JP2016046096A - 不織布セパレータ、不織布セパレータの製造方法、及び不織布セパレータを用いた二次電池 - Google Patents

不織布セパレータ、不織布セパレータの製造方法、及び不織布セパレータを用いた二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗でありながら、「通常使用時」において発生する可能性のある比較的少量の析出金属による短絡を抑制可能な不織布セパレータを提供することを目的とする。【解決手段】二次電池に使用される不織布セパレータ13は、ポリオレフィン製不織布14と、該ポリオレフィン製不織布14に付与された高分子微多孔質層15からなり、前記二次電池に使用される電解質と接触することにより前記高分子微多孔質層15がゲル化して、前記二次電池内で析出した金属による電極間での接触を抑制可能とする。【選択図】図2

Description

本発明は、二次電池に用いる不織布セパレータ、同不織布セパレータを製造する方法、及び同不織布セパレータを用いた二次電池に関する。
近年、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラに代表される携帯機器用小型二次電池の分野では、小型化及び高容量化のニーズに応えるべく、1990年代初頭より、ニッケルカドミウム電池に続き、新型電池が進展してきた。これら新型電池としては、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などが挙げられ、200Wh/l以上の体積エネルギー密度を有するものが市販されている。特に、リチウムイオン電池は、350Wh/l、形状によっては500Wh/lを超える体積エネルギー密度を有することから、その市場を飛躍的に伸ばしてきた。
また、二酸化炭素削減などの環境問題の観点から、電気自動車に対する期待が高まり、一部実用化されている。電気自動車に搭載する電源として、リチウムイオン電池やキャパシタ等の非水系蓄電デバイス及びそれを用いた電源装置の開発が盛んに進められている。特に、容量の大きい二次電池が要求される電気自動車(プラグインハイブリッドを含む)への搭載には、電源の小型化のニーズが高く、携帯機器用小型二次電池を凌駕した高体積エネルギー密度を特徴とするリチウムイオン電池への期待が高い。
車載用途の非水系蓄電デバイスでは、高体積エネルギー密度のみならず、高入出力密度化(特に、低温入力特性)が重要な課題となっている。すなわち、自動車の発進時等における加速性能を確保するために電源装置のより一層の高出力化が重要視されており、さらには、回生によるエネルギーの有効活用を図るために入力特性の向上も要求されている。また、高体積エネルギー密度を有しつつ、入出力特性を向上させる、すなわち、内部抵抗を低減させる電池技術は、このような車載用途の分野のみならず、種々の分野での実用化を図る上で、極めて重要な課題である。
リチウムイオン電池などの二次電池内には、正極と負極を物理的に分離するセパレータが介設され、電解液、ゲル電解質、固体電解質などのイオン媒体が含浸されている。こうしたセパレータは、電極間を仕切り、電池内部での電極間の電子的な短絡を防止するといった役割を担うとともに、電解液などが含浸された場合、電解液などに含まれるイオンをスムーズに正負極間で移動させること(以下、イオン伝導性という。このイオン伝導性には、セパレータ内のイオン伝導性と、セパレーター電極界面でのイオン伝導性がある。)が必要であり、そのためには、機械的な強度に優れ、多孔質構造を有することが求められている。
従来では、このような特性を有するセパレータとして、特許文献1に記載されるようなポリエチレン微多孔膜を用いることが提案されてきた。特許文献1では、高密度ポリエチレンと高融点ポリエチレンとを溶融混練して、イオン伝導性、機械特性、熱安定性に優れたポリエチレン微多孔膜製のセパレータの製造を可能としている。
一般に、ポリエチレン微多孔膜は、リチウムイオン電池に用いられる非水系の有機電解質に対して安定であり、また、有機電解質の保液性が良好であることからイオン伝導性に優れている。そして、過充電や、電池内での短絡等により異常な発熱が生じたとき(以下、「誤用時」という。)には、ポリエチレン樹脂が、その融点近傍で溶融して孔が閉塞すること(シャットダウン機能)により、電極間でのリチウムイオンの移動が阻止されて電池反応が停止し、電池内での異常な発熱反応が抑制される。
一方、従来のポリエチレン微多孔膜は、その孔径が0.01〜0.1μm程度と小さいことから、電極間の電気抵抗が高く、イオン伝導性の点においては、なお改善の余地があるものであった。この点、より孔径の大きい不織布を採用することにより、セパレータ内でのイオン伝導性をさらに向上させ、電池抵抗を低減させることが提案されている。
しかし、リチウムイオン電池では、電池を通常で使用している場合(以下、「通常使用時」という。)であっても、電池が劣化した場合には、ガスなどの発生により部分的に抵抗が上昇したり、低温時などにおいて負極リチウムの吸蔵能力が低下した場合には、負極にスムーズに吸蔵されないリチウムイオンが、電極上に金属リチウムとして一時的に析出したりすることがある。このような場合、析出する金属リチウムは比較的少量であり、0.01〜0.1μm程度を有する微多孔膜を使用することにより電極間での短絡を防止することが可能であるが、セパレータの孔径を大きくすると、析出した比較的少量の金属リチウム(デンドライト)によっても、電極間での短絡が起こりやすくなるといった問題があった。
このように、セパレータとして孔径の大きい不織布を採用すると、セパレータ内でのイオン伝導性を向上させることができるが、その一方で孔径が大きすぎる場合、電極間の短絡が生じやすく、更には、セパレーター電極界面でのイオン伝導性を低下させ、その結果、電池抵抗が増大するといった問題もあった。
