不足し、電池の充放電サイクル特性に支障を来す可能性がある。
さらに、二次電池の性能は、初期充放電容量だけではなく、充放電サイクル特性も重要であるが、特許文献2にはこの点についてほとんど言及がなく、特許文献2の発明は充放電サイクル特性についてはまだまだ改良の余地が残るものといえる。
また、一般に、正極活物質としてニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とコバルト(Co)の三元系の複合酸化物を使用したリチウムイオン二次電池においては、高電圧充電(例えば、4.3〜4.6V)が可能であるため、高出力化を図ることができる。
しかしながら、そもそも酸化力の強いマンガン、コバルトを含んでいる上、高電圧が負荷される状態で使用されるため、バインダーや非水電解液が酸化分解して劣化するおそれがある。そのため、正極の内部抵抗の原因となる酸化皮膜が正極活物質表面に生じて、容量や耐久性等の低下などの電池性能が低下するおそれがある。
特開2002−231251号公報 特開2013−41793号公報 特開2010−170993号公報
本発明は、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上させることができるリチウムイオン二次電池正極用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、正極活物質としてリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池正極用組成物の作成に際して、バインダー組成物として、ポリビニルアルコール系樹脂と、当該ポリビニルアルコール系樹脂の水酸基と反応する極性官能基を有するフッ素系樹脂とを反応させた化合物の乳化分散液を用いることによって、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上できることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)下記式(1)で表わされる構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂、
〔式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表し、Xは単結合又は結合鎖を示す〕
(B)水酸基と反応する極性官能基を有するフッ素系樹脂、
(C)分散媒、
(D)前記(A)ポリビニルアルコール系樹脂を除く水溶性高分子、及び
(E)リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物からなる正極活物質
を含有するリチウムイオン二次電池正極用組成物(以下、単に「正極用組成物」と称することがある。)である。
本発明の正極用組成物を用いて作成した正極をリチウムイオン二次電池に用いることによって、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上させることができる。
本効果が得られる理由は、明らかではないが、正極活物質表面での非水電解液の酸化分解が抑制されるためであると考えられる。詳細には、バインダー樹脂に使用されている特定のポリビニルアルコール系樹脂における側鎖1,2−ジオール成分が酸化されることによって、非水電解液が還元的保護作用を受けて酸化が抑制され、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性が向上するものと考えられる。
図1は実施例1における(2)電気化学安定性の評価結果を示すグラフである。 図2は実施例1における(5)XPSの評価を示すグラフである。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
本発明のリチウムイオン二次電池正極用組成物は、(A)式(1)で表わされる構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂、(B)水酸基と反応する極性官能基を有するフッ素系樹脂(以下、「(B)極性官能基含有フッ素系樹脂」又は「(B)成分」とも称する。)、(C)分散媒、(D)前記(A)ポリビニルアルコール系樹脂を除く水溶性高分子(以下、「(D)水溶性高分子」又は「(D)成分」とも称する。)、及び(E)リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物からなる正極活物質を含有するものである。
本発明の正極用組成物における(A)成分と(B)成分は、正極用活物質と集電体および正極活物質同士を結着するバインダーである。以下、かかる(A)成分と(B)成分の組成物を「バインダー組成物」と称することがある。
以下、各成分について説明する。
〔(A)式(1)で表わされる構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂〕
本発明で用いられる(A)ポリビニルアルコール系樹脂とは、下記式(1)で示されるように、側鎖1,2−ジオール単位を有するポリビニルアルコール系樹脂(以下、「(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂」又は「(A)成分」とも称する。)をいう。
上記式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表す。R〜Rは、すべて水素原子であることが望ましいが、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば有機基であってもよい。該有機基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じてハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有する有機基であってもよい。
上記式(1)中、Xは単結合又は結合鎖であり、非晶部におけるフリーボリューム(分子間空隙)低減による耐電解液性(即ち、電解液による膨潤が起こり難い性質)の点から、単結合であることが好ましい。上記結合鎖としては、特に限定されず、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素は、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていてもよい)の他、−O−、−(CHO)m−、−(OCH)m−、−(CHO)mCH−、−CO−、−COCO−、−CO(CH)mCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)が挙げられる。なかでも、製造時の粘度安定性や耐熱性等の点で、炭素数6以下のアルキレン、特にメチレン、あるいは−CHOCH−が好ましい。
上記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における特に好ましい構造は、R〜Rがすべて水素原子であり、Xが単結合である。すなわち、下記構造式(1a)で示される構造単位が特に好ましい。
以上のような構成を有する側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂は、側鎖の1,2−ジオール単位、すなわち側鎖のOH基と、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂の極性官能基とが反応、あるいは水素結合によって互いに結びつき合うことが可能となる。これにより、(A)成分と(B)成分との親和性が向上する。両成分の親和性の向上は、マトリックス成分である側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(又は極性官能基含有フッ素系樹脂)中に、(B)成分である極性官能基含有フッ素系樹脂(又は側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂)の微分散が可能となることを意味する。この点、側鎖に1,2−ジオール単位を有していない従来のPVA系樹脂においても、分子鎖中にOH基を有しているが、主鎖中のOH基は、すべて2級水酸基であるために、側鎖の1,2−ジオール単位中の1級水酸基と比べて、(B)成分に含まれる極性官能基との反応性が小さく、均一分散した樹脂組成物が得られにくい傾向にある。また、従来のPVA系樹脂では、側鎖1,2ジオールを有していない故、結晶化度が高く、その結果、融点が高くなり分解温度に近くなるため、分解しやすくなり、溶融に伴う押出反応には適さない。
