JP2016053463A - 太陽熱集熱管用管部材 - Google Patents

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隆行 本間
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Abstract

【課題】ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して良好な熱伝導率を有し、熱膨張係数が低減された太陽熱集熱管用管部材を提供する。【解決手段】太陽熱集熱管用管部材11は、熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数以下の金属板から両端部を除いてエキスパンド加工されたエキスパンドメタル12と、エキスパンドメタル12を囲繞するマトリックス金属13とで構成された板状の複合材が、エキスパンドメタル12の両端部12a側において接合されて管状に形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽熱集熱管用管部材に係り、詳しくは内部を流れる熱媒体に太陽熱を集熱して伝達する太陽熱集熱管用管部材に関する。
熱媒体が流通する金属管を太陽熱で加熱することにより、熱媒体を加熱して高温状態とし、その熱で蒸気タービンを駆動して発電するといった太陽エネルギーを利用した発電が考えられている。この時、金属管が大気に露出した状態にあると、太陽熱で加熱された金属管の表面から熱が大気中に拡散してしまうため、金属管の内部を流通する熱媒体を効率良く加熱できないという問題がある。そのため、金属管をガラス管で囲んで二重管構造とし、金属管とガラス管との間に真空の断熱空間(真空層)を形成して、太陽熱で加熱された金属管の熱が大気中に拡散することを防止している。しかしながら、金属管とガラス管とは熱膨張率の差が大きいため、金属管とガラス管との熱膨張差を吸収する熱膨張差吸収手段を設ける必要がある。太陽熱による加熱時の金属管の温度は数100℃(例えば、400℃)に達するため、熱膨張差吸収手段として金属ベローズが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、金属管とガラス管との二重構造を用いずに、図6に示すようなグラスライニング集熱構造体が提案されている(特許文献2参照)。このグラスライニング集熱構造体は、熱媒体51を収容するアルミニウム製の金属管52と、金属管52の外周に設けられたグラスライニング層53と、グラスライニング層53の外周に設けられ可視光波長より小さいナノ気泡を80%以上含むセラミック粒子の不可逆層54と、不可逆層54の外周に設けられた赤外線反射膜55と、赤外線反射膜55の外周に設けられた選択吸収膜56とからなる。
特開2014−31909号公報 特開2014−62653号公報
ところで、金属管に集熱した太陽熱を内部に流通する熱媒体に効率的に伝えるためには、金属管を熱伝導率の高い材料で構成するとよいが、従来の太陽熱集熱管の多くは、熱伝導率が低いステンレス(例えば、SUS316など)からなる金属管を用いていたため集熱効率がさほど高くなかった。これに対して、アルミニウム及びアルミニウム合金は、鋼やステンレスに比べて熱伝導率が一桁大きく、また比重が小さいため熱媒体を加熱する集熱管の構成材料としては好ましい。しかしながら、アルミニウムの熱膨張係数(23.1×10−6/℃)はステンレスの熱膨張係数(17×10−6/℃)よりも高いため、ガラスとの熱膨張係数差が大きくなり、アルミニウムを用いた金属管とガラス管との二重管構造により太陽熱集熱管を構成した場合は、ステンレス製の金属管とガラス管との二重管構造からなる従来の太陽熱集熱管に比較して大きなベローズ等の熱膨張差吸収手段が必要となる。ベローズ等の熱膨張差吸収手段を設けた部分については、金属管で太陽光を集熱することができない部分になるため太陽熱の集熱面積が小さくなってしまうという不具合が発生する。
一方、特許文献2のグラスライニング集熱構造体の場合は、ベローズは不要である。しかし、アルミニウム製の金属管52の外周にグラスライニング層53が密着形成され、その外側の不可逆層54も必須になり構成が複雑になる。
また、太陽熱集熱管用管部材の集熱時には熱媒体の温度が約400℃にも達するが、アルミニウム製の金属管からなる太陽熱集熱管用管部材がこのような高温状態に長時間さらされると、熱媒体の自重で金属管の軸方向に撓みが発生してしまう。そうなると、金属管とガラス管との二重管構造を構成する太陽熱集熱管用管部材では、本来同軸心円状態にあるべき金属管とガラス管との間の封止領域の寸法に変化が生じ、太陽熱集熱管用管部材の集熱時の熱損失を生じたり、真空封止領域の寸法が狂い真空度を低下させ、その結果、さらに集熱時の熱損失が増加したりする。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して良好な熱伝導率を有し、熱膨張係数が低減された太陽熱集熱管用管部材を提供することにある。
