JP2016052843A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動オイルポンプに対する伝送系統で結線故障が生じた際のフェールセーフ機能を確立させること。
【解決手段】駆動力源とは別のポンプ用モータによって駆動される電動オイルポンプを備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記制御装置から前記ポンプ用モータに対して出力されて前記電動オイルポンプの駆動要求に基づき前記ポンプ用モータを運転する際の負荷を決定する制御指令値が、0になった場合、または、正常時の負荷を決定する第1制御指令値よりも大きい値であって前記ポンプ用モータの伝送系統における異常を判定するための閾値として設定した第2制御指令値以上になった場合に、前記ポンプ用モータと電源との間を遮断することなく、前記ポンプ用モータを前記第1制御指令値もしくは前記異常時に対応するための第3制御指令値で制御する(ステップS3,S4,S5)。
【選択図】図3

Description

この発明は、エンジンおよびモータを駆動力源とするハイブリッド車両の制御装置であって、特に、専用の電気モータによって駆動されて油圧を発生する電動オイルポンプを備えたハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
特許文献1には、電動オイルポンプおよびオイルポンプ制御装置の故障や通信ラインにおける異常の発生時などに、フェールセーフもしくはリンプホーム機能によって車両の走行性を確保することを目的としたハイブリッド車両用オイルポンプの制御装置に関する発明が記載されている。この特許文献1に記載された制御装置では、オイルポンプシステムがオフであるのか、もしくは、オイルポンプ制御装置(OPU)のための通信ラインがオフであるのかが判断される。OPUのための通信ラインがオフである場合に、ハードワイヤー(ワイヤーハーネス)のオン/オフ状況が判断される。ハードワイヤーがオンの場合は、そのハードワイヤーを利用して自動変速機用制御装置(TUC)とOPUとが直接連結される。その結果、オイルポンプドライバーが駆動されて電動オイルポンプのモータが作動させられる。一方、ハードワイヤーがオフの場合には、モータ制御装置(MCU)を通して電動オイルポンプのモータ回転数が調整される。その結果、オイルポンプドライバーが自己制御される。OPUのための通信ラインがオンである場合であって、TUCの通信ラインに異常がある場合は、MCUを利用して電動式オイルポンプのモータ回転数が制御されて電動オイルポンプのモータが作動させられる。また、オイルポンプドライバーの通信ラインに異常がある場合には、オイルポンプドライバーが常時1段で自己駆動されて電動オイルポンプのモータが作動させられる。なお、この特許文献1には、上記のようなTCUとOPUとの間、および、OPUと電動オイルポンプとの間をハードワイヤーで連結した構成が記載されている。
特開2010−132257号公報
上記のように、特許文献1に記載された装置は、例えば、OPUと電動オイルポンプとの間の通信系統にフェールが生じた場合に、ハードワイヤーを利用してTUCとOPUとが直接連結されるように構成されている。また、ハードワイヤーにフェールが生じた場合には、MCUで電動オイルポンプのモータを制御するように構成されている。したがって、この特許文献1に記載された装置では、フェールセーフのためのハードワイヤーや専用の制御装置が必要になり、そのために装置の構成が複雑になっている。また、この特許文献1に記載された装置では、上記のようなフェールを判定するために判断ステップが複数設定されている。そのため、フェールの判定や判定後のフェールセーフ制御の実行に時間が掛かり、フェールセーフを適切に実行できない可能性がある。さらに、上記のようなフェールが生じた場合に、電動オイルポンプに対する指示系統が変わるため、電動オイルポンプによるオイルの吐出が一時的に途切れてしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、車両の駆動力源とは別の専用の電気モータによって駆動される電動オイルポンプを備えたハイブリッド車両を対象にして、電動オイルポンプと制御装置との間で地絡や断線などの結線異常が生じた場合に、適切なフェールセーフを実行することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、エンジンおよびモータを駆動力源とし、前記駆動力源とは別のポンプ用モータによって駆動されて油圧を発生する電動オイルポンプを備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記制御装置から前記ポンプ用モータに対して出力されて前記電動オイルポンプの駆動要求に基づき前記ポンプ用モータを運転する際に前記ポンプ用モータの負荷を決定する制御指令値が、0になった場合、または、前記制御装置と前記ポンプ用モータとの間の伝送系統における異常を判定するために設定した値であって正常時に前記ポンプ用モータに掛けるべき負荷を決定する第1制御指令値よりも大きな第2制御指令値以上になった場合に、前記ポンプ用モータと前記ポンプ用モータの電源との間の接続を遮断することなく、前記ポンプ用モータを前記第1制御指令値もしくは前記異常時に対応するための第3制御指令値で制御することを特徴とするものである。
また、この発明における前記第3制御指令値は、前記第2制御指令値もしくは前記第2制御指令値以上の制御指令値と同値に設定することもできる。
