JP2016050803A - 分光画像取得装置、及び分光画像取得方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、反射膜間のギャップ寸法を変更可能な干渉フィルターでは、ギャップ寸法の変更時の基板や反射膜の撓みや、製造誤差等によって、ギャップ寸法が均一とはならない場合がある。この場合、撮像素子の各画素において、それぞれ異なる波長の光が到達してしまい、高精度な分光画像の取得が困難になるという課題がある。
これに対して、反射膜間のギャップ寸法に対して、各撮像素子の各画素において受光される光の波長を予め取得しておき、各画素で所望の波長が取得されるように、ギャップ寸法を順次変化させる方法が考えられている。
これに対して、干渉フィルターを透過する光のうちターゲット波長に対して取得次数を設定することで、上記課題を解決できる。例えば、400nm〜600nmの第一波長域は2次ピーク波長として干渉フィルターを透過する光を検出し、620〜700nmの第二波長域は1次ピーク波長として干渉フィルターを透過する光を検出する。しかしながら、この場合、各撮像画素に対応して、それぞれターゲット波長に対応したギャップ寸法を設定する必要があるので、ギャップ寸法の変更量(駆動量)が大きくなり、測定回数も増える。従って、測定にかかる時間が長くなるとの課題がある。
このような本適用例では、ターゲット波長に対して、波長可変干渉フィルターから出射される次数が固定されている場合に比べて、ギャップ寸法を変化させる回数(測定回数)を少なくでき、駆動量も小さくできる。
例えば、従来、ターゲット波長λ1を2次ピーク波長として取得する際に、撮像画素Aに入射する光の光路上の反射膜間のギャップ寸法をG1、撮像画素Bに入射する光の光路上の反射膜間のギャップ寸法をG2に設定する必要があったとする。この場合、各撮像画素A,Bでターゲット波長λ1の光量を検出するためには、制御量V1にて撮像画素Aに対応する反射膜間のギャップ寸法がG1となるようにギャップ変更部を制御した後、制御量V2にて撮像画素Bに対応する反射膜間のギャップ寸法がG2となるようにギャップ変更部を制御する必要がある。
ここで、撮像画素Aに入射する光の光路上の反射膜間のギャップ寸法をG1に設定した際に、撮像画素Bに入射する光の光路上の反射膜間のギャップ寸法がG1´となり、その際に、波長可変干渉フィルターから撮像画素Bに対して、1次ピーク波長としてターゲット波長λ1(又はその他のターゲット波長λ2)が出射されるとする。本適用例では、このような場合に、撮像画素Aにより波長可変干渉フィルターから2次ピーク波長として出射されるターゲット波長λ1の光を検出し、撮像画素Bにより波長可変干渉フィルターから1次ピーク波長として出射されるターゲット波長λ1(又はターゲット波長λ2)を検出する。従って、フィルター制御部は、制御量V1にてギャップ変更部を制御した際に、撮像画素A,Bの双方において、ターゲット波長を取得することが可能となる。つまり、単一の次数のみでターゲット波長の光を受光する場合に比べて、ギャップ変更部を駆動させる回数、及びギャップ寸法の駆動必要量を少なくでき、迅速な分光画像の取得が可能となる。また、各撮像画素で受光される受光波長が受光波長データに記録されているので、各撮像画素において受光された光の波長を精度よく検出でき、高精度な分光画像を取得できる。
本適用例では、受光波長データにおいて、各撮像画素に対してそれぞれターゲット波長が設定されている。例えば、撮像画素Aに対して、400nmから20nm間隔となるターゲット波長を700nmまで設定されている場合に、撮像画素Bとして、401nmから20nm間隔となるターゲット波長を701nmまで設定されていてもよい。すなわち、撮像画素Aにおけるターゲット波長と、撮像画素Bにおけるターゲット波長とが必ずしも一致する必要がない。
撮像画素によらずターゲット波長が決定されている場合、各撮像画素において、当該ターゲット波長の光が受光されるように、制御量を多数設定する必要があり、測定回数が増大する。これに対して、本適用例では、各撮像画素に対して、それぞれターゲット波長が設定されている。つまり、所定数の制御量に対して、当該制御量でギャップ変更部を制御した際に各撮像画素で受光される光の波長を、各撮像画素におけるターゲット波長として設定することが可能となる。従って、制御量の設定数が増大することがないため、測定回数の増大もなく、迅速な分光画像の取得処理を行える。