このような側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂は、特に限定されず、(i)ビニルエステル系モノマーと下記式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記式(3)で示されるビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記式(4)で示される2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法などにより、製造することができる。
上記式(2)(3)(4)中、R〜Rは、いずれも式(1)の場合と同様である。R及びRは、それぞれ独立して水素またはR−CO−(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基)である。R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子又は有機基であり、有機基は式(1)の場合と同様である。
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825号公報に説明されている方法を採用できる。
なかでも、共重合反応性及び工業的な取扱いにおいて優れるという点で、(i)の方法が好ましく、特にR〜Rが水素、Xが単結合、R、RがR−CO−であり、Rがアルキル基である3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましく、その中でも特にRがメチル基である3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、式(2)〜(4)で示される化合物)の他に、本発明の効果に影響与えない範囲(通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下)であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類;さらにビニレンカーボネート類やアクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル、アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物やヒドロキシメチルビニリデンジアセテートが共重合されていてもよく、具体的には、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパンなどが共重合されていてもよい。なかでも、ビニルアルコール構造単位と共晶を形成できる点でエチレン、非晶部の水素結合を維持できる点でヒドロキシメチルビニリデンジアセテートがそれぞれ特に好ましい。
ビニルエステル系モノマーと上記式(2)、(3)、又は(4)の重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。
中でも、反応熱を効率的に除去できる溶液重合を還流下で行うことが好ましい。溶液重合の溶媒としては、通常はアルコールが用いられ、好ましくは炭素数1〜3の低級アルコールが用いられる。
得られた共重合体のケン化についても、PVA系樹脂で、従来より行われている公知のケン化方法を採用することができる。すなわち共重合体をアルコール又は水/アルコール溶媒に溶解させた状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行うことができる。前記アルカリ触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートを用いることができる。
ケン化反応の反応温度は、通常20℃〜60℃である。反応温度が低すぎると、反応速度が小さくなり反応効率が低下する傾向があり、高すぎると反応溶媒の沸点以上となる場合があり、製造面における安全性が低下する傾向がある。なお、耐圧性の高い塔式連続ケン化塔などを用いて高圧下でケン化する場合には、より高温、例えば、80〜150℃でケン化することが可能であり、少量のケン化触媒も短時間、高ケン化度のものを得ることが可能である。
以上のような側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂の粘度平均重合度は、通常300〜1000、好ましくは400〜700、特に好ましくは450〜600である。粘度平均重合度が高くなりすぎると、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂と溶融混合にて混合する場合に溶融粘度が高くなりすぎて、溶融混練時の押出機に負荷がかかり、溶融混練時のせん断発熱により、樹脂温度が高くなり、樹脂が劣化することがある。一方、粘度平均重合度が低くなりすぎると、バインダー組成物がもろくなるため、クラックが入りやすく、得られる電池の性能が低下する可能性が生じる。
また、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂におけるビニルエステル部分のケン化度は、JIS K6726に基づいて測定した値で、通常98〜100モル%、好ましくは99〜100モル%、より好ましくは99.5〜99.9モル%である。ケン化度が低くなることはOH基の含有量が少なくなることを意味し、ケン化度が低くなりすぎると、電解液に膨潤し易くなり、正極バインダーとしての耐久性の面で好ましくないことがある。一方、高ケン化度、特に完全ケン化のPVA系樹脂は、工業的に生産が困難になる傾向がある。
上記式(1)で表わされる構造単位の含有率(側鎖1,2−ジオール含有率)は、PVA系樹脂構成モノマー全体に対して、通常2〜20モル%、好ましくは4〜15モル%、特に好ましくは5〜12モル%である。側鎖1,2−ジオール含有率が高くなるのに伴って、融点や結晶化度が低下するので、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂と溶融混合にて混合する場合の作業効率向上の点で好ましいが、側鎖1,2−ジオール含有率が高くなりすぎると、PVA系樹脂そのものの生産性が低下する傾向がある。一方、側鎖1,2−ジオール含有率が低くなりすぎると、未変性のPVA系樹脂に近づくことになるため、上記利点が得られ難い傾向がある。また、(B)成分である極性官能基含有フッ素系樹脂との反応点又は水素結合形成部が少なくなるため、樹脂組成物における(B)成分の分散性が低下する傾向にある。
〔(B)極性官能基含有フッ素系樹脂〕
本発明で用いられる、水酸基と反応する極性官能基を含有するフッ素系樹脂とは、フッ素系樹脂に、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂が有する側鎖のOH基(水酸基)と反応可能であるか又は当該水酸基と水素結合を形成可能である極性官能基が導入されたフッ素系重合体をいう。
前記極性官能基は、当該水酸基と反応可能であるか又は当該水酸基と水素結合を形成可能である官能基であり、例えば、カルボニル含有基又は水酸基が挙げられ、好ましくはカルボニル含有基である。これら極性官能基は1種又は2種以上がフッ素系樹脂に導入され得る。
前記カルボニル含有基としては、例えば、カーボネート基、ハロホルミル基、アルデヒド基(ホルミル基を含む)、ケトン基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボン酸無水物基、イソシアナト基であり、好ましくはカーボネート基、フルオロホルミル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルボン酸無水物基であり、特に好ましくはカルボン酸無水物基である。
極性官能基含有フッ素系樹脂を構成するフッ素系樹脂は、構成モノマーとして、少なくとも、テトラフルオロエチレンを含むフッ素系共重合体であることが好ましい。フッ素系共重合体には、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、CH=CX(CF)n Y(X、Yはそれぞれ独立にフッ素原子又は水素原子であり、nは2〜10の整数である。)で表わされるモノマー(以下、当該モノマーを「FAE」と称することがある。)等の他のフッ素含有ビニルモノマーの他、エチレン、プロピレンなどのオレフィン系ビニルモノマー、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、他のハロゲン含有ビニルモノマーが共重合されていてもよい。
