JP2016049885A - 車内案内表示装置および表示車内案内システム - Google Patents

車内案内表示装置および表示車内案内システム Download PDF

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Abstract

【課題】車両に容易かつ低コストに設置することのできる車内案内表示装置を提供する。
【解決手段】車内案内表示装置は、車両の客室の天井部分に設けられた室内灯設置部に取り付け可能な車内案内表示装置であって、前記車両の客室を照明するための照明部と、車内案内のための画像を前記客室内に設定されたスクリーン領域に投影する投影部とを具備する。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉄道車両などの車両に用いられる車内案内表示装置および表示車内案内システムに関する。
車内案内表示装置は、車内案内(行き先、次の停車駅、路線名など)や運行情報(遅延情報、運転再開など)などの様々な車内情報を乗客に提示するための装置である。
鉄道車両には、このような車内案内表示装置が車両毎に複数機設置される。各々の車両に設置された車内案内表示装置は、例えば、乗務員室などに設置された制御装置から、各車両に引き回された制御用の配線を通じて制御指令が与えられることによって制御されるようになっている。
航空機の分野においは、客室に、乗客に情報サービスを提供するためにプロジェクタなどの画像投影装置を設置することが知られている。この画像投影装置は、客室の天井に取り付けられており、客席に着座している乗客の正面側に配置されたスクリーンに画像投影装置から投影光が投射され、スクリーンに画像が表示されるようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平6−305488号公報 特開平7−270911号公報
鉄道車両などの車両内にディスプレイパネルを搭載した車内案内表示装置を設置するには、電源および制御用の配線を新たに敷設し、車内案内表示装置を車両に取り付けるための壁面等の切り欠きを含む加工が必要であった。鉄道車両の場合には、一台の車両に例えば出入り口の数だけの表示器を取り付けることになる。このため取り付け工事に要する全体的なコストが嵩むという問題があった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、車両に容易かつ低コストに設置することのできる車内案内表示装置および車内案内表示システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る車内案内表示装置は、車両の客室の天井部分に設けられた室内灯設置部に取り付け可能な車内案内表示装置であって、前記車両の客室を照明するための照明部と、車内案内のための画像を前記客室内に設定されたスクリーン領域に投影する投影部とを具備する。
この車内案内表示装置は、照明部を備えており、車両の天井部分に元々設けられている室内灯用の取り付け場所に既存の室内灯に代えて取り付けることができる。このため、従来のディスプレイパネルに車内案内のための画像を表示する装置のように、車両の壁面に装置本体の重量に耐え得る強固な取り付け構造を設けたり、電源用の配線を敷設したりするといった大掛かりな改造工事が不要になる。よって、車内案内表示装置の取り付け作業の全体的な工数が減り、コストを低減できる。
上記の車内案内表示装置は、外部の主制御装置にて生成された表示制御情報を無線で送受信することが可能な無線通信部と、受信した前記表示制御情報をもとに前記投影部により投影される画像を制御する表示制御部とをさらに具備するものであってよい。
これにより、投影部により投影される画像を制御するための表示制御情報を通信するための信号配線を車両中に引き回すことが不要となる。よって、車内案内表示装置の取り付け作業の全体的な工数が減り、コストを低減できる。
上記の車内案内表示装置は、前記表示制御部は、少なくとも、時刻をもとに前記投影部によって投影される画像の明るさを制御するように構成されていてもよい。
上記の車内案内表示装置において、前記無線通信部は、前記外部の主制御装置にて生成された調光制御情報を無線で送受信することが可能とされ、前記車内案内表示装置は、さらに、前記調光制御情報をもとに前記照明部の明るさを制御する調光制御部を有し、前記表示制御部は、前記調光制御情報をもとに前記投影部により投影される画像の明るさを制御するように構成されたものであってよい。
