以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡挿入状態観測装置を含む医療システムの全体構成を示す構成図である。また、図2乃至図6はそれぞれ図1中のプローブ21、受信ユニット41、プレート51、マーカー31及び制御ユニット60の具体的な構成を示すブロック図である。
医療システム1は、内視鏡装置2と内視鏡挿入状態観測装置3とを含んで構成されている。内視鏡装置2は、内視鏡5と、プロセッサ6と、モニタ7とを含む。内視鏡5は、被検体である患者Pの体腔内に挿入される細長で可撓性を有する挿入部11と、挿入部11の基端に接続され、各種操作器が設けられた操作部12と、プロセッサ6と接続するための操作部12から延出するケーブル13とを有している。図1は、挿入部11が、検査用のベッドB上に横たわる患者Pの肛門から大腸内に挿入されている状態を示している。
プロセッサ6は、内視鏡5の挿入部11の先端部から照明光を出射するための図示しない光源を有している。光源からの照明光は、挿入部11の先端部から被検体に照射され、被検体からの戻り光が、挿入部11の先端部に配置された撮像素子によって受光される。撮像素子は、プロセッサ6によって駆動制御されて、被写体光学像を画像信号に変換してプロセッサ6に出力する。プロセッサ6は図示しない画像信号処理部を有しており、この画像信号処理部は撮像素子からの画像信号を受信して信号処理を行い、信号処理後の内視鏡画像をモニタ7に出力する。こうして、モニタ7の画面上に内視鏡画像が表示される。
挿入部11の先端には湾曲部が設けられており、この湾曲部は、操作部12に設けられた湾曲ノブ12aによって湾曲駆動されるようになっている。術者は、湾曲ノブ12aを操作して湾曲部を湾曲させながら、挿入部11を体腔内へ押し込むことができる。
本実施の形態においては、挿入部11の挿入状態を観測するための内視鏡挿入状態観測装置3は、制御ユニット60と、挿入状態検出用のプローブ21とマーカー31とによって構成される。また、内視鏡挿入状態観測装置3は、挿入部11の挿入形状を検出するための受信ユニット41及びプレート51を更に備えていてもよい。
制御ユニット60とプローブ21、マーカー31、受信ユニット41及びプレート51とは、それぞれケーブル21a,31a,41a,51aを介して相互に接続されており、プローブ21、マーカー31、受信ユニット41及びプレート51は、制御ユニット60によって駆動が制御される。プローブ21は、後述するように、挿入部11の体内における挿入位置に応じた磁界を伴う電磁波を周囲に放射し、受信ユニット41はプローブ21が放射した磁界を検出して検出結果を制御ユニット60に送信する。これにより、制御ユニット60は挿入部11の挿入形状を求めて、挿入形状に応じた画像(挿入形状画像)生成してケーブル8aを介してモニタ8に出力する。モニタ8は入力された挿入形状画像を画面上に表示するようになっている。
挿入形状画像は、挿入部11の挿入形状に相似した形状を有するが、患者Bと挿入部11との位置関係は不明である。内視鏡挿入時には、挿入部11の挿入を容易とするために、患者Bは「側臥位」や「仰臥位」等に体位を変える。そうすると、受信ユニット41と患者Bとの位置関係がずれ表示方向が変化するので、モニタ8に表示される挿入形状画像の向きを把握しにくくなる。そこで、モニタ8の画面上に一定の向きの挿入形状画像を表示するために、患者Pに対して位置が固定されたプレート51が採用される。患者Pの腹部にはベルト51bが巻かれており、このベルト51bにプレート51を装着することで、患者Pに対して固定した位置にプレート51が配置されるようになっている。
プレート51は、プレート51の位置及び向きに応じた磁界を伴う電磁波を周囲に放射しており、受信ユニット41はプレート51からの磁界も検出して検出結果を制御ユニット60に送信するようになっている。制御ユニット60は、プローブ21の放射磁界の検出結果とプレート51の放射磁界の検出結果に基づいて、患者Bの向きに拘わらず患者Bを一定の方向から見た挿入形状画像をモニタ8の画面上に表示させる。これにより、術者等は、モニタ8に表示された挿入形状画像によって、患者Pの体内における挿入部11の進行を容易に把握することが可能となる。
本実施の形態においては、マーカー31は、術者等が例えば把持可能な形状及びサイズに構成されており、患者Pの体外において術者等の手の動きに応じて移動自在である。マーカー31は、プローブ21が放射した磁界を検出して検出結果を制御ユニット60に送信することができるようになっている。制御ユニット60は、マーカー31の検出結果に基づいて、挿入部11の体内における挿入位置とマーカー31の配置位置との位置関係を相対的に求めると共に、求めた位置関係に基づいて挿入部11とマーカー31との間の距離を算出する。制御ユニット60は、算出した距離に関する情報をマーカー31に出力する。
