JP2016044467A - 床版構造 - Google Patents

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慶雲 王
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Abstract

【課題】橋軸方向に隣り合う床版パネルの橋軸方向継手部が連結していない床版構造において、上方に設けられる舗装でひび割れを生じ難くできる床版構造を提供すること。
【解決手段】床版構造1では、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが橋軸方向に敷設されていて、下側に水平状の底鋼板10aを有し、底鋼板10aの橋軸方向の両端部に鉛直方向に延びる鉛直補強板10b,10cを有し、鋼殻内に打設された軽量コンクリート11を有している。そして、橋軸方向継手部10Xが連結していない。橋軸方向継手部10Xで対向する二つの鉛直補強板10b,10cのうち、一方側の鉛直補強板10bには橋軸方向に突出する第1凸部10hが設けられ、他方側の鉛直補強板10cには橋軸方向に窪む第1凹部10gが設けられている。第1凸部10hと第1凹部10gは、互いの間に樹脂から成る第1緩衝材10jを介装した状態で嵌合している。
【選択図】 図8

Description

本発明は、主桁の上に複数の床版パネルが橋軸方向、又は橋軸方向と直交する橋軸直角方向に敷設される床版構造に関し、特に、床版上に設けられる舗装でひび割れを生じ難くすることができる床版構造に関する。
床版構造は複数の床版パネルによって構成されていて、各床版パネルが主桁の上に敷設されている。各床版パネルの上には、アスファルトの舗装が設けられている。このため、床版構造は、舗装を介して車両や人等の荷重を受承し、受承した荷重を主桁に伝達する。これにより、橋梁の安全性や耐久性を損なう変形を防止できるようになっている。近年、このような床版構造として様々なものが提案されている。
下記特許文献1には、本出願人が提案した従来の床版構造が記載されている。この床版構造では、図18に示すように、複数の合成床版パネル210A,210Bが、主桁の上で橋軸方向(図18の左右方向)に敷設されている。各合成床版パネル210A,210Bは、材料として鋼板とコンクリートとを用いた床版パネルである。具体的に、各合成床版パネル210A,210Bは、下側に底鋼板210aを有し、底鋼板210aの橋軸方向の両端部で鉛直方向に延びる鉛直補強板210b,210cを有している。そして、底鋼板210aと鉛直補強板210b,210cとによって形成される空間には、補強部材としての鉛直リブ212、配力筋213、主鉄筋214等が配置されて、コンクリート211が打設されている。
ここで、本出願人が提案した床版構造210では、隣り合う合成床版パネル210A,210Bの橋軸方向継手部210Zが、連結していないことに特徴がある。即ち、橋軸方向継手部210Zでは、対向する鉛直補強板210c,210bの間に約15mmの隙間T1が形成されると共に、対向する底鋼板210aの端部間に約5mmの隙間T2が形成されている。これらの隙間T1,T2により、主桁に負の曲げモーメント(引張力)が生じても、主桁の変形と合成床版パネル210A,210Bの変形とが連動し難くなっている。
つまり、主桁が熱膨張等によって変形しても、この変形による影響を上記した隙間T1,T2が吸収できるようになっている。その結果、合成床版パネル210A,210Bのコンクリート211でひび割れが生じ難くなっている。更に、橋軸方向継手部210Zを連結しないことによって、橋軸方向継手部210Zを連結する場合に比べて床版構造210を施工するときの施工時間及び施工労力を低減できるようになっている。
また下記特許文献2には、本出願人が提案した床版構造210と似た床版構造が記載されている。図19に示すように、この床版構造310では、サンドイッチ床版パネル310A,310Bが、主桁302の上で橋軸直角方向に敷設されている。各サンドイッチ床版パネル310A,310Bは、底鋼板310aの橋軸直角方向の両端部に鉛直方向に延びる側鋼板310d,310eを有し、上側に上鋼板310fを有し、底鋼板310aと側鋼板310d,310eと上鋼板310fとによって形成される空間に打設されたコンクリート311を有している。このサンドイッチ床版パネル310A,310Bは、上鋼板310fと底鋼板310aとで上下からコンクリート311を挟み込むことにより、自身の変形を小さくできるようになっている。
この床版構造310においては、隣り合うサンドイッチ床版パネル310A,310Bの橋軸直角方向継手部310Yを、継手部材で連結しない、又は曲げモーメントを実質的に伝達しない簡易的な継手部材(図示省略)で連結するようになっている。これにより、サンドイッチ床版パネル310A,310Bによって剛性を確保しつつ、橋軸直角方向継手部310Yの構造を簡略化して、床版構造310の急速施工を行えるようになっている。なお、説明を省略したが、床版構造310の橋軸方向継手部も同様の構造である。
特許第5295198号公報 特開2013−185398号公報 特開平4−24306号公報
しかしながら上記特許文献1の床版構造210、及び上記特許文献2の床版構造310では、以下の問題点があった。上記特許文献1の床版構造210では、図18に示すように、橋軸方向継手部210Zが隙間T1,T2によって連結していないため、一方側の合成床版パネル210Aから他方側の合成床版パネル210Bに曲げモーメントが伝達しないものの、上下方向に作用するせん断力も伝達しないこととなる。つまり、橋軸方向継手部210Zでは、隣り合う合成床版パネル210A,210Bが上下方向に作用するせん断力によって上下方向にずれ易くなっている。
このため、図20に示すように、合成床版パネル210Aの上方を車両が走行するとき、橋軸方向継手部210Zに上下方向のせん断力(車両走行時の輪荷重)が作用して、合成床版パネル210Aが合成床版パネル210Bより僅かに沈み込む。その結果、橋軸方向継手部210Zに約1〜2mmの段差T3が生じる。この段差T3は、車両走行にはほとんど影響を与えないものの、繰り返し発生することにより舗装220にひび割れ220aを生じ易くするものであった。
また、上記特許文献2の床版構造310でも、橋軸直角方向継手部310Yを継手部材で連結しない、又は曲げモーメントを実質的に伝達しない簡易的な継手部材で連結するため、橋軸直角方向継手部310Yでは、隣り合うサンドイッチ床版パネル310A,310Bが上下方向に作用するせん断力によって上下方向にずれ易くなっている。このため、一方側のサンドイッチ床版パネル(310A,310B)の上方で車両が繰り返し走行すると、橋軸直角方向継手部310Yに生じる段差によって、舗装にひび割れが生じ易くなっていた。
そこで、本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、橋軸方向に隣り合う床版パネルの橋軸方向継手部が連結していない床版構造において、上方に設けられる舗装でひび割れを生じ難くできる床版構造を提供することを目的とする。また、橋軸直角方向に隣り合う床版パネルの橋軸直角方向継手部が連結していない床版構造において、上方に設けられる舗装でひび割れを生じ難くできる床版構造を提供することを目的とする。
本発明に係る床版構造は、主桁の上に複数の床版パネルが橋軸方向に敷設され、前記各床版パネルには、下側に水平状の底鋼板が設けられ、前記底鋼板の橋軸方向の両端部に鉛直方向に延びる鉛直補強板が設けられ、前記底鋼板と前記鉛直補強板とによって形成される空間にコンクリートが打設されていて、橋軸方向に隣り合う床版パネルの橋軸方向継手部は、連結していないものであって、前記橋軸方向継手部で対向する二つの前記鉛直補強板のうち一方側には、橋軸方向に突出する第1凸部が設けられ、他方側には橋軸方向に窪む第1凹部が設けられていて、前記第1凸部と前記第1凹部とは、互いの間に第1緩衝材を介装した状態で嵌合していることを特徴とする。
ここで「橋軸方向継手部は連結していない」とは、橋軸方向に隣り合う床版パネルが接触していないという意味ではなく、互いに曲げモーメントを伝達しないように橋軸方向継手部が連結していないという意味である。