特開2012−136704号公報
本発明の目的は、従来のこういった課題を解決すべくなされたものであり、低抵抗でありながら、「通常使用時」において発生する可能性のある比較的少量の析出金属による短絡を抑制可能な不織布セパレータを提供することである。また、同不織布セパレータの製造方法、及び、同不織布セパレータを備えた二次電池を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の不織布セパレータは、ポリオレフィン製不織布と、該ポリオレフィン製不織布に付与された高分子微多孔質層からなり、電池媒体に使用される電解液と接触することにより前記高分子微多孔質層がゲル化して、前記電池媒体内で析出した金属による電極間での接触を抑制可能とする。
ポリオレフィン製不織布からなるセパレータは、ポリオレフィン製微多孔膜からなるセパレータに比べてその孔径が大きいことから、低抵抗であり、セパレータ内でのイオン伝導性に優れる点において電池媒体のセパレータとして有利である。また、ポリオレフィン製不織布に付与された高分子微多孔質層は、電解液と接触してゲル化することから、イオン伝導性を有している。電池媒体内に収容された不織布セパレータは、不織布に特有の孔径の大きさによる低抵抗を実現しつつ、イオン伝導性を有するゲル状の高分子微多孔質層により、その抵抗特性を保持することができる。
また、ゲル化された高分子微多孔質層は、不織布に形成された多数の孔(空隙)に入り込んで膨潤していると考えられ、析出した金属が不織布の空隙を介して成長することが抑制されると考えられる。これにより、「通常使用時」において析出した比較的少量の金属が電極間で接触しにくくなる。
上記構成において、前記高分子微多孔質層は、前記ポリオレフィン製不織布に付与されたモノマー溶液を、該ポリオレフィン製不織布上で重合させてなることが好ましい。
上記構成において、前記高分子微多孔質層は、多官能アクリレートを重合させてなることが好ましい。
請求項4に記載の不織布セパレータの製造方法は、ポリオレフィン製不織布にアクリレート系モノマー溶液を付与する工程と、ポリオレフィン製不織布上でアクリレート系モノマーを重合させる工程とを備える。
請求項5に記載の二次電池は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布セパレータを備える。
低抵抗でありながら、「通常使用時」において発生する可能性のある比較的少量の析出金属による短絡を抑制可能な不織布セパレータ、同不織布セパレータの製造方法、及び同不織布セパレータを備えた二次電池が得ることができる。
本実施形態における電池の分解斜視図。 本実施形態におけるセパレータの模式断面図。(a)は、高分子微多孔質層が付与されていない状態のセパレータの模式断面図。(b)は、不織布に高分子微多孔質層が付与された状態のセパレータの模式断面図。 本実施形態のセパレータに付与された高分子微多孔質層の走査型電子顕微鏡写真(倍率2万倍)。
以下、本発明の不織布セパレータ及び不織布セパレータの製造方法を、リチウムイオン二次電池用のセパレータに具体化した実施形態について説明する。なお、本発明で言う二次電池とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイスのことを言うものとする。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池10という。)は、正極 シート11と負極シート12との間にセパレータ13を介在させることとともに、セパレータ13、正極シート11、及び負極シート12を交互に積層することによって形成されている。ここでは、セパレータ13、正極シート11、及び負極シート12の複数のセットを積層したものを示すが、この構造に限定されるものではなく、セパレータ13、正極シート11、及び負極シート12を重ねて巻回した構造等、従来公知の二次電池構造とすることが可能である。
なお、これらセパレータ13、正極シート11、及び負極シート12の積層体は外装部材16によって覆われており、セパレータ13には液状の有機電解液が含浸されている。外装部材16は、金属、アルミー樹脂ラミネート材、樹脂材等、従来公知の外装部材を用いることができる。
本実施形態のセパレータ13は、ポリオレフィン製の不織布14と、該ポリオレフィン製の不織布14に付与された高分子微多孔質層15とから構成される。ポリオレフィンは、比較的低温で水分を除去可能であり、耐電解液性があって化学的に安定であり、耐酸化還元性が高く、強度にも優れるといった点から、リチウムイオン二次電池用のセパレータとして好適に用いることができる。ポリオレフィンとしては、従来公知のものを適宜用いることができるが、本実施形態では、融点が140〜160℃であり、セパレータに必要な適度な剛性を備えるポリプロピレンを使用している。
図2(a)に示すように、不織布14は、繊維径の異なる複数のポリプロピレン繊維種から構成されている。ポリプロピレン繊維は、繊維径が細い細繊維F1と、繊維径が太い太繊維F2と、繊維径がそれらの中間である中間繊維(図示せず)とからなり、それぞれが不織布の厚さ方向全体にわたって混在した状態となっている。細繊維F1は、繊維径が0.1μm以上1μm以下の繊維からなり、一般的な微多孔膜より大きな孔径を形成する。そして、セパレータ内でのイオン伝導性を向上させつつ、セパレーター電極界面(正極シート11とセパレータ13の接界面、或いは、負極シート12とセパレータ13の接界面)でのイオン伝導性を低下させない程度の孔径を実現することができる。太繊維F2は、繊維径が8μm以上30μm以下の繊維からなっている。不織布14がこのような繊維種の混在により構成されることにより、不織布14の圧延によって繊維同士が潰れることが抑制され、繊維同士が潰れることによる電極シート11、12間の電気抵抗の上昇を好適に抑制することができる。