上記の車内案内表示装置において、前記無線通信部は、前記外部の主制御装置にて生成された調光制御情報を無線で送受信することが可能とされ、前記車内案内表示装置は、さらに、前記調光制御情報をもとに前記照明部の明るさを制御する調光制御部を有し、前記表示制御部は、時刻と、前記調光制御情報をもとに前記投影部により投影される画像の明るさを制御するように構成されたものであってよい。
上記の車内案内表示装置において、前記客室内のスクリーン領域が曲面部分を含み、前記表示制御部は、前記曲面部分に起因した画像の歪みが投影画像において補正されるように座標変換された画像を前記投影部に供給するように構成されたものであってよい。
上記の車内案内表示装置において、前記照明部の照明光が、前記スクリーン領域とその周辺に照射されることを防止する遮光板をさらに具備するものであってよい。
本発明の別の形態に係る車内案内表示システムは、車両の客室の天井部分に設けられた複数の室内灯設置部に各々取り付け可能な複数の車内案内表示装置と、主制御装置とを具備する車内案内表示システムであって、前記主制御装置は、前記複数の車内案内表示装置に車内案内として表示させる画像を制御する表示制御情報を生成する第1の制御部と、前記生成された表示制御情報を前記車内案内表示装置に無線で送信する第1の無線通信部とを具備し、前記車内案内表示装置は、前記車両の客室を照明するための照明部と、前記画像を前記客室内に設定されたスクリーン領域に投影する投影部と、前記主制御装置から無線で送信された前記表示制御情報をマルチホッピング方式で前記複数の車内案内表示装置間で伝送する第2の無線通信部とを具備する。
本発明によれば、車両に容易かつ低コストに設置することができる。
本発明の第1の実施形態に係る車内案内表示システム1の全体構成を示す図である。 図1の車内案内表示システム1における主制御装置10の構成を示すブロック図である。 図1の車内案内表示システム1における車内案内表示装置20を示す斜視図である。 図3の車内案内表示装置20の断面図である。 図3の車内案内表示装置20の構成を示すブロック図である。 図5における表示制御部26の構成を示すブロック図である。 表示制御部26によって参照される時刻と輝度制御情報との対応関係の例を示す図である。 図5における無線通信部25の構成を示すブロック図である。 本発明に係る第2の実施形態の車内案内表示システムにおける車内案内表示装置20Aの構成を示すブロック図である。 調光制御情報と輝度制御情報との対応関係の例を示す図である。 本発明に係る第3の実施形態の車内案内表示装置における表示制御部26Bの構成を示すブロック図である。 調光制御情報、時刻情報および輝度制御情報との対応関係の例を示す図である。 第1の変形例である車内案内表示装置20Cの構成を示す断面図である。 第2の変形例である車内案内表示装置20Dの構成を示す断面図である。 第3の変形例を説明するための図である。 曲面部分に起因した画像の歪みが投影画像において補正されるように、画像に対して施される座標変換の例を示す図である。 第4の変形例として、遮蔽板51が追加された車内案内表示装置20Eを示す斜視図である。 第4の変形例の車内案内表示装置20Eの断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
[車内案内表示システム]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車内案内表示システム1の全体構成を示す図である。
この車内案内表示システム1は、主制御装置10と、複数の車内案内表示装置20(20−0、20−1、20−2、20−3、20−4、・・・)とで構成される。主制御装置10は、鉄道車両30の乗務員室31などに設置される。複数の車内案内表示装置20は、鉄道車両30における客室32に設置される。
車内案内表示装置20は、主に、客室32を照明する照明部と、客室32内の乗客に対して、行き先、次の停車駅、路線名、運行情報などの車内案内情報を、客室32内に設定されたスクリーン領域に投影する投影部を一体に備える機器である。主制御装置10と車内案内表示装置20、さらには複数の車内案内表示装置20どうしは相互に無線で情報を通信することが可能なように構成される。
次に、主制御装置10および車内案内表示装置20の構成について説明する。
[主制御装置10の構成]
図2は、主制御装置10の構成を示すブロック図である。
主制御装置10は、CPU(制御部)11、メモリ12、データ記憶部13、無線通信部(第1の無線通信部)14および操作パネル15を有する。
CPU11は、メモリ12に格納されたプログラムおよびデータ記憶部13に格納された情報を用いて主制御装置10の制御、および車内案内表示装置20に送信する情報の生成等を行う。
