JP2016044126A - 次世代型フラグメント抗体作製用dnaライブラリの作製方法、その方法を用いて作製されたライブラリ、及び次世代型フラグメント抗体 - Google Patents

次世代型フラグメント抗体作製用dnaライブラリの作製方法、その方法を用いて作製されたライブラリ、及び次世代型フラグメント抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】 完全合成型の次世代型フラグメント抗体作製用DNAライブラリの作製方法、その方法を用いて作製されたライブラリ、及びそのライブラリに含まれるDNAを使用した完全合成型の次世代型フラグメント抗体を提供することを目的とする。【解決手段】 ラクダ科動物の抗体の重鎖中にある相補性決定領域を少なくとも1つ含む、複数のDNA断片それぞれに所望の変異を導入し、これらを連結して修飾二本鎖DNAを合成する。ついで、これらをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させ、mRNA-リンカーを調製後にこれらを無細胞翻訳系にて翻訳し、得られたmRNA-変異導入抗体を固定化した後に逆転写を行なってcDNAディスプレイを行ない、セレクションを行なう次世代型フラグメント抗体の作製方法を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、次世代型フラグメント抗体作製用DNAライブラリ、その作製方法、及びその次世代型フラグメント抗体に関する。
より詳細には、ラクダ科動物の軽鎖を持たない特殊な抗体に変異を導入した、完全合成型の次世代型フラグメント抗体作製用DNAライブラリの作製方法、その方法を用いて作製されたライブラリ、及びそのライブラリに含まれるDNAを使用した完全合成型のフラグメント抗体に関する。
抗体は、通常、2本の軽鎖と2本の重鎖とで構成されるヘテロ4量体構造の分子であり、ヒトをはじめとする多くの動物に共通する。軽鎖と重鎖とは、それぞれ免疫グロブリンドメインによって構成されており、軽鎖には、VL及びCLと呼ばれる2つのドメインがあり、重鎖には、VH、CH1、CH2、及びCH3と呼ばれる4つのドメインがある。抗体は非常に多様であり、種々の抗原と反応するが、そうした多様性は、軽鎖と重鎖との可変領域の組み合わせによって生じるため、この点が非常に重要である。このため、抗体は、軽鎖と重鎖とで構成されるものであると考えられてきた。
しかし、1993年にHamers-Castermanらにより、偶蹄目である、フタコブラクダ、ヒトコブラクダ、及びラマ等のラクダ科動物(以下、集合的に「ラクダ科動物」という。)の血液中に、重鎖のみからなる抗体(重鎖抗体(Heavy-chain antibody)、以下、「ラクダ抗体」ということがある。)が、大量に存在することが発見された。すなわち、ラクダ科の動物の血清中には、重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)とを有するヘテロ4量体構造の抗体分子の他に、重鎖のみの2量体構造の抗体分子が存在していたのである(Nature, Vol. 363, No. 6428, pp. 446-448(1993))。
ヘテロ4量体の抗体分子の場合、重鎖と軽鎖とが接触する部分は疎水性のアミノ酸である。しかし、ラクダ抗体の場合には、この部分が親水性のアミノ酸残基に変異している。これは、ラクダ抗体のVHドメインが、構造的に軽鎖と疎水的相互作用をするが必要ないことによる。このため、ラクダ抗体(重鎖2量体IgG)は溶解性が高く、通常使用される緩衝液中で、10mg/mL程度までは凝集を生じさせずに濃縮することができる。この濃度は、マウスのVH(シングルドメイン抗体;Wardら、Nature, Vol. 341, No. 6242, 544-546(1989))の溶解度の約100倍に当たる。
ラクダ抗体でも、他の動物由来の抗体と同様に、VH又はVHH領域中に存在する3つのCDR(相補性決定領域、complementary determining region)、CDR1、CDR2及びCDR3によって決定される。しかし、マウスのVHのCDR3が平均9アミノ酸であるのに対し、ラクダ科動物のCDR3は平均16アミノ酸と長く、また、他の2つのCDR(CDR1及びCDR2)に比べても長いという点に特徴的があることが知られている(Protein Engineering, 7(9):1129-35, 1994)。
また、ラクダ抗体のVHHは、マウスのヘテロ4量体抗体と比べて、非常に熱安定性が高く、90℃でも抗原との結合能を保持している分子が提供され得る(Biochim Biophys Acta, Vol. 1431(1);37-46,1999)。また、VHHの抗原認識部位(パラトープ)の形状は、通常の抗体とは異なって、酵素の活性部位の溝に突き刺さるように結合できるため、酵素の活性を阻害する抗体(中和抗体)として機能し得ることが知られている。
そして、この抗体は、抗原に結合できる免疫グロブリンフラグメントとしては最も低分子量であるため、生産が簡便であり、取り扱いが容易であるといった理由から、その利用を目指した研究が活発に進められてきた。
こうしたラクダ抗体のライブラリを作製するために、ヒトコブラクダ由来のVH遺伝子を、所定のプライマーセットを用いて取得し、PCRで増幅させ、ファージディスプレイを用いるという技術がある(以下、「従来技術1」という。)。
特許4213586号公報
Nature, Vol. 363, No. 6428, pp. 446-448(1993) Nature, Vol. 341, No. 6242, pp. 544-546(1989) Biochim Biophys Acta, Vol. 1431(1); 37-46, 1999 Protein Engineering, 7(9):1129-35, 1994
以上のように、ヘテロ4量体の抗体分子は、分子量が約150kDaと大きく、動物細胞による製造が必須であり、熱安定性が低く、タンパク質工学による改変が難しいといった問題がある。さらに、ヘテロ4量体の抗体分子をナノデバイスに応用する場合を考えると、こうした抗体分子は、外部環境に対する安定性が低いほか、配向性の調節が難しく、分子量の大きさから、高度集積ができないといった問題点がある。
これに対し、ラクダ抗体は、分子量が小さく、熱安定性も高く、タンパク質工学による改変も、抗体分子に比べれば容易に行うことができるという利点を有している。
ラクダ抗体のライブラリ作製法としての従来技術1は、ファージディスプレイ法を用いており、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)や乳酸脱水素酵素(LDH)等を認識できるライブラリを構築したという点では優れた方法である。
しかし、GSTは分子量が約25,000、LDHは分子量が約140,000という高分子であり、分子量1,000以下の低分子化合物を認識できないという問題点がある。
すなわち、上記のような利点を有するラクダ抗体であっても、例えば、分子量が1,000以下の低分子化合物を認識し、特異的に結合することができないという問題点は、依然として残されているのである。
こうした低分子化合物の中には、例えば、抗菌剤や抗生物質等の薬剤として用いられるものがある。そして、こうした薬剤は、食肉用の動物を飼育する過程で、病気の予防や治療のために投与されるが、投与された抗生物質等が、肉や牛乳等にどの程度残存しているかを調べることは、非常に時間と手間がかかるため、鮮度が落ちる前に分析することはできないという問題がある。このため、こうした薬剤を迅速かつ簡便に検出することについての強い社会的要請がある。
本願発明は、以上のような状況の下で完成されたものであり、ラクダ科動物の軽鎖を持たない特殊な抗体に変異を導入した、完全合成型の次世代型フラグメント抗体作製用DNAライブラリの作製方法、その方法を用いて作製されたライブラリ、及びそのライブラリに含まれるDNAを使用した完全合成型の次世代型フラグメント抗体を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、(a)ラクダ科動物の抗体の重鎖中に存在する相補性決定領域を少なくとも1つ含む、複数のDNA断片のそれぞれに所望の変異を導入する変異導入工程と;(b)上記変異を導入した各断片を連結し、変異導入二本鎖DNAを合成する断片連結工程と;(c)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;(d)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;
(e)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;(f)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;(g)前記cDNAディスプレイから、抗体コード領域のC末端側の融合タンパク質による親和性セレクションにより、変異導入抗体をコードするDNAをセレクションするセレクション工程と;(h)前記セレクション工程で得られた前記変異導入抗体をコードするDNAをPCRで増幅させる増幅工程と;を備える、次世代型フラグメント抗体をコードするDNAライブラリを作製するためのライブラリの作製方法である。
ここで、前記(h)の増幅工程は、(h1)前記断片連結工程で得られた二本鎖DNA断片の両末端に、所望の一本鎖DNA断片をつけて伸長させる伸長工程と;(h2)前記伸長工程で得られた伸長されたDNA断片をPCRで増幅させて、伸長されたcDNAを作製する、伸長cDNA作製工程と;からなることが好ましい。また、前記変異導入工程で、前記相補性決定領域1に導入される変異は、配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列であり、前記相補性決定領域2に導入される変異は配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列であることが好ましい。
PANDSDTLL・・・配列番号1
LSSNALAI・・・配列番号2
さらに、前記変異導入工程で、前記相補性決定領域3に導入される変異は配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列であることが好ましい。
NTKNISYYTNKAS・・・配列番号3
HSDATSNSTLDAP・・・配列番号4
前記複数の断片は、相補性決定領域を含む2つの断片と、前記2つの断片の末端と相補的に結合する2つの断片とを含むことが好ましい。前記相補性決定領域を含む2つの断片の一方は、2つの相補性決定領域を含むことが好ましい。さらに、前記ディスプレイ工程における固相からの遊離は、リンカーに組み込まれた特定の配列を酵素で開裂させることによって行うことが好ましい。
前記特定の配列は、リボG及びイノシン(I)からなる群から選ばれる配列であり、前記酵素はリボヌクレアーゼ及びEndonuclease Vからなる群から選ばれる酵素であることが好ましい。また、前記mRNA-変異導入抗体を固定する固相は、アビジン又はストレプトアビジンを固定化したものであることが好ましい。
前記親和性セレクションは、前記cDNAディスプレイを、分子量1,000以下の低分子を固定した磁性粒子と反応させることによって行うことが好ましく、前記分子量1,000以下の低分子は、抗生物質であることが好ましい。ここで、前記抗生物質は、β−ラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、及びポリエン系からなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましい。また、前記β−ラクタム系抗生物質は、ペニシリン系、セフェム系及びモノバクタム系からなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましい。
さらにまた、前記ペニシリン系抗生物質は、ペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、タランピシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、ペントシリン及びスルタミシリンからなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記ライブラリの作製方法によって作製された次世代型フラグメント抗体をコードするDNAライブラリである。
本発明の第3の態様は、(a)ラクダ科動物の抗体の重鎖中に存在する相補性決定領域を少なくとも1つ含む、複数のDNA断片のそれぞれに所望の変異を導入する変異導入工程と;(b)上記変異を導入した各断片を連結し、変異導入二本鎖DNAを合成する断片連結工程と;(c1)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;(d1)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;(e1)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;
(f)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;(g)前記cDNAディスプレイから、抗体コード領域のC末端側の融合タンパク質による親和性セレクションにより、変異導入抗体をコードするDNAをセレクションするセレクション工程と;(h)前記セレクション工程で得られた前記変異導入抗体をコードするDNAをPCRで増幅させる増幅工程と;