本実施の形態におけるマーカー31には、後述するように、表示部33が設けられており、制御ユニット60から挿入部11との距離に関する情報が与えられて、この情報に基づく表示(距離表示)を表示することができるようになっている。この距離表示によって、術者等は挿入部11の各部(例えば先端部)のだいたいの位置を認識することができるようになっている。従って、例えば用手圧迫法の手技の途中において術者等はモニタ8によって挿入部11の位置確認を行う必要はなく、被検体の例えば腹部の所定位置に近接させたマーカー31に設けられた表示部33の距離表示によって挿入部11の位置を推測することができ、手技を円滑に進めることができる。
次に、図2乃至図6を参照して内視鏡挿入状態観測装置3の各部の具体的な構成について説明する。
図6に示す制御ユニット60は、駆動及び処理部61、送信部71並びに受信部81によって構成されている。駆動及び処理部61の制御部62は、例えばCPU等のプロセッサによって構成されており、記憶部69に記憶されたプログラムに基づいて、制御ユニット60の全体を制御する。なお、記憶部69には、制御部62の処理を記述したプログラムだけでなく後述する位置推定アルゴリズムにおいて用いるデータ等も記憶されている。
制御部62は、バス65を介してコイル駆動制御部63に接続されており、コイル駆動制御部63を制御する。コイル駆動制御部63は、例えばFPGA等によって構成されており、制御部62に制御されて、プローブ21、マーカー31及びプレート51において発生させる磁界の元となる波形データ及びクロックを生成する。
コイル駆動制御部63は、プローブ21用の波形データ及びクロックをデジタル/アナログ変換器(以下、DACという)及びローパスフィルタ(以下、LPFという)を介して定電流変換回路73aに与える。同様に、コイル駆動制御部63は、プレート51用の波形データ及びクロックをDAC及びLPFを介して定電流変換回路73bに与え、マーカー31用の波形データ及びクロックをDAC及びLPFを介して定電流変換回路73cに与える。
このように、コイル駆動制御部63からの波形データは、DACによってアナログ信号に変換された後、LPFによって高域成分が除去された後定電流変換回路73a〜73cに供給される。DACの分解能によってはDACの出力に波形歪が生じていることがあり、LPFはこの波形歪を除去するために用いられる。波形歪を除去することで、位置推定に際して位置推定精度を向上させることができる。
定電流変換回路71a〜73cは、入力された信号に基づいて、例えば9〜12KHzで約300mAの定電流の正弦波を生成する。定電流変換回路73a,73bからの正弦波はそれぞれ駆動コイル切り替え部74,75に供給される。また、定電流変換回路73cからの正弦波はインタフェース(以下、I/Fという)76cを介してマーカー31に供給される。
後述するように、プローブ21には複数のコイルが設けられている。駆動コイル切り替え部74は、プローブ21の各コイルに個別に正弦波を供給するように、定電流変換回路73aの出力を各コイル用の信号線に振り分け、I/F76aを介してプローブ21に出力する。駆動コイル切り替え部74による振り分けは、コイル駆動制御部63によって制御されるようになっている。即ち、制御部62において、プローブ21のいずれのコイルに正弦波を供給するかを制御することができる。
プローブ21は、図2に示すように、挿入部11内の図示しない処置具挿通チャンネル内に挿入される。プローブ21にはそのプローブ軸に沿って例えば所定の間隔で複数の送信コイル22−1,22−2,…(以下、個々を区別する必要がない場合には単に送信コイル22という)が取り付けられている。プローブ21を処置具挿通チャンネル内に挿通して、プローブ21の先端或いは後端を固定することにより、挿入部11の軸方向に所定の間隔で複数の送信コイル22−1,22−2,…が配置されることになる。
各送信コイル22は、I/F23を介して制御ユニット60のI/F76aから高周波の正弦波がそれぞれ供給されるようになっている。各送信コイル22は高周波正弦波が印加されることで、磁界を伴う電磁波を周囲に放射する。なお、制御ユニット60は、適宜の時間間隔、例えば数十m秒間隔で、各送信コイル22−1,22−2,…を順次駆動することができる。また、制御ユニット60の制御部62は、各送信コイル22−1,22−2,…が磁界を発生するタイミングを個別に指定することができる。
また、後述するように、プレート51にも複数のコイルが設けられている。駆動コイル切り替え部75は、プレート51の各コイルに個別に正弦波を供給するように、定電流変換回路73bの出力を各コイル用の信号線に振り分け、I/F76bを介してプレート51に出力する。駆動コイル切り替え部75による振り分けは、コイル駆動制御部63によって制御されるようになっている。即ち、制御部62において、プレート51のいずれのコイルに正弦波を供給するかを制御することができる。
図4に示すプレート51には、3つの送信コイル52a,52b,52c(以下、個々を区別する必要がない場合には単に送信コイル52という)が設けられている。各送信コイル52は、制御ユニット60のI/F76bから高周波の正弦波が供給されるようになっている。各送信コイル52は高周波正弦波が印加されることで、磁界を伴う電磁波を周囲に放射する。制御ユニット60の制御部62は、各送信コイル52a〜52cが磁界を発生するタイミングを個別に指定することができる。