無線通信部14は、車内案内表示装置20に表示させる案内情報の画像を制御する表示制御情報を少なくとも格納するパケットを、アンテナ16を用いて無線で車内案内表示装置20に送信する。表示制御情報は、例えば、表示の切り替え先の案内情報を識別する情報であってもよいし、表示の順番が予め決められた案内情報のシリーズに対して表示の切り替えを指示する情報であってもよい。
この車内案内表示システム1では、マルチホッピングによりパケットを伝送する方式が採用されている。マルチホッピングとは、端末(車内案内表示装置20)同士が通信を中継しあい、バケツリレーのように複数段数にわたって遠方へパケットを伝送する仕組みである。
パケットは、上記の表示制御情報の他、以下の情報を格納する。
1.識別ID:車内案内表示システム1を識別するIDである。この識別IDにより複数の車内案内表示システム間でのパケットの分離が可能となる。識別IDは、パケットの暗号化と暗号化の解除にも用いられる。識別IDは、車内案内表示システム1に属するすべての車内案内表示装置20の無線通信部25に初期設定時にセットされる。
2.送信ID:同一パケットの送受信の重複を防止するために、パケットにユニークに付加されるIDである。
図2の説明に戻って、操作パネル15は、操作者から主制御装置10への各種の指令や情報の入力を受け付ける入力部と、主制御装置10のステータスや設定内容などをユーザに提示する表示部などを備える。
[車内案内表示装置20の構成]
次に、車内案内表示装置20の構成を説明する。
図3は、車内案内表示装置20を示す斜視図である。
図4は、車内案内表示装置20の断面図である。
これらの図に示すように、車内案内表示装置20は、客室32の天井部分に設けられた室内灯設置部33に取り付けられる。室内灯設置部33は、もともと室内灯が取り付けられることを想定して天井部分に設けられ、室内灯の基部の嵌め込みが可能なサイズの開口部を有する。車内案内表示装置20は、室内灯に代えて室内灯設置部33に取り付けられる。
車内案内表示装置20は、キャビネット21を有する。キャビネット21は、室内灯設置部33に嵌め込んで、例えばボルトおよびボルト受けなどの固定具22を用いて室内灯設置部33に固定される。
キャビネット21内には投影部24が設けられている。キャビネット21には、投影部24から出射された投影光Iを通過させるための窓211が設けられている。投影部24から出射された投影光Iは、この窓211を通過して、客室32内の壁面40に設定されたスクリーン領域42に投射される。
また、室内灯設置部33に設置されたキャビネット21の下面には、客室32内を照明するための照明部23が設けられている。照明部23は、例えば直管型LEDランプ、平型LEDランプなどの光源231を有する。
図5は、車内案内表示装置20の構成をブロック化して示す図である。
同図に示すように、この車内案内表示装置20は、照明部23、投影部24、無線通信部(第2の無線通信部)25および表示制御部26を有する。
照明部23は、上記の光源231と、この光源231を駆動するための電力を供給する駆動回路(図示せず)などで構成される。
無線通信部25は、アンテナ27を用いて主制御装置10および他の車内案内表示装置との間で上記のパケットの無線通信を行う。無線通信部25は、主制御装置10から送信された上記のパケットを主制御装置10から直接、または車内案内表示システム1に属する他の車内案内表示装置による中継を介して受信する。また、無線通信部25は、受信したパケットが車内案内表示システム1に属する他の車内案内表示装置にマルチホッピングで伝送されるように送信する。
表示制御部26は、無線通信部25にて受信されたパケットから抽出された表示制御情報をもとに、投影部24により投影される案内情報の画像を切り替えたり、時刻をもとに投影画像の明るさを制御するなどの表示制御を行う。
図6は、かかる表示制御部26の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、表示制御部26は、CPU261、メモリ263、案内情報記憶部263および時計部264などで構成される。
案内情報記憶部263には、投影部24に供給される1以上の案内情報が予め記憶されている。
表示制御部26のCPU261は、無線通信部25を通じて主制御装置10または他の車内案内表示装置20から受信したパケットに含まれる表示制御情報をもとに案内情報記憶部263から切り替え先の案内情報を読み出し、図示しないインタフェースを通じて投影部24に供給する。
また、表示制御部26のCPU261は、時計部264の時刻情報をもとに投影画像の明るさを指定する輝度制御情報を生成し、投影部24に供給する。投影部24は、表示制御部26から与えられる輝度制御情報をもとに、例えば、投影用光源の明るさ(出力光量)などの制御量を生成して投影画像の明るさを制御する。
図7は、時刻と輝度制御情報との対応関係の例を示す図である。