本適用例では、複数の撮像画素を1つの画素群とし、各画素群に対するターゲット波長及びその取得次数が設定されている。ここで、各画素群は、撮像画素に入射される光の光路上に位置する反射膜間のギャップ寸法のバラつきに基づいて設定されている。すなわち、ギャップ寸法のバラつきに応じて、当該バラつきが同程度である部分に対応した撮像画素は、同一の画素群に属する。従って、画素群に含まれる各撮像画素では、略同一波長の光が受光される。従って、実際に各撮像画素で受光される受光波長とターゲット波長との差は、無視できる程度に小さく、測定精度に影響を与えない。
このような構成では、各撮像画素のそれぞれに対して個別にターゲット波長及びその取得次数を設定する場合に比べて、ターゲット波長及び取得次数の設定数を少なくできる。従って、受光波長データのデータ構成もより簡略化でき、フィルター制御部によるギャップ寸法の駆動量や測定回数も少なくできるため、更なる処理の迅速化を図ることができる。
本適用例では、互いに近接する撮像画素を画素群とし、その画素群に対するターゲット波長として、当該画素群を構成する撮像画素において実際に受光される光の波長の平均値を採用している。このような構成では、画素群を1つの撮像画素として置き換えた分光画像を撮像する際に、処理の迅速化を図れる。
以下、本発明に係る第一実施形態の分光画像取得装置である分光カメラについて、図面に基づいて説明する。
[分光カメラの概略構成]
図1は、本発明の第一実施形態に係る分光カメラの概略構成を示す概略図である。
分光カメラ1は、本発明の分光画像取得装置に相当し、撮像対象の分光画像を撮像する装置である。
撮像モジュール12は、入射光を受光して画像を取得する。この撮像モジュール12は、入射光学系121と、本発明の分光フィルターである波長可変干渉フィルター5と、撮像部122と、フィルター駆動回路123と、を備えている。
入射光学系121は、外装筐体11に設けられた入射窓から入射した光(対象物の像)を撮像部122に結像する。この入射光学系121としては、例えば、波長可変干渉フィルター5に対して、光の主光軸が平行となるように入射光を導くテレセントリック光学系等を例示できる。
撮像部122は、例えばCCDやCMOS等のイメージセンサー等を用いることができる。撮像部122は、撮像画像の各画素に対応した撮像画素122Aがマトリクス状に配置された2次元アレイ構造を有する。そして、各撮像画素122Aは、受光された光量に基づいた信号値を制御部15に出力する。
なお、本実施形態において、説明の簡略化のため、各撮像画素における感度は一定であり、かつ分光波長域における各波長成分における感度も一定であるとする。
図2は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図である。図3は、図2のA−A線で切断した波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2及び図3に示すように、固定基板51及び可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば各種ガラスや、水晶等により形成されており、本実施形態では、石英ガラスにより構成されるものとする。そして、これらの基板51,52は、図3に示すように、接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。具体的には、固定基板51の第一接合部513、及び可動基板52の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等により構成された接合膜53により接合されている。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51又は可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
そして、波長可変干渉フィルター5には、反射膜54,55間のギャップG1の距離(ギャップ寸法)を調整するのに用いられる、本発明のギャップ変更部である静電アクチュエーター56が設けられている。この静電アクチュエーター56は、固定基板51に設けられた固定電極561と、可動基板52に設けられた可動電極562と、を備え、各電極561,562が対向することにより構成されている。これらの固定電極561,可動電極562は、電極間ギャップを介して対向する。ここで、これらの電極561,562は、それぞれ固定基板51及び可動基板52の基板表面に直接設けられる構成であってもよく、他の膜部材を介して設けられる構成であってもよい。
