JP2016051631A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池特性の低下が抑制され、安全性に優れるリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】電解液に難溶である材料と、前記材料の内部に配置されるブロモホルム及び四臭化炭素からなる群より選択される少なくとも1種と、を有する構造物を備えるリチウムイオン二次電池。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いために、携帯型電子機器及び電気自動車の電源として普及している。例えば、リチウムイオン二次電池においては、円筒状の電池缶の内部に巻き取り電極体が収容されている。巻き取り電極体は、正極と負極の間に微多孔性のセパレータを挟み込み、これらを渦巻き状に巻き取って構成されており、セパレータには可燃性の電解液が含浸されている。このため、異常事態に電池の温度が急上昇すると、電解液が気化して内圧が上がり、リチウムイオン二次電池が破裂する可能性がある。また、電池の温度が急上昇すると、電解液が発火する可能性もある。
リチウムイオン二次電池が引火又は発火する事態を防止することは、リチウムイオン二次電池の設計において重要である。リチウムイオン二次電池においては、今後更に高エネルギー密度化及び大型化を図っていく上で、安全性をより一層向上させることが要求されている。
リチウムイオン二次電池の安全性を向上させる方法としては、例えば、電解液にリン酸エステル(トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート等)を添加することによって、難燃性を向上させるリチウムイオン二次電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、吸熱物質(Na型BC消火剤等)を含む構造体を電池内に組み込むことで、熱暴走時に吸熱剤が放出され、電池の温度上昇による発火を防止するリチウムイオン二次電池が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−184870号公報 特開2009−301798号公報
しかしながら、特許文献1に記載のリン酸エステルを電解液に添加したリチウムイオン二次電池においては、難燃性は向上するものの、電解液がリン酸エステルの影響を受けて劣化し、電池特性が低下するおそれがある。また、特許文献2に記載の吸熱物質を含む構造体を用いたリチウムイオン二次電池においては、熱暴走の抑制には有効であるが、電解液の噴出ガスに引火した際には、燃焼を抑制することができないおそれがある。
リチウムイオン二次電池において、仮に電解液由来のガスが噴出しても引火しない、又は引火しても早期に燃焼を抑制することができれば、高い安全性を有するリチウムイオン二次電池といえる。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池特性の低下が抑制され、安全性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。<1>電解液に難溶である材料と、前記材料の内部に配置されるブロモホルム及び四臭化炭素からなる群より選択される少なくとも1種と、を有する構造物を備えるリチウムイオン二次電池。
<2>電池容器と、正極、負極及びセパレータを捲回してなる電極捲回群と、電解液と、を更に備え、前記構造物は前記電極捲回群の中心の空隙部に配置される、<1>に記載のリチウムイオン二次電池。
<3>前記電解液が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む<2>に記載のリチウムイオン二次電池。
<4>前記電解液に難溶である材料がシリカガラスを含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
<5>前記ブロモホルム及び四臭化炭素からなる群より選択される少なくとも1種が、60℃以上の温度で前記前記電解液に難溶である材料から放出される、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、電池特性の低下が抑制され、安全性に優れるリチウムイオン二次電池を提供できる。
本発明が適用可能な実施形態のリチウムイオン二次電池の断面図である。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。ある成分の含有量は、その成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。「層」との語には、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、電解液に難溶である材料と、前記材料の内部に配置されるブロモホルム及び四臭化炭素からなる群より選択される少なくとも1種(以下、特定難燃剤とも称する)と、を有する構造物を備える。このような構成とすることにより、本発明のリチウムイオン二次電池は、電池特性の低下が抑制され、かつ安全性に優れる。
リチウムイオン二次電池における電解液の燃焼は、燃焼の初期に発生するOHラジカル(OH・)とHラジカル(H・)によって爆発的に進行すると考えられている。従って、電解液の噴出ガスに引火した際の燃焼を抑制するためには、上記ラジカルを捕捉することが重要である。ラジカルを捕捉する性質(ラジカルトラップ効果)を有する主な元素としては、リン及び臭素が挙げられる。一方、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度の観点からは、使用するリン又は臭素を含む化合物の体積が小さいことが望ましい。すなわち、リン又は臭素を含む化合物の体積あたりの難燃効果(噴出ガスに引火した際の燃焼を抑制する効果をいい、以下では自己消火性という場合もある)が高いことが望ましい。このような観点からは、比重の大きい化合物が好ましい。比重及びラジカルトラップ効果を考慮すると、臭素を含む化合物が有効であると推測できる。