また「第1緩衝材」は、第1凸部と第1凹部とを接合するものではなく、例えば樹脂又はゴムから成る緩衝材である。
また「嵌合」は、第1凸部と第1凹部とが隙間無く嵌め合っていることではなく、第1緩衝材を介装する分の隙間がある状態で嵌め合っていることを意味する。
本発明に係る床版構造によれば、橋軸方向継手部が連結していないため、主桁に負の曲げモーメント(引張力)が生じても、主桁の変形と床版パネルの変形とが連動し難くて、床版パネルのコンクリートでひび割れを生じ難くできる。また、橋軸方向継手部を連結しないことによって、床版構造を施工するときの施工時間及び施工労力を低減することができる。
更に、本発明によれば、橋軸方向継手部で、第1凸部と第1凹部とが互いの間に第1緩衝材を介装した状態で嵌合しているため、橋軸方向に隣り合う床版パネルが上下方向のせん断力を伝達できるようになっている。つまり、一方側の床版パネルの上方で車両が走行し、車両走行時の輪荷重が生じても、一方側の床版パネルから他方側の床版パネルへ上下方向のせん断力(車両走行時の輪荷重)が伝達する。このため、一方側の床版パネルが他方側の床版パネルより僅かに沈み込むことを防止できる。こうして、橋軸方向継手部で段差が生じ難くなり、舗装でひび割れを生じ難くすることができる。
また、本発明に係る床版構造において、前記床版パネルと前記主桁との間に、弾性変形可能な弾性部材が介装されていて、前記床版パネルには、ボルトを螺着したナットが固定されていて、前記ボルトを回転させることで前記床版パネルが上下動すると共に前記弾性部材の弾性変形量が変化することによって、前記床版パネルの高さを調節可能になっていることが好ましい。
この場合には、主桁の上に各床版パネルを敷設する際に、各床版パネルの高さを調節することで、第1凸部と第1凹部とを嵌合し易くできる。また、ボルトを回転させるだけで床版パネルの高さを調節できるため、床版構造の高さを微調整する作業が簡単である。
また、本発明に係る床版構造において、前記各床版パネルは、上側に水平状の上鋼板を有し、前記底鋼板と前記鉛直補強板と前記上鋼板とによって形成される空間に、密度が2000kg/m以下である軽量コンクリートが打設されたサンドイッチ軽量床版パネルであっても良い。
この場合には、コンクリートとして軽量コンクリートを用いているため、軽量で下部工構造への負担を減少できる。特に既設橋の補強の場合には、下部工構造への補強を不要に、又は小さくできる。加えて、サンドイッチ軽量床版パネルは床版パネルとして運搬し易いものになる。また、サンドイッチ軽量床版パネルは、例えば合成床版パネル等に比べて剛性が大きく且つ変形が小さいものである。このため、合成床版パネルでは、床版支間が大きい場合や幅員(橋軸直角方向の長さ)を大きくする必要がある場合に対応できない可能性があるのに対して、サンドイッチ軽量床版パネルであれば、床版支間が大きい場合や幅員を大きくする必要がある場合に対応することができる。
また、底鋼板と鉛直補強板と上鋼板とによって密閉された軽量コンクリートによって、サンドイッチ軽量床版パネルには拘束効果が生じる。これにより、底鋼板及び上鋼板の強度の許容値が上昇して、底鋼板又は上鋼板で局所的に生じる座屈を防止することができる。
また、本発明に係る床版構造において、前記各床版パネルは、橋軸方向と直交する橋軸直角方向に複数敷設されていて、前記底鋼板の橋軸直角方向の両端部に側鋼板を有していて、橋軸直角方向に隣り合う床版パネルの橋軸直角方向継手部は、連結しておらず、前記橋軸直角方向継手部で対向する二つの前記側鋼板のうち一方側には、橋軸直角方向に突出する第2凸部が設けられ、他方側には橋軸直角方向に窪む第2凹部が設けられていて、前記第2凸部と前記第2凹部とは、互いの間に第2緩衝材を介装した状態で嵌合していても良い。
この場合には、橋軸直角方向継手部で、第2凸部と第2凹部とが互いの間に第2緩衝材を介装した状態で嵌合しているため、橋軸直角方向に隣り合う床版パネルが上下方向のせん断力を伝達できるようになっている。このため、橋軸方向継手部に加えて、橋軸直角方向継手部でも段差が生じ難くなり、舗装でひび割れを生じ難くすることができる。
更に、床版構造の交換の際には、橋軸直角方向の一方側で交通規制を行わず車両走行を許可するのに対して、橋軸直角方向の他方側で交通規制を行って、敷設された床版パネルの交換を行う。その後、橋軸直角方向の他方側で交通規制を行わずに車両走行を許可するのに対して、橋軸直角方向の一方側で交通規制を行って、敷設された床版パネルの交換を行う。こうして、交通規制の影響を抑えつつ、床版構造の交換を行うことができる。
本発明に係る床版構造は、主桁の上に複数の床版パネルが橋軸方向と直交する橋軸直角方向に敷設され、前記各床版パネルには、下側に水平状の底鋼板が設けられ、前記底鋼板の橋軸直角方向の両端部に鉛直方向に延びる側鋼板が設けられ、前記底鋼板と前記側鋼板とによって形成される空間にコンクリートが打設されていて、橋軸直角方向に隣り合う床版パネルの橋軸直角方向継手部は、連結していない床版構造において、前記橋軸直角方向継手部で対向する二つの前記側鋼板のうち一方側には、橋軸直角方向に突出する凸部が設けられ、他方側には橋軸直角方向に窪む凹部が設けられていて、前記凸部と前記凹部とは、互いの間に緩衝材を介装した状態で嵌合していることを特徴とする。
ここで「橋軸直角方向継手部は連結していない」とは、橋軸直角方向に隣り合う床版パネルが接触していないという意味ではなく、互いに曲げモーメントを伝達しないように橋軸直角方向継手部が連結していないという意味である。
また「緩衝材」は、凸部と凹部とを接合するものではなく、例えば樹脂又はゴムから成る緩衝材である。
また「嵌合」は、凸部と凹部とが隙間無く嵌め合っていることではなく、緩衝材を介装する分の隙間がある状態で嵌め合っていることを意味する。
本発明に係る床版構造によれば、橋軸直角方向継手部を連結しないことによって、床版構造を施工するときの施工時間及び施工労力を低減することができる。
更に、本発明によれば、橋軸直角方向継手部で、凸部と凹部とが互いの間に緩衝材を介装した状態で嵌合しているため、橋軸直角方向に隣り合う床版パネルが上下方向のせん断力を伝達できるようになっている。つまり、一方側の床版パネルの上方で車両が走行し、車両走行時の輪荷重が生じても、一方側の床版パネルから他方側の床版パネルへ上下方向のせん断力(車両走行時の輪荷重)が伝達する。このため、一方側の合成床版パネルが他方側の合成床版パネルより僅かに沈み込むことを防止できる。こうして、橋軸直角方向継手部で段差が生じ難くなり、舗装でひび割れを生じ難くすることができる。
また、本発明に係る床版構造において、前記床版パネルと前記主桁との間に、弾性変形可能な弾性部材が介装されていて、前記床版パネルには、ボルトを螺着したナットが固定されていて、前記ボルトを回転させることで前記床版パネルが上下動すると共に前記弾性部材の弾性変形量が変化することによって、前記床版パネルの高さを調節可能になっていることが好ましい。
この場合には、床版パネルの高さを調節することで、主桁の上に各床版パネルを敷設する際に、凸部と凹部とを嵌合し易くできる。また、ボルトを回転させるだけで床版パネルの高さを調節できるため、床版構造の高さを微調整する作業が簡単である。
また、本発明に係る床版構造において、前記各床版パネルは、上側に水平状の上鋼板を有し、前記底鋼板と前記側鋼板と前記上鋼板とによって形成される空間に、密度が2000kg/m以下である軽量コンクリートが打設されたサンドイッチ軽量床版パネルであっても良い。
この場合には、コンクリートとして軽量コンクリートを用いているため、軽量で下部工構造への負担を減少できる。特に既設橋の補強の場合には、下部工構造への補強を不要に、又は小さくできる。各床版パネルがサンドイッチ軽量床版パネルである場合のその他作用効果については、上述した作用効果と同様であるため、説明を省略する。
本発明によれば、橋軸方向に隣り合う床版パネルの橋軸方向継手部が連結していない床版構造において、上方に設けられる舗装でひび割れを生じ難くできる。また、橋軸直角方向に隣り合う床版パネルの橋軸直角方向継手部が連結していない床版構造において、上方に設けられる舗装でひび割れを生じ難くできる。