前記FAEにおいて、式中のnは、好ましくは2〜8であり、特に好ましくは2〜6であり、更に好ましくは2,4,6である。nが2未満であると、正極用組成物の成形体である正極の耐ストレスクラックが低下する傾向にある。nが10を超えると、重合反応性が不十分になる傾向がある。なかでも、nが2〜8の範囲にあると、FAEの重合反応性が良好である。さらには、耐ストレスクラック性に優れた正極が得られやすくなる。FAEは1種又は2種以上を用いることができる。このようなFAEの好ましい具体例としては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH等が挙げられる。FAEとしては、CH=CH−Rf(Rfは炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基)が特に好ましい。
上記フッ素系樹脂の具体例としては、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/CH=CH−Rf(Rfは炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基)系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/CH=CH−Rf(Rfは炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基)系共重合体などが挙げられる。
これらのうち、エチレンを構成モノマーとして含有するフッ素系共重合体が好ましく、例えば、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/CH=CH−Rf(Rfは炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基)系共重合体、及びエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/CH=CH−Rf(Rfは炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基)系共重合体からなる群より選択される一種であることが好ましい。特に好ましくは、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体(以下、エチレンを「E」、テトラフルオロエチレンを「TFE」、ヘキサフルオロプロピレンを「HFP」と表し、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体をE/TFE系共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体を「E/TFE/HFP系共重合体」と表わすことがある。)である。
また、正極の耐ストレスクラック性を改善したり、若しくはフッ素系樹脂の生産性を良好に保つために、E/TFE系共重合体やE/TFE/HFP系共重合体に、CH=CH−Rf(Rfは炭素数2〜6のペルフルオロアルキル基を示す。)なるコモノマーを共重合することも好ましい。なお、当該CH=CH−RfにおけるRfの炭素数は4が特に好ましい。
上記のようなフッ素系樹脂に、極性官能基を導入する方法としては、TFEやHFP等のフッ素含有ビニルモノマーを重合してフッ素系樹脂を製造する際に、フッ素含有ビニルモノマーと極性官能基を有するビニルモノマーとを共重合させる方法;極性官能基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤の存在下にフッ素含有ビニルモノマーを重合することにより、重合体末端に極性官能基を導入する方法;極性官能基を有するビニルモノマーとフッ素系樹脂とを混錬した後、放射線照射する方法;極性官能基を有するビニルモノマー、フッ素系樹脂及びラジカル開始剤を混錬した後、溶融押出しすることにより当該極性官能基を有するコモノマーをフッ素系樹脂にグラフト重合する方法等が挙げられる。これらのうち好ましくは、特開2004−238405号公報に記載のように、フッ素含有ビニルモノマーと、極性官能基を有するコモノマー、例えば無水イタコン酸や無水シトラコン酸とを共重合させる方法である。
前記極性官能基を有するビニルモノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネンー2,3−ジカルボン酸無水物(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物ともいう)等のカルボン酸無水物基を与えるモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸、CF=CFOCFCFCFCOOH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOH、CH=CHCFCFCFCOOH等のカルボキシル基を与えるモノマー、及びそれらのメチルエステル、エチルエステル等のアルキルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等を用いることができる。
また、前記極性官能基を有する重合開始剤としては、例えば、パーオキシカーボネート基を有するパーオキシド、パーオキシエステルを有するパーオキシドを用いることができ、中でも、パーオキシカーボネート基を有するパーオキシドがより好ましく用いられる。パーオキシカーボネート基を有するパーオキシドとしては、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等が好ましく用いられる。
また、極性官能基を有する連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、無水酢酸等のカルボン酸、チオグリコール酸、チオグリコール等が挙げられる。
(B)成分(極性官能基含有フッ素系樹脂)における極性官能基の含有率((極性官能基のモル数/フッ素系樹脂構成モノマーのモル数)×100)は、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.05〜5モル%、特に好ましくは0.1〜3モル%である。官能基の量が少なすぎると、(A)成分との親和性が低下し、得られる正極におけるバインダーの耐電解液性、結着強度、柔軟性等が低下する傾向がある。
本発明で使用する極性官能基含有フッ素系樹脂は、融点が通常120〜220℃であり、好ましくは150〜210℃、特に好ましくは170〜190℃である。通常は、極性官能基の含有率が上記範囲内にある極性官能基含有フッ素系樹脂では、融点が上記範囲となる。(A)PVA系樹脂と溶融混合にて混合する場合において、(B)成分の融点が(A)成分の融点よりも高くなりすぎると、バインダー組成物を製造する際に溶融温度を250〜290℃の高温まで上げる必要があり、その結果、(A)PVA系樹脂の劣化や分解を引き起こす傾向がある。
(B)成分に使用するフッ素系樹脂の容量流速(以下「Q値」という。)は、通常0.1〜1000mm/秒であり、好ましくは1〜500mm/秒、特に好ましくは2〜200mm/秒である。Q値は、フッ素系樹脂を溶融成形する場合に問題となる樹脂の溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。すなわち、Q値が大きいと分子量が低く、小さいと分子量が高いことを示す。ここで、Q値は、島津製作所社製フローテスタを用いて、当該フッ素系樹脂の融点よりも50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出すときの樹脂の押出し速度である。Q値が小さすぎると、(A)PVA系樹脂と溶融混合にて混合する場合の作業効率が低下する傾向があり、大きすぎると樹脂の機械的強度が低下し、得られる正極における耐電解液性、結着強度、柔軟性等が低下する傾向がある。
以上のような(B)極性官能基含有フッ素系樹脂の製造方法については、特に制限はなく、通常は、フッ素含有ビニルモノマー、その他のコモノマーを反応器に装入し、一般に用いられているラジカル重合開始剤、連鎖移動剤を用いて共重合させる方法が採用できる。重合方法の例としては、それ自身公知の方法が挙げられ、例えば、塊状重合;重合媒体としてフッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合;重合媒体として水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合;重合媒体として水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合が挙げられるが、溶液重合が好ましい。重合は、一槽ないし多槽式の撹拌型重合装置、管型重合装置等を使用し、回分式又は連続式操作として実施することができる。