上記課題を解決する太陽熱集熱管用管部材は、熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数以下の金属板から両端部を除いてエキスパンド加工されたエキスパンドメタルと、前記エキスパンドメタルを囲繞するマトリックス金属とで構成された板状の複合材が、前記両端部側において接合されて管状に形成されている。熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数以下の金属板としては、例えば、不変鋼板、超不変鋼板が挙げられる。
この構成によれば、太陽熱集熱管用管部材は、加熱、冷却によるマトリックス金属の膨張、収縮がエキスパンドメタルにより抑制されて、全体としてその軸方向への伸縮が小さくなる。不変鋼は、熱膨張係数が0.5〜2×10−6/℃であり、熱膨張係数が16×10−6/℃であるステンレス鋼(SUS316)に比べて大幅に小さい。そのため、太陽熱集熱管用管部材はステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して熱膨張係数が低減される。また、ステンレス鋼(SUS316)の熱伝導率は、マトリックス金属として使用される金属に比べて大幅に小さく、不変鋼の熱伝導率はステンレス鋼の熱伝導率よりも若干小さい。そのため、エキスパンドメタルの開口率が小さ過ぎなければ、太陽熱集熱管用管部材の熱伝導率は、SUS316製の太陽熱集熱管用管部材に比較して良好となる。したがって、本発明の太陽熱集熱管用管部材は、ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して良好な熱伝導率を有し、熱膨張係数が低減される。また、太陽熱集熱管用管部材の使用時にエキスパンド加工されていない部分の接合部が下側になる状態とすれば、太陽熱集熱管用管部材の自重及び管内の熱媒体の重量による下方向への力に対する太陽熱集熱管用管部材の剛性が増すことで撓みが抑制される。
前記エキスパンドメタルは、エキスパンド部の開口率が50%以上であることが好ましい。太陽光で熱せられた太陽熱集熱管用管部材表面の熱は、太陽熱集熱管用管部材の径方向へ移動して熱媒体に伝達される。そのため、エキスパンドメタルの開口部と対応する部分の熱伝導率はマトリックス金属の熱伝導率になる。SUS316の熱伝導率は、例えば、ニッケルや鉄の数分の一であり、アルミニウムの約1/10であるため、エキスパンド部の開口率が50%以上であれば、太陽熱集熱管用管部材の径方向の熱伝導率は、ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して確実に良好になる。
前記マトリックス金属は、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム及びアルミニウム合金は熱伝導率がステンレス鋼(SUS316)の約10倍あり、密度は約1/3である。したがって、マトリックス金属をアルミニウム又はアルミニウム合金とすれば、熱伝導率及び軽量化の点で有利である。また、価格の点でも有利である。
前記複合材は、前記エキスパンドメタルのエキスパンド加工がされていない両端部を接合して形成された円筒部材を遠心鋳造装置の金型内に配置した状態で、前記マトリックス金属を溶湯として供給して形成されたものであることが好ましい。太陽熱集熱管用管部材は、板状のエキスパンドメタルが強化材としてマトリックス金属で囲繞された金属板を、円筒状に加工して、その端部同士を溶着して形成することもできるが、複合材の状態で溶接するより、エキスパンドメタル単独の状態で、エキスパンドメタルのエキスパンド加工がされていない両端部を接合(溶着)する方が簡単に溶着することができる。
本発明によれば、太陽熱集熱管用管部材はステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して良好な熱伝導率を有し、熱膨張係数が低減される。
一実施形態の太陽熱集熱管用管部材の模式断面図。 (a)は太陽熱集熱管用管部材の展開模式断面図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は(a)のC−C線断面図。 (a)は遠心鋳造装置の金型部を破断した模式図、(b)は金型とローラの関係を示す模式図。 エキスパンドメタルで形成された円筒部材の模式斜視図。 太陽熱集熱管用管部材を用いた太陽熱集熱管の模式断面図。 従来技術の断面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、太陽熱集熱管用管部材11は、熱媒体が流通可能な円筒状に形成されている。図2(a),(b),(c)に示すように、太陽熱集熱管用管部材11は、両端部12aを除いてエキスパンド加工されたエキスパンドメタル12と、エキスパンドメタル12を囲繞するマトリックス金属13とで構成された板状の複合材14で構成され、板状の複合材14がエキスパンドメタル12の非エキスパンド加工部である両端部12a側において接合されて管状に形成されている。