第1実施形態の床版構造が適用されている橋梁を示した斜視図である。 図1に示した床版構造の平面図である。 図2のA−B−C−D線に沿った断面図である。 図3のE部分を拡大した図である。 図2に示した箱抜き部を拡大した図である。 図2のF−F線に沿った断面図である。 図2のG−G線に沿った断面図である。 図7に示したせん断キー構造の拡大図である。 図7に示す第1凸部と第1凹部の間に第1緩衝材が介装される前の状態を示した図である。 図2のH−H線に沿った断面図である。 従来の特許文献3に示されているせん断キー構造の説明図である。 第2実施形態の床版構造が適用されている橋梁を示した斜視図である。 図12のI−I線に沿った断面図である。 図13に示したせん断キー構造の拡大図である。 第3実施形態の床版構造が適用されている橋梁を示した斜視図である。 図15のJ−J線に沿った断面図である。 第4実施形態の床版構造を示した断面図である。 従来の特許文献1に示されている床版構造を示した断面図である。 従来の特許文献2に示されている床版構造を示した斜視図である。 従来の床版構造の問題点を説明するための図である。
<第1実施形態>
本発明に係る床版構造の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態の床版構造10が適用されている橋梁1を示した斜視図である。図1に示すように、道路橋である橋梁1において、橋軸方向(車両進行方向)に延びる4本の主桁2の上に床版構造10が設けられ、床版構造10の上にアスファルトの舗装20が施工されている。
各主桁2は、上フランジ2aとウェブと下フランジとを有し、それぞれ平行に配置されている。床版構造10の橋軸直角方向(橋軸方向及び上下方向と直交する方向)の両端には、車両や人等の落下を防止する欄干3が設けられている。この橋梁1は、各主桁2を橋軸方向に渡って3個以上の支承で支持する連続桁橋になっていて、各主桁2のうち橋軸方向の中間部に配置される支承の上方部分で負の曲げモーメント(引張力)が発生し得るようになっている。
床版構造10は、複数のサンドイッチ軽量床版パネルで構成されていて、舗装20を介して車両や人等の荷重を受承し、受承した荷重を各主桁2に伝達するものである。図1では、舗装20の下に、2つのサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが示されていて、サンドイッチ軽量床版パネル10Aが橋軸方向の前側(図1の紙面手前側)に配置され、サンドイッチ軽量床版パネル10Bが橋軸方向の後側(図1の紙面奥側)に配置されている。
各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bは、橋軸直角方向に長い平板状に構成されていて、各主桁2の上フランジ2aの上で橋軸方向に敷設されている。なお、サンドイッチ軽量床版パネル10Bより橋軸方向の後側にも、図示しない複数のサンドイッチ軽量床版パネルが橋軸方向に連続的に敷設されている。各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bは、鋼材とコンクリートとを組み合わせた床版パネルであり、圧縮力に強く比較的安価なコンクリートを、引張力に強い鋼材で補強したものである。以下、本実施形態のサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの構成を、図2〜図9を参照して詳細に説明する。
図2は図1に示した床版構造10の平面図であり、図3は図2のA−B−C−D線に沿った断面図である。なお、図2及び図3では舗装20が省略して示されていて、図3では後述する軽量コンクリート11が省略して示されている。各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bでは、図2及び図3に示すように、下側に薄板状で水平状の底鋼板10aが設けられ、底鋼板10aの橋軸方向の両端部に、鉛直方向(上下方向)に延びる鉛直補強板10b,10cが設けられている。鉛直補強板10b,10cは薄板状の鋼板であり、溶接によって底鋼板10aに接合されている。以下では、橋軸方向で前側(図2の下側)に配置されている鉛直補強板を「前側鉛直補強板10b」と呼び、橋軸方向で後側(図2の上側)に配置されている鉛直補強板を「後側鉛直補強板10c」と呼ぶことにする。
また、底鋼板10aの橋軸直角方向の両端部には、鉛直方向に延びる側鋼板10d,10eが設けられている。側鋼板10d,10eは薄板状であり、溶接によって底鋼板10aに接合されている。以下では、図2及び図3の左側に配置されている側鋼板を「左側鋼板10d」と呼び、図2及び図3の右側に配置されている側鋼板を「右側鋼板10e」と呼ぶこととする。また、各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bでは、上側に薄板状で水平状の上鋼板10fが設けられている。これにより、底鋼板10aと前側鉛直補強板10bと後側鉛直補強板10cと左側鋼板10dと右側鋼板10eと上鋼板10fとによって、直方体状の鋼殻が形成されていて、この鋼殻内に軽量コンクリート11(図1参照)が充填されている。
こうして、各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bは、底鋼板10aと上鋼板10fとで軽量コンクリート11を挟み込むことにより、例えば上鋼板を有していない合成床版パネルに比べて、床版パネルとしての剛性を大きくできると共に、自身の変形を小さくできるようになっている。そして、各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bでは、鋼殻内で密閉された軽量コンクリート11によって、拘束効果が生じている。これにより、底鋼板10a及び上鋼板10fの強度の許容値が上昇していて、底鋼板10a又は上鋼板10fで局所的に生じる座屈を防止できるようになっている。
次に、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが主桁2の上フランジ2aに取付けられている状態について、図3〜図6を参照して説明する。図3に示すように、底鋼板10aの下側には、各主桁2の位置に対応して、一対のハンチ部12が設けられている。ここで、図4は図3のE部分を拡大した図である。
図4に示すように、一対のハンチ部12は、下端から水平状で内向きに延びる内向き片12aを有している。これら内向き片12aと主桁2の上フランジ2aとの間に、弾性変形可能なゴムパッキン(弾性部材)13が介装されて、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが主桁2の上フランジ2aに支持されている。なお、内向き片12aと上フランジ2aとの間に介装する部材はゴムパッキン13に限られるものではなく、弾性部材であれば適宜変更可能である。底鋼板10aのうち各主桁2の上方の位置には、橋軸方向に延びて起立した鉛直リブ14が接合されている。鉛直リブ14は、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが支持されている部分及び下記の箱抜き部15の剛性を高くするものである。
また、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bには、図2に示すように、各主桁2の位置に対応して、箱抜き部15が設けられている。各箱抜き部15は、主桁2の上フランジ2aの上側にコンクリートを充填するための型枠が形成されている部分である。ここで、図5は図2に示した箱抜き部15を拡大した図であり、図6は図2のF−F線に沿った断面図である。
図5及び図6に示すように、主桁2の上フランジ2aには複数のスタッド4が接合されていて、各スタッド4が各箱抜き部15の空間内に位置するように、各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが配置されている。そして、各箱抜き部15の空間内にコンクリートが打設されて、そのコンクリートと各箱抜き部15と各スタッド4とが一体化(接合)することで、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが主桁2の上フランジ2aに取付けられている。