図5に示すマーカー31には、送信コイル34が設けられている。送信コイル34は、制御ユニット60のI/F76cから高周波の正弦波が印加されることで、磁界を伴う電磁波を周囲に放射する。制御ユニット60の制御部62は、送信コイル34が磁界を発生するタイミングを指定することができる。なお、マーカー31には送信コイル34が設けられている例を示したが、送信コイル34は本実施の形態において必須の構成ではない。
図3に示す受信ユニット41は、患者Pの体外における所定の位置に配置され、受信3軸コイル42a〜42d(以下、個々を区別する必要がない場合には単に受信3軸コイル42という)を有する。なお、図3では4個の受信3軸コイル42a〜42dを用いる例を示しているが、受信3軸コイル42の数は適宜変更可能である。受信3軸コイル42は、周囲の磁界の大きさを検出し検出結果をI/F43を介して出力する。I/F43は、受信3軸コイル42の検出結果を制御ユニット60の受信部81のI/F82aに出力する。
なお、受信3軸コイルは、それぞれのコイル面が直交するように3方向にそれぞれ巻回された3つのコイルによって構成され、各コイルはそのコイル面に直交する軸方向成分の磁界の強度に比例した信号を検出するものである。
受信3軸コイル42は、9〜12KHzで変化する磁界を減衰なく受信するために最適な巻き数及びインピーダンスに構成されており、発生している磁界を受信して電圧信号に変換し、検出結果として出力するようになっている。
図3の例では4つの受信3軸コイル42を用いた例を示しており、合計12個のコイルの出力が制御ユニット60のI/F82aからそれぞれLPF群83a、増幅器(以下、AMPという)群84a及びアナログ/デジタル変換器(以下、ADCという)群85aの各LPF,AMP,ADCを介して位置推定演算処理部64に供給される。
受信3軸コイル42において発生した起電圧は、極めて微弱である。このため、受信部81においては、LPF群83aによって必要な信号以外(外乱ノイズ)を除去し、AMP群によって約1000倍に増幅した後、ADC群においてデジタル信号に変換するようになっている。
図5に示すマーカー31は、2つの受信3軸コイル32a,32b(以下、個々を区別する必要がない場合には単に受信3軸コイル32という)を有する。なお、図3では2個の受信3軸コイル32a,32bを用いる例を示しているが、受信3軸コイル32の数は2個以上であればよく、また、3軸コイルでなくてもよい。受信3軸コイル32は、互いに直交する3方向について周囲の磁界の大きさを検出し検出結果を、制御ユニット60の受信部81のI/F82bに出力する。
なお、受信3軸コイル32においても、9〜12KHzで変化する磁界を減衰なく受信するために最適な巻き数及びインピーダンスに構成されており、発生している磁界を受信して電圧信号に変換し、検出結果として出力するようになっている。
図5の例では2つの受信3軸コイル32a,32bを用いた例を示しており、2つの受信3軸コイル32の各3個ずつのコイルの出力がI/F82bからそれぞれLPF群83b、AMP群84b及びADC群85bの各LPF,AMP,ADCを介して位置推定演算処理部64に供給される。
コイル駆動制御部63は、制御部62に制御されて、プローブ21の送信コイル22、マーカー31の送信コイル34及びプレート51の送信コイル52の駆動順番及び駆動タイミングを制御しており、駆動順番及び駆動タイミングの情報を位置推定演算処理部64に通知するようになっている。これにより、位置推定演算処理部64は、受信部81によって受信した信号が、いずれの送信コイルの放射磁界に基づくものかを認識することができる。
位置推定演算処理部64は、例えばDSPによって構成されており、公知の位置推定アルゴリズムに基づいて、受信部81のI/F82aを介して受信した信号から、各送信コイル22,52の受信3軸コイル32に対する位置座標を算出する。位置推定演算処理部64による位置座標の算出結果は描画処理部66に供給される。描画処理部66は、各送信コイル22の位置座標を連結して線状の画像を生成し、挿入形状画像としてモニタ8に出力する。また、描画処理部66は、送信コイル52の位置座標に対応する画像を生成し、マーカー31の位置画像としてモニタ8に出力する。
同様に、位置推定演算処理部64は、公知の位置推定アルゴリズムに基づいて、受信部81のI/F82bを介して受信した信号から、各送信コイル22の受信3軸コイル32に対する位置座標を算出する。位置推定演算処理部64による位置座標の算出結果は制御部62に供給される。制御部62は、各送信コイル22の位置と受信3軸コイル32の位置との位置関係を求める。制御部62は、この位置関係に基づいて送信コイル22と受信3軸コイル32との間の距離を算出する。
なお、制御部62は、位置推定演算処理部64によって求められた受信ユニット41を基準とした送信コイル22,52の位置座標から、送信コイル22,52間の距離を算出することも可能である。
制御部62は、算出して得た距離の情報を表示制御部67に出力する。表示制御部67は、制御部62から与えられた距離情報を表示するための表示データを生成してI/F68を介してマーカー31に出力するようになっている。