本実施形態の不織布14では、繊維間に形成される孔径は、細繊維F1で決定され、およそ1μmであることから、孔径が0.01〜0.1μm程度の従来の微多孔膜に比べて低い抵抗を実現することができる。そして、およそ1μmの孔径を持ちながら、太繊維F2の間には細繊維F1が入り組んで存在していることにより、電極間の電子的な短絡が抑制できる。また、例えば、細繊維F1の繊維径を1μmを超えるものを使用した場合、孔径を大きくし、セパレータ13内でのイオン伝導性を向上させることが可能となるが、電極間の電子的な微細な短絡が生じたり、セパレーター電極界面でのイオン伝導性を低下させる傾向にある。
不織布14は、メルトブロー法、乾式法、湿式法、スパンボンド法等、従来公知の方法で製造することができる。例えば、メルトブロー法により製造する場合には、不織布製造装置のノズルから吹き出された溶融樹脂に対して、所定の傾斜角度で熱風を吹き付けて溶融樹脂を引き延ばし、細く引き延ばされた樹脂繊維をシート状に集積することで不織布14を形成することができる。
不織布14の厚みは、セパレータ13に起因する電極間の抵抗を低く抑えてイオン伝導性を確保するとともに、電極間の電子的な短絡を抑制し、セパレータ13に剛性を付与するといった観点から、10〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
また、不織布14の気孔率は、従来のポリエチレン微多孔膜からなるセパレータと比較して高くすることができる。孔径の小さい従来のポリエチレン微多孔膜で、その厚みを10〜30μmとした場合、電極間の電子的な短絡を抑制するためには、気孔率を通常45%以下にする場合が多い。本実施形態では、不織布14に高分子微多孔質層15を付与することから、セパレータ13内でのイオン伝導性に有利に働く気孔率を、50%以上と高く設定しても、電極間の電子的な短絡を抑制することが可能である。
次に不織布14に付与する高分子微多孔質層15について説明する。高分子微多孔質層15は、アクリレート系モノマーを重合開始剤の存在下に有機溶剤中で重合させて得られる多孔質のアクリレート系ポリマーにより形成されている。アクリレート系モノマーは、従来公知のものを使用することができる。例えば、1〜6官能アクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコンアクリレート等を使用することができる。得られるセパレータ13がイオン伝導性に優れ、金属リチウム遮断特性が好適に発揮されるといった観点から、1〜6官能アクリレートを使用することが好ましく、4〜6官能の多官能アクリレートを使用することが好ましい。特に、6官能アクリレートモノマーを用いると、得られるセパレータ13が高いイオン伝導性を示すことから好ましい。
1官能アクリレートとしては、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エトキシージメチレングリコールアクリレート、メトキシートリエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルージグルコールアクリレート、メトキシジプロピレングルコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチルレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルーフタル酸等を使用することができる。2官能アクリレートとしては、トリエチレングルコールジアクリレート、PEG200♯ジアクリレート、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチルー1.5ーペンタンジオールジアクリレート、1.6―ヘキサンジオールジアクリレート、1.9ーノナンジオールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート等を使用することができる。3官能アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリテート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を使用することができる。4官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を使用することができる。6官能アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を使用することができる。
重合開始剤としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、過酸化アセチル,過酸化ベンゾイル,過酸化ラウロイル等の過酸化物系のもの、アゾ炭化水素、アゾニトリル等の窒素化合物系のもの、チオフェノール、チオクレゾール、n−ドデシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、ベンヂルメルカプタン、或いはチオフェノール類等の硫黄化合物系のもの、銅アセチルアセトネート等の有機金属塩系のもの等を適宜使用することができる。
高分子微多孔質層15は、アクリレート系モノマーと重合開始剤とを有機溶媒中に含むモノマー溶液を、不織布14上に塗布、或いは含浸した後重合させるモノマー硬化法により得られる。アクリレート系モノマーを予めポリマーに重合したポリマー溶液(分散液を含む)を不織布14上に塗布、或いは含浸するポリマー塗布法に比べて、モノマー硬化法では、得られたセパレータ13が低抵抗でありながら、「通常使用時」において析出した金属リチウム遮断特性が好適に発揮されることから好ましい。