そこで、前記臭素を含む化合物を種々検討した結果、ブロモホルム又は四臭化炭素が特に自己消火性に優れていることを見いだした。ブロモホルム又は四臭化炭素が自己消火性に優れる理由は、以下のように考察している。リチウムイオン二次電池の電解液は、一般的に後述する環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒を含む。前記環状カーボネート又は鎖状カーボネートの沸点は、90℃〜261℃程度である。一方、ブロモホルムの沸点は149℃〜152℃であり、四臭化炭素の沸点は190℃である。すなわち、前記混合溶媒が気化する温度と同程度の温度でブロモホルム又は四臭化炭素も気化するため、電解液由来の噴出ガスの燃焼を効果的に抑制でき(自己消火性に優れる)、且つ、気化していない電解液中にもブロモホルム又は四臭化炭素がある程度残存するため、電解液に引火して燃焼するのもあわせて抑制できるものと考えている。
さらに、本発明のリチウムイオン二次電池においては、ブロモホルム又は四臭化炭素が電解液に難溶である材料の内部に配置されている。これにより、電池の通常使用温度域ではブロモホルム又は四臭化炭素の電解液中への混入が抑制され、電池特性の低下が抑制される。
なお、デカブロムジフェニルエーテル及び1,2−ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)エタンのような、261℃以下に沸点を有さない臭素化物は、気化し難いために自己消火性に劣る傾向がある。また、ブロモトリクロロメタン及びジブロモメタンのように沸点が110℃以下の臭素化物は、燃焼初期に電解液より早く揮発してしまうため、その後に噴出する電解液由来の気化成分の燃焼を抑制し難くなる。ブロモホルム又は四臭化炭素が電解液中に放出されると、後述する溶媒を含む電解液で高い自己消火性を発現するのは、ブロモホルム又は四臭化炭素の沸点が150℃〜200℃程度であることが主要因と推測している。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池の実施の形態について説明する。本発明のリチウムイオン二次電池のある実施の形態では、上述した構造物の他に正極、負極、電解液、セパレータ、及びその他の構成部材を含む。ただし、本発明は以下の説明に何ら制限されるものではない。
[構造物]
本実施の形態の構造物は、電解液に難溶である材料と、前記材料の内部に配置される特定難燃剤と、を有する。構造物の形態は特に制限されず、電池の用途、電池内部における構造物の位置等に応じて選択できる。例えば、取り扱い性の観点からはカプセル状の形態が好ましい。構造物は、特定難燃剤が電池の通常使用温度よりも高い温度で電解液に難溶である材料(以下、シェルという場合もある)から放出されるように構成されている。好ましくは、特定難燃剤が60℃以上の温度でシェルから放出されるように構成されている。前記シェルは、電解液で難溶であるが、電池特性の低下を抑制できる観点からは、電解液に不溶であることが好ましい。
前記特定難燃剤の一つであるブロモホルムは、常温で液体である。また、四臭化炭素は固体であるが、形状は不定形である。そのため、シェル内に前記特定難燃剤を効率良く配置するためには、特定難燃剤をシェル内に配置する前段階として、多孔質材料に吸着させることが好ましい。
前記多孔質材料は、多孔質構造(細孔構造)を有する球状の材料であることが好ましい。前記多孔質材料としては、例えば、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、活性炭等の無機材料、スチレン、ジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機材料などが挙げられる。これらの中でも特に、シリカゲルが好ましい。多孔質材料の粒子径は、取り扱い性の観点から、0.1〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましく、1〜2mmが更に好ましい。
電解液に難溶である材料(シェル)は、電池の通常使用時に特定難燃剤が電解液中へ漏洩するのを抑制する隔壁として機能する。前記シェルとしては、例えば、シリカガラス等が挙げられる。前記シリカガラスは、例えば、無機ポリシラザン、有機ポリシラザンを硬化させることで得ることができる。ポリシラザンとは、−SiH−NH−を基本構造単位として有し、無機ポリシラザンとは、その構造中に有機基を持たないポリシラザンである。また、有機ポリシラザンとは、前記構造中に有機基を含有するポリシラザンである。前記ポリシラザンは、珪素原子からの分岐、窒素分子からの分岐が存在する分岐構造、架橋構造、環状構造を含むポリマーであり、水蒸気における焼成工程でシリカガラスに転化される。
前記特定難燃剤をシェルの内部に配置する方法としては、例えば、多孔質材料に吸着させた特定難燃剤の表面にポリシラザンを噴霧して、次いで前記ポリシラザンを熱硬化することが挙げられる。
前記シェルの厚みは0.1〜20μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、1μm〜3μmが更に好ましい。