ラジカル重合開始剤は、例えば、半減期が10時間である温度が通常0〜100℃である開始剤であり、好ましくは20〜90℃である開始剤である。例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート;tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル;イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の非フッ素系ジアシルペルオキシド;(Z(CF)pCOO)(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、pは1〜10の整数である。)等の含フッ素ジアシルペルオキシド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
重合媒体としては、上記したようにフッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒、水性媒体等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール;1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン;1−ヒドロトリデカフルオロヘキサン等の含フッ素ハイドロカーボンなどが挙げられる。
重合条件は特に限定されず、例えば、重合温度は通常0〜100℃であり、好ましくは20〜90℃である。また重合圧力は通常0.1〜10MPaであり、好ましくは0.5〜3MPaである。重合時間は、重合温度及び重合圧力等により変わりうるが、通常1〜30時間であり、好ましくは2〜10時間である。
<(A)成分と(B)成分を含有するバインダー組成物の調製>
本発明の正極用組成物において、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂と(B)極性官能基含有フッ素系樹脂との含有重量比(A/B)は、通常80/20〜50/50であり、好ましくは80/20〜60/40、さらに好ましくは75/25〜60/40、特に好ましくは70/30〜60/40である。
上記のように、バインダー組成物において(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂がマトリックスを形成する場合、伝導率の向上に寄与するとともに、正極用活物質の電解液に対する膨潤が抑制され耐久性に優れた電極の形成が可能となる。したがって、充放電サイクル中のダメージが少なくなる効果が得られる。
本発明によって得られる正極におけるバインダーは、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂の側鎖1,2−ジオール単位と、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂の極性官能基との反応又は水素結合形成により、両成分が高い親和性を有し、マトリックスとなる(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂の海中に、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂が、通常500nm以下の微小な島として分散することができる。
したがって、充放電時の正極の変形時に受けた応力は、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂マトリックスと極性官能基含有フッ素樹脂ドメイン界面でのミクロクレーズの発生による応力緩和で、PVA系樹脂の柔軟性を改善することができると思われる。
しかも、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂は、フッ素系樹脂本来の耐電解液性を有していることから、PVA系樹脂本来の優れた耐電解液性を損ない難いので、PVA系樹脂がマトリックスとなる樹脂組成物の被膜は優れた耐電解液性を有している。
(A)成分と(B)成分との混合は、例えば、ドライブレンド、溶融混練、溶液混合などにより行うことができる。本発明においては、上記のように(A)成分と(B)成分が反応することが好ましいため、反応と混合を短時間で同時に行うことが可能な溶融混練法が好ましい。
かかる点から、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂と(B)極性官能基含有フッ素系樹脂の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度比(ηA/ηB)は、通常1/5〜5/1であり、好ましくは1/3〜3/1、特に好ましくは1/2.5〜2/1の範囲である。かかる溶融粘度比が大きすぎても、小さすぎても、溶融混練時に均一に混合できない傾向がある。すなわち、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂と(B)極性官能基含有フッ素系樹脂の溶融粘度は近いほうが好ましい傾向がある。
かかる溶融混練に使用する装置としては、混練機、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダールーダー、ブラストミルなどが挙げられ、特に連続的に処理することが可能で、混合効率に優れる押出機を用いる方法が好適である。
かかる押出機としては、単軸押出機、二軸押出機のいずれも用いることができる。中でも、二軸押出機、特にスクリュー回転方向が同方向の二軸押出機が適度なせん断により十分な混練が得られる点で好ましい。
押出機のL/Dは、通常10〜80であり、好ましくは15〜75、特に好ましくは15〜70である。L/Dが小さすぎると、溶融混練が不十分となり、均一分散性が不十分となる傾向がある。一方、L/Dが大きすぎると、過度のせん断や過度の滞留によって、せん断発熱による分解を引き起こす傾向がある。
スクリュー回転数は、通常10〜400rpmであり、好ましくは30〜300rpmであり、特に好ましくは50〜250rpmである。小さすぎると、吐出が不安定になる傾向があり、大きすぎると、せん断発熱によって樹脂が劣化することがある。
押出機内における溶融時の樹脂温度は、通常は170〜250℃であり、好ましくは180〜240℃であり、特に好ましくは190〜235℃である。組成物温度が高すぎると、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂と(B)極性官能基含有フッ素系樹脂との反応が進行しすぎたり、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂が劣化するなどによりゲル化することがある。一方、低すぎると、溶融混練が不十分となって、両樹脂の混合が不十分となり、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂の(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂中への分散が不良傾向となる。
なお、組成物温度の調整は、通常は押出機内のシリンダーの温度、及び回転数を適宜設定することにより行うことができる。
以上のようにして得られたバインダー組成物の形状は、通常はペレットやミニペレット、球状などの形状とすることができる。
なお、かかるペレット形状への成形は公知の方法にて行なうことができる。中でも、上述の押出機からストランド状に押出し、冷却後に所定の長さに切断し、円柱状のペレットとする方法が効率的である。冷却は、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂を溶解しない低温の有機溶剤、例えばアルコール系溶剤等に接触させることによって行なってもよいし、冷風を吹き付けることによって行なってもよい。環境や安全性の点から、空冷が好ましい。
ペレットの形状は、特に限定されず、例えば円筒状、球状などである。ペレットのサイズについても特に限定されず、円筒状ペレットの場合、径1〜6mmで長さ1〜6mmが好ましく、球状ペレットの場合、径1〜5mmが好ましい。また、後述の水に乳化し効率よくエマルジョン化させるためには、径が通常0.1〜2mm、特に0.5〜1mmであり、長さが通常0.5〜2.5mm、特に1〜2mmのミニペレットが好ましい。
なお、押出機から吐出された(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂がまだ溶融状態である間に、大気中あるいは有機溶剤中でカットすると、球状に近いペレットが得られるため好ましい。