モノマー溶液を構成する有機溶媒としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、エチルアセテート、エチルメチルカーボネート、ヘプタン、ヘキサン、メタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等を使用することができる。
モノマー溶液中に含まれるアクリレート系モノマーの量は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましく、2〜6質量%であることがさらに好ましい。モノマー溶液中に含まれる重合開始剤の量は、使用する重合開始剤に応じて適宜決定することができる。
アクリレート系モノマーの重合反応は、モノマー溶液を不織布14上に塗布、或いは含浸した後、所定温度で所定時間加熱することにより行うことができる。加熱温度及び加熱時間は、使用するアクリレート系モノマーの種類、濃度、重合開始剤の種類、濃度、或いは、有機溶剤の種類等に応じて、適宜決定することができる。通常使用される従来公知の条件を適用すればよい。
不織布14にアクリレート系ポリマーからなる高分子微多孔質層15を形成するには、アクリレート系モノマーを熱重合する際、モノマー溶液を構成する有機溶媒の蒸発を抑制しつつ、重合後に有機溶媒を除去することが好ましい。
図3に示すように、この方法で重合した場合、高分子微多孔質層15の孔径が0.1μm以下の孔‐幹構造を含む微多孔質とすることが可能となる。これにより、電池媒体に使用される電解液と接触することにより高分子微多孔質層15がゲル化しやすく、不織布14に40%程度の高分子微多孔質層15を付与したとしても抵抗上昇を少なくすることができる。また、10%程度の高分子微多孔質層15でも、不織布14の細繊維F1の形成する孔をゲルで有効に満たすことができ、「通常使用時」において析出した金属リチウム遮断特性が好適に発揮される。このように、高分子微多孔質層15の構造により、比較的広い濃度範囲で、高分子微多孔質層15の付与による本発明の効果を得ることができる。
なお、重合反応はこのような熱重合に限らず、紫外線による光重合や、放射線による重合、電子線による重合等、他の異なる重合方法により行うこともできる。熱重合の場合には、アクリレート系モノマーを重合開始剤の存在下に重合させたが、これら熱重合以外の重合方法では、重合開始剤を用いることなく重合を行うことが可能な場合もある。また、熱重合のようにモノマー溶液を加熱する場合には、モノマー溶液中の有機溶媒が加熱により除去されるが、加熱を伴わない重合方法の場合には、別途有機溶媒の除去工程を行う必要がある。
このようにして得られたセパレータ13は、図2(b)に示すように、ポリオレフィン製の不織布14に高分子微多孔質層15が形成された複合体として構成される。なお、不織布14上にモノマー溶液を塗布した状態では、モノマー溶液は、不織布14上に留まっている部分と、不織布14を構成する繊維間の空隙内に浸潤している部分とが混在すると考えられる。したがって、その後の重合反応及び有機溶媒の除去により、高分子微多孔質層15は、不織布14上に積層された状態と、不織布14の繊維間の空隙内に入り込んだ状態とが混在していると推測される。
また、不織布14にモノマー溶液を含浸した場合では、不織布14の繊維間の空隙全体に高分子微多孔質層15が形成されると考えられる。負極シート12側のセパレータ13の表層に高分子微多孔質層15を形成することが好ましいが、製造容易性、コスト、目標とする電池性能を考慮して、高分子微多孔質層15の形成形態を適宜選択することができる。
次に、セパレータ13を電池10に使用する場合について説明する。
図1に示すように、電池10は、正極シート11と負極シート12との間にセパレータ13を介在させることとともに、正極シート11と負極シート12との間は液状の有機電解液で満たされている。このとき、セパレータ13には有機電解液が含浸して、高分子微多孔質層15の全部、或いは一部が有機電解液により膨潤してゲル化してゲル状層となっている。
正極シート11は、リチウムイオン二次電池として使用される従来公知の正極材を使用することができる。例えば、層状の正極材であるLiCoO、LiNiO、LiNi1/2Mn1/2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05等、スピネル型の正極材であるLiMn、Li[Bi1/2Mn3/2]O等、オリビン型の正極材であるLiFePO、LiMnPO、LiCoPO等が挙げられる。層状の正極材であるLiNi1/3Co1/3Mn1/3は熱安定性に優れることから好ましい。スピネル型の正極材は、酸素原子の隙間にマンガンとリチウム原子が入り込んだスピネル構造をとっていることから、充電によりリチウムが抜き出されても結晶構造が安定していることから好ましい。オリビン型の正極材は、有機電解質共存下での急激な酸化燃焼反応が回避できることから好ましい。
負極シート12は、リチウムイオン二次電池として使用される従来公知の負極材を使用することができる。例えば、ハードカーボンや黒鉛等の炭素系負極材、チタン酸リチウム(LiTi12)負極材、スズ系合金負極材、窒化物負極材等が挙げられる。本実施形態のセパレータは、充電時の負極電位が0.2V以下(対Li電位)、更には、0.1V以下(対Li電位)である場合、その効果が顕著である。