また、この発明における前記ポンプ用モータは、前記ポンプ用モータを制御するオイルポンプ制御装置を備えることができ、その場合にこの発明では、前記制御指令値が、0になった場合、または、前記第2制御指令値以上になった場合に、前記オイルポンプ制御装置により前記ポンプ用モータを前記第1制御指令値もしくは前記第3制御指令値で制御することもできる。
また、この発明では、前記異常が判定されて前記ポンプ用モータが前記第1制御指令値もしくは前記第3制御指令値で制御されている際に、前記駆動要求が終了した場合には、前記ポンプ用モータと前記電源との間の接続を遮断するように制御することもできる。
そして、この発明における前記ハイブリッド車両は、前記モータとして第1モータおよび第2モータの2基のモータ、前記エンジンのクランク軸が連結された第1回転要素と前記第1モータのロータ軸が連結された第2回転要素と出力部材を介して駆動軸に連結された第3回転要素との3つの回転要素を有する差動機構、ならびに、前記第1モータおよび前記第2モータの両方の出力トルクによって前記ハイブリッド車両を駆動する際に前記クランク軸の回転を規制する規制手段を備えることもできる。
この発明によれば、電動オイルポンプのポンプ用モータに対する制御指令値に基づいて、ポンプ用モータの伝送系統における異常が判定される。例えば、電動オイルポンプの駆動要求があるにもかかわらず制御指令値が0になった場合は、伝送系統のワイヤーハーネスが断線するような結線異常が発生したと判定される。あるいは、制御指令値が、異常を判定するために設定された第2制御指令値よりも大きくなった場合には、伝送系統のワイヤーハーネスが地絡もしくは短絡するような結線異常が発生したと判定される。そして、そのような結線異常が発生していることを判定した場合は、ポンプ用モータの電源を落とすことなく、ポンプ用モータが第1制御指令値もしくは第3制御指令値で制御される。すなわち、電動オイルポンプの駆動が従前と同様に継続される。したがって、例えばEV走行中に上記のような結線異常が発生した場合であっても、オイルの吐出を途切れさせることなく、電動オイルポンプを継続して駆動することができる。そのため、EV走行を継続させて、退避走行を行うことができる。また、EV走行を継続させている間にエンジンを起動させて、エンジン走行による退避走行を行うこともできる。
また、この発明では、上記のような結線異常が発生した場合に、ポンプ用モータの回転を制御するための第3制御指令値が、第2制御指令値もしくは第2制御指令値以上の所定の値に設定される。したがって、例えば地絡や短絡によって制御指令値が第2制御指令値以上に大きくなった場合に、その異常時の制御指令値で電動オイルポンプの駆動を継続させることができる。そのため、オイルの吐出を途切れさせることなく、電動オイルポンプを継続して駆動することができる。また、異常時に対応する特別な制御や複雑な制御を行うことなく、上記のような結線異常が発生した場合のフェールセーフ機能を容易に確立させることができる。
また、この発明では、専用のオイルポンプ制御装置を備えたポンプ用モータを適用することができる。その場合のオイルポンプ制御装置は、例えばポンプ用モータに内蔵されたマイクロコンピュータによって構成される。そして、メインの制御装置とポンプ用モータとの間の伝送系統で上記のような結線異常が発生した場合には、オイルポンプ制御装置の指令によって、ポンプ用モータが第1制御指令値もしくは第2制御指令値で制御される。そのため、メインの伝送系統で上記のような結線異常が発生した場合であっても、オイルの吐出を途切れさせることなく、ポンプ用モータを適切に制御して、EV走行を継続させることができる。
また、この発明では、上記のような結線異常が発生し、その異常に対応してポンプ用モータが制御されている場合に、電動オイルポンプに対する駆動要求が終了されると、ポンプ用モータの電源が落とされる。すなわち、電動オイルポンプの運転が停止される。そのため、結線異常が発生している状況で電動オイルポンプが過度に駆動されることを回避できる。
そして、この発明は、2基のモータ、エンジンとモータとの間で動力を分割および合成する差動機構、ならびに、エンジンの回転を止めて固定する規制手段を備えたハイブリッド車両に適用することができる。このようなハイブリッド車両は、規制手段によりエンジンの回転を止めた状態で、2基のモータの両方の出力によって車両をEV走行させることができる。そのようなEV走行を行う場合、2基のモータの冷却や潤滑に加え、差動機構の冷却や潤滑のためにオイルを供給する必要がある。それに対して、この発明では、上記のように結線異常が発生した場合であっても、オイルの吐出を途切れさせることなく、ポンプ用モータを適切に制御して、2基のモータや差動機構にオイルを供給することができる。したがって、少なくとも1基のモータによるEV走行を継続させて、退避走行を行うことができる。
この発明で制御の対象にすることのできるハイブリッド車両の構成の一例を示す図である。 この発明で制御の対象にすることのできるハイブリッド車両の構成の一例を示す図であって、電動オイルポンプと電子制御装置との間の伝送系統を説明するための図である。 電動オイルポンプの伝送系統で結線異常が発生した場合に、この発明の制御装置により実行されるフェールセーフ制御の一例を説明するためのフローチャートである。 電動オイルポンプの伝送系統で結線異常が発生した場合に、この発明の制御装置により実行されるフェールセーフ制御の一例を説明するためのタイムチャートである。 正常時のハイブリッド車両の走行状態および電動オイルポンプと電子制御装置との間の通信状態等を説明するためのタイムチャートである。 電動オイルポンプの伝送系統で結線異常が発生した場合の従来の(この発明を適用しなかった場合の)対応を説明するためのタイムチャートである。