(c2)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;(d2)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;(e2)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;と備える、mRNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法である。ここで、「変異導入抗体」とは、上述したような変異を含む二本鎖DNAに対する抗体を意味する。前記変異導入工程で、前記相補性決定領域1に導入される変異は配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列であり、前記相補性決定領域2に導入される変異は配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列であることが好ましい。
PANDSDTLL・・・配列番号1
LSSNALAI・・・配列番号2
さらに、前記変異導入工程で、前記相補性決定領域3に導入される変異は配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列であることが好ましい。
NTKNISYYTNKAS・・・配列番号3
HSDATSNSTLDAP・・・配列番号4
前記複数の断片は、相補性決定領域を含む2つの断片と、前記2つの断片の末端と相補的に結合する2つの断片とを含むことが好ましく、前記相補性決定領域を含む2つの断片の一方は、2つの相補性決定領域を含むことが好ましい。
本発明の第4の態様は、(a)ラクダ科動物の抗体の重鎖中に存在する相補性決定領域を少なくとも1つ含む、複数のDNA断片のそれぞれに所望の変異を導入する変異導入工程と;(b)上記変異を導入した各断片を連結し、変異導入二本鎖DNAを合成する断片連結工程と;(c1)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;(d1)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;
(e1)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;(f1)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;(g)前記cDNAディスプレイから、抗体コード領域のC末端側の融合タンパク質による親和性セレクションにより、変異導入抗体をコードするDNAをセレクションするセレクション工程と;
(h)前記セレクション工程で得られた前記変異導入抗体をコードするDNAをPCRで増幅させる増幅工程と;(c2)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;(d2)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;(e2)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;(f2)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;を備える、cDNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法である。
前記変異導入工程で、前記相補性決定領域1に導入される変異は配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列であり、前記相補性決定領域2に導入される変異は配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列であることが好ましい。
PANDSDTLL・・・配列番号1
LSSNALAI・・・配列番号2
また、前記変異導入工程で、前記相補性決定領域3に導入される変異は配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列であることが好ましい。
NTKNISYYTNKAS・・・配列番号3
HSDATSNSTLDAP・・・配列番号4
前記複数の断片は、相補性決定領域を含む2つの断片と、前記2つの断片の末端と相補的に結合する2つの断片とを含むことが好ましく、前記相補性決定領域を含む2つの断片の一方は、2つの相補性決定領域を含むことが好ましい。
本発明のライブラリ作製方法によれば、次世代型フラグメント抗体をコードするDNAライブラリを効率よく作製することができる。また、この方法によれば、分子量が1,000以下の低分子に対する高分子と結合し得る次世代型フラグメント抗体をコードするDNAライブラリを効率よく作製することができる。
また、上記ライブラリ作製方法をベースとして、mRNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体及びcDNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体を、効率よく作製することができる。
図1は、従来の抗体とラクダ抗体との構造の差異を示す模式図である。 図2は、配列番号3及び5で表される断片中に含まれる、混合塩基の出現頻度を示すグラフである。 図3は、VHHをコードしたライブラリDNAの構築手順を示す模式図である。 図4は、VHHをコードしたライブラリDNAを各セレクションで得られた溶出物の溶出パターンを示す図である。図中、実線、破線、一点鎖線及び二点鎖線は、それぞれ、グアニン、アデニン、シトシン、及びチミンを示す。 図5は、アンピシリン固定化磁性体ビーズ又はカルボキシル基磁性体ビーズを用いた場合の反応の模式図及び電気泳動パターンを示す図である。 図6は、ピューロマイシンリンカーを用いた in vitroセレクションの工程を示す模式図である。 図7は、アンピシリン固定化磁性体ビーズを用いた場合の、取得クローンのcDNAディスプレイとの反応を示す模式図及び電気泳動パターンを示す図である。 図8は、本発明の方法で得られたmRNAディスプレイ及び連結サンプルのゲル電気泳動パターンを示す図である。 図9は、終止コドンが出現する配列を除去する場合の手順及びその結果を示す電気泳動パターンを示す図である。
以下に、本発明の態様を図1〜図9を参照しつつ、説明する。
本明細書中、「次世代型フラグメント抗体」とは、重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)とを有するヘテロ4量体構造の抗体分子ではなく、重鎖のみの2量体の抗体分子(ラクダ抗体)をいう。そして、このラクダ抗体は、重鎖と軽鎖とが接触する部分が疎水性のアミノ酸ではなく、親水性のアミノ酸残基に変異したものである。
(1)VHHをコードしたDNAライブラリの作製
VHHをコードしたDNAライブラリは、下記のようにして作製することができる。
まず、cDNAディスプレイ用コンストラクト用の断片の作製について説明する。(a)化学合成可能な鎖長であること、(b)ハイブリダイズする各領域のTM(融解温度)が約60℃以上となるようにコンストラクト用断片を設計することが、後述するフルコンストラクトを作製する上で好ましく、約60℃以上となるようにすることがさらに好ましい。
例えば、DNAポリメラーゼとDNAリガーセとを用いてDNAを連結させる方法と、オーバーラップエクステンション法を組み合わせて、後述するF1〜F6(配列表の配列番号5〜10)の合成DNAを作成し、これらを使用することができる。T4 DNAポリメラーゼとT4 DNAリガーセとを使用することが、作製効率の点から好ましい。これらの合成DNA断片は、後述するような混合塩基を含むものとすることができる。また、これらの合成断片の5’末端がリン酸基等で修飾されていてもよい。
次に、フルコンストラクトDNAを調製する。まず、上記配列表の配列番号1〜4に示す合成DNA断片を、例えば、終濃度を0.60〜0.70μMとし、終濃度を0.2〜0.3mMとするdNTPを含むT4 DNAポリメラーゼバッファと混合し、アニーリングを行ってアニール産物を得る。このアニール産物に、例えば、T4 DNAポリメラーゼ及びT4 DNAリガーゼを加えて、35〜39℃で45〜90分間さらにインキューベションを行うことにより、連結産物を得ることができる。
ここで、T4 DNAポリメラーゼとしては、例えば、TaKaRa社製のものを購入し、終濃度0.0.5〜0.2%として使用することができる。アニーリング条件は、例えば、85〜95℃で20〜60秒、次いで、50〜70℃で0.5〜2分、その後、20〜30℃に冷却とすることが好ましい。また、T4 DNAリガーゼとしては、例えば、TaKaRa社製のものを購入して、終濃度を5〜10U/μLとし、35〜39℃で45〜90分間、さらにインキューベションを行うことにより、連結産物を得ることができる。
上記の連結産物を、例えば、5〜10Mの尿素変性4〜8%のPAGEにて泳動し、F2〜F5が連結したDNA産物(例えば、395mer)を切出して、精製することができ。続いて、精製したDNA産物を、50〜200μLのPCR反応液に加え、PCRプログラムを行うことにより、増幅させることができる。
ここで、PAGEとしては、例えば、ATTO、AE-6510 レゾルマックス二連ミニスラブを使用することができる。その後、精製したDNA産物を加える反応液としては、例えば、0.1〜0.4mMのdNTPs、4〜12μMのF1、4〜12μMのF6、及び0.01〜0.05U/μLのDNAポリメラーゼを含む1xPrimeSTARバッファ(Mg2+)を使用することができる。ここで使用するDNAポリメラーゼとしては、例えば、TaKaRa社のPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼを挙げることができる。PCRプログラムは、例えば、
(a)92〜96℃(1〜3分)
(b)92〜96℃(5〜45秒)
(c)50〜70℃(2〜10秒)
(d)65〜80℃(20〜40秒)
(e)65〜80℃(1〜3分)
とし、ステップ(b)〜(d)を6〜10サイクル行うことが、十分な増幅産物を入手できる点から好ましい。
次に、上記PCR反応溶液を、4〜12Mの尿素変性3〜9%のPAGEにて泳動し、F1〜F6が連結したフルコンストラクトDNA(例えば、520〜560mer)を切出して精製することができる。最後に、精製したフルコンストラクトDNAを、100〜400μLのPCR反応液と混合し、25〜100μLずつ、0.1〜0.5mL用のチューブに分注し、以下のPCRプログラムを行って増幅させることができる。
ここで使用するPAGEとしては、例えば、上記と同様ゾルマックス二連ミニスラブを使用することができる。精製したフルコンストラクトDNAを添加するPCR反応液としては、例えば、1xPrimeSTARバッファ(Mg2+)に、0.1〜0.5mMのdNTPs、及び0.2〜0.6μMのNewleft、0.2〜0.6μMのNewYtag、0.01〜0.05U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼを加えたものを使用することができる。上記Newleftとしては、例えば、配列:5’-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGG-3’:配列番号11と使用することができ、NewYtagとしては、例えば、配列:5’-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCT-3’:配列番号12を使用することができる。また、DNAポリメラーゼとしては、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼを使用することが好ましい。分注するチューブとしては、例えば、Thin-walled Tubes with Flat Caps(Thermo scientific社製)を使用することができる。PCRプログラムは、上記と同様である。
以上のPCR増幅で得られた二本鎖としたフルコンストラクトDNAであるPCR産物をまとめて、スピンカラムを用いて精製することができる。この溶出液から50〜100μLをとり、ここにNuclease-free waterを80〜180μLで加え、さらに共沈剤を1/20〜1/5倍量添加してエタノール沈殿させることが好ましい。その後、10〜30μLのNuclease-free waterに溶解させ、−20℃でストックすることができる。
上記精製には、例えば、FavorPrep PCR Clean-Up Mini Kit(Favorgen社製)を用いることができる。得られた溶出液に加えるNuclease-free waterは、例えば、上記Kitに付属している製品を使用することができる、また、共沈剤としては、例えば、Quick-Precip Plus Solution, EdgeBioを使用することができる。以上のようにして得られたVHHのフルコンストラクトDNAの塩基配列の例としては、例えば、配列表の配列番号13を挙げることができる。
(2)完全長VHHをコードしたライブラリDNAの選別
挿入、欠損等によるフレームシフト又は終止コドンの出現により不完全なVHHがコードされたDNAを除去するために、得られたVHHをコードしたライブラリを、一旦、cDNAディスプレイ化し、His-tagによる精製を行う。この精製は、以下のような手順でおこなうことができる。
(2−1)ライブラリDNAの転写