有機電解液は、従来公知の有機溶媒に電解質塩としてのリチウム塩を溶解したものを使用することができる。有機溶媒としては、リチウムイオン電池では、活性な正負極材と共存することから活性なプロトンを有しない極性溶媒が好ましい。また、高い伝導度を有し、電極材に対して化学的及び電気化学的安定性を有し、使用可能な温度域が広く、コスト的にも有利なものとして、低級鎖状炭酸エステル系のものや環状炭酸エステル系のものが好ましい。低級鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等を使用することができ、環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を使用することができる。
溶解するリチウム塩としては、LiClO、LiBF、Li(CFSON、LiPF、LiCFSO等、従来公知のものを使用することができる。
本実施形態のセパレータ13を、電池10の正極シート11と負極シート12との間に介在させると、正極シート11と負極シート12との間を満たす有機電解質がセパレータ13の高分子微多孔質層15に含浸され、高分子微多孔質層15は膨潤してゲル化して、ゲル状層となる。
図2の模式断面図に示すように、高分子微多孔質層15は、不織布14表面に付与された部分と不織布14の繊維間の空隙内に入り込んだ部分とが混在した状態となっていると考えられる。したがって、高分子微多孔質層15がゲル化して形成されたゲル状層は、その一部が、不織布14を構成する異なる繊維径の複数の繊維の間の空隙に入り込んで、空隙の少なくとも一部を満たすようになっていると考えられる。
不織布14は、従来のセパレータに使用される微多孔膜に比べてその孔径が大きいものであるが、電解液含浸後は、不織布14内部の空隙内にもゲル状層が入り込んでいることから、金属リチウムのデンドライトが成長するとき、不織布14の空隙内のゲル状層の存在により、その進路が阻まれることになる。電池10が劣化して、ガスなどの発生により部分的に抵抗が上昇した場合、或いは、低温時等に負極リチウムの吸蔵能力が低下して、負極にスムーズに吸蔵されないリチウムイオンが負極シート12上に金属リチウムとして一時的に析出した場合、金属リチウムのデンドライトが繊維間の空隙を抜けて成長することが好適に抑制される。これにより、電池10の「通常使用時」における微短絡の発生が抑制される。
また、低温時等においても、電池10の内部抵抗を低く抑えることが可能であり、負極シート12へのスムーズなリチウムイオンの吸蔵を助けることから、金属リチウムの析出を抑制する効果も有する。
一方、ゲル状層は、リチウムイオン透過性を損なうことなく不織布14内外に保持されるため、不織布14が本来備える低抵抗の特性を好適に維持することができると考えられる。
次に、本実施形態のセパレータ13の作用について説明する。
本実施形態のセパレータ13を構成する不織布14は、その表面及び空隙内に、高分子微多孔質層15が有機電解液によって膨潤したゲル状層を保持する。ゲル状層は有機電解液により膨潤しており、イオン伝導性を有する。
本実施形態のセパレータ13に付与された高分子微多孔質層15は、有機電解液によって膨潤し、不織布14上でゲル化されたゲル状層となる。そして、ゲル状層は、不織布14の表面に形成されるとともに、不織布14に形成された空隙内に入り込んで存在していると考えられる。したがって、孔径が大きく形成された不織布14であっても、不織布14の内外に存在するゲル状層によってその孔が埋められ、「通常使用時」に生成する比較的少量の金属リチウムがセパレータ13を貫通することが抑制される。
また、有機電解液によって膨潤したゲル状層は、イオン伝導性を有する。
本実施形態のセパレータ13は、不織布14の表面及び不織布14の空隙内でゲル化されたゲル状層を有している。ゲル状層は、ポリオレフィン樹脂等に比べて柔らかいことから、過充電時(「誤用時」)に、負極シート12のリチウムイオン吸蔵能力を超えたリチウムが正極シート11から供給し続けられるといった事態が生じた場合には、比較的早期に短絡が起こって、過充電の進行が抑制される。
次に、本実施形態のセパレータ13の効果について説明する。
(1)従来の微多孔膜からなるセパレータに形成された孔の孔径は、およそ0.01μm〜0.1μmといった範囲であったのに対し、本実施形態のセパレータ13の不織布14には、およそ1μmの大きな空隙が保持されている。また、有機電解液によって膨潤して不織布14の表面及び空隙内に保持されたゲル状層は、イオン伝導性を有している。したがって、ゲル状層は、セパレータ13の不織布14の空隙を通過する際の抵抗を低く抑えることができる。セパレータ13は、孔径の大きい不織布14の低抵抗を保持して、優れた抵抗特性を得ることができる。
(2)ゲル状層は、不織布14の表面に形成されるとともに、不織布14に形成された空隙内に入り込んで存在していると考えられる。したがって、「通常使用時」に生成する比較的少量の金属リチウムは、ゲル状層の存在により、その成長が阻まれることになる。孔径が大きく形成された不織布14であっても、「通常使用時」に生成する金属リチウムは、セパレータ13を貫通することができないため、「通常使用時」における金属リチウムによる微短絡を抑制することができる。
(3)本実施形態のセパレータ13の不織布14は、太繊維F2の間に細繊維F1が入り組んで、不織布14内の空隙は、負極シート12に析出したリチウムのデンドライトが真っ直ぐに成長しにくいような形状となっている。したがって、不織布14の構造の点からも、負極シート12に析出した金属リチウムのデンドライトが繊維間の空隙を抜けて成長することが抑制され、電池10の「通常使用時」における微短絡の発生を抑制することができる。
(4)不織布14に付与されてゲル化されたゲル状層が、不織布14に形成された空隙に入り込んで、さらにその空隙を微細化していると考えられる、これにより、析出した金属リチウムが空隙内を屈曲して成長せざるを得ず、金属リチウムがセパレータ13を貫通することがさらに抑制される。本実施形態の不織布14の構造と、不織布14に付与されたゲル状層とが、金属リチウムの成長を抑制し、電池10の通常使用時における微短絡の発生をさらに好適に抑制することができる。