I/F68からの表示データは、マーカー31の表示部33に与えられる。表示部33は、表示データに基づいて、送信コイル22と受信3軸コイル32との間の距離又は送信コイル22,52間の距離を表示する。例えば、表示部33は、LCDやLED等によって構成することができる。表示部33をLCDによって構成した場合には、表示部33は、例えば距離を示す数値をLCDの画面上に表示してもよい。また、表示部33をLEDによって構成した場合には、表示部33は、例えば距離に応じて明るさ、色、点灯個数、点滅時間等を変化させることで、術者に距離を提示してもよい。
なお、マーカー31は距離を表示する表示部33を有するものとして説明したが、マーカー31又は術野内スピーカを設けて、術者に音又は音声によって距離を提示するようにしてもよい。例えば、距離に応じて、音の音量、音色、長短、和音やこれらの組み合わせを変更することで、距離を術者に提示するようにしてもよく、距離の数字を音声によって提示するようにしてもよい。
次に、このように構成された実施の形態の動作について図7乃至図9を参照して説明する。図7は位置推定アルゴリズムを説明するためのフローチャートであり、図8はモニタ8の画面上に表示される挿入形状画像を示す説明図である。
術者等は、ベッドBに横たわった患者Pの肛門から内視鏡5の挿入部11を挿入する。内視鏡挿入状態観測装置3は、所定の時間間隔で、挿入部11に内蔵されたプローブ21の複数個の送信コイル22の3次元位置座標を求める。即ち、制御ユニット60の駆動及び処理部61は、送信部71を制御して、プローブ21の送信コイル22−1,22−2,…に対して、それぞれ所定のタイミングで高周波信号を供給させる。
高周波信号が供給された送信コイル22−1,22−2,…は、磁界を伴う電磁波を発生する。この磁界は、受信ユニット41の各受信3軸コイル32において受信され、磁界強度に応じた検出結果が制御ユニット60の受信部81を介して取り込まれる。位置推定演算処理部64は、コイル駆動制御部63から各送信コイル22−1,22−2,…の駆動タイミングの情報が与えられており、各送信コイル22−1,22−2,…毎に受信3軸コイル32の検出結果から、公知の位置推定アルゴリズムに従って、各送信コイル22−1,22−2,…の3次元位置座標を求める。
この位置座標は描画処理部66に供給され、描画処理部66は、位置座標に基づいて挿入形状画像を生成する。プローブ21は挿入部11の処置具挿通チャンネルに挿入されており、各送信コイル22は挿入部11の形状に沿って所定間隔の既知の位置に配置される。即ち、各送信コイル22の位置は挿入部11の離散的な位置を示している。描画処理部66は、この離散的な位置を補間することで、挿入部11の概略形状に対応する挿入形状画像を生成することができる。描画処理部66は、生成した挿入形状画像をモニタ8に与えて表示させる。
図8はモニタ8の画面8b上に、挿入形状画像8cが表示されていることを示している。術者等はモニタ8の挿入形状画像8cを観察することによって、挿入部11の挿入状態を把握することができる。
ここで、術者等は、挿入部11を円滑に進行させるために、用手圧迫法による手技を行うものとする。この手技の場合には、術者等は、患者Pの腹部に対して処置を行うので、なるべくならば視線を腹部から離さずに手技を行った方がよい。そこで、このような場合には、術者等は、マーカー31を把持して、挿入部11が挿入されていると考えられる位置近傍に配置する。本実施の形態における内視鏡挿入状態観測装置3は、マーカー31の受信3軸コイル32の位置とプローブ21の送信コイル22の位置との関係を求めて、受信3軸コイル32と送信コイル22との間の距離を算出し、マーカー31によって距離に応じた提示を行うことができる。即ち、本実施の形態においては、術者等は、腹部近傍に配置したマーカー31によって送信コイル22までの距離を認識することができ、マーカー31を適宜移動させることで、挿入部11の挿入状態を把握することが可能である。従って、術者等は、視線を大きく移動させることなく、挿入部11の挿入位置を把握して、手技を行うことができる。
次に、図7を参照して、マーカー31の受信3軸コイル32の位置とプローブ21の送信コイル22の位置との位置関係を求める位置推定アルゴリズムについて説明する。なお、図7の位置推定アルゴリズムは、特許第5231681号において開示された発明に基づくものであり、受信ユニット41の受信3軸コイル42とプローブ21の送信コイル22との位置関係を求める位置推定アルゴリズムにも用いることができる。
位置推定演算処理部64は、制御部62に制御されて、図7のフローに従って位置推定演算を行う。受信3軸コイル32に発生する起電力は、送信コイル22の位置座標と向きに基づくものとなる。図7に示す位置推定アルゴリズムは、予め送信コイル22が取り得る位置の複数の候補(以下、探索点という)を設定し、各探索点に送信コイル22が位置すると仮定した場合に受信3軸コイル32に発生する起電圧を推定し、実際の受信3軸コイル32に生じる起電圧との比較によって、送信コイル22が位置する探索点を推定するものである。言い換えると、この位置推定アルゴリズムの目的は、探索点の座標及び各探索点に送信コイル22が位置する場合の送信コイルの向きを示すベクトルを未知数とする非線形連立方程式を解くことである。