転写は、市販のキット及び上記のようにして得たフルコンストラクトを用いて行ってもよい。所定の条件でインキュベートを行なった後に、市販のキットを用いて合成されたmRNAを精製する。例えば、プロメガのキット(RiboMAX Large Scale RNA Production Systems−T7)を使用して、付属のプロトコルに従い、1〜5pmolのdsDNA(上記のフルコンストラクト)を用いて、適当なスケール、例えば、20μLのスケールで転写を行う。例えば、35〜39℃で1〜3時間インキューベションした後に、上記キットに付属するDNase(RQ1 DNase)をこの系に0.5〜2μL加え、さらに35〜39℃で10〜30分間インキュベートすることにより、mRNAが合成される。合成されたmRNAは、例えば、After Tri-Reagent RNA Clean-Up Kit(Favogen)を使用して精製することができる。
転写によって得られたmRNAに、所定の量のピューロマイシンリンカーDNAと、所定の濃度のバッファ、例えば、10xT4 RNAリガーゼバッファ、及び0.05〜2% BSAとを加え、さらにNuclease-free waterを加えて、所望の合計量となるように調製する。85〜95℃で0.5〜2分間インキュベートした後に、65〜75℃で0.5〜2分間インキュベートし、0.02〜0.06℃/秒の速さで約20〜27℃まで降温させる。所望量のT4ポリヌクレオチドキナーゼ及びT4 RNAリガーセ、例えば、4〜6μLのT4 ポリヌクレオチドキナーゼ及び8〜12μLのT4 RNAリガーゼを加えて、約23〜27℃で、0.5〜2時間インキュベートすることができる。
使用するmRNAの量は、約100〜300pmolとすることが、反応効率の面から好ましい。また、ピューロマイシンリンカーDNAは、例えば、Short Biotin-segment Puromycin (SBP)-linker)を使用することがcDNAディスプレイの収率が良いために好ましく、使用量は約mRNAの1.2倍とすることが、効率よくmRNAとライゲーションさせることができ、次のステップ(mRNA-タンパク質連結体の調製)を阻害しないために好ましい。
ここで、2つのセグメント(ピューロマイシンセグメント(PS)と短いビオチンセグメント(SBS))をピューロマイシン-リンカーは、EMCS(N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド)を用いて、化学架橋させて合成する。最終的なコンストラクトは、mRNAのライゲーション部位、逆転写用のプライマー領域、mRNA-ピューロマイシン結合体を固相表面へビオチン−ストレプトアビジンの結合を利用して固定するためのビオチン部位、及び固相からmRNA/cDNAタンパク質融合体を遊離させるためのRNase T1用の2つの部位という、4つの部分を含む。さらに、このリンカーは、発現されたタンパク質をmRNAに共有結合させるためのピューロマイシン及び検出と定量のためのFITCとを含む。
使用するバッファは、10xT4 RNAリガーゼバッファとすることがT4 RNAリガーゼの活性に至適であるためにから好ましく、また、使用量は反応スケールの1/10倍量とすることが好ましい。上記BSAの使用量は、約0.006%とすることが好ましい。Nuclease-free waterとしては、合計量を1μLのNuclaease-free waterに1〜2pmolのmRNAが入るように調整することが効率よくライゲーションを行えるために好ましい。上記のT4ポリヌクレオチドキナーゼ及びT4 RNAリガーゼは、いずれも、例えば、TaKaRa社製のものを使用することができる。
(2−2)翻訳
次に、上記のようにして得たmRNA−リンカー連結体を、所望のスケールの無細胞翻訳系で翻訳する。翻訳は、mRNA−リンカー連結体を、所望の量でチューブに分注し、25〜35℃で、10〜30分間行うことができる。その後、MgCl2及びKClを、それぞれ、終濃度が50〜100mM及び750〜1,100mMとなるように加え、35〜39℃で0.5〜2時間インキュベートすることにより、翻訳産物であるmRNA−タンパク質連結体を得ることができる。
使用するmRNA−リンカー連結体の量は、150〜250pmolとすることが好ましく、無細胞翻訳系のスケールは、25μLの無細胞翻訳系に2.5pmol分のmRNA−リンカー連結体を加えた場合のボリュームとすることがmRNA−タンパク質連結体の形成効率が良いことから好ましい。上記無細胞翻訳系としては、Retic Lysate IVT Kit(Ambion社製)を挙げることができる。翻訳に際して、mRNA−リンカー連結体を、25〜50μLずつ、例えば、Protein LoBindチューブ(エッペンドルフ社製)に分注することができる。
(2−3)逆転写
以上のようにして得られた翻訳産物が入っているチューブの内容物が所望の量となるように、例えば、各チューブを5本分ずつまとめる。まとめた後の各チューブに、50〜100μLの0.25〜0.75MのEDTA(pH 7.8〜8.3)、450〜520μLの2X結合バッファを加えて、2〜6℃で5〜15分間インキュベートすることで、mRNA−タンパク質連結体に結合しているリボソームを除去する。濃度の異なる結合バッファでDynabeads MyOne C1 Streptavidinを予め洗浄する。新しいチューブ、例えば、新しい1.75mLチューブ、を所望の本数、例えば、6本用意し、ここに洗浄済みの100〜200μLの上記ビーズ及び900〜1,050μL分の上記の翻訳産物(mRNA−タンパク質連結体)を加え、冷却サーモブロックローテーターを用いて、10〜25℃で10〜30分撹拌する。
以上のようにして得られた翻訳産物は、例えば、5本分ずつまとめて、400μLのチューブ6本とする。上記結合バッファとして、2x結合バッファ(1〜3MのNaCl、1〜3mMのEDTA、0.1〜0.5%のTween-20を含む10〜30mMのTris-HCl(pH7.2〜7.8))を使用することがストレプトアビジン磁性粒子への非特異的吸着を減らす理由から好ましい。Dynabeads MyOne C1 Streptavidinの洗浄に使用する結合バッファは、1x結合バッファとすることが非特異的吸着をしている夾雑物の洗浄に適しているために好ましい。
以上のようにして得られたDynabeads MyOne C1 Streptavidinを、100〜200μLの1X結合バッファで適宜洗浄しつつ、所望の本数のチューブ、例えば、合計6本のチューブに、それぞれまとめる。逆転写は、市販のキット及びこのキットに付属しているプロトコルに従って、所望のスケールで行うことができる。冷却サーモブロックローテーターを使用して、40〜45℃で30〜60分間撹拌する。
上記で使用するチューブは、上述した1.75mLチューブとすることができる。得られたDynabeads MyOne C1 Streptavidinを、1mL分までまとめることができる。逆転写には、例えば、ReverTra Ase(東洋紡社製)を用いることができ、400〜500μL分のDynabeadsに対して200〜250μLのスケールで行うことができる。
(2−4)磁性体ビーズ上からの回収
所定量、例えば、400〜500μLの1xHis-tag結合バッファでDynabeadsを洗浄した後に、500〜1,500UのRNase T1を含む200〜250μLの1xHis-tag結合バッファを加え、35〜39℃で5〜15分間インキュベートする。上清を回収し、この操作を所望の回数繰り返す。以上の操作を、各チューブに含まれているDynabeadsに対して順番に行うことで、mRNA/cDNA−タンパク質を所望のスケール、例えば、400〜500μLに回収することができる。上記1xHis-tag結合バッファは、10〜30mMのリン酸バッファ(pH7.2〜7.6)、0.2〜0.7MのNaCl、及び0.02〜0.07%のTween20を含むことがNi-NTAHis-tag付き磁性粒子の添付資料で推奨されている。
(2−5)His-tagによる精製
Ni-NTA付きの磁性粒子を、1xHis-tag結合バッファで洗浄する。上記のように回収したmRNA/cDNA−タンパク質サンプルから所望の量、例えば、400〜500μLを取り、ここに、上記のように洗浄した上記磁性粒子所望の量、例えば、25〜100μLで加え、冷却サーモブロックローテーターを使用して、5〜15℃で2〜4時間撹拌し、mRNA/cDNA−タンパク質を上記磁性粒子に結合させる。この磁性粒子を、所望の量、例えば、50〜150μLの1xHis-tag結合バッファで適宜洗浄する。その後、溶出バッファを、例えば、20〜30μLを室温で10〜20分撹拌する。同様の操作を繰り返し、所望量、例えば、合計25〜75μLの溶出バッファをエタノール沈殿に供する。
上記磁性粒子としては、His Mag Sepharose Ni(GE healthcare社製)を使用することが好ましいが、他のNi-NTAの磁性体ビーズを使用することもできる。上記溶出バッファとしては、25〜75mMのTris-HCl(pH7.2〜7.7)、0.5〜1.5MのNaCl、2〜8mMのEDTA、0.05〜0.2%のTween-20を使用することが、添付資料で推奨されている。上記撹拌には、例えば、マイクロチューブミキサー(トミー精工社製、MT-360)を使用することができる。また、共沈剤としては、例えば、Quick-Precip Plus Solution(Edge Bio社製)を使用することができる。
(2−6)cDNAディスプレイ分子からのフルコンストラクトDNA調製
エタノール沈殿させたcDNAディスプレイ分子を、所望量、例えば、100μLのPCR反応液に加え、以下のPCRプログラムを行って増幅させることができる。PCRプログラムは、
(a)92〜96℃(1〜3分)
(b)92〜96℃(10〜20秒)
(c)63〜73℃(2〜10秒)
(d)67〜77℃(20〜50秒)
(e)67〜77℃(1〜3分)
とし、ステップ(b)〜(d)を、10サイクル行うことができる。上記PCR反応液としては、例えば、0.1〜0.5mMのdNTPs、4〜12μMのF1、4〜12μMのNewYtag to HGGS-R、0.01〜0.05U/μLのPrimeSTAR HS DNA polymeraseを含む1xPrimeSTARバッファ(Mg2+)を使用することができる。また、上記NewYtag to HGGS-Rは、配列表の配列番号14に記載のものを使用することができる。
PCR産物を5〜10Mの尿素変性2〜8%PAGEにて泳動し、フルコンストラクトDNA(例えば、541mer)を切出して精製する。精製したフルコンストラクトDNAを、所望の量、例えば、200μLのPCR反応液に加え、所望の量、例えば、25〜75μLずつチューブ中に分注した後、以下のPCRプログラムを行うことが、サブバンドが現れないことから好ましい。PCRプログラムは、
(a)92〜96℃(1〜3分)
(b)92〜96℃(10〜20秒)
(c)63〜73℃(2〜10秒)
(d)67〜77℃(20〜50秒)
(e)67〜77℃(1〜3分)
とし、ステップ(b)〜(d)を4〜10サイクル行う。
上記PCR反応液は、0.1〜0.4mMのdNTPs、0.2〜0.6μMのNewleft、0.2〜0.6μMのNewYtag、0.01〜0.04U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼを含む1xPrimeSTARバッファ(Mg2+)とすることが好ましい。ここで、Newleft及びNewYtagは、上述したとおりである。以上のPCR増幅で得られた二本鎖フルコンストラクトDNA(PCR産物)は、上記と同様に処理し、−20℃にストックする。
(2−7)クローニング
上述したHis-tagによる精製を行った後に、VHH DNAライブラリのクォリティ(完全長VHHがコードされたDNAがどの程度含まれているか)を調べるために、上記ライブラリDNAのクローニングおよびシーケンシング解析を行う。まず、ライブラリDNAを、例えば、pGEM-T easy Vector (Promega社製)へライゲーションし、これを用いて市販の細胞を形質転換する。所望の数のクローンをピックアップして、シーケンシング解析を行う。形質転換には、例えば、Competent high DH5α(東洋紡社製)使用することができ、培養条件は、35〜39℃、終夜とすることができる。シーケンシング解析は、業者に依頼することもできる。
(3)cDNAディスプレイ法によるアンピシリン結合VHHのセレクション
(3−1)cDNAディスプレイ分子の調製
上記のようにして作製したVHHコードライブラリDNAから、cDNAディスプレイを作製する。この作製では、上述した完全長VHHをコードしたライブラリDNAの選別に記した手順に準じて調製を行うことが、純度の高いライブラリ作製の観点からから好ましい。上述した完全長VHHをコードしたライブラリDNAの選別との相違点は以下の2点とすることが、効率的なスクリーニングをする上で好ましい。
(a)セレクションラウンド1では、所望の量、例えば、80〜120pmolのmRNA-リンカー連結体を投入し、その後の各調製ステップを適宜スケールダウンして行う。
(b)セレクションラウンド2〜6で使用するmRNA-リンカー連結体から調製したcDNAディスプレイ分子の量は、セレクションラウンド1の約1/3、約1/8、約1/16のように減少させる。
(3−2)アンピシリン固体化磁性ビーズの調製
(3−2−1)アンピシリン固定化粒子充填カラムの調製
cDNAディスプレイ分子ライブラリ中から、アンピシリンに結合するcDNAディスプレイ分子を分離するために、アガロース磁性ビーズにアンピシリンを固定化したアンピシリン固定化ビーズを調製し、このビーズを充填したカラムを作製する。
