JP2016048985A - コラム型電動パワーステアリング装置用ブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
Description
これは、一般的に知られているように、ハンドルの操舵力を補填し、ハンドリングを容易かつ快適に行うための装置である。
このパワーステアリング装置としては、油圧ポンプの圧力を利用する油圧式が初期に開発されていたが、現在では、モータを使用して操舵力を補助する電動パワーステアリング装置が主流である。
このようにモータを使用する形式の装置としては、ピニオン式やラック式等の形式のものも提案されているが、所謂「コラム式」と称する方式では、ECUやモータを車室内に配置することができるため防水性を確保しやすく、エンジンからの熱の影響も少ないという利点がある。
このような「コラム式」の電動パワーステアリング装置のついての技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
当該技術における電動パワーステアリング装置においては、ステアリングホイールが取り付けられたステアリングシャフトの他端側は、自在継手を介して、インターミディエイトに連結されている。このステアリングシャフトは、円筒状の入力軸内に、出力軸の一部が貫挿されて構成されており、入力軸の基端部には、ステアリングホイールが固定され、出力軸の先端部には、自在継手が連結されている。
入力軸と出力軸の間には、トーションバーが設けられ、入力軸の回転に追従して出力軸が回転可能となっている。そして、ステアリング操作に基づく、回転及び操舵トルクはラックとピニオン軸に伝達され、ピニオン軸の回転にてラックが車幅方向に往復動するように構成されており、これに従い、ラックの両端に連結したタイロッドを介して操舵輪の舵角が変更される構成となっている。
そして、入力軸には、ステアリングコラムが装備されており、このステアリングコラムには、モータが設けられている。このモータは、入力軸を回転制御してステアリング操作をする際に、ステアリングホイールに対して補助操舵力を付与するように構成されている。
一方、上記に、コラム型電動パワーステアリング装置の利点を説明したが、欠点としては、ステアリング近傍に、モータを有するアシスト機構が配置されるため、車室内での作動音が気になりやすいという問題があった。
このため、静音性を高くしたいという要望があり、このため、使用されるモータに対しても作動音をできるだけ小さくしたいという要望がある。
静音性を確保するため、磁気音からくる騒音を低減させるためには、モータとして使用されるブラシレスモータにおいて、電機子のティースを線形を維持したまま太くする方法や、永久磁石のマグネット長(軸方向の長さ)を大きくする方法が考えられるが、どちらもモータの体格を大きくすることとなり、装置の小型化が求められる昨今において、適切な対応とはなりづらい。
更に、電動パワーステアリング装置においては、更なる俊敏な駆動補助の要請もあった。
また、本発明の他の目的は、コラム型電動パワーステアリング装置に使用するにあたり、より俊敏なステアリング操舵補助を実現可能なコラム型電動パワーステアリング装置用ブラシレスモータを提供することにある。
これにより、磁束を集向点に集中させることができ、磁束密度波形を正弦波に近い波形にすることが可能となるため、モータを大型化することなく、騒音を低減させることが可能となる。
このように構成されていると、異極のマグネットが接触することを回避できるため、磁束密度波形をより理想的な正弦波曲線に近づけることができる。
また、マグネット間の空間から中心に向かう連結部が磁気通路の役割を果たし、回転子コアにおいて、磁気が潤滑に流れるようになる。
よって、俊敏なステアリング操舵補助につながる。
よって、逆ラジアル配向着磁により、ブラシレスモータを大型化することなく、騒音を低減することができる。
また、回転子コアに貫通孔及び連結部を形成したことにより、回転子の軽量化と磁気流路の円滑化を行うことが可能となり、モータの機動性を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、ブラシレスモータをコラム型電動パワーステアリング装置に対して使用するにあたり、大型化することなく、騒音を低減させることができる。
また、モータの機動性を向上させ、電動パワーステアリング装置において、俊敏な駆動補助に寄与することができる。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、コラム型電動パワーステアリング装置に好適に適用されるブラシレスモータに関するものであり、このブラシレスモータとしては、表面永久磁石界磁式モータ(SPM)が採用され、マグネットにおいては逆ラジアル配向が採用されている。