なお、本実施形態では、反射膜間ギャップG1が電極間ギャップよりも小さく形成される構成を例示するが、例えば波長可変干渉フィルター5により透過させる波長域によっては、反射膜間ギャップG1を電極間ギャップよりも大きく形成してもよい。
また、フィルター平面視において、可動基板52の一辺側(例えば、図2における辺C3−C4)は、固定基板51の辺C3´−C4´よりも外側に突出する。この可動基板52の突出部分は、固定基板51と接合されない電装部526であり、波長可変干渉フィルター5を固定基板51側から見た際に露出する面は、後述する電極パッド564P,565Pが設けられる電装面524となる。
同様に、フィルター平面視において、固定基板51の一辺側(電装部526とは反対側)は、可動基板52よりも外側に突出する。
固定基板51には、エッチングにより電極配置溝511及び反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561及び可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁に接続された固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563は、電極配置溝511から辺C3´−C4´側(電装部526側)に向かって形成された接続電極溝(図示略)に沿って設けられている。この接続電極溝には、可動基板52側に向かって突設されたバンプ部565Aが設けられ、固定引出電極563は、バンプ部565A上まで延出する。そして、バンプ部565A上で可動基板52側に設けられた固定接続電極565に当接し、電気的に接続される。この固定接続電極565は、接続電極溝に対向する領域から電装面524まで延出し、電装面524において固定電極パッド565Pを構成する。
この反射膜設置部512には、図3に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。更に、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO2やSiO2等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
可動基板52は、フィルター中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、を備えている。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
なお、本実施形態では、上述したように、電極間ギャップが反射膜間ギャップG1の寸法よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、赤外線や遠赤外線を用いる場合等、分光画像の取得対象波長域によっては、ギャップG1の寸法が、電極間ギャップの寸法よりも大きくなる構成としてもよい。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、フィルター中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
フィルター駆動回路123は、制御部15からの指令信号に基づいて、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に対して駆動電圧を印加する。これにより、静電アクチュエーター56の固定電極561及び可動電極562間で静電引力が発生し、可動部521が固定基板51側に変位する。波長可変干渉フィルター5のギャップG1の寸法が、所定値に設定される。
バンドパスフィルターの位置としては、波長可変干渉フィルター5と撮像部122との間であってもよく、波長可変干渉フィルター5と入射光学系121との間であってもよく、入射光学系121内のレンズ群の間に設けられていてもよい。また、入射光学系121の光入射側に、着脱自在に設けられていてもよく、この場合、バンドパスフィルターの種類を変更することで、取得対象波長域を変更することも可能となる。
ディスプレイ13は、外装筐体11の表示窓に面して設けられる。ディスプレイ13としては、画像を表示可能な構成であればいかなるものであってもよく、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを例示できる。
また、本実施形態のディスプレイ13は、タッチパネルを備える構成とし、当該タッチパネルを操作部14の一つとしてもよい。