次に、この発明を、図を参照して具体的に説明する。図1に、この発明で対象とすることのできるハイブリッド車両の構成の一例を示してある。この図1に示す車両Veは、エンジン(ENG)1、ならびに、第1モータ・ジェネレータ(MG1)2および第2モータ・ジェネレータ(MG2)3を駆動力源とする2モータ式のハイブリッド車両である。車両Veは、エンジン1が出力する動力を、動力分割機構4によって第1モータ・ジェネレータ2側と駆動軸5側とに分割して伝達するように構成されている。また、第1モータ・ジェネレータ2で発生した電力を第2モータ・ジェネレータ3に供給し、その第2モータ・ジェネレータ3が出力する動力を駆動軸5に付加することができるように構成されている。
エンジン1は、その出力の調整や起動および停止の動作を電気的に制御するように構成されている。例えばガソリンエンジンであれば、スロットル開度、燃料の供給量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。
第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3は、いずれも、発電機能のあるモータであり、例えば永久磁石式の同期電動機などによって構成されている。そして、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3は、いずれも、インバータ(図示せず)を介してバッテリ(図示せず)に接続されており、回転数やトルク、あるいはモータとしての機能および発電機としての機能の切り替えなどが電気的に制御されるように構成されている。
動力分割機構4は、3つの回転要素を有する差動機構によって構成されている。具体的には、サンギヤ6、リングギヤ7、およびキャリア8を有する遊星歯車機構によって構成されている。図1に示す例では、シングルピニオン型の遊星歯車機構が用いられている。
上記の動力分割機構4を構成する遊星歯車機構は、エンジン1の出力軸1aと同一の回転軸線上に配置されている。遊星歯車機構のサンギヤ6に第1モータ・ジェネレータ2が連結されている。なお、第1モータ・ジェネレータ2は、動力分割機構4に隣接してエンジン1とは反対側に配置されていて、その第1モータ・ジェネレータ2のロータ2aに一体となって回転するロータ軸2bがサンギヤ6に連結されている。このサンギヤ6に対して同心円上に、内歯歯車のリングギヤ7が配置されている。これらサンギヤ6とリングギヤ7とに噛み合っているピニオンギヤがキャリア8によって自転および公転できるように保持されている。そして、キャリア8には、この動力分割機構4の入力軸4aが連結されていて、その入力軸4aに、ワンウェイブレーキ9を介して、エンジン1の出力軸1aが連結されている。
ワンウェイブレーキ9は、出力軸1aもしくはキャリア8と、ハウジングなどの固定部材10との間に設けられている。そして、出力軸1aもしくはキャリア8に、エンジン1の回転方向と逆方向のトルクが作用した場合に係合してその回転を止めるように構成されている。このようなワンウェイブレーキ9を使用することにより、トルクの作用方向に応じて出力軸1aもしくはキャリア8の回転を止めることができる。
遊星歯車機構のリングギヤ7の外周部分に、外歯歯車のドライブギヤ11が一体に形成されている。また、動力分割機構4や第1モータ・ジェネレータ2などの回転軸線と平行に、カウンタシャフト12が配置されている。このカウンタシャフト12の一方(図1での右側)の端部に、上記のドライブギヤ11と噛み合うカウンタドリブンギヤ13が一体となって回転するように取り付けられている。カウンタシャフト12の他方(図1での左側)の端部には、終減速機であるデファレンシャルギヤ14のリングギヤ15と噛み合うカウンタドライブギヤ16が、カウンタシャフト12に一体となって回転するように取り付けられている。したがって、動力分割機構4のリングギヤ7が、上記のドライブギヤ11、カウンタシャフト12、カウンタドリブンギヤ13、およびカウンタドライブギヤ16からなるギヤ列、ならびに、デファレンシャルギヤ14を介して、駆動軸5に連結されている。
上記の動力分割機構4から駆動軸5に伝達されるトルクに、第2モータ・ジェネレータ3が出力するトルクを付加できるように構成されている。すなわち、上記のカウンタシャフト12と平行に第2モータ・ジェネレータ3が配置されていて、そのロータ3aに一体となって回転するロータ軸3bに連結されたリダクションギヤ17が、上記のカウンタドリブンギヤ13に噛み合っている。したがって、動力分割機構4のリングギヤ7には、上記のようなギヤ列あるいはリダクションギヤ17を介して、駆動軸5および第2モータ・ジェネレータ3が連結されている。
この車両Veには、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の冷却や動力分割機構4における遊星歯車機構の潤滑のために、第1オイルポンプ18および第2オイルポンプ19の2つのオイルポンプが設けられている。
第1オイルポンプ18は、潤滑油供給用および油圧制御用のポンプとして、従来、車両のエンジンや変速機に用いられている一般的な構成の機械式オイルポンプである。したがって、この第1オイルポンプ(以下、MOP)18は、エンジン1が出力するトルクによって駆動されて油圧を発生するように構成されている。
上記のように、MOP18は、エンジン1が出力するトルクによって駆動される構成であるので、エンジン1の運転が停止している場合には、MOP18で油圧を発生することができない。そのため、この車両Veには、エンジン1が停止している場合であっても、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3や動力分割機構4などの被潤滑部へのオイルの供給を維持するために、第2オイルポンプ19が設けられている。