これにより、磁束密度を大きくし、大型化することなく静音を実現できる。
なお、図5は改変例を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置Sは、コラム型が採用されており、ステアリングホイールS2、ステアリングシャフトS3、自在継手S4、インターミディエイトS5、ラックS6、ピニオン軸S7、タイロッドS8、を有して構成されている。
ステアリングホイールS2の基端部には、ステアリングシャフトS3が連結されており、このステアリングシャフトS3の他端部には、自在継手S4を介して、インターミディエイトS5が連結されている。
入力軸S3aの基端部には、ステアリングホイールS2が固定され、出力軸S3bの先端部には、自在継手S4が連結されている。
また、入力軸S3aと出力軸S3bの間には、図示しないトーションバーが設けられ、入力軸S3aの回転に追従して出力軸S3bを回転させるようになっている。
なお、このモータMに関しては、本発明の主要構成であるため、後に詳述する。
そして、このトーションバーのねじれ角を図示しないトルクセンサにて検出し、入力軸S3a(ステアリングホイールS2)にかかる操舵トルクが検出され、その検出された操舵トルクに基づいて、ステアリング操作する際の補助操舵力が算出されて、モータMが駆動制御されるよう構成されている。
このモータMは、前述の通り、ブラシレスの表面永久磁石界磁式モータ(SPMモータ)である。
モータMは、出力軸となるシャフト1と、ステータ2(「固定子」に相当)と、ロータ3(「回転子」に相当)と、を備えて構成されている。
このステータ2を構成する巻線には、図示しない電源装置より電源が供給され、これによりステータ2には回転磁界が発生することとなり、この回転磁界によりロータ3が回転する。
ロータ3は、略円筒状のロータコア31(「回転子コア」に相当)と、ロータコア31の外周側面に固定された複数のマグネット32と、を有して構成されている。
本実施形態においては、N極が5個、S極が5個の10個のマグネット32が使用されており、ロータコア31の外周側面周方向に沿って、N極とS極が交互となるよう等間隔に配置(突設)されている。
このように、本実施形態においては、表面磁石型(SPM)のロータ3が使用されている。
つまり、周方向に隣接するマグネット32,32間には、空間Kが介在するように構成されている。
この空間Kが介在することにより、異極のマグネット32,32が接触することがないので、理想的な正弦波に近い磁束密度波形を得ることができる。
そして、この貫通孔H1,H1間は、放射状に中心に向かって延びる10本のスポークH2となるよう構成されており、このスポークH2が「連結部」に相当する。
このスポークH2は、空間Kが位置する部分から中心に向かって(シャフト1に向かって)延びている。
このように、貫通孔H1を形成することにより、ロータコア31が軽量化されるため、モータMの機動性が向上する。
また、ロータコア31において空間Kが形成された位置となる部分から中心に向かって延びるスポークH2が磁気通路となり、隣接するマグネット32,32間の磁気がロータコア31において潤滑に流れるようになる。
つまり、当該角部は、傾斜面(断面平面視においては直線状)となっている。
なお、当該面取り部分を「面取り部32a」と以下記す。
更に、マグネット32の側面部分もまた、面取りされている。
そして、本実施形態に係るマグネット32は、逆ラジアル配向となるように形成されている。
この回転力はシャフト1により出力される。
上記の通り、マグネット32,32間には空間Kが介在するように、マグネット32は配置されるとともに、ロータコア31には、空間K存在位置から放射状に延びるスポークH2が、隣接する貫通孔H1,H1間に形成されるように構成されている。
これにより、軽量化と磁気通路の最適化が実現され、モータMの性能を向上させている。
更に、マグネット32の周方向両端側であって、径方向外側の角部には、面取り部32a,32aが各々形成されている。
そして、マグネット32は、逆ラジアル配向となるように形成されていることから、磁極中心線L(ロータ3の径方向に沿い、各マグネット32の周方向中心を通る線である)に近づくように傾斜する磁束が生じ、この磁束は磁極中心線L上の集向点O(磁極中心線L上の、ロータコア31径方向外側に集向する)に集向する。
このとき、マグネット32には、面取り部32a,32aが形成されているため、図3に示すように、効率良く集向点Oに磁束を集向させることができる。