なお、図5及び図6では、箱抜き部15の空間内に打設されたコンクリートが省略して示されている。サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bでは、図5に示すように、箱抜き部15から橋軸直角方向に延びて起立した鉛直リブ16が、底鋼板10aに接合されている。これにより、各箱抜き部15によって低下する剛性を高めるようになっている。
ところで、本実施形態の床版構造10では、本出願人が提案している上記特許文献1の床版構造210(図18参照)と同様、隣り合うサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの橋軸方向継手部10X(図2参照)が連結していない。即ち、橋軸方向継手部10Xでは、曲げモーメントを伝達しないようになっている。このため、橋軸方向継手部10Xの下方に位置する主桁2で、負の曲げモーメント(引張力)が生じても、主桁2の変形と各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの変形とが連動し難くなっている。つまり、主桁2が自動車荷重によって変形しても、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10B同士が橋軸方向に離間することによって、主桁2の自動車荷重による変形を吸収することができる。その結果、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの軽量コンクリート11でひび割れが生じ難いというメリットがある。
更に、曲げモーメントが伝達しないように、橋軸方向継手部10Xを連結しないことによって、床版構造10を施工するときの施工時間及び施工労力を低減できるというメリットもある。即ち、本実施形態の床版構造10の施工方法は、現場でサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bを作製する場所打ち工法ではなく、工場で予めサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bを作製しておき、それを現場に搬送して主桁2の上に敷設するプレキャスト工法を採用しても良い。
特に、本実施形態のプレキャスト工法では、橋軸方向継手部10Xを連結板や高力ボルトを用いて連結する必要がなく、橋軸方向継手部10Xをコンクリートで一体化する必要がない。つまり、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bを主桁2の上フランジ2aの所定位置に敷設して、箱抜き部15のコンクリートを打設するだけで、橋軸方向継手部10Xについての作業が完了する。従って、従来の一般的なプレキャスト工法に比べて、橋軸方向継手部10Xを連結する際の労力及び時間を大幅に低減できるようになっている。
しかしながら、発明が解決しようとする課題で説明したように、仮に橋軸方向継手部10Xで上下方向に作用するせん断力を伝達しない場合には、車両走行時の輪荷重によって一方側のサンドイッチ軽量床版パネル(10A,10B)が、他方側のサンドイッチ軽量床版パネル(10B,10A)より沈み込むこととなる。これにより、橋軸方向継手部10Xに段差が生じ、この段差が繰り返し生じることにより舗装20にひび割れを生じさせるおそれがあった。
そこで、本実施形態の床版構造10では、橋軸方向継手部10Xが曲げモーメントを伝達しないことによるメリットを活かしつつ、舗装20にひび割れを生じさせないように、橋軸方向継手部10Xが以下のように構成されている。ここで、図7は、図2のG−G線に沿った断面図である。図7で拡大して示すように、橋軸方向継手部10Xでは、対向する二つの鉛直補強板10c,10b、即ちサンドイッチ軽量床版パネル10Aの後側鉛直補強板10cとサンドイッチ軽量床版パネル10Bの前側鉛直補強板10bとによって、せん断キー構造SK1が構成されている。
せん断キー構造SK1は、対向する後側鉛直補強板10cと前側鉛直補強板10bとの間で、曲げモーメント(引張力)を伝達不能にしつつ、上下方向のせん断力を伝達可能にするものである。なお、せん断キー構造SK1は、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの橋軸方向継手部10X以外の橋軸方向継手部(図示省略)でも同様に構成されていて、以下では橋軸方向継手部10Xで構成されているせん断キー構造SK1を代表して説明する。ここで、図8は、図7に示したせん断キー構造SK1の拡大図である。
図8に示すように、せん断キー構造SK1では、対向する後側鉛直補強板10cと前側鉛直補強板10bとの間に、橋軸方向隙間S1が設けられている。この橋軸方向隙間S1は約0〜1mmである。そして、後側鉛直補強板10cには、橋軸方向の一方側(図8の左側)に長方形状に窪む第1凹部10gが設けられていて、前側鉛直補強板10bには、橋軸方向の一方側に長方形状に突出する第1凸部10hが設けられている。
第1凹部10gは、後側鉛直補強板10cに対して機械加工等によって橋軸直角方向に連続して形成されているものであり、第1凸部10hも、前側鉛直補強板10bに対して機械加工等によって橋軸直角方向に連続して形成されているものである。これら第1凸部10hと第1凹部10gとは、約0〜1mmの橋軸方向隙間S1に、樹脂から成る第1緩衝材10jを介装した状態で嵌合している。この嵌合とは、第1凸部10hと第1凹部10gとが隙間なく嵌め合っていることではなく、第1緩衝材10jを介装する隙間がある状態で嵌め合っていることを意味する。なお、第1凸部10hと第1凹部10gとの間以外で、対向する後側鉛直補強板10cと前側鉛直補強板10bとの間の橋軸方向隙間S1にも、第1緩衝材10jが介装されている。
ここで、図9は、図7に示す第1凸部10hと第1凹部10gとの間に第1緩衝材10jが介装される前の状態を示した図である。即ち、図9には、第1凸部10hと第1凹部10gとを嵌め合わせた直後の状態が示されている。図9に示すように、第1凸部10hと第1凹部10gとの上下方向(鉛直方向)隙間U1は約2〜3mmである。この上下方向隙間U1は施工性のために必要なものである。また、第1凸部10hの突出長さ(せん断キー)V1は約4mmであり、第1凹部10gの窪み深さW1は約4mmである。
また、後側鉛直補強板10cの上下方向の寸法、及び前側鉛直補強板10bの上下方向の寸法が144mmであり、第1凹部10gの上下方向の寸法が54mmであり、第1凸部10hの上下方向の寸法が50mmである。但し、上記した各寸法はあくまで本実施形態の一例として示した寸法であり、橋梁1や床版構造10の種類や大きさに応じて適宜変更可能である。
本形態では、溶かした樹脂を、前側鉛直補強板10bと後側鉛直補強板10cとの間の上端に形成される開口部10kから注入して、図9に示す矢印L1、矢印L2、矢印L3、矢印L4、矢印L5の順番に流す。その後、流れた樹脂が硬化することにより、上記した第1緩衝材10jが形成されることとなる。
第1緩衝材10jは、第1凸部10hと第1凹部10gとの間で隙間なく上下方向のせん断力を伝達可能にするものである。また、第1緩衝材10jは、第1凸部10hと第1凹部10gとを直接接触させないことにより、嵌合する第1凸部10hと第1凹部10gとの摩耗を減らすものである。この第1緩衝材10jは、樹脂で構成されているため僅かに弾性変形可能であるが、建設用の樹脂で強度が十分に高いものである。
こうして、本実施形態の床版構造10では、車両がサンドイッチ軽量床版パネル10Aの上方で走行しているときには、車両走行時の輪荷重がサンドイッチ軽量床版パネル10Aに作用し、上下方向のせん断力として橋軸方向継手部10Xに作用する。このとき、図8に示すように、橋軸方向継手部10Xでは、せん断力F1が第1凹部10gから第1緩衝材10jを介して第1凸部10hに伝達する。これにより、サンドイッチ軽量床版パネル10Aが、サンドイッチ軽量床版パネル10Bと連動して沈み込んで、橋軸方向継手部10Xで段差が生じないようになっている。