〔(C)分散媒〕
本発明の正極用組成物は、(A)成分及び(B)成分を含有するバインダー組成物を分散ないし溶解させるために、(A)成分と均一に混合できる又は(A)成分を溶解する液体を分散媒として含有する。
上記分散媒としては、例えば、水、水とアルコールの混合液、及びアミド系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロピルアルコールなどの低級アルコールが用いられる。アミド系溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミドなどが用いられる。中でも水のみを用いることが好ましい。
なお、水/アルコール混合液の場合、水とアルコールの混合比率(水/アルコール)は、通常100/0〜40/60であり、好ましくは90/10〜50/50、特に好ましくは85/15〜60/40である。アルコールが多すぎると、乳化分散性が不十分となり、乳化液の保存安定性が低下し、乳化液の粘度上昇をきたして、乳化液の取扱性が低下する傾向がある。
<バインダー組成物の乳化分散液の調製>
本発明の正極用組成物では、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂の水酸基、特に1級水酸基と、(B)極性官能基含有フッ素系樹脂に含有されている極性官能基(好ましくはカルボキシル基又はカルボン酸無水物基)との反応又は水素結合の形成による溶融反応生成物等が相溶化剤として働くことができ、(A)成分のマトリックス中に(B)成分が微分散した状態となっている。
したがって、(A)成分及び(B)成分を含有するバインダー組成物と(C)分散媒とを混合すると、海部分を構成していた(A)成分が分散媒に溶解した結果、(A)成分の水酸基、特に1級水酸基と(B)成分に含有されている極性官能基(好ましくはカルボキシル基又はカルボン酸無水物基)との反応又は水素結合形成による生成物が高分子保護コロイド剤として作用して、島部分を構成していた(B)成分が分散媒中に分散した乳化分散液となる。
通常は、水、水/アルコール混合液、アミド系溶媒のような分散媒中にフッ素系樹脂が単独では分散できないが、(A)成分との反応生成物が、分散質である(B)成分の周囲を保護コロイドとして取り囲んだような球状となることで、(B)成分が安定的に存在できているのではないかと考えられる。
かかる乳化分散液は、(A)成分及び(B)成分を含有するバインダー組成物を分散媒中に投入し、必要に応じて攪拌し、好ましくは加熱しながら攪拌することにより調製することができる。
かかる乳化分散液におけるバインダー組成物((A)成分及び(B)成分)(固形分)の濃度は、乳化分散液全量に対して、通常1〜50重量%であり、好ましくは3〜45重量%、特に好ましくは7〜40重量%である。樹脂濃度が高すぎると、乳化液の粘度が高くなる傾向がある。逆に、樹脂濃度が小さすぎると、乳化分散液の分散安定性が低下する傾向にある。
なお、本発明における固形分とは、乾燥減量法により測定した値を意味する。
特に、分散媒として水を用いる場合、乳化分散液全量に対する前記バインダー組成物(固形分)の濃度は、通常10〜50重量%であり、好ましくは20〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。また、分散媒としてN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を用いる場合、乳化分散液全量に対する前記バインダー組成物(固形分)の濃度は、通常1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは7〜15重量%である。
上記加熱温度は、通常20〜80℃であり、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは50〜68℃である。特に限定しないが、高温の方が乳化分散時間を短縮できるという点で好ましい。攪拌時間は、通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜7時間、特に好ましくは1〜5時間である。攪拌装置としては、特に限定はなく、ブルーマジン、パドル、マックスブレンド(登録商標)、ファウドラーなどを有する攪拌装置、フィルミックス(登録商標)、あわとり練太郎(登録商標)、スターバスト等の装置も使用することができる。
以上のようにして調製される乳化分散液において、分散質である(B)成分(保護コロイド層を含む)の粒径は、粒系分布評価装置LA−950V2(堀場レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置)で測定した粒径にて、通常100〜900nm、好ましくは150〜700nm、特に好ましくは150〜450nm程度の粒径であり、安定的に分散して存在することかできる。
皮膜抵抗の比較的大きな(A)成分が過剰に正極活物質を被覆することを抑制するためには、(A)成分の被膜中に(B)成分が上記の適度なサイズで適正量が分散して存在することが重要と考えられる。
〔(D)前記(A)ポリビニルアルコール系樹脂を除く水溶性高分子〕
本発明で用いられる水溶性高分子は、本発明の正極用組成物の粘度等を調節する働きをするものであり、例えば、(A)成分以外のPVA系樹脂やその他の水溶性高分子などが挙げられる。
(A)成分以外のPVA系樹脂としては、例えば、未変性PVA系樹脂;カルボキシル基含有PVA系樹脂;ホルマール化PVA系樹脂、ブチラール化PVA系樹脂等のPVA系樹脂のアセタール化物;PVA系樹脂のウレタン化物;PVA系樹脂のスルホン酸、カルボン酸等とのエステル化物;末端チオール変性PVA系樹脂;ケイ素官能基含有PVA系樹脂;アセトアセチル基含有PVA系樹脂;オキシエチレン基含有PVA系樹脂、オキシプロピレン基含有PVA系樹脂等のオキシアルキレン基含有PVA系樹脂;エチレンやプロピレン等のα−オレフィン含有PVA系樹脂等のビニルエステル及び該ビニルエステルと共重合可能なモノマーとの共重合体ケン化物等が挙げられる。
その他の水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミノメチルヒドロキシプロピルセルロース、アミノエチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体類;デンプン、トラガント、ペクチン、グルー、アルギン酸又はその塩;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸又はその塩ポリメタクリル酸又はその塩;ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド等のアクリルアミド類;酢酸ビニルとマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等不飽和酸との共重合体;スチレンと上記不飽和酸との共重合体;ビニルエーテルと上記不飽和酸との共重合体;及び前記不飽和酸と各共重合体の塩類又はエステル類、カラギーナン、キサンタンガムなどの多糖類等が挙げられる。中でも、セルロース誘導体類を用いることが好ましい。
かかる(D)成分の含有量は、本発明の正極用組成物の粘度が所望の粘度となるべく適宜調整することができる。例えば、固形分換算で、正極活物質100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.1〜4重量部である。
〔(E)リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物からなる正極活物質〕
本発明で用いられる正極活物質としては、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物からなる正極活物質であり、例えば、LiNi1/3Mn1/3Co1/3が挙げられる。
なお、他の正極活物質、例えば、LiMPO(M=Fe、Mn、Co、Niなど)で示されるオリビン型リン酸鉄金属リチウム類、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物等を用いてもよいが、特に酸化力の高い金属を有するリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物を用いる場合に、本発明の効果が有効に得られる傾向にある。
正極活物質の平均粒子径は、特に限定されず、通常1〜100μmであり、好ましくは1〜50μm、特に好ましくは1〜25μmである。なお、正極活物質の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定(レーザ回折散乱法)により測定された値を採用するものとする。