この例では、説明の簡単化のため、時刻は、例えば夏季であれば、午前5時から午後6時までが"日中"に属する時刻と判断され、その他の時刻は"夜間"に属する時刻と判断され、投影画像の明るさは"明"と"暗"の2段階に切り替えることができる場合を想定している。
表示制御部26のCPU261は、時計部264より与えられた時刻情報が"日中"に属する時刻であるか"夜間"に属する時刻であるかを判別し、"日中"に属する時刻である場合は投影画像の明るさを"明"とする輝度制御情報を生成する。また、表示制御部26のCPU261は、時計部264の時刻情報が"夜間"に属する時刻である場合は投影画像の明るさを"暗"とする輝度制御情報を生成する。すなわち、昼間の明るい環境では投影画像とその周辺とのコントラストを高くすることで、クリアな投影画像を得ることができる。また、夜間の暗い環境では、投影画像とその周辺とのコントラストが高すぎて投影画像が眩しく見づらくなる傾向がある。したがって、この場合には投影画像を暗くすればよい。
また、主制御装置10から輝度制御情報を各々の車内案内表示装置20に無線送信することによって、各々の車内案内表示装置20の投影部24において投影画像の明るさを調整するようにしてもよい。
投影部24は、例えば液晶プロジェクタなどで構成される。液晶プロジェクタには、単板式方式の液晶プロジェクタ、あるいは3枚式方式の液晶プロジェクタのいずれを用いてもよい。例として、3枚式方式の液晶プロジェクタの構成を説明する。3枚式方式の液晶プロジェクタでは、投影用光源からの光がインテグレータにて平行光とされ、色分解光学系にてR(赤)、G(緑)、B(青)の各色光に分解される。各々の色光は、各々の色を担当する液晶パネルに入射される。各々の液晶パネルには、提示する案内情報をR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の輝度成分に分解したモノクロ画像が表示される。各々の液晶パネルを透過することによって空間的な変調が施された各々の光は、光合成プリズムなどの光合成光学系によって合成されてカラー画像となり、投影光学系を通して、スクリーンとなる車両内の壁面に拡大して投影される。
本実施形態の車内案内表示装置20に用いられる投影部24は必ずしもこの3枚式方式の液晶プロジェクタに限定されない。その他、公知の様々な方式のプロジェクタを用いてもよい。
投影部24は、CPUおよびメモリなどで構成される制御部(図示せず)を有する。制御部は、表示制御部26より与えられた案内情報を復号して画像データとし、この画像データをR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の輝度成分に分解し、3枚の液晶パネルに供給する。あるいは、制御部は、予め用意されたR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の画像データを表示制御部26より取得して3枚の液晶パネルに供給してもよい。
また、投影部24の制御部は、表示制御部26より与えられた投影画像の明るさを指定する輝度制御情報をもとに、例えば、投影用光源の明るさ(出力光量)などを変更することによって、投影画像の明るさを制御する。
なお、図示は省略したが、車内案内表示装置20には、その他の構成要素として電源部が設けられている。電源部は、車両におけるサービス用電源を取り込み、車内案内表示装置20内の各部に必要な電力を生成する。サービス用電源は、もともと室内灯にも利用されるように、車両に引き回された既存の電源配線により供給される電源である。
なお、図4に示したように、この車内案内表示装置20では、客室32の天井付近の高さに配置された投影部24から、客室32の壁面40に設定されたスクリーン領域42に対して斜め方向から投影光Iが投射される。
スクリーン領域42として用いられる壁面40は、例えば、車両30の乗客用出入口の上方の壁面、もしくはその付近などであってよい。あるいは、車両30の連結部の連絡口の上方の壁面、もしくはその付近などであってもよい、
[車内案内表示装置20の無線通信部25の構成と動作]
次に、車内案内表示装置20の無線通信部(第2の無線通信部)25について説明する。
図8は車内案内表示装置20の無線通信部25の構成を示すブロック図である。
車内案内表示装置20の無線通信部25は、送信/受信切替回路251、復調回路252、変調回路253および無線制御部254を有する。
送信/受信切替回路251は、無線制御部254からの切替制御信号に応じて、アンテナ27を用いた無線通信を送信で利用するか、受信で利用するかを切り替える。
復調回路252は、アンテナ27を用いて受信された信号を復調して受信パケットを復元する。なお、実際には受信パケットは暗号化されており、暗号化を解除する処理も行われる。