また、前記多孔質材料又はシェルの割れ等を防止する目的で、シェルの表面に緩衝材を配置することが好ましい。前記緩衝材としては、例えば、ブタジエン系ゴム、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、クロロプレン系ゴム、シリコーン系、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、レゾルシノール等のポリマーが挙げられる。これらの中でも特に、衝撃緩衝の観点から、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ブタジエン系ゴムが好ましい。緩衝材の厚みは、0.1〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、5μm〜50μmがより好ましい。
構造物が上記構成であることにより、電池の通常使用温度域では電解液中に特定難燃剤が混入することが抑制され、電池特性の低下が抑制される。他方、電池の温度が上昇した際には、シェル及び緩衝材から特定難燃剤を電解液中に放出させることができる。具体的には、例えば、特定難燃剤が熱により体積膨張し、シェル内の圧力が上昇するによりシェルが破裂することで、特定難燃剤をシェル及び緩衝材から電解液中に放出させることができる。シェルを破裂させて特定難燃剤を電解液中に放出させる際には、電池の用途に応じて60℃〜300℃の範囲内でシェルが破裂するように材料の種類、厚さ、形状等を選択したり、特定難燃剤とともにシェルの内部に別の物質を配置して沸点を調整したり、発泡剤を配置して温度上昇による内圧の上昇率を上げたりすることが好ましい。
リチウムイオン二次電池の内部における構造物の位置は特に制限されない。電池のエネルギー密度を損なわないようにするためには、電池内の空隙部(発電要素、端子等の、電解液以外の部材が存在しない空間)を有効利用することが好ましい。電池内部の空隙部としては、電極群が捲回式である電池の場合は、正極、負極及びセパレータを捲回してなる電極捲回群の中心の空隙部が挙げられる。
シェルの内部に配置される特定難燃剤の量は、充分な難燃性を確保する観点からは、電解液の全量に対して3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。特定難燃剤の量の上限に特に制限はないが、電池内部における構造物が占める空間の大きさを考慮すると、電解液の全量に対して40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。「特定難燃剤の量が電解液の全量に対してX質量%である」とは、電解液と特定難燃剤の合計質量を100としたときに、電解液:特定難燃剤で表される質量比が(100−X):Xであることを意味する。
シェルの内部には、特定難燃剤以外の物質が配置されてもよい。そのような物質としては、特定難燃剤以外の難燃効果を有する物質、発泡剤等が挙げられる。シェルの内部に特定難燃剤以外の物質が配置される場合、電池内部における構造物が占める空間の大きさを考慮すると、特定難燃剤及び特定難燃剤以外の物質の合計質量は電解液の全量に対して40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。「特定難燃剤及び特定難燃剤以外の物質の合計質量が電解液の全量に対してX質量%である」とは、電解液、特定難燃剤及び特定難燃剤以外の物質の合計質量を100としたときに、電解液:特定難燃剤及び特定難燃剤以外の物質で表される質量比が(100−X):Xであることを意味する。
[正極]
本実施の形態のリチウムイオン二次電池は、正極(正極板)を備える。正極(正極板)は、正極集電体及びその表面に配置される正極合材(正極合剤)よりなる。正極合材は、正極集電体の表面に配置される少なくとも正極活物質を含む層(正極活物質層)である。正極活物質層は、正極活物質の他に導電材、結着材、増粘剤等を含んでもよい。
前記正極活物質としては、リチウム含有複合金属酸化物が好ましい。リチウム含有複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−y、LiCo1−y、LiNi1−y、LiMn及びLiMn2−y(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3である。)が挙げられる。ここで、リチウムのモル比を示すxの値は、充放電により増減する。正極活物質としてオリビン型リチウム塩又はカルコゲン化合物を用いてもよい。オリビン型リチウム塩としては、LiFePOが挙げられる。カルコゲン化合物としては、二硫化チタン及び二硫化モリブデンが挙げられる。正極活物質は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
正極活物質としては、安全性の観点から、LiMn又はLiMn2−yで表されるリチウムマンガン酸化物を含むことが好ましい。正極活物質としてリチウムマンガン酸化物を用いる場合の含有量は、正極活物質の総量に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