先ず、位置推定演算処理部64は、図7のステップS1においてアルゴリズムの解の候補である探索点の生成を行う。探索点は、受信3軸コイル32の磁界の検出範囲内において、複数の座標位置に設定される。この座標位置に関する情報は、記憶部69に記憶される。
次に、位置推定演算処理部64は、ステップS2において、各探索点の座標にそれぞれ対応した各係数行列を求める。各係数行列は、各探索点上に送信コイル22が位置すると仮定した場合において、送信コイル22の向きを示すベクトルと係数行列との積が、受信3軸コイル32に発生する起電力に相当するように設定される。
次に、位置推定演算処理部64は、ステップS3においてベクトル推定値を求める。ベクトル推定値は、探索点上に送信コイル22が位置すると仮定した場合における送信コイル22の向きを示すものであり、各探索点におけるベクトル推定値は、各探索点に対応した係数行列と受信コイルの起電圧とに基づいて算出される。受信コイルの起電圧は、実測によって求める。即ち、制御部62は、プローブ21の送信コイル22に高周波信号を与えて磁界を発生させる。この磁界をマーカー31の受信3軸コイル32によって検出する。受信3軸コイル32は、磁界に応じた起電圧を発生し、この起電圧を磁界の検出結果としてケーブル31aを介して制御ユニット60のI/F82bに供給する。
制御ユニット60の受信部81は、受信3軸コイル32の検出結果を位置推定演算処理部64に与え、位置推定演算処理部64は、各探索点におけるベクトル推定値を、係数行列と受信3軸コイル32の実際の検出結果とに基づいて求める。各探索点のベクトル推定値のうち、送信コイル22の近傍の探索点のベクトル推定値は、送信コイル22の実際の向きを示すベクトルに近似した値になるものと考えられる。
送信コイル22のベクトルと受信3軸コイルの各コイルの起電圧とは対応関係にあるので、各探索点におけるベクトル推定値を用いて、各探索点に送信コイル22が位置するものと仮定した場合において受信3軸コイル32の各コイルの起電圧をそれぞれ算出することができる。位置推定演算処理部64は、この起電圧(以下、推定起電圧という)を各探索点毎に算出すると(ステップS4)、推定起電圧を記憶部69に記憶させる。
次に、位置推定演算処理部64は、受信3軸コイル32の検出結果によって与えられる各軸の起電圧と、1つの目の探索点について求めた推定起電圧との比較を行い、起電圧と推定起電圧との誤差(以下、起電圧誤差という)を求め(ステップS5)、起電圧誤差が最小であるか否かを判定する(ステップS6)。誤差が最小となった場合には、この誤差を与える探索点を最尤位置として記憶部69に登録更新する(ステップS7)。
位置推定演算処理部64はステップS8において規定の探索回数に到達したか否かを判定し、到達していない場合には処理をステップS1に戻して、ステップS1〜S8を繰り返し、各探索点を順次検査する。こうして、位置推定演算処理部64は、起電圧誤差が最小となる探索点を最尤位置として求める。位置推定演算処理部64は、最尤位置として求められた探索点の位置に、送信コイル22が位置するものと推定する。
なお、位置推定演算処理部64は、このような位置推定アルゴリズムを用いることで、送信コイル22の位置座標を、受信ユニット41及びマーカー31の両方によって求めることが可能である。受信ユニット41はベッドBの傍らに配置されるのに対し、マーカー31は患者Pの腹部近傍に配置される。従って、送信コイル22との間の距離は、マーカー31の方が極めて近く、マーカー31の受信3軸コイル32の位置の磁界強度の方が受信ユニット41の受信3軸コイル42の位置における磁界強度よりも十分に大きい。従って、マーカー31を用いた方が受信ユニット41を用いた場合よりも、送信コイル22の位置座標を高精度に求めることができることになる。
位置推定演算処理部64は、推定した送信コイル22の位置座標と受信3軸コイル32の位置座標の情報を制御部62に与える。制御部62は、こられの位置座標に基づいて、送信コイル22と受信3軸コイル32との間の距離を算出する。
制御部62は、コイル駆動制御部63及び位置推定演算処理部64を制御しており、プローブ21中の各送信コイル22中の所定の送信コイルの駆動タイミングにおいて、位置推定演算処理部64による位置座標の推定演算を実行させることができる。即ち、制御部62は、位置推定演算処理部64にプローブ21中のいずれの送信コイル22の位置座標を求めるかを指定することができる。例えば、制御部62は、挿入部11の先端に配置された送信コイル22−1の位置座標をマーカー31の受信3軸コイル32の出力を用いて算出させることができ、この場合には、制御部62は、マーカー31と挿入部11の先端とのだいたいの距離を求めることができる。なお、入力部9によって、送信コイル22−1,22−2,…のうちのいずれの送信コイル22とマーカー31との距離を求めさせるかを制御部62に指定することも可能である。
制御部62は、算出した距離の情報を表示制御部67に出力する。表示制御部67は、マーカー31において距離の情報を表示するための表示データを生成して、I/F68を介してマーカー31に送信する。マーカー31の表示部33は、表示データに基づいて、術者にマーカー31から送信コイル22までの距離を示す提示を行う。