一方、車両がサンドイッチ軽量床版パネル10Bの上方で走行しているときには、車両走行時の輪荷重がサンドイッチ軽量床版パネル10Bに作用し、上下方向のせん断力として橋軸方向継手部10Xに作用する。このとき、図8に示すように、橋軸方向継手部10Xでは、せん断力F2が第1凸部10hから第1緩衝材10jを介して第1凹部10gに伝達する。これにより、サンドイッチ軽量床版パネル10Bが、サンドイッチ軽量床版パネル10Aと連動して沈み込んで、橋軸方向継手部10Xで段差が生じないようになっている。
ところで、上述したように、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bを主桁2の上フランジ2aに敷設する際には、橋軸方向継手部10Xで第1凸部10hと第1凹部10gとを嵌合させる必要がある。そして、その嵌合では約0〜1mm以内の高い精度でサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの高さを合わせなければならない。つまり、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの高さを合わせなければ、第1凸部10hと第1凹部10gとを適切に嵌合させることが難しい。
そこで、本実施形態の床版構造10は、各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの高さを容易に調節できるように、以下のように構成されている。具体的には、図2に示すように、箱抜き部15より橋軸方向の前方(図2の下側)及び後方(図2の上側)に、各サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの高さを調節するための高さ調整構造TKが設けられている。ここで、図10は、図2のH−H線に沿った断面図である。
図10に示すように、底鋼板10aのうち主桁2の上方に位置する部分には、貫通孔10a1が形成されていて、貫通孔10a1の上方には、軽量コンクリート11が打設されていない円筒部19が設けられている。そして、貫通孔10a1の周りで底鋼板10aの下面にナット17が溶接で固定されていて、このナット17にボルト18が螺着している。ボルト18の頭部は円筒部19に配置されていて、ボルト18の軸部が貫通孔10a1を貫通して下方に向かって延びている。なお、ボルト18の軸部の下端は主桁2の上フランジ2aに当接していて、ボルト18が上フランジ2aに対して下方に移動できないようになっている。
ここで、上述したように、底鋼板10a(サンドイッチ軽量床版パネル10A,10B)は、一対のハンチ部12及びゴムパッキン13を介して主桁2の上フランジ2aに支持されている。このゴムパッキン13では、図10に示すように、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bを支持した弾性圧縮状態において、高さ寸法S2が20mmになっている。但し、ゴムパッキン13は、初期状態(弾性非圧縮状態)において、高さ寸法が30mmになっているものである。つまり、本実施形態では、ゴムパッキン13の弾性変形量が10mmになっている状態で使用している。
これにより、本実施形態では、ボルト18の頭部を専用の工具で一方側(時計方向)に回転させると、ナット17及び底鋼板10aが上方に移動すると共に、ゴムパッキン13の弾性変形量が小さくなる。これにより、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが上昇する。一方、ボルト18の頭部を専用の工具で他方側(反時計方向)に回転させると、ナット17及び底鋼板10aが下方に移動すると共に、ゴムパッキン13の弾性変形量が大きくなる。これにより、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが下降する。
こうして、主桁2の上にサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bを敷設する際に、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの高さを調節することで、第1凸部10hと第1凹部10gとを嵌合し易くできる。また、ボルト18の頭部を回転させるだけでサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの高さを調節できるため、床版構造10の高さを微調整する作業が簡単である。即ち、橋梁1において上下方向に勾配がある場合や、曲線で横断勾配がある場合には、床版構造10の高さを微調整する必要があるが、このような場合に柔軟に対応することができる。なお、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの高さを調節した後に、円筒部19内に軽量コンクリート11が打設されるようになっている(図10では図示省略)。
ここで、本実施形態のサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bにおいては、上述したように、鋼殻内に打設されるコンクリートとして、通常のコンクリートよりも軽い軽量コンクリート11を用いている。以下では、この理由について説明する。コンクリートはセメントに細骨材と粗骨材と水等を混ぜたものであるが、軽量コンクリートでは、通常のコンクリートに比べて細骨材又は粗骨材として軽い材料を混ぜている。
そのため、通常のコンクリートでは約25kN/mになるのに対して、軽量コンクリートでは約20kN/m以下になる。例えばセメントに粗骨材である軽い砂利だけを混ぜると、約18kN/mまで軽量化された軽量コンクリートになる。また、セメントに細骨材である軽い砂だけを混ぜると、16kN/mまで軽量化された軽量コンクリートになる。このように、軽量コンクリートとは、その密度が2000kg/m以下(約19.6kN/m以下)になっているコンクリートである。
本実施形態の軽量コンクリート11は、約18kN/mになっている軽量コンクリートである。このため、軽量コンクリート11が打設されたサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bは、通常のコンクリートが打設されたサンドイッチ床版パネルに比べて、大幅に軽量化されている。その結果、プレキャスト方式において工場で作製されたサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bは、トラック等で現場まで運搬し易いものになっている。加えて、コンクリートとして軽量コンクリートを用いているため、下部工構造への負担を減少できる。特に既設橋の補強の場合には、下部工構造への補強を不要に、又は小さくできる。
ここで、上述したように、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bでは、底鋼板10aと上鋼板10fとで軽量コンクリート11を挟み込むことにより、床版パネルとしての剛性を十分確保できている。更に、鋼殻内で密閉された軽量コンクリート11の拘束効果により、底鋼板10a及び上鋼板10fの強度が上昇している。従って、サンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bで強度不足の問題が生じるおそれはない。
実際に、本実施形態のサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの強度計算では、軽量コンクリート11を無視して計算している。つまり、一般的に床版パネルの強度計算ではコンクリートも有効な面積として計算しているが、サンドイッチ床版パネルは元々強度が十分大きい床版パネルであるため、軽量コンクリート11を無視して計算しても、強度的に問題ないことが確認できている。
こうして、本実施形態では、軽量コンクリート11を無視して強度計算することで、強度計算に費やす労力を軽減することができる。そして、軽量コンクリート11は、現実的には強度部材として機能するものの、理論的(シミュレーション的)には強度部材として機能しなくても良いものになっている。従って、本実施形態の軽量コンクリート11においては、出荷する際に厳しい品質管理を行う必要がなくて、品質管理の負担を軽減できるようになっている。
第1実施形態の作用効果について説明する。