正極活物質層に用いてもよい導電材としては、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられる。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられる。導電材は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質層に用いてもよい結着材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂及びゴム粒子が挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。ゴム粒子としては、スチレン−ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。これらの中でも、正極活物質層の耐酸化性を向上させること等を考慮すると、フッ素を含む結着材が好ましい。結着材は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極集電体の材質としては特に制限はなく、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料などが挙げられる。中でも金属材料が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
正極集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。具体例としては、金属材料については、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素質材料については、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜を用いることが好ましい。なお、薄膜は必要に応じてメッシュ状に形成してもよい。薄膜の厚さは任意であるが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが更に好ましい。また、1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。薄膜の厚さが1μm以上であると、集電体として必要な強度が得られる傾向にある。また、1mm以下であると、充分な可撓性が得られ加工性が良好となる傾向にある。
正極活物質層は、例えば、正極合剤ペーストを正極集電体表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて圧延することにより形成できる。正極合剤ペーストは、例えば、正極活物質を、必要に応じて、結着材、導電材、増粘剤等とともに分散媒に添加して混合することにより調製できる。分散媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水等が挙げられる。
[負極]
本実施の形態のリチウムイオン二次電池は、負極を備える。負極は、負極集電体及びその表面に配置される負極活物質層を含む。負極集電体としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅等を含むシート、箔などが挙げられる。シート及び箔の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることが更に好ましい。負極活物質層は、負極集電体の厚み方向における一方又は両方の面に形成され、負極活物質を含有し、更に必要に応じて、結着材、導電材、増粘剤等を含有していてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用できる。負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、金属間化合物、炭素材料、無機化合物、金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。無機化合物としてはリチウムチタン複合酸化物、炭化ケイ素等が挙げられる。負極活物質は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、負極活物質としては、炭素材料が好ましい。炭素材料としては、黒鉛、カーボンブラック、非晶質炭素、炭素繊維等が挙げられる。黒鉛としては、鱗片状黒鉛等の天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられる。
炭素材料の体積平均粒径は、0.1μm〜60μmであることが好ましく、0.5μm〜30μmであることがより好ましい。また、炭素材料のBET比表面積は、1m/g〜10m/gであることが好ましい。
炭素材料は、リチウムイオン二次電池の用途に応じて重視される特性を考慮して選択することが好ましい。例えば、電池の放電容量をより向上できる観点からは、X線広角回折法における炭素六角平面の間隔(d002)が3.35Å〜3.40Åであり、c軸方向の結晶子(Lc)が100Å以上である黒鉛が好ましい。電池のサイクル特性及び安全性をより向上できる観点からは、X線広角回折法における炭素六角平面の間隔(d002)が3.5Å〜3.95Åである非晶質炭素が好ましい。
負極活物質層に用いてもよい導電材としては、正極活物質層に含有される導電材と同様のものを使用できる。また、負極活物質層に用いてもよい結着材としては、リチウムイオン二次電池の分野で常用されるものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム及びアクリルゴムが挙げられる。負極活物質層に用いてもよい増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
負極活物質層は、例えば、負極合剤ペーストを負極集電体表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて圧延することにより形成できる。負極合剤ペーストは、例えば、負極活物質を、必要に応じて、結着材、導電材、増粘剤等とともに分散媒に添加して混合することにより調製できる。分散媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、水等が挙げられる。
[電解液]