図4において、パラレル配向の場合のマグネット32の表面磁束と、ラジアル配向の場合のマグネット32の表面磁束の波形を比較した。
図4に示すように、パラレル配向の場合には、表面磁束の波形は台形状となるが、逆ラジアル配向の場合には、表面磁束波形は正弦波曲線形状となる。
このように、逆ラジアル配向をとることにより、誘起電圧の歪みが低減されて正弦波曲線に近くなり、よって、騒音を小さくすることができる。
また、面取り部32aを形成することによって、マグネット32の周方向端部において磁束ベクトルが成す角度が大きくなるため、極間短絡磁束が低減し、有効鎖交磁束が増加する。
よって、体格を小さくすることが可能となる。
次いで、改変例について説明する。
改変例においては、マグネット32が逆ラジアル配向されることは上記実施形態と同様であるが、ロータコア31に対するマグネット32の配設方法が異なっている。
この他は、上記実施形態と同様の、出力軸となるシャフト1と、ステータ2と、を備えて構成されたものである。
よって、相違点のみの説明にとめる。
ここで、ロータ103の形状について説明する。
図5に示すように、ロータコア131の側面は、内側に凸となった断面円弧状の円弧状凹溝131a(軸方向に沿って延びる溝である)が複数周方向に並んだ形状をとっている。
また、隣接する円弧状凹溝131a,131a間は、径方向外側方向へ略三角形状に盛り上がっており、当該部分を「突起部131b」と記す。
このように隣接する極間に略三角形状の突起部131bが介在すると、N極とS極間の磁路長が短絡し、その分、ロータ103径方向のマグネット132厚を削減することができる。また、これと同時に、慣性を低減することができる。
以下、このマグネット132の内側面(ロータコア131に形成された円弧状凹溝131aに取付けられる面)を「マグネット内側面132b」と記す。
更に、マグネット132は、逆ラジアル配向となるように形成されている。
なお、マグネット132は、逆ラジアル配向となるように形成されていることから、磁極中心線(ロータ103の径方向に沿い、各マグネット132の周方向中心を通る線である)に近づくように傾斜する磁束が生じ、この磁束は磁極中心線L上の集向点Oに集向する。
このように、マグネット132のロータ103周方向中央部分が両端部に比して厚みが大きくなるような凸レンズ形状に構成されているため、反りによる中央部クラックが発生することを有効に防止することができる。
31,131・・ロータコア(回転子コア)、
131a・・円弧状凹溝,131b・・突起部、
32,132・・マグネット、32a・・面取り部、
132b・・マグネット内側面、
K・・空間、L・・磁極中心線、O・・集向点、
M・・モータ(コラム型電動パワーステアリング装置用ブラシレスモータ)、
H1・・貫通孔、H2・・スポーク(連結部)、
S・・コラム型電動パワーステアリング装置、S2・・ステアリングホイール、
S3・・ステアリングシャフト、S3a・・入力軸、S3b・・出力軸、
S4・・自在継手、S5・・インターミディエイト、
S6・・ラック、S7・・ピニオン軸、S8・・タイロッド、S9・・操舵輪、
S10・・ステアリングコラム
Claims (3)
- コラム型電動パワーステアリング装置において、ステアリングコラムに配設され、ステアリングシャフトの運動をアシストするモータであって、
該モータは、
回転中心軸となるシャフトと、
該シャフトに固定されて共に回転可能に支持される回転子コアと、該回転子コアの外側面周方向に配置された複数のマグネットと、を備えた表面永久磁石型の回転子と、
該回転子の外側面を覆うように配設され、電源装置より電源が供給されることにより、回転磁界を発生させる固定子と、を備えて構成されており、
前記マグネットは、逆ラジアル配向に着磁されていることを特徴とするコラム型電動パワーステアリング装置用ブラシレスモータ。 - 複数の前記マグネットは、磁極が交互に配設されており、
周方向に隣接する前記マグネット間には、空間が介在していることを特徴とする請求項1に記載のコラム型電動パワーステアリング装置用ブラシレスモータ。 - 前記回転子コアには、軸方向に貫通する貫通孔が複数形成されており、
隣接する前記貫通孔の間には、前記回転子コア外側面と前記シャフトとを連結する連結部が形成されており、
前記連結部は、前記回転子コアにおいて、前記空間が形成される位置から前記シャフトへと向かう位置に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコラム型電動パワーステアリング装置用ブラシレスモータ。
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