本発明の正極用組成物中の正極活物質の含有量は、通常10〜98重量%、好ましくは20〜95重量%、特に好ましくは35〜95重量%である。
本発明の正極用組成物における結着樹脂の含有量、すなわち(A)成分及び(B)成分の含有総量は、固形分換算で通常0.5〜5重量%であり、好ましくは0.5〜3重量%、特に好ましくは0.5.5〜2.5重量%である。
また、本発明の正極用組成物における正極活物質とバインダー組成物との含有比率は、正極活物質100重量部に対して、バインダー組成物が、固形分換算で通常0.1〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.1〜4である。バインダー組成物の含有量が多くなりすぎると、内部抵抗が増大する傾向がある。一方、少なすぎると、所望の結着力が得られず、電極が不安定となり、充放電サイクル特性が低下する傾向がある。
本発明の正極用組成物には、成分(A)〜(E)以外の他の物質が含まれてもよい。例えば、導電助剤、イオン伝導性ポリマー等が含まれ得る。これらの成分の配合比は、公知の一般的な範囲であり、配合比についても、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整され得る。
導電助剤とは、導電性を向上させるために配合される配合物をいう。導電助剤としては、例えば、黒鉛、アセチレンブラック等のカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF)などの種々の炭素繊維などが挙げられる。本発明においては、高分子の中でも比較的導電性の低い結着剤を用いる場合、導電助剤を配合することが好ましい。特に結着剤として(A)成分を用いる場合、導電助剤としてVGCFを用いることにより、正極活物質が有効に活用されるので、結着剤を多量に用いることに起因する充放電容量の低下が抑制され得る。この際、VGCFの配合量は、正極活物質の合計重量に対して、通常1〜10重量%である。
さらに、正極用組成物の粘度調整、バインダー組成物の配合量調整などを行ない、電極作製時の作業性等を向上させる目的のために、溶媒を追加してスラリー状の組成物を調製してもよい。かかる溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、メタノール、エタノール、高級アルコール等のアルコール系溶媒を用いることができる。
本発明の正極用組成物における各成分の混合は、攪拌機、脱泡機、ビーズミル、高圧ホモジナイザー等を利用して行なうことができる。また、本発明の正極用組成物の調製は、減圧下で行うことが好ましい。これにより、得られる正極活物質層内に気泡が生じることを防止することができる。
以上のようにして調製される正極用組成物を集電体上に塗布、乾燥することにより、集電体上に正極層を形成することができる。必要に応じて、塗布後、プレスして密度を上げることが好ましい。
正極に用いられる集電体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、タンタル、ステンレス、チタン等の金属材料が挙げられ、目的とする蓄電デバイスの種類に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明の正極用組成物を集電体に塗布する方法としては、ドクターブレード法、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法等が挙げられる。また、本発明の正極用組成物による塗布膜の乾燥処理の条件としては、処理温度が通常20〜250℃であり、好ましくは50〜150℃である。また、処理時間は通常1〜120分間であり、好ましくは5〜60分間である。
正極活物質層の厚さ(集電体上の塗布層の片面の厚さ)は、通常20〜500μmであり、好ましくは20〜300μm、特に好ましくは20〜150μmである。
〔リチウムイオン二次電池〕
本発明の正極用組成物を用いて作製された正極を有するリチウムイオン二次電池について説明する。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液、セパレータを少なくとも有する。
負極は負極活物質がバインダーにより集電体上に結着して形成され、負極の作製は上記の正極の作製と同様である。バインダーとしては、本発明の正極用組成物に含有されるバインダーだけでなく、公知の一般的なバインダーを用いることができる。
負極活物質としては、炭素材料が好ましい。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛系炭素材料(黒鉛)、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。好ましくは、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛などの黒鉛である。負極活物質の平均粒子径、正極用組成物中の負極活物質の含有量等は、正極活物質に関する場合と同様である。
負極に用いられる集電体としては、リチウムイオン二次電池の負極の集電体として一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、負極(炭素電極)が機能する電位範囲において電気化学的に不活性な金属であることが求められることから、銅、ニッケルといった金属箔、エッチング金属箔、エキスパンドメタルなどが用いられる。
電解液としては、リチウム塩を溶解する非プロトン性極性溶媒が用いられる。特に限定されず、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル系高誘電率・高沸点溶媒に、低粘性率溶媒である炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の低級鎖状炭酸エステルを含有させて用いられる。
具体的には、エチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、イソプロピルエチルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチルなどが挙げられ、これらは混合して用いることが好ましい。
さらに、アリルエチルカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、無水マレイン酸、2−ビニルピリジン、酢酸ビニルなどを配合することが、固体電解質界面(Solid Electrolyte Interface :SEI)の生成を補助し、不可逆容量を低下させる点で好ましい。
電解質のリチウム塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCl、LiBr等の無機塩や、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiBC等の有機塩など、非水電解液の電解質として常用されているものを用いることができる。これらのなかでもLiPF、LiN(SOCF、LiBF又はLiClOを用いることが好ましい。
セパレータとしては、特に限定されず、ポリオレフィンの不織布や多孔性フィルム、ポリプロピレンとポリフェニレンエーテルアロイ、ポリオレフィン系フィルムにセラミックコート剤が塗布された耐熱フィルム、アラミドなどを用いることができる。
二次電池の構造としては、特に限定されず、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得る。また、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)については、(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得る。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。
〔測定評価方法〕
はじめに、以下の実施例で採用した測定評価方法について説明する。
(1)水への乳化分散性
バインダー組成物のペレットを、常温の水に投入し、攪拌しながら、80℃の温水をいれた容器に浸漬し、90分間攪拌し乳化分散液を得た。かかる乳化分散液の分散粒子径を、粒系分布評価装置“LA−950V2”(堀場レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置) で測定した。
また、水への乳化分散性を下記基準で評価した。
○:良好な乳化分散液が得られた。