本実施の形態のリチウムイオン二次電池は、電解液を備える。電解液は、リチウム塩(電解質)と、リチウム塩を溶解する溶媒と、から構成される。必要に応じて、添加材を加えてもよい。
リチウム塩としては、リチウムイオン電池用の電解液の電解質として使用可能なリチウム塩であれば特に制限はない。例えば、以下に示す無機リチウム塩、含フッ素有機リチウム塩、オキサラトボレート塩等が挙げられる。
無機リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩、LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩、LiAlCl等の無機塩化物塩などが挙げられる。
含フッ素有機リチウム塩としては、LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩、LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩、Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩などが挙げられる。
オキサラトボレート塩としては、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等が挙げられる。
これらのリチウム塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒に対する溶解性、リチウムイオン二次電池とした場合の充放電特性、出力特性、サイクル特性等を総合的に判断すると、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)が好ましい。
電解液中の電解質の濃度に特に制限はないが、0.5mol/L以上であることが好ましく、0.6mol/L以上であることがより好ましく、0.7mol/L以上であることが更に好ましい。また、2mol/L以下であることが好ましく、1.8mol/L以下であることがより好ましく、1.7mol/L以下であることが更に好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、電解液の電気伝導率が充分となる傾向にある。また、2mol/L以下であると、粘度が高くなりすぎず、良好な電気伝導度が得られる傾向にある。なお、電気伝導度の低下により、リチウムイオン二次電池の性能が低下する可能性がある。
溶媒としては、リチウムイオン二次電池用の電解質の溶媒として使用可能な溶媒であれば特に制限はなく、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル等が挙げられる。
環状カーボネートとしては、環状カーボネートを構成するアルキレン基の炭素数が2〜6のものが好ましく、2〜4のものがより好ましい。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジアルキルカーボネートが好ましく、2つのアルキル基の炭素数が、それぞれ1〜5のものがより好ましく、1〜4のものが更に好ましい。具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状カーボネート類、及びエチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート類が挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートが好ましい。
鎖状エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
電池特性の観点からは、電解液は環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む(環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒である)ことが好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合割合は、環状カーボネート/鎖状カーボネート(体積比)が1/9〜6/4であることが好ましく、2/8〜5/5であることがより好ましい。
電池の長寿命化の観点からは、電解液は環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒に、フッ素含有環状カーボネート又は分子内に不飽和結合を有する化合物を添加したものであることが好ましい。フッ素含有環状カーボネートとしては、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等が挙げられる。分子内に不飽和結合を有する化合物としては、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
[セパレータ]
本実施の形態のリチウムイオン二次電池は、セパレータを備える。セパレータは、正極及び負極間を電子的には絶縁しつつもイオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性および負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレータの材料(材質)としては、樹脂、無機物、ガラス繊維等が用いられる。
樹脂としては、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、セルロース樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂などが挙げられる。中でもオレフィン樹脂等の電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶことが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂を原料とする多孔性シート、不織布等を用いることがより好ましい。