第2オイルポンプ19は、電気モータが出力するトルクによって駆動されて油圧を発生する電動オイルポンプである。したがって、この第2オイルポンプ(以下、EOP)19には、EOP19を駆動するためのポンプ用モータ20が備えられている。ポンプ用モータ20は、エンジン1ならびに第1モータ・ジェネレータ2や第2モータ・ジェネレータ3などの車両Veの駆動力源とは別の電気モータであって、このEOP19専用に設けられている。
上述したエンジン1の運転制御、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の回転制御、ならびに、ポンプ用モータ20の回転制御などを実行するための電子制御装置(以下、ECU)21が設けられている。ECU21は、マイクロコンピュータを主体にして構成され、入力されたデータおよび予め記憶させられているデータを使用して演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力するように構成されている。
また、この具体例では、上記のEOP19に、専用のオイルポンプ制御装置(以下、OPCU)22が設けられている。OPCU22は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成されていて、ポンプ用モータ20に内蔵されている。OPCU22は、上記のECU21と連動してポンプ用モータ20の回転を制御するとともに、OPCU22単独でもポンプ用モータ20の回転を制御することができるように構成されている。したがって、後述するように、例えばECU21とポンプ用モータ20との間の伝送系統で断線や地絡などの結線異常が生じた場合であっても、OPCU22によってポンプ用モータ20を制御して、EOP19を駆動することができる。
上記のECU21からEOP19に至る伝送系統の概要を図2に示してある。ECU21とEOP19との間に、ワイヤーハーネス31およびワイヤーハーネス32が設けられている。すなわち、ECU21とEOP19のポンプ用モータ20とが、ワイヤーハーネス31およびワイヤーハーネス32によって、互いに、電力や制御信号の伝送が可能なように接続されている。具体的には、ECU21からポンプ用モータ20へ、ワイヤーハーネス31を介して、制御指令値が送信されるように構成されている。また、ポンプ用モータ20からECU21へ、ワイヤーハーネス32を介して、ポンプ用モータ20およびEOP19の駆動状態を示す状態信号が送信されるように構成されている。
EOP19のポンプ用モータ20には、リレー33を介して、ポンプ用モータ20の電源となるバッテリ34が電力の伝送が可能なように連結されている。リレー33にはECU21が接続されている。したがって、ECU21から送信される制御信号により、リレー33のON・OFFの状態が制御されるように構成されている。
ハイブリッド車両である車両Veは、駆動力源を構成しているエンジン1、ならびに、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3を有効に利用して、エネルギ効率あるいは燃費が良好になるように制御される。具体的には、少なくともエンジン1の出力によって車両Veを走行させる「HVモード」と、エンジン1の運転を停止して第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の少なくともいずれかのモータ・ジェネレータの出力によって車両Veを走行させる「EVモード」とが、車両Veの走行状態に応じて適宜に選択される。
上記の各走行モードのうち、特に「EVモード」は、第2モータ・ジェネレータ3の出力によって車両Veを走行させる「第1EVモード」と、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の両方のモータ・ジェネレータの出力によって車両Veを走行させる「第2EVモード」とに分けられている。これら「第1EVモード」と「第2EVモード」とが、車両Veの走行状態に応じて適宜に選択される。
「第1EVモード」では、第2モータ・ジェネレータ3がモータとして正方向(エンジン1の出力軸1aの回転方向)に回転してトルクを出力するように制御される。そして、その第2モータ・ジェネレータ3の出力トルクによって駆動力を発生させて、車両Veが走行させられる。
「第2EVモード」では、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の両方の出力によって車両Veが走行させられる。この「第2EVモード」では、第1モータ・ジェネレータ2がモータとして負方向(エンジン1の出力軸1aの回転方向と逆方向)に回転してトルクを出力するように制御される。また、第2モータ・ジェネレータ3がモータとして正方向に回転してトルクを出力するように制御される。そして、それら第1モータ・ジェネレータ2の出力トルクおよび第2モータ・ジェネレータ3の出力トルクによって駆動力を発生させて、車両Veが走行させられる。この場合、エンジン1の出力軸1aには負方向のトルクが作用するため、ワンウェイブレーキ9が係合する。したがって、エンジン1の回転が止められて固定された状態で、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の両方の出力トルクによって、効率良く車両Veを走行させることができる。