所望のカラムにカラムボリューム(CV)が、200〜400μLになるように、上記のアガロース磁性ビーズを充填する。次いで、CVの8〜15倍量の0.5〜2mMの冷却HClでこのカラムを洗浄する。その後、300〜600μLのリガンド溶液をこのカラムに流し込み、室温で3〜45時間、インキュベートする。ここで使用するアガロース磁性ビーズとしては、NHS-活性化セファロース 4 Fast Flowを、また、カラムとしては、MicroSpin Empty Columns (いずれも、GE healthcare社)を挙げることができる。上記リガンド溶液としては、例えば、25〜75μMのアンピシリン、0.1〜0.5MのNaHCO3、0.2〜1.0MのNaCl(pH 8.0〜8.6)を使用することができる。
さらに未反応の活性基を除去するために、200〜600μLの未反応活性基除去溶液をこのカラム中に流し込み、室温で0.5〜2時間、インキュベートする。次いで、0.05〜0.2MのTris-HClバッファ(pH 8.3〜8.6)と0.2〜1MのNaClを含む酢酸バッファ(pH 4.8〜5.2)とを、それぞれCVの2〜4倍量で交互に所望の回数、例えば、3回流し込み、このカラムの洗浄を行う。最後に、CVの10倍量以上のセレクションバッファを用いてこのカラムの平衡化を行う。以上のようにして作製したカラムは、使用するまで4℃で保存する。
ここで使用する未反応活性基除去溶液は、例えば、0.25〜0.75Mのエタノールアミン、0.1〜0.4MのNaHCO3、0.25〜0.75MのNaCl(pH 8.1〜8.5))とすることができる。また、上記セレクションバッファは、例えば、0.5〜2MのNaCl、0.5〜1.5mMのEDTA、及び0.05〜0.2%のTween-20を含む25〜75mMのTris-HCl(pH 7.2〜7.6)とすることができる。
(3−2−2)標的化合物固体化磁性ビーズの調製
以下に、標的化合物固定化磁性体ビーズの作製手順を例に挙げて説明する。
水溶性カルボジイミド(Water Soluble Carbodiimide, WSC)を用いたカップリング反応により、磁性粒子上に標的化合物を固定化する。磁性粒子として、Dynabeads M270 carboxylic acid (COOH)を使用することがcDNAディスプレイ分子の非特異的吸着が少ない理由から好ましい。標的化合物としては、β−ラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、及びポリエン系からなる群から選ばれるいずれかの化合物を挙げることができる。
ここで、上記抗生物質は、β−ラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、及びポリエン系からなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましく、前記ペニシリン系抗生物質は、ペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、タランピシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、ペントシリン及びスルタミシリンからなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましい。
所望の量、例えば、30〜60μL分の上記磁性粒子を、所望のチューブ、例えば、1.75mLチューブに分注し、カルボキシル基の活性化の前に、25〜75μLのDMFでこれらを適宜洗浄する。カルボキシル基の活性化は、DMFに溶解したWSC(20〜50mg/mL)を加え、シェーカーを用いて、室温で15〜45分間振盪することにより行うことができる。
活性化反応後、上記と同量のDMFで所望の回数、上記の磁性粒子を洗浄し、その後、0.4〜0.8mg/mLになるようにアンピシリンを溶解させたDMFを加え、室温にて0.5〜2時間撹拌する。活性基を除去するために、DMFで希釈した25〜75mMのエタノールアミン溶液と交換し、室温で45〜90分間撹拌する。以上のようにして調製したアンピシリン固定化磁性体ビーズは、使用するまで4℃で保存する。上記の撹拌には、例えば、チューブローテーター(アズワン社製、TR118)を使用することができる。
(3−3)アフィニティセレクション
ラウンド1では、上記のように調製した標的化合物固定化粒子充填カラムを用いて、標的化合物と結合するVHHのcDNAディスプレイ分子を分離する。例えば、50〜110μLの調製したcDNAディスプレイライブラリ(約0.1〜0.2pmol(約6〜12x1010分子))を、調製した標的化合物固定化粒子充填カラムに加え、その後、25〜75μLのセレクションバッファを加え、ただちにキャップを閉めて、室温で所望の時間、例えば、1〜3時間放置する。例えば、200〜400μLのセレクションバッファを6〜10回加えて、未結合のcDNAディスプレイ分子を除去する。
次いで、所望の濃度の標的化合物、例えば、1〜10mMのアンピシリン、を含む、所望の量、例えば、200〜400μLのセレクションバッファをカラムに注ぎ込み、室温で1〜3時間放置して、標的化合物と結合しているcDNAディスプレイ分子を競合溶出させる。続いて、1〜10mMの標的化合物を含む200〜400μLのセレクションバッファを適宜カラムに注ぎ込み、4℃で保持する。最後に、1〜10mMの標的化合物を含む、200〜400μLのセレクションバッファを適宜カラムに通し、カラム内のcDNAディスプレイ分子を完全に回収する。
1〜10mMの標的化合物を含むセレクションバッファを加え始めた以降のフロースルーをすべて回収し、次のラウンドに回す。回収したフロースルーは、それぞれ、エタノール沈殿を行う。上述したcDNAディスプレイ分子からのフルコンストラクトDNA調製に記載したのと同様の手順により、回収したcDNAディスプレイ分子から、次ラウンドのためのフルコンストラクトライブラリDNAを調製する。ここで、上記のエタノール沈殿には、例えば、上述したQuick-Precip Plus Solutionを用いることができる。
ラウンド2以降は、標的化合物固定化磁性体ビーズを用いて、上記標的化合物と結合するVHHのcDNAディスプレイ分子を分離する。まず、所望の量、例えば、10〜30μL分のDynabeads M270 (COOH)とcDNAディスプレイ分子を含む25〜75μLのセレクションバッファとを混合し、チューブローテーターを使用して、室温で0.5〜2時間インキュベートして、その後上清を回収する。これによって、予め磁性体ビーズに結合したcDNAディスプレイ分子を除去することができる。
続いて、回収した上清を、例えば、10〜20μL分の標的化合物固定化磁性体ビーズと混合し、チューブローテーターを使用して、室温で0.5〜2時間、インキュベートする。50〜200μLのセレクションバッファで適宜洗浄し、次いで、1〜10mMの標的化合物を含むセレクションバッファを50〜200μL加えて、チューブローテーターを用いて、室温で0.5〜2時間、インキュベートする。これによって、アンピシリン結合cDNAディスプレイを競合溶出させることができる。
さらに、0.5〜2%SDSを含むセレクションバッファを、例えば、ここに50〜200μL加え、シェーカーを使用して、室温で10〜20分振盪し、結合しているcDNAディスプレイを溶出させて回収する。回収した溶出液をエタノール沈殿させ、上記と同様の手順によって、次ラウンドのためのフルコンストラクトライブラリDNAを調製する。ここで、上記のエタノール沈殿には、例えば、上述したQuick-Precip Plus Solutionを用いることができる。
ラウンド3〜6では、使用する磁性体ビーズをさらに減らし、洗浄条件を厳しくしながら、同様の操作を行う。各ラウンドの溶出液は、ラウンド1で得られたものを溶出液1、ラウンド2で得られたものを溶出液2、というように画分として得ることができる。ラウンド6を終了した後、上記溶出液1及び2に含まれるライブラリDNAをそれぞれ、フルコンストラクトに戻し、次いで、ダイレクトシーケンシングを行う。これにより、ライブラリブラシDNAを得ることができ、また、得られたライブラリのシグナルパターンを初期ライブラリのシグナルパターンと比較することができるようになる。
(実施例1)VHHをコードしたDNAライブラリの作製
(1)cDNAディスプレイ用コンストラクト用断片の作製
T4 DNA polymerase及びT4 DNA ligaseを用いてDNAを連結させる方法(Xin Geら、2010年)とオーバーラップエクステンション法を組み合わせて、下記表1に示す6本の合成DNAから作製した。これらのDNAは、化学合成可能な鎖長であること、各ハイブリダイズする領域のTMがおよそ60℃以上となるように設計した。混合塩基を含むF3(配列番号3)およびF5(配列番号5)はジーントライ株式会社に、残りのF1(配列番号1)、F2(配列番号2)、F4(配列番号4)、F6(配列番号6)はオペロンバイオテクノロジー株式会社にDNA合成を依頼して入手した。
Figure 2016044126
上記表1中、小文字のr、b、d、v、m、k、s、h及びsは、それぞれ混合塩基を示す略号であり、それらにおける塩基の比率は以下のとおりである。また、混合塩基のアンダーバーは、最終的なライブラリにおける塩基の比率に相補な比率となっていることを示している。
Figure 2016044126
(2)フルコンストラクトDNAの調製
まず、上記表1に示すF1〜F4の合成DNA断片を、dNTP(各終濃度=0.26mM)を含むT4 DNAポリメラーゼバッファ(T4 DNAポリメラーゼ(TaKaRa社製)に付属)と混合し(各断片の終濃度=0.66μM)、アニーリング(90℃で30秒、次いで60℃で1分、その後25℃に冷却)を行ってアニール産物を得た。このアニール産物に、BSA(終濃度=0.1%)、T4 DNAポリメラーゼ(TaKaRa社製、終濃度=0.1U/μL)、T4 DNAリガーゼ(TaKaRa社製、終濃度=7U/μL)を加えて、37℃で60分間さらにインキューベションを行い、連結産物を得た。
上記の連結産物を、8Mの尿素変性5% PAGE(ATTO、AE-6510 レゾルマックス二連ミニスラブ)にて泳動し、F2〜F5が連結したDNA産物(395mer)を切出し、精製した。続いて、精製したDNA産物を、100μLのPCR反応液(0.2mM dNTPs、8μMのF1、8μMのF6、0.02U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(TaKaRa社製)を含む1xPrimeSTARバッファ(Mg2+))に加え、以下のPCRプログラムを行って増幅させた。PCRプログラムは、
(a)94℃(2分)
(b)94℃(15秒)
(c)68℃(5秒)
(d)72℃(35秒)
(e)72℃(2分)
とし、ステップ(b)〜(d)を8サイクル行った。
次に、上記PCR反応溶液を、8Mの尿素変性4.5% PAGE(ATTO、AE-6510レゾルマックス二連ミニスラブ)にて泳動し、F1〜F6が連結したフルコンストラクトDNA(541 mer)を切出して精製した。最後に、精製したフルコンストラクトDNAを、250μLのPCR反応液(0.2mMのdNTPs、0.4μMのNewleft(配列:5'-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGG-3':配列番号11)、0.4μMのNewYtag(配列:5'-TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCT-3':配列番号12)、0.02U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼを含む1xPrimeSTARバッファ(Mg2+))と混合し、50μLずつ、0.2mLのThin-walled Tubes with Flat Caps(Thermo scientific社製)に分注し、以下のPCRプログラムを行って増幅させた。PCRプログラムは、
(a)94℃(2分)
(b)94℃(15秒)
(c)68℃(5秒)
(d)72℃(35秒)
(e)72℃(2分)
とし、ステップ(b)〜(d)を6サイクル行った。
以上のPCR増幅で得られた二本鎖としたフルコンストラクトDNAは、PCR産物を125μLx2本にまとめスピンカラム(FavorPrep PCR Clean-Up Mini Kit、Favorgen社製)2本を用いて精製した。この溶出液80μLにNuclease-free water (Kitに付属) 120μLを加え、さらに共沈剤(Quick-Precip Plus Solution, EdgeBio)を1/10倍量添加してエタノール沈殿させ、最後に20μL Nuclease-free waterに溶解し、−20℃でストックした。
得られたVHHのフルコンストラクトDNAの塩基配列を以下に示す。以下の配列中、r、b、d、v、k、s、h及びsは上記の通りである。
5’-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGGCGAGGTGCAGCTGGTGGAGAGCGGAGGAGGATCCGTGCAGGCTGGAGGAAGCCTGCGCCTGAGCTGCGCTGCTAGCGGArbrrbrdvbkhskhskhsdvbrbrrbrTGGTTCCGCCAGGCTCCTGGAAAGGAGCGCGAGGGAGTGrbrrbrdvbkhskhskhskhsdvbACCTACTACGCTGACAGCGTGAAGGGACGCTTCACCATCAGCCAGGACAACGCCAAGAACACCGTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAAGCCTGAGGACACCGCTATCTACTACTGCGCTGCTdvbdvbkhskhskhskhskhskhskhskhskhskhsdvbTACTGGGGACAGGGAACCCAGGTGACCGTGGGAGGAGGCAGCCATCATCATCATCATCACGGCGGAAGCAGGACGGGGGGCGGCGGGGAAA-3’・・・配列番号13