無機物としては、アルミナ、二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。例えば、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状の基材に付着させたものをセパレータとして用いることができる。薄膜形状の基材としては、孔径が0.01μm〜1μm、厚さが5μm〜50μmのものが好適に用いられる。あるいは、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、樹脂等の結着材を用いて複合多孔層としたものをセパレータとして用いることができる。さらに、無機物及び結着材の混合物を正極又は負極の表面に塗布して複合多孔層を形成し、セパレータとしてもよい。例えば、90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着材として結着させた複合多孔層を、正極の表面に形成してもよい。
[その他の構成部材]
本実施の形態のリチウムイオン二次電池は、必要に応じて上述したもの以外の構成部材を備えてもよい。例えば、開裂弁を設けてもよい。開裂弁が開放することで、電池内部の圧力上昇を抑制でき、安全性を向上させることができる。また、温度上昇に伴い不活性ガス(二酸化炭素等)を放出する構成部を設けてもよい。このような構成部を設けることで、電池内部の温度が上昇した場合に、不活性ガスの発生により速やかに開裂弁を開けることができ、安全性を向上させることができる。
次に、図面を参照して、本発明を18650タイプの円柱状リチウムイオン二次電池に適用した実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、帯状の正極板2及び負極板3がセパレータ4を介して渦巻状に捲回された電極群が有底円筒状の電池容器の内部に収容された構造を有する。電極群の中心に存在する空間には、特定難燃剤がシェルの内部に配置されている構造物1を備えている。電池容器の内部は、図示しない電解液で満たされている。図1に示すリチウムイオン二次電池は、電池容器の内部に構造物1を備える以外は通常のリチウムイオン二次電池の製造方法に従って製造することができる。図1では、電極捲回群の中心に存在する空間に構造物を備えているが、これに限らず電極捲回群と電池容器底面との間の空間、捲回式電極群と電池蓋との間の空間等に構造物を備えてもよい。また、複数の構造物を異なる位置に備えてもよい。
ある実施の形態では、電池容器はニッケルメッキが施されたスチール製であり、セパレータ4はポリエチレン製多孔質シートである。電極群の上端面には、一端部を正極板2に固定されたアルミニウム製でリボン状の正極タブ端子が導出されている。正極タブ端子の他端部は、電極群の上側に配置され、正極外部端子となる円盤状の電池蓋の下面に超音波溶接で接合されている。一方、電極群の下端面には、一端部を負極板3に固定された銅製でリボン状の負極タブ端子が導出されている。負極タブ端子の他端部は、電池容器の内底部に抵抗溶接で接合されている。従って、正極タブ端子及び負極タブ端子は、それぞれ電極群の両端面の互いに反対側に導出されている。電極群の外周面には、絶縁被覆が施されている。電池蓋は、絶縁性の樹脂製ガスケットを介して電池容器の上部にカシメ固定されており、リチウムイオン二次電池の内部は密封されている。電池容器内には、非水電解液が注液されている。
(リチウムイオン二次電池の放電容量)
本発明のリチウムイオン二次電池は、放電容量が20Ah以上99Ah未満の大容量のものに特に適しているが、18650型の小容量リチウムイオン二次電池にも効果を発揮する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
<実施例1>(1)構造物の作製
フラスコ内に多孔質材料としてシリカゲル(商品名:平均粒径約2mm、シリカゲル小粒状、和光純薬工業(株))2.5gと固体状の四臭化炭素2.5gを入れて90℃に加熱し、シリカゲルに四臭化炭素を吸着させた。その後、室温で無機ポリシラザン(商品名:AZ NL120A-20、有効成分5質量%、AZエレクトロニックマテリアルズ(株))6.0gをアトマイザー(霧吹き機)用いて前記シリカゲル表面に均一に噴きつけた。50℃のホットプレート上で60分間、また室温で24時間、ポリシラザンの硬化を行った。
(2)負極の作製
非晶質炭素(負極活物質、株式会社クレハ)91.4質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(結着材、商品名:クレハKFポリマー#9130、固形分13質量%、株式会社クレハ)66.15質量部及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)27.6質量部を混合して負極合剤ペーストを調製した。この負極合材ペーストを厚さ10μmの銅芯材(負極集電体、日立電線株式会社)の両面に塗布し、80℃で乾燥後圧延して、片面厚さ80μm、片面塗布量80g/m、合剤密度1.1g/cmの負極合剤層を形成し、負極を作製した。
(3)正極の作製