第1実施形態の床版構造10によれば、橋軸方向継手部10Xが曲げモーメントを伝達するように連結した構造でないため、主桁2に負の曲げモーメント(引張力)が生じても、主桁2の変形とサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの変形とが連動し難くて、軽量コンクリート11でひび割れを生じ難くできる。また、橋軸方向継手部10Xを連結せず、せん断キー(第1凸部10h)を嵌合することによって、プレキャスト工法で床版構造10を施工するときの施工時間及び施工労力を低減することができる。
特に、第1実施形態の床版構造10によれば、橋軸方向継手部10Xで、第1凸部10hと第1凹部10gとが互いの間に第1緩衝材10jを介装した状態で嵌合しているため、隣り合うサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bが上下方向のせん断力を伝達することができる。つまり、一方側のサンドイッチ軽量床版パネル(10A,10B)の上方で車両が走行し、車両走行時の輪荷重が生じても、一方側のサンドイッチ軽量床版パネル(10A,10B)から他方側のサンドイッチ軽量床版パネル(10B,10A)へ上下方向のせん断力(車両走行時の輪荷重)が伝達する。このため、一方側のサンドイッチ軽量床版パネル(10A,10B)が他方側のサンドイッチ軽量床版パネル(10B,10A)より僅かに沈み込むことを防止できる。こうして、橋軸方向継手部10Xで段差が生じ難くなり、舗装20でひび割れを生じ難くすることができる。
ところで、上記した先行技術文献で示した特許文献3(特開平4−24306号公報)は、床版構造にせん断キー構造が設けられていることを示している。そこで、特許文献3のせん断キー構造及び床版構造と、本実施形態のせん断キー構造SK1及び床版構造10との違いについて、図11を参照して説明する。図11は、従来の特許文献3に示されているせん断キー構造SK5の説明図である。図11(A)に示すように、橋軸方向には、二つの床版パネル410A,410Bが敷設されている。
そして、一方側の床版パネル410Aのうち橋軸方向の一端部(図11(A)の右端部)には溝形鋼420が設けられていて、この溝形鋼420のウェブ421にせん断キー用の鋼板422が複数設置されている。各鋼板422は、橋軸直角方向に連続的ではなく、離散的に設けられている。また、他方側の床版パネル410Bのうち橋軸方向の他端部(図11(A)の左端部)には溝形鋼430が設けられていて、この溝形鋼430のウェブ431にせん断キー用の枠体432(図11(B)参照)が複数設置されている。各枠体432は、橋軸直角方向に連続的ではなく、離散的に配置されている。こうして、特許文献3のせん断キー構造SK5では、各鋼板422と各枠体432とを嵌合させるようになっている。
ここで、特許文献3のせん断キー構造SK5では、鋼板422及び枠体432が橋軸直角方向に離散的に設けられているため、各鋼板422と各枠体432とを同時且つ正確に嵌合させるのは非常に難しい。特に、各鋼板422と各枠体432とを高精度に嵌合させなければならないため、嵌合させる作業は現実的にほぼ不可能である。また、特許文献3において嵌合作業を確実に行うためにはせん断キー構造SK5に適宜隙間を設ける必要があるが、この場合にはせん断キー(鋼板422)が機能しなくなる。これに対して、本実施形態のせん断キー構造SK1では、上述したように、第1凸部10h及び第1凹部10gが橋軸直角方向に連続的に設けられているため、嵌合させる作業が比較的容易になっている。そして橋軸方向隙間S1には第1緩衝材10jが介装されるため、せん断キー(第1凸部10h)が隙間で機能しなくなることはない。
そして、特許文献3の床版構造では、図11(C)に示すように、鋼板422と枠体432とを嵌合させた後、溝形鋼420,430同士をボルト440とナット450で連結し、橋軸方向に隣り合う床版パネル410A,410Bを連結している。つまり、特許文献3の床版構造は、床版パネル410A,410Bの橋軸方向継手部410Xで曲げモーメントを伝達すると共に、上下方向のせん断力を伝達する従来の一般的な構造になっている。これに対して、本実施形態の床版構造10は、隣り合うサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bの橋軸方向継手部10Xで曲げモーメントを伝達しないのに対して、上下方向のせん断力を伝達する新規な構造である。従って、特許文献3の床版構造と本実施形態の床版構造10とでは、その構造及び目的が全く異なっている。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図12〜図14を参照して説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図12は、第2実施形態の床版構造10Qが適用されている橋梁1Qを示した斜視図である。図12に示すように、第2実施形態の床版支間(主桁2の橋軸直角方向の間隔)と、第1実施形態の床版支間とは同じである。つまり、第2実施形態の床版構造10Qの橋軸直角方向の長さと、第1実施形態の床版構造10の橋軸直角方向の長さとは同じになっている。
第2実施形態の床版構造10Qでは、橋軸方向に複数のサンドイッチ軽量床版パネルが敷設されると共に、橋軸直角方向にも複数のサンドイッチ軽量床版パネルが敷設されている。具体的には、サンドイッチ軽量床版パネル10A1,10B1同士、及びサンドイッチ軽量床版パネル10A2,10B2同士が橋軸方向に隣り合っていて、サンドイッチ軽量床版パネル10A1,10A2同士、及びサンドイッチ軽量床版パネル10B1,10B2同士が橋軸直角方向に隣り合っている。ここで、図13は、図12のI−I線に沿った断面図である。
図13で拡大して示すように、サンドイッチ軽量床版パネル10A1,10A2の橋軸直角方向継手部10Yでは、対向する二つの側鋼板10e,10d、即ちサンドイッチ軽量床版パネル10A1の右側鋼板10eとサンドイッチ軽量床版パネル10A2の左側鋼板10dとによって、せん断キー構造SK2が構成されている。せん断キー構造SK2は、対向する右側鋼板10eと左側鋼板10dとの間で、曲げモーメント(引張力)を伝達不能にしつつ、上下方向のせん断力を伝達可能にするものである。
なお、サンドイッチ軽量床版パネル10A1,10A2の橋軸直角方向継手部10Y、及びサンドイッチ軽量床版パネル10B1,10B2の橋軸直角方向継手部は、連結しておらず、曲げモーメントを伝達しないようになっている。また、せん断キー構造SK2は、サンドイッチ軽量床版パネル10B1,10B2の橋軸直角方向継手部でも同様に構成されているが、以下では橋軸直角方向継手部10Yで構成されているせん断キー構造SK2を代表して説明する。ここで、図14は、図13に示したせん断キー構造SK2の拡大図である。
図14に示すように、せん断キー構造SK2では、対向する右側鋼板10eと左側鋼板10dとの間に、橋軸直角方向隙間S3が設けられている。この橋軸直角方向隙間S3は約0〜1mmである。そして、右側鋼板10eには、橋軸直角方向の一方側(図14の左側)に長方形状に窪む第2凹部10mが設けられていて、左側鋼板10dには、橋軸直角方向の一方側に長方形状に突出する第2凸部10nが設けられている。
第2凹部10mは、右側鋼板10eに対して機械加工等によって橋軸方向に連続して形成されているものであり、第2凸部10nも、左側鋼板10dに対して機械加工等によって橋軸方向に連続して形成されているものである。これら第2凸部10nと第2凹部10mとは、約0〜1mmの互いの間に樹脂から成る第2緩衝材10pを介装した状態で嵌合している。なお、第2凸部10nと第2凹部10mとの間以外で、対向する左側鋼板10dと右側鋼板10eとの間の橋軸直角方向隙間S3にも、第2緩衝材10pが介装されている。
第2緩衝材10pは、第2凸部10nと第2凹部10mとの間で隙間なく上下方向のせん断力を伝達可能にするものである。また、第2緩衝材10pは、第2凸部10nと第2凹部10mとを直接接触させないことにより、嵌合する第2凸部10nと第2凹部10mの摩耗を減らすものである。この第2緩衝材10pは、樹脂で構成されているため僅かに弾性変形可能であるが、建設用の樹脂で強度が十分に高いものである。第2緩衝材10pは、上記した第1実施形態の第1緩衝材10jと同様、溶かした樹脂を橋軸直角方向隙間S3に注入して硬化したものである。