図9は表示部33として4個のLEDランプ35aを採用した場合におけるマーカー31の外観を示す説明図である。マーカー31の表面には、4個のLEDランプ35aが設けられており、これらのLEDランプ35aは、表示データに応じて個々に点灯が制御されるようになっている。例えば、送信コイル22とマーカー31との間の距離を5段階に分け、最も遠い距離の場合には全てのLEDランプ35aを消灯させ、距離が近くなるほどLEDランプ35aの点灯個数を増やし、最も近い距離の場合には全てのLEDランプ35aを点灯させるようにしてもよい。この場合には、術者等は、マーカー31を腹部近傍で移動させ、全てのLEDランプ35aが点灯したマーカー31の位置近傍に、例えば挿入部11の先端が位置すると認識することができる。
腹部近傍に位置させるマーカー31の表示部33によって例えば挿入部11の先端近傍までの距離が分かるので、術者等は、腹部から目を離すことなく挿入部の位置を認識することができ、例えば用手圧迫法等の手技を円滑に行うことができる。
なお、表示部33において距離応じてLEDランプの点灯個数を増やす例を説明したが、表示部33として1個のLEDランプを採用し、距離が所定の閾値よりも小さくなった場合にのみ、LEDランプを点灯させるように制御してもよい。
このように本実施の形態においては、体外で移動自在なマーカーに受信コイルを設けて、挿入部内の送信コイルとの間の位置関係からマーカーと挿入部の各部との距離を求め、求めた距離をマーカーに表示させるようになっている。このように、術者等は、患者の近くに配置したマーカーによって挿入部の位置を確認することができ、挿入部の位置の確認のためにモニタの画面に視線を移動させる必要がないので、用手圧迫法等の手技を円滑に進めることができる。
また、マーカーはベッドの近傍に配置した受信ユニットに比べて、挿入部内の送信コイルとの距離が十分に近いことから、マーカー内の受信コイルを用いることにより位置座標の推定精度を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
図10は本発明の第2の実施の形態において採用される動作フローを示すフローチャートである。本実施の形態のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
図7の位置推定アルゴリズムにおいてはプローブ21中の送信コイル22−1,22−,…のうちの1つの送信コイルの位置座標のみを求めたが、同様の方法によって全ての送信コイル22の位置座標を求めることにより、挿入部11の挿入形状画像を得ることが可能である。本実施の形態は、マーカー31の受信3軸コイル32を用いて各送信コイル22の位置座標を求め、マーカー31の表示部33に挿入形状画像を表示させるものである。
位置推定演算処理部64は、図10のステップS8において規定探索回数が終了し、送信コイル22−1,22−,…のうちの1つの送信コイルの位置座標の推定が終了すると、ステップS9において全ての送信コイル22についての位置推定が終了したか否か判定する。全ての送信コイル22についての位置推定が終了していない場合には、処理をステップS10に移行して位置推定を行う送信コイル22を切換えて処理をステップS1に戻す。なお、駆動する送信コイル22の切り換えは、制御部62に制御されたコイル駆動制御部63によって行われ、位置推定演算処理部64は、コイル駆動制御部63からの情報に基づいて、位置推定演算を行う送信コイル22を切り換える。こうして、位置推定演算処理部64は、全ての送信コイル22についての位置座標を求める。
位置推定演算処理部64は、制御部62に制御されて、全ての送信コイル22の位置座標及びマーカー31の受信3軸コイル32の位置座標を描画処理部66に出力する。描画処理部66は、全送信コイル22の位置座標に基づいて挿入形状画像を生成する。更に、描画処理部66は、挿入形状画像に対するマーカー31の位置を示すマーカー位置画像を生成する。制御部62は、描画処理部66が生成したマーカー位置画像を含む挿入形状画像を表示制御部67に与える。表示制御部67は、描画処理部66が生成した挿入形状画像をマーカー31の表示部33に表示するための表示データを生成して、I/F68を介してマーカー31に出力する。マーカー31の表示部33は、表示データに基づいて、マーカー位置画像を含む挿入形状画像の提示を行う。
図11は表示部33としてLCDを採用した場合におけるマーカー31の外観を示す説明図である。マーカー31の表面には、LCDの画面36が設けられており、画面36上には、挿入部形状画像37aが表示されている。また、画面36上には、マーカー31の挿入部11に対する位置を示すマーカー位置画像37bも表示されている。
画面36上の表示によって、術者等は、マーカー31が挿入部11に対してどのような位置に位置するかを容易に認識することができる。
このように本実施の形態においては、体外で移動自在なマーカーに受信コイルを設けて、挿入部内の各送信コイルとの間の位置関係から挿入部の挿入形状及び挿入部の位置に対するマーカーの位置を求めて、これらの形状及び位置を示す画像をマーカーに表示させるようになっている。このように、術者等は、患者の近くに配置したマーカーによって挿入部の形状及び位置を確認することができ、挿入部の位置の確認のためにモニタの画面に視線を移動させる必要がないので、用手圧迫法等の手技を円滑に進めることができる。