×:沈殿物が生成した。又は完全に溶解した。
(2)電気化学安定性
ビーエーエス社製、V−4Cボルタンメトリー用セルを用いて、電極電位を掃引したときの応答電流の変化を測定した。
作製した電極を作用極(電極面積0.25cm)とし、対極に白金電極、参照電極に銀電極(Ag/Ag:AgSOCF)を用い、電解液として、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合液((EC/EMC=3/7(体積比)、キシダ化学社製)に電解質1MのLiPFを溶解させた溶液を用いた。
電気化学測定システム「ソーラートロン1280Z」(英国ソーラートロン社製)を用いて、電位掃引速度5mV/sec、電位掃引範囲−0.5〜2.4V(対参照電極)にて電極電位を掃引し、応答電流を測定した。測定は温度25℃で5サイクル行った。
測定により得られたボルタモグラム(横軸に印加電位、縦軸に応答電流値として応答電流の変化を表したグラフ)に基づいて、塗膜(正極)の異常の有無を判定することができる。具体的には、スパイク状過渡電流の有無、5サイクルでの電流状況から異常の有無を判定することができ、例えば、5サイクルにおける2.4Vの電流値が0.6mA/cm以下となった場合、塗膜が酸化劣化して脱落剥離することにより、実質的に電流が流れにくくなったと考えられる。
(3)容量維持率(充放電特性評価)
作製したリチウムイオン二次電池を用い、50℃において0.5Cに相当する定電流で4.2Vまで充電し、30秒間の休止後0.5C相当の電流で2.7Vまで放電するサイクル試験を実施した。これを150回繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する150サイクル目の放電容量の容量維持率を求めて、電池の充放電特性の指標とした。
(4)充放電サイクル後の電流休止法による内部抵抗
上記(3)容量維持率の試験で用いたサンプルを用い、25℃で0.5Cに相当する定電流で12分間充電し、1分間休止することを繰り返しながら4.2Vまで充電した。更に0.5Cに相当する定電流で12分充電し、1分間休止を繰り返す。休止から1秒間に観測される電圧変化から計算される抵抗(オーム成分)を内部抵抗として評価した。
(5)XPS(X線光電子分光法)測定評価
上記(3)容量維持率の試験に記載のサイクル試験前後における電極の化学的状態を各元素の結合状態から推定するためにXPS(X線光電子分光法)分析を行った。かかる試験における電極は未試験品及びサイクル試験後品(放電末大気非暴露でサンプリング)を用いた。
〔測定条件〕
使用機器:PHI5000VersaProveII(アルバックファイ)
X線源:Al Kα(hv=1486.6eV)、X Ray setting:200μ(15kV,25W)
Arスパッタリング条件;
加速電圧:2kV
スパッタリング面積:3mm×3mm
測定;
ワイドスペクトル範囲:0.8〜1100eV
ナロースペクトル観察元素:C,O,F,Mn,Ni,Co,P(C1s:284.8eV基準)
最表面および内部(Arエッチング1min)を測定した。
(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂の調製
還流冷却器、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル68.0部、メタノール23.8部、3,4−ジアセトキシ−ブテン8.2部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、共重合体のメタノール溶液とした。
次いで、上記メタノール溶液を、さらにメタノールで希釈し、濃度45%に調整して、ニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して11.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。
ケン化が進行するとともに、ケン化物が析出し、粒状となった時点で濾別した。得られたケン化物をメタノールでよく洗浄して熱風乾燥機で乾燥し、上記構造式(1a)の側鎖1,2−ジオール構造単位を有する側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A1)を得た。
得られた側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A1)のケン化度は、残存酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99.9モル%であった。また、平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、450であった。また、式(1a)で表わされる1,2−ジオール構造単位の含有量は、H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質:テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、6モル%であった。また、MFR(210℃、荷重2160g)は、5.5g/10分、溶融粘度(220℃、せん断速度122sec−1)は1148Pa・sであった。
(B)極性官能基含有フッ素系樹脂(変性フッ素系樹脂)
内容積が430リットルの撹拌機付き重合槽を脱気し、溶媒として、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサン200.7kg及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、AK225cb、以下「AK225cb」という。)55.8kgを仕込み、さらに、重合モノマーとして、1.3kgのCH=CH(CFFを仕込んだ。次いで、重合モノマーとして、122.2kgのヘキサフルオロプロピレン(HFP)、36.4kgのテトラフルオロエチレン(TFE)、1.2kgのエチレン(E)を圧入し、重合槽内を66℃に昇温し、重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの85.8gを仕込み、重合を開始させた。重合中の圧力が一定になるように組成TFE/E=54/46(モル比)のモノマー混合ガスを連続的に仕込み、TFE/Eのモノマー混合ガスに対して、1.0モル%となるようにCH=CH(CFFを、0.35モル%となるように極性官能基含有化合物である無水イタコン酸を、それぞれ連続的に仕込んだ。重合開始3.6時間後、モノマー混合ガスの29kgを仕込んだ時点で、重合槽内の温度を室温まで降温するとともに常圧までパージした。
得られたスラリーから溶媒を留去して、極性官能基として酸無水物基を有するフッ素系樹脂を得、これを130℃で4時間真空乾燥することにより、30kgの酸無水物基含有フッ素系樹脂(B1)を得た。
酸無水物基含有フッ素系樹脂(B1)の結晶化温度は175℃、融点は191℃、Q値は12mm/秒、共重合組成はTFE/E/HFP/CH=CH(CFF/無水イタコン酸=47.83/42.85/7.97/1.00/0.35(モル%)であった。
〔実施例1〕
<バインダー組成物の調製>
上記で合成した側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A1)と酸無水物基含有フッ素系樹脂(B1)とを、(A1)/(B1)=70/30の重量比でドライブレンドして、二軸押出機(テクノベル社製)を用いて、下記条件で溶融混練しペレット化した。
スクリュー径:15mm
L/D=60mm
回転方向:同方向
スクリューパターン:3か所練り
スクリーンメッシュ:90/90メッシュ
スクリュー回転数 :200rpm
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=180℃/200℃/210℃/210℃/215℃/215℃/220℃/220℃/220℃
樹脂温度:225℃
吐出量:1.5kg/hr
分散媒(C)として水を用い、作製したペレットを用いて樹脂分25%になるように調整し、攪拌して側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A1)水溶液分散媒中に酸無水物基含有フッ素系樹脂(B1)粒子が分散した乳化分散液を調製した。更にフィルミックス(登録商標)を用いて 分散条件20m/s:90秒、続いて25m/s:90秒間分散させた。
かかる乳化分散剤において、(1)水への乳化分散性を評価した結果、分散粒子のメジアン径370nm、平均径420nm、算術標準偏差280nmであった。また、乳化分散性を前記基準で評価したところ「○」の評価であった。