こうして、第2実施形態の床版構造10Qでは、車両がサンドイッチ軽量床版パネル10A1の上方で走行しているときには、車両走行時の輪荷重がサンドイッチ軽量床版パネル10A1に作用し、上下方向のせん断力として橋軸直角方向継手部10Yに作用する。このとき、図14に示すように、橋軸直角方向継手部10Yでは、せん断力F3が第2凹部10mから第2緩衝材10pを介して第2凸部10nに伝達する。これにより、サンドイッチ軽量床版パネル10A1がサンドイッチ軽量床版パネル10A2と連動して沈み込んで、橋軸直角方向継手部10Yで段差が生じないようになっている。
一方、車両がサンドイッチ軽量床版パネル10A2の上方で走行しているときには、車両走行時の輪荷重がサンドイッチ軽量床版パネル10A2に作用し、上下方向のせん断力として橋軸直角方向継手部10Yに作用する。このとき、図14に示すように、橋軸直角方向継手部10Yでは、せん断力F4が第2凸部10nから第2緩衝材10pを介して第2凹部10mに伝達する。これにより、サンドイッチ軽量床版パネル10A2がサンドイッチ軽量床版パネル10A1と連動して沈み込んで、橋軸直角方向継手部10Yで段差が生じないようになっている。
第2実施形態の作用効果について説明する。
第2実施形態の床版構造10Qによれば、橋軸直角方向継手部10Yを連結せず、せん断キー(第2凸部10n)を嵌合することによって、プレキャスト工法で床版構造10Qを施工するときの施工時間及び施工労力を低減することができる。そして、橋軸直角方向継手部10Yでは、第2凸部10nと第2凹部10mとが互いの間に第2緩衝材10pを介装した状態で嵌合しているため、橋軸直角方向で隣り合うサンドイッチ軽量床版パネル10A1,10A2、及びサンドイッチ軽量床版パネル10B1,10B2が上下方向のせん断力を伝達できるようになっている。このため、上記した第1実施形態の作用効果に加えて、橋軸直角方向継手部10Yでも段差が生じ難くなり、舗装20でひび割れを生じ難くすることができる。
更に、第2実施形態の床版構造10Qによれば、橋梁1Qが新設されたものではなく、既設されたものである場合、床版構造10Qを交換する際に以下の作用効果を奏する。即ち、従来の既設橋梁においては、床版構造を交換しようとする場合、橋軸直角方向の全体に渡って交通規制を行わなければならず、夜間等の限られた時間内に素早く行わなければならなかった。そのため、最近では、交通規制の影響を抑えつつ、床版構造を素早く交換できることが求められている。
そこで、第2実施形態の床版構造10Qでは、サンドイッチ軽量床版パネル10A1,10A2の橋軸直角方向継手部10Y、サンドイッチ軽量床版パネル10B1,10B2の橋軸直角方向継手部が曲げモーメントを伝達するように連結する構造でないため、サンドイッチ床版パネルを素早く取り外せるようになっている。そして、床版構造10Qの交換の際には、橋軸直角方向の一方側のサンドイッチ軽量床版パネル10A1,10B1の上方で交通規制を行わず車両走行を許可するのに対して、橋軸直角方向の他方側のサンドイッチ軽量床版パネル10A2,10B2の上方で交通規制を行って、サンドイッチ軽量床版パネル10A2,10B2の交換を行う。
その後、橋軸直角方向の他方側のサンドイッチ軽量床版パネル10A2,10B2の上方で交通規制を行わずに車両走行を許可するのに対して、橋軸直角方向の一方側のサンドイッチ軽量床版パネル10A1,10B1の上方で交通規制を行って、サンドイッチ軽量床版パネル10A1,10B1の交換を行う。こうして、第2実施形態の床版構造10Qによれば、交通規制の影響を抑えつつ、床版構造10Qを素早く交換することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図15及び図16を参照して説明する。第3実施形態では、第2実施形態と異なる部分を中心に説明し、第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図15は、第3実施形態の床版構造10Rが適用されている橋梁1Rを示した斜視図である。図15に示すように、第3実施形態の床版支間(主桁2の橋軸直角方向の間隔)は、第2実施形態の床版支間の2倍になっている。つまり、第3実施形態の床版構造10Rの橋軸直角方向の長さは、第2実施形態の床版構造10Qの橋軸直角方向の長さの2倍になっている。そして、第3実施形態の橋梁1Rは、片側2車線以上で両方向走行可能な道路橋になっている。
第3実施形態の床版構造10Rでは、橋軸直角方向にサンドイッチ軽量床版パネル10C1,10C2が敷設されている。ここで、図16は、図15のJ−J線に沿った断面図である。図16で拡大して示すように、対向する二つの側鋼板10e,10d、即ちサンドイッチ軽量床版パネル10C1の右側鋼板10eとサンドイッチ軽量床版パネル10C2の左側鋼板10dとによって、せん断キー構造SK3が構成されている。せん断キー構造SK3は、対向する右側鋼板10eと左側鋼板10dとの間で、曲げモーメント(引張力)を伝達不能にしつつ、上下方向のせん断力を伝達可能にするものである。
このせん断キー構造SK3では、右側鋼板10eに、橋軸直角方向の一方側(図16の左側)に長方形状に窪む凹部10m1が設けられていて、左側鋼板10dに、橋軸直角方向の一方側に長方形状に突出する凸部10n1が設けられている。これら凸部10n1と凹部10m1とは、約0〜1mmの互いの間に樹脂から成る緩衝材(図示省略)を介装した状態で嵌合している。つまり、第3実施形態のせん断キー構造SK3は、第2実施形態のせん断キー構造SK2と同様の構成である。
第3実施形態の作用効果について説明する。
第3実施形態の床版構造10Rによれば、第2実施形態の作用効果で説明したように、橋軸直角方向継手部10Y1を連結せず、せん断キー(凸部10n1)を嵌合することによって、プレキャスト工法で床版構造10Rを施工するときの施工時間及び施工労力を低減することができる。そして、橋軸直角方向継手部10Yでは、凸部10n1と凹部10m1とが互いの間に緩衝材を介装した状態で嵌合しているため、橋軸直角方向で隣り合うサンドイッチ軽量床版パネル10C1,10C2が上下方向のせん断力を伝達できるようになっている。このため、橋軸直角方向継手部10Yで段差が生じ難くなり、舗装20でひび割れを生じ難くすることができる。
更に、第3実施形態の床版構造10Rによれば、サンドイッチ軽量床版パネル10C1,10C2の橋軸直角方向継手部10Y1が曲げモーメントを伝達するように連結する構造でないため、サンドイッチ軽量床版パネルを素早く取り外せるようになっている。そして、床版構造10Rの交換の際には、サンドイッチ軽量床版パネル10C1の上方で交通規制を行わず車両走行を許可するのに対して、サンドイッチ軽量床版パネル10C2の上方で交通規制を行って、サンドイッチ軽量床版パネル10C2の交換を行う。その後、サンドイッチ軽量床版パネル10C2の上方で交通規制を行わずに車両走行を許可するのに対して、サンドイッチ軽量床版パネル10C1の上方で交通規制を行って、サンドイッチ軽量床版パネル10C1の交換を行う。
ここで、第3実施形態の橋梁1Rは片側2車線以上で両方向に走行可能な道路橋になっているため、仮に従来のように橋軸直角方向の全体に渡って交通規制を行うと、交通規制の影響が非常に大きくなる。そのため、上述したように、橋軸直角方向に片側ずつサンドイッチ軽量床版パネル10C1,10C2を交換することで、交通規制の影響を抑えつつ、床版構造10Rを素早く交換できるという効果をより顕著に得ることができる。そして、第3実施形態では、床版支間(主桁2の橋軸直角方向の間隔)が第2実施形態の床版支間の2倍になっていて、主桁の上に敷設される床版パネルにより大きな剛性が求められるが、剛性が比較的大きいサンドイッチ軽量床版パネル10C1,10C2によって、長い床版支間に対応することができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図17を参照して説明する。第4実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図17は、第4実施形態の床版構造110を示した断面図である。図17に示すように、第4実施形態の床版構造110は、主桁の上に合成床版パネル110A,110Bが橋軸方向に敷設されている。つまり、第4実施形態では、第1実施形態のサンドイッチ軽量床版パネル10A,10Bに換わって、合成床版パネル110A,110Bが敷設されている。