操作部14は、上述のように、外装筐体11に設けられるシャッターボタンや、ディスプレイ13に設けられるタッチパネル等により構成される。ユーザーにより入力操作が行われると、操作部14は、入力操作に応じた操作信号を制御部15に出力する。なお、操作部14としては、上記の構成に限られず、例えば、タッチパネルに代えて、複数の操作ボタン等が設けられる構成などとしてもよい。
図4は、本実施形態の分光カメラ1の概略構成を示すブロック図である。
制御部15は、例えばCPU等の演算回路やメモリー等の記憶回路が組み合わされることで構成され、分光カメラ1の全体動作を制御する。この制御部15は、図4に示すように、記憶部151と、処理部152とを備えている。記憶部151には、分光カメラ1を制御するための各種データや各種プログラムが記録されている。
以下の表1に、本実施形態における受光波長データの一例を示す。
一方、撮像画素bでは、制御量(電圧値V1〜V12)を順次変化させることで、波長可変干渉フィルター5から2次ピーク波長として透過された光を受光することで、400nm〜620nmの20nm間隔のターゲット波長を取得し、制御量(電圧値V16〜V19)を順次変化させることで、波長可変干渉フィルターから1次ピーク波長として透過された640nm〜700nmの20nm間隔のターゲット波長を取得する。同様に、撮像画素cでは、制御量(電圧値V1〜V12、V14)を順次変化させることで、波長可変干渉フィルター5から2次ピーク波長として透過された400nm〜640nmの20nm間隔のターゲット波長を取得し、制御量(電圧値V18〜V20)を順次変化させることで、波長可変干渉フィルターから1次ピーク波長として透過された660nm〜700nmの20nm間隔のターゲット波長を取得する。
すなわち、撮像画素aでは、620nm及び640nmの光を、波長可変干渉フィルター5を透過した1次ピーク波長の光により検出する。これに対して、撮像画素bでは、620nmの光を、波長可変干渉フィルター5を透過した2次ピーク波長の光により、640nmの光を、波長可変干渉フィルター5を透過した1次ピーク波長の光により検出する。また、撮像画素cでは、620nm及び640nmの光を、波長可変干渉フィルター5を透過した2次ピーク波長の光により検出する。このように、本実施形態では、各撮像画素122Aに対して、波長可変干渉フィルター5を透過した光のうち、どの次数でターゲット波長を取得するかが、それぞれ設定されている。
なお、本実施形態では、制御量として静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧を例示するが、例えば、反射膜54,55間のギャップ寸法等が記録されていてもよい。
処理部152は、記憶部151に記憶された各種プログラムを読み込み、実行することで、図4に示すように、フィルター制御部153、スペクトル測定部154、及び画像処理部155等として機能する。
なお、本実施形態では、処理部152が、記憶部151に記録されたプログラム(ソフトウェア)を読み込んで実行することで、ソフトウェアとハードウェアの協働により、上記各機能を実現する例を示すが、これに限定されない。例えば、各機能を有するハードウェアとしての回路が設けられる構成などとしてもよい。
スペクトル測定部154は、各撮像画素122Aで受光された光の光量を取得し、撮像画像の各画素(画像画素)における分光スペクトルを測定する。
画像処理部155は、所望の目標波長の分光画像を生成する。
なお、各機能構成の詳細な説明は後述する。
(分光画像取得処理)
次に、本実施形態の分光カメラ1による分光画像の取得方法について説明する。
図5は、本実施形態の分光画像撮像処理を示すフローチャートである。
本実施形態の分光画像取得処理では、波長λMin(本実施形態では400nm)から、波長λMax(本実施形態では700nm)までの取得対象波長域に対する所定間隔(本実施形態では20nm間隔)の波長をターゲット波長とし、各ターゲット波長に対する分光画像を取得する。
このために、制御部15は、まず、制御変数nを初期化し、n=nmin(表1の場合、nmin=1)を設定する(ステップS1)。
次に、フィルター制御部153は、記憶部151に記憶された受光波長データを参照し、制御ID(表1参照)が「n」であるデータを読み込む(ステップS2)。例えば、上述した表1の例では、制御量(波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧)がV1(V)であるデータ(制御データ)を読み込む。
そして、フィルター制御部153は、フィルター駆動回路123を制御して、静電アクチュエーター56に、読み込まれた制御データの制御量(駆動電圧)を印加させる。すなわち、波長可変干渉フィルター5を駆動させる(ステップS3)。