上記のように、この車両Veでは、「HVモード」および「EVモード」を走行状態や要求駆動力などに応じて適宜切り替えられる。前述したように、「EVモード」では、エンジン1の運転が停止させられるため、MOP18で油圧を発生することができなくなる。「EVモード」のうち、「第1EVモード」が設定された場合は、特に、第2モータ・ジェネレータ3の潤滑および冷却のためにオイルが必要になる。また、「第2EVモード」が設定された場合には、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の冷却に加えて、特に、動力分割機構4の遊星歯車機構の潤滑および冷却のためにオイルが必要になる。したがって、この車両Veでは、「EVモード」が設定された場合や、エンジン1が停止している場合に、EOP19が駆動される。すなわち、ポンプ用モータ20を起動して、EOP19で油圧を発生するように制御される。なお、車両Veが、外部の電源から供給される電力によって走行用のバッテリを充電することのできるPHV(Plug in Hybrid Vehicle)であった場合は、通常のHV(Hybrid Vehicle)と比較して上記のような「EVモード」の頻度が高くなる。したがって、車両VeがPHVであった場合には、EOP19で油圧を発生する必要性がより高くなる。
前述したように、この車両VeのEOP19に関連する伝送系統は、ECU21とEOP19のポンプ用モータ20との間が、ワイヤーハーネス31,32によって接続されている。そのため、ワイヤーハーネス31,32における断線や地絡あるいは短絡などの結線異常が生じることを想定しておく必要がある。車両Veが「EVモード」でEV走行している際に、そのような結線異常が生じると、EOP19を適切に駆動することができなくなり、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3ならびに動力分割機構4の遊星歯車機構にオイルを適切に供給できなくなってしまう可能性がある。そこで、この発明の制御装置では、上記のような伝送系統の結線異常が発生した場合のフェールセーフとして、以下の例に示す制御を実行するように構成されている。
図3は、この発明における制御装置により実行される制御の一例を示すフローチャートである。この図3のフローチャートで示す制御は、車両VeがEV走行することにより、EOP19に対する駆動要求があり、EOP19のリレー33がONにされ、またEOP19のDUTYがONにされた状態が前提になっている。EOP19のDUTYがONの状態とは、例えばEOP19に対して所定のDUTYが制御信号として出力されている状態である。ここで、EOP19のDUTYは、EOP19を駆動するポンプ用モータ20に対する負荷に相当するものである。EOP19は、通常のEV走行時には、例えばDUTY・64%で駆動するように設定されている。したがって、ここではEOP19のDUTYがONにされることにより、EOP19に対してDUTY・64%の制御信号が送信される。それにより、ポンプ用モータ20が、例えば最大負荷に対する64%の負荷で回転するように制御される。
なお、上記のようにこの図3のフローチャートで示す制御例では、EOP19のDUTYがONの状態を前提としているが、この発明における制御装置は、EOP19のDUTYがOFFの状態であっても、以下に示すような制御を実行することができる。すなわち、EOP19のDUTYがOFFの状態であっても、後述するように、EOP19に対して例えばDUTY・95%の制御信号が送信されることにより、ECU21とEOP19との間の伝送系統で地絡もしくは短絡の結線異常が生じていると判定することが可能である。EOP19のDUTYがOFFの状態とは、EOP19に対して、EOP19の駆動を停止する所定のDUTYが制御信号として出力されている状態である。このEOP19に対しては、後述するように、通常のDUTY・OFFの状態では、例えばDUTY・10%の制御信号が送信されるように設定されている。
図3のフローチャートで、先ず、EOP19のOPCU22で、ECU21とEOP19との間の伝送系統における結線異常が発生しているか否かについて判断される(ステップS1)。具体的には、伝送系統のワイヤーハーネス31およびワイヤーハーネス32について、断線あるいは地絡や短絡といった結線異常が生じているか否かが判断される。
結線異常が生じていない通常時では、ECU21からEOP19に、ワイヤーハーネス31を介して、例えばDUTY・64%の制御信号が送信される。そして、EOP19は、その送信された通りのDUTY・64%の制御信号を受信する。また、EOP19からECU21には、ワイヤーハーネス32を介して、EOP19の状態信号としてポンプ用モータ20の実回転数が送信される。通常時のポンプ用モータ20の実回転数は、車両Veの走行状態やEOP19の駆動要求の度合いなどに応じて、例えば500rpm から6000rpm 程度の数値になる。なお、この通常時において、EOP19のリレー33がONの状態で、DUTYがOFFになった場合は、EOP19からECU21に、EOP19の状態信号として、例えば120rpm が送信されるように構成されている。
これに対して、伝送系統のワイヤーハーネス31で断線が生じた場合、EOP19は、ECU21からの制御信号を受信できなくなる。そのため、EOP19には、制御信号として実質的にDUTY・0%が入力されるように構成されている。この場合、EOP19からECU21には、ワイヤーハーネス32を介して、EOP19の状態信号として、例えば0rpm が送信される。また、ワイヤーハーネス31で地絡もしくは短絡が生じた場合には、ECU21からEOP19に、ワイヤーハーネス31を介して、例えばDUTY・95%以上の制御信号が送信されるように構成されている。そして、EOP19は、そのDUTY・95%の制御信号を受信する。この場合も、EOP19からECU21には、ワイヤーハーネス32を介して、EOP19の状態信号として0rpm が送信される。