変調回路253は、無線制御部254により生成された送信パケットを無線通信に適した符号系列に変調して送信/受信切替回路251を通じてアンテナ27に供給する。なお、実際には変調の前に送信パケットを暗号化する処理が行われる。
無線制御部254は、CPU255、メモリ256およびデータ記憶部257などで構成される。データ記憶部257には、車内案内表示装置20の初期設定時に主制御装置10から無線通信によって与えられた識別IDなどが記憶される。メモリ256には、受信パケットに含まれる送信IDが決められた上限数まで記憶される。すなわち、メモリ256に記憶された送信IDの数が上限数に達しているとき、次に新たな送信ID(メモリ256に記憶されていない送信ID)を含む受信パケットが受信されたとき、その受信パケットの送信IDがメモリ256に記憶され、最古の送信IDがメモリ256から消去される。
無線制御部254は、データ記憶部257に記憶された識別IDと、受信パケットに含まれる識別IDとを比較して、自身が属する車内案内表示システム1の受信パケットかどうかを判断する。無線制御部254は、両方の識別IDが一致すれば、受信パケットから送信IDを取り出し、この送信IDがメモリ256に記憶されているいずれの送信IDとも不一致であるかどうかを判断する。受信パケットから抽出された送信IDがメモリ256に記憶されているいずれかの送信IDと一致する場合には、無線制御部254は、その受信パケットを破棄する。受信パケットから抽出された送信IDがメモリ256に記憶されているいずれの送信IDとも一致しない場合には、無線制御部254は、次のような制御を行う。
1.無線制御部254は、受信パケットから抽出した送信IDをメモリ256に記憶する。
2.無線制御部254は、受信パケットから表示制御情報を取り出し、表示制御部26に供給する。表示制御部26は、取得した表示制御情報をもとに、投影部24に供給する案内情報を案内情報記憶部263から読み出して投影部24に供給する。
3.無線制御部254は、受信パケットから抽出した送信IDおよび表示制御情報と、データ記憶部257に記憶された識別IDを格納した送信パケットを生成する。
4.無線制御部254は、送信パケットの生成完了後、遅延時間をランダムに生成し、この遅延時間を経過したタイミングで、送信パケットを変調回路253に供給する。さらに、無線制御部254は切替制御信号により送信/受信切替回路251を送信側に切り替える。
変調回路253は、無線制御部254により供給された送信パケットを変調し、この変調信号を送信/受信切替回路251を介してアンテナ27に供給する。
これにより、車内案内表示装置20の無線通信部25から、受信パケットの識別ID、送信IDおよび表示制御情報を格納した送信パケットが送信される。
この車内案内表示装置20から送信された送信パケットを受信した別の車内案内表示装置20においても同様の動作が行われる。
なお、送信パケットの送信にランダムな時間での遅延をかけたのは、主制御装置10から送信された受信パケットを複数の車内案内表示装置20が同時に受信したとき、それらの車内案内表示装置20が同時に送信パケットを送信することを防止するためである。
[本実施形態の車内案内表示システム1および車内案内表示装置20の効果]
本実施形態の車内案内表示装置20は、従来のディスプレイパネルを用いた車内案内表示装置に比較して次のような効果を有する。
1.従来のディスプレイを用いた車内案内表示装置は、装置本体を車両の壁面に固定しなければならない。このため装置本体の重量に耐え得る強固な取り付け構造を車両の壁面に設けるといった比較的大掛かりな改造が必要である。したがって、工数がかかり、作業コストが高くつく。これに対し、本実施形態の車内案内表示装置20は、車両の天井部分に元々設けられている、室内灯用の取り付け場所に取り付けることができる。よって、取り付け作業の工数が減り、コストを低減できる。
2.車両の壁面に取り付けられるタイプの車内案内表示装置は電源用の配線を新たに引き通す必要がある。これに対し、本実施形態の車内案内表示装置20は、車両の天井部分に元々設けられた室内灯用の取り付け部に取り付けられるので、元々そこに引き通してある電源配線を使用すれば、新たな電源配線を引き通す必要はない。この点からも、工数の低減および作業コストの低減を図れる。
3.車両の壁面に取り付けられるタイプの車内案内表示装置は通信用の配線を新たに敷設する必要がある。これに対し、本実施形態の車内案内表示システム1では通信に無線が採用されているので、新たな通信配線を引き通す必要はない。この点からも、工数の低減および作業コストの低減を図れる。また、その無線通信には、マルチホッピング方式が採用されているので、車両の連結数の違いに対して無線通信性能が大きく変動することがなく、安定した無線通信性能が確保される。