そして、スペクトル測定部154は、出力された各撮像画素122Aからの信号値から各撮像画素122Aで受光された光の光量を検出し、ステップS2にて読み込まれた受光波長データにおける各撮像画素122Aの受光波長とともに、記憶部151に記憶する(ステップS4)。
図6は、本実施形態において、波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55のギャップ寸法と、撮像部122により受光される光の波長との関係を示す図である。
図7は、波長可変干渉フィルター5を透過した光の波長分布、及び撮像部122により撮像される撮像画像の画像範囲を示す図である。
波長可変干渉フィルター5は、可動部521を固定基板51側に変位させた際の撓みや製造上の基板51,52や反射膜54,55の厚み寸法のバラつき等により、図6に示すように、反射膜54,55間のギャップ寸法にバラつきが生じる。
このため、波長可変干渉フィルター5への光入射位置によって、波長可変干渉フィルター5を透過する光の波長が異なる。例えば、図6において、波長可変干渉フィルター5(反射膜55)の光入射位置IA,IB,ICに入射した光は、それぞれ、反射膜54,55間においてギャップ寸法Ga,Gb,Gcで多重干渉され、波長λa,λb,λcの光が透過され、撮像画素a,b,cで受光される。
このように、波長可変干渉フィルター5から透過される光の波長にもバラつきが生じ、図7に示すような波長分布が現れる。なお、図7では、波長可変干渉フィルター5から透過された光の波長分布を濃淡により示しており、破線により示される領域は、撮像部122によって撮像される撮像領域であり、撮像画像Pとなる。また、撮像画像Pにおける各破線マス目は、各撮像画素122Aに対応した撮像画像Pにおける各画素(画像画素)である。図6の撮像画素a,b,cは、それぞれ、画像画素A,B,Cに対応している。
以下の表2に、本実施形態での各測定回における光入射位置IA,IB,ICに対応したギャップ寸法Ga,Gb,Gcと、撮像画素a,b,cで受光される波長λa,λb,λcを示す。
また、測定回nが12、14の時には、撮像画素aの受光量は、取得対象波長域外であり、バンドパスフィルターにより遮断される光であるため、光量取得は行わない。
一方、測定回nが13、15〜18において、700nm〜620nmの20nm間隔の光を、波長可変干渉フィルター5から1次ピーク波長として透過した光として受光する。この際、撮像画素aに入射される2次ピーク波長の光は、400nmよりも短い波長となり、バンドパスフィルターにより遮断される。例えば測定回nが13の場合、波長可変干渉フィルター5から2次ピーク波長として、370nm近傍の光が透過可能であるが、バンドパスフィルターにより遮断される。このため、撮像画素aにおいて、1次ピーク波長の700nmの光を高精度に検出することが可能となる。また、測定回nが14の場合では、波長可変干渉フィルター5から1次ピーク波長として、681nm近傍の光が透過可能であるが、この測定回では、撮像画素aからの信号値は受け取らない。
そして、上述したように、本実施形態では、反射膜54,55間のギャップ寸法が初期ギャップ(例えばGaは580nm、Gbは600nm、Gcは620nm)から、ギャップ寸法を小さくするように、受光波長データの制御ID「n」が設定され、その制御IDの順番に、波長可変干渉フィルター5を駆動させる。このため、可動部521の駆動量を小さくでき、可動基板52のばね性による振動残留が抑制される。
これに対して、本実施形態では、20回の測定を実施すればよく、迅速な測定処理が可能となる。
このステップS7では、スペクトル測定部154は、反射膜54,55間のギャップG1の寸法を順次変更した際の各撮像画素122Aにおける受光量(撮像画像における各画像画素の光量)と、その受光波長とに基づいて、各画素の分光スペクトルを測定する。
次に、画像処理部155は、分光画像の生成対象となる目標波長を取得する(ステップS8)。この目標波長の取得としては、例えば、画像処理部155は、ユーザーによる操作部14の操作により、目標波長を取得してもよく、目標波長が予め設定されていてもよい。目標波長の数としては特に限定されない。
そして、画像処理部155は、各画像画素の分光スペクトルから設定された目標波長に対する光量を取得し(ステップS9)、当該光量を画素値とした分光画像を生成する(ステップS10)。
以上により、目標波長の分光画像が生成される。