このECU21は、制御指令値としてEOP19に送信されるDUTYが、通常のDUTY・ONの状態では、例えばDUTY・15%からDUTY・90%の範囲内で設定され、通常のDUTY・OFFの状態では、例えばDUTY・10%に設定されるように構成されている。そして、ECU21は、ワイヤーハーネス31で地絡もしくは短絡が生じた結線異常時には、例えばDUTY・95%以上の値に設定されるように構成されている。
一方、伝送系統のワイヤーハーネス32で断線が生じた場合は、ECU21からEOP19に、ワイヤーハーネス31を介して、例えばDUTY・0%の制御信号が送信されるように構成されている。そして、EOP19は、そのDUTY・0%の制御信号を受信する。この場合、ECU21は、EOP19からの状態信号を受信できなくなる。そのため、ECU21には、状態信号として実質的に0rpm が入力されるように構成されている。また、ワイヤーハーネス32で地絡もしくは短絡が生じた場合には、ECU21からEOP19に、ワイヤーハーネス31を介して、例えばDUTY・95%以上の制御信号が送信されるように構成されている。そして、EOP19は、そのDUTY・95%以上の制御信号を受信する。この場合も、ECU21は、例えば0rpm の状態信号が入力されるように構成されている。
このように、EOP19は、ワイヤーハーネス31およびワイヤーハーネス32に結線異常が生じた場合、その結線異常の内容や異常が生じた位置に応じて、例えばDUTY・0%もしくはDUTY・95%以上の制御信号が入力されるように構成されている。そのため、上記のステップS1では、EOP19もしくはOPCU22に入力されるDUTYの値に基づいて、伝送系統における結線異常の有無について判断することができる。すなわち、EOP19に対する駆動要求がありかつDUTY・ONの状態であるにもかかわらず、EOP19に対して指示されているDUTYが、通常のEV走行時に指示されるべきDUTYの範囲外のDUTY・0%もしくはDUTY・95%以上である場合は、結線異常が発生していると判断される。
したがって、EOP19に対して指示されているDUTYが、通常時に指示されるべきDUTYの範囲内である場合は、結線異常は発生していないと判断される。この場合は、ステップS1で否定的に判断され、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、EOP19に対して指示されているDUTYが、DUTY・0%もしくはDUTY・95%以上である場合には、結線異常が発生したと判断される。この場合は、ステップS1で肯定的に判断され、ステップS2およびステップS3へ進む。
ステップS2では、EOP19からECU21へ結線異常に関する情報が送信される。すなわち、結線異常が発生した場合の状態信号がEOP19からECU21に送信される。具体的には、EOP19からECU21に、0rpm の状態信号が送信される。あるいは、ECU21に、0rpm の状態信号が入力される。
続いて、ステップS3では、ECU21が上記のような0rpm の状態信号を受信することにより、あるいは、ECU21に0rpm の状態信号が入力されることにより、ECU21が、伝送系統において結線異常が発生していることを判定する。そして、次のステップS4およびステップS5以降の制御が実行される。すなわち、上記のような結線異常に対するフェールセーフ制御が実行される。
ステップS4では、EOP19のリレー33がONの状態に維持される。すなわち、この具体例で示すフェールセーフ制御では、上記のような結線異常が発生した場合であっても、EOP19のポンプ用モータ20に対して、その電源を切ることなく、電力を供給することの可能な状態が維持される。
ステップS5では、上記のステップS4の制御に続いて、もしくはステップS4の制御と並行して、EOP19の駆動状態が制御される。具体的には、EOP19のOPCU22によって、ポンプ用モータ20の回転が制御される。すなわち、ポンプ用モータ20に対してOPCU22から制御指令値が出力され、その制御指令値に基づいてポンプ用モータ20の回転が制御される。この場合、通常のEV走行時に指示されるべきDUTYの範囲内の値、もしくは、ステップS1でEOP19に対して指示されたDUTY・95%以上の値そのままを、制御指令値として設定することができる。例えば、ワイヤーハーネス31もしくはワイヤーハーネス32で断線が生じたことにより、EOP19にDUTY・0%が入力されている場合は、OPCU22から制御指令値として通常時のDUTY・64%が出力される。あるいは、OPCU22から制御指令値としてDUTY・95%が出力される。また、ワイヤーハーネス31もしくはワイヤーハーネス32で地絡もしくは短絡が生じたことにより、EOP19がDUTY・95%以上の値を受信している場合には、そのDUTY・95%以上の値が制御指令値として、OPCU22からポンプ用モータ20に出力される。あるいは、OPCU22から制御指令値としてDUTY・95%が出力される。あるいは、OPCU22から制御指令値として通常時のDUTY・64%が出力されるように構成することもできる。
なお、EOP19が上記のような内蔵のOPCU22を備えていない構成であっても、この発明によるフェールセーフを適用することができる。例えば、ワイヤーハーネス31で地絡もしくは短絡が生じた場合は、その場合にEOP19に対して送信された、例えばDUTY・95%以上の値が、そのまま制御指令値として、ポンプ用モータ20に入力される。そして、そのDUTY・95%以上の値でポンプ用モータ20の回転が制御される。また、ワイヤーハーネス31で断線が生じた場合や、ワイヤーハーネス32で結線異常が生じた場合には、機械的に、EOP19を駆動するための所定のDUTYがポンプ用モータ20に入力される。例えば、ポンプ用モータ20に、例えばDUTY・64%が機械的に入力されるように構成されている。あるいは、ポンプ用モータ20に、例えばDUTY・95%以上の値が機械的に入力されるように構成することもできる。