エキスパンドメタル12は、熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数以下の金属板で形成され、この実施形態では不変鋼(Ni36wt%の合金鉄)で形成されている。エキスパンドメタル12は、エキスパンド部の開口率が50%以上であり、この実施形態では90〜95%である。
この実施形態の複合材14は、エキスパンドメタル12のエキスパンド加工がされていない各端部12a同士を接合して、即ち両端部12aを接合して形成された円筒部材を遠心鋳造装置の金型内に配置した状態で、マトリックス金属13を溶湯として供給して形成されたものである。マトリックス金属は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
太陽熱集熱管用管部材11は、加熱、冷却によるマトリックス金属13の膨張、収縮がエキスパンドメタル12により抑制されて、全体としてその軸方向への伸縮が小さくなる。不変鋼は、熱膨張係数が0.5〜2×10−6/℃であり、熱膨張係数が16×10−6/℃であるステンレス鋼(SUS316)に比べて大幅に小さい。また、マトリックス金属13の熱伝導率はSUS316に比べて数倍以上あり、マトリックス金属13としてアルミニウム又はアルミニウム合金を使用した場合は、10倍以上になる。したがって、太陽熱集熱管用管部材11は、ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して良好な熱伝導率を有し、熱膨張係数が低減される。また、太陽熱集熱管用管部材11の使用時にエキスパンド加工されていない部分の接合部が下側になる状態とすれば、太陽熱集熱管用管部材11の自重及び太陽熱集熱管用管部材11内の熱媒体の重量による下方向への力に対する太陽熱集熱管用管部材11の剛性が増すことで撓みが抑制される。
太陽熱集熱管用管部材11の厚さ方向(径方向)における熱伝導率λは、エキスパンドメタル12の開口部と対応する部分、即ちエキスパンドメタル12が存在せずにマトリックス金属13のみが存在する箇所ではマトリックス金属13の熱伝導率λmになる。また、エキスパンドメタル12の開口部と対応しない箇所では、エキスパンドメタル12の熱伝導率λeと、マトリックス金属13の熱伝導率をλmと、エキスパンドメタルの板厚比tとの比例配分で表される。
そのため、複合材14の厚さ方向の熱伝導率λは、次式で表される。
λ=λm{λm(1−S)+λeS}/{λm(1−S+tS)+λe(1−t)S}
但し、t:エキスパンドメタルの板厚比、S:エキスパンドメタルの占有面積率、
λm:マトリックス金属の熱伝導率、λe:エキスパンドメタルの熱伝導率
例えば、エキスパンドメタル12の開口率が50%(S=0.5)で、エキスパンドメタル12とマトリックス金属13の厚さが等しい場合、即ちエキスパンドメタルの板厚比が0.5の場合、複合材の厚さ方向の熱伝導率λは次式となる。
λ=λm{0.5λm+0.5λe}/[0.75λm+0.25λe]
エキスパンドメタル12、即ち不変鋼の熱伝導率を13(W/mK)、マトリックス金属13のアルミニウム又はアルミニウム合金の熱伝導率を236(W/mK)として、前式から複合材14の熱伝導率λを計算すると、熱伝導率λは約162(W/mK)となる。即ち、アルミニウムやアルミニウム合金に比べると劣るが、ステンレス鋼(SUS316)に比べると優れている。
次に太陽熱集熱管用管部材11の製造方法を説明する。
太陽熱集熱管用管部材11の製造には遠心鋳造装置を使用する。図3(a),(b)に示すように、遠心鋳造装置20は、回転自在な円筒状の金型21と、金型21を回転させる回転駆動部22と、金型21内に溶湯23を供給する鋳込み樋24とを備えている。鋳込み樋24は、その先端側が金型21内に挿入される注湯位置(図示の位置)と、先端側が金型21内から退避した退避位置とに移動可能になっている。図3(b)においては、断面を示すハッチングの図示を省略している。
金型21内の両端部には、鋳込み樋24を経由して注入される溶湯23の堰止め等として機能するバンド25,26が設けられている。金型21の長手方向の両端寄りの外周には、環状凸部27がそれぞれ形成されている。回転駆動部22は、環状凸部27と係合して金型21を支持するそれぞれ一対のローラ28を備え、ローラ28を図示しないモータで駆動することで金型21を回転駆動する。
次に遠心鋳造装置20を使用して太陽熱集熱管用管部材11を製造する手順を説明する。