(5)一方、ゲル状層は、ポリオレフィン樹脂等に比べて柔らかいことから、「誤用時」に生成する金属リチウムが貫通しやすく、「誤用時」には比較的早期に短絡して電池10の過充電の進行を好適に抑制することができる。その結果、過充電の進行に伴う電圧上昇による電解液の分解発熱、それに誘起される負極と電解液による発熱などが回避でき、リチウムイオン電池の大型化等における課題である安全性を担保することが可能となる。
(6)高分子微多孔質層15を形成するためのモノマー溶液の一部は、不織布14を構成する繊維間の空隙内に浸潤すると考えられる。これにより、高分子微多孔質層15が付与されたセパレータ13は、高分子微多孔質層15によりその膜厚が増加することが抑制される。高分子微多孔質層15が形成されていても、セパレータ13は低抵抗に保持されることができる。
(7)セパレータ13を構成する不織布14は、細繊維F1と太繊維F2と中間繊維とが不織布14の厚さ方向全体にわたって混在した状態となっている.不織布14の圧延によって繊維同士が潰れることが抑制され、セパレータ13に高度な剛性を付与することができる。
なお、本発明に係るセパレータ13は、上記実施形態に例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した次のような形態として実施することもできる。また、以下の形態を適宜組み合わせて実施することもできる。
・本実施形態では、セパレータ13を構成する不織布14として、ポリプロピレン製の不織布14を用いたが、その原料はこれに限定されない。ポリエチレンやポリブテンであってもよく、また、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合して用いる等、複数のポリオレフィンを混合して用いてもよい。
・本実施形態では、高分子微多孔質層15は、アクリレート系モノマーと重合開始剤とを有機溶媒中に含むモノマー溶液を、不織布14上に塗布した後重合させるモノマー硬化法により形成したが、これに限定されない。同様の構造が得られるのであれば、アクリレート系モノマーを予めポリマーに重合したポリマー溶液(分散液を含む)を不織布14上に塗布するポリマー塗布法により形成してもよい。この場合、ポリマーは微多孔質であることが好ましい。
・本実施形態では、モノマー溶液を不織布14上に塗布、或いは含浸したが、不織布14に高分子微多孔質層15を形成する方法はこれに限定されない。モノマー溶液を噴霧する等、他の方法によりモノマー溶液を不織布14に付与して高分子微多孔質層15を形成してもよい。
・不織布を構成する繊維を、細繊維F1及び太繊維F2のみによって構成することもできる。すなわち、中間繊維を省略することもできる。
・本実施形態では、セパレータ13をリチウムイオン二次電池に用いたが、他の二次電池に用いてもよい。或いは、低抵抗、且つ、薄膜化の要求があるキャパシタ等の他の電気化学デバイスのセパレータとして用いることもできる。
さらに、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)二次電池に使用される不織布セパレータは、ポリオレフィン製不織布と、該ポリオレフィン製不織布に付与された高分子微多孔質層からなり、該高分子微多孔質層は、前記二次電池に使用される電解液と接触することによりゲル化する。
(ロ)二次電池に使用される不織布セパレータは、ポリオレフィン製不織布と、該ポリオレフィン製不織布に付与された高分子微多孔質層からなり、該高分子微多孔質層は、前記二次電池に使用される電解液と接触することによりゲル化して、「通常使用時」において前記二次電池内で析出した比較的少量の金属による電極間での接触を抑制可能とする。
(ハ)二次電池に使用される不織布セパレータは、ポリオレフィン製不織布と、該ポリオレフィン製不織布に付与された高分子微多孔質層からなり、該高分子微多孔質層は、前記二次電池に使用される電解液と接触することによりゲル化して、「誤用時」における過充電反応の進行を抑制可能とする。
(ニ)前記不織布は、繊維径が0.1μm以上1μm以下の細繊維と繊維径が8μm以上30μm以下の太繊維とが不織布の厚さ方向全体にわたって混在している。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、その趣旨を損なわない限り、以下に示す実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<アクリレート3%処理液の調整>
まず、不織布14に付与するアクリレート系モノマー溶液としてのアクリレート3%処理液を調整した。アクリレート3%処理液は、以下に示す組成に従ってマグネチックスターラーで攪拌・混合して調整した。なお、多官能アクリレートとして用いるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは、あらかじめモレキュラーシーブスを用いて脱水処理したものを使用した。また、以下に示す「部」とは、「質量部」を意味する。
(アクリレート3%処理液の組成)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート: 3.0部
エチルメチルカーボネート :96.9部
パーカドックス16(重合開始剤) : 0.1部
(複合セパレータAの作製)
アクリレート3%処理液を塗布したポリプロピレン不織布(厚み23μm、気孔率50%)をPETシートに挟んだのち、100℃にて20分間熱処理(重合)を行うことにより、ポリマー担持ポリプロピレン不織布を得た。