上記のようにしてステップS4およびステップS5で、リレー33のON状態が維持されるとともに、EOP19の駆動状態が制御されると、EOP19の駆動要求があるか否かが判断される(ステップS6)。例えば現在もEV走行が継続されていて、未だEOP19に対して駆動要求がある場合は、このステップS6で肯定的に判断される。そして、上記のステップS4およびステップS5へ戻り、従前の制御が繰り返される。
これに対して、例えばEV走行中にエンジン1が始動されてエンジン走行に切り替えられたことにより、EOP19に対する駆動要求がなくなった場合には、ステップS6で否定的に判断される。そして、次のステップS7へ進む。
ステップS7では、EOP19のリレー33がOFFにされる。上記のように、結線異常が生じている場合には、EOP19は、通常時にEOP19を停止させる制御信号であるDUTY・10%を受信できない状態になっている。そのため、このステップS7では、EOP19のリレー33をOFFにすることにより、EOP19が停止させられる。このようにして、EOP19に対する駆動要求がなくなった場合にEOP19のリレー33を速やかにOFFにすることにより、ポンプ用モータ20を駆動するための電力の消費量を抑制することができる。そして、リレー33がOFFにされると、その後、このルーチンを一旦終了する。
なお、上述したDUTY・95%、DUTY・90%、DUTY・64%、DUTY・15%、DUTY・10%、およびDUTY・0%などのDUTY値は、この制御を説明するための一例であり、ここで説明した各DUTY値は、いずれも、これらの数値に限定されるものではない。また、上述した6000rpm、500rpm、120rpm、および0rpmなどの回転数の数値についても、この制御を説明するための一例であり、ここで説明した各回転数は、いずれも、これらの数値に限定されるものではない。
上記の図3のフローチャートに示したフェールセーフ制御を、図4,図5,図6のタイムチャートで説明する。図4のタイムチャートに、この発明のフェールセーフ制御を実行した場合の制御例を示してある。図5のタイムチャートには、上記のような結線異常が発生していない正常時の制御例を示し、図6のタイムチャートには、比較例として、結線異常が発生した際にこの発明のフェールセーフ制御を適用しなかった場合の制御例を示してある。
図5のタイムチャートに示すように、正常時には、時刻t1で車両VeがEV走行を開始することにより、EV走行フラグがONになると、それと同時にもしくは直後に、EOP19のリレー33がONにされる。リレー33がONになることにより、ECU21からEOP19には、制御指令値としてDUTY・10%が送信される。そしてそのDUTY・10%をEOP19が受信する。上記の具体例のように、EOP19がOPCU22を備えている場合には、OPCU22が受信する。DUTY・10%を受信したEOP19もしくはOPCU22は、EOP19の状態信号として、120rpm をECU21に返信する。なお、この状態は、未だEOP19のDUTYがOFFの状態である。
時刻t1から所定時間が経過した時刻t2でEOP19のDUTYがONになると、ECU21からEOP19に、制御指令値として通常時のDUTY・64%が送信される。そしてそのDUTY・64%をEOP19もしくはOPCU22が受信する。DUTY・64%を受信したEOP19もしくはOPCU22は、EOP19の状態信号として、EOP19の実回転数をECU21に返信する。
その後、時刻t3でEV走行フラグがOFFになると、すなわち、車両VeがEV走行を終了すると、EOP19のDUTYがOFFにされる。したがって、ECU21からEOP19もしくはOPCU22には、制御指令値としてDUTY・10%が送信される。そしてそのDUTY・10%をEOP19もしくはOPCU22が受信する。同様に、EOP19もしくはOPCU22は、EOP19の状態信号として、120rpm をECU21に返信する。これらECU21とEOP19もしくはOPCU22との間の信号の伝送は、時刻t4でEOP19のリレー33がOFFになることにより終了する。
このように、結線異常が発生していない正常時には、EOP19もしくはOPCU22は、ECU21からの制御指令値をそのまま正常の値として受信し、それに対応する制御信号をECU21に返信している。これに対して、ECU21とEOP19との間の伝送系統で地絡や短絡あるいは断線などの結線異常が発生した場合は、図4のタイムチャートに示すように、EOP19もしくはOPCU22は、DUTY・95%もしくはDUTY・0%を受信するように構成されている。この図4では、伝送系統のワイヤーハーネス31もしくはワイヤーハーネス32で地絡の結線異常が発生した場合の例を示してある。
図4のタイムチャートにおいて、ワイヤーハーネス31もしくはワイヤーハーネス32で地絡が発生したことにより、EOP19もしくはOPCU22は、DUTY・95%を受信する。この場合、EOP19のリレー33はONになっているものの、EOP19のDUTYはOFFの状態である。したがって、ECU21からEOP19もしくはOPCU22には、制御指令値としてDUTY・10%が送信されている。
時刻t11から時刻t12の所定時間の間、EOP19もしくはOPCU22がDUTY・95%を受信すると、EOP19もしくはOPCU22は、結線異常が発生していることを認識して、EOP19の状態信号として0rpm をECU21に返信する。この状態信号の返信は、時刻t12から時刻t13の所定時間の間継続される。