先ず、不変鋼製板から両端部を除いてエキスパンド加工されたエキスパンドメタル12を形成する。次にそのエキスパンドメタル12のエキスパンド加工がされていない両端部12aを接合(溶着)して、図4に示すように、軸方向に延びるエキスパンド非加工部15aが1箇所に存在する円筒部材15を形成する。円筒部材15は外径が金型21の内径より若干小さく形成されている。
端部12a同士の溶着は、鍛接管法、電縫管法、アーク及びレーザー溶接法等で行われる。
鍛接管法:高温に加熱した素材帯を引き出しながら、幅方向を円形に変形させ、その両端に酸素を吹き付けて瞬間的に温度を高めながら強力に突き合わせること(鍛接)で、両端を接合して管に加工する。(鍛冶屋が熱した鉄片を金槌で叩きながら接合したのと同じ原理。鋼では、JIS(日本工業規格)では製法記号として「B」が指定されている。)
電縫管法:通常は常温の素材帯を引き出しながら、幅方向を円形に変形させ、接合直前に局部的に大電流を流すことで瞬間的に接合部を高温状態にして、そのまま押しつけることで両端を溶接(抵抗溶接)させて管に加工する。自己溶接のため、いわゆる溶接材料は不要。エキスパンド加工されていない両端部をもつため可能。
アーク及びレーザー溶接法では、エキスパンド加工されていない両端部12aを重ね合わせて溶接する。その後、機械加工あるいは塑性加工で、厚さを均一にすることが望ましい。
次に、図3(b)に二点鎖線で示すように、円筒部材15を遠心鋳造装置20の金型21内に配置する。円筒部材15を金型21内に配置する際は、バンド26を取り外した状態で円筒部材15を金型21内に挿入した後、バンド26を金型21内に固定する。
次に鋳込み樋24を注湯位置まで移動させる。その状態で、溶解されたアルミニウム合金の溶湯23を取鍋29から鋳込み樋24に注入する。金型21内に供給された溶湯23の一部は、金型21内に挿入されている円筒部材15の開口部から円筒部材15の外面と、金型21の内面との間に移動し、一部は開口部を埋め、残りが円筒部材15の内面に沿って配置される。そして、所定量の溶湯23を所定時間で供給した後、金型21を冷却し、金型21の温度が所定温度まで低下した後、金型21の回転を停止する。そして、金型21から鋳造品を取り出すと太陽熱集熱管用管部材11が得られる。
また、太陽熱集熱管用管部材11を構成するマトリックス金属13は、遠心鋳造法の溶湯23として金型21内に供給されるアルミニウム合金により円筒部材15を囲繞するように形成されるため、太陽熱集熱管用管部材11の外面から中心に向かって延びる柱状結晶が存在する状態になる。そのため、外側から内側への熱伝導がよくなる。
太陽熱集熱管用管部材11は、例えば、金属管とガラス管との二重構造の太陽熱集熱管の金属管や、特許文献2のグラスライニング集熱構造体の金属管として使用される。図5に示すように、太陽熱集熱管用管部材11が二重構造の太陽熱集熱管(太陽熱集熱装置)30の金属管として使用される場合、太陽熱集熱管用管部材11の外側に太陽熱集熱管用管部材11との間に環状空間31を形成するようにガラス管32が設けられる。また、太陽熱集熱管用管部材11の外周面には光を吸収し易い光選択吸収膜33が形成され、ガラス管32の外周面には選択吸収膜34が形成される。選択吸収膜34は、太陽光のエネルギーを効率良く吸収し、かつ、吸収した熱の放出を抑制する。なお、光選択吸収膜33及び選択吸収膜34は必須ではない。
太陽光で熱せられた太陽熱集熱管用管部材表面の熱は、太陽熱集熱管用管部材11の径方向へ移動して熱媒体に伝達される。そのため、エキスパンドメタル12の開口部と対応する部分の熱伝導率はマトリックス金属13の熱伝導率になる。SUS316の熱伝導率は、例えば、ニッケルや鉄の数分の一であり、アルミニウムの約1/10であるため、エキスパンド部の開口率が50%以上であれば、太陽熱集熱管用管部材11の径方向の熱伝導率は、ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して確実に良好になる。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)太陽熱集熱管用管部材11は、熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数以下の金属板から両端部を除いてエキスパンド加工されたエキスパンドメタル12と、エキスパンドメタル12を囲繞するマトリックス金属13とで構成された板状の複合材14で構成され、板状の複合材14がエキスパンドメタル12の両端部12a側において接合されて管状に形成されている。
この構成によれば、太陽熱集熱管用管部材11は、ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して良好な熱伝導率を有し、熱膨張係数が低減される。また、太陽熱集熱管用管部材11の使用時にエキスパンド非加工部15aが下側になる状態とすれば、太陽熱集熱管用管部材11の自重及び太陽熱集熱管用管部材11内の熱媒体の重量による下方向への力に対する太陽熱集熱管用管部材11の剛性が増すことで撓みが抑制される。