ポリプロピレン不織布へ均一にポリマーを担持させるために、前記ポリマー担持ポリプロピレン不織布に再度アクリレート3%処理液を塗布し、PETシートに挟んだ後、100℃にて20分間熱処理を行い、複合セパレータA(厚み27μm)を得た。前記複合セパレータAのポリマー担持量は、ポリプロピレン不織布重量に対し8%であった。
[実施例2]
<アクリレート5%処理液の調整>
不織布14に付与するアクリレート系モノマー溶液としてのアクリレート5%処理液は、以下に示す組成に従ってマグネチックスターラーで攪拌・混合して調整した。なお、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは、あらかじめモレキュラーシーブスを用いて脱水処理したものを使用した。
(アクリレート5%処理液の組成)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート: 5.0部
エチルメチルカーボネート :94.9部
パーカドックス16(重合開始剤) : 0.1部
(複合セパレータBの作製)
アクリレート5%処理液を塗布したポリプロピレン不織布(厚み23μm、気孔率50%)をPETシートに挟んだのち、100℃にて20分間熱処理(重合)を行うことにより、ポリマー担持ポリプロピレン不織布を得た。
ポリプロピレン不織布へ均一にポリマーを担持させるために、前記ポリマー担持ポリプロピレン不織布に再度アクリレート5%処理液を塗布し、PETシートに挟んだ後、100℃にて20分間熱処理を行い、複合セパレータB(厚み27μm)を得た。前記複合セパレータBのポリマー担持量は、ポリプロピレン不織布重量に対し39%であった。
[比較例1]
アクリレート系モノマー溶液を塗布しないポリプロピレン不織布(厚み26μm)をセパレータCとした。
[比較例2]
ポリエチレン微多孔膜(厚み20μm、気孔率40%)からなるポリエチレン微多孔膜セパレータをセパレータDとした。
これら実施例1、2、比較例1、2のセパレータを用いて、以下の特性評価を行った。
[「通常使用時」におけるリチウム遮断特性評価]
<電解液の調整>
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート(体積比30:70)の混合溶液に、LiPFを1.0mol/Lとなるように溶解して調整した。
<リチウム遮断特性評価電池の作製>
ステンレスメッシュ(15mm×17mm)に金属リチウム箔(260μm)を貼り付けることによりリチウム電極を作製した。セパレータ(21mm×23mm)として、複合セパレータA、B、及びセパレータC、Dを間にして、2枚のリチウム電極を積層し、各リチウム電極のタブ部に各々ニッケルリードを取り付けて電池素子Aを得た。
電池素子Aをアルミラミネートで挟み、前記電解液を加え、リチウム電極とセパレータに電解液を含浸させ真空封止することにより電池素子Bを得た。
<バルク抵抗評価>
室温で前記電池素子Bの交流抵抗特性を評価した。交流抵抗評価条件は、周波数範囲1000kHz〜0.1Hz、振幅10mVの条件にて測定を行った。上記周波数範囲で順次走査しながら測定し、実数軸と交わる値をバルク抵抗値とした。この値はセパレータ内のイオン伝導性の指標となる。
<「通常使用時」におけるリチウム遮断特性評価>
室温で前記電池素子Bに1.6mAの電流値とし、短絡するまでの時間を測定した。短絡するまでの時間が長いほど、「通常使用時」におけるリチウム遮断特性が良好であることを示す。
「通常使用時」におけるリチウム遮断特性の評価結果を表1に示す。
表1のとおり、複合セパレータA、Bの膜厚は、高分子微多孔質層の付与により特に影響を受けなかった。また、バルク抵抗も影響を受けず、ポリエチレン微多孔質セパレータ(セパレータD)に対して、約1/2の値を示した。
一方、アクリレート系モノマー溶液を塗布した複合セパレータA、Bと、アクリレート系モノマー溶液を塗布しないセパレータCとの比較によれば、ゲル化した高分子微多孔質層の存在により、短絡時間は大幅に改善された。不織布に形成された空隙内外にゲル状のアクリレート系ポリマーが存在することにより、「通常使用時」において電極間に発生した比較的少量のデンドライトによる短絡が抑制されている。
[実用電池としての特性評価]
<電極用スラリーの調整>
以下に示す組成に従って自公転式混練混合機で混練・分散処理し、正極用スラリーと負極用スラリーを調整した。
(正極用スラリーの組成)
LiNi1/3Co1/3Mn1/3(活物質) : 93部
アセチレンブラック(導電材) : 4部
ポリフッ化ビニリデン(バインダー) : 3部
N−メチルー2−ピロリドン :100部
(負極用スラリーの組成)
メソカーボンマイクロビーズ(活物質) : 93部
アセチレンブラック(導電材) : 2部
ポリフッ化ビニリデン(バインダー) : 5部
N−メチルー2−ピロリドン :150部
<電解液の調整>
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート(体積比30:70)の混合溶液に、LiPFを1.0mol/Lとなるように溶解して調整した。
<二次電池の作製>
ドクターブレードにより、厚さ20μmのアルミ箔上に正極用塗料を片面塗布して乾燥し、正極合剤層が形成されたシートを得た。得られたシートをロールプレスし、合剤層厚約80μmの正極を得た。得られた正極の目付量は、224g/mで、電極密度は2.8g/ccであった。得られた正極を所定の形状に打ち抜いた後、減圧下170℃で乾燥を行った。
上記と同様に、厚さ10μmの銅箔上に負極用塗料を片面塗布して乾燥し、負極合剤層が形成されたシートを得た。得られたシートをロールプレスし、合剤層厚約80μmの負極を得た。得られた負極の目付量は、112g/mで、電極密度は1.40g/ccであった。得られた負極を所定の形状に打ち抜いた後、減圧下170℃で乾燥を行った。