各合成床版パネル110A,110Bは、下側に水平状の底鋼板110aを有し、底鋼板110aの橋軸方向の両端部で鉛直方向に延びる鉛直補強板110b,110cを有している。そして、底鋼板110aと鉛直補強板110b,110cとによって形成される空間には、補強部材としての鉛直リブ112、配力筋113、主鉄筋114等が配置されて、コンクリート111が打設されている。また、鉛直補強板110b,110cには水平補強材115が接合されていて、隣り合う鉛直補強板110b,110cの上には荷重受け板116が載置されている。なお、荷重受け板116は、隣り合う合成床版パネル110A,110Bを連結するものではなく、車両走行時の輪荷重を鉛直補強板110b,110cに伝達し易くするものである。
そして、合成床版パネル110A,110Bの橋軸方向継手部110Xに、せん断キー構造SK4が構成されている。つまり、対向する鉛直補強板110c,110bとの間に橋軸方向隙間が設けられ、鉛直補強板110bに橋軸方向の一方側(図17の右側)に長方形状に窪む第1凹部110gが設けられていて、鉛直補強板110cに橋軸方向の一方側に長方形状に突出する第1凸部110hが設けられている。これら第1凸部110hと第1凹部110gとは、約0〜1mmの互いの間に樹脂から成る第1緩衝材110jを介装した状態で嵌合している。このため、橋軸方向継手部110Xでは、曲げモーメントは伝達不能であるものの、上下方向のせん断力が伝達可能になっている。こうして、合成床版パネル110A,110Bから成る第4実施形態の床版構造110でも、第1実施形態の床版構造10と同様の作用効果を得ることができる。
以上、本発明に係る床版構造の各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、各実施形態において、各緩衝材10j,10p,110jは樹脂から成るものであったが、ゴムから成るものであっても良く、緩衝材の素材は適宜変更可能である。
また、各実施形態において、嵌合する各凸部10h,10n,10n1,110hと各凹部10g,10m,10m1,110gでは、その断面が長方形状であったが、長方形状に限定されるものではなく、例えば三角形状や台形形状であっても良い。
また、各実施形態において、各凸部10h,10n,10n1,110hと各凹部10g,10m,10m1,110gは、鉛直補強板10b,10c、110b,110c、側鋼板10d,10eに一体的に形成されているものであるが、鉛直補強板10b,10c、110b,110c、側鋼板10d,10eに別体として溶接等で取付けられていても良い。
また、第2実施形態の床版構造10Q及び第3実施形態の床版構造10Rでは、橋軸直角方向に二つのサンドイッチ軽量床版パネル10A1,10A2、10B1,10B2,10C1,10C2が敷設されていたが、橋軸直角方向に三つ以上のサンドイッチ軽量床版パネルが敷設されていても良い。また、第2実施形態及び第3実施形態では、サンドイッチ軽量床版パネル10A1,10A2、10B1,10B2,10C1,10C2に換えて、第4実施形態のような合成床版パネルを適用しても良い。
1,1Q,1R 橋梁
10,10Q,10R,110 床版構造
10A,10B サンドイッチ軽量床版パネル
10A1,10A2,10B1,10B2 サンドイッチ軽量床版パネル
10C1,10C2 サンドイッチ軽量床版パネル
10a,110a 底鋼板
10b,10c,110b,110c 鉛直補強板
10d,10e 側鋼板
10f 上鋼板
10g,110g 第1凹部
10h,110h 第1凸部
10j,110j 第1緩衝材
10m 第2凹部
10n 第2凸部
10p 第2緩衝材
10m1 凹部
10n1 凸部
11 軽量コンクリート
13 ゴムパッキン
17 ナット
18 ボルト
110A,110B 合成床版パネル
10X,110X 橋軸方向継手部
10Y,10Y1 橋軸直角方向継手部
SK1〜SK4 せん断キー構造

Claims (7)

  1. 主桁の上に複数の床版パネルが橋軸方向に敷設され、
    前記各床版パネルには、
    下側に水平状の底鋼板が設けられ、
    前記底鋼板の橋軸方向の両端部に鉛直方向に延びる鉛直補強板が設けられ、
    前記底鋼板と前記鉛直補強板とによって形成される空間にコンクリートが打設されていて、
    橋軸方向に隣り合う床版パネルの橋軸方向継手部は、連結していない床版構造において、
    前記橋軸方向継手部で対向する二つの前記鉛直補強板のうち一方側には、橋軸方向に突出する第1凸部が設けられ、他方側には橋軸方向に窪む第1凹部が設けられていて、
    前記第1凸部と前記第1凹部とは、互いの間に第1緩衝材を介装した状態で嵌合していることを特徴とする床版構造。
  2. 請求項1に記載された床版構造において、
    前記床版パネルと前記主桁との間に、弾性変形可能な弾性部材が介装されていて、
    前記床版パネルには、ボルトを螺着したナットが固定されていて、
    前記ボルトを回転させることで前記床版パネルが上下動すると共に前記弾性部材の弾性変形量が変化することによって、前記床版パネルの高さを調節可能になっていることを特徴とする床版構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された床版構造において、
    前記各床版パネルは、
    上側に水平状の上鋼板を有し、
    前記底鋼板と前記鉛直補強板と前記上鋼板とによって形成される空間に、密度が2000kg/m以下である軽量コンクリートが打設されたサンドイッチ軽量床版パネルであることを特徴とする床版構造。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載された床版構造において、
    前記各床版パネルは、橋軸方向と直交する橋軸直角方向に複数敷設されていて、前記底鋼板の橋軸直角方向の両端部に側鋼板を有していて、
    橋軸直角方向に隣り合う床版パネルの橋軸直角方向継手部は、連結しておらず、
    前記橋軸直角方向継手部で対向する二つの前記側鋼板のうち一方側には、橋軸直角方向に突出する第2凸部が設けられ、他方側には橋軸直角方向に窪む第2凹部が設けられていて、
    前記第2凸部と前記第2凹部とは、互いの間に第2緩衝材を介装した状態で嵌合していることを特徴とする床版構造。
  5. 主桁の上に複数の床版パネルが橋軸方向と直交する橋軸直角方向に敷設され、
    前記各床版パネルには、
    下側に水平状の底鋼板が設けられ、
    前記底鋼板の橋軸直角方向の両端部に鉛直方向に延びる側鋼板が設けられ、
    前記底鋼板と前記側鋼板とによって形成される空間にコンクリートが打設されていて、
    橋軸直角方向に隣り合う床版パネルの橋軸直角方向継手部は、連結していない床版構造において、
    前記橋軸直角方向継手部で対向する二つの前記側鋼板のうち一方側には、橋軸直角方向に突出する凸部が設けられ、他方側には橋軸直角方向に窪む凹部が設けられていて、
    前記凸部と前記凹部とは、互いの間に緩衝材を介装した状態で嵌合していることを特徴とする床版構造。
  6. 請求項5に記載された床版構造において、
    前記床版パネルと前記主桁との間に、弾性変形可能な弾性部材が介装されていて、
    前記床版パネルには、ボルトを螺着したナットが固定されていて、
    前記ボルトを回転させることで前記床版パネルが上下動すると共に前記弾性部材の弾性変形量が変化することによって、前記床版パネルの高さを調節可能になっていることを特徴とする床版構造。
  7. 請求項5又は請求項6に記載された床版構造において、
    前記各床版パネルは、
    上側に水平状の上鋼板を有し、
    前記底鋼板と前記側鋼板と前記上鋼板とによって形成される空間に、密度が2000kg/m以下である軽量コンクリートが打設されたサンドイッチ軽量床版パネルであることを特徴とする床版構造。
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