本実施形態の分光カメラ1では、フィルター制御部153は、記憶部151に記憶された受光波長データに基づいて、波長可変干渉フィルター5における静電アクチュエーター56を制御する。ここで、本実施形態では、受光波長データとして、静電アクチュエーター56の制御量である駆動電圧と、当該駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加した際に撮像部122の各撮像画素122Aで受光される受光波長(ターゲット波長)と、当該ターゲット波長が波長可変干渉フィルターからどの次数(取得次数)で出射されるかが記録されている。また、この取得次数は、取得対象波長域に対して、制御量を徐々に大きくした際に、各撮像画素122Aにおいて、取得可能なターゲット波長を順次設定したものであり、表1に示すように、制御量が小さい順に順次埋めるように設定されている。
また、制御量を初期値から徐々に大きくしていくことで、波長可変干渉フィルター5の可動部521の変位量も少なく、例えば可動部521が可動基板52のばね性等によって振動する場合でも、その振動振幅が小さいので1回の測定に係る測定時間も短縮される。
以上により、本実施形態では、各撮像画素122Aで各ターゲット波長を取得するための測定時間を短縮でき、分光画像の取得処理の迅速化を図ることができる。
更に、本実施形態では、所定の制御量で静電アクチュエーター56を制御した際に各撮像画素122Aで受光される光の波長が受光波長データに記録されている。従って、例えば、従来のように、撮像画像の各画像画素の光量値が1つのターゲット波長に対するものであると仮定した画像ではなく、各画像画素の光量値が示す波長を特定でき、精度の高い分光画像を取得することができる。
このため、波長可変干渉フィルター5から出射された取得次数の波長以外の光が、撮像部122へ入射される不都合を抑制でき、精度の高い分光画像を取得することができる。
よって、フィルター制御部153は、目標波長がターゲット波長である場合では、当該ターゲット波長に対する制御量(駆動電圧)を読み出し、その駆動電圧を順次静電アクチュエーター56に印加することで、各画像画素の目標波長に対する光量値を検出することができる。すなわち、分光スペクトルを算出することなく、分光画像を生成することが可能となる。
次に、本発明にかかる第二実施形態について説明する。
上述した第一実施形態では、表1及び表2に示すように、分光カメラ1にて取得するターゲット波長を取得対象波長域(例えば400nm〜700nm)における20nm間隔の波長とし、各撮像画素122Aにて当該ターゲット波長を取得可能な制御量を設定した受光波長データを用いた。
これに対して、第二実施形態では、各撮像画素122Aでそれぞれ独立してターゲット波長が設定されている点で上記第一実施形態と相違する。
これに対して、第二実施形態では、下記表4に示すような受光波長データが設定されている。
一方、他の撮像画素122Aでは、撮像画素aにて一定間隔となる波長を受光するための制御量(駆動電圧)を静電アクチュエーター56に印加した際に、実際に受光される受光波長が、それぞれターゲット波長として設定されている。すなわち、撮像画素b,cのターゲット波長は、撮像画素aのターゲット波長とは異なる波長であってもよい。本実施形態では、各撮像画素122Aに対して、それぞれ独立したターゲット波長が設定されている。
なお、分光画像取得方法は、上記第一実施形態と同様(図6参照)である。
このような受光波長データを用いることで、取得対象波長域における一定間隔となる波長をターゲット波長として設定する場合に比べて、測定回数を少なくできる。つまり、特定のターゲット波長を各撮像画素122Aで受光できるようにそれぞれ制御量を設定する場合、波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55間のギャップ寸法のバラつきによっては、測定回数が多くなる場合がある。これに対して、本実施形態では、各撮像画素122Aに対してターゲット波長が設定されているので、測定回数をより少なくできる。従って分光画像の取得処理においてもより処理の迅速化を図れる。
また、このような受光波長データを用いる場合でも、図5のステップS7に示すように、撮像画像の各画像画素における分光スペクトルを算出することで、所望の目標波長に対する光量を精度よく算出することができ、精度の高い分光画像を生成することができる。
次に、本発明に係る第三実施形態について説明する。