LiMn(正極活物質、三井金属株式会社)90質量部、アセチレンブラック(導電材、商品名:HS−100、平均粒径48nm(製造元カタログに記載の値)、電気化学工業株式会社)5質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(結着材、商品名:クレハKFポリマー#7305、固形分5質量%、株式会社クレハ)100質量部及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)28質量部を混合して正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上の両面に塗布し、120℃で乾燥後圧延して、片面厚さ91μm、片面塗布量150g/m、合剤密度2.1g/cmの正極活物質層を形成し、正極を作製した。
(4)リチウムイオン二次電池の作製
作製した正極と負極の間に厚さ30μm、幅58.5mmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで得たものを捲回し、捲回式電極群を作製した。この捲回式電極群を電池容器に挿入し、予め負極集電体に溶着した負極タブ端子を缶底に溶着した。次に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比で2:3となるように混合した溶媒にLiPFを1.2mol/Lの濃度となるように溶解し、さらにビニレンカーボネートを0.8質量%添加して電解液を作製した。作製した電解液を電池容器内に5ml注入した。その後、捲回式電極群の中心部分の円筒状の空間に、上記(1)で作製した構造体を、注入した電解液の全量に対して特定難燃剤量が15質量%になるように配置した。その後、予め発電要素の正極集電体に溶着した正極タブ端子を正極外部端子に電気的に接続するように溶着し、正極キャップを缶上部に配置させ、絶縁性のガスケットを介して電池容器上部をかしめて電池を密閉した。以上のようにして、18650型リチウムイオン二次電池を作製した。
[電池性能の評価]
上記の方法で作製したリチウムイオン二次電池を用いて、電池性能の評価を行った。25℃での放電レート特性を、充放電装置(東洋システム株式会社、商品名:TOSCAT−3200)を用いて以下の充放電条件で測定し、初回充放電効率と放電レート特性を評価した。
充電電流値0.5Cで4.2Vまで充電し、終止条件である電流値0.01Cとなるまで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、放電電流値0.5Cで3Vまで定電流(CC)放電を行い、このときの充電容量及び放電容量を測定し、それぞれ初回充電容量及び初回放電容量とした。次いで、充電を上記と同様の条件で行い、放電電流値を1C、3C、5Cと変化させて放電容量を測定した。なお、Cとは「電流値(A)/放電容量(Ah)」を意味する。初回充放電効率と放電レート特性は、下記の式から算出した。結果を表1に示す。
初回充放電効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100
放電レート特性(%)=(5Cでの放電容量/0.5Cでの放電容量)×100
また、シェルの難燃剤の遮蔽性を評価するための加速試験として、前記試験後の電池を60℃にて1週間保持した後の容量維持率を算出した。具体的には、前記試験後の電池を定温乾燥機を用いて60℃にて1週間保持した。その後、充電電流値0.5Cで4.2Vまで充電し、終止条件である電流値0.01Cとなるまで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、放電電流値0.5Cで3Vまで定電流(CC)放電を行い、このときの放電容量を測定し、これを60℃にて1週間保持後の放電容量とした。容量維持率は以下のように算出した。結果を表1に示す。
容量維持率(%)=(60℃にて1週間保持後の放電容量/初回放電容量)×100
[熱重量分析(重量減少開始温度)]
難燃剤が放出される温度の指標として重量減少開始温度を検証するため、熱重量分析(TGA)を行った。TGA測定用の構造物は、(1)で作製した構造物5mgを用いた。TGAは、窒素雰囲気、昇温速度5℃/minで、30℃から300℃の範囲で測定した。このとき、0.1%重量減少する温度を、重量減少開始温度と定義した。結果を表1に示す。
[バーナー試験(自己消火性)]
上記の方法で作製した18650型リチウムイオン二次電池を用いて、バーナー試験による安全性試験を行った。バーナー試験とは、18650型リチウムイオン二次電池の上端部(正極端部)をガスバーナーにて加熱する試験のことで、内圧上昇により噴出したガスの燃焼性及び自己消火性を検証することができる。具体的には、噴出ガスへ引火した直後にガスバーナーによる加熱を停止し、引火した噴出ガスが消火するまでにかかる時間を測定した。この時間が短いほど、電解液の自己消火性が高いと評価した。評価基準は、引火から消火までの時間が0.5秒未満であればA、0.5秒以上10秒未満であればB、10秒以上であればCとした。結果を表1に示す。
<実施例2>
特定難燃剤をブロモホルムとした以外は実施例1と同じ方法で構造体を作製した。この構造体を用いた以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
<実施例3>
構造体の作製において、無機ポリシラザンの代わりに、有機ポリシラザン(商品名:KiON社製 HTA1500 Rapid Cure、有効成分5質量%、末端官能基:−(CHNH基)とした以外は実施例1と同様の条件で構造体を作製した。この構造体を用いた以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
特定難燃剤をブロモホルムとした以外は実施例3と同じ方法で構造体を作製した。この構造体を用いた以外は実施例3と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
構造体を以下のようにして作製した。