なお、上記実施の形態においては、マーカーに挿入形状画像を表示する例を示したが、挿入形状画像だけでなく、挿入部内の送信コイルとマーカーとの距離についても表示するようにしてもよい。
(第3の実施の形態)
図12乃至図14は本発明の第3の実施の形態に係り、図12は第3の実施の形態において採用されるマーカーを示すブロック図、図13及び図14は第3の実施の形態の動作を説明するための説明図である。本実施の形態はマーカー31に代えてマーカー91を採用した点が第1の実施の形態と異なる。他の構成は第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態は、マーカー91の表示部33に挿入部11内の1つの送信コイル22との間の距離を表示すると共に、距離を表示する送信コイル22をマーカー91によって変更可能に構成したものである。
図12において、マーカー91は切換えボタン92を追加した点が図5のマーカー31と異なる。切換えボタン92は、術者等の操作部92a(図14参照)の押下操作によって切換え信号を発生する。この切換え信号は、ケーブル31aによって伝送されて、図示しないインタフェースを介して制御ユニット60の制御部62に供給されるようになっている。
上述したように、制御部62は、位置推定演算処理部64にプローブ21中のいずれの送信コイル22の位置座標を求めるかを指定することができる。制御部62は、切換え信号を受信すると、コイル駆動制御部63及び位置推定演算処理部64を制御して、位置座標を求める送信コイル22を変更させるようになっている。例えば、制御部62は、切換え信号の受信毎に、挿入部11の先端側の送信コイル22−1から基端側の送信コイルに向かって順次位置座標を求める送信コイル22を切換えるように制御してもよい。
制御部62は、位置推定演算処理部64から位置座標の情報を受け取り、指定した送信コイル22と受信3軸コイル32との間の距離を算出する。即ち、制御部62は、切換えボタン92の操作によって発生した切換え信号を受信する毎に位置座標を求める送信コイル22の指定を変更し、指定した送信コイル22と受信3軸コイル32との間の距離を求める。制御部62は、求めた距離の情報を表示制御部67に出力する。表示制御部67は、制御部62からの距離情報に基づいて、マーカー91において距離を表示するための表示データを生成して、I/F68を介してマーカー91に出力する。こうして、マーカー91の表示部33において、マーカー91によって指定した送信コイル22までの距離が表示される。
なお、制御部62は、切換え信号の発生毎に、位置推定演算処理部64に位置座標を算出させ、算出した位置座標に基づいて距離を求めるものと説明したが、位置推定演算処理部64による位置座標の算出結果を記憶部69に記憶させておき、切換え信号の発生毎に、記憶部69に記憶させた位置座標の情報を用いて、距離の算出を行うようにしてもよい。
また、制御部62は、描画処理部66を制御して、挿入形状画像中に、各送信コイル22の位置及び例えば挿入部11の先端からの順番等による送信コイル22の区別を示す画像(以下、送信コイル画像という)を表示させると共に、現在距離を求めている送信コイル22に対応する送信コイル画像を他の送信コイル画像と区別するための表示を表示させる。
このように構成された実施の形態においては、例えば、モニタ8の画面8b上には、図13に示す挿入形状画像を表示させることができる。図13(a)〜(f)は、相互に異なるタイミングにおいて画面8b上に表示されている挿入形状画像96を示している。図13(a)は初期状態における挿入形状画像96を示しており、丸数字によって挿入部11中の各送信コイル22の位置及び挿入部11の先頭からの順番を示している。即ち、図13の例では、丸数字1から丸数字14までの表示によって挿入部11に挿入された14個の送信コイル22−1〜22−14の位置が示されている。
ここで、術者等が、マーカー91を患者Pの腹部近傍に配置し、切換えボタン92を1回押すものとする。切換えボタン92の操作によって、マーカー91は切換え信号を制御ユニット60に送信する。制御部62は、切換え信号が入力されると、マーカー91の受信3軸コイル32と挿入部11の先頭から1番目の送信コイル22との間の距離を求めて、距離情報を表示制御部67に出力する。
表示制御部67は、距離情報に基づいて、マーカー91の表示部33に距離を表示させるための表示データを生成して、I/F68を介してマーカー91に出力する。
図14は表示部33としてLCDを採用した場合におけるマーカー91の外観を示す説明図である。マーカー91の表面には、LCDの画面93が設けられており、また、先端には切換えボタン92の操作部92aが設けられている。図14(a)に示すように、画面93上には、距離表示の対象となっている送信コイル22を特定するナンバー(No.1)と、マーカー91からこの送信コイル22−1までの距離(20cm)が表示されている。