(実施例2)完全長VHHをコードしたライブラリDNAの選別
挿入、欠損等によるフレームシフト又は終止コドンの出現により不完全なVHHがコードされたDNAを除去するために、得られたVHHをコードしたライブラリを、一端、cDNAディスプレイ化し、His-tagによる精製を行った。以下に具体的な手順を示す。
(1)ライブラリDNAの転写
転写は、プロメガのキット(RiboMAX Large Scale RNA Production Systems−T7)に付属のプロトコルに従い、2.34pmolのdsDNAを用いて、20μLスケールで転写を行った。37℃で2時間インキューベションした後、上記キットに付属するDNase(RQ1 DNase)をこの系に1μL加え、さらに37℃で15分インキュベートした。合成されたmRNAは、After Tri-Reagent RNA Clean-Up Kit(Favogen社製)を使用して精製した。
以下で使用する短いビオチン−セグメント・ピューロマイシンリンカー(Short Biotin-segment Puromycin (SBP)-linker)の作製に使用する修飾されたオリゴヌクレオチドである、「ピューロマイシンセグメント(PS)」、及び「短いビオチンセグメント(SBS)」は、ジーンワールド社(Tokyo, Japan)より入手した。このPSは、以下の構造を有する。
5’-(S)-TC(F)-((Spc18) x 4)-CC-(Puro)-3’
ここで、(S)は5’-チオールモディファイヤーC6を表し、(F)はフルオレセイン-dTを表す。(Puro)はピューロマイシンCPGを表し、(Spc18)はスペーサー・ホスホロアミダイト18を表す。また、上記SBSは以下の構造を有する。
5’-CC-(rG)C(T-B)C(rG)ACCCCGCCGCCCCCCG(T)CCT-3’・・・配列番号14
ここで、(T)はアミノモディファイヤーC6 dTを表し、(T-B)は、ビオチン−dTを表す。
(rG)はリボGを表す。EMCSは、同仁化学(熊本、日本国)より購入した。プロテインAのBドメインは、pEZZ 18 プロテインA遺伝子融合ベクター(GEヘルスケア社製)より得た。フォワードプライマーは、T7プロモーター、タバコモザイクウイルスの「オメガ」5’-未翻訳領域、コザック配列、及びATG開始コドンを含んでいた。リバースプライマーは、ヘキサヒスチジンtag、スペーサー配列(GGGGGAGGCAGC:配列番号15)、及びピューロマイシンリンカーDNAの3’末端で、mRNA とピューロマイシンリンカーDNAとの間にライゲーション可能な相補的配列(AGGACGGGGGGCGGGGAAA:配列番号16)を含んでいた。Oct-1のPou特異的DNA結合ドメインof Oct-1 (PDO)の場合には、鋳型はPDOでBドメインが置き換えられて生成された。
使用の直前に、20nmolのPS 5’-チオール基を、0.1MのDTTを用いて、50μLの1Mのリン酸バッファ(pH7.0)中で、1時間、室温にて還元し、NAP-5カラム(GEヘルスケア社製)で脱塩した。全量10nmolのSBS及び2μmolのEMCSを、100μLの0.2Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)に加え、この混合物を37℃にて30分間インキュベートし、共沈剤(Quick-precip Plus, Edge BioSystems)を用いてエタノール沈殿させた。その後、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水に溶解させた。還元されたPSを、ただちにこの溶液に加え、この混合物を4℃で終夜撹拌した。DTTを終濃度が50mMとなるように加えて室温で30分間インキュベートし、反応を停止させた。室温でエタノール沈殿を行ない、過剰なPSを除去した。SBA及び未架橋のSBS-EMCS複合体を除去するために、エタノール沈殿物を、DEPC処理水に溶解させ、C18 HPLCを用いて以下の条件で精製した。
カラム:AR-300, 4.6x250mm (ナカライテスク社製、日本国)
溶媒A:0.1M トリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)
溶媒B:アセトニトリル/水(80:20、v/v)
グラジエントB/A:33分以上かけて15〜35%
流速:0.5mL/分
検出:吸光度254nm及び490nm
吸光度254nmでのピークに対応する画分(490nmでの単一ピークに対応)を集め、この画分を乾燥させて、ピューロマイシン−リンカーDNAを、DEPC処理水に再懸濁させ、保存した。
転写によって得られた200pmolのmRNAに、220pmolの上記のSBSピューロマイシンリンカーDNA、20μLの10xT4 RNAリガーゼバッファ(TaKaRa社製)、12μLの0.1%BSAを加え、Nuclease-free water(プロメガ社製)を加えて、合計185μLとなるように調製した。90℃で1分間インキュベートした後に、70℃で1分間インキュベートし、0.04℃/秒のスピードで25℃まで降温させた。5μLのT4 ポリヌクレオチドキナーゼ(TaKaRa社製)及び10μLのT4 RNAリガーゼ(TaKaRa社製)を加え、25℃で1時間インキュベートした。
(2)翻訳
180pmolのmRNA−リンカー連結体を、1.5mLスケールの無細胞翻訳系(Retic Lysate IVT Kit、Ambion)で翻訳した。翻訳は、mRNA−リンカー連結体を、50μLずつProtein LoBindチューブ(エッペンドルフ社製)に分注し、30℃で20分間行った。その後、MgCl2及びKClを、それぞれ、終濃度が75mM及び900mMとなるように加え、37℃で1時間インキュベートし、翻訳産物であるmRNA−タンパク質連結体を得た。
(3)逆転写
翻訳産物が入っているチューブを5本分ずつまとめ(400μLx6本)、80μLの0.5MのEDTA(pH8.0)、480μLの2x結合バッファ(2MのNaCl, 2mMのEDTA、0.2%のTween-20を含む20mMのTris-HCl(pH7.5))を加えて、4℃で10分間インキュベートすることで、mRNA−タンパク質連結体に結合しているリボソームを除去した。1x結合バッファでDynabeads MyOne C1 Streptavidinを予め洗浄した。新しい1.75mLチューブを6本用意し、ここに150μLの洗浄済みのDynabeads MyOne C1 Streptavidin、及び960μL分の上記の翻訳産物(mRNA−タンパク質連結体)を加え、冷却サーモブロックローテーター(日伸理化社製、SNP-24B)を用いて、20℃で15分撹拌した。
この上清を、150μLのDynabeads MyOne C1 Streptavidinを含む新たな1.75mLチューブに移し、同様に撹拌した。さらに同様の操作を、Dynabeads MyOne C1 Streptavidinを含む新たなチューブを用いてもう一度行い、合計3回の操作とした。以上のようにして得られたDynabeads MyOne C1 Streptavidinを、150μLの1x結合バッファで2回洗浄しつつ、合計6本のチューブに、それぞれ450μLずつまとめた。逆転写は、ReverTra Ase(東洋紡社製)を用いて、このキットに付属のプロトコルに従い、450μL分のDynabeadsに対して225μLのスケールで行った。冷却サーモブロックローテーターを使用して、42℃で40分間撹拌した。
(4)磁性体ビーズ上からの回収
450μLの1xHis-tag結合バッファ(0.5MのNaCl及び0.05%のTween20を含む20mMのリン酸バッファ(pH7.4))でDynabeadsを洗浄した後に、1,000UのRNase T1(Ambion)を含む225μLの1xHis-tag結合バッファを加え、37℃で10分間インキュベートした。上清を回収し、この操作を、もう1回繰り返した。以上の操作を、6本の450μL分のDynabeadsに対して順番に行うことで、mRNA/cDNA−タンパク質を450μLスケールに回収した。
(5)His-tagによる精製
His Mag Sepharose Ni(磁性粒子、GE healthcare社製)を、1xHis-tag結合バッファで洗浄した。上記のように回収したmRNA/cDNA−タンパク質サンプルから450μLを取り、ここに、上記のように洗浄したMag Sepharose Niを50μL加え、冷却サーモブロックローテーターを使用して、10℃で3時間撹拌し、mRNA/cDNA−タンパク質をMag Sepharose Niに結合させた。この磁性粒子を、100μLの1xHis-tag結合バッファで2回洗浄した。その後、溶出バッファ(1MのNaCl、5mMのEDTA、0.1%のTween-20を含む50mMのTris-HCl(pH7.4))を25μL加え、マイクロチューブミキサー(トミー精工社製、MT-360)を使用して、室温で15分撹拌した。同様の操作を、再度行った。合計50μLの溶出バッファを、Quick-Precip Plus Solution(Edge Bio)を用いて、エタノール沈殿させた。
(6)cDNAディスプレイ分子からのフルコンストラクトDNA調製
エタノール沈殿させたcDNAディスプレイ分子を、100μLのPCR反応液(0.2mMのdNTPs、8μMのF1、8μMのNewYtag to HGGS-R(配列:5'‐TTTCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTTCCGCCGTGATGAT‐3':配列番号17)、0.02U/μLのPrimeSTAR HS DNA polymeraseを含む1xPrimeSTARバッファ(Mg2+))に加え、以下のPCRプログラムを行って増幅させた。PCRプログラムは、
(a)94℃(2分)
(b)94℃(15秒)
(c)68℃(5秒)
(d)72℃(35秒)
(e)72℃(2分)
とし、ステップ(b)〜(d)を10サイクル行った。
PCR産物を8Mの尿素変性4.5% PAGEにて泳動し、フルコンストラクトDNA(541mer)を切出して精製した。精製したフルコンストラクトDNAを、200μLのPCR反応液(1xPrimeSTARバッファ(Mg2+)、0.2mMのdNTPs、0.4μMのNewleft、0.4μMのNewYtag、0.02U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ)に加え、50μLずつ、上記チューブ中に分注した後、以下のPCRプログラムを行った。PCRプログラムは、
(a)94℃(2分)
(b)94℃(15秒)
(c)68℃(5秒)
(d)72℃(35秒)
(e)72℃(2分)
とし、ステップ(b)〜(d)を6サイクル行った。
以上のPCR増幅で得られた二本鎖としたフルコンストラクトDNAは、PCR産物を125μLx2本にまとめスピンカラム(FavorPrep PCR Clean-Up Mini Kit、Favorgen社製)を2本を用いて精製した。この溶出液80μLに、120μLのNuclease-free water (Kitに付属)を加え、さらに共沈剤(Quick-Precip Plus Solution, EdgeBio)を1/10倍量添加してエタノール沈殿させ、最後に20μLのNuclease-free waterに溶解し−20℃でストックした。
(7)クローニング
上述したHis-tagによる精製を行った後のVHH DNAライブラリのクォリティ(完全長VHHがコードされたDNAがどの程度含まれているか)を調べるために、以下のように、このライブラリDNAのクローニングおよびシーケンシング解析を行った。
まず、ライブラリDNAをpGEM-T easy Vector (Promega社製)へライゲーションし、これを用いてCompetent high DH5α(東洋紡社製)を形質転換し、LBプレートで、37℃、オーバーナイトの条件で培養した。
40個のクローンをピックアップして、オペロンバイオテクノロジー株式会社に依頼して、シーケンシング解析を行った。DNA配列から得られたVHH配列の情報を以下に示す。なお、「*」はStopコドンの出現を示す。配列解析の結果、40個のクローン中、35個のクローンが完全長VHHをコードしているDNAであることが確認できた。このライブラリの完全長VHHをコードした割合は、約88%であった。

Figure 2016044126
Figure 2016044126
Figure 2016044126
(実施例3)cDNAディスプレイ法によるアンピシリン結合VHHのセレクション
(1)cDNAディスプレイ分子の調製
上記実施例1で作製したVHHコードライブラリDNAからのcDNAディスプレイ作製は、(実施例2)完全長VHHをコードしたライブラリDNAの選別に記した手順に準じて、セレクションを行った。相違点は以下の2点とした:
(a)セレクションラウンド1では、96pmolのmRNA-リンカー連結体を投入し、その後の各調製ステップを適宜スケールダウンして行った
(b)セレクションラウンド2では30pmol、同3では12pmol、同4〜6ではいずれも6pmol分のmRNA-リンカー連結体から調製したcDNAディスプレイ分子を、セレクションに使用した。
(2)アンピシリン固定化粒子充填カラム及びアンピシリン固体化磁性ビーズの調製
(2−1)アンピシリン固定化粒子充填カラムの調製
cDNAディスプレイ分子ライブラリ中から、アンピシリンに結合するcDNAディスプレイ分子を分離するために、アガロース磁性ビーズにアンピシリンを固定化したアンピシリン固定化ビーズを調製し、このビーズを充填したカラムを作製した。