上記第一実施形態及び第二実施形態では、各撮像画素122Aに対して、それぞれターゲット波長及びその取得次数を設定した受光波長データを用いた。これに対して、第三実施形態では、複数の撮像画素122Aを画素群とし、撮像部122を複数の画素群に分割したうえで、各画素群に属する各撮像画素に対してそれぞれ同じターゲット波長及び取得次数を設定する点で上記実施形態と相違する。
本実施形態では、図8に示すように、波長可変干渉フィルター5を透過した光の波長によって複数の領域に分割する。すなわち、反射膜54,55間のギャップ寸法のバラつきに応じて、撮像部122の各撮像画素122Aを複数の画素群(領域)に分割する。
これらの領域は、波長可変干渉フィルターの波長分解能によって設定される。波長分解能は、波長可変干渉フィルター5から出射させる光の間隔であり、例えば、撮像画素aにて受光されるターゲット波長を20nm間隔で変化させる場合では、波長分解能は20nmとなる。
各領域は、波長分解能の半値を単位として設定されることが好ましい。例えば、波長分解能が20nmである場合、撮像部122の重心位置に配置される撮像画素122A(撮像画素a)に対応したギャップ寸法Gaを基準ギャップ寸法とし、各撮像画素122Aに対応するギャップ寸法と基準ギャップ寸法との差(ギャップ寸法のバラつき)に基づいて撮像画素122Aを複数の画素群(領域)に分割する。具体的には、ギャップ寸法のバラつきが10nm未満となる領域(図8の領域A3)、ギャップ寸法のバラつきが10nm以上20nm未満となる領域(図8の領域A2)、ギャップ寸法のバラつきが20nm以上30nm未満となる領域(図8の領域A1)に分割する。以降の範囲も同様である。
例えば、静電アクチュエーター56に所定の駆動電圧Vを印加した際に、上記領域A1に属する各撮像画素122Aの受光波長が約630nm、領域A2に属する各撮像画素122Aの受光波長が約620nm、上記領域A3に属する各撮像画素122Aの受光波長が約610nmである場合、これらの領域A1,A2,A3のターゲット波長として620nmを設定する。つまり、静電アクチュエーター56に駆動電圧Vを印加した際に、スペクトル測定部154は、これらの領域A1,A2,A3において、ターゲット波長620nmを受光したものとして処理する。実際の受光波長とターゲット波長とは10nm未満の範囲の誤差が生じるが、波長分解能の半値よりも小さく、測定精度に対する影響を抑制できる。また、領域A1,A2,A3に属する各撮像画素122Aにおいて、20nm未満の受光波長のバラつきが生じるが、波長分解能の値よりも小さいため、測定精度に対する影響を抑制できる。
例えば、撮像部122の各撮像画素122Aに対応する反射膜54,55間のギャップ寸法のバラつきに応じて、波長分解能を単位として複数の領域に分割し、各領域に対してそれぞれ異なるターゲット波長を設定してもよい。
また、図8の例では、可動部521の変位による撓みにより、可動部521の中心位置から径方向に向かってギャップ寸法のバラつきが生じるため、撮像部122の重心位置の撮像画素122A(撮像画素a)からの距離によって領域が分割される例を示したが、これに限定されない。ギャップ寸法のバラつきは、例えば、製造時における微小な厚み寸法のバラつき等によっても生じる。この場合、例えば領域A2内の一部に領域A1が含まれる等であってもよい。
各領域に含まれる各撮像画素122Aでは、略同一波長の光が受光される。特に上記のように、波長分解能未満を単位として領域を分割する場合では、受光波長のバラつきが生じたとしても測定精度に影響が出ない。このような各領域に対してそれぞれターゲット波長及びその取得次数を設定することで、例えば全ての撮像画素122Aに対してターゲット波長及びその取得次数を設定する場合に比べて、ターゲット波長及び取得次数の設定数が少なくなる。従って、受光波長データのデータ構成もより簡略化でき、フィルター制御部153による静電アクチュエーター56の駆動量や測定回数も少なくできるため、更なる処理の迅速化を図ることができる。
次に本発明の第四実施形態について図面に基づいて説明する。
上記第三実施形態では、反射膜54,55間のギャップ寸法のバラつきに応じて、バラつきが同程度であるギャップ寸法に対応した撮像画素122Aをまとめた画素群を設定した。これに対して、第四実施形態では、撮像部122において、互いに近接する複数の撮像画素122Aを画素群とする点で、上記第三実施形態と相違する。
図9に示すように、本実施形態では、互いに近接する縦2×横2の撮像画素122A(図9における撮像画素a,b,c,d)を1つの画素群とする。ここで、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に所定の駆動電圧Vを印加した際の各撮像画素a,b,c,dにて受光される光の波長の一例を下記表5に示す。