上記のように、EOP19もしくはOPCU22が結線異常の発生を認識した後も、EOP19のリレー33はONの状態が継続される。そのリレー33がONの状態は、時刻t14でEV走行フラグがOFFになり、時刻t15でリレー33がOFFになるまで継続される。そして、このフェールセーフ制御では、上記のようにリレー33がONの状態が継続されている間は、EOP19のDUTYがONの状態が継続され、そのDUTYがONの状態が継続されている間は、EOP19は、通常時のDUTY・64%、あるいは、DUTY・95%以上の値で駆動される。
結線異常が発生した際に上記のようなフェールセーフ制御を実行しなかった場合は、図6のタイムチャートに示すように、EOP19もしくはOPCU22が結線異常の発生を認識した後は、時刻t21以降のようにEOP19のリレー33がOFFにされる。それと共に、EV走行フラグがOFFにされ、EV走行が終了する。そのため、この場合は、EV走行からエンジン1の出力によるエンジン走行に移行することができない可能性があり、その結果、車両Veを退避走行させることができない可能性がある。それに対して、上記のようなこの発明のフェールセーフ制御を実行することにより、EV走行中に結線異常が発生した場合であっても、オイルの吐出を途切れさせることなく、EOP19を継続して駆動することができる。そのため、EV走行を継続させて、退避走行を行うことができる。また、EV走行を継続させている間に、エンジン1を起動させて、エンジン走行による退避走行を行うこともできる。
なお、この発明は、図1に示したような、エンジン1と、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の2基のモータ・ジェネレータとを駆動力源として搭載した車両Ve以外にも適用することができる。すなわち、この発明で制御の対象とすることのできるハイブリッド車両は、例えば、エンジンおよび1基のモータ・ジェネレータを駆動力源とするハイブリッド車両であってもよい。あるいは、エンジンおよび3基以上のモータ・ジェネレータを駆動力源とするハイブリッド車両であってもよい。いずれの場合であっても、駆動力源以外の電気モータによって駆動されて油圧を発生する電動オイルポンプを備えた構成のハイブリッド車両を、この発明の制御対象にすることができる。
1…エンジン(ENG)、 2…第1モータ・ジェネレータ(第1モータ;MG1)、 3…第2モータ・ジェネレータ(第2モータ;MG2)、 4…動力分割機構、 5…駆動軸、 9…ワンウェイブレーキ(規制手段)、 18…第1オイルポンプ(機械式オイルポンプ;MOP)、 19…第2オイルポンプ(電動オイルポンプ;EOP)、 20…ポンプ用モータ、 21…電子制御装置(ECU)、 22…オイルポンプ制御装置(OPCU)、 31,32…ワイヤーハーネス(伝送系統)、 33…リレー、 34…バッテリ(電源)、 Ve…車両(ハイブリッド車両)。

Claims (5)

  1. エンジンおよびモータを駆動力源とし、前記駆動力源とは別のポンプ用モータによって駆動されて油圧を発生する電動オイルポンプを備えたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記制御装置から前記ポンプ用モータに対して出力されて前記電動オイルポンプの駆動要求に基づき前記ポンプ用モータを運転する際に前記ポンプ用モータの負荷を決定する制御指令値が、0になった場合、または、前記制御装置と前記ポンプ用モータとの間の伝送系統における異常を判定するために設定した値であって正常時に前記ポンプ用モータに掛けるべき負荷を決定する第1制御指令値よりも大きな第2制御指令値以上になった場合に、前記ポンプ用モータと前記ポンプ用モータの電源との間の接続を遮断することなく、前記ポンプ用モータを前記第1制御指令値もしくは前記異常時に対応するための第3制御指令値で制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記第3制御指令値は、前記第2制御指令値もしくは前記第2制御指令値以上の制御指令値と同値であることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記ポンプ用モータは、前記ポンプ用モータを制御するオイルポンプ制御装置を備え、
    前記制御指令値が、0になった場合、または、前記第2制御指令値以上になった場合に、前記オイルポンプ制御装置によって前記ポンプ用モータを前記第1制御指令値もしくは前記第3制御指令値で制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記異常が判定されて前記ポンプ用モータが前記第1制御指令値もしくは前記第3制御指令値で制御されている際に、前記駆動要求が終了した場合には、前記ポンプ用モータと前記電源との間の接続を遮断することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記ハイブリッド車両は、前記モータとして第1モータおよび第2モータの2基のモータ、前記エンジンのクランク軸が連結された第1回転要素と前記第1モータのロータ軸が連結された第2回転要素と出力部材を介して駆動軸に連結された第3回転要素との3つの回転要素を有する差動機構、ならびに、前記第1モータおよび前記第2モータの両方の出力トルクによって前記ハイブリッド車両を駆動する際に前記クランク軸の回転を規制する規制手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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