アガロース磁性ビーズとしては、NHS-活性化セファロース 4 Fast Flow (GE healthcare社製)を使用した。MicroSpin Empty Columns (GE healthcare社製)に、カラムボリューム(CV)が300μLになるように、上記のNHS-活性化セファロース 4 Fast Flowを充填した。
次いで、CVの10倍量の1mMの冷却HClでこのカラムを洗浄した。その後、400μLのリガンド溶液(50μMのアンピシリン、0.2MのNaHCO3、0.5MのNaCl(pH8.3))をこのカラムに流し込み、室温で3.5時間、インキュベートした。
さらに未反応の活性基を除去するために、400μLの未反応活性基除去溶液(0.5Mのエタノールアミン及び0.2MのNaHCO3を含む0.5MのNaCl(pH 8.3))をこのカラム中に流し込み、室温で1時間、インキュベートした。次いで、0.1MのTris-HClバッファ(pH 8.5)と0.5MのNaClを含む酢酸バッファ(pH 5.0)とを、それぞれCVの3倍量で交互に3回流し込み、このカラムの洗浄を行った。最後に、CVの10倍量以上のセレクションバッファ(1MのNaCl、1mMのEDTA、及び0.1%のTween-20を含む(50mMのTris-HCl(pH 7.4))を用いてこのカラムの平衡化を行った。以上のようにして作製したカラムは、使用するまで4℃で保存した。
(2−2)アンピシリン固体化磁性ビーズの調製
以下にアンピシリン固定化磁性体ビーズの作製手順を記す。
アンピシリンは、Water Soluble Carbodiimide (WSC)を用いたカップリング反応によりDynabeads M270 carboxylic acid (COOH)上に固定化した。Dynabeads M270 (COOH)の50μL分を1.75mLチューブに分注し、カルボキシル基の活性化の前に、50μLのDMFで二回洗浄した。カルボキシル基の活性化は、DMFに溶解したWSC(25mg/mL)を加え、シェーカーを用いて室温で30分間振盪することにより行った。
活性化反応後、50μLのDMFで2回、上記のDynabeadsを洗浄し、その後、0.6mg/mlになるようにアンピシリンを溶解させたDMFを加えてチューブローテーター(アズワン、TR118)で、室温にて1時間撹拌した。活性基を除去するために、DMFで希釈した50mMのエタノールアミン溶液に入れ替え、チューブローテーターを使用して、室温で60分間撹拌した。調製したアンピシリン固定化磁性体ビーズは、使用するまで4℃で保存した。
(3)アフィニティセレクション
ラウンド1では、調製したアンピシリン固定化粒子充填カラムを用いて、アンピシリンと結合するVHHのcDNAディスプレイ分子を分離した。85μLの調製したcDNAディスプレイライブラリ(約0.15 pmol(約9.3x1010分子))を、調製したアンピシリン固定化粒子充填カラムに加え、その後、50μLのセレクションバッファを加え、ただちにキャップを閉めて、室温で2時間放置した。300μLのセレクションバッファを8回加えて、未結合のcDNAディスプレイ分子を除去した。
次いで、5mMのアンピシリンを含む、300μLのセレクションバッファをカラムに注ぎ込み、室温で2時間放置してアンピシリンと結合しているcDNAディスプレイ分子を競合溶出させた。続いて、5mMのアンピシリンを含む300μLのセレクションバッファを2回、カラムに注ぎ込み、4℃で保持した。最後に、5mMのアンピシリンを含む、300μLのセレクションバッファを2回カラムに通し、カラム内のcDNAディスプレイ分子を完全に回収した。
5mMのアンピシリンを含むセレクションバッファを加え始めた以降のフロースルーをすべて回収し、次のラウンドに回した。回収したフロースルーについては、それぞれ、Quick-Precip Plus Solutionを用いてエタノール沈殿を行った。上述した実施例1(cDNAディスプレイ分子からのフルコンストラクトDNA調製の項)に記載したのと同様の手順により、回収したcDNAディスプレイ分子から、次ラウンドのためのフルコンストラクトライブラリDNAを調製した。
ラウンド2以降は、アンピシリン固定化磁性体ビーズを用いて、アンピシリンと結合するVHHのcDNAディスプレイ分子を分離した。まず、20μL分のDynabeads M270 (COOH)とcDNAディスプレイ分子を含む50μLのセレクションバッファとを混合し、チューブローテーターを使用して、室温で1時間、インキュベートして、その後上清を回収することで予め磁性体ビーズに結合したcDNAディスプレイ分子を除去した。
続いて、回収した上清を、15μL分のアンピシリン固定化磁性体ビーズと混合しチューブローテーターを使用して、室温で1時間、インキュベートした。100μLのセレクションバッファで4回洗浄した。次いで、5mMのアンピシリンを含むセレクションバッファを100μL加えて、チューブローテーターを用いて、室温で1時間、インキュベートすることにより、アンピシリン結合cDNAディスプレイを競合溶出させた。
さらに、1%SDSを含むセレクションバッファをここに100μL加え、シェーカーを使用して、室温で15分振盪し、結合しているcDNAディスプレイを溶出させて回収した。回収した溶出液を、Quick-Precip Plus Solutionを用いてエタノール沈殿させ、上記実施例1(cDNAディスプレイ分子からのフルコンストラクトDNA調製)に記載されたのと同様の手順によって、次ラウンドのためのフルコンストラクトライブラリDNAを調製した。
ラウンド3〜6では、使用する磁性体ビーズをさらに減らし、洗浄条件を厳しくしながら、同様の操作を行った。各ラウンドの溶出液は、ラウンド1で得られたものを溶出液1、ラウンド2で得られたものを溶出液2、というように画分として得た。ラウンド6を終了した後、上記溶出液1及び2に含まれるライブラリDNAをそれぞれ、フルコンストラクトに戻した。次いで、ダイレクトシーケンシングを行い、得られたライブラリのシグナルパターンを初期ライブラリのシグナルパターンと比較した。結果を図4に示す。
図4では、CDRの左右に隣接する定常領域3塩基分を加えた波形データを示している。ここで、セレクションラウンド6を終了した後のライブラリDNAの配列は、競合溶出又はSDS溶出のいずれであっても、初期ライブラリと比較して多様性が上昇していることが明らかになった。
(4)クローニング
選択されたVHHの詳細な配列解析を行うために、得られたライブラリDNAのクローニングを下記の手順で行った。まず、ライブラリDNAを、pGEM-T easy Vector(Promega社製)にライゲーションし、Competent high DH5α(東洋紡社製)を形質転換し、LBプレートで37℃、オーバーナイトの条件下に培養した。
溶出液1から64クローン(E1-1〜E1-64)、溶出液2から30クローン(E2-1〜E2-30)を、それぞれピックアップし、シーケンシング解析を行った。シーケンシングは、オペロンバイオテクノロジー株式会社に依頼した。
DNA配列から得られたVHH配列の情報を、下記の表6〜13に示す。なお、下記の表中、「*」はStopコドンの出現を示す。

Figure 2016044126
Figure 2016044126
Figure 2016044126
Figure 2016044126
Figure 2016044126
Figure 2016044126
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Figure 2016044126
(実施例4)候補クローンの結合性の評価
(1)アンピシリンに対する結合能の評価
以上のようにして得られたVHH配列のうち、同一クローンが多数確認されたE1-1及びE1-8のアンピシリンに対する結合能を、cDNAディスプレイ分子のプルダウンにより評価した(図4)。
まず、E1-1及びE1-8のクローンDNAを、クローニングで得たプラスミドをテンプレートに、Newleft、NewYtagを用いたPCR増幅により調製した。転写によって得られたmRNAから15pmolをとって、セレクションの際と同様の手順に従い、各クローンのcDNAディスプレイ分子を調製した。
アンピシリンを固定化したDynabeads M270 (COOH)と、固定していないDynabeads M270 (COOH)とを準備し、それぞれの5μL分に、調製したcDNAディスプレイ分子を二等分して加え、チューブローテーターを用いて、室温で1時間インキュベートした。
100μLのセレクションバッファで4回洗浄し、各洗浄液を回収した。その後、5mMのアンピシリンを含むセレクションバッファを100μL加え、チューブローテーターを使用して、室温で1時間、インキュベートし、上清を回収した。回収した各溶出液に含まれるcDNAディスプレイ分子を、Quick-Precip Plus Solutionを用いてエタノール沈殿させ、12μLのNuclease-free waterに溶解した。この溶液2μLを加えた、25μLのPCR反応液(0.2mMのdNTPs、0.4μMのΩRT-L (配列: 5'-(FITC)-CAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACC-3':配列番号151)、0.4μMのNewYtag、0.02U/μLのPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼを含む1xPrimeSTARバッファ(Mg2+))を調製し以下のPCRプログラムを行った。PCRプログラムは、
(a)98℃(1分)
(b)98℃(10秒)
(c)68℃(40秒)
(d)72℃(1分)
とし、ステップ(b)〜(c)を25サイクル行った。
PCR増幅で得られたDNAを、8Mの尿素変性5%PAGEにかけて確認し、アンピシリン固定化磁性ビーズと固定化していない磁性ビーズを使用した場合のプルダウンされたcDNAディスプレイ量を、相対的に比較した。その結果、アンピシリン固定化磁性体ビーズにおいて、cDNAディスプレイ分子がより多くプルダウンされているという結果が得られた(図4)。
さらに、E1-1について、遊離アンピシリンにより、cDNAディスプレイのプルダウンが競合阻害されるか否かを確認した。具体的には、アンピシリシン固定化M270 (COOH)とcDNAディスプレイ分子とをインキューベションする際に、アンピシリンを2.5 mMになるように加え添加し、アンピシリンの有無によるcDNAディスプレイのプルダウン量の違いを確認した(図5)。このときの条件は、以下の通りであった。
ビーズの使用量:5μL
反応液の容量:2.5mM アンピシリンを含むセレクションバッファ 50μL
反応温度と時間:25℃、80分
撹拌の有無:
その結果、競合阻害条件下では、cDNAディスプレイ分子のプルダウン量が減少することが確認された(図5)。これらの結果は、取得されたVHH配列がアンピシリンに結合することを示唆するものである。このことは、低分子化合物に結合するVHHを取得するために、本ライブラリの有用性を示す結果であると考えられる。
本発明は、医薬及び診断薬の分野において有用である。
配列番号1:ラクダ科動物の重鎖の相補性決定領域1に導入する変異のアミノ酸配列
配列番号2:ラクダ科動物の重鎖の相補性決定領域2に導入する変異のアミノ酸配列
配列番号3:ラクダ科動物の重鎖の相補性決定領域3に導入する変異のアミノ酸配列
配列番号4:ラクダ科動物の重鎖の相補性決定領域3に導入する変異のアミノ酸配列
配列番号5:cDNAディスプレイ用コンストラクト用断片(F1)の塩基配列
配列番号6:cDNAディスプレイ用コンストラクト用断片(F2)の塩基配列
配列番号7:cDNAディスプレイ用コンストラクト用断片(F3)の塩基配列
配列番号8:cDNAディスプレイ用コンストラクト用断片(F4)の塩基配列
配列番号9:cDNAディスプレイ用コンストラクト用断片(F5)の塩基配列
配列番号10:cDNAディスプレイ用コンストラクト用断片(F6)の塩基配列
配列番号11:フルコンストラクト作製用のPCRで使用するNewleftの塩基配列
配列番号12:フルコンストラクト作製用のPCRで使用するNewYtagの塩基配列
配列番号13:VHHのフルコンストラクトの塩基配列
配列番号14:ピューロマイシンセグメントの塩基配列
配列番号15:スペーサー配列
配列番号16:mRNAとピューロマイシンリンカーDNAとの間にライゲーション可能な相補的配列
配列番号17:NewY tag to HGGS-Rの塩基配列
配列番号18:クローニングで得られたVHHの配列情報(1)
配列番号19:クローニングで得られたVHHの配列情報(2)
配列番号20:クローニングで得られたVHHの配列情報(3)
配列番号21:クローニングで得られたVHHの配列情報(4)
配列番号22:クローニングで得られたVHHの配列情報(5)
配列番号23:クローニングで得られたVHHの配列情報(6)
配列番号24:クローニングで得られたVHHの配列情報(7)
配列番号25:クローニングで得られたVHHの配列情報(8)
配列番号26:クローニングで得られたVHHの配列情報(9)
配列番号27:クローニングで得られたVHHの配列情報(10)
配列番号28:クローニングで得られたVHHの配列情報(11)
配列番号29:クローニングで得られたVHHの配列情報(12)
配列番号30:クローニングで得られたVHHの配列情報(13)
配列番号31:クローニングで得られたVHHの配列情報(14)
配列番号32:クローニングで得られたVHHの配列情報(15)
配列番号33:クローニングで得られたVHHの配列情報(16)
配列番号34:クローニングで得られたVHHの配列情報(17)
配列番号35:クローニングで得られたVHHの配列情報(18)