(2)エキスパンドメタル12は、エキスパンド部の開口率が50%以上である。したがって、太陽熱集熱管用管部材11の径方向の熱伝導率は、ステンレス鋼(SUS316)を使用した場合に比較して確実に良好になる。
(3)マトリックス金属13は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。アルミニウム又はアルミニウム合金は熱伝導率がステンレス鋼(SUS316)の10倍あり、密度は約1/3である。したがって、マトリックス金属13を他の金属にした場合に比べて、熱伝導率及び軽量化の点で有利である。また、価格の点でも有利である。
(4)複合材14は、エキスパンドメタル12のエキスパンド加工がされていない両端部を接合して形成された円筒部材15を遠心鋳造装置20の金型21内に配置した状態で、マトリックス金属13を溶湯23として供給して形成されたものである。したがって、板状のエキスパンドメタル12が強化材としてマトリックス金属13で囲繞された金属板を、円筒状に加工して、その端部同士を溶着して形成する場合に比べて、エキスパンドメタル12の両端部12aを簡単に接合(溶着)することができる。
(5)エキスパンドメタル12の開口率が90〜95%であり、マトリックス金属13がアルミニウム合金である。したがって、SUS316を使用した同じ厚さの太陽熱集熱管用管部材11に比べて熱伝導率が数倍以上になる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 太陽熱集熱管用管部材11を遠心鋳造法を利用して製造する場合、円筒部材15の外径を金型21の内径と同等にして、円筒部材15を金型21の内面に当接する状態で金型21内に配置して、溶湯を供給してもよい。この場合、マトリックス金属13は、円筒部材15を構成するエキスパンドメタル12の開口部に充填された状態で円筒部材15の内面を覆う状態に形成される。
○ エキスパンドメタル12は、不変鋼製の板材で形成された物に限らず、熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数以下の金属板で形成された物であればよい。熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数より小さい物としては、例えば、超不変鋼(Ni31wt%、Co5wt%の合金鉄)やステンレスインバー(Co54wt%、Crwt9.5%の合金鉄)が挙げられる。
○ マトリックス金属13は、アルミニウム合金に限らず、アルミニウムを使用したり、他の金属、例えば、ニッケルを使用したりしてもよい。しかし、アルミニウム合金又はアルミニウムをマトリックス金属13として使用する方が、熱伝導率や重量あるいはコストの点で好ましい。
○ 太陽熱集熱管用管部材11の製造は、エキスパンドメタル12で円筒部材15を形成した後、マトリックス金属13でエキスパンドメタル12を囲繞する方法に限らない。例えば、エキスパンドメタル12をマトリックス金属13となる2枚の金属板で挟持した状態で、加熱状態で加圧ローラにより圧延して一体化することにより複合材を形成した後、その複合材を、エキスパンドメタル12の両端部12a側で溶着して製造してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記開口率が90〜95%である。
(2)請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の太陽熱集熱管用管部材を使用した太陽熱集熱装置。
12…エキスパンドメタル、12a…端部、13…マトリックス金属、14…複合材、15…円筒部材、20…遠心鋳造装置、21…金型、23…溶湯。

Claims (4)

  1. 熱膨張係数が不変鋼の熱膨張係数以下の金属板から両端部を除いてエキスパンド加工されたエキスパンドメタルと、前記エキスパンドメタルを囲繞するマトリックス金属とで構成された板状の複合材が、前記両端部側において接合されて管状に形成されていることを特徴とする太陽熱集熱管用管部材。
  2. 前記エキスパンドメタルは、エキスパンド部の開口率が50%以上である請求項1に記載の太陽熱集熱管用管部材。
  3. 前記マトリックス金属は、アルミニウム又はアルミニウム合金である請求項1又は請求項2に記載の太陽熱集熱管用管部材。
  4. 前記複合材は、前記エキスパンドメタルのエキスパンド加工がされていない両端部が接合されて形成された円筒部材を遠心鋳造装置の金型内に配置した状態で、前記マトリックス金属を溶湯として供給して形成されたものである請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の太陽熱集熱管用管部材。
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