4.本実施形態の車内案内表示装置20は、室内灯用の照明部23を備え、照明部23の光源231の交換も可能であるから、別途、室内灯を新設する必要がない。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態を説明する。
本実施形態の車内案内表示システムでは、主制御装置から表示制御情報を含むパケット(以下「第1のパケット」と呼ぶ。)の他、車内案内表示装置の照明部の照明の明るさを指定する調光制御情報を含むパケット(以下「第2のパケット」と呼ぶ。)が無線で送信される。この第2のパケットを受信した各々の車内案内表示装置は、この第2のパケットに含まれる調光制御情報をもとに照明部の照明の明るさを制御するともに投影画像の明るさを制御する。
図9は、第2の実施形態の車内案内表示システムにおける車内案内表示装置20Aの構成をブロック化して示す図である。
同図に示すように、この車内案内表示装置20Aは、照明部23A、投影部24A、無線通信部25A、表示制御部26Aおよび調光制御部28Aを有する。
照明部23Aは、調光制御部28Aからの調光制御信号をもとに照明の明るさを制御することが可能である。
無線通信部25Aは、主制御装置10から送信された上記の第1のパケットおよび第2のパケットをアンテナ27を用いて受信したり、受信した第1のパケットおよび第2のパケットが、当該車内案内表示システムに属する他の車内案内表示装置20Aにマルチホッピングで伝送されるようにアンテナ27Aを用いて送信したりする。
表示制御部26Aは、無線通信部25Aにて受信された第1のパケットに含まれる表示制御情報をもとに投影部24Aの投影画像を切り替えたり、受信された第2のパケットに含まれる調光制御情報をもとに投影画像の明るさ(輝度)を切り替える輝度制御情報を生成し、投影部24Aに出力する。投影部24Aは、表示制御部26Aから与えられる輝度制御情報をもとに、例えば、投影用光源の明るさ(出力光量)などの制御量を生成して投影画像の明るさを制御する。
図10は、調光制御情報と輝度制御情報との対応関係の例を示す図である。
この例では、説明の簡単化のため、調光制御情報により照明の明るさを"明(100%:最大出力)"と"暗(50%)"の2段階に切り替えることができ、投影画像の明るさについても"明"と"暗"の2段階に切り替えることができる場合を想定している。
調光制御情報により照明の明るさとして"明"が指定された場合、表示制御部26Aは、輝度制御情報としても投影画像の明るさを"明"とする。また、調光制御情報により照明の明るさとして"暗"が指定された場合、表示制御部26Aは、輝度制御情報としても投影画像の明るさを"暗"とする。これにより、照明の明るさに対して好適な投影画像の明るさが得られる。
なお、ここでは、照明の明るさと投影画像の明るさを"明"と"暗"の2段階で切り替えられることとしたが、3段階以上に切り替えてもよいし、照明および投影画像とも、制御可能な明るさの範囲において連続的に切り替えられるようにしてもよい。
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る第3の実施形態を説明する。
この実施形態の車内案内表示装置では、第2のパケットに含まれる調光制御情報とローカルの時計部の時刻情報をもとに投影画像の明るさが制御される。
図11は、本実施形態の車内案内表示装置における表示制御部26Bの構成を示すブロック図である。
表示制御部26BのCPU261Bは、無線通信部25Bより第2のパケットに含まれる調光制御情報が与えられると、時計部264Bから時刻情報を取り込む。CPU261Bは、調光制御情報と時刻情報をもとに投影画像の明るさを指定する輝度制御情報を生成し、これを投影部24Bに供給する。
図12は、本実施形態の調光制御情報、時刻情報および輝度制御情報との対応関係の例を示す図である。
この例では、説明の簡単化のため、時刻は、例えば夏季であれば、午前5時から午後6時までが"日中"に属する時刻と判断され、その他の時刻は"夜間"に属する時刻と判断され、投影画像の明るさは"明"と"暗"の2段階に切り替えることができる場合を想定している。また、調光制御情報により照明の明るさを"明(100%:最大出力)"と"暗(50%)"の2段階に切り替えることができ、投影画像の明るさについては"明"と"中間"と"暗"の3段階に切り替えることができる場合を想定している。
表示制御部26BのCPU261Bは、調光制御情報により照明の明るさとして"明"が指定され、時計部264Bより与えられた時刻情報が"日中"に属する時刻であることを判断した場合、投影画像の明るさを"明"とする輝度制御情報を生成する。