次いで、前記複合セパレータA、B、及びセパレータD(実施例1、2、比較例2)を間にして正極シートと負極シートを積層し、正極シートと負極シートのタブ部に各々プラスリードとマイナスリードを取り付けて電池素子Cを得た。
前記電池素子Cをアルミラミネートで挟み、前記電解液を加え、正極シート活物質層、負極シート活物質層、セパレータに電解液を含浸させ真空封止することにより電池素子Dを得た。
<初期充放電特性、0℃充放電特性、0℃サイクル特性、過充電リチウム遮断特性>
前記複合セパレータA、B、及びセパレータD(実施例1、2、比較例2)を用いた電池に対して、初期充放電特性、0℃充放電特性、0℃サイクル特性、及び過充電リチウム遮断特性の評価を行った。また、複合セパレータB(実施例2)、セパレータD(比較例2)を用いた電池に対して、交流抵抗評価を行った。ここで上記特性評価方法について説明する。
(初期充放電特性)
室温で充電電流0.2CA、充電電圧4.2Vの定電流定電圧充電で充電時間が8時間となるまで充電した後、放電電流0.2CA、終止電圧2.7Vの条件で放電を行った時の放電容量(mAh)を0.2CA容量とした。
得られた結果から、下記の数式(1)により充放電効率(%)を算出した。
(0℃充放電特性)
0℃環境下、放電電流0.5CA、終止電圧2.7Vの条件で放電した後、充電電流1CA、充電電圧4.4Vの定電流充電した後、放電電流1CA、終止電圧2.7Vの条件で放電を行なった。0℃環境下、1CA電流で充電した容量を0℃1CA充電容量、1CA電流で放電した容量を0℃1CA放電容量とした。
得られた結果から、下記の数式(2)により充放電効率(%)を算出した。
(0℃サイクル特性)
0℃環境下、充電電流1CA、充電電圧4.4Vの定電流充電した後、放電電流1.0CA、終止電圧2.7Vの条件で放電を行なった。この操作を10回繰り返し、0℃サイクル特性を評価した。ここでは、充電電圧を4.4Vとして、負極の負荷率を高め(ぎりぎりまで使用)、かつ、低温環境での電池抵抗を高めることにより、「通常使用時」における電池の劣化時を想定した充放電サイクル試験(限界負荷)としており、金属リチウムが析出する条件である。
(過充電リチウム遮断特性)
室温で放電電流1.5CA、終止電圧2.7Vの条件で放電した後、充電電流1.5CAにて250%の充電容量となるまで充電を行い、250%充電時の到達電池電圧を評価した。ここで、100%充電容量とは、2.7V〜4.2Vまでの充電容量を示す。ここでは、過充電により負極のリチウムイオン吸蔵能力を超えたリチウムが正極から供給し続けられるといった状態が生じ、「通常使用時」に対して大量のリチウム金属が成長し続ける条件である。
上記の初期充放電特性、0℃充放電特性、0℃サイクル特性、及び過充電リチウム遮断特性の評価結果を表2に示す。
多官能アクリレートポリマー層がゲル化してなる複合セパレータA、Bによれば、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータDに比べて低抵抗であり、イオン伝導性に優れている。また、電池を試作し、特性を評価した結果、複合セパレータA、Bでは、ポリエチレン微多孔膜のセパレータDと同等の初期充放電特性を示した。
また、充電電圧4.4Vとすることにより、負極の負荷率を高め(ぎりぎりまで使用)、かつ、「通常使用時」における電池の劣化時を想定した充放電サイクル試験(限界負荷)でも、充放電特性は好適に保持されていた。金属リチウムが析出する条件であるにもかかわらず、短絡挙動は見られない。なお、ゲル状層がないセパレータCでは、容量は同等に出るものの、充電末期に微短絡が生じた。限界負荷時において、ポリエチレン微多孔膜でも短絡挙動は見られないが、内部抵抗が高いことから充電、放電特性は極度に低下すると考えられる。
また、過充電時においては、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータDでは、リチウムを遮断し、電池電圧が5.82Vと過充電が進行するのに対し、複合セパレータA、Bでは電池電圧が4.57Vであり、過充電の進行が抑制されている。
10…電池、11…正極シート、12…負極シート、13…セパレータ、14…不織布、15…高分子微多孔質層、16…外装部材。

Claims (5)

  1. 二次電池に使用される不織布セパレータであって、
    ポリオレフィン製不織布と、該ポリオレフィン製不織布に付与された高分子微多孔質層からなり、
    前記二次電池に使用される電解液と接触することにより前記高分子微多孔質層がゲル化して、前記二次電池内で析出した金属による電極間での接触を抑制可能とすることを特徴とする不織布セパレータ。
  2. 前記高分子微多孔質層は、前記ポリオレフィン製不織布に付与されたモノマー溶液を、該ポリオレフィン製不織布上で重合させてなる請求項1記載の不織布セパレータ。
  3. 前記高分子微多孔質層は、多官能アクリレートを重合させてなる請求項1又は2記載の不織布セパレータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布セパレータの製造方法であって、
    ポリオレフィン製不織布にアクリレート系モノマー溶液を付与する工程と、
    ポリオレフィン製不織布上でアクリレート系モノマーを重合させる工程と、
    を備えることを特徴とする不織布セパレータの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布セパレータを備えることを特徴とする二次電池。
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