すなわち、受光波長データでは、撮像画素a,b,c,dに対して、制御量Vにおけるターゲット波長661nmが記録されている。このため、スペクトル測定部154は、静電アクチュエーター56に駆動電圧Vを印加した際に、撮像画素a,b,c,dにおいて661nmの波長の光が受光されたとして処理する。
また、画像処理部155は、図9に示すように、撮像画素a,b,c,dに対する画像画素を1つの画像画素A´に置き換えて分光画像を生成する。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
また、波長可変干渉フィルター5として、ギャップG1の寸法に応じた光を透過させる光透過型のエタロン素子を例示したが、これに限定されず、ギャップG1の寸法に応じた光を反射させる光反射型のエタロン素子を用いてもよい。
Claims (6)
- 互いに対向する一対の反射膜、及び前記一対の反射膜間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有し、複数の次数に対応した波長の光を出射する波長可変干渉フィルターと、
複数の撮像画素を有し、前記波長可変干渉フィルターから出射された光を受光する撮像部と、
前記撮像部の各撮像画素について、所定のターゲット波長の光を受光する際の前記ギャップ変更部の制御量を含む受光波長データに基づいて前記ギャップ変更部を制御して前記ギャップ寸法を変化させるフィルター制御部と、を備え、
前記受光波長データは、前記撮像画素毎に設定されて前記波長可変干渉フィルターから前記ターゲット波長を出射させる際の取得次数、及び前記設定された取得次数にて前記ターゲット波長の光を出射させるための前記制御量を含み、
前記取得次数は、前記ギャップ寸法の駆動領域において駆動量が一方向に変化する順に設定されている
ことを特徴とする分光画像取得装置。 - 請求項1に記載の分光画像取得装置において、
前記ターゲット波長は、前記撮像画素毎にそれぞれ設定されている
ことを特徴とする分光画像取得装置。 - 請求項1に記載の分光画像取得装置において、
前記撮像部の各撮像画素は、前記撮像画素で受光される光の光路上の前記一対の反射膜間の前記ギャップ寸法のバラつきに基づいて、複数の画素群に分割されており、
前記受光波長データは、前記各画素群に対して、それぞれ、前記ターゲット波長と、前記ターゲット波長の光を受光する際の前記ギャップ変更部の制御量とを含む
ことを特徴とする分光画像取得装置。 - 請求項3に記載の分光画像取得装置において、
前記フィルター制御部は、前記ギャップ変更部を制御して、前記ギャップ寸法を所定の波長分解能に応じた測定間隔で順次変化させ、
前記撮像部の各撮像画素は、前記ギャップ寸法のバラつきを前記波長分解能未満の長さ単位で分割した前記複数の画素群に分割されている
ことを特徴とする分光画像取得装置。 - 請求項3に記載の分光画像取得装置において、
前記各画素群は、互いに近接する複数の撮像画素により構成され、
前記受光波長データは、前記各画素群に対して、当該画素群を構成する複数の撮像画素にてそれぞれ受光される光の受光波長の平均値を前記ターゲット波長として含む
ことを特徴とする分光画像取得装置。 - 互いに対向する一対の反射膜、及び前記一対の反射膜間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有し、複数の次数に対応した波長の光を出射する波長可変干渉フィルターと、複数の撮像画素を有し、前記波長可変干渉フィルターから出射された光を受光する撮像部と、を備えた分光画像取得装置における分光画像取得方法であって、
前記撮像部の各撮像画素について、所定のターゲット波長の光を受光する際の前記ギャップ変更部の制御量を含む受光波長データを取得するデータ取得ステップと、
前記受光波長データに基づいて前記ギャップ変更部を制御して前記ギャップ寸法を変化させるギャップ制御ステップと、を実施し、
前記受光波長データは、前記撮像画素毎に設定されて前記波長可変干渉フィルターから前記ターゲット波長を出射させる際の取得次数、及び前記設定された取得次数にて前記ターゲット波長の光を出射させるための前記制御量を含み、
前記取得次数は、前記ギャップ寸法の駆動領域において駆動量が一方向に変化する順に設定されている
ことを特徴とする分光画像取得方法。
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