配列番号36:クローニングで得られたVHHの配列情報(19)
配列番号37:クローニングで得られたVHHの配列情報(20)
配列番号38:クローニングで得られたVHHの配列情報(21)
配列番号39:クローニングで得られたVHHの配列情報(22)
配列番号40:クローニングで得られたVHHの配列情報(23)
配列番号41:クローニングで得られたVHHの配列情報(24)
配列番号42:クローニングで得られたVHHの配列情報(25)
配列番号43:クローニングで得られたVHHの配列情報(26)
配列番号44:クローニングで得られたVHHの配列情報(27)
配列番号45:クローニングで得られたVHHの配列情報(28)
配列番号46:クローニングで得られたVHHの配列情報(29)
配列番号47:クローニングで得られたVHHの配列情報(30)
配列番号48:クローニングで得られたVHHの配列情報(31)
配列番号49:クローニングで得られたVHHの配列情報(32)
配列番号50:クローニングで得られたVHHの配列情報(33)
配列番号51:クローニングで得られたVHHの配列情報(34)
配列番号52:クローニングで得られたVHHの配列情報(35)
配列番号53:クローニングで得られたVHHの配列情報(36)
配列番号54:クローニングで得られたVHHの配列情報(37)
配列番号55:クローニングで得られたVHHの配列情報(38)
配列番号56:クローニングで得られたVHHの配列情報(39)
配列番号57:クローニングで得られたVHHの配列情報(40)
配列番号58:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-1)
配列番号59:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-2)
配列番号60:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-3)
配列番号61:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-4)
配列番号62:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-5)
配列番号63:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-6)
配列番号64:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-7)
配列番号65:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-8)
配列番号66:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-9)
配列番号67:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-10)
配列番号68:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-11)
配列番号69:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-12)
配列番号70:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-13)
番号71:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-14)
配列番号72:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-15)
配列番号73:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-16)
配列番号74:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-17)
配列番号75:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-18)
配列番号76:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-19)
配列番号77:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-20)
配列番号78:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-21)
配列番号79:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-22)
配列番号80:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-23)
配列番号81:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-24)
配列番号82:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-25)
配列番号83:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-26)
配列番号84:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-27)
配列番号85:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-28)
配列番号86:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-29)
配列番号87:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-30)
配列番号88:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-31)
配列番号89:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-32)
配列番号90:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-33)
配列番号91:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-34)
配列番号92:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-35)
配列番号93:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-36)
配列番号94:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-37)
配列番号95:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-38)
配列番号96:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-39)
配列番号97:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-40)
配列番号98:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-41)
配列番号99:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-42)
配列番号100:クローニングで得られたVHHの配列情報(E143-)
配列番号101:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-44)
配列番号102:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-45)
配列番号103:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-46)
配列番号104:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-47)
配列番号105:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-48)
配列番号106:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-49)
配列番号107:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-50)
配列番号108:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-51)
配列番号109:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-52)
配列番号110:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-53)
配列番号111:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-54)
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配列番号113:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-56)
配列番号114:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-57)
配列番号115:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-58)
配列番号116:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-59)
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配列番号118:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-61)
配列番号119:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-62)
配列番号120:クローニングで得られたVHHの配列情報(E1-64)
配列番号121:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-1)
配列番号122:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-2)
配列番号123:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-3)
配列番号124:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-4)
配列番号125:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-5)
配列番号126:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-6)
配列番号127:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-7)
配列番号128:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-8)
配列番号129:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-9)
配列番号130:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-10)
配列番号131:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-11)
配列番号132:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-12)
配列番号133:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-13)
配列番号134:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-14)
配列番号135:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-15)
配列番号136:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-16)
配列番号137:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-17)
配列番号138:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-18)
配列番号139:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-19)
配列番号140:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-20)
配列番号141:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-21)