フラスコ内にシリカゲル(商品名:平均粒径約2mm、シリカゲル小粒状、和光純薬工業(株))2.5gと固体状の四臭化炭素2.5gを入れて90℃に加熱し、シリカゲルに四臭化炭素を吸着させた。その後、室温で無機ポリシラザン(商品名:AZ NL120A-20、有効成分5質量%、AZエレクトロニックマテリアルズ(株))6.0gをアトマイザー(霧吹き機)用いて前記シリカゲル表面に均一に噴きつけた。50℃のホットプレート上で60分間、また室温で24時間、無機ポリシラザンの硬化を行った。次に、緩衝材としてブタジエン系ゴム分散溶液(商品名:TRD−2001、有効成分50質量%、JSR(株))に5分間浸漬した後、引き上げ50℃ホットプレート上で60分乾燥し、緩衝材を有する構造体を作製した。この構造体を用いた以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
構造体の作製において、緩衝材としてエポキシ系樹脂(商品名:2液性エポキシ樹脂TB2086N、(株)スリーボンド)とした以外は実施例5と同様の条件で構造体を作製した。この構造体を用いた以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
構造体の作製において、特定難燃剤をブロモホルム、緩衝材をアクリル系樹脂(商品名:アロンアルフアEXTRA耐衝撃、コニシ(株))とした以外は実施例6と同様の条件で構造体を作製した。この構造体を用いた以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
構造体の作製において、緩衝材をセルロース系樹脂(商品名:CMC#1120、ダイセル化学工業(株))とした以外は実施例7と同様の条件で構造体を作製した。この構造体を用いた以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
構造体の作製において、無機ポリシラザンを用いなかった以外は実施例1と同じ方法で構造物を作製した。この構造体を用いた以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
構造体の作製において、特定難燃剤をブロモホルムとした以外は比較例1と同じ方法で構造物を作製した。この構造体を用いた以外は比較例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
四臭化炭素をそのまま捲回式電極群の中心部分の円筒状空間に直接配置した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
四臭化炭素の量は、電解液の全量に対して15質量%とした。
<比較例4>
構造物を電池内部に配置しない以外は実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016051631
*:初回充放電効率が0%であったため未評価
表1に示すように、構造物がシェルを含む実施例1〜8は、重量減少開始温度がいずれも60℃以上であった。このことから、電池の通常使用温度(60℃以下)では難燃剤はシェルの外部に放出されず、60℃を超えて電池が異常な状態になると、難燃剤がシェルの外部に放出されることがわかった。また、初回充放電効率及び放電レート特性の結果より、実施例1〜8は従来例(比較例4)と同等の電池性能を有することがわかった。さらに、特定難燃剤として四臭化炭素又はブロモホルムを用いる実施例1〜8は自己消火性に優れることがわかった。
構造物にシェルを有さない比較例1及び比較例2は、電池性能が低かった。これは、難燃剤がシェルから漏洩し、電解液に混入したためと考えられる。
四臭化炭素をシェル内部に入れず、直接電池内部に入れた比較例3は、電池特性が著しく悪化し、測定不能であった。また、重量減少開始温度が32℃と低かった。このことから、特定難燃剤が通常使用温度下でも電解液に混入し、電池性能の低下が生じたものと考えられる。
特定難燃剤を用いなかった比較例4では、バーナー試験における燃焼時間が10秒以上であり、自己消火性に劣ることがわかった。
以上より、本発明によれば、温度上昇下で危険な状態になることを有効に抑制できるリチウムイオン二次電池を提供できることがわかった。また、本発明によれば、通常の電池使用時には特定難燃剤が電解液中に放出されず、電池性能が損なわれないことがわかった。
1 構造物
2 正極板
3 負極板
4 セパレータ

Claims (5)

  1. 電解液に難溶である材料と、前記材料の内部に配置されるブロモホルム及び四臭化炭素からなる群より選択される少なくとも1種と、を有する構造物を備えるリチウムイオン二次電池。
  2. 電池容器と、正極、負極及びセパレータを捲回してなる電極捲回群と、電解液と、を更に備え、前記構造物は前記電極捲回群の中心の空隙部に配置される、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記電解液が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記電解液に難溶である材料がシリカガラスを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記ブロモホルム及び四臭化炭素からなる群より選択される少なくとも1種が、60℃以上の温度で前記電解液に難溶である材料から放出される、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114730942A (zh) * 2019-11-18 2022-07-08 雅宝公司 用于锂电池的阻燃剂

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