術者等は、画面93上の表示によって、マーカー91からコイルNo.1の送信コイルまでの距離が20cmであることを、簡単に認識することができる。また、術者等は、コイルNo.1の送信コイルが、挿入部11のいずれの位置に配置されたものであるかを、図13(b)に示すモニタ8の画面8b上で確認することができる。図13(b)では、送信コイル22の画像97のうち挿入部11の先頭位置の丸数字を塗り潰して他と区別可能な画像98を表示していることを示している。この画像98によって、術者等は、現在、マーカー91の画面93上に距離を表示しているコイルNo.1の送信コイルの挿入部11中におけるだいたいの位置を認識することができる。
ここで、術者等が、切換えボタン92をもう一度押すものとする。この操作に基づく切換え信号によって、制御部62は、マーカー91の受信3軸コイル32と挿入部11の先頭から2番目の送信コイル22との間の距離を求めて、距離情報を表示制御部67に出力する。表示制御部67は、距離情報に基づいて、マーカー91の表示部33に距離を表示させるための表示データを生成して、I/F68を介してマーカー91に出力する。
これにより、マーカー91の画面93上には、図14(b)に示すように、距離表示の対象となっている送信コイル22を特定するナンバー(No.2)と、マーカー91からこの送信コイル22−2までの距離(10cm)が表示される。また、モニタ8の画面8b上には、図13(c)に示すように、送信コイル22の画像97のうち挿入部11の先頭から2番目の位置に塗り潰した画像98が表示されており、術者等は、現在、マーカー91の画面93上に距離を表示しているコイルNo.2の送信コイルの挿入部11中におけるだいたいの位置を認識することができる。
以後、同様に、術者等が切換えボタン92の操作を行う毎に、距離表示の対象となる送信コイル22が変更され、マーカー91の表示部には、距離表示の対象となる送信コイルの番号とマーカー91との間の距離が表示されると共に、モニタ8の画面8b上において、距離表示の対象となっている送信コイル22の挿入部11におけるだいたいの位置が分かるように表示される。なお、図13(d)〜(f)の表示は、図14(c)〜(e)の表示に対応している。
このように本実施の形態においても、体外で移動自在なマーカーと挿入部内の各送信コイルとの間の距離をマーカーの表示部において表示することにより、第1の実施の形態と同様の効果が得られると共に、術者等の操作によって、距離表示の対象となる送信コイルを容易に切換えることができ、距離対象の送信コイルの挿入部中の位置を表示することもできる。これにより、用手圧迫法等の手技を一層円滑に進めることができる。
(第4の実施の形態)
図15は本発明の第4の実施の形態を示す説明図である。本実施の形態はマーカー31に代えて用手圧迫ツール101を採用した点が第1の実施の形態と異なる。他の構成は第1の実施の形態と同様である。
用手圧迫ツール101は、術者等が手110を挿入可能な例えば樹脂製の筒状部材である。術者は、用手圧迫ツール101の開口部101a内に手110を挿入した状態で、用手圧迫ツール101により患者Pの体外から腹部等を圧迫することができるようになっている。
用手圧迫ツール101は、マーカー31の受信3軸コイル32a,32bと同様の構成の2つの受信3軸コイル102を有する。また、用手圧迫ツール101は、マーカー31の表示部33と同様の構成の表示部103を有している。
用手圧迫ツール101は、受信3軸コイル102によって挿入部11内の送信コイル22からの磁界を検出し、検出結果を制御ユニット60に送信する。また、制御ユニット60から距離に関する情報が与えられて、表示部103に表示することができるようになっている。なお、図15では表示部103として3個のLED104を配置した構成を示しているが、表示部103としてLCDを採用してもよい。
つまり、図15の用手圧迫ツール101は、外形が異なるのみで、送信コイル22との間の距離を求めて表示する点では、マーカー31と同様の構成を有している。また、上記第2の実施の形態と同様に、表示部103としてLCDを用いて、受信3軸コイル102によって求めた送信コイル22との位置関係に基づく挿入形状画像を表示させるようにすることも可能である。また、上記第3の実施の形態と同様に、切換えボタンを設けて、距離表示の対象となる送信コイル22を指定可能に構成してもよい。
他の作用及び効果は第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態においては、用手圧迫ツールに送信コイルとの距離を表示する機能を設けたので、用手圧迫法による手技を一層円滑に実施することができるという効果を有する。
(変形例)
図16は変形例を示す説明図である。本変形例は、手袋の形状をした用手圧迫ツール121を採用する。用手圧迫ツール121は手袋の形状を有しており、術者等が手を用手圧迫ツール121内に挿入して用手圧迫法による手技を実施することができるようになっている。図16(a)は手のひら側を示しており、手のひら側には、2つの受信3軸コイル122が配置されている。また、手の甲側には、表示部123が設けられている。本変形例は、外形状が第4の実施の形態における用手圧迫ツール101と異なるのみである。他の作用及び効果は、第4の実施の形態と同様である。
本発明は、上記各実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。