表示制御部26BのCPU261Bは、調光制御情報により照明の明るさとして"暗"が指定され、時計部264Bより与えられた時刻情報が"日中"に属する時刻であることを判断した場合、投影画像の明るさを"明"とする輝度制御情報を生成する。
表示制御部26BのCPU261Bは、調光制御情報により照明の明るさとして"明"が指定され、時計部264Bより与えられた時刻情報が"夜間"に属する時刻であることを判断した場合、投影画像の明るさを"中間"とする輝度制御情報を生成する。
そして表示制御部26BのCPU261Bは、調光制御情報により照明の明るさとして"暗"が指定され、時計部264Bより与えられた時刻情報が"夜間"に属する時刻であることを判断した場合、投影画像の明るさを"暗"とする輝度制御情報を生成する。
ここで、照明の明るさが"明"であり、時刻が"夜間"に属する場合に投影画像の明るさを"中間"としたのは、投影画像の明るさを"明"とすると、投影画像が明るすぎて眩しく見えてしまい、投影画像の明るさを"暗"とすると、逆に投影画像が暗く見えてしまうからである。
なお、ここでは、照明の明るさと投影画像の明るさを"明"、"中間"、"暗"の3段階で切り替えられることとしたが、4段階以上に切り替えてもよいし、照明および投影画像とも、制御可能な明るさの範囲において連続的に切り替えられるようにしてもよい。
<変形例1>
次に、本発明に係る車内案内表示装置の変形例を説明する。
変形例1は、これまで説明してきた実施形態の車内案内表示装置に、投影部からの投射光の光軸を折り曲げたり反射させたりする例えばミラーやプリズムなどの光軸変換素子を追加したものである。これにより、投影部の配置の自由度や、投射光のスクリーン面に対する入射角の選択自由度が向上する。
図13は、第1の変形例である車内案内表示装置20Cの構成を示す断面図である。
この車内案内表示装置20Cにおいて、投影部24Cから下向きに出射された投影光Iは、ミラーやプリズムなどの第1の光軸変換素子29Cにて反射し、窓211Cから壁面40のスクリーン領域42に投射される。
このような構成によれば、投影光Iの光軸Sのスクリーン領域42に対する入射角θの選定の自由度が高くなる。例えば、第1の実施形態の車内案内表示装置20に比較して、投影光Iの光軸Sのスクリーン領域42に対する入射角θを90度に近づけることができるので、スクリーン領域の位置による輝度のバラツキを抑えることができる、などの効果が得られる。
<変形例2>
図14は、第2の変形例である車内案内表示装置20Dの構成を示す断面図である。
この車内案内表示装置20Dでは、第1の変形例1と同様の第1の光軸変換素子29Dの前段にミラーやプリズムなどの第2の光軸変換素子29Eが配置される。このような構成により、投影部24Cを水平方向に投影光Iが出射するような姿勢で配置することができる。例えば、投影光Iが出射する方向に長いサイズを有する投影部24Dを用いた場合に、投影部24Dを水平に寝かせた姿勢で配置することができ、車内案内表示装置20Dの薄型化を図ることができる。
<変形例3>
鉄道車両の客室内の壁面と天井面との隅は、たとえば広告用の貼紙や路線図などを貼り付けやすさなどを考慮して、さらに乗客からそれが見やすいように曲面となっていることが多い。スクリーン領域をできるだけ広くとりたいなどの事情により、例えば図15に示すように、スクリーン領域42の一部としてその曲面部分が利用される場合が考えられる。
この場合、平坦な壁面40(平面部分)に投影された画像と曲面部分に投影された画像とで歪み方に違いが生じる。すなわち、平面部分と曲面部分とも、上の位置になるほど投影光学系のレンズと投影像面との距離が次第に短くなるが、曲面部分では距離の縮む度合が上の位置になるほど大きくなって歪み方が顕著になる。
そこで、曲面部分に起因した画像の歪みが投影画像において補正されるように座標変換された画像を予め作成しておく。その他の要因によって投影画像全体に生じる歪みについては、投影光学系の設計により補正されるようにすればよい。
図16は、曲面部分に起因した画像の歪みが投影画像において補正されるように、画像に対して施される座標変換の例を示す図である。ここで、曲面部分に対応する画像は下が狭い台形となるように座標変換が施され、平面部分に対応する画像部分は、上記の台形の下端を幅とする矩形となるように座標変換が施される。
以上のように座標変換が施された画像は、予め外部の画像処理装置(パーソナルコンピュータ)にて作成しておき、例えば、第1の実施形態の車内案内表示装置20であれば、図6に示した表示制御部26の案内情報記憶部263に案内情報として記憶され、表示制御部26によって読み出されて投影部24に供給される。これにより、曲面部分に起因した画像の歪みが補正された投影画像が得られる。