配列番号142:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-22)
配列番号143:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-23)
配列番号144:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-24)
配列番号145:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-25)
配列番号146:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-26)
配列番号147:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-27)
配列番号148:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-28)
配列番号149:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-29)
配列番号150:クローニングで得られたVHHの配列情報(E2-30)
配列番号151:ΩRT-Lの塩基配列

Claims (25)

  1. (a)ラクダ科動物の抗体の重鎖中に存在する相補性決定領域を少なくとも1つ含む、複数のDNA断片のそれぞれに所望の変異を導入する変異体作成工程と;
    (b)上記変異を導入した各断片を連結し、変異導入二本鎖DNAを合成する断片連結工程と;
    (c)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;
    (d)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;
    (e)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;
    (f)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;
    (g)前記cDNAディスプレイから、抗体コード領域のC末端側の融合タンパク質による親和性セレクションにより、変異導入抗体をコードするDNAをセレクションするセレクション工程と;
    (h)前記セレクション工程で得られた前記変異導入抗体をコードするDNAをPCRで増幅させる増幅工程と;
    を備える、次世代型フラグメント抗体をコードするDNAライブラリを作製するためのライブラリの作製方法。
  2. 前記(h)の増幅工程は、
    (h1)前記断片連結工程で得られた二本鎖DNA断片の両末端に、所望の一本鎖DNA断片をつけて伸長させる伸長工程と;
    (h2)前記伸長工程で得られた伸長されたDNA断片をPCRで増幅させて、伸長されたcDNAを作製する、伸長cDNA作製工程と;
    からなることを特徴とする、請求項1に記載のライブラリの作製方法。
  3. 前記変異導入工程で、前記相補性決定領域1に導入される変異は配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列であり、前記相補性決定領域2に導入される変異は配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のライブラリの作製方法。
  4. 前記変異導入工程で、前記相補性決定領域3に導入される変異は配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のライブラリの作製方法。
  5. 前記複数の断片は、相補性決定領域を含む2つの断片と、前記2つの断片の末端と相補的に結合する2つの断片とを含む、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のライブラリの作製方法。
  6. 前記相補性決定領域を含む2つの断片の一方は、2つの相補性決定領域を含む、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のライブラリの作製方法。
  7. 前記ディスプレイ工程における固相からの遊離は、リンカーに組み込まれた特定の配列を酵素で開裂させることによって行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のライブラリの作製方法。
  8. 前記特定の配列は、リボG及びイノシン(I)からなる群から選ばれる配列であり、前記酵素はリボヌクレアーゼ及びEndonuclase Vからなる群から選ばれる酵素である、ことを特徴とする請求項7に記載のライブラリの作製方法。
  9. 前記mRNA-変異導入抗体を固定する固相は、アビジン又はストレプトアビジンを固定化したものである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のライブラリの作製方法。
  10. 前記親和性セレクションは、前記cDNAディスプレイを、分子量1,000以下の低分子を固定した磁性粒子と反応させることによって行う、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のライブラリの作製方法。
  11. 前記分子量1,000以下の低分子は、抗生物質であることを特徴とする請求項10に記載のライブラリの作製方法。
  12. 前記抗生物質は、β−ラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、及びポリエン系からなる群から選ばれるいずれかのものである、ことを特徴とする請求項11に記載のライブラリの作製方法。
  13. 前記β−ラクタム系抗生物質は、ペニシリン系、セフェム系及びモノバクタム系からなる群から選ばれるいずれかのものである、ことを特徴とする請求項11に記載のライブラリの作製方法。
  14. 前記ペニシリン系抗生物質は、ペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、タランピシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、ペントシリン及びスルタミシリンからなる群から選ばれるいずれかのものである、ことを特徴とする請求項11は12に記載のライブラリの作製方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のライブラリの作製方法によって作製された次世代型フラグメント抗体をコードするDNAライブラリ。
  16. (a)ラクダ科動物の抗体の重鎖中に存在する相補性決定領域を少なくとも1つ含む、複数のDNA断片のそれぞれに所望の変異を導入する変異導入工程と;
    (b)上記変異を導入した各断片を連結し、変異導入二本鎖DNAを合成する断片連結工程と;
    (c1)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;
    (d1)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;
    (e1)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;
    (f)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;
    (g)前記cDNAディスプレイから、抗体コード領域のC末端側の融合タンパク質による親和性セレクションにより、変異導入抗体をコードするDNAをセレクションするセレクション工程と;
    (h)前記セレクション工程で得られた前記変異導入抗体をコードするDNAをPCRで増幅させる増幅工程と;
    (c2)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;
    (d2)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;
    (e2) 前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;
    と備える、mRNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  17. 前記変異導入工程で、前記相補性決定領域1に導入される変異は配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列であり、前記相補性決定領域2に導入される変異は配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項16に記載のmRNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  18. 前記変異導入工程で、前記相補性決定領域3に導入される変異は配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項16又は17に記載のmRNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  19. 前記複数の断片は、相補性決定領域を含む2つの断片と、前記2つの断片の末端と相補的に結合する2つの断片とを含む、ことを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載のmRNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  20. 前記相補性決定領域を含む2つの断片の一方は、2つの相補性決定領域を含む、ことを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載のmRNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  21. (a)ラクダ科動物の抗体の重鎖中に存在する相補性決定領域を少なくとも1つ含む、複数のDNA断片のそれぞれに所望の変異を導入する変異導入工程と;
    (b)上記変異を導入した各断片を連結し、変異導入二本鎖DNAを合成する断片連結工程と;
    (c1)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;
    (d1)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;
    (e1)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;
    (f1)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;
    (g)前記cDNAディスプレイから、抗体コード領域のC末端側の融合タンパク質による親和性セレクションにより、変異導入抗体をコードするDNAをセレクションするセレクション工程と;
    (h)前記セレクション工程で得られた前記変異導入抗体をコードするDNAをPCRで増幅させる増幅工程と;
    (c2)前記変異導入二本鎖DNAをコードするmRNAとピューロマイシン-DNAリンカーとを結合させてmRNA-リンカーを調製する、mRNA-リンカー調製工程と;
    (d2)前記mRNA-リンカー調製工程で得られたmRNA-リンカーを無細胞翻訳し、mRNA-変異導入抗体を調製するmRNA-変異導入抗体調製工程と;
    (e2)前記mRNA-変異導入抗体調製工程で得られたmRNA-変異導入抗体を固相に固定する固定化工程と;
    (f2)前記固定化工程で得られた固相結合mRNA-変異導入抗体を逆転写し、mRNA-リンカー-cDNA-変異導入抗体結合体を形成させた後に、固相から遊離させ、cDNAディスプレイとするディスプレイ工程と;
    を備える、cDNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  22. 前記変異導入工程で、前記相補性決定領域1に導入される変異は配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列であり、前記相補性決定領域2に導入される変異は配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項21に記載のcDNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  23. 前記変異導入工程で、前記相補性決定領域3に導入される変異は配列表の配列番号3で表されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項21又は22に記載のcDNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  24. 前記複数の断片は、相補性決定領域を含む2つの断片と、前記2つの断片の末端と相補的に結合する2つの断片とを含む、ことを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載のcDNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
  25. 前記相補性決定領域を含む2つの断片の一方は、2つの相補性決定領域を含む、ことを特徴とする請求項21〜24のいずれかに記載のcDNAライブラリ−次世代型フラグメント抗体の作製方法。
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