〔リチウムイオン二次電池の製造及び評価〕
(リチウムイオン二次電池正極用組成物の調製と正極の作製)
正極活物質としてリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物であるLiNi1/3Mn1/3Co1/3を94.4部、導電助材のアセチレンブラック4部を容器に入れ、あらかじめドライブレンドする。そのドライブレンド物98.4部に、カルボキシメチルセルロース(CMC:ダイセルファインケム社製)1.5%水溶液を固形分換算で0.8部、4回に分けて添加混合し、攪拌した。更に、バインダーとして実施例1の樹脂を用いた乳化分散液を固形分で0.8部添加し混合し、混練りすることでスラリー状の正極用組成物を得た。
次に、この正極用組成物を、集電体である厚さ20μmのアルミ箔上に、アプリケーターで塗布し、80℃で10分間の乾燥後、ロールプレスで圧延し、100℃で10時間減圧乾燥して、正極を得た。
かかる正極について、上記(2)電気化学安定性に基づいて評価したところ、図1に示すとおり、良好な評価結果であった。
(負極の作製)
負極活物質としてMCMB93部、導電助材としてアセチレンブラック2部、バインダーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)5部(NMP8重量%溶液)、さらに追加の分散媒としてNMP(N−メチルピロリドン)を容器に入れ、攪拌し混合して、負極用スラリーを得た。この負極用スラリーを負極集電体として厚さ20μmの銅箔上に塗布し、80℃で10分間乾燥させた後、ロールプレスで圧延し、100℃で10時間減圧乾燥して、負極を得た。
(電池の作製)
作成した正極及び負極を所定のサイズ(正極:30mm×50mm、負極:32mm×52mm)に切り出し、電流取り出しタブを取り付けた。それぞれの電極面がPE製セパレータを介して相対するようにセットし、アルミラミネートフィルムの一方のみをあけてヒートシールした。開いている方向から電解液(1M−LiPF(EC/EMC=3/7(体積比)))を注入し、更にアルムラミネートフィルムの開いている口を減圧シールすることにより、アルミラミネート電池を得た。このアルミラミネート電池の(3)容量維持率及び(4)充放電サイクル後の電流休止法による内部抵抗の評価結果を表1に示す。また、(5)XPS測定評価の結果を表2と図2に示す。
〔参考例1〕
実施例1における酸無水物基含有フッ素系樹脂(B1)を、極性基を含有しないフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)に変更し、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(A1)と極性基非含有フッ素系樹脂とを80/20の重量比でドライブレンドして、実施例1と同様に、バインダーの調製を試みたところ、溶融混合の際に、両成分が分離しストランドがサージングを起こし、溶融張力も不足するなど正極用組成物自体を調製することができなかった。
〔比較例1〕
正極の作製に際して、バインダーとしてPVDFを用いた。即ち、ポリフッ化ビニリデンのN−メチルピロリドン溶液(8重量%)をバインダーとして用い、正極活物質としてリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物であるLiNi1/3Mn1/3Co1/3を93部、導電助材としてアセチレンブラック4部、PVDFを3部添加し、十分に混合攪拌して、正極用スラリーを得た。以降は実施例1と同様にして、アルミラミネート電池を得た。このアルミラミネート電池の(3)容量維持率及び(4)充放電サイクル後の電流休止法による内部抵抗の評価結果を表1に示す。また、(5)XPS測定評価の結果を表2と図2に示す。
表1に示されるとおり、実施例1の正極用組成物から作製された正極を有するリチウムイオン二次電池では、比較例1の場合と比較して、50℃、150サイクル後においても充放電容量維持率は高い値を維持し、また充放電サイクル後の内部抵抗の上昇も少ないことから、実施例1の正極用組成物から作製された正極は長寿命の電池の部材として期待される。例えば、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物を正極活物質に用いた場合のリチウムイオン二次電池の充電電圧4.4Vにも十分対応可能であることが示唆される。
また、XPS測定評価において、本発明に係る実施例1の正極用組成物を用いて得られた正極を用いることにより、サイクル試験後でも、活物質由来の530.0eVのピークが認められた。そして、かかるピークは未試験品と同程度の強度であった。したがって、実施例1にて得られた正極は、充放電により正極活物質表面に酸化膜が形成されず良好な状態であることがわかる。これに対し、比較例1のPVDFを用いた正極では530.0eVのピークは消失した。これは未試験品と比較して活物質表面状態が著しく変化したことを示しており、充放電により活物質表面に酸化膜が形成されたためと考えられる。
本発明によれば、(A)側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂中に(B)極性官能基含有フッ素系樹脂が均一に分散した乳化分散液のバインダーが得られる。かかるバインダーから形成された被膜は、耐電解液性に優れ、しかも充放電前後で正極表面の状態に差がほとんど無く、電気化学安定性に優れている。したがって、電池の長期耐久性が要求され、充放電が繰り返されるリチウムイオン二次電池正極用組成物として、好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. (A)下記式(1)で表わされる構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂、
    〔式中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表し、Xは単結合又は結合鎖を示す〕
    (B)水酸基と反応する極性官能基を有するフッ素系樹脂、
    (C)分散媒、
    (D)前記(A)ポリビニルアルコール系樹脂を除く水溶性高分子、及び
    (E)リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物からなる正極活物質
    を含有するリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  2. 前記リチウムイオン二次電池正極用組成物中における(A)ポリビニルアルコール系樹脂及び(B)フッ素系樹脂の含有総量が0.5〜5重量%である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  3. 前記(A)ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が300〜1000である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  4. 前記(B)フッ素系樹脂における極性官能基がカルボン酸無水物基である請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  5. 前記(B)フッ素系樹脂がエチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体である請求項1〜4の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  6. 前記(B)フッ素系樹脂の融点が120〜220℃である請求項1〜4の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  7. 前記(D)水溶性高分子がセルロース誘導体類である請求項1〜6の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  8. 前記(E)正極活物質がLiNi1/3Mn1/3Co1/3である請求項1〜7の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
  9. 前記(A)ポリビニルアルコール系樹脂と前記(B)フッ素系樹脂との含有重量比(A/B)が80/20〜50/50である請求項1〜8の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池正極用組成物。
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