<変形例4>
図17は、遮蔽板51が追加された車内案内表示装置20Eを示す斜視図、図18はその車内案内表示装置20Eの断面図である。
ここで、遮蔽板51は、照明部23の光源231からの照明光が、スクリーン領域42とその周辺に照射されることを防止するためのものである。この遮蔽板51によって、照明部23の照明光がスクリーン領域42とその周辺に照射されることが防止されるので、投影画像のコントラストが照明光によって低下して見えにくくなるのを防止できる。
<その他の変形例>
鉄道車両の客室に取り付けられる車内案内表示装置の実施形態を説明してきたが、本発明は、鉄道車両の他、バスなどの自動車にも利用できる。
1…車内案内表示システム
10…主制御装置
11…CPU
12…メモリ
13…データ記憶部
14…無線通信部
16…アンテナ
20…車内案内表示装置
21…キャビネット
23…照明部
24…投影部
25…無線通信部
26…表示制御部
27…アンテナ
28A…調光制御部
30…車両
32…客室
33…室内灯設置部
40…壁面
42…スクリーン領域
51…遮蔽板
264…時計部

Claims (8)

  1. 車両の客室の天井部分に設けられた室内灯設置部に取り付け可能な車内案内表示装置であって、
    前記車両の客室を照明するための照明部と、
    車内案内のための画像を前記客室内に設定されたスクリーン領域に投影する投影部と
    を具備する車内案内表示装置。
  2. 請求項1に記載の車内案内表示装置であって、
    外部の主制御装置にて生成された表示制御情報を無線で送受信することが可能な無線通信部と、
    前記受信した表示制御情報をもとに前記投影部により投影される画像を制御する表示制御部と
    をさらに具備する車内案内表示装置。
  3. 請求項1または2に記載の車内案内表示装置であって、
    前記表示制御部は、
    少なくとも、時刻をもとに前記投影部によって投影される画像の明るさを制御するように構成された車内案内表示装置。
  4. 請求項1または2に記載の車内案内表示装置であって、
    前記無線通信部は、
    前記外部の主制御装置にて生成された調光制御情報を無線で送受信することが可能とされ、
    前記車内案内表示装置は、さらに、
    前記調光制御情報をもとに前記照明部の明るさを制御する調光制御部を有し、
    前記表示制御部は、前記調光制御情報をもとに前記投影部により投影される画像の明るさを制御するように構成された車内案内表示装置。
  5. 請求項1または2に記載の車内案内表示装置であって、
    前記無線通信部は、
    前記外部の主制御装置にて生成された調光制御情報を無線で送受信することが可能とされ、
    前記車内案内表示装置は、さらに、
    前記調光制御情報をもとに前記照明部の明るさを制御する調光制御部を有し、
    前記表示制御部は、
    時刻と、前記調光制御情報をもとに前記投影部により投影される画像の明るさを制御するように構成された車内案内表示装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車内案内表示装置であって、
    前記客室内のスクリーン領域が曲面部分を含み、
    前記表示制御部は、
    前記曲面部分に起因した画像の歪みが投影画像において補正されるように座標変換された画像を前記投影部に供給するように構成された車内案内表示装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車内案内表示装置であって、
    前記照明部の照明光が、前記スクリーン領域とその周辺に照射されることを防止する遮光板
    をさらに具備する車内案内表示装置。
  8. 車両の客室の天井部分に設けられた複数の室内灯設置部に各々取り付け可能な複数の車内案内表示装置と、
    主制御装置とを具備する車内案内表示システムであって、
    前記主制御装置は、
    前記複数の車内案内表示装置に車内案内として表示させる画像を制御する表示制御情報を生成する第1の制御部と、
    前記生成された表示制御情報を前記車内案内表示装置に無線で送信する第1の無線通信部とを具備し、
    前記車内案内表示装置は、
    前記車両の客室を照明するための照明部と、
    前記画像を前記客室内に設定されたスクリーン領域に投影する投影部と、
    前記主制御装置から無線で送信された前記表示制御情報をマルチホッピング方式で前記複数の車内案内表示装置間で伝送する第2の無線通信部と
    を具備する車